スライド 1

平 成 20 年 10 月 20 日 環 境 の 世 紀 14 ~バイオマスから 環 境 問 題 を 考 える~ 諸 外 国 におけるバイオ 燃 料 生 産 と 食 料 環 境 問 題 農 林 水 産 省 農 林 水 産 政 策 研 究 所 加 藤 信 夫

はじめに バイオエタノールの 生 産 はなぜ 世 界 で 拡 大 エネルギー 安 全 保 障 大 気 汚 染 の 防 止 農 業 農 村 開 発 疑 問 の 声 も 食 料 安 全 保 障 への 悪 影 響 はないか 温 室 効 果 ガス(GHG)を 本 当 に 減 らすのか 土 地 水 生 物 多 様 性 へのリスクはないか 農 業 開 発 面 でメリットはあるのか 食 料 と 競 合 しない 第 ニ 世 代 バイオ 燃 料 への 期 待

バイオエタノールの 製 造 工 程 糖 質 原 料 ( 二 糖 類 など) 破 砕 原 料 搾 汁 液 さとうきび てん 菜 など 濃 縮 液 ( 貯 蔵 ) バガス でん 粉 系 原 料 ( 多 糖 類 ) 原 料 粉 砕 加 水 トウモロコシ 小 麦 キャッサバなど 懸 濁 液 糖 化 酵 素 糖 化 液 ( 貯 蔵 ) 発 酵 酵 母 蒸 留 脱 水 エタノール DDG 植 物 原 料 を 粉 砕 した 後 多 糖 類 を 単 糖 類 に 変 換 し 発 酵 微 生 物 でエタノールに 変 換

バイオディーゼル(BDF)の 基 本 生 産 工 程 1. 植 物 油 のエステル 交 換 反 応 アルカリ 触 媒 メタノール 油 脂 70 1 時 間 メチルエステル + グリセリン 化 学 原 料 飼 料 など 2. 脂 肪 酸 のエステル 化 水 油 脂 脂 肪 酸 + グリセリン 高 温 高 圧 無 触 媒 50~55 気 圧 250~ 260 2~3 時 間 酸 触 媒 メタノール 資 料 : バイオマスハンドブック ( 社 ) 日 本 エネルギー 学 会 メチルエステル + 水

燃 料 用 バイオエタノールの 生 産 の 推 移 70,000 千 kl 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 ブラジル その 他 中 米 EU コロンビア タイ インド カナダ 中 国 ブラジル アメリカ 0 アメリカ 資 料 :F.O.Licht, World Ethanol & Biofuels Report, May 08, 2008 (P319) を 基 に 作 成

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 燃 料 用 バイオエタノールの 輸 出 の 推 移 4,000 3,500 3,000 CBI(カリブ 沿 岸 諸 国 ) 千 kl 2,500 2,000 1,500 1,000 500 輸 出 (その 他 ) 輸 出 ( 米 国 ) 輸 出 (EU) 輸 出 (CBI) 輸 出 (ブラジル) ブラジル 0 資 料 :F.O.Licht, World Ethanol & Biofuels Report, May 08, 2008 (P319) を 基 に 作 成

バイオディーゼル 生 産 の 推 移 千 トン 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 ブラジル アルゼンチン 8,000 アメリカ 6,000 4,000 2,000 フランス ドイツ 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 ドイツ フランス マレーシア タイ インドネシア アメリカ アルゼンチン ブラジル その 他 資 料 :F.O.Licht's World Ethanol and Biofuels Report, 15.02.2008, P203より 作 成

世 界 のバイオ 燃 料 推 進 策 の 特 徴 Incentives and Mandate アメリカ: 約 60 億 ドル(2006 年 ) 税 制 対 策 補 助 金 (ハード ソフト): 連 邦 州 政 府 再 生 可 能 エネルギー 基 準 :Renewable Fuel Standard 混 合 率 の 義 務 化 ( 一 部 の 州 E10 以 下 ) 国 家 バイオ 燃 料 計 画 (2008 年 10 月 7 日 ) ブラジル: 国 家 アルコール 計 画 に123 億 ドル(1975~89 年 ) 混 合 率 の 義 務 化 (E20~E25) 税 制 対 策 ( 燃 料 税 の 減 免 など) 国 家 アルコール 計 画 (1975~ 実 施 済 み) EU: 約 50 億 ドル(2006 年 ) 税 制 対 策 混 合 率 の 努 力 目 標 EUレベルの 混 合 率 の 義 務 化 は 検 討 中

アメリカ: 経 緯 第 一 次 オイルショック 以 降 バイオエタノールが 注 目 1990 年 : 大 気 浄 化 法 の 改 正 により 含 酸 素 燃 料 (MTBE/エタノー ル)の 最 低 利 用 (2.7%)を 義 務 付 け( 特 定 地 域 で 冬 期 間 ) 1997 年 : 代 替 材 としてバイオエタノールの 利 用 を 認 可 2004(1 月 ): カリフォルニア 州 でMTBEの 禁 止 を 決 定 2004 年 : ガソホールに 対 して51セント/カ ロンの 物 品 税 控 除 2005 年 : エネルギー 政 策 法 により 再 生 可 能 燃 料 基 準 (RFS)を 2006 年 の40 億 カ ロンから2012 年 の75 億 カ ロンに 拡 大 2007 年 12 月 : 新 RFSとして2022 年 までに360 億 ガロンまで 拡 大

アメリカの 主 な 連 邦 政 府 の 政 策 RFS( 再 生 可 能 燃 料 基 準 ) 90 億 カ ロン(2008 年 ) 360 億 カ ロン(2022 年 ) うちとうもろこし 由 来 分 :90 億 カ ロン(2008 年 ) 150 億 カ ロン(2015 年 ~2022 年 ) エタノール 混 合 カ ソリンの 物 品 税 控 除 ( 対 ブレンダー) 51セント/カ ロン 45セント 14 円 /リットル 13 円 ~2008 年 12 月 末 2009 年 1 月 ~ セルロース 原 料 バイオ 燃 料 の 所 得 税 控 除 1.01ドル/カ ロン 29 円 /リットル エタノールの 輸 入 関 税 (2 次 税 率 ) 54セント/カ ロン 15 円 /リットル 2010 年 12 月 末 まで 小 規 模 エタノール 工 場 の 所 得 税 控 除 10セント/カ ロン 3 円 /リットル E85 給 油 施 設 の 設 置 費 用 にかかる 所 得 税 控 除 (30%) 商 業 的 規 模 の 先 進 的 バイオ 燃 料 精 製 施 設 の 建 設 改 築 を 行 う 事 業 者 への 借 入 保 証 (2009 年 度 :7,500 万 ドル 2010 年 度 :2.45 億 ドル) 農 場 段 階 で 再 生 可 能 燃 料 の 生 産 利 用 設 備 を 導 入 する 場 合 の 補 助 融 資 ( 注 )1ドル:107 円 1ガロン:3.785Lで 換 算

アメリカのエタノールの 生 産 動 向 7000 6000 新 RFSの 設 定 5000 エネルギー 政 策 法 でRFSの 設 定 百 万 ガロン 4000 3000 2000 1000 0 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 カリフォルニアでMTBEを 禁 止 燃 料 税 の 免 税 大 気 浄 化 法 改 正 により 含 酸 素 燃 料 の 利 用 促 進 資 料 :RFA

再 生 可 能 燃 料 基 準 (RFS) 10 億 ガロン 40.00 35.00 30.00 とうもろこし 原 料 : 最 低 10%のGHG 削 減 セルロース 系 原 料 : 最 低 50%の 25.00 20.00 セルロース 15.00 10.00 5.00 とうもろこし 0.00 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 とうもろこし 原 料 の 再 生 可 能 燃 料 先 進 型 バイオ 燃 料 (セルロース) 先 進 型 バイオ 燃 料 (テ ィーセ ル) 先 進 型 バイオ 燃 料 (その 他 )

エタノール 生 産 と 使 用 原 料 予 測 百 万 ガロン 16,000 14,000 セルロース 12,000 10,000 8,000 6,000 とうもろこし 4,000 2,000 0 とうもろこし 由 来 その 他 セルロース 由 来 資 料 :Food and Agricultural Policy Research Institute, USDA Baseline Briefing Book, Projections for agricultural and biofuel markets, March 2008, P13"より 作 成

アメリカのとうもろこしの 需 給 2001/02 2008/09 増 減 (%) 生 産 量 百 万 bu 9,503 12,072 27.0 収 穫 面 積 百 万 エーカー 72.44 79.29 9.5 単 収 bu/エーカー 136.90 152.30 11.2 需 要 量 百 万 bu 9,815 12,645 28.8 飼 料 用 百 万 bu 5,864 5,200-11.3 エタノール 用 百 万 bu 706 4,100 480.7 輸 出 用 百 万 bu 1,900 2,000 5.3 その 他 用 百 万 bu 1,345 1,345 0.0 在 庫 率 % 16.3 8.0-50.5 資 料 : USDA ERS Feed Grains Database(2008 年 9 月 時 点 )より 作 成

アメリカのとうもろこしの 需 給 予 測 16,000 14,000 生 産 量 16.0% 14.0% 輸 出 向 け 12,000 12.0% 10,000 10.0% その 他 百 万 bs 8,000 6,000 エタノール 向 け 在 庫 率 8.0% 6.0% 輸 出 うちエタノール 用 飼 料 用 生 産 在 庫 率 4,000 4.0% 飼 料 向 け 2,000 2.0% 0 2006/07 2007/08 2008/09 2009/10 2010/11 2011/12 2012/13 2013/14 2014/15 2015/16 2016/17 2017/18 0.0% 資 料 :USDA Long term Projections, February 2008, P36

アメリカのエタノール 工 場 の 分 布 図 稼 働 中 工 場 : 175 10,590 百 万 ガロン 拡 張 中 : 671 百 万 ガロン 建 設 中 工 場 : 29 2,506 百 万 ガロン 2008 年 10 月 6 日 現 在 (RFAより) 2008 年 1 月 現 在 農 家 所 有 工 場 数 : 40 ( 約 40%) 非 農 家 :102 農 家 所 有 工 場 の 生 産 能 力 のシェアは 約 25% ( 緑 ) 稼 働 中 ( 黄 ) 建 設 中 / 拡 張 中 資 料 :CARD http://www.card.iastate.edu/research/bio/tools/ethanol.aspx 2008 年 5 月 26 日 現 在

とうもろこしと 大 豆 の 作 付 地 域 (2007 年 ) とうもろこし 大 豆 資 料 :USDA NASS Charts and Maps, Country Maps

アメリカのとうもろこしの 収 穫 面 積 と 単 収 40,000 12.00 35,000 30,000 収 穫 面 積 単 収 10.00 25,000 8.00 20,000 6.00 15,000 4.00 10,000 5,000 2.00 0 1960/1961 1961/1962 1962/1963 1963/1964 1964/1965 1965/1966 1966/1967 1967/1968 1968/1969 1969/1970 1970/1971 1971/1972 1972/1973 1973/1974 1974/1975 1975/1976 1976/1977 1977/1978 1978/1979 1979/1980 1980/1981 1981/1982 1982/1983 1983/1984 1984/1985 1985/1986 1986/1987 1987/1988 1988/1989 1989/1990 1990/1991 1991/1992 1992/1993 1993/1994 1994/1995 1995/1996 1996/1997 1997/1998 1998/1999 1999/2000 2000/2001 2001/2002 2002/2003 2003/2004 2004/2005 2005/2006 2006/2007 2007/2008 2008/2009 0.00 収 穫 面 積 ( 左 目 盛 ) ( 千 ha) 資 料 :USDA PSD-online 2008 年 9 月 時 点 単 収 ( 右 目 盛 ) (トン/ha) 2007/08は 速 報 値 2008/09は 予 測 値

遺 伝 子 組 替 作 物 (GM)の 普 及 率 とうもろこし % 大 豆 害 虫 抵 抗 性 (Bt) 除 草 剤 抵 抗 性 スタック 品 種 (Stacked Gene Var.) 計 除 草 剤 抵 抗 性 2000 18 6 1 25 54 2001 18 7 1 26 68 2002 22 9 2 34 75 2003 15 11 4 40 81 2004 27 13 5 45 85 2005 26 17 9 52 87 2006 25 21 15 61 89 2007 21 24 28 73 91 2008 17 23 40 80 92 資 料 :USDA NASS Acreage, June 30, 2008 等 の 年 報 を 基 に 筆 者 が 作 成 複 数 の 遺 伝 子 を 組 み 込 んだ 品 種

エタノール 工 場 のマージン 天 然 ガスコスト とうもろこし コスト エタノールの 粗 収 益

アメリカのガソリンとエタノールの 推 定 消 費 量 単 位 : 千 ガロン(ガソリン 等 量 ) 2003 2004 2005 2006 ガソリン (a) 135,330,000 138,238,000 138,723,000 140,146,000 ガソリン 中 の エタノール (b) 1,919,572 2,414,167 2,756,663 3,729,168 b/a (%) 1.4 1.7 2 2.7 MTBE 2,368,400 1,877,300 1,654,500 435,000 資 料 :EIAの 自 動 車 燃 料 の 推 定 消 費 量 の 表 から 筆 者 が 作 成

ブラジル: 経 緯 1933 年 の 砂 糖 アルコール 院 (IAA)の 設 立 砂 糖 エタノール 市 場 への 本 格 的 な 政 府 介 入 1973 年 の 第 一 次 オイルショック( 約 80%の 石 油 依 存 度 対 外 債 務 の 拡 大 ) 1975 年 に 国 家 アルコール 計 画 を 開 始 エタノール 価 格 の 保 証 (エタノール 価 格 <ガソリン 価 格 ) ガソリンへのエタノールの 混 合 義 務 国 営 石 油 会 社 (ペトロブラス 社 )にエタノールの 販 売 独 占 と 一 部 流 通 独 占 権 エタノール 製 造 者 へのインセンティブ( 低 利 融 資 信 用 保 証 ) エタノール 専 用 車 購 入 への 税 制 面 の 優 遇 措 置 等 1980 年 後 半 の 石 油 価 格 の 下 落 財 政 難 等 1990 年 のIAAの 廃 止 以 降 規 制 緩 和 が 進 展 プロアルコール 政 策 には 1975 年 ~1989 年 の 間 123 億 ドルの 資 金 が 投 入

ブラジルの 地 形 とさとうきび 栽 培 地 南 中 部 のさとうきび 生 産 シェアは88% うちサンパウロ 州 は 約 60% (2007/08 年 ) アマゾン (49.3%) セラード (23.9%) サバンナ パンタナール 大 西 洋 岸 森 林 地 帯 地 図 :IBGE Mapa de Biomass パンパ

ブラジルのエタノールの 生 産 輸 出 動 向 2,500 万 kl 2,000 1,500 生 産 量 1,000 500 輸 出 量 0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 生 産 量 輸 出 量 資 料 :ブラジル 鉱 山 動 力 省 (MME) Brazilian Energy Balance 2007 2008

さとうきびの 砂 糖 とエタノール 向 け 比 率 100% 90% 80% エタノール 向 け 70% 60% 50% 40% 30% 砂 糖 向 け 20% 10% 0% 1974/75 1975/76 1976/77 1977/78 1978/79 1979/80 1980/81 1981/82 1982/83 1983/84 1984/85 1985/86 1986/87 1986/88 1988/89 1989/90 1990/91 1991/92 1992/93 1993/94 1994/95 1995/96 1996/97 1997/98 1998/99 1991/00 2000/01 2001/02 2002/03 2003/04 2004/05 2005/06 砂 糖 向 け 割 合 エタノール 向 け 割 合 資 料 : MAPA, Balanco Comercial da Cane-de-Acucar e Agroenergia 2007, P14

エタノール 工 場 の 形 態 さとうきび 生 産 者 (58,000) 合 計 (398) 小 規 模 生 産 者 が8 割 砂 糖 エタノール 工 場 (252) エタノール 専 用 工 場 (131) 砂 糖 専 用 工 場 (15) エタノール 工 場 と 製 糖 工 場 数 (2008 年 7 月 11 日 現 在 ) 自 社 でもさとうきび 生 産 ( 大 部 分 が 借 地 ) 砂 糖 とエタノール 販 売 から 得 た 総 収 益 を 生 産 者 に 分 配 単 価 はATR(さと うきび 糖 度 重 量 )を 基 に 決 定

さとうきび 産 業 の 粗 収 入 の 内 訳 砂 糖 エタノールの 粗 収 入 (2007/08 年 ) 約 200 億 ドル 54%: エタノール 販 売 44%: 砂 糖 販 売 2%: バイオ 電 力 販 売 資 料 : UNICA Sugarcane Industry in Brazil

エネルギー 源 としてのさとうきび 1/3 ケーンジュース 加 水 分 解 276kg/t 水 分 50% 1/3 バガス 165kg/t 水 分 15% 1/3 ストロー 砂 糖 (153kg/t) エタノール 加 水 分 解 コージェネレーション 発 電 糖 蜜 ストロー:さとうきびの 梢 頭 部 及 び 葉 の 部 分 資 料 :UNICA

FFV(フレックス 車 )の 月 別 登 録 台 数 の 推 移 2007 年 末 までにFFVは450 万 台 販 売 し 普 及 率 は 約 20% 300,000 100.0% FFVの 割 合 ( 右 目 盛 ) 90.0% 250,000 80.0% 月 別 登 録 台 数 200,000 150,000 FFV 70.0% 60.0% 50.0% 40.0% 100,000 30.0% ガソリン 車 50,000 ガソリン 車 20.0% 10.0% FFV FFVの 割 合 0 0.0% 資 料 : ANFAVEA( 自 動 車 工 業 会 ) Carta da ANFAVEA" 月 報 より 注 : 数 値 はPassenger carsとlight commercialsの 合 計 登 録 台 数

EU: 経 緯 2003 年 : EUバイオ 燃 料 指 令 (2005 年 :2% 2010 年 :5.75%) 加 盟 国 での 優 遇 税 制 措 置 等 の 採 用 を 是 認 (エネル ギー 税 制 指 令 ) 2004 年 : 加 盟 国 における2005 年 の 導 入 目 標 の 設 定 2005 年 : 加 盟 国 のバイオ 燃 料 の 利 用 状 況 の 報 告 予 定 どおり 進 まず:2005 年 :1% 2010 年 :4.2% 2006 年 : 欧 州 委 員 会 の 評 価 2003 年 指 令 を 見 直 し 2007 年 (3 月 ): バイオ 燃 料 利 用 目 標 の 義 務 化 等 を 是 認 2008 年 (1 月 ): 実 行 指 令 案 (パッケージ 提 案 )の 公 表

欧 州 理 事 会 (2007 年 3 月 )の 是 認 事 項 2020 年 義 務 目 標 目 標 を 義 務 化 (binding)することは 生 産 を 自 立 的 なものとする 第 2 世 代 バイオ 燃 料 の 商 業 生 産 も 重 要 温 室 効 果 ガスを1990 年 比 で30% 削 減 第 一 次 エネルギー 使 用 中 再 生 可 能 エネルギーの 割 合 を 最 低 20%に 引 き 上 げ 輸 送 部 門 のガソリンとディーゼルの 総 消 費 に 占 めるバ イオ 燃 料 の 比 率 を 最 低 10%に 引 き 上 げ エネルギー 効 率 の 向 上 によりエネルギー 消 費 を20% 削 減

サステナビリティ 基 準 (Sustainability Criteria) 案 1バイオ 燃 料 の 利 用 により 化 石 燃 料 と 比 べてGHGを 最 低 35% 削 減 すること 2 生 物 多 様 性 が 高 い 土 地 でバイオ 燃 料 を 生 産 しないこと 2 炭 素 固 定 能 力 が 高 い 土 地 でバ イオ 燃 料 を 生 産 しないこと 4すべてのEU 産 のバイオ 燃 料 は 関 連 の 環 境 基 準 に 合 致 (cross compliance)する こと 生 物 多 様 性 が 高 い 土 地 とは 未 開 の 森 林 自 然 保 護 指 定 地 域 生 物 多 様 性 が 高 い 草 地 であり 他 方 炭 素 固 定 能 力 が 高 い 土 地 とは 湿 地 帯 や 持 続 的 な 森 林 欧 州 委 員 会 は 2010 年 12 月 末 までに 具 体 的 な 持 続 可 能 基 準 について 報 告 基 準 に 合 致 したバイオ 燃 料 のみが 政 策 支 援 の 対 象 で 10% 義 務 の 数 量 にカウントできる

サステナビリティ 基 準 の 認 証 制 度 については 一 義 的 に は 加 盟 国 の 責 任 において 実 施 されるが 自 主 的 な 認 証 制 度 関 連 の 国 際 合 意 GHG 削 減 測 定 制 度 などはEU 委 員 会 の 承 認 を 受 けることができる モニタリングと 報 告 については 加 盟 国 は 土 地 利 用 の 変 更 食 料 価 格 の 変 化 と 食 料 の 利 用 可 能 状 況 バイオ 燃 料 のコスト 利 益 バイオ 燃 料 の 輸 入 制 度 持 続 可 能 性 や 開 発 にかかる 問 題 採 用 した 是 正 措 置 についての 報 告 を 2 年 ごとに 欧 州 委 員 会 に 行 う GHGの 削 減 測 定 方 法 については 土 地 利 用 の 変 化 にも 考 慮 し LCAにより 化 石 燃 料 と 比 較 しつつ 実 施 する

最 近 の 動 き 2008 年 9 月 11 日 に 開 催 された 欧 州 議 会 の 工 業 委 員 会 で は 以 下 の 点 に 合 意 バイオ 燃 料 の 利 用 率 を2020 年 までに10%に 義 務 づけるとする 欧 州 委 員 会 の 提 案 は 承 認 ただし そのうち4% 分 は 第 2 世 代 バイオ 燃 料 電 気 または 水 素 由 来 の 燃 料 とする 2015 年 の 利 用 率 を5%(うち1% 分 は 第 2 世 代 バイオ 燃 料 )とする 中 間 目 標 を 設 定 2020 年 の10% 目 標 は2014 年 にレビュー GHGの 最 低 削 減 率 は45%とし 2015 年 以 降 は60%とする( 欧 州 委 員 会 原 案 は35% 削 減 ) 社 会 的 サステナビリティ 基 準 ( 地 域 コミュニティの 土 地 権 利 の 尊 重 すべての 作 業 員 への 公 正 な 報 酬 等 )を 新 たに 導 入

EUのバイオエタノール 生 産 万 kl 70.0 60.0 2004 年 2007 年 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 2004 2005 2006 2007 資 料 :ebio(2008 年 6 月 2 日 更 新 )

EU 主 要 国 のバイオディーゼルの 生 産 千 トン 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 2003 E15 2004 E15 2005 EU25 2006 EU27 2007 EU27 資 料 :EBB

種 類 別 原 料 の 土 地 利 用 の 予 測 2006 年 2020 年 エタノール ディーゼル エタノール ディーゼル 穀 物 0.9-7.1 - 第 二 世 代 原 料 - - 5.2 - 油 糧 種 子 - 2.1-2.9 てん 菜 0.1-0.6 - BTL - - - 1.7 計 1.0 2.1 12.9 4.6 バイオ 燃 料 利 用 合 計 面 積 全 耕 地 面 積 に 占 める 割 合 休 耕 地 ( 義 務 的 休 耕 地 遊 休 地 ) 3.1 17.5 3% 15% 7.2(6%) 4.7(4%) その 他 36.9(32%) 36.6(32%) 単 位 : 百 万 ha 資 料 : Impact of a minimum 10% obligation for biofuel use in EU-27 in 2020 on agricultural markets (DG Agri in April 2007) を 基 に 作 成 (2020 年 の 第 二 世 代 バイオ 燃 料 がバイオ 燃 料 全 体 需 要 の20%とした 場 合 )

穀 物 の 需 給 バランスシート(2014 年 ) 350 百 万 トン 300 250 200 150 100 50 総 生 産 量 バイオエネルギー 食 品 工 業 用 飼 料 用 0 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 資 料 : 欧 州 委 員 会 Prospects for Agricultural Markets and Income in EU (2007 2014), July 2007

油 糧 種 子 の 需 給 バランスシート(2014 年 ) 70.0 60.0 バイオエネルギー 消 費 量 百 万 トン 50.0 40.0 30.0 生 産 量 輸 入 量 20.0 10.0 休 耕 地 分 0.0 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 資 料 : 欧 州 委 員 会 Prospects for Agricultural Markets and Income in EU (2007 2014), July 2007

国 際 価 格 の 動 向 ト ル/トン ハ レル 600.00 500.00 大 豆 砂 糖 20.00 18.00 16.00 ドル/ホ ント ( 砂 糖 ) 400.00 14.00 12.00 とうもろこし 300.00 10.00 8.00 小 麦 200.00 6.00 100.00 4.00 2.00 0.00 原 油 0.00 2003M1 2003M3 2003M5 2003M7 2003M9 2003M11 2004M1 2004M3 2004M5 2004M7 2004M9 2004M11 2005M1 2005M3 2005M5 2005M7 2005M9 2005M11 2006M1 2006M3 2006M5 2006M7 2006M9 2006M11 2007M1 2007M3 2007M5 2007M7 2007M9 2007M11 2008M1 2008M3 2008M5 2008M7 資 料 :IMF

最 近 のとうもろこし 価 格 高 騰 の 要 因 アメリカ 経 済 減 速 投 機 資 金 など 供 給 増 なのに 価 格 が 下 がらない! ドル 安 輸 出 規 制 穀 物 市 場 原 油 市 場 需 要 大 代 替 需 要 価 格 高 騰 原 油 価 格 高 アメリカのバイオエタ ノール 需 要 大 オーストラリアでの 干 ばつによる 小 麦 生 産 減 輸 送 費 肥 料 価 格 高 ( 生 産 費 高 ) 最 近 2 年 間 の 価 格 高 騰 は 中 国 インド 等 の 経 済 新 興 国 の 需 要 拡 大 が 原 因 ではない 穀 物 の 全 体 的 な 需 給 バランスは 概 ねとれている

化 石 燃 料 とバイオ 燃 料 のためのLCA 化 石 燃 料 のLCA 原 油 生 産 と 事 前 処 理 輸 送 精 油 化 石 燃 料 (ガソリン ディーゼル) 輸 送 利 用 温 室 効 果 ガ ス の 削 減 土 地 利 用 の 変 化 原 料 作 物 等 の 生 産 ( 土 地 肥 料 農 薬 種 子 農 業 機 械 燃 料 ) 輸 送 バイオ 燃 料 生 産 ( 酵 素 薬 品 エ ネルギー 使 用 ) バイオ 燃 料 (エタノール BDF) 副 産 物 輸 送 利 用 液 体 バイオ 燃 料 の LCA 資 料 :FAO, The State of Food and Agriculture 2008, 7 October 2008を 基 に 作 成

自 動 車 1kmあたり 走 行 時 におけるGHGの 削 減 効 果 の 比 較 (LCA 評 価 ) 原 料 燃 料 形 態 場 所 GHG 変 化 率 出 展 小 麦 イギリス -47% Armstrong et al. 2002 てん 菜 フランス 北 部 -35% Armstrong et al. 2002 とうもろこし E10 アメリカ -1% Wang et al. 1999 とうもろこし E85 アメリカ -14% Wang et al. 1999 セルロース E85 アメリカ -68% Wang et al. 1999 さとうきび 含 水 エタノール ブラジル -87% Macedo et al. 2004 さとうきび 無 水 エタノール ブラジル -91% Macedo et al. 2004 資 料 :Masami Kojima, Donald Mitchell, and William Ward, Considering Trade Policies for Liquid Biofuels (Energy Sector Management Assistance Program (ESMAP), World Bank, June 2007の 表 1.1より 作 成

温 室 効 果 ガス(GHG) 削 減 効 果 穀 物 由 来 エタノール ( 米 EU) てん 菜 由 来 エタノール (EU) さとうきび 由 来 エタノール (ブラジル) セルロース 由 来 エタノール (IEA) 菜 種 由 来 BDF (EU) 出 典 :IEA

原 料 別 のエネルギー 収 支 比 原 料 エネルギー 収 支 比 小 麦 1.2 とうもろこし( 米 国 ) 1.3 1.8 てん 菜 (EU) 1.9 さとうきび (ブラジル) 8.3 資 料 : 小 麦 トウモロコシ てん 菜 のデータは F.O. Licht, 2004 さとうきびのデータは I etal., 2004 Macedo,

FAO によるバイオ 燃 料 についての 現 状 評 価 バイオ 燃 料 需 要 増 が 食 料 価 格 高 騰 の 一 要 因 貧 しい 家 計 が 最 大 の 被 害 者 ( 都 市 部 農 村 部 とも) 長 期 的 には 適 切 な 政 策 と 投 資 が 行 われれば 開 発 途 上 国 の 貧 困 削 減 と 食 料 安 全 保 障 の 改 善 の 機 会 (opportunity)を 付 与 バイオ 燃 料 はGHG 削 減 のポテンシャルあり 実 際 の 削 減 は 生 産 地 エネルギー 投 入 量 によって 左 右 炭 素 固 定 能 力 の 高 い 土 地 でのバイオ 燃 料 生 産 によりGHGはより 増 加 す る 可 能 性 バイオ 燃 料 のエネルギー 消 費 面 の 貢 献 は 限 定 的 (ブラジル を 除 く) バイオ 燃 料 の 増 産 は 政 策 介 入 により 加 速 化 2006 年 のア メリカの 液 体 バイオ 燃 料 支 援 総 額 は60 億 ドル 以 上 EUは 約 50 億 ドル 資 料 :FAO The State of Food and Agriculture 2008, 7 October 2008

水 土 地 ( 土 壌 )および 生 物 多 様 性 への 影 響 水 への 影 響 バイオ 燃 料 の 原 料 作 物 (さとうきび とうもろこし パーム 等 )を 商 業 生 産 する 場 合 には 相 対 的 に 高 い 水 分 要 求 度 ただし ブラジルのさとうきび アメリカのとうもろこし 生 産 の 大 部 分 ( 前 者 は76% 後 者 は70%)は 少 雨 地 域 にて 実 施 バイオ 燃 料 の 製 造 には 大 量 の 水 を 消 費 ( 一 般 論 ) バイオ 燃 料 のさらなる 増 産 により 窒 素 肥 料 等 による 水 質 汚 染 の 可 能 性 ブラジルでは 工 場 排 水 (vinasse)の 多 くを 畑 地 に 還 元 土 地 ( 土 壌 )への 影 響 土 地 利 用 の 変 化 や 原 料 作 物 生 産 の 集 約 化 は 土 壌 有 機 物 の 減 少 土 壌 浸 食 塩 類 集 積 を 引 き 起 こし 他 方 茎 葉 等 の 土 壌 還 元 量 の 減 少 は 土 中 の 有 機 物 の 減 少 や 炭 素 量 の 減 少 につながり GHGも 増 加 する 恐 れ ただし これらは 適 切 な 肥 培 管 理 技 術 により 左 右

生 物 多 様 性 (biodiversity)への 影 響 植 生 の 変 化 ( 熱 帯 雨 林 の 伐 採 等 )によるwild biodiversityの 変 化 の 可 能 性 大 規 模 な 単 一 作 物 生 産 (プランテーション)によるagricultural biodiversityの 変 化 ( 遺 伝 資 源 や 伝 統 的 品 種 の 喪 失 病 害 虫 抵 抗 性 の 低 減 )の 可 能 性 第 2 世 代 バイオ 燃 料 の 原 料 栽 培 やGMOの 影 響 の 可 能 性 資 料 :FAO The State of Food and Agriculture 2008, 7 October 2008 等 を 基 に 作 成