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多 色 測 光 観 測 による 小 惑 星 反 射 率 スペクトルの 測 定 岡 山 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 地 球 科 学 専 攻 41426511 矢 野 和 希 2016/02/12

要 旨 小 惑 星 には 惑 星 が 形 成 された 時 代 の 記 録 を 保 持 しているものもあると 考 えら れており, 惑 星 の 材 料 物 質 や 惑 星 形 成 時 の 太 陽 系 の 状 態 に 関 する 情 報 を 得 るこ とを 目 的 とした 小 惑 星 の 観 測 がおこなわれている.なかでも 反 射 率 スペクトル の 観 測 は, 地 上 観 測 によって 実 施 することができ, 小 惑 星 の 表 面 物 質 を 簡 便 に 推 定 する 有 効 な 手 段 のひとつと 考 えられている. 本 研 究 では, 多 色 測 光 観 測 をおこ なって,1656 Suomi と 3447 Burckhalter という2つの 小 惑 星 についてその 反 射 率 スペクトルを 推 定 し,Fornasier et.al. (2011)と Sanchez et.al. (2013)の 観 測 結 果 と 比 較 した. 観 測 は 井 原 市 美 星 町 の 星 空 公 園 で,2014 年 12 月 18 日 ~2015 年 9 月 22 日 の 期 間 に 計 20 夜,60cm 反 射 望 遠 鏡 に SBIG の 冷 却 CCD カメラ(STL-1001E) を 取 付 けて,B,V,R,I の4つのバンドで 測 光 観 測 をおこなった. 観 測 対 象 と した 小 惑 星 の 観 測 に 前 後 して, 小 惑 星 の 近 傍 にある G2V 型 星 ( 太 陽 に 類 似 した スペクトルを 持 つ 恒 星 )の 観 測 を 行 い,G2V 型 星 の 各 バンド 間 の 相 対 的 な 明 るさ に 基 づいて 小 惑 星 の 各 バンド 間 の 相 対 的 な 反 射 率 を 推 定 した.また, 大 気 減 光 の 補 正 をおこなうため, 小 惑 星 とは 別 に, 標 準 星 の 測 光 観 測 もおこなった. 取 得 したデータは 一 次 処 理 (ダーク 引 き,フラット 割 り)をおこなってから, 測 光 をおこなった. 一 次 処 理 と 測 光 にはソフトウェア Makalii を 使 用 した. 大 気 減 光 の 補 正 は, 標 準 星 を 測 光 した 結 果 から 標 準 星 の 見 かけの 光 度 と 大 気 量 (エア マス)の 関 係 を 表 わす 一 次 式 を 導 出 しておこなった.

To determine the chemical composition of asteroids would be valuable for understanding the history of solar system, since some of asteroids are supposed to be relicts of planetary formation. It is useful to measure spectral reflectance curves which allows us to evaluate the chemical composition of asteroids. To obtain the spectral reflectance curves of asteroids, we measured brightness of 1656 Suomi and 3447 Burckhalter with B, V, I, and R band filters. Between 18th December 2014 and 22 nd September 2015, in total, 20 nights of observation were made at Hosizora Koen, Bisei, Okayama, using a 60-cm telescope equipped with CCD camera (SBIG STL- 1001E). Spectrum of asteroids are divided by a G2V star to give the reflectivity of the asteroids, and are normalized by V band. Our measurement of spectral reflectance curve of 3447 Burckhalter is generally consistent with that obtained by Forasier et al. (2011), however, our measurement of 1656 Suomi is different from that of Sanchez et al. (2013).

目 次 第 1 序 章 1.1 小 惑 星 -------------------------------------------------------------------------------------- 1 1.1.1 反 射 率 スペクトル---------------------------------------------------------------- 1 1.2 研 究 目 的 ----------------------------------------------------------------------------------- 2 第 2 章 観 測 2.1 観 測 機 器 2.1.1 60cm 反 射 望 遠 鏡 ----------------------------------------------------------------- 3 2.1.2 冷 却 CCD カメラ----------------------------------------------------------------- 3 2.1.3 ジョンソンフィルター---------------------------------------------------------- 4 2.2 小 惑 星 の 観 測 ----------------------------------------------------------------------------- 5 2.2.1 観 測 前 の 準 備 ---------------------------------------------------------------------- 5 2.2.2 観 測 ---------------------------------------------------------------------------------- 7 2.3 大 気 減 光 の 補 正 の 観 測 ----------------------------------------------------------------- 8 2.3.1 大 気 減 光 ---------------------------------------------------------------------------- 8 2.3.2 観 測 ---------------------------------------------------------------------------------- 9 第 3 章 解 析 方 法 3.1 一 次 処 理 -----------------------------------------------------------------------------------10 3.1.1 ダーク---------------------------------------------------------------------------- 10 3.1.2 フラット-------------------------------------------------------------------------11 3.2 品 質 管 理 --------------------------------------------------------------------------------- 14 3.3 測 光 ---------------------------------------------------------------------------------------- 15 第 4 章 大 気 減 光 の 補 正 4.1 機 器 等 級 への 変 換 --------------------------------------------------------------------- 17 4.2 大 気 減 光 の 補 正 方 法 ------------------------------------------------------------------ 17 4.2.1 大 気 減 光 係 数 ------------------------------------------------------------------- 17 第 5 章 反 射 率

5.1 小 惑 星 の 明 るさ------------------------------------------------------------------------ 19 5.2 G2V 型 星 の 明 るさ--------------------------------------------------------------------- 20 5.3 反 射 率 の 算 出 --------------------------------------------------------------------------- 20 第 6 章 結 果 考 察 6.1 3447 Burckhalter の 反 射 率 スペクトル------------------------------------------ 22 6.2 1656 Suomi の 反 射 率 スペクトル--------------------------------------------------- 23 謝 辞 参 考 文 献 図 録

第 1 章 序 章 1.1 小 惑 星 小 惑 星 は 惑 星 が 形 成 された 時 代 の 記 録 を 保 持 しているものもあると 考 えられ ており, 惑 星 の 材 料 物 質 や 惑 星 形 成 時 の 太 陽 系 の 状 態 に 関 する 情 報 を 得 ること を 目 的 とした 小 惑 星 の 観 測 がおこなわれている( 臼 井 他, 2013).なかでも 反 射 率 スペクトルの 観 測 は, 地 上 観 測 によって 実 施 することができ, 小 惑 星 の 表 面 物 質 を 簡 便 に 推 定 する 有 効 な 手 段 のひとつと 考 えられている. 1.1.1 反 射 率 スペクトル 反 射 率 スペクトルとは 反 射 率 の 波 長 依 存 性 のことである. 反 射 率 スペクトル は 物 質 によって 異 なるため, 反 射 率 スペクトルを 見 ることである 程 度 まで 物 質 を 絞 り 込 むことができる(Bus, 2002). 本 研 究 では, 反 射 率 の 絶 対 値 については 議 論 せず, 反 射 率 スペクトルの 形 の みを 扱 った. 反 射 率 の 絶 対 値 を 求 めるためには 小 惑 星 の 大 きさが 必 要 になる が, 小 惑 星 はその 大 きさがわかっていないものも 多 く, 観 測 時 の 断 面 積 を 精 密 に 決 めるのは 困 難 である. 一 方 で, 反 射 率 スペクトルの 形 だけであれば, 比 較 的 簡 単 に 精 度 よく 求 めることができる.また, 反 射 率 の 形 を 見 るだけでもある 程 度 物 質 を 推 定 することは 可 能 である. 反 射 率 スペクトルは 以 下 の 式 で 求 めることができる. 反 射 光 ( 小 惑 星 )スペクトル 反 射 率 スペクトル = 入 射 光 ( 太 陽 )スペクトル 本 研 究 では, 太 陽 光 は 明 るすぎるため, 小 惑 星 と 同 じ 観 測 機 材 では 観 測 でき なかった.そのため, 太 陽 と 似 たスペクトルの 恒 星 である G2V 型 星 を 観 測 し て,それを 入 射 光 スペクトルの 代 替 とした. 反 射 光 ( 小 惑 星 )スペクトル 反 射 率 スペクトル G2V 型 星 スペクトル 1

1.2 研 究 概 要 本 研 究 では, 小 惑 星 を 構 成 する 物 質 に 関 する 情 報 を 取 得 することを 目 的 とし て,1656 Suomi と 3447 Burckhalter という2つの 小 惑 星 を 多 色 測 光 観 測 し て,その 反 射 率 スペクトルを 推 定 した. 星 空 公 園 の 60cm 反 射 望 遠 鏡 と 冷 却 CCD カメラと B,V,R,IR の 4 つのフィル ターを 用 いて,1656 Suomi と 3447 Burckhalter を 2014 年 12 月 28 日 から 2015 年 9 月 21 日 に 計 20 夜 かけて 観 測 した. 解 析 では,2015 年 9 月 13 日 か ら 9 月 21 日 の 計 3 夜 のデータを 使 用 し, 小 惑 星 の 反 射 率 スペクトルを 算 出 し, 過 去 の 観 測 結 果 と 比 較 した. 2

第 2 章 観 測 2.1 観 測 機 器 2.1.1 60cm 反 射 望 遠 鏡 本 研 究 の 観 測 は, 星 空 公 園 にある 60cm の 反 射 望 遠 鏡 を 使 用 した. 天 文 台 は 井 原 市 美 星 町 大 倉 龍 王 山 の 頂 上 付 近 ( 東 経 133 34 18, 北 緯 34 40 48, 標 高 538m) に 位 置 している( 星 空 公 園 HP, http://www.bao.go.jp/hoshizora/). 2015 年 9 月 は 望 遠 鏡 の 追 尾 機 能 の 調 子 が 悪 く, 露 出 時 間 を 20 秒 にすると 半 分 以 上 のデータが 使 えないものとなった.そのため, 本 研 究 では 露 出 時 間 を 最 大 で 20 秒 とした. 図 2.1 星 空 公 園 60cm 反 射 望 遠 鏡 2.1.2 冷 却 CCD カメラ CCD カメラ( 以 下 CCD)は,シャッターを 開 いている 間 に 入 射 した 光 子 を 電 子 として 蓄 え,その 電 子 の 数 を 数 えることによって 明 るさを 測 定 する. 電 子 の 数 を 数 えることをカウントするといい, 測 定 した 電 子 の 数 をカウント 値 とい う. 横 尾 (1991)によると CCD の 特 徴 として 量 子 効 率 がよいことがあげられ, CCD の 量 子 効 率 は 90%にもなる. 量 子 効 率 とは 光 に 対 する 感 度 のことであ る. 比 較 として 人 の 目 の 量 子 効 率 は 1% 以 下 で 写 真 乾 板 でも 数 %である. 3

本 研 究 では SBIG STL-1001E(http://www.sbig-japan.com/STL- 1001E.html)を 冷 却 CCD カメラとして 使 用 した. 画 素 数 は 1024 1024 であ る. 画 素 数 とは 電 子 を 蓄 える 容 器 の 数 のことである.この 容 器 一 つのことを 素 子 といい, 画 素 数 が 1024 1024 であるということは 素 子 が 1024 1024 ある ということである. 一 つの 素 子 に 最 大 約 63000 個 の 電 子 を 蓄 えることができ る. 冷 却 能 力 は, 外 気 温 より 最 大 で-40 冷 却 できる.CCD を 冷 却 することに より,ダークノイズ(ダークノイズについては 3.1.1 で 説 明 する)を 軽 減 すること ができる. 露 出 時 間 は 最 短 で 0.12 秒, 最 長 3600 秒 である. 図 2.2 本 研 究 で 使 用 した 冷 却 CCD カメラ ( 画 像 は http://www.sbig-japan.com/stl-1001e.html から 引 用 ) 2.1.3 フィルター 本 研 究 では,B,V,R,I の4つのフィルターを 使 用 した.フィルターの 透 過 特 性 は 図 2.3 に 示 すとおりである. 4

図 2.3 本 研 究 で 使 用 したフィルターの 透 過 特 性 (http://www.sbig-japan.com/ubvri/ubvri_m.html#anchor:csubvrig から 引 用 ) 2.2 小 惑 星 の 観 測 2.2.1 観 測 前 の 準 備 小 惑 星 のスペクトルを 観 測 するにあたっていくつか 準 備 が 必 要 なためそれを 説 明 していく. 小 惑 星 は 地 球 とは 違 う 公 転 周 期 で 太 陽 の 周 りを 公 転 しているため, 太 陽 と 地 球 と 小 惑 星 の 位 置 関 係 によってそれぞれの 距 離 も 変 化 する.そのため, 観 測 する 時 期 によって 地 球 から 観 測 される 小 惑 星 の 明 るさは 変 化 する. 観 測 期 間 内 で 観 測 可 能 な 明 るさの 小 惑 星 を 探 す 必 要 がある. 本 研 究 で は NASA JPL HORISONS System (http://ssd.jpl.nasa.gov/horizons.cgi)を 使 用 した.Observer Location( 観 測 地 )は 美 星 スペースガードセンターの 番 号 である Bisei Spaceguard Center-BATTeRS [300]を 使 用 した. 本 研 究 では 9 月 から 12 月 の 間 に 15 等 星 より 明 るくなる 小 惑 星 として, 観 測 対 象 を 1656 Suomi と 3447 Burckhalter に 決 定 した. また, 小 惑 星 は 太 陽 の 周 りを 公 転 しているため, 惑 星 と 同 様 に 天 球 上 を 移 動 し ている.そのため, 小 惑 星 の 天 球 上 の 位 置 は 観 測 する 時 期 によって 異 なる.その ため, 観 測 時 の 小 惑 星 の 赤 経, 緯 度 を 知 る 必 要 がある. 観 測 時 の 小 惑 星 の 赤 経, 緯 度 も 同 様 に NASA JPL HORISONS System から 得 た. 小 惑 星 の 天 球 上 の 位 置 は 観 測 する 時 期 によって 異 なるため, 観 測 した 時 に 観 5

測 しているものが 対 象 の 小 惑 星 であるかを 確 認 する 方 法 が 困 難 である. 本 研 究 では 対 象 の 小 惑 星 を 観 測 できているかの 確 認 に Asteroid Finder Chart (http://asteroid.lowell.edu/cgi-bin/astfinder)を 使 用 した.Observatory( 観 測 地 ) は 美 星 スペースガードセンターの 番 号 である 300 を 使 用 した. 作 業 としては, 小 惑 星 の 位 置 に 望 遠 鏡 を 向 け, 画 像 を 撮 る( 図 2.4).それを Asteroid Finder Chart で 同 時 刻 に 見 えるとされる 画 像 と 比 較 する( 図 2.5). 図 2.4 と 図 2.5 の 比 較 より, 赤 丸 で 囲 んだものが 1656 Suomi と 判 別 される. 図 2.4: 世 界 時 で 2014 年 9 月 13 日 11 時 26 分 (UT)に 赤 経 23:02:42 赤 緯 1:00:15 の 方 向 を 撮 像 して 得 た 画 像. 図 2.5: Asteroid Finder Chart の 検 索 結 果 本 研 究 は 反 射 率 を 算 出 するために, 太 陽 の 代 わりに G2V 型 星 を 使 用 した. 観 6

測 す る G2V 型 星 は G2V Stars from the Hipparcos Catalog (https://web.njit.edu/~gary/322/g2v_stars.html)の 中 から 観 測 時 に 小 惑 星 の 近 くにあるものを 選 んだ. 今 回 は,1656 Suomi と 3447 Burckhalter のどちらで も HIP 682 を 使 うことにした. 観 測 の 際 に 望 遠 鏡 が G2V 型 星 を 見 ているかどうかを 確 認 するためにまわりの 星 との 位 置 関 係 等 を 知 る 必 要 がある.そのため,ESO Online Digitized Sky Survey (http://archive.eso.org/dss/dss)を 用 いて G2V 型 星 の 他 の 星 との 位 置 関 係 を 確 認 した. 図 2.7 は 本 研 究 で 露 出 時 間 10 秒 の 画 像 を B,V,R,I の 4 つのフィルターで 10 枚 ずつ 撮 像 したものを 重 ね 合 わせた 画 像 である. 画 像 の 中 心 にあるのが HIP 682 である. 本 研 究 の 視 野 角 は 8.977 分 角 である. 図 2.6 は HIP 682 の 検 索 結 果 で, 視 野 角 は 観 測 時 の 視 野 角 の 約 1.5 倍 の 13.5 分 角 である. 図 2.6 と 図 2.7 はスケールをほぼそろえている. 本 研 究 の 画 像 からは4つの 星 しか 確 認 できな いが,4つの 星 の 角 度 と 距 離 間 から 赤 い 丸 で 囲 んだ 星 が HIP 682 であると 確 認 できる. 図 2.6: ESO Online Digitized Sky Survey 図 2.7:HIP 682 の 観 測 結 果 による HIP 682 の 検 索 結 果 2.2.2 観 測 本 研 究 では, 陽 が 沈 んだ 直 後 と 夜 明 け 前 のトワイライトを 撮 像 した 画 像 から 7

フラット 画 像 を 合 成 した.フラットの 観 測 は, 露 出 時 間 は 1(s),CCD の 冷 却 温 度 は 小 惑 星 を 観 測 する 温 度 と 同 じ-20 とした.フラットについては 3.1.2 で 詳 しく 説 明 する. 小 惑 星 は B バンドで 10 枚,V,R,I バンドでそれぞれ 5 枚 ずつ 撮 像 したも のを 1 セットとした. 小 惑 星 の 観 測 を 3 セット 行 い,その 後 G2V 型 星 の 観 測 を B,V,R,I,で 10 枚 ずつ 撮 像 し,その 後 また 小 惑 星 を3セット,G2V 型 星 とい うのを 繰 り 返 し 行 った( 図 ). 細 かい 設 定 は 以 下 の 表 に 示 しておく( 表 ). 2015 年 9 月 に 行 った 観 測 では 1656 Suomi は 5 セット,3447 Burckhalter は 16 セット,それぞれデータを 取 得 することができた. 図 2.8: 観 測 方 法 の 概 略 図.1 セットは B, V, R, I の 4 つのバンドでの 撮 像 から なる. 小 惑 星 を 3 セット 観 測 した 後 に G2V 型 星 を 1 セット 観 測,これを 繰 り 返 した. 2.3 大 気 減 光 補 正 の 観 測 2.3.1 大 気 減 光 地 上 で 観 測 する 際, 宇 宙 から 来 た 光 は 大 気 によって 吸 収 散 乱 されるため 減 光 する.これを 大 気 減 光 という. 大 気 減 光 の 大 きさは, 光 が 通 過 した 大 気 の 量 だけ でなく, 観 測 場 所, 観 測 時 の 空 の 状 態 よっても 変 わる. 光 が 通 過 した 大 気 の 量 を 表 わすものとして,エアマス X が 使 われる.エアマ スとは, 天 頂 にある 星 の 光 が 通 過 する 大 気 の 量 を1として, 大 気 の 量 を 表 わす. 観 測 する 天 体 の 地 平 高 度 が 下 がるとエアマスは 増 加 する.その 関 係 は 以 下 の 式 で 表 される. 8

X = 1 sin θ θ: 地 平 高 度 図 2.9 エアマス 2.3.2 大 気 減 光 の 補 正 ための 観 測 本 研 究 では, 様 々なエアマスで 標 準 星 を 観 測 し,エアマスと 大 気 減 光 の 関 係 を 調 べることで, 大 気 減 光 の 補 正 を 行 った. 大 気 減 光 の 補 正 のための 観 測 は,2015 年 9 月 21 日 におこなった.これは Suomi と Burckhalter を 観 測 した 日 から 数 えてそれぞれ 8 日 後 と 3 日 後 であ る. 標 準 星 は Landolt (1992) の Landolt Equatorial Standards (www.cfht.hawaii.edu/obsinfo/standards/landolt/)より, 観 測 時 により 長 く 観 測 できるものを 探 し, 標 準 星 114 750 を 対 象 とした. 観 測 は 2014 年 9 月 21 日 の 日 本 時 間 の 19:20-26:20 に, 標 準 星 114 750 を B, V,R,I の4つのフィルターで 5 枚 ずつ 撮 像 することを 繰 り 返 した. 露 出 時 間 は 10 秒 で,CCD の 冷 却 温 度 は-20 とした. この 観 測 で,4 つのフィルターでそれぞれ 45 個 のデータを 得 ることができた. 9

第 3 章 解 析 本 研 究 では 撮 影 した 星 の 画 像 を 解 析 するのに,フリーソフトウェアマカリィ (http://www.nao.ac.jp/others/makalii/index.html)を 使 用 した. 3.1 一 次 処 理 CCD で 撮 影 した 画 像 はダークノイズと CCD の 素 子 の 感 度 ムラの 補 正 をする 必 要 がある.この 補 正 を 一 次 処 理 という. 一 次 処 理 の 方 法 については Minor Planets at 366(http://www.toybox.rgr.jp/mp366/)のライトカーブ 解 析 の 手 引 き を 参 考 にした 3.1.1 ダーク CCD は 光 が 全 く 入 らない 状 態 にしていても 電 子 の 熱 運 動 ( 暗 電 流 ノイズ)によ って 放 出 された 電 子 をカウントしてしまう.これをダークノイズという.ダー クノイズの 大 きさは, 露 出 時 間 と CCD の 冷 却 温 度 によって 決 まる.ダークノ イズのみを 撮 像 した 画 像 (ダーク フレーム)を 作 成 し, 観 測 した 画 像 (オブジェ クト フレーム)から 引 き 算 することでダークノイズを 補 正 する.この 作 業 をダ ーク 引 きという ダーク フレームの 撮 像 方 法 は CCD に 全 く 光 が 入 らない 状 態 で 撮 像 する. ダークノイズの 大 きさは, 露 出 時 間 と CCD の 冷 却 温 度 によって 決 まるため, オブジェクト フレームを 撮 影 した 時 の 露 出 時 間 と CCD 冷 却 温 度 で 撮 像 し た. 本 研 究 では, 望 遠 鏡 の 中 蓋 を 閉 じた 状 態 で 100 枚 のダーク フレームを 撮 像 し, 撮 像 した 100 枚 のダーク フレームの 中 央 値 をとって,ダーク 引 きに 使 用 する 合 成 ダーク フレームを 作 成 した. 本 研 究 では,ダークノイズの 特 性 は 短 期 間 には 変 化 しないと 考 え,2015 年 9 月 13 から 21 日 の 観 測 データはすべて 2015 年 9 月 12 日 から 13 日 の 間 に 撮 像 したダーク 画 像 を 使 用 した. 本 研 究 ではフラット 用 の 1 秒,G2V 型 星 用 の 10 秒, 小 惑 星 用 の 20 秒 の 露 出 時 間 で 撮 像 した 合 成 ダーク フレームを 作 成 し, 使 用 した( 図 3.1-3). 10

図 3.1: 1 秒 ダーク 中 央 値 合 成 図 3.2: 10 秒 ダーク 中 央 値 合 成 図 3.3: 20 秒 ダーク 中 央 値 合 成 3.1.2 フラット CCD で 撮 像 した 画 像 には 大 きく 分 けて 2 種 類 のムラがある. 一 つ 目 は CCD の 感 度 のムラで, 二 つ 目 はフィルターや CCD についたゴミや, 周 縁 減 光 によ る 光 学 系 による 感 度 のムラである. 周 縁 減 光 とは, 光 が 鏡 筒 などによって 遮 ら れ 画 像 の 周 辺 部 が 暗 くなってしまうことである.これら 2 種 類 のムラを 補 正 す るため 一 様 な 明 るさのものを 撮 像 した 画 像 (フラット フレーム)で 割 り 算 す る.この 作 業 をフラット 割 という. 本 研 究 では, 観 測 当 日 の 日 の 入 り 直 後 と 夜 明 け 前 の 空,いわゆるトワイライ トを 撮 影 し,それをフラット フレームとした. 観 測 は 露 出 時 間 を1 秒,CCD の 冷 却 温 度 を 小 惑 星 の 観 測 と 同 じ-20 とし,B,V,R,IR の 各 フィルターで 10 枚 ずつ 撮 像 するのを, 空 が 暗 くなるか, 明 るくなる( 画 像 が 飽 和 する)まで 行 11

った. 取 得 した 画 像 の 中 から,カウント 値 の 平 均 が 10000 から 40000 までの ものを 使 用 してフラット フレームを 合 成 した. 2015 年 9 月 13 日 の 観 測 で R,V で 20 枚 ずつ,2015 年 9 月 18 日 の 観 測 で B,V,I,R でそれぞれ 10 枚 ずつ,2015 年 9 月 21 日 の 観 測 で B,V,I,R でそれぞれ 10 枚 ずつ 撮 像 することができた.2015 年 9 月 13 日 の 観 測 では B,I のフラットを 得 ることができなかったため,2015 年 9 月 18 日 に 観 測 し たものを 代 用 した.18 日 のフラット フレームを 13 日 のものとして 使 用 する ことは,13 日 から 18 日 の 間 に 冷 却 CCD と 望 遠 鏡 は 同 じ 状 態 を 保 っており, 望 遠 鏡 のフォーカスも 変 えていない. フラット フレームにもダークノイズが 含 まれている.そのため, 露 出 時 間 を 1 秒 にして 撮 像 したダーク フレームから 作 成 した 合 成 ダーク フレームを 使 ってダーク 引 きをおこなった. ダーク 引 きしたフラット フレームの 中 央 値 をとって 合 成 フラットを 作 成 し たいが,トワイライトを 撮 像 したフラットは 時 刻 によって 明 るさが 変 化 してい くため,フラット フレームの 平 均 カウント 値 にはばらつきがある.フラッ ト フレームを 平 均 カウント 値 で 割 り 算 して 規 格 化 してから, 複 数 枚 の 画 像 の 中 央 値 をとって 合 成 フラット フレームを 作 成 した. 以 上 から 作 成 した 合 成 フラット フレームが 図 3.4 から 図 3.13 である.これ らの 合 成 フラット フレームからは 中 心 部 と 隅 の 方 が 暗 くなっていることがわ かる.リング 状 に 見 える 黒 い 粒 はフィルターについた 埃 と 推 測 される.リング 状 になっているのは 埃 にピントが 合 っていない 為 である. 2015 年 9 月 13 日 図 3.4: V バンド 図 3.5: R バンド 12

2015 年 9 月 18 日 図 3.6: B バンド 図 3.7: V バンド 図 3.8: R バンド 図 3.9: I バンド 13

2015 年 9 月 21 日 図 3.10: B バンド 図 3.11: V バンド 図 3.12: R バンド 図 3.13: I バンド 3.2 品 質 管 理 天 候 の 影 響 を 明 らかに 受 けていると 判 断 されるものは 除 いた. また, 本 研 究 の 観 測 期 間 では 星 空 公 園 の 60cm 反 射 望 遠 鏡 は 追 尾 機 能 の 調 子 が 悪 く, 露 出 時 間 を 20 秒 で 撮 像 すると 2 枚 に 1 枚 くらいがぶれてしまった. そのため, 画 像 を 見 てぶれているものを 捨 てた. 14

3.3 測 光 測 光 とは 天 体 の 明 るさを 求 めることである. 図 3.17 が Makali で 測 光 してい る 様 子 である.ピンクのサークル 内 の 明 るさが 星 の 明 るさ+ 空 の 明 るさ, 青 の 2つのサークルの 間 の 明 るさが 空 の 明 るさとして,ピンクのサークルから 求 め た 明 るさから 空 の 明 るさを 引 くことによって, 星 の 明 るさを 求 める. 図 3.17: Makali で 測 光 している 様 子 15

第 4 章 大 気 減 光 の 補 正 2.3.1 で 説 明 したように 観 測 した 明 るさは 大 気 減 光 の 影 響 を 受 けている.こ こでは 木 下 (2003)を 参 考 に 大 気 減 光 の 補 正 をおこなった. 4.1 機 械 等 級 への 変 換 観 測 で 得 られたカウント 値 C は 観 測 時 の 露 出 時 間 tも 考 慮 して, 以 下 の 式 で 機 械 等 級 vに 変 換 される. v = 2.5log 10 ( C t ) 4.2 大 気 減 光 の 補 正 方 法 以 下 の 式 を 用 いて 大 気 減 光 の 補 正 をおこなった.v 0 は 大 気 減 光 を 受 けていな い 等 級 である.kは 大 気 減 光 係 数 で,Xはエアマスである. v 0 = v kx 4.2.1 大 気 減 光 係 数 大 気 減 光 の 補 正 をするためには 大 気 減 光 係 数 kを 求 める 必 要 がある. 本 研 究 では,2.3.2 の 観 測 データをもとに 縦 軸 を 等 級, 横 軸 をエアマスとした 図 を 作 成 し, 回 帰 直 線 を 求 めることで 大 気 減 光 係 数 kを 決 定 した. 大 気 減 光 係 数 の 誤 差 ε t は 以 下 の 式 より 求 めた. ε t = n i=0 ) 2 (y i y n 2 ここで n は 測 光 した 数,y i は i 番 目 の 測 光 で 得 た 明 るさ,y はすべての 測 光 を 平 均 した 明 るさである. 2015 年 9 月 21 日 の 観 測 から 求 めた B, V, R, I 各 バンドの 大 気 減 光 係 数 k b, k v, k r, k i は 以 下 のようになった. 16

( 機 械 等 級 ) ( 機 械 等 級 ) k b = 0.4243 ± 0.0167 k v = 0.2905 ± 0.0143 k r = 0.2317 ± 0.0097 k i = 0.2798 ± 0.0111 図 4.1 は, 図 4.2 の 観 測 について 大 気 減 光 補 正 をおこなった 結 果 である. -9.7-9.5-9.3-9.1-8.9-8.7 B V R I 1.1 1.6 2.1 エアマス 図 4.1 エアマスと 明 るさ -10.3-10.1-9.9-9.7-9.5-9.3 B V R I 1.1 1.6 2.1 エアマス 図 4.2 図 4.1 の 大 気 減 光 補 正 後 の 明 るさ 17

第 5 章 反 射 率 大 気 減 光 の 補 正 を 行 った 後, 小 惑 星 と G2V 型 星 それぞれの 明 るさを 求 め, それらから 反 射 率 を 求 めた. 以 下, 小 惑 星 と G2V 型 星 の 明 るさの 求 め 方 につ いて 説 明 する. 5.1 小 惑 星 の 明 るさ 表 5.1 と 5.2 は 測 光 することのできた 小 惑 星 の 画 像 の 枚 数 をまとめたもので ある. 小 文 字 のアルファベットは 2.2.2 節 の 観 測 法 で 定 義 したセットを 表 わ す. 各 セットは 同 じ 枚 数 ずつ 撮 像 をおこなっているが, 望 遠 鏡 の 追 尾 精 度 の 問 題 などがあり, 解 析 に 使 える 枚 数 は 表 のようにばらついた. 表 5.1: 1656 Siomi の 測 光 した 画 像 の 枚 数 a b c d e B 6 3 7 6 7 1656 Suomi V 2 4 3 4 3 のデータ 残 数 R 2 3 2 2 2 I 3 2 3 2 4 表 5.2: 3447 Burckhalter の 測 光 した 画 像 の 枚 数 a b c d e f g h i j k l m n o p q 3447 B 6 4 3 5 5 6 4 4 5 6 6 9 5 4 5 2 3 Burckhalter V 3 3 3 3 3 3 2 2 4 4 3 3 3 3 4 5 2 のデータ 残 数 R 5 2 2 3 3 4 3 4 5 6 3 4 7 0 2 3 3 I 3 0 2 2 2 2 2 4 2 4 2 4 3 3 5 5 4 小 惑 星 は 自 転 しているため, 観 測 した 時 刻 によって 観 測 される 明 るさが 変 化 する 可 能 性 がある.そこで 各 セットごとに 各 バンドの 明 るさを 求 めるものとす る. 複 数 の 画 像 が 取 得 されている 場 合 には, 各 画 像 から 得 られた 明 るさの 平 均 値 をそのセットのそのバンドにおける 明 るさとした. i 番 目 のセットのバンドjの 明 るさC ij とその 観 測 誤 差 ε ij は 以 下 の 式 で 求 めた. C ij = n ij k=1 C ijk n ij k=1, ε n ij = (C ijk C ij ) ij n ij 1 ここでn ij はi 番 目 のセットのjバンドの 画 像 枚 数,C ijk はi 番 目 のセットのjバンド 18

のk 番 目 の 画 像 における 小 惑 星 の 明 るさである. 以 上 の 作 業 により,Suomi は 各 バンドで 5 個,Burckhalter は B,V バンドで 15 個,R,I バンドで 14 個 の 明 るさを 得 た. 5.2 G2V 型 星 の 明 るさ G2V 型 星 は 小 惑 星 と 異 なり, 星 そのものの 明 るさは 変 化 しない.そこで,セ ットごとにデータを 分 けることはせず, 全 セットのデータを 各 バンドごとにま とめて 星 の 明 るさを 求 めた. C j = n j k=1 C jk n j k=1, ε n j = (C jk C j ) 2 j n j 1 ここでC j はバンド j の 明 るさ,ε j はその 観 測 誤 差,n j はバンド j の 画 像 枚 数, C jk はバンド j の k 番 目 の 画 像 における G2V 型 星 の 明 るさである. 以 上 の 作 業 によって G2V 型 星 の 明 るさは 13 日 と 18 日 に 観 測 したものそれ ぞれにおいて,B,V,R,I の 各 バンドで 1 つずつの 明 るさを 得 た. 5.3 反 射 率 の 算 出 小 惑 星 の 明 るさを G2V 型 星 の 明 るさで 割 ることによって, 入 射 光 のスペク トルによらない 反 射 率 のスペクトルを 求 めることができる. r ij = C ij C i, e ij = r ij ( ε 2 ij ) + ( ε 2 j ) C ij C j ここでr ij はi 番 目 のセットのjバンドの 相 対 的 な 反 射 率,ε ij はその 観 測 誤 差 であ る. この 反 射 率 スペクトルは 入 射 光 の 大 きさや 小 惑 星 の 大 きさで 規 格 化 されてい ないため, 反 射 率 の 絶 対 値 として 見 ることはできない.r ij を 使 ってセット 内 に おいて 他 バンドとの 相 対 的 な 反 射 率 について 議 論 することはできるが,このま まではセット 間 の 比 較 には 使 えないので,V バンドの 反 射 率 で 規 格 化 した 以 下 の 反 射 率 R ij を 定 義 する. R ij = r ij r iv, E ij = R ij ( e 2 ij ) + ( e 2 iv ) r ij r iv 19

以 上 の 作 業 によって, 各 バンドにおいて Suomi は 5 つ,Burckhalter は 17 の 規 格 化 した 反 射 率 を 得 た 20

第 6 章 結 果 と 考 察 6.1 3447 Burckhalter の 反 射 率 スペクトル 本 研 究 で 求 めた 3447 Burckhalter の 反 射 率 スペクトルを Fornasier et.al. (2011)の 観 測 による 反 射 率 スペクトルと 比 較 する.ここでは, 全 セットの 結 果 を 平 均 して 算 出 した 反 射 率 R j を 用 いた. 平 均 とその 誤 差 E j の 算 出 方 法 は 以 下 の とおりである. m ( 1 j i=1 2 E R ij) ij 1 R j = ( 1, E j = m j i=1 2 E ) m ( 1 j i=1 2 ij E ) ij m j はバンドjで 求 めた 反 射 率 R ij の 数 である. 黒 の 線 は Fornasier et.al. (2011)らが 観 測 した 結 果 で, 赤 は 本 研 究 で 求 めた 反 射 率 である. 本 研 究 の 横 の 範 囲 はフィルターの 透 過 率 の 半 値 幅 で, 縦 の 範 囲 は 観 測 のばらつきを 示 している. 図 6.1: 3447 Burckhalter の 反 射 率 の 比 較. 赤 は 本 研 究, 黒 は Fornasier et.al. (2011). 本 研 究 の 横 の 範 囲 はフィルターの 透 過 特 性 の 半 値 幅, 縦 の 範 囲 は 観 測 誤 差 を 表 わす. 21

本 研 究 の 観 測 結 果 は 概 ね,Fornasier et.al. (2011)の 観 測 の 反 射 率 スペクトル と 整 合 的 であるといえる. 6.2 1656 Suomi の 反 射 率 スペクトル ここでは, 本 研 究 で 求 めた 1656 Suomi の 反 射 率 スペクトルを Sanchez et.al. (2013)の 観 測 による 反 射 率 スペクトルと 比 較 する. 黒 の 線 は Sanchez et.al. (2013)が 観 測 した 結 果 で, 赤 は 本 研 究 で 求 めた 反 射 率 である. 本 研 究 の 反 射 率 は 3447 Burckhalter で 行 ったのと 同 様 の 方 法 で 全 セットの 反 射 率 の 平 均 をとったものである. 本 研 究 の 横 の 範 囲 はフィルターの 透 過 率 の 半 値 幅 で, 縦 の 範 囲 は 観 測 のばらつきを 示 している. 図 6.2: 1656 Suomi の 反 射 率 の 比 較. 赤 は 本 研 究, 黒 は Sanchez et.al. (2013). 本 研 究 の 横 の 範 囲 はフィルターの 透 過 特 性 の 半 値 幅, 縦 の 範 囲 は 観 測 誤 差 を 表 わす. 観 測 した 結 果 は Sanchez et.al. (2013)が 観 測 した 反 射 率 スペクトルは 整 合 的 ではあるとは 言 えない. 本 研 究 で 得 られた 反 射 率 スペクトルが Sanchez et.al. (2013)の 結 果 と 一 致 し ない 原 因 として, 自 転 の 影 響 の 可 能 性 が 考 えられる. 小 惑 星 は 自 転 しているた め, 観 測 している 時 期 によって 見 ている 面 が 異 なる. 小 惑 星 の 表 面 にある 物 質 が 場 所 によって 異 なっている 場 合, 観 測 する 時 期 によって 異 なる 反 射 率 スペク トルが 観 測 される.1656 Suomi は 見 る 面 によって 表 面 物 質 が 大 きく 異 なって いるという 特 異 な 天 体 であったとすると, 本 研 究 で 観 測 された 反 射 率 スペクト ルは Sanchez et.al. (2013)の 結 果 とずれる 可 能 性 がある.1656 Suomi の 自 転 22

周 期 2.58 時 間 に 対 して,Sanchez et.al. (2013)の 観 測 では 900 秒 露 出 の 観 測 し かしていないため,1656 Suomi の 一 部 の 面 しか 見 ることができない. 一 方 で, 本 研 究 は 1.7 時 間 観 測 をおこなっており, 自 転 によって 観 測 中 に 見 ている 面 が 変 わっている. 図 (6.3)は 各 セットの 反 射 率 を 平 均 せず,それぞれの セットで V バンドで 規 格 化 した 反 射 率 スペクトルを 描 いたものである.これを 見 ると 時 間 が 経 過 するにつれ 反 射 率 スペクトルの 角 度 が 急 になっているのがわ かる.また, 日 本 時 間 の 22:34 と 22:49 に 取 得 されたスペクトルは, Sanchez et.al. (2013)の 反 射 スペクトルに 近 いものであることがわかる. 以 上 の 結 果 より,1656 Suomi は 見 る 面 によって 表 面 物 質 が 大 きく 異 なって いる 可 能 性 を 指 摘 することができる. 図 6.3: Suomi の 各 時 刻 の 反 射 率 スペクトル 23

謝 辞 本 研 究 を 行 うにあたり 御 指 導 いただきました 指 導 教 員 であるはしもとじょ ーじ 准 教 授 に 心 より 感 謝 いたします. スペースガードセンターの 浦 川 聖 太 郎 さんには, 天 文 に 対 する 基 礎 的 な 知 識 から 観 測 に 必 要 な 知 識 等 を 教 えていただきました. 美 星 天 文 台 綾 仁 一 哉 台 長 前 野 将 太 技 師 には 星 空 公 園 の 望 遠 鏡 の 整 備 をして いただき,また 整 備 方 法 について 教 えていただきました. 同 研 究 室 の 田 中 さんには 観 測 を 行 う 上 で 様 々なお 手 伝 いをしていただき, 観 測 時 の 研 究 を 進 める 上 でのアドバイスをいただきました. 戸 田 晃 太 さんには 天 文 学 における 基 礎 知 識 から 観 測 の 仕 方 までご 指 導 いただきました. 石 岡 翔 さん には 研 究 を 進 める 上 で 様 々なアドバイスをいただき, 本 研 究 を 支 えていただき ました. 24

参 考 文 献 安 部 正 真 (2010) 小 惑 星 の 可 視 測 光 観 測 から 何 がわかるか, ライトカーブ 観 測 の 手 法, 第 4 回 系 外 惑 星 トランジット 観 測 研 究 会 第 7 回 小 惑 星 ライトカーブ 研 究 会 合 同 研 究 会, http://www.toybox.rgr.jp/mp366/lightcurve/workshop/workshop2010/2010_a be.pdf Asteroid Finder Chart, http://asteroid.lowell.edu/cgi-bin/astfinder Bus, S. J., F. Vilas, M. A. Barucci (2002) Visible-Wavelength Spectroscopy of Asteroids, In Asteroids III(W.F Bottke Jr. et al., eds.), pp.169-182. ESO Online Digitized Sky Survey, http://archive.eso.org/dss/dss Fornasier, S., B. E. Clark, E. Dotto (2011) Spectroscopic Survey of X-type Asteroids, Icarus, 214, 131 146. 福 島 英 雄 (2004) 冷 却 CCDカメラによる 観 測 入 門, 彗 星 観 測 ハンドブック 2004, pp167-208. フリーソフトウェアマカリィ, http://www.nao.ac.jp/others/makalii/index.html G2V Stars from the Hipparcos Catalog, https://web.njit.edu/~gary/322/g2v_stars.html 浜 野 和 弘 巳 (2010) ライトカーブ 観 測 の 手 法, 第 4 回 系 外 惑 星 トランジット 観 測 研 究 会 第 7 回 小 惑 星 ライトカーブ 研 究 会 合 同 研 究 会, http://www.toybox.rgr.jp/mp366/lightcurve/workshop/workshop2010/2010_h amanowa_a.pdf 星 空 公 園 HP, http://www.bao.go.jp/hoshizora/ 木 下 大 輔 (2003) 標 準 システムへの 変 換, 彗 星 観 測 ハンドブック 2004, pp209-211. 25

Landolt (1992) Landolt Equatorial Standards, www.cfht.hawaii.edu/obsinfo/standards/landolt/ 宮 坂 正 大, ライトカーブの 観 測 の 手 引 き, Minor Planets at 366, http://www.toybox.rgr.jp/mp366/ NASA JPL HORISONS System, http://ssd.jpl.nasa.gov/horizons.cgi Sanchez, J. A., R. Michelsen, V. Reddy, A. Nathues (2013) Surface composition and taxonomic classification of a group of near-earth and Marscrossing asteroids, Icarus, 225, 131 140. SBIG ジャパン(SBIG STL-1001E), http://www.sbig-japan.com/stl- 1001E.html 臼 井 文 彦, 長 谷 川 直 春 日 敏 測, 石 黒 正 晃, 黒 田 大 介, 大 坪 貴 文 (2013) 多 様 な カタログデータから 見 えてくる 小 惑 星 帯 の 姿, Spaceguard Research, 5, 52-55. 横 尾 武 夫 (1991) 宇 宙 を 見 るⅡ< 応 用 編 >, pp.319, 恒 星 社. 26

等 級 等 級 等 級 等 級 等 級 等 級 図 録 1656 Suomi 明 るさと 時 間 -6.2-6.15-6.1-6.05-6 -5.95-5.9-5.85-5.8 20:38 21:07 21:36 22:04 22:33 23:02 時 刻 (JST) B バンド -7.5-7.45-7.4-7.35-7.3-7.25-7.2-7.15-7.1 20:38 21:50 23:02 時 刻 (JST) R バンド -6.9-6.85-6.8-6.75-6.7-6.65-6.6-6.55-6.5 20:38 21:50 23:02 時 刻 (JST) -7.35-7.3-7.25-7.2-7.15-7.1-7.05-7 V バンド -6.95 20:38 21:50 時 刻 (JST) 23:02 I バンド 3447 Burckhalter 明 るさと 時 間 -6.4-6.35-6.3-6.25-6.2-6.15-6.1-6.05-6 20:24 22:48 1:12 3:36 時 刻 (JST) B バンド -7.1-7.05-7 -6.95-6.9-6.85-6.8-6.75-6.7 20:24 22:48 1:12 3:36 時 刻 (JST) V バンド 27

等 級 等 級 -7.65-7.6-7.55-7.5-7.45-7.4-7.35 20:24 22:48 1:12 時 刻 (JST) 3:36 R バンド -7.5-7.45-7.4-7.35-7.3-7.25-7.2-7.15-7.1 20:24 22:48 1:12 時 刻 (JST) 3:36 I バンド 28