ペプチド タンパク質 2015/04/17-2 生化学講義 担当 尾西 ホタルの発光 赤血球 サイの角 ルシフェリン とATPからル シフェラーゼ により ヘモグロビンを大量 に含んでいる ケラチンが主成分 ケラチンを主成分 表皮 髪 うろこ 角 毛 爪 羽 Lehninger Principles of Biochemistry より 1
タンパク 質 の 多 様 な 機 能 細 胞 骨 格 細 胞 の 形, 物 理 的 強 度 の 維 持, 自 己 推 進, 分 裂, エンドサイトーシス,エキソサイトーシス, 細 胞 内 輸 送 収 縮 輸 送 貯 蔵 生 体 防 御 酵 素 受 容 体 代 謝 調 節 構 造 アクチン,ミオシン,トロポニン,チュブリン ヘモグロビン,アルブミン,リポプロテイン ミオグロビン イムノグロブリン,インターフェロン,フィブリノーゲン 反 応 触 媒 ホルモン 受 容 体, 神 経 伝 達 物 質 受 容 体 インスリン,サイトカイン, 転 写 因 子 コラーゲン,エラスチン,ラミニン,フィブロネクチン 2
タンパク 質 に 共 通 の 構 造 =アミノ 酸 の 重 合 体 ペプチド 結 合 でつながっている 20 種 類 のアミノ 酸 (L-a-アミノ 酸 )から 構 成 されている 図 2-22 ペプチド 結 合 3
ジペプチド=2 個 のアミノ 酸 がペプチド 結 合 カルノシン Ala-His b アラニル-L-ヒスチジン ペプチドの 表 記 アミノ 末 端 (N 末 端 ) アミノ 酸 を 左 に, カルボキシ 末 端 (C 末 端 ) アミノ 酸 を 右 に 26 頁 Support Ala-His His-Ala NH + 3 CH 2 CHCOO - + H 3 NCH 2 CH 2 COO - b a b a b アラニン a アラニン ペプチドのなかには, 普 通 存 在 しな いアミノ 酸 をもつものがある 4
トリペプチド=3 個 のアミノ 酸 から 成 る グルタチオン glutathion, GSH gglu-cys-gly a b g H 2 NCHCH 2 CH 2 CO COO- NHCHCONHCH 2 COO- CH 2 SH g グルタミル L システイニルグリシン 非 aペプチド 結 合 がGluと Cytの 間 にある gglu-cys-gly gglu-cys-gly gglu-cys-gly SH SH S S gglu-cys-gly 還 元 型 グルタチオン 酸 化 型 グルタチオン 5
生 理 活 性 ペプチド 1000 以 上 情 報 伝 達 (ホルモンペプチド, 神 経 ペプチド) 血 圧, 血 糖 の 調 節 抗 菌, 抗 ウイルス, 抗 腫 瘍 毒 性 酵 素 活 性 阻 害 ペプチドホルモン 1) 視 床 下 部 ホルモン 群 : 甲 状 腺 刺 激 ホルモン 放 出 ホルモン 2) 下 垂 体 ホルモン 群 :バゾプレッシン,オキシトシン 3) 消 化 管 ホルモン 群 :セクレチン,ガストリン,インスリン,グルカゴン 4)その 他 :ブラジキニン,カリジン,カルシトニン,PTH,アンギオテンシン 神 経 ペプチド:サブスタンスP ペプチド 系 抗 生 物 質 :アクチノマイシン,ブレオマイシン,ペニシリン 6
人 工 ペプチド アスパルテーム ( 人 工 甘 味 料 ) L-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステル 両 者 ともL 型 砂 糖 の200 倍 の 甘 味 7
タンパク 質 の 分 類 表 2-7 組 成 単 純 タンパク 質 アルブミン,アルブミノイド 複 合 タンパク 質 糖 タンパク 質 リポタンパク 質 血 漿 リポタンパク 質 リンタンパク 質 ホスホホリン 金 属 タンパク 質 ヘモグロビン 形 状 球 状 ミオグロブリン 繊 維 状 コラーゲン,エラスチン 溶 解 性 水 溶 性 水 に 不 溶 性 等 電 点 酸 性 中 性 塩 基 性 病 原 性 プリオン ペプシン ヘモグロビン ヒストン 局 在 細 胞 内 細 胞 質 タンパク 質 膜 受 容 体 分 泌 ペプチドホルモン 8
糖 タンパク 質 glycoprotein 糖 とタンパク 質 から 成 る 1) N-アセチル-D-グルコサミンとアスパラギ ン 間 の N-グリコシド 結 合 ( 卵 白 アルブミン, 血 漿 糖 タンパク 質,チロ グロブリン) アスパラギン 結 合 型 プロテオグリカン proteoglycan 2) N-アセチル-D-ガラクトサミンとセリンま ペプチド 主 鎖 たはトレオニンとの 間 の O-グリコシド 結 合 ( 顎 下 腺 ムチン,ヒト 赤 血 球 膜 糖 タンパク 質 ) ムチン 型 3) D-ガラクトースとヒドロキシリシンとの 間 の O-グリコシド 結 合 (コラーゲン) 27 頁 Support 9
リポタンパク 質 lipoprotein 脂 質 とタンパク 質 の 複 合 体 1) 構 造 リポタンパク 質 細 胞 膜 ミトコンドリア 膜 ミエリン 構 造 膜 細 菌 細 胞 膜 2) 可 溶 性 リポタンパク 質 血 漿 リポタンパク 質 ミルクリポタンパク 質 卵 黄 リポタンパク 質 10
リンタンパク 質 phosphoprotein 単 純 タンパク 質 にリン 酸 が 共 有 結 合 (エステル 結 合 ) ヒドロキシアミノ 酸 のヒドロキシ 基 を 介 して 11
金 属 タンパク 質 metalloprotein 重 金 属 が 直 接 タンパク 質 と 結 合 しているもの 鉄 亜 鉛 モリブデン 銅 マンガン トランスフェリン,フェリチン 炭 酸 デヒドラターゼ アスコルビン 酸 オキシダーゼ 12
その 他 の 複 合 タンパク 質 色 素 タンパク 質 : 色 素 を 結 合 したタンパク 質 ミオグロビン ヘモグロビン ペルオキシダーゼ カタラーゼ ロドプシン 核 タンパク 質 : 核 酸 (DNA, RNA)と 結 合 するタンパク 質 ヒストン プロタミン( 精 子 核 特 異 的 タンパク 質 ) 13
タンパク 質 の 構 造 : 一 次 構 造 ~ 四 次 構 造 にわけて 考 える タンパク 質 の 一 次 構 造 = アミノ 酸 配 列 (1) 1 (21) 図 2-23 1953 年 Frederic Sangerがはじめてタンパク 質 の 一 次 構 造 を 解 明 ウシインスリン(51 残 基 ) 21 残 基 のA 鎖 と30 残 基 のB 鎖 からなる.1 個 の 鎖 内 S-S 結 合,2 個 の 鎖 間 S-S 結 合 -14
ジスルフィド 結 合 (-S-S- 結 合 ) 2つのシステイン 残 基 のそれぞれのスルフヒドリル 基 (-SH, チオール 基, メルカプト 基 )の 間 で 形 成 される 共 有 結 合 であり,1つのシスチン 残 基 を 生 成 システイン Cys シスチン Cys Cys 15
インスリンは翻訳後修飾により活性型となる プレプロインスリン 膵臓B細胞においてイン スリン遺伝子は前駆体プ レプロインスリンをコードし 翻訳転写 シグナル配列の切断 ジスルフィド結合の形成 連結ポリペプチドの切除 シグナルペプチドが除去さ れ プロインスリンとなる 細胞内でプロセシングを 受けてA鎖とB鎖より成 るインスリン分子とCペプ チドが生じる プロインスリン 86残基 インスリン 51残基 成熟したインスリン分子 はβ顆粒内に貯蔵され 分泌刺激に応じて門脈 血中に放出される 16
ペプチド 結 合 は 部 分 的 二 重 結 合 的 性 質 をもっている トランス 17
O=C-N-H 以 外 の 部 分 は 回 転 する α 炭 素 と αアミノ 基, α 炭 素 とカルボキシ 基 との 間 の 結 合 の 回 転 は 自 由 なので,ポリペプチド 鎖 は 多 様 な 立 体 配 置 を 取 り 得 る α 炭 素 αアミノ 基 18
タンパク質の二次構造 図2-24 ポリペプチド鎖の主鎖が一次配列上で近いア ミノ酸ととる規則的な配置 ペプチド骨格の N-H基とC=O基との間の 水素結合により固定 a ヘリックス β シート 平行βシート parallel 逆平行βシート antiparallel ターン構造 ベンド構造 2次構造の2つの単位をつな ぐアミノ酸4残基 ターンよりも長い ループ構造 aヘリックスとβシート間 超二次構造 super secondary structure モチーフ motif 19
a ヘリックス 20
らせん 軸 αヘリックス 軸 を 上 から 見 ると, 側 鎖 (R)は 外 側 にある 21
βシート βひだ 状 シート C N C O N 水 素 結 合 はペプチド 鎖 の 方 向 と 直 角 同 じ 鎖 間, 異 なる 鎖 間 22
bターン 逆 平 行 βシートの2つを 結 合 させる ポリペプチド 鎖 の 方 向 を 逆 にしてコン パクトな 球 状 タンパク 質 を 形 成 するの に 寄 与 1 番 目 残 基 のカルボニル 基 と4 番 目 残 基 の 主 鎖 アミド 基 との 間 に 水 素 結 合 が 形 成 し, 折 り 返 し 構 造 が 安 定 化 一 般 的 に4つのアミノ 酸 で 構 成 ポリペプチド 鎖 に 折 れ 曲 がりを 作 るイ ミノ 酸 であるプロリン, 最 小 の 側 鎖 を もつグリシンがしばしばみられる. Ala-Gly-Asp-Ser 23
超二次構造 モチーフ motif aヘリックスや シートなどの二次構造が 複数個組み合わされて できる構造のなかで 繰り返し観測される典型的な構造 a b c d e a 補体調節タンパク質モジュール b 免疫グロブリンモジュール c フィブロネクチンⅠ型モジュール d 成長因子モジュール 図2-25 e クリングルモジュール 24
ポリ(Gly-Pro-Pro)の3 本 の 左 巻 きらせん 鎖 から 構 成 されるコラーゲン 様 右 巻 きらせん 3 本 のコラーゲン 鎖 はそれ ぞれ a ヘリックスとは 異 なるらせん 構 造 互 いにねじれて 硬 い 棒 状 に なり, 右 巻 にらせん トロポコラーゲン ヒドロキシプロリンとヒド ロキシリシン 残 基 が 関 与 す る 水 素 結 合 により 束 ねられ ている 25
球 状 タンパク 質 の 三 次 構 造 = 三 次 元 構 造 タンパク 質 を 構 成 する1 本 のポリペプチド 鎖 が 空 間 的 にとる 立 体 構 造. 二 次 構 造 (ヘリックス,シート,ターン,ループ)がドメインを 構 成 するた めにどのように 会 合 するのか, 複 数 のドメインをもつ 場 合 に 空 間 的 に 互 いに どのように 連 係 しているのか,を 意 味 する. ドメイン(domain):タンパク 質 の 機 能 と 三 次 元 的 構 造 の 基 本 的 な 単 位. 30~300のアミノ 酸 残 基 からなり, 一 つあるいは 複 数 の 超 二 次 構 造 から 構 成. 三 次 構 造 の 安 定 化 には, 疎 水 的 相 互 作 用 の 寄 与 が 大 内 部 疎 水 性 側 鎖 hydrophobic side chain 表 面 親 水 性 側 鎖 hydrophylic group 水 溶 液 26
タンパク質の三次構造を安定化する相互作用 a ヘリックス β シートの互いの三次元的関係 ジスルフィド結合 -S-S金属イオン 補欠分子属 の三次元的位置 水素結合 NH2 NH OH基のHが近くのOやNに共有されるような 静電的相互作用 反対の電荷間 疎水的相互作用 非極性残基が分子内部で互いに集まる ファンデルワールス力 分子間力 図2-26 27
タンパク 質 の 四 次 構 造 ポリペプチド 鎖 が2 本 以 上 会 合 して 多 サブユニットを 形 成 二 量 体 dimer 三 量 体 trimer 四 量 体 tetramer 少 量 体 ologomer サブユニットは, 非 共 有 結 合 ( 静 電 的 引 力, 水 素 結 合 および 疎 水 性 相 互 作 用 )で 結 合 する. ミオグロビン Mb 赤 色 筋 肉 組 織 単 量 体 酸 素 を 貯 蔵 ヘモグロビン Hb 赤 血 球 四 量 体 酸 素 を 各 組 織 に 運 搬 し, 二 酸 化 炭 素 とプロトンを 肺 に 戻 す 28
単 量 体 の 例 :ミオグロビン (PDBID:1a6n) 153 個 アミノ 酸 からなる 分 子 量 17000の 一 本 鎖 ポリペプチドで,4.5x3.5x2.5 nmに 折 りたた まれた 分 子. 右 巻 aヘリックス8 個 (75%) 補 欠 分 子 属 のヘムを 含 む. 29
ヘモグロビンの 構 造 ヘモグロビン(a 2 b 2 )は,4つのポリペプチド 鎖 (サブユニット) から 構 成 される 四 量 体 である. ヘモグロビンサブユニット の 二 次 構 造, 三 次 構 造 はミ オグロビンに 似 ている ヘム 基 (Fe) ヘモグロビンの 四 量 体 構 造 は, 協 調 的 相 互 作 用 を 可 能 にしている 4 分 子 の 酸 素 が1 分 子 のヘ モグロビンに 結 合 すること ができる. 30 (PDBID:1b86)
タンパク質の構造の分析 構成アミノ酸の同定と定量 タンパク質を強酸で110 で24時間加水分解し クロマトグラフィーで分離し ニンヒドリンと 加熱する アミノ酸はニンヒドリンと反応 アミノ酸配列分析装置 シークエンサー 下図 タンパク質試料にフェニルイソチオシアネート PITC を反応させ 生じるN末端のPTHアミノ酸を高性能液体クロマトグラフィーで同定し Edman法 残りは再びPITCと反応させて2番目のアミノ酸の同定に進む 繰り返す タンパク質の二次構造の追跡 円二色性 CD 190 240 nm タンパク質の三次構造を決定する X線結晶学 核磁気共鳴 NMR 分光学 O C 31
タンパク 質 構 造 データバンク Protein Data Bank タンパク 質 と 核 酸 の3 次 元 構 造 の 構 造 座 標 ( 立 体 配 座 )を 蓄 積 している 国 際 的 な 公 共 の データベース http://pdbj.org/ http://www.pdb.org/ http://wwwebi.ac.uk/pdbe/ X 線 結 晶 解 析 法,NMR 法 ( 核 磁 気 共 鳴 法 )などによって 実 験 的 に 決 定 されたデータ PDBから 提 供 される 構 造 データにはそれぞれPDB IDという4 文 字 の 識 別 子 が 割 り 当 て( 環 境, 状 況 に 応 じて 構 造 が 異 なることがよくあるので 取 り 得 る 構 造 毎 に 複 数 のPDB IDが 割 り 当 て) ミオグロビン 1MBC 免 疫 グロブリン 12E8 リボヌクレアーゼA 7RSA アルコール 分 解 酵 素 1A4U 構 造 データを 見 るにはソフトウェアが 必 要 RasMol CueMol 32
タンパク質の変性 denaturation ペプチド結合を加水分解することなくタンパク質の二次構造 三次構造を破壊すること 熱 天然のタンパク質 活性型 不可逆的 機械的な撹拌 変性要因 極端なpH 強酸 強塩基 界面活性剤 変性タンパク質 不活性型 ランダムコイル (無秩序な構造) 尿素 塩酸グアニジン メルカプトエタノール 鉛 水銀 理想的な条件 下では 変性が 可逆的なことも ある 33
タンパク 質 の 折 りたたみ protein folding 長 いポリペプチド 鎖 が 折 りたたまれて 複 雑 な 三 次 元 構 造 をもつ 機 能 タンパク 質 になる. タンパク 質 を 正 しく 折 りたたむために 必 要 な 情 報 はポリペプチド 鎖 の 一 次 構 造 にある. なぜ 変 性 すると 自 然 の 状 態 の(native) 構 造 に 戻 ることが 難 しいのか? なぜならば,タンパク 質 の 合 成 は,ペプチド 鎖 全 部 が 完 全 に 合 成 し 終 わるまで 待 たずに, 合 成 しながら 折 りたたみはじめるためである. また,シャペロン chaperone と 呼 ばれる 特 別 なタンパク 質 が 関 与 していることが 多 い 1. タンパク 質 の 合 成 が 終 わるまで 折 りたたまれないようにする 2. 折 りたたみ 過 程 の 最 後 の 段 階 の 速 度 を 増 す 触 媒 として 働 く 3. 折 りたたみの 際 にタンパク 質 を 保 護 してもつれを 防 ぐ 34
タンパク質の折りたたみの誤り 1 アミロイドーシス amyloidosis アルツハイマー病 Alzheimer disease アミロイド斑 amyloid plaque 40 43個のアミノ酸のAβペプチド 集合体 凝集体 が神経毒性 Ab アミロイドタンパク質 前駆体 酵素切断 自動的に集合して 不溶性のβシートの 線維を形成 細胞膜 酵素切断 35
2 プリオン病 タンパク質のコンホメーション 二次構造 三次構造 疾患 ヒト ヒツジ ウシ クロイツフェルト ヤコブ病 Creitzfeldt-Jakob disease スクレイピー scrapie ウシ海綿状脳症 bovine spongiform encephalopathy; BSE 36