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1 タンパク質 ( 生化学 1) 平成 29 年 4 月 20 日病態生化学分野 分子酵素化学分野教授 山縣和也

2 生化学 1のスケジュール 4 月 20 日 講義開始 6 月 1 日 中間試験 9 月 25 日 生化学 1 試験 講義日程 内容は一部変更があります 講義資料 ( 山縣 吉澤分 ): 熊本大学病態生化学 で検索 ID: Biochem2 パスワード :76TgFD3Xc 生化学 1 の合否判定は 中間試験 本試験 ( 約 8 割 ) の合計で行います 再試験は実施する場合もあります 教科書 : ハーパー生化学

3 本日の学習の目標 タンパク質の一次 ~ 四次構造を理解する α ヘリックス β シートなど特徴的な構造を理解する 特徴的なタンパク質について理解する

4 アミノ酸 Amino acid α アミノ酸 カルボキシル基 ( 酸 ) Carboxyl group (acid) アミノ基 ( 塩基 ) Amino group (base) + H3N CO2 C H α 水素 α-hydrogen R α 炭素 α-carbon 側鎖 Side chain タンパク質を構成する部品として用いられるアミノ酸は 20 種類あり それらがつながってタンパク質になる どのようなアミノ酸がどのような順番でつながるかによって様々なタンパク質が形成される

5 20 種類のアミノ酸 (1) 名称名称 ( 英語 ) 略号覚え方 アラニン Alanine Ala A Alanine グルタミン酸 Glutamic acid Glu E gluetamic acid グルタミン Glutamine Gln Q Q-tamine アスパラギン酸 Aspartic acid Asp D aspardic acid アスパラギン Asparagine Asn N asparagine ロイシン Leucine Leu L Leucine グリシン Glycine Gly G Glycine リシン Lysine Lys K before L セリン Serine Ser S Serine バリン Valine Val V Valine

6 20 種類のアミノ酸 (2) 名称名称 ( 英語 ) 略号覚え方 アルギニン Arginine Arg R arginine トレオニン Threonine Thr T Threonine プロリン Proline Pro P Proline イソロイシン Isoleucine Ile I Isoleucine メチオニン Methionine Met M Methionine フェニルアラニン Phenylalanine Phe F Fenylalanine チロシン Tyrosine Tyr Y tyrosine システインン Cysteine Cys C Cysteine トリプトファン Tryptophan Trp W two rings ヒスチジン Histidine His H Histidin

7 タンパク質の基本構造 多くのアミノ酸が結合してポリペプチドをつくる H + H3 N C R 1 O C N H H C R 2 O C N H H O C C R 3 N H H O C C R 4 N H H O C C R n-3 N H H O C C R n-2 N H H O C C R n-1 N H H O C C R O - n アミノ末端 Amino terminus N 末端 N-terminus ペプチド結合 Peptide bond ペプチド結合 Peptide bond カルボキシル末端 Carboxyl terminus C 末端 C-terminus H + H3 N C C R 1 O H O H O + + H3 O - N C C + H3 R O - N C C 2 R 1 N H H C R 2 C O O - + H 2 O アミノ酸 アミノ酸 ジペプチド Dipeptide アミノ酸残基 2 個ペプチド結合 1 個

8 ( ポリ ) ペプチド : 2 個以上のアミノ酸がペプチド結合により結合したもの オリゴペプチド :~10 残基以下のポリペプチドポリペプチド :10 残基以上のポリペプチドタンパク質 :50 残基以上のポリペプチドで 特定の立体構造をもつもの

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10 一次構造アミノ酸配列, アミノ末端を 1 として, カルボキシル末端にむかって 2,3,4... 一次構造以外に タンパク質の二次構造 三次構造 四次構造について理解する

11 インスリン タンパク質のプロセシング 血糖低下作用をもつ

12 ポリペプチドの短い (3-30 残基 ) 連続した区域が規則的な形状の折りたたみ構造をとったもの 主にペプチド結合を構成する原子がつくる水素結合に依存して形成される α ヘリックスと β シートは最も基本的な二次構造の形である

13 α ヘリックス ( 右巻きらせん構造 ) らせん構造 (1 回転する間に 0.54nm すすむ ) 上からみた図

14 α ヘリックスの安定性 ペプチド結合の酸素と 4 個ずれたペプチド結合の窒素についている水素の間で水素結合が形成される 多くの水素結合が形成されるため安定である

15 逆平行 β シート β ヘリックス 水素結合 隣り合う 2 本のポリペプチド鎖が反対方向に走る 平行 β シート 隣り合う 2 本のポリペプチド鎖が同じ方向に走る ポリペプチド鎖はじぐざぐに折れ曲がり β ストランド ( 鎖 ) を構成する β 鎖が水素結合により会合し 複数本集まることで β シートを形成する 逆平行または平行 β シートを形成する

16 β ターンとループ β ターン 水素結合 β シート β ターンは 4 個のアミノ酸 (Ala-Gly-Asp-Ser) からなり β シートのような二次構造をつなぐ働きを持つ ループ構造も隣接する二次構造をつなぐ働きをもつが 内部水素結合をもたず より長い伸長した不規則なコンフォーメーションをもつ

17 プリオンタンパク質 正常なプリオンタンパクは α ヘリックスを多く持ち 可溶性である 異常プリオンは β シート構造をとるようになり不溶性である 異常プリオンタンパクは正常なプリオンタンパク質の α ヘリックスを β シートに構造変化させる作用をもつ プリオンタンパク質の二次構造が変化することで海綿状脳症 (Creutzfeldjacob 病 ) が発症する

18 タンパク質の三次構造 ミオグロビン β シートや α ヘリックスなどの 2 次構造が折りたたまれ タンパク質全体の三次元的なコンフォーメーションが形成される この構造を三次構造という ヘリックス シート ターン ループなどの二次構造がドメインとよばれる基質やリガンドと結合するといった特有の役割を担う区域を構成する 三次構造はアミノ酸の側鎖同士がつくる結合に依存して形成される

19 ロスマンフィールド ( ドメインの例 ) NAD( 赤 ) 乳酸デヒドロゲナーゼの三次構造 補酵素 NAD が結合するドメインであり 酸化還元酵素の多くに存在する

20 R H アミノ酸の分類 : 側鎖 (R) の性質によって分類 C COO- 非極性 ( 疎水性 )( 側鎖 ) アミノ酸 NH 3 + 側鎖 (R) 名称, 略号側鎖 (R) 名称, 略号 H H 3 C H 3 C CH H 3 C グリシン Gly, G アラニン Ala, A バリン Val, V CH 2 N H CH 2 フェニルアラニン Phe, F トリプトファン Trp, W H 3 C H 3 C H 3 C CH CH2 CH 2 CH CH 3 ロイシン Leu, L イソロイシン Ile, I H 3 C S CH 2 CH 2 メチオニン Met, M H 2 C H 2 C H 2 C + CH N H2 COO - プロリン Pro, P

21 疎水結合 ( 疎水性アミノ酸をタンパク質の内側に引き込む ) 水素結合 イオン結合 ジスルフィド結合などが代表的な側鎖間の相互作用 疎水性アミノ酸は分子の内部に 親水性アミノ酸は分子の表面に位置する

22 ジスルフィド結合 一対のシステインが結合することでシスチンができる

23 ジスルフィド結合の開裂によるタンパクの変性 リボヌクレアーゼ 還元剤 三次構造が変化し 正常な活性が消失する

24 タンパク質の四次構造 多くのタンパク質は 複数のポリペプチド鎖が非共有結合により会合してできている 単一のタンパク質 ( ポリペプチド ) は単量体 ( モノマー ) である 四次構造は タンパク質のポリペプチドの構成の仕方を意味し モノマー同士の会合様式をきめる

25 ( ホモ ) 二量体四量体四量体

26 タンパク質の一次から四次構造

27 タンパク質の分類

28 タンパク質の分類

29 ケラチン ( 繊維状タンパク質 ) 二つの α ヘリックスがより合わさって超らせん構造をとる

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31 理解の確認のために 1. α ヘリックスはタンパク質の一次構造である 2. プロインスリンは切断されて成熟したインスリンに変換される 3. β シートは側鎖同士の結合で安定した構造をとる 4. 隣り合うポリペプチドが同じ方向にはしるのが逆平行 β シートである 5. ロスマンフィールドは NAD が結合するドメインである 6. 二次構造がおりたたまれてできる構造が四次構造である 7. 疎水結合は側鎖同士の結合の代表例である 8. 成人のヘモグロビンは α 鎖と β 鎖の 2 量体で形成される 9. 胎児期と成人ではヘモグロビンのサブユニットは異なる 10. ケラチンは繊維状タンパクである 11. コラーゲンは 3 本鎖のヘリックスで構成される 12. ビタミン A はコラーゲンの構造安定に必須である

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