経済分析第170号



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m07 北見工業大学 様式①



タイトル

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

(Microsoft Word - \220\340\226\276\217\221.doc)

3 圏 域 では 県 北 沿 岸 で2の 傾 向 を 強 く 見 てとることができます 4 近 年 は 分 配 及 び 人 口 が 減 少 している 市 町 村 が 多 くなっているため 所 得 の 増 加 要 因 を 考 える 場 合 は 人 口 減 少 による 影 響 についても 考 慮 する

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

参 考 資 料 経 済 活 動 別 分 類 (93SNA 分 類 )と 対 応 表 経 済 活 動 別 分 類 1 産 業 コード 番 号 は ( 平 成 19 年 11 月 改 定 )による (1) 農 林 水 産 業 a 農 業 01 農 業 (0113 野 菜 作 農 業 のうち きのこ 類

39_1

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スライド 1

2 平 均 病 床 数 の 平 均 病 床 数 では 療 法 人 に 対 しそれ 以 外 の 開 設 主 体 自 治 体 社 会 保 険 関 係 団 体 その 他 公 的 の 規 模 が 2.5 倍 程 度 大 きく 療 法 人 に 比 べ 公 的 病 院 の 方 が 規 模 の 大 き いことが

18 国立高等専門学校機構

Microsoft Word - 【参考資料】トラック輸送状況の実態調査結果概要


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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

1. 売 上 高 と 利 益 の 状 況 (つづき) 売 上 高 営 業 利 益 率 は1.9%( 前 年 度 差.2%ポイント 上 昇 ) 売 上 高 経 常 利 益 率 は2.6%( 同.3% ポイント 上 昇 ) 売 上 高 当 期 純 利 益 率 は1.%( 同 1.%ポイント 上 昇 )

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

(2) 就 業 規 則 の 状 況 就 業 規 則 は 90.0%の 事 業 所 が 整 備 している このうち 就 業 規 則 を 周 知 している 事 業 所 は 84.0%で 周 知 の 方 法 ( 複 数 回 答 )については 常 時 掲 示 または 備 え 付 け が 最 も 多 く 64

は し が き

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

公表表紙

スライド 1

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経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

Microsoft Word - H24様式(那珂市版).doc

小山市保育所整備計画

別紙3

ま え が き 本 書 は 平 成 25 年 度 県 民 経 済 計 算 の 推 計 結 果 を 取 りまとめたものです 県 民 経 済 計 算 は 県 内 の 経 済 活 動 により1 年 間 に 新 たに 生 み 出 された 付 加 価 値 総 額 を 生 産 分 配 支 出 の3 面 から 体

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

平成22年度

資料8(第2回水害WG)

質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

市況トレンド

16 日本学生支援機構

●電力自由化推進法案

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) (H25.4.1) (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.7.1) (H25.4.1) (H25.7.1)

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Microsoft Word - 文書 3

平成24年度 業務概況書

波佐見町の給与・定員管理等について

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

市 町 村 税 の 概 況 市 町 村 税 の 概 況 は 平 成 25 年 度 地 方 財 政 状 況 調 査 平 成 26 年 度 市 町 村 税 の 課 税 状 況 等 の 調 及 び 平 成 26 年 度 固 定 資 産 の 価 格 等 の 概 要 調 書 等 報 告 書 等 の 資 料 に

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

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(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

目 次 第 1 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 1. 土 地 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 2. 施 行 者 の 名 称 1 第 2 施 行 地 区 1 1. 施 行 地 区 の 位 置 1 2. 施 行 地 区 位 置 図 1 3. 施 行 地 区 の 区 域 1 4

情 報 通 信 機 器 等 に 係 る 繰 越 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 計 算 上 控 除 される 金 額 に 関 する 明 細 書 ( 付 表 ) 政 党 等 寄 附 金 特 別 控 除 額 の 計 算 明 細 書 国 庫 補 助 金 等 の 総 収 入 金 額 不 算 入 に 関

2

1 はじめに 財 政 の 役 割 資 源 配 分 ( 公 共 財 供 給 ) 所 得 再 分 配 経 済 安 定 化 ( 景 気 調 整 ) 地 方 自 治 体 の 役 割 は 資 源 配 分 ( 公 共 財 の 安 定 供 給 )とされる ( 所 得 再 分 配 や 経 済 安 定 化 は 国 の

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 135,600 円 185,800 円 222,900 円 261,900 円

官報掲載【セット版】

経 常 収 支 差 引 額 等 の 状 況 平 成 26 年 度 予 算 早 期 集 計 平 成 25 年 度 予 算 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 3,689 億 円 4,597 億 円 908 億 円 減 少 赤 字 組 合 数 1,114 組 合 1,180 組 合 66

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (5 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 類 団 府 分 似 体 平 均 年 齢

01.活性化計画(上大久保)

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も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (4 年 4 月 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 級 級 級 4 級 5 級 号 給 の 給 料 月 額 5, 85,,9,9 89, 最 高 号 給 の 給 料 月 額 4,7 7,8 54,7 88, 4, ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

(5) 給 与 改 定 の 状 況 事 委 員 会 の 設 置 なし 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 A B A-B ( 改 定 率 ) 給 与 改 定 率 ( 参 考 ) 国 の 改 定 率 24 年 度 円 円 円 円 ( ) 改

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン


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文化政策情報システムの運用等

12 大 都 市 の 人 口 と 従 業 者 数 12 大 都 市 は 全 国 の 人 口 の 約 2 割 従 業 者 数 の 約 3 割 を 占 める 12 大 都 市 の 事 業 所 数 従 業 者 数 及 び 人 口 は 表 1 のとおりです これらの 12 大 都 市 を 合 わせると 全

4 松 山 市 暴 力 団 排 除 条 の 一 部 風 俗 営 業 等 の 規 制 及 び 業 務 の 適 正 化 等 に 関 する 法 律 等 の 改 正 に 伴 い, 公 共 工 事 から 排 除 する 対 象 者 の 拡 大 等 を 図 るものです 第 30 号 H H28.1

回 答 Q3-1 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 質 問 : 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 土 地 の 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 答 : あなたの 土 地 は 過 去 の 評 価 替 えで 評 価 額 が

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 (H20.4.1) 96.7 (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.4.1), (H25.4.1) 参 考 値 98.3 (H25.7.1) (H20.4.1) (H25.4

3 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 43.7 歳 32, , ,321

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

第4回税制調査会 総4-1

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Microsoft Word - 006第Ⅰ章第2節.doc

基 準 地 価 格 3 年 に1 度 審 議 直 近 ではH23 年 12 月 に 審 議 土 地 評 価 替 えの 流 れと 固 定 資 産 評 価 審 議 会 基 準 地 とは 土 地 評 価 の 水 準 と 市 町 村 間 の 均 衡 を 確 保 するための 指 標 となるものであり 各 市

Transcription:

内 閣 府 経 済 社 会 総 合 研 究 所 経 済 分 析 170 号 2003 年 第 6 章 TFP の 計 測 とその 要 因 分 析 河 井 啓 希 乾 友 彦 1 産 業 別 TFP の 計 測 と 数 量 変 化 ならびに 価 格 変 化 の 要 因 分 析 1.1 分 析 手 法 われわれの 分 析 方 法 は 生 産 者 行 動 の 理 論 を 前 提 にしている いま 一 国 経 済 がJ 部 門 に 分 割 する ことができ 時 点 tにおけるj 部 門 の 生 産 量 Y が 様 々な 種 類 の 資 本 サービス(K,, K ) 労 働 サー ビス(L,, L )と 中 間 投 入 (M,, M )を 用 いて 生 産 されているときこの 投 入 と 産 出 の 関 係 が 以 下 のような 生 産 関 数 で 表 現 できるとする Y = F(K, K, L,,L, M,,M, T ) (1) このとき 生 産 関 数 は 投 入 のほかに 生 産 時 の 技 術 水 準 T にも 依 存 するものとする さらに 様 々なタイプの 投 入 が 資 本 サービス 集 計 量 K, 労 働 サービス 集 計 量 L, 中 間 投 入 集 計 量 M に 分 離 可 能 であるとすると 生 産 関 数 は Y = F(K, L, M, T ) (2) のように 書 くことが 出 来 る 資 本 投 入 は 様 々なタイプの 資 産 構 築 物 等 を 集 計 したものであり 労 働 投 入 は 様 々なタイプの 労 働 の 集 計 量 である さらに 中 間 投 入 も 90 近 い 財 サービスの 集 計 量 となっている 今 (2) 式 がトランスログで 表 現 することが 出 来 るとするとこれを 時 間 で 微 分 すると dlny = dlnk + dlnl + dlnm + dlna (3) ただし dlny = lny - lny dlnk = lnk - lnk dlnl = lnl - lnl dlnm = lnm - lnm =(s +s )/2 :2 期 間 の 資 本 コストシェアの 平 均 値 =(s +s )/2 :2 期 間 の 労 働 コストシェアの 平 均 値 =(s +s )/2 :2 期 間 の 原 材 料 コストシェアの 平 均 値 lnf F K このとき 各 コストシェアは 生 産 者 の 最 適 条 件 = = K = lnk K Y p Y lnf = F L = L lnf F M = = = M = lnl L Y p Y lnm M Y p Y より 導 かれたものである -327-

(3) 式 の 最 後 の 項 は 技 術 変 化 の 生 産 への 貢 献 dlna = lnf d lnt をあらわしている lnt この 技 術 状 態 Tは 観 測 すること 自 体 が 不 可 能 な 変 数 であるが 技 術 変 化 が 生 産 変 化 にもたらし た 影 響 dlna については(3) 式 より dlna = dlny -( dlnk + dlnl + dlnm ) (4) のように 観 測 可 能 なデータから 推 定 することができる この dlna は 生 産 性 の 指 標 としてみなすこと が 出 来 るだろう 一 方 この 生 産 関 数 と 双 対 関 係 にある 費 用 関 数 が 存 在 するとすれば それは C =G(w, w, w, Y, T ) (5) ただし w : 資 本 コスト, w : 労 働 投 入 価 格 w : 原 材 料 価 格 のように 表 現 することが 出 来 る この 費 用 関 数 がトランスログ 関 数 で 近 似 することが 出 来 るならば この 式 を 時 間 で 微 分 すると dlnc = dlnw + dlnw + dlnw + dlny + dlnb (6) ただし e = lnc は 費 用 に 対 する 規 模 弾 性 値 である この 式 の 導 出 においては 生 産 者 の 最 lny 適 化 条 件 (Shepard s Lemma)が 利 用 されている 例 えば 資 本 投 入 については lng = G = K = のように 資 本 コストシェアが 導 出 される ln C C この(6) 式 での 最 後 の 項 は 技 術 変 化 が 費 用 に 及 ぼす 弾 力 性 dlnb = lng d lnt を 示 している lnt この dlnb と 生 産 量 増 加 に 伴 うコスト 変 化 dlny はデータから 直 接 観 察 することができない 情 報 である もし 企 業 が p= C/Y (ただし p は 生 産 者 価 格, はマークアップ 率 )のような 価 格 付 けを 行 っ ているとすると 価 格 変 化 dlnp は lnp=dln +dlnc-dlny のように 分 解 でき この 式 に(6) 式 を 代 入 す ると dlnp =dln + dlnw + dlnw + dlnw +( -1)dlnY + dlnb のようになる ここで 観 察 できない 技 術 変 化 によるコスト 変 化 と 生 産 量 変 化 に 伴 うコスト 変 化 をまとめ て さらにコストの 増 加 をコストの 低 下 とみなすために 負 の 記 号 をつけたものを dlna とすると これ は 観 察 可 能 なデータから 以 下 の 算 式 にもとづいて 推 計 することができる dlna =-dlnb +(1- )dlny = dlnw + dlnw + dlnw + dln -dlnp (7) -328-

第 6 章 TFP の 計 測 とその 要 因 分 析 総 要 素 生 産 性 (Total Factor Productivity)はすべての 投 入 の 集 計 量 X に 対 する 生 産 量 Y の 比 率 として TFP=Y/X のように 定 義 される 費 用 の 定 義 C=Σ w x =WX, w : 要 素 価 格, x : 要 素 投 入 と 書 くとCを 時 間 で 微 分 してそれをCで 割 ることによって dlnc=σs dlnw +Σs dlnx =dlnw+dlnx, s = w x /C (8) が 得 られる TFP の 成 長 率 はその 定 義 と 会 計 バランス 式 から dlntfp=dlny-dlnx=dlny-σs dlnx =dln +Σs dlnw -dlnp (9) のようになる この(9) 式 から TFP は 式 (4)におけるAや 式 (7)におけるA と 同 値 であることがわかる このように 効 率 性 の 一 般 的 なメジャーである TFP とは 生 産 関 数 における 技 術 変 化 の 効 果 (A)や 規 模 の 経 済 性 や 技 術 変 化 の 費 用 に 対 する 効 果 (A )として 解 釈 することができるのである 1.2 TFP の 時 系 列 推 移 TFP は(9) 式 にもとづけば 観 察 可 能 な 数 量 データあるいは 価 格 データから 容 易 に 推 定 することが 出 来 るはずである ここでは JIPデータベースのデータを 用 いて TFP の 計 測 を 行 った( 用 いたデ ータ 等 については 表 6-1~ 表 6-15 を 参 照 ) 図 6-1-1 には 1970 年 から 98 年 までの TFP の 時 系 列 の 推 移 が 示 されている TFP は3 本 の 線 グラフで マクロ 非 サービス 業 ( 農 林 水 産 業 および 製 造 業 ) サービス 業 についてそれぞれ 推 計 を 行 った この 指 標 は 1970 年 の 水 準 が1となるように 基 準 化 されている 図 では TFP の 動 きと 景 気 変 動 の 関 連 が 明 確 になるよう 棒 グラフでGDPの 成 長 率 についても 示 されている まずマクロレベルの TFP について 見 ると 第 1に 1974 年 の 第 一 次 石 油 ショック 1979 年 の 第 2 次 石 油 ショックを 契 機 とした 不 況 期 には 停 滞 していたことが 指 摘 できる 1970~85 年 の TFP の 成 長 は ほぼゼロであったことが 分 かる しかし 1986 年 以 降 は TFP は 上 昇 したが 1990 年 のバブル 崩 壊 以 降 の 景 気 後 退 期 に TFP の 低 下 が 見 られた 1993~97 年 には 再 度 回 復 局 面 に 入 ったが 1998 年 の 景 気 後 退 の 影 響 で TFP が 急 激 に 低 下 することとなった このマクロレベルの TFP の 動 きは 様 々な 産 業 個 々の 動 きを 集 計 したものであるが ここではまず 産 業 を 農 林 水 産 業 と 製 造 業 からなる 非 サービス 業 とそれ 以 外 のサービス 業 に 分 けて それぞれの 動 きを 見 ることにした 図 6-1-1 に 示 されるように 非 サービス 業 とサービス 業 の TFP の 動 きには 顕 著 なコントラストが 見 られる すなわち 第 一 次 石 油 ショック 以 降 ほぼ 一 貫 して TFP が 上 昇 している 非 サ ービス 業 に 対 して 1970 年 以 降 90 年 までほぼ 一 貫 して TFP が 低 下 しているサービス 業 というコント ラストである しかし サービス 業 では 規 制 緩 和 が 進 んだ 1990 年 以 降 徐 々に TFP が 上 昇 している ことが 分 かる 1.3 TFP の 測 定 と JIP データベース TFP を 測 定 する 場 合 労 働 資 本 原 材 料 といったインプットと 生 産 量 といったアウトプットをいか に 測 定 するかによって 推 計 結 果 がずいぶん 変 わることが 知 られている -329-

本 節 では JIP データベースで 推 計 を 行 った 労 働 の 質 や 資 本 の 稼 働 率 を 考 慮 することによって TFP の 推 定 結 果 がどのように 変 わるかを 試 算 してみた 図 6-1-2 にはマクロレベルの TFP の 推 移 が 示 されている これも 先 の 図 6-1-1 と 同 様 1970 年 の TFP 水 準 が1となるように 基 準 化 されている この 図 では 労 働 の 質 を 考 慮 した 場 合 を 基 準 ケース ( 図 中 の 印 図 6-1-1 の 推 移 もこれと 同 じ)として 様 々な 種 類 の 労 働 者 による 延 べ 労 働 時 間 を 同 質 的 と 考 えた 指 標 で TFP を 推 定 した Man-Hour ケース( 図 中 の 印 ) 中 間 財 投 入 の 推 移 から 推 定 された 稼 働 率 指 標 で 資 本 投 入 を 調 整 したうえでTFPを 推 定 したケース( 図 中 の 印 ) 生 産 量 の 推 移 から 推 定 された 稼 働 率 指 標 で 同 様 のことを 行 ったケース( 図 中 の+ 印 )の 推 定 結 果 が 示 さ れている これに 続 く 図 6-1-3 では 非 サービス 業 ( 農 林 水 産 業 と 製 造 業 ) 図 6-1-4 ではサービス 業 について 同 様 の 実 験 を 行 った 結 果 が 示 されている 通 常 多 くの 研 究 で 行 われているのが Man-Hour ケースである これをみると 85 年 まで 停 滞 し 86 年 以 降 徐 々に TFP が 改 善 する 基 準 ケースと 比 べて 第 1 次 石 油 ショック 以 降 景 気 変 動 に 伴 う 若 干 の 変 化 は 見 られるものの 着 実 に 上 昇 しているように 見 える 両 者 から 受 ける 印 象 はずいぶん 違 ったものになる 両 者 の 推 計 結 果 の 違 いは 労 働 投 入 の 質 変 化 を 考 慮 しているか 否 かである この ことから 1970 年 以 降 高 学 歴 化 高 齢 化 を 通 じた 人 的 資 本 の 蓄 積 によって 時 間 あたりの 労 働 生 産 性 が 向 上 したことが 分 かる しかし 逆 にいえば 労 働 投 入 の 指 標 を 変 更 するだけで TFP の 推 計 結 果 がずいぶん 変 わってしまうことに 注 意 しなければならない この 労 働 の 質 による 影 響 は 業 種 によっても 違 ってくるようである 非 サービス 業 では 労 働 の 質 変 化 の 影 響 が 大 きくないが サービス 業 では 両 者 の 乖 離 が 顕 著 である 次 に 稼 働 率 調 整 の 影 響 について 見 てみよう TFP の 変 化 が 景 気 変 動 と 正 相 関 することは これ までも 多 くの 研 究 で 指 摘 されてきたし 我 々の 推 計 でも 同 様 なことがいえる しかし それは 資 本 ス トックが 擬 固 定 的 な 生 産 要 素 で 景 気 後 退 期 に 容 易 に 減 らすことが 出 来 ないため 資 本 投 入 が 過 大 評 価 され その 結 果 TFP が 過 少 に 評 価 されることが 原 因 であると 考 えられる 我 々は そうした 影 響 を 排 除 するため 2とおりの 稼 働 率 指 標 を 推 計 して それによる 調 整 を 行 ったうえで TFP を 測 定 してみた その 結 果 どちらの 稼 働 率 指 標 を 用 いても 稼 働 率 が 低 下 することで TFP が 過 小 評 価 されていることが 示 されている とくに 1974~75 年 1980~83 年 1992~94 年 といった 景 気 後 退 期 に 稼 働 率 変 化 を 考 慮 しないと TFP を 大 きく 過 小 評 価 することが 分 かる 産 業 別 にみると 製 造 業 を 含 んだ 非 サービス 業 の TFP 推 計 において 稼 働 率 調 整 した 場 合 としない 場 合 で 結 果 に 差 異 が 生 じることが 分 かる 1.4 TFP の 産 業 別 変 化 これまでは TFP の 推 移 を 非 サービス 業 サービス 業 のように 集 計 したレベルで 見 てきたが JIP デ ータベースの 特 徴 は その 詳 細 な 産 業 分 類 にある 本 節 では 詳 細 な 産 業 別 の TFP の 動 向 につ いて 概 観 してみることにしよう 図 6-2-1 には 非 サービス 業 の 産 業 別 TFP 変 化 率 (1970~98 年 までの 年 平 均 変 化 率 )が 示 され ている これをみると TFP が 低 下 あるいは 停 滞 する 産 業 TFP が 上 昇 する 産 業 と 様 々である -330-

第 6 章 TFP の 計 測 とその 要 因 分 析 TFP が 低 下 しているのは 米 麦 耕 種 農 業 農 業 サービス 石 油 石 炭 原 油 天 然 ガス 鉱 業 印 刷 出 版 石 炭 製 品 製 造 業 船 舶 製 造 業 といった 産 業 である これらの 産 業 では 70 年 以 降 輸 入 競 争 財 との 代 替 で 産 業 調 整 が 進 んでいる 業 種 や 米 麦 のように 政 府 による 保 護 政 策 に 守 られた 産 業 であ る これに 対 して 製 造 業 の 多 くは 総 じて TFP が 改 善 している なかでも TFP の 上 昇 が 顕 著 なのは 産 業 調 整 を 通 じて 大 規 模 化 や 業 界 再 編 が 進 んだ 化 学 産 業 と 輸 入 競 争 を 通 じてイノベーションを 継 続 する 電 気 機 械 精 密 機 械 といった 産 業 である 図 6-2-2 にはサービス 業 の 産 業 別 TFP 変 化 率 (1970~98 年 までの 年 平 均 変 化 率 )が 示 されてい る これをみると TFP が 低 下 あるいは 停 滞 する 産 業 TFP が 上 昇 する 産 業 と 様 々である TFP が 低 下 している 産 業 としては 建 設 業 電 気 業 上 下 水 道 廃 棄 物 処 理 小 売 住 宅 不 動 産 航 空 を 除 く 運 輸 郵 便 業 医 療 対 事 業 所 サービス 対 個 人 サービス 政 府 によるサービス 業 ( 教 育 医 療 その 他 )がある 一 方 TFP が 上 昇 している 産 業 としては ガス 熱 供 給 業 卸 売 業 保 険 業 電 信 電 話 教 育 研 究 広 告 その 他 個 人 サービス 非 営 利 サービスがある 図 6-2-3 と 図 6-2-4 には 期 間 別 (1970-85 年 1986-98 年 )の 産 業 別 TFP 変 化 率 が 示 されてい る これをみると 1985 年 以 前 と 以 降 で TFP 変 化 のパターンに 差 のある 産 業 が 散 見 される 各 期 間 とも TFP 低 下 : 米 麦 生 産 業 農 業 サービス 石 炭 鉱 業 精 穀 製 粉 船 舶 建 設 工 業 用 水 廃 棄 物 処 理 不 動 産 鉄 道 道 路 運 輸 水 運 娯 楽 放 送 85 年 以 前 は TFP 上 昇 86 年 以 降 TFP 低 下 : その 他 耕 種 農 業 金 属 鉱 業 水 産 食 品 繊 維 家 具 非 鉄 金 属 金 属 製 品 一 般 機 械 卸 売 その 他 運 輸 広 告 物 品 賃 貸 旅 館 医 療 ( 非 営 利 ) 85 年 以 前 は TFP 低 下 86 年 以 降 TFP 上 昇 : 林 業 漁 業 原 油 天 然 ガス 鉱 業 飲 料 たばこ 皮 革 ゴム 基 礎 化 学 製 鉄 電 気 上 水 道 小 売 金 融 住 宅 航 空 その 他 事 業 所 サービス 洗 濯 理 容 各 期 間 とも TFP 上 昇 : 畜 産 畜 産 食 品 パルプ 紙 化 学 石 油 石 炭 窯 業 土 石 電 気 機 械 精 密 機 械 保 険 業 電 信 電 話 教 育 研 究 その 他 対 個 人 サービス 1.5 生 産 量 変 化 の 要 因 分 析 先 の(4) 式 ならびに(9) 式 にもとづいて 生 産 量 の 変 化 を 要 素 投 入 の 変 化 と TFP の 変 化 の 和 として 要 因 分 解 した 結 果 が 図 6-3-1 から 図 6-3-5 に 示 されている -331-

図 6-3-1 には 生 産 量 変 化 の 要 因 分 解 を 期 間 別 (1970-98 年 1970-85 年 1986-98 年 )に 行 った ものをマクロベース 非 サービス 業 サービス 業 のそれぞれについて 示 している マクロベースでみると 1970-98 年 では 年 平 均 3.5%の GDP 成 長 を 示 したが そのうち 1/3 を 労 働 投 入 の 増 加 2/3 を 資 本 投 入 の 増 加 で 説 明 でき TFP の 貢 献 はごくわずかなプラスの 効 果 しかな いことがわかる しかし 期 間 別 にみると 1970-85 年 では 年 4%の GDP 成 長 のうち 要 素 投 入 が 4.5% 程 度 ( 労 働 が 1.5% 資 本 が 3%) 増 加 していた 反 面 TFP が 0.5% 低 下 していたのに 対 し 1986-98 年 では 年 2.5%のGDP 成 長 を 要 素 投 入 増 加 が 2% TFP 上 昇 が 0.5% 説 明 していたこと がわかる この 時 期 の 経 済 成 長 の2 割 が 生 産 効 率 の 向 上 に 由 来 するものであることから 近 年 の 低 成 長 下 では 生 産 性 向 上 は 無 視 し 得 ない 要 因 であるといえる 業 種 別 にみると 非 サービス 業 では 観 察 期 間 を 通 じて 中 間 財 投 入 の 増 加 資 本 蓄 積 と 同 様 TFP の 上 昇 が 生 産 量 増 加 を 説 明 するうえで 重 要 であることがわかる 一 方 サービス 業 では 中 間 財 投 入 資 本 蓄 積 だけでなく 質 向 上 による 労 働 投 入 も 重 要 であったが TFP の 貢 献 は 通 期 では 若 干 のマイナス 1970-85 年 で 0.8%のマイナス 1986-98 年 では 若 干 のプラスの 貢 献 をしていること がわかる 我 々のデータベースではこうした 集 計 量 による 分 析 だけでなく 産 業 別 の 違 いについても 検 討 を 行 うことができる 産 業 別 生 産 量 変 化 の 要 因 分 解 を 行 った 結 果 が 1970-85 年 については 図 6-3-2 と 図 6-3-3 1986-98 年 については 図 6-3-4 と 図 6-3-5 に 示 されている 詳 細 な 産 業 ベースでみると 非 サービス 業 のなかでも 調 整 が 進 んでいる 第 1 次 産 業 鉱 業 繊 維 産 業 などでは 需 要 減 とともに 労 働 ならびに 資 本 投 入 を 減 らすとともに 生 産 性 も 低 下 しているのに 対 し て 電 気 機 械 産 業 とくにその 他 の 電 気 機 械 産 業 では 生 産 量 増 加 における 生 産 性 向 上 の 役 割 が 非 常 に 大 きいことがわかる 他 方 サービス 業 においては 総 じて 非 サービス 業 よりも 生 産 量 が 増 加 している 産 業 が 多 く なかでも 保 険 業 電 気 通 信 業 その 他 の 対 個 人 サービス 業 においては 生 産 性 の 向 上 が 重 要 な 成 長 要 因 となっている 1.6 価 格 変 化 の 要 因 分 析 先 の(7) 式 ならびに(9) 式 にもとづいて 価 格 変 化 を 要 素 価 格 の 変 化 マークアップ 率 の 変 化 と TFP の 変 化 の 和 として 要 因 分 解 した 結 果 が 図 6-4-1 から 図 6-4-5 に 示 されている 図 6-4-1 には 価 格 変 化 の 要 因 分 解 を 期 間 別 (1970-98 年 1970-85 年 1986-98 年 )に 行 ったも のをマクロベース 非 サービス 業 サービス 業 のそれぞれについて 示 している マクロベースでみると 1970-98 年 では 年 平 均 3.5%の 価 格 上 昇 を 示 したが そのうちほとんどが 賃 金 上 昇 の 増 加 資 本 コストはわずかに 上 昇 して マークアップ 率 は 0.7%ほど 低 下 しているが TFP の 貢 献 はほとんどない しかし 期 間 別 にみると 1970-85 年 では 年 5.5%の 価 格 上 昇 のうち 賃 金 上 昇 が 5.5% 資 本 コスト 上 昇 が 1.5% TFP の 低 下 によりコストが 0.3% 引 き 上 げられているが マー クアップ 率 は2% 近 く 低 下 している 1986-98 年 の 年 0.8%の 価 格 上 昇 は 1.2%の 賃 金 上 昇 とマーク アップ 率 の 0.2% 上 昇 に 対 して 資 本 コストの 0.2% 減 少 と TFP の 上 昇 によるコスト 削 減 が 0.5% 説 明 していたことを 示 す このことから 近 年 の 価 格 安 定 における TFP の 上 昇 による 効 果 はやはり 無 視 -332-

第 6 章 TFP の 計 測 とその 要 因 分 析 し 得 ないものであることが 分 かる 業 種 別 にみると 非 サービス 業 では 1970-85 年 は 中 間 財 価 格 賃 金 率 資 本 コストといった 生 産 要 素 価 格 の 上 昇 がコスト 上 昇 要 因 でそれを TFP の 上 昇 とマークアップの 低 下 によって 若 干 抑 制 され ていたことがわかる 一 方 サービス 業 においては TFP が 1970-85 年 にはコスト 上 昇 要 因 として 1986-98 年 にはコスト 引 き 下 げ 要 因 として 寄 与 しているのに 対 して マークアップ 率 は 1970-85 年 に は 低 下 したため 価 格 引 き 下 げ 要 因 として 1986-98 年 には 逆 に 上 昇 したため 価 格 引 き 上 げ 要 因 と して 寄 与 している 産 業 別 価 格 変 化 の 要 因 分 解 を 行 った 結 果 が 1970-85 年 については 図 6-4-2 と 図 6-4-3 1986-98 年 については 図 6-4-4 と 図 6-4-5 に 示 されている 1970-85 年 についてみると どの 産 業 においても 中 間 財 価 格 と 賃 金 率 の 上 昇 が 価 格 上 昇 の 主 因 であったことがわかる そして 製 造 業 では 生 産 性 の 向 上 とマークアップ 率 の 低 下 が 価 格 上 昇 を 抑 制 していた サービス 業 では 多 くの 産 業 でマークアップ 率 は 低 下 したが 生 産 性 については 先 に 見 たように 改 善 する 産 業 だけでなく 悪 化 する 産 業 も 数 多 く 見 られた 1986-98 年 についてみると 賃 金 はどの 産 業 でも 価 格 引 き 上 げ 要 因 として 寄 与 していたが 中 間 財 価 格 や 資 本 価 格 については 価 格 引 き 下 げ 要 因 として 作 用 する 産 業 が 数 多 く 見 られた マーク アップ 率 については 1970-85 年 とは 違 い 低 下 するよりもむしろ 上 昇 している 産 業 が 数 多 く 見 られ た( 非 サービス 業 では 45 産 業 中 13 産 業 サービス 業 では 38 産 業 中 21 産 業 ) 2 産 業 別 TFP の 成 長 率 と 産 業 構 造 1990 年 代 は 経 済 全 体 の TFP の 成 長 率 が 低 下 をみたが この 要 因 について 産 業 別 の TFP の 成 長 率 との 関 係 を 本 節 では 考 察 してみる 先 にもみたとおり 日 本 経 済 全 体 の TFP の 平 均 成 長 率 は 年 率 で 1980 年 代 における 0.36%から 1990 年 代 においては 0.05%まで 低 下 している 1 各 産 業 における TFP の 成 長 率 を 1980 年 代 と 1990 年 代 において 比 較 してみると 製 造 業 の 多 くの 業 種 に おいて TFP の 成 長 率 が 1980 年 代 に 比 して 著 しく 低 下 していることに 加 えて サービス 産 業 部 門 に おいても 建 設 業 土 木 業 金 融 業 郵 便 業 鉄 道 業 等 における TFP の 成 長 率 がマイナスに 転 じ ている 2 ただし 1990 年 代 における 各 産 業 の TFP の 成 長 率 をみると 平 均 成 長 率 が 年 率 6% 近 い 電 信 電 話 産 業 や 研 究 業 といった 産 業 がある 一 方 で その 成 長 率 が 年 率 で-4~-5% 前 後 にもな る 金 属 鉱 業 鉄 道 業 廃 棄 物 処 理 業 船 舶 製 造 業 といった 産 業 もあり それぞれの 産 業 の TFP 成 長 率 は 大 きく 異 なる 本 節 では 産 業 別 にこのように 大 きく 異 なる TFP 成 長 率 が マクロ 経 済 全 体 の TFP 成 長 率 に 与 えたインパクトについて 検 討 を 加 える Dormer(1961)や Hulten(1978)によって 示 された 方 法 に 従 うと 経 済 全 体 の TFP 成 長 率 への 各 1 日 本 の 産 業 別 TFP 成 長 率 を 計 算 した 最 近 の 例 として 吉 川 松 本 (2001) 内 閣 府 (2002)がある ただし これらは 付 加 価 値 ベースで TFP の 成 長 率 を 計 算 している また 本 節 での TFP の 成 長 率 は 稼 働 率 を 調 整 する 前 のもので ある 2 サービス 産 業 の TFP 成 長 率 の 計 測 には 本 稿 の 第 1 章 補 論 にあるようデフレーターの 問 題 や そもそも 生 産 額 の 把 握 の 問 題 等 がある(Wolff(1999) 中 島 (2001))ので 注 意 が 必 要 である -333-

産 業 の 寄 与 度 を 計 算 することができる 各 産 業 の TFP 成 長 率 を 経 済 全 体 の 成 長 率 に 集 計 する 際 に 使 用 されるウェイトは Dormer のウェイトと 呼 ばれ これは 各 産 業 の 生 産 額 が 経 済 全 体 の 付 加 価 値 額 に 占 める 割 合 によって 計 算 することができる 分 子 に 生 産 額 分 母 に 経 済 全 体 の 付 加 価 値 額 を 取 っているため Dormer のウェイトの 和 は 全 体 で 1 以 上 の 値 となる これは 経 済 全 体 の TFPの 成 長 率 は 各 産 業 の TFP 成 長 率 の 単 純 な 加 重 平 均 となるのではなく 各 産 業 内 の TFP の 成 長 率 と より 効 率 的 に 生 産 された 他 産 業 の 中 間 生 産 物 を 使 用 することによってもたらされる 各 産 業 における TFP の 上 昇 率 の 合 計 効 果 となるからである 3 図 6-5 と 図 6-6 は 1970 年 代 1980 年 代 1990 年 代 における 各 産 業 によるマクロの TFP の 成 長 率 への 寄 与 度 を 非 サービス 産 業 サービス 産 業 の 別 に 図 示 したものである 4 この2つの 図 から 確 認 できるように 5 1970 年 代 におけるマクロの TFP 成 長 率 の 牽 引 役 となったの は 製 造 業 であり 特 にその 他 の 製 鉄 業 一 般 機 械 器 具 製 造 業 その 他 の 電 気 機 械 器 具 製 造 業 において 寄 与 度 6が 0.1%を 超 えている サービス 産 業 においては マイナスの 寄 与 となる 産 業 が 多 く 特 に 小 売 業 金 融 業 その 他 ( 政 府 )はその 寄 与 度 が-0.1% 前 後 と 高 いマイナスの 寄 与 となっ ている 1980 年 代 に 関 しては 製 造 業 が 1970 年 代 に 引 き 続 きマクロの TFP 成 長 率 の 牽 引 役 となっ ており 特 にその 他 の 電 気 機 械 器 具 製 造 業 はその 寄 与 度 が 0.30%と 高 いプラスの 寄 与 となってい る サービス 産 業 においては 1970 年 代 に 比 べてマイナスの 寄 与 となる 産 業 の 数 は 減 少 したもの の 高 いマイナスの 寄 与 度 を 示 す 産 業 がいくつかあり 例 えば 卸 売 業 でのその 寄 与 度 が-0.32% 不 動 産 業 でのその 寄 与 度 が-0.22%と 高 いマイナスの 寄 与 になっている 1990 年 代 に 入 ると 製 造 業 の 多 くの 業 種 においても TFP の 成 長 率 が 鈍 化 したか あるいはマイナスに 転 じている なかでも 一 般 機 械 器 具 製 造 業 自 動 車 製 造 業 といった 経 済 全 体 に 占 めるウェイトの 高 い 産 業 での TFP 成 長 率 がマイナスに 転 じたことが 経 済 全 体 の TFP 成 長 率 の 鈍 化 に 大 きく 寄 与 している また 1980 年 代 に 比 して 1990 年 代 においてマクロの TFP の 成 長 率 へのプラスの 寄 与 度 が 増 加 した 製 造 業 の 業 種 は 皆 無 である サービス 産 業 においては 卸 売 業 電 信 電 話 業 保 険 業 といった 産 業 で マ クロの TFP 成 長 率 への 比 較 的 高 いプラスの 寄 与 がみられる 一 方 で 建 設 業 娯 楽 業 鉄 道 業 道 路 運 送 業 医 療 保 険 衛 生 ( 民 間 ) その 他 の 事 業 所 サービスといった 業 種 での マクロの TFP の 成 長 率 へのマイナスの 寄 与 が 目 立 っ Dormer のウェイトが 高 い 産 業 すなわち 経 済 全 体 に 占 めるウェイトの 高 い 産 業 は その 産 業 の TFP 成 長 率 の 変 化 が 経 済 全 体 の TFP 成 長 率 の 変 化 に 大 きく 影 響 を 与 える このウェイトが 高 い 産 業 はサービス 産 業 に 多 く 卸 売 業 建 設 業 住 宅 小 売 業 土 木 業 といった 産 業 のウェイトが 高 い ものとなっている 製 造 業 においてウェイトの 高 い 産 業 は 一 般 機 械 器 具 製 造 業 自 動 車 製 造 業 そ の 他 の 電 気 機 械 器 具 製 造 業 であるが その 他 の 電 気 機 械 器 具 製 造 業 を 除 く 製 造 業 のほとんどの 3 産 業 別 の TFP 成 長 率 を 経 済 全 体 に 集 計 する 方 法 としての 手 頃 な 解 説 書 として OECD(2001)がある 集 計 方 法 に 関 する 詳 しい 議 論 に 関 しては 同 書 を 参 照 4 住 宅 分 類 不 明 をここでの 分 析 する 産 業 から 除 いているので 産 業 別 TFP 成 長 率 のDormerのウェイトによる 集 計 した 値 は マクロの TFP 成 長 率 と 一 致 しない 5 米 国 における 最 近 の 同 様 な 分 析 例 として Jorgenson & Stiroh(2000)が 挙 げられる 6 以 下 寄 与 度 は 年 率 ベースで 表 示 する -334-

第 6 章 TFP の 計 測 とその 要 因 分 析 業 種 でそのウェイトが 低 下 している このように TFP の 成 長 率 が 比 較 的 高 い 製 造 業 が 経 済 全 体 に 占 めるウェイトを 低 下 させる 一 方 で TFP の 成 長 率 が 低 迷 しているサービス 産 業 のウェイトが 増 加 し てきている このような 趨 勢 に 加 えて 製 造 業 においても TFP の 成 長 率 が 大 幅 鈍 化 したことが 1990 年 代 における 経 済 全 体 における TFP 成 長 率 の 低 下 の 主 要 因 となった 1970 年 代 1980 年 代 1990 年 代 について 製 造 業 とサービス 産 業 におけるマクロの TFP 成 長 率 への 寄 与 度 を 比 較 すると 70 年 代 80 年 代 は 製 造 業 が 大 きなプラスの 寄 与 を 示 しているのに 対 して サービス 産 業 は 大 きな マイナスの 寄 与 となっている ただし 90 年 代 は 製 造 業 においてもマイナスの 寄 与 に 転 じている ( 表 6-16 表 6-17) TFP の 成 長 率 が 相 対 的 に 低 いサービス 産 業 において 生 産 が 相 対 的 に 拡 大 しているのは この ような 生 産 性 の 改 善 の 遅 れているセクターに 資 本 か 労 働 のどちらか あるいは 両 方 の 資 源 が 相 対 的 に 多 く 配 分 されたことを 示 す すなわち これらのセクターに 対 する 需 要 の 増 加 を 反 映 し 産 業 規 模 が 拡 大 している 1990 年 代 について TFP の 成 長 率 と 各 生 産 要 素 の 成 長 率 をプロットしてみた のが 図 6-7 から 図 6-10 である 図 6-7 と 図 6-8 は 製 造 業 セクターにおける TFP の 成 長 率 と 資 本 の 成 長 率 労 働 の 成 長 率 をみたものであるが 製 造 業 において 多 くの 業 種 で TFP の 成 長 率 がマ イナスとなっているものの これらの 業 種 の 多 くで 資 本 は 増 加 している 一 方 労 働 に 関 してはほと んどの 業 種 で 減 少 しており TFP の 成 長 率 がプラスで 労 働 も 増 加 している 業 種 は その 他 の 電 気 機 械 器 具 製 造 業 飲 料 製 造 業 その 他 の 化 学 工 業 水 産 食 料 品 製 造 業 の4 業 種 のみである この 4つのセクターは 資 本 の 拡 大 も 同 時 にみていることから TFP の 成 長 率 も 高 めながら 経 済 全 体 に 占 めるウェイトを 高 めており マクロ 経 済 全 体 の TFP の 向 上 に 貢 献 している サービス 産 業 においても TFP の 成 長 率 がマイナスとなっている 業 種 が 製 造 業 同 様 数 多 く 存 在 するが これらの 多 くの 業 種 において 資 本 と 労 働 の 両 生 産 要 素 が 拡 大 している 例 えば 医 療 保 健 衛 生 ( 民 間 )は TFP の 成 長 率 は 年 率 平 均 1.5%の 減 少 をみているが 資 本 の 成 長 率 は 年 率 4.2% 増 労 働 の 成 長 率 は 年 率 5.4% 増 と 高 い 成 長 率 をみている また 1990 年 代 にマクロの TFP の 成 長 率 低 下 に 大 きく 寄 与 した 建 築 業 土 木 業 も 生 産 を 拡 大 傾 向 にあり 建 築 業 で 資 本 の 成 長 率 が 年 率 1.8% 増 土 木 業 では 資 本 の 成 長 率 が 年 率 0.7% 増 労 働 の 成 長 率 が 年 率 3.3% 増 となっ ている 一 方 サービス 産 業 においても 電 信 電 話 や 研 究 といった 産 業 は TFP の 成 長 率 が 年 率 6% 弱 と 高 く かつ 資 本 や 労 働 も 増 加 している 先 進 国 の 多 くで 日 本 同 様 製 造 業 からサービス 業 へと 産 業 構 造 をシフトさせており 経 済 全 体 で の TFP の 成 長 率 の 低 下 を 防 ぐためには サービス 産 業 における TFP の 成 長 率 を 上 昇 させることが 必 要 である サービス 産 業 における TFP の 成 長 率 を 日 本 オーストラリア アメリカと 比 較 してみると 7 サービス 産 業 について 日 本 のいくつかの 産 業 において TFP の 成 長 率 が 低 いことがわかる McLachlan, Clark, and Monday(2002)は オーストラリアにおける 付 加 価 値 ベースの TFP の 成 長 率 を 1993-94 年 から 1999-2000 年 の 期 間 についてサービス 産 業 9 業 種 について 計 算 している この 計 算 の 結 果 と 日 本 の 結 果 を 比 較 すると サービス 産 業 の 6 つの 産 業 で 日 本 での TFP の 成 長 率 が 7 これら3つの 研 究 における TFP 成 長 率 の 厳 密 な 比 較 は 計 算 方 法 の 違 い 産 業 分 類 の 違 い 推 計 期 間 の 違 いが あることから 不 可 能 である -335-

オーストラリアの 産 業 の 成 長 率 を 下 回 っている 吉 川 松 本 (2001)は アメリカのサービス 産 業 18 産 業 について 1990 年 から 1999 年 の 期 間 について 計 算 しており アメリカは 日 本 に 比 べて 電 力 ガ ス 業 建 設 業 小 売 業 運 輸 業 娯 楽 業 といった 産 業 で TFP の 成 長 率 が 高 くなっている Baily and Lawrence(2001)は アメリカでは 1995 年 後 半 (1995-99 年 )からサービス 産 業 においても 労 働 生 産 性 が 高 まっており IT 投 資 等 により 生 産 性 (TFP 成 長 率 )が 向 上 した 可 能 性 を 指 摘 している 吉 川 松 本 (2001)においては 1990 年 代 後 半 (1994-99 年 )の TFP の 成 長 率 も 報 告 しており アメリ カでは 電 気 ガス 業 卸 小 売 業 金 融 保 険 業 不 動 産 業 サービス 業 で TFP の 成 長 率 が 加 速 し ている 日 本 のサービス 産 業 について 1990 年 代 前 半 (1990-95 年 )と 1990 年 代 後 半 と 比 較 してみ ると 8 図 6-11 にみられるとおり 米 国 とは 異 なり 日 本 では 建 設 業 卸 売 業 小 売 業 住 宅 金 融 保 険 業 運 輸 業 といった 規 模 の 大 きいサービス 産 業 で TFP の 成 長 率 が 鈍 化 していることがわかる このように 日 本 のサービス 産 業 における TFP の 成 長 率 が 電 気 ガス 業 建 設 業 小 売 業 運 輸 業 といった 規 模 の 大 きい 産 業 でオーストラリア アメリカに 比 して 低 いことがわかり またアメリカとは 異 なり 日 本 のサービス 産 業 には 1990 年 代 後 半 の 生 産 性 の 加 速 があまりみられない 日 本 政 府 は 近 年 規 制 緩 和 の 努 力 を 続 けているが サービス 産 業 においては 依 然 規 制 が 強 い 業 種 が 存 在 する このような 産 業 での TFP の 成 長 率 が 低 い 一 因 は 規 制 によるものと 推 察 される 即 ち TFP 成 長 率 の 低 下 は 純 粋 に 技 術 上 の 問 題 だけではなく 規 制 の 存 在 によって 当 該 産 業 における 新 規 企 業 の 参 入 が 困 難 となることや 企 業 の 経 営 改 善 の 努 力 が 停 滞 している 結 果 によるものと 推 察 される 9 ( 表 6-18) 8 ここでの TFP 成 長 率 は 付 加 価 値 ベースではなく 再 び 生 産 ベースである 9 規 制 が 生 産 性 に 与 える 影 響 について より 詳 細 な 検 討 が 別 途 必 要 である -336-