Microsoft Word - (暫定)080509フィリピン編.doc



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などは 別 の 事 業 所 とせず その 高 等 学 校 に 含 めて 調 査 した 5 調 査 事 項 単 独 事 業 所 調 査 票 全 産 業 共 通 事 項 ( 単 独 事 業 所 ) ア 名 称 及 び 電 話 番 号 イ 所 在 地 ウ 経 営 組 織 ( 協 同 組 合 においては 協

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

Microsoft Word )40期決算公開用.doc


2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 級 の 給 料 月 額 最 高 号 級 の 給 料 月 額 1 級 ( 単 位 : ) 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 9 級 1 級 135,6 185,8 222,9 261,

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

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Microsoft Word - H24様式(那珂市版).doc

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

●電力自由化推進法案

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弁護士報酬規定(抜粋)

第316回取締役会議案

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

Microsoft Word - H25年度の概要

波佐見町の給与・定員管理等について

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

科 売 上 原 価 売 上 総 利 益 損 益 計 算 書 ( 自 平 成 26 年 4 月 1 日 至 平 成 27 年 3 月 31 日 ) 目 売 上 高 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 営 業 利 益 営 業 外 収 益 受 取 保 険 金 受 取 支 援 金 補 助 金 収 入 保

スライド 1

(5) 給 与 改 定 の 状 況 事 委 員 会 の 設 置 なし 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 A B A-B ( 改 定 率 ) 給 与 改 定 率 ( 参 考 ) 国 の 改 定 率 24 年 度 円 円 円 円 ( ) 改

( 注 )1 ラスパイレス 指 数 とは 全 地 方 公 共 団 体 の 一 般 行 政 職 の 給 料 月 額 を 一 の 基 準 で 比 較 するため の 職 員 数 ( 構 成 )を 用 いて 学 歴 や 経 験 年 数 の 差 による 影 響 を 補 正 し の 行 政 職 俸 給 表 (

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) (H25.4.1) (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.7.1) (H25.4.1) (H25.7.1)

別紙3

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 最 高 号 給 の 給 料 月 額 243,7 37,8 35

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

【労働保険事務組合事務処理規約】

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

(2) 就 業 規 則 の 状 況 就 業 規 則 は 90.0%の 事 業 所 が 整 備 している このうち 就 業 規 則 を 周 知 している 事 業 所 は 84.0%で 周 知 の 方 法 ( 複 数 回 答 )については 常 時 掲 示 または 備 え 付 け が 最 も 多 く 64

スライド 1

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 23 年 4 月 1 日 至 平 成 24 年 3 月 31 日 ) 金 額 ( 単 位 : 百 万 円 ) 売 上 高 99,163 売 上 原 価 90,815 売 上 総 利 益 8,347 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 4,661 営 業 利 益

別 表 1 土 地 建 物 提 案 型 の 供 給 計 画 に 関 する 評 価 項 目 と 評 価 点 数 表 項 目 区 分 評 価 内 容 と 点 数 一 般 評 価 項 目 立 地 条 件 (1) 交 通 利 便 性 ( 徒 歩 =80m/1 分 ) 25 (2) 生 活 利 便

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損 益 計 算 書 ( 平 成 25 年 10 月 1 日 から 平 成 26 年 9 月 30 日 まで) ( 単 位 : 千 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 304,971 営 業 費 用 566,243 営 業 総 損 失 261,271 営 業 外 収 益 受 取 利 息 3,545

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

スライド 1

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

Microsoft PowerPoint - 基金制度

定款  変更

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

Taro-H19退職金(修正版).jtd

経 常 収 支 差 引 額 の 状 況 平 成 22 年 度 平 成 21 年 度 対 前 年 度 比 較 経 常 収 支 差 引 額 4,154 億 円 5,234 億 円 1,080 億 円 改 善 赤 字 組 合 の 赤 字 総 額 4,836 億 円 5,636 億 円 800 億 円 減

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

第5回法人課税ディスカッショングループ 法D5-4

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等


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平成16年度

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (5 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 類 団 府 分 似 体 平 均 年 齢

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

6. 概 要 コメント 本 法 は 社 会 保 険 関 係 を 規 範 化 し 公 民 の 社 会 保 険 への 参 加 社 会 保 険 待 遇 を 享 受 す る 権 益 を 保 護 し 公 民 に 国 家 発 展 の 成 果 を 共 同 で 享 受 させ 社 会 の 調 和 と 安 定 を 促

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 25 年 4 月 1 日 現 在 ) 1) 一 般 行 政 職 福 島 県 国 類 似 団 体 平 均 年 齢 平

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(5) 給 与 改 定 の 状 況 該 当 なし ( 事 委 員 会 を 設 置 していないため) 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 ( 参 考 ) 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 給 与 改 定 率 国 の 改 定 率 A B AB ( 改 定 率 ) 年 度 ( )

1. 決 算 の 概 要 法 人 全 体 として 2,459 億 円 の 当 期 総 利 益 を 計 上 し 末 をもって 繰 越 欠 損 金 を 解 消 しています ( : 当 期 総 利 益 2,092 億 円 ) 中 期 計 画 における 収 支 改 善 項 目 に 関 して ( : 繰 越

2016年夏のボーナス見通し

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

Taro-29職員退職手当支給規程

(2) 職 員 の 初 任 給 の 状 況 ( 平 成 17 年 4 月 1 日 現 在 ) 初 任 給 2 年 後 の 給 料 初 任 給 2 年 後 の 給 料 一 般 行 政 職 技 能 労 務 職 大 学 卒 171,1 151,5 19,2 164,7 17,7 184,4 中 学 卒 1

(1) 貸 借 対 照 表 ( 平 成 26 年 11 月 30 日 現 在 ) ( 単 位 : 千 円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 科 目 金 額 科 目 金 額 流 動 資 産 4,623,985 流 動 負 債 3,859,994 現 金 及 び 預 金 31,763 支 払 手 形

する 場 合 だけが 下 請 法 の 対 象 となる 5000 万 円 基 準 の 場 合 3 億 円 を5000 万 円 と 置 き 換 えればよい つ まり 自 社 の 資 本 金 の 額 が5000 万 円 超 であれば 5000 万 円 以 下 の 事 業 者 ( 法 人 だけでなく 個 人

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 ( 単 位 : 円 ) 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 413,

第1章 財務諸表

一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 3 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 級 3 級 4 級 5 級 6 級 単 位 : ( ) 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 137, 163,7 4,9 31,4 71, 33,3 359,7 最 高 号 給 の 給 料 月 額

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

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ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

疑わしい取引の参考事例

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Transcription:

エクゼクティブ サマリー:フィリピン 1.マクロ 分 析 ここ 数 年 実 質 GDP 成 長 率 は 4%から 6%の 間 で 推 移 2007 年 は 7.3%と 過 去 20 年 で 最 も 高 い 成 長 を 示 した 民 間 消 費 支 出 が 構 成 比 伸 び 率 共 に 高 く 経 済 成 長 を 牽 引 している フィリピンの 小 売 市 場 は 約 4 兆 円 規 模 と 推 測 される 市 場 は 旺 盛 な 消 費 意 欲 に 支 えられ 伸 びている 消 費 者 は 一 部 の 富 裕 層 と 大 多 数 の 低 所 得 者 層 の 2 極 に 分 かれ 中 間 層 が 十 分 に 育 っていない 市 場 構 造 としては 零 細 小 規 模 小 売 がほとんどで 近 代 的 小 売 市 場 は 華 僑 系 財 閥 など 一 部 大 手 企 業 が 握 っている 2. 参 入 時 の 課 題 現 在 小 売 市 場 は 開 放 されており 条 件 を 満 たせば 外 資 100%での 設 立 も 可 能 但 し 資 本 金 や 親 会 社 の 資 格 店 舗 投 資 額 など 関 する 条 件 が 規 定 されている 煙 草 や 酒 などの 販 売 品 目 に 対 する 規 制 や 出 店 に 関 するゾーニング 規 制 など 小 売 事 業 を 制 約 する 規 制 はない 3. 参 入 後 の 課 題 雇 用 について 6 ヶ 月 以 上 の 就 労 者 は 正 規 雇 用 しなければならず 柔 軟 な 雇 用 体 系 が 必 要 な 小 売 業 にとって 事 業 上 の 課 題 となっている 法 人 税 などの 税 率 が 高 く 企 業 の 負 担 となる 投 資 先 としてのインセンティブにも 欠 ける インフラについては 特 に 電 気 料 金 が 非 常 に 高 く 収 益 を 圧 迫 している 道 路 や 海 上 輸 送 など 物 流 インフラの 整 備 も 遅 れており 物 流 効 率 に 影 響 する また 優 良 な 物 流 業 者 が 少 なく 品 減 りなどの 問 題 も 生 じている 治 安 が 悪 いことも 事 業 環 境 としては 懸 念 材 料 となる 4. 日 本 企 業 の 市 場 参 入 にあたっての 機 会 課 題 の 整 理 外 資 規 制 は 限 られているにもかかわらず 独 資 で 進 出 している 外 資 は 無 く 規 制 以 外 に 事 業 経 営 の 障 壁 となる 事 項 が 存 在 すると 考 えられ それが 日 本 企 業 にとっての 課 題 となる 小 売 業 や 食 品 など 関 連 業 界 が 大 手 企 業 の 寡 占 的 状 態 にあり 外 資 は 不 利 な 立 場 におかれ ることが 多 い どのように 競 争 優 位 性 を 構 築 し 維 持 するかが 課 題 となる 中 間 層 の 購 買 力 が 低 いため 顧 客 戦 略 や 商 品 戦 略 の 方 向 付 けが 難 しい 一 方 経 営 体 力 と 小 売 ノウハウを 持 つ 現 地 パートナー 候 補 が 存 在 することは 提 携 など の 形 での 市 場 参 入 を 検 討 する 場 合 はポジティブな 要 素 となる また 今 後 流 通 業 が 発 展 する 過 程 で 高 度 や 物 流 や 商 品 管 理 ノウハウを 持 つ 日 本 企 業 が 強 みを 発 揮 できる 機 会 がある 1

第 一 章 マクロ 分 析... 4 1. フィリピンの 人 口 状 況... 4 2. 経 済 環 境... 5 3.フィリピン 特 有 の 経 済 環 境... 6 (1) 海 外 就 労 者... 6 (2) 財 閥...8 4. 小 売 業 環 境... 9 (1) 小 売 市 場 規 模... 9 (2) 小 売 業 態... 10 (3) 主 要 小 売 企 業... 10 (4) 外 資 小 売 業 の 参 入 状 況... 12 (5) 消 費 者 構 造... 13 (6) 消 費 者 特 性... 14 (7) 流 通 構 造... 15 第 二 章 参 入 時 の 課 題... 17 1. 外 資 小 売 業 に 対 する 市 場 参 入 規 制... 17 (1) フィリピン 小 売 市 場 開 放 の 歴 史... 17 (2) 外 資 小 売 業 参 入 規 制 の 現 状... 17 2. その 他 の 規 制 状 況... 20 第 三 章 参 入 後 の 課 題... 22 1. 人 材 と 労 務 に 関 する 問 題... 22 (1) 雇 用 義 務... 22 (2) 離 職 率... 23 (3) 労 務 管 理... 24 2. 税 制... 24 3. インフラ... 25 (1) 電 力... 25 (2) 物 流 インフラ... 26 (3) 物 流 に 関 するその 他 の 課 題... 27 4. フランチャイズ 事 業 に 関 係 する 課 題... 27 5. 治 安... 28 第 四 章 日 本 企 業 の 市 場 参 入 にあたっての 課 題 と 機 会... 29 1. 参 入 の 課 題... 29 (1) 見 えない 参 入 障 壁... 29 2

(2) 顧 客 及 び 商 品 戦 略... 29 2. 参 入 の 機 会... 30 (1) パートナー 候 補 の 存 在... 30 (2) 発 展 段 階 の 流 通 業... 30 (3) CVS... 30 3

第 一 章 マクロ 分 析 1. フィリピンの 人 口 状 況 フィリピンの 人 口 は 約 8,800 万 人 毎 年 約 2% 強 の 割 合 で 増 加 しており 2008 年 には 9000 万 人 を 突 破 する 見 込 みとなっている 人 口 の 60% 弱 がルソン 島 に 居 住 してお り そのうち マニラ 首 都 圏 の 人 口 は 約 1,000 万 人 でフィリピン 最 大 の 経 済 圏 である 全 国 世 帯 数 は 約 1750 万 世 帯 で 5 人 家 族 が 平 均 的 な 世 帯 となっている 年 齢 構 成 を 見 る と 平 均 年 齢 は 21 歳 と 非 常 に 若 く 20 歳 以 下 が 人 口 の 半 数 近 くを 占 めている 小 売 業 の 観 点 から 見 れば 消 費 を 先 導 する 層 がこれから 育 つと 考 えられ 現 在 の 若 年 層 をどう 取 り 込 んでいくかが 将 来 の 鍵 となる 図 表 1 フィリピンの 年 齢 別 人 口 構 成 (2007 年 ) 男 80 + 75-79 70-74 65-69 60-64 55-59 50-54 45-49 40-44 35-39 30-34 25-29 20-24 15-19 10-14 5-9 0-4 女 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 ( 千 人 ) 出 所 :U.S. Census Bureau, International Data Base 4

2. 経 済 環 境 フィリピンの 2007 年 GDP は 対 前 年 伸 び 率 7.3%で 約 6 兆 6,513 億 ペソ( 約 18 兆 円 )であった 2006 年 以 前 の 過 去 5 年 の 成 長 率 が 4%から 6%であったことを 鑑 みると 2007 年 は 比 較 的 高 い 経 済 成 長 を 果 たしたことになる 図 表 2.フィリピン 名 目 GDP と 実 質 成 長 率 の 推 移 ( 百 万 ペソ) 10,000,000 9,000,000 8,000,000 7,000,000 6,000,000 5,000,000 4,000,000 3,000,000 2,000,000 1,000,000 0 7.3% 6.0% 5.3% 5.4% 6,651,320 4.5% 6,032,624 5,437,905 4,871,555 4,316,402 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 8% 7% 6% 5% 4% 3% 2% 1% 0% 出 所 :Philippines National Statistics Office データを 元 に MURC 作 成 GDP の 産 業 別 構 成 比 を 見 ると サービス 業 が 53%と 最 大 ウェイトを 占 めており 第 三 次 産 業 を 軸 とした 成 長 がフィリピン 経 済 の 特 徴 と 言 える 2000 年 頃 から DELL などの 欧 米 系 IT 企 業 がフィリピンに 相 次 いでコールセンター を 設 立 し 多 くの 雇 用 を 生 み 出 しており コールセンターなどのビジネスプロセスアウト ソーシング( 以 下 BPO) 分 野 が 新 しい 産 業 として 成 長 している 英 語 がタガログ 語 と 並 んで 公 用 語 となっており 英 語 人 材 が 豊 富 なこともあり 今 後 も 工 業 中 心 に 発 展 し ている 中 国 やベトナム 型 というよりは BPO 産 業 IT サービス 産 業 で 発 展 しているイ ンド 型 の 成 長 を 志 向 していくと 考 えられる GDP を 支 出 面 から 見 ると 民 間 消 費 支 出 が 約 70% 以 上 を 占 めている 2007 年 には 海 外 就 労 者 からの 送 金 額 が 過 去 最 高 となるなど 家 計 が 潤 い 人 々の 消 費 意 欲 も 高 まって いると 考 えられる 但 し 固 定 資 本 形 成 の 比 率 は 15%と 低 く 固 定 資 本 への 投 資 が 活 発 でないことが 伺 える 経 済 産 業 インフラ 整 備 の 進 む 中 国 の GDP に 占 める 固 定 資 本 形 成 の 割 合 は 30~40% 台 で 推 移 しているのとは 対 照 的 である 消 費 経 済 は 堅 調 であり また 経 済 成 長 にも 弾 みがついていることから 小 売 業 にとって は 好 ましい 経 済 環 境 にあるが 依 然 未 熟 なインフラなどの 事 業 環 境 の 整 備 が 今 後 どう 進 むかが 懸 念 材 料 となる 注 : 円 換 算 レートは1ペソ=2.7 円 (2008 年 3 月 現 在 ) 次 頁 以 下 も 同 様 5

図 表 3.GDP に 占 める 生 産 と 支 出 の 構 成 (2007 年 ) GDP 産 業 別 構 成 ( 百 万 ペソ) 4,000,000 3,500,000 3,000,000 2,500,000 2,000,000 1,500,000 1,000,000 2,305,562 1,378,870 631,970 2,593,032 1,544,351 734,171 2,922,685 1,735,148 780,072 3,269,192 1,907,980 3,631,243 2,082,735 855,452 937,342 サービス 業 55% 工 業 31% 農 林 水 産 業 14% 500,000 0 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 GDP 支 出 別 構 成 ( 百 万 ペソ) 5,000,000 4,500,000 4,000,000 3,500,000 3,000,000 2,500,000 2,000,000 1,500,000 1,000,000 500,000 0 2,988,240 3,346,716 3,773,038 4,226,120 726,611 815,981 793,989 864,531 4,615,831 980,002 政 府 消 費 支 出 477,411 492,110 521,664 587,463 654,132 10% 2003 2004 2005 2006 2007 民 間 消 費 支 出 69% 固 定 資 本 形 成 15% ( 年 ) 出 所 :Philippines National Statistics Office データを 元 に MURC 作 成 3.フィリピン 特 有 の 経 済 環 境 (1) 海 外 就 労 者 フィリピン 経 済 と 社 会 を 理 解 する 上 で 欠 かせないのが 海 外 就 労 者 の 存 在 である OFW(Overseas Filipino Worker)と 呼 ばれる 海 外 出 稼 ぎ 労 働 者 は 現 在 150 万 人 以 上 おり アジアや 中 東 諸 国 を 中 心 に 世 界 各 国 で 就 労 しフィリピンに 送 金 をしている 2006 年 の 海 外 就 労 者 からの 送 金 額 は 125 億 USD 2007 年 は 約 140 億 USD となった 見 込 み で その 規 模 は GDP のおよそ 1 割 を 占 める 実 際 フィリピンの 貿 易 収 支 は 長 年 赤 字 であり 2006 年 も 約 76 億 ドルの 赤 字 であっ 6

たが 海 外 就 労 者 からの 125 億 USD の 送 金 により 経 常 収 支 は 約 50 億 USD の 黒 字 となっている 正 に 海 外 就 労 者 がフィリピン 経 済 を 支 えていると 言 える 海 外 からの 送 金 はフィリピン 国 民 の 家 計 を 支 えており 消 費 者 の 購 買 力 を 賃 金 水 準 以 上 に 押 し 上 げている 図 表 4.OFW からの 送 金 総 額 推 移 と GDP に 占 める 割 合 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 9.0% 6,886 9.5% 9.8% 8,550 7,578 10.8% 10,689 10.9% 12,761 11.1% 14,000 12.0% 10.0% 8.0% 6.0% 6,000 4,000 2,000 4.0% 2.0% 0 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 予 測 0.0% 出 所 :Philippines Overseas Employment Administration データを 元 に MURC 作 成 海 外 就 労 者 からの 送 金 の 恩 恵 を 最 も 受 けているのは マニラ 首 都 圏 などの 都 市 部 であ る 海 外 就 労 者 の 出 身 地 構 成 を 見 ると 約 4 割 がマニラ 首 都 圏 及 びその 周 辺 のカラバル ゾン 地 域 出 身 であり 就 労 者 1 人 当 たりの 送 金 額 が 一 定 と 仮 定 すると マニラ 首 都 圏 と カラバルゾン 地 域 にそれぞれ 25 億 USD 余 りが 送 金 されていることになる 一 世 帯 当 たりでは 年 間 約 1,150USD を 受 け 取 っている 計 算 となる マニラ 首 都 圏 やその 周 辺 部 は 元 々 経 済 が 最 も 発 達 しており 賃 金 水 準 も 高 いが 海 外 就 労 者 からの 送 金 が 集 中 することで 首 都 圏 の 経 済 を 底 支 えし 人 々の 購 買 力 を 一 層 上 げ ていると 考 えられる 7

図 表 5.OFW の 出 身 地 構 成 からみる 首 都 圏 世 帯 への 送 金 実 態 ダバオ 3% 中 部 ヴィサヤ 5% カガヤンバレー 5% イロコス 8% 西 部 ヴィサヤ 9% 首 都 圏 (メトロ マニラ) 18% 中 部 ルソン 14% カラバルゾン 18% マニラ 首 都 圏 約 220 万 世 帯 が 総 額 25 億 ドルを 受 け 取 る カラバルゾン 地 域 約 220 万 世 帯 が 総 額 25 億 ドルを 受 け 取 る 出 所 :Philippine Overseas Employment Administration, National Statistics Office を 元 に MURC 作 成 (2) 財 閥 フィリピン 経 済 を 理 解 する 上 でもう 一 点 重 要 な 要 素 は 財 閥 の 存 在 である フィリピ ンの 企 業 数 は 74 万 社 余 り(2001 年 )であるが そのうち 従 業 員 9 人 以 下 の 零 細 企 業 が 90% 以 上 を 占 めており 従 業 員 200 人 以 上 若 しくは 土 地 を 除 く 総 資 産 額 1 億 ペソ 以 上 の 大 規 模 事 業 者 は 全 体 の 0.4% 3,000 社 程 しかない その 中 で 大 きな 力 を 持 ち 経 済 を 握 っているのが 少 数 の 巨 大 財 閥 である フィリピンの 財 閥 は スペイン 系 財 閥 と 中 華 系 財 閥 に 分 かれる スペイン 系 財 閥 は 昔 の 大 地 主 であり 所 有 する 農 地 や 土 地 を 元 にした 不 動 産 開 発 を 主 軸 として 成 長 し その 後 事 業 の 多 角 化 を 進 め 現 在 では 多 くの 事 業 を 傘 下 にもつコングロマリットとなってい る 代 表 的 グループにはアヤラ 財 閥 がある 一 方 商 業 分 野 で 大 きな 力 を 持 つのが 中 華 系 財 閥 である SM グループやゴコンウェ イ(Gokongwei)グループがその 代 表 で 複 数 業 態 の 小 売 事 業 を 持 ち 所 謂 組 織 化 された 近 代 的 小 売 業 界 を 主 導 している 現 在 では スペイン 系 財 閥 と 同 様 不 動 産 開 発 食 品 製 造 金 融 など 多 くの 事 業 を 傘 下 に 持 ち 小 売 業 界 のみならず 商 業 産 業 界 に 大 きな 影 響 力 を 持 つ フィリピンで 事 業 を 行 う 場 合 は 事 業 の 多 くの 場 面 でこれら 財 閥 との 関 りを 避 けて 通 ることは 出 来 ない 特 に 外 資 企 業 であれば 財 閥 企 業 との 付 き 合 い 方 により 現 地 での 成 功 が 左 右 されることも 有 り 得 る 実 際 現 在 フィリピンに 参 入 している 外 国 小 売 ブラン ドの 多 くは 財 閥 企 業 と 何 らかの 提 携 をして 事 業 を 行 っている 8

図 表 6.フィリピンの 主 要 財 閥 名 称 業 種 主 要 傘 下 企 業 スペイン 系 アヤラ 財 閥 銀 行 食 品 通 信 不 動 産 保 健 中 華 系 ゴコンウェイ 財 閥 航 空 小 売 食 品 石 油 化 学 繊 維 通 信 不 動 産 シー 財 閥 銀 行 デパート 不 動 産 建 築 他 コファンコ 財 閥 ユーチェンコ 財 閥 ルシオ タン 財 閥 ロペス 財 閥 食 品 冷 凍 加 工 食 肉 養 鶏 飼 料 他 銀 行 建 設 自 動 車 保 険 銀 行 航 空 タバコ 農 園 ビール 高 速 道 路 水 道 電 力 通 信 出 所 : 各 種 資 料 各 社 HP などより MURC 作 成 小 売 その 他 小 売 その 他 小 売 その 他 小 売 その 他 小 売 その 他 小 売 その 他 小 売 その 他 Ayala Mall Ayala Corp.( 持 株 会 社 ) Bank of Philippine Island( 銀 行 ) Pure Foods( 食 品 ) Globe Telecom( 通 信 ) Manila Water Company( 水 道 ) 他 Robinsons Supermarket Robinsons Convenience stores JG Summit Holdings( 持 株 会 社 ) Robinson s Land( 不 動 産 ) Universal Robina( 食 品 ) Digital telecom Philippines( 通 信 ) Cebu Pacific( 航 空 ) 他 Shoe Mart(デパート) SM Prime Holdings( 持 株 会 社 ) Banco de Oro ( 銀 行 ) China Bank( 銀 行 ) SM Development ( 不 動 産 ) 他 San Miguel( 食 品 ) 他 House of Investments ( 持 株 会 社 ) Rizal commercial Banking Corp. ( 銀 行 ) Great Pacific Life Assurance( 生 保 ) EEI Corp.( 建 設 ) Share Holdings( 持 株 会 社 ) Philippine Airlines ( 航 空 ) Allied Banking Corp. ( 銀 行 ) Philippine National Bank( 銀 行 ) Fortune Tobacco(タバコ) Benpres Holding( 持 株 会 社 ) Manila Electric Com./MERALCO ( 電 力 ),Maynilad Water System( 水 道 ) ABS-CBN( 通 信 ) 4. 小 売 業 環 境 (1) 小 売 市 場 規 模 フィリピン 国 家 統 計 局 による 2006 年 家 計 調 査 の 世 帯 支 出 総 額 から 推 測 した 小 売 市 場 規 模 は 約 1 兆 3,700 億 ペソ( 約 3.7 兆 円 )であった 2003 年 からの 3 年 間 の 年 平 均 成 長 率 は 7.9%と 物 価 上 昇 率 (2006 年 3.6%)を 上 回 る 伸 びを 示 しており 市 場 は 拡 大 傾 向 にある 消 費 構 成 は 食 品 飲 料 が 約 80%を 占 め 食 料 飲 料 が 小 売 市 場 において 最 大 のカテゴリーとなっている エンゲル 係 数 も 42%であり 日 本 の 23% 前 後 と 比 較 する と 非 常 に 高 く フィリピンの 所 得 水 準 がまだ 低 く 消 費 の 大 半 が 食 飲 料 費 であることが 伺 える 地 域 的 には メトロ マニラ 首 都 圏 が 最 大 の 消 費 圏 であり 推 定 小 売 市 場 は 約 3,252 億 ペソ( 約 8,900 億 円 )と 全 国 市 場 の 約 24%を 占 める 9

図 表 7 フィリピン 世 帯 総 支 出 額 から 推 計 する 小 売 市 場 規 模 全 国 マニラ 首 都 圏 品 目 の 市 場 構 成 比 小 売 市 場 規 模 1,368,642 325,206 100% 食 品 飲 料 1,079,023 256,389 79% パーソナルケア 94,831 22,533 7% 家 具 家 庭 用 品 74,327 17,661 5% 衣 料 靴 61,512 14,616 4% ギフトなど 35,882 8,526 3% 煙 草 23,067 5,481 2% ( 参 考 ) 世 帯 総 支 出 額 2,563,000 609,000 注 : 首 都 圏 小 売 市 場 規 模 については 首 都 圏 世 帯 支 出 総 額 を 元 に 世 帯 支 出 科 目 構 成 比 が 全 国 平 均 と 同 じと 仮 定 し 推 計 出 所 :Philippines National Statistics Office データより MURC 作 成 (2) 小 売 業 態 フィリピンでは 小 売 事 業 者 の 約 90% 以 上 が 零 細 事 業 者 であり 所 謂 パパママスト アと 呼 ばれる 個 人 商 店 が 国 民 の 主 要 な 物 品 購 入 チャネルとなっている 流 通 業 において 資 産 総 額 1 億 ペソ( 約 2.7 億 円 ) 以 上 若 しくは 従 業 員 200 人 以 上 の 大 規 模 事 業 者 はわず か 300 百 社 あまり(2001 年 時 点 )と 少 ない 組 織 化 された 近 代 小 売 業 では HM SM CVS ショッピングモール 百 貨 店 など の 業 態 が 存 在 する 特 徴 的 なのは マニラ 首 都 圏 を 中 心 に 多 くのショッピングモールが 開 発 されていることで その 数 は 大 小 含 め 100 箇 所 に 上 るといわれている 中 でも 地 場 財 閥 企 業 SM グループとロビンソンがモール 開 発 の2 大 企 業 であり SM は 約 40 箇 所 ロビンソンは 約 30 箇 所 のショッピングモールをオープンしている 大 型 モール には 内 外 ブランドの 専 門 店 や 百 貨 店 SM 飲 食 店 娯 楽 施 設 などが 入 りショッピン グとエンターテイメントの 複 合 施 設 として 賑 う SM 業 態 は 地 場 のロビンソン Big R などを 中 心 に 全 国 で 1000 店 以 上 の 店 舗 が ある CVS は 7-Evelen とミニストップが 業 界 トップ1 トップ2のプレーヤーで 両 社 合 わせて 800 店 余 りの 店 舗 がある 近 年 特 に 伸 びているのは HM 業 態 である 店 舗 数 は 未 だ 20 店 程 度 であるが 清 潔 で 品 揃 えの 良 い 店 舗 での 買 物 を 好 む 消 費 者 が 増 えており 従 来 型 の SM から 新 しい 大 型 HM へ 客 足 が 移 る 傾 向 にある 専 門 店 では ドラッグストアのチェーン 展 開 が 目 立 つ (3) 主 要 小 売 企 業 フィリピン 小 売 業 界 の 特 徴 としては 大 規 模 に 展 開 するプレーヤーが 少 なく 一 部 の 大 企 業 が 業 態 を 跨 り 大 きなシェアを 占 める 点 にある また そのような 大 企 業 の 多 くは 10

中 華 系 財 閥 企 業 である 財 閥 企 業 は 百 貨 店 SM モールなど 複 数 の 小 売 業 態 と 共 に 不 動 産 開 発 業 など 関 連 事 業 を 傘 下 に 持 ち 小 売 業 界 全 体 に 大 きな 影 響 力 を 持 つ 例 えば SM グループは 多 数 のショッピングモールのほか 百 貨 店 6 店 HM 及 び SM 約 10 店 などを 経 営 し ジョ イントベンチャーやライセンス 契 約 によりワトソン( 香 港 )やエースハードウェア(ア メリカ)など 外 資 ブランドもグループ 内 に 持 つ ゴコンウェイグループは ロビンソンのブランド 名 で 百 貨 店 25 店 SM31 店 ショ ッピングモール 27 箇 所 を 運 営 している また ジョイントベンチャーにより 日 本 の CVS ミニストップの 経 営 も 行 っており SM グループと 同 様 小 売 業 界 で 大 きなシェアを 握 る 単 独 ブランドでの 売 上 トップは ドラックストアチェーンのマーカリードラッグ (Mercury Drug) マニラを 中 心 に 500 店 以 上 を 展 開 し 2006 年 売 上 は 585 億 ペソ( 約 1,580 億 円 )であった 24 時 間 営 業 の 店 舗 も 多 く 食 品 雑 貨 も 備 えた CVS に 近 いスタ イルのドラッグストアである 図 表 8.フィリピン 主 要 小 売 企 業 及 びブランド 企 業 /グループ 業 態 ブランド 備 考 Mercury Drug Corp ドラックストア Mercury Drug Superstores 06 年 売 上 高 :58,532 百 万 ペソ 百 貨 店 SM Mart/ Department Store 06 年 売 上 高 :12,108 百 万 ペソ SM Group (SM Prime Holdings) モール HM SM SM Mall SM Supercenter SM City など SM Hypercenter SM Supermarket ドラックスドア Watson s 香 港 Watson s との JV Watson s Personal Care Store ハードウェアストア Ace Hardware 米 Ace Hardware との JV Ace Hardware Philippines Inc. ショッピングモール Robinsons Shopping Mall Robinsons グループ SM 百 貨 店 Robinsons Supermarket Robinsons Department Store CVS MINISTOP 三 菱 商 事 ミニストップとの JV Robinsons Convenience Stores Rustan Supercenters, Inc. 百 貨 店 Rustan s Department Store 06 年 売 上 高 :6,568 百 万 ペソ Philippine Seven Corp CVS セブンイレブン(7-Eleven) Ayala Land ショッピングモール ライフスタイルセン ター 注 : 売 上 高 は 公 表 されている 企 業 のみ 記 載 Ayala Malls Glorietta Shopping Center Greenbelt Ayala Center Cebu Bonifacio High Street TriNoma 06 年 売 上 高 :4,929 百 万 ペソ 台 湾 統 一 と 現 地 JV 出 所 :Philippines 5000 Industry Players 2007, 各 社 HP などより MURC 作 成 11

(4) 外 資 小 売 業 の 参 入 状 況 2000 年 以 降 基 本 的 に 小 売 市 場 は 外 資 企 業 に 開 放 されているものの 外 資 小 売 業 の 参 入 事 例 は 未 だ 少 ない 参 入 している 企 業 も 外 資 100%で 参 入 しているケースは 無 く 全 て 地 場 有 力 小 売 企 業 との 合 弁 か ライセンス 契 約 となっている 現 在 店 舗 展 開 している 外 資 小 売 は 日 本 のミニストップ 台 湾 統 一 が 出 資 する 7-ELEVEN 香 港 のワトソン(Watson Personal Care Stores) アメリカのホームハー ドウェア エースハードウェア(Ace Hardware) オランダのマクロ(Pilipinas Makro) など 数 社 に 限 られる ミニストップは 三 菱 商 事 とゴコンウェイグループのロビンソン (Robinsons)との 合 弁 7-ELEVEN は 台 湾 統 一 と 地 場 企 業 との 合 弁 ワトソン エ ースハードウェア マクロの 3 社 は 地 場 財 閥 SM グループとの 合 弁 となっている なお マクロについてはその 後 SM グループによって 買 収 されている その 他 イギリスの 百 貨 店 マークス&スペンサー(Marks&Spencer) ボディショッ プ(The Body Shop)などは 地 場 企 業 とのエリアライセンス 契 約 によるブランド 進 出 を 果 たしている 外 資 の 本 格 参 入 が 少 ない 理 由 の 一 つとしては 財 閥 系 などの 国 内 大 手 小 売 業 者 が 大 き な 力 と 資 金 力 を 持 ち 且 つ 小 売 ノウハウも 蓄 積 していることから 外 資 参 入 に 対 する 余 地 が 少 ない 点 が 指 摘 される また 参 入 したとしても 小 売 業 には 極 めて 重 要 な 店 舗 立 地 に 関 して 大 手 小 売 グループが 好 条 件 の 土 地 や 物 件 を 押 さえていることも 制 約 となると 考 えられる 実 際 参 入 済 みの 外 資 系 百 貨 店 や 専 門 店 は 独 自 で 独 立 店 舗 を 構 えるのでは なく 現 地 大 手 小 売 業 と 提 携 し 相 手 側 が 開 発 したショッピングモールへ 入 居 する 形 を 取 っている 一 方 市 場 環 境 面 では 中 間 層 が 育 っていないため ターゲットをどう 設 定 するかが ネックとなる 日 系 企 業 が 一 般 的 にアジア 新 興 市 場 に 参 入 する 場 合 上 位 中 間 層 以 上 を ターゲットとして 品 質 やサービス ブランドを 重 視 した 商 品 や 日 本 的 な 商 品 を 比 較 的 高 い 価 格 設 定 で 提 供 し 地 場 小 売 業 との 差 別 化 を 図 る 戦 略 を 取 る 場 合 が 多 い 仮 にフィ リピンでも 同 様 の 戦 略 を 進 出 した 場 合 に 多 少 の 価 格 差 には 目 を 瞑 っても 付 加 価 値 の 高 い 食 品 日 用 雑 貨 を 購 入 する 層 がどれほどいるのか その 見 極 めが 難 しい 業 界 構 造 的 問 題 では サプライヤー 側 の 力 が 強 く 価 格 交 渉 力 が 持 ち 難 いことと 国 内 小 売 業 との 価 格 競 争 が 厳 しいことに 起 因 する 低 収 益 構 造 や サプライヤーが 固 定 してい るため 規 模 のメリットを 活 かす 購 買 チャネルの 構 築 が 難 いことなどが 考 えられる 撤 退 した 例 としては 前 述 のマクロや 米 百 貨 店 JC ペニー(JC Penny)などがある JC ペニーについては マニラ 市 内 のショッピングモール 内 に 出 店 したが 同 モール 内 の 中 小 規 模 専 門 店 との 価 格 競 争 に 勝 てなかったことや 衣 料 品 などの 商 品 設 定 がフィリ ピン 消 費 者 に 受 け 入 れられなかったことなどが 撤 退 を 招 いた 原 因 と 言 われている 12

(5) 消 費 者 構 造 フィリピンでは 所 得 格 差 が 大 きく 消 費 者 は 一 部 の 高 所 得 者 層 と 大 多 数 の 低 所 得 者 層 の 2 極 構 造 となっている 階 層 に 分 ければ 中 間 に 当 たる 層 も 所 得 水 準 は 低 く 購 買 力 が あるとは 言 い 難 い 消 費 の 核 となるべき 本 当 の 中 間 層 が 十 分 に 育 っていないのが 現 状 で ある 全 国 の 平 均 世 帯 月 収 は 14,000 ペソ( 約 38,000 円 )であるが 全 世 帯 のうち 下 位 40%が 月 6,000 ペソ( 約 16,000 円 ) 前 後 からそれ 以 下 の 生 活 を 送 っている その 上 の 40%の 世 帯 月 収 は 月 10,000~15,000 ペソ( 約 27,000 円 ~40,000 円 ) 階 層 的 にはこ の 層 が 中 間 層 となるが 平 均 家 族 5 人 をこの 額 で 養 うことを 考 えると その 購 買 力 は 限 られる この 中 間 層 の 更 に 上 の 10%が 24,000 ペソ( 約 65,000 円 )で 比 較 的 高 所 得 世 帯 となり 残 りのトップ 10%が 世 帯 月 収 52,000 ペソ( 約 140,000 万 円 ) 以 上 の 高 所 得 者 層 から 富 裕 層 となる 外 資 小 売 企 業 のターゲットと 成 り 得 るのは 高 級 品 では 上 位 20%の 富 裕 層 から 高 所 得 者 層 一 般 消 費 財 では 月 収 15,000 ペソ 程 度 までの 上 位 中 間 層 と 考 えられる 世 帯 支 出 を 見 ると 上 位 20%が 全 世 帯 支 出 額 の 50%を 担 っており 単 純 に 言 えば 上 位 20% をターゲットとすることで 市 場 の 5 割 を 狙 うことが 出 来 る 地 域 的 には マニラ 首 都 圏 がターゲットとなる マニラ 首 都 圏 の 平 均 世 帯 月 収 は 約 26,000 ペソ( 約 70,000 円 )と 全 国 平 均 の 倍 近 く 比 較 的 購 買 力 のある 層 は 首 都 圏 に 集 中 していると 考 えられる 図 表 9. フィリピン 世 帯 平 均 収 入 と 支 出 世 帯 数 構 成 比 Rich 10% Upper 10% 収 入 支 出 平 均 世 帯 月 収 平 均 世 帯 支 出 全 世 帯 支 出 に 占 める 構 成 比 52,000ペソ 以 上 39,000ペソ 31% 24,000ペソ Middle 40% Lower 40% ~Poor 15,000ペソ Upper Middle 20% 10,000ペソ Lower Middle 20% 6,000ペソ 3,400ペソ 全 国 平 均 約 14,000ペソ 20,000ペソ 14,000ペソ 9,000ペソ 6,000ペソ 3,600ペソ 17% 36% 16% 所 得 階 層 別 世 帯 構 成 全 国 世 帯 支 出 所 得 階 層 別 構 成 出 所 :Philippines national Statistics office 2006 年 データより MURC 作 成 13

(6) 消 費 者 特 性 フィリピンの 消 費 者 の 特 徴 として 消 費 性 向 が 非 常 に 高 いことが 挙 げられる 所 謂 宵 越 しの 銭 は 持 たない という 風 潮 があり 海 外 就 労 者 から 送 金 された 金 も 含 めて 手 元 に ある 金 のほとんどを 消 費 に 回 す 傾 向 が 強 い 世 界 各 国 の 家 計 消 費 支 出 額 を 比 較 したデー タでも フィリピンの 消 費 性 向 はアジア 諸 国 の 中 で 最 も 高 く 世 界 でも 第 2 位 となって いる また この 傾 向 は 所 得 水 準 に 関 係 なく 全 ての 層 に 当 てはまり 下 位 所 得 層 に 至 っ ては 収 入 以 上 に 消 費 している 小 売 業 にとっては 好 ましい 傾 向 と 言 え 低 所 得 者 向 けの 商 品 開 発 や 販 売 方 法 によっては 下 の 層 も 取 り 込 める 可 能 性 もある 14

図 表 10.GDP に 占 める 家 計 消 費 支 出 割 合 国 別 比 較 (2006 年 ) フィリピン 70.4% インド インドネシア 63.7 62.7 タイ 日 本 56.1 55.4 マレーシア シンガポール 中 国 40.2 38.6 43.7 出 所 :IMD World Competitiveness Yearbook 2007 を 元 に MURC 作 成 図 表 11.フィリピン 世 帯 収 入 階 層 別 貯 蓄 率 (2006) 平 均 世 帯 年 収 ( 千 ペソ) 620 300 200 155 120 100 8% 6% 5% 12% 16% 26% 80 65 50 30-9% -2% -2% 2% 出 所 :Philippines National Statistics Office データを 元 に MURC 作 成 一 説 によれば 高 い 消 費 性 向 の 背 景 にはフィリピン 社 会 に 浸 透 する 施 し の 精 神 とそれに 基 づく 慣 習 即 ち 持 てる 者 が 持 たない 者 に 援 助 をするのが 当 然 という 慣 習 が あるとも 言 われている つまり 金 銭 的 に 余 裕 があれば 親 戚 や 周 りの 金 銭 的 に 苦 しい 人 に 与 えるため 結 局 手 元 に 金 は 残 らない それであれば 使 ってしまおうという 考 え 方 で ある (7) 流 通 構 造 組 織 化 された 近 代 的 小 売 業 に 関 しては 中 間 卸 業 者 が 発 達 しておらずチャネル 構 造 は 比 較 的 単 純 である 小 売 業 は メーカーから 直 接 仕 入 れるか 若 しくはディストリビュー ターを 一 段 階 経 て 仕 入 れる 食 品 に 関 しては 日 本 のような 大 規 模 な 食 品 卸 は 存 在 しない 15

模 様 である 食 飲 料 や 消 費 財 などの 業 界 が 一 部 大 手 メーカーの 寡 占 状 態 となっているため 相 対 的 にメーカー 側 が 価 格 支 配 権 を 握 る 構 造 にあり 交 渉 力 の 弱 い 小 売 側 は 低 粗 利 となるケー スが 多 い 例 えば フィリピン 最 大 の 食 品 飲 料 メーカー サンミゲル(San Miguel) 社 の 国 内 シェアは ビール 約 90% 清 涼 飲 料 約 90% 加 工 肉 分 野 で 約 60%など 国 内 食 品 市 場 で 強 大 な 力 を 持 ち 外 資 大 手 のユニリーバ(Unilever) ネッスル(Nestle)な ども 食 品 消 費 財 分 野 でシェアを 押 さえており 強 い 交 渉 力 を 持 つ メーカー 側 が 寡 占 状 態 にあるのに 対 し 小 売 側 は 小 規 模 個 人 商 店 を 含 めれば 50 万 店 近 くある サプライヤーにとってはチャネルは 膨 大 にあるとも 言 え 地 場 有 力 小 売 や 百 店 単 位 で 展 開 する 企 業 で 無 い 限 り 小 売 側 の 価 格 交 渉 力 は 弱 い 業 態 にもよるが 粗 利 水 準 は 22%から 25% 程 度 と 言 われている 両 社 の 力 関 係 は 商 品 供 給 にも 現 れており メーカーは 大 手 であっても 安 定 供 給 に 対 す る 意 識 が 薄 い 在 庫 切 れなどの 理 由 により 突 然 の 商 品 供 給 が 止 まることや 納 品 が 遅 れ ることが 少 なくない メーカーと 小 売 業 との 取 引 方 法 としては 棚 貸 し 販 売 の 形 態 をとるケースが 多 い 商 品 取 扱 や 商 品 陳 列 などに 対 するメーカーから 小 売 へのリベートの 慣 習 は 一 般 化 してい ないようであるが 広 告 費 という 形 で 小 売 店 へコミッションを 払 っている 流 通 構 造 が 卸 を 介 さずシンプルであるということは 流 通 業 の 発 展 が 遅 れているとも 言 える 適 正 な 中 間 流 通 構 造 と 物 流 機 能 が 存 在 しないために 小 売 事 業 者 は 各 メーカ ーとの 交 渉 や 仕 入 れ 業 務 のやり 取 り 物 流 の 手 配 まで 全 て 自 社 で 行 わなければならず 業 務 は 煩 雑 化 し 非 効 率 でもある 外 資 にとっては 大 規 模 展 開 を 見 据 え 自 社 で 調 達 物 流 網 を 構 築 する 覚 悟 がある 企 業 でなければ 川 中 流 通 が 機 能 していない 市 場 への 独 自 参 入 はハードルが 高 い 今 後 日 系 小 売 業 が 参 入 し 易 い 環 境 を 模 索 する 上 では 川 中 流 通 産 業 の 育 成 も 一 つの 課 題 となると 思 われる 16

第 二 章 参 入 時 の 課 題 1. 外 資 小 売 業 に 対 する 市 場 参 入 規 制 (1) フィリピン 小 売 市 場 開 放 の 歴 史 1954 年 の 小 売 業 国 民 化 法 (The Retail Nationalization Act of 1954 )により 長 年 フィリピンの 小 売 市 場 への 外 資 参 入 は 禁 止 されてきた しかし 2000 年 に 成 立 した 小 売 自 由 化 法 (The Retail Trade Liberalization Act of 2000)により 規 制 は 大 きく 緩 和 さ れ 外 資 の 市 場 参 入 が 可 能 となった 自 由 化 法 施 行 後 2 年 間 は 外 資 の 株 式 保 有 比 率 は 60% 未 満 に 制 限 されていたが 2002 年 からは 条 件 付 きながら 外 資 100%での 参 入 も 可 能 となっている (2) 外 資 小 売 業 参 入 規 制 の 現 状 現 在 外 資 企 業 が 市 場 参 入 するためには 満 たさなければならない 条 件 が 幾 つかある 第 一 に 払 込 資 本 金 が 250 万 ドル 以 上 でなければならない 2007 年 1 月 発 効 の 第 7 次 ネガティブリストにも 払 込 資 本 金 額 が 250 万 USD 以 下 の 小 売 業 が 参 入 禁 止 分 野 に 入 っており この 資 本 金 額 が 外 資 企 業 の 参 入 が 認 められる 基 本 条 件 となる その 他 一 店 舗 当 たりの 投 資 額 条 件 が 83 万 USD 以 上 であることや 親 会 社 の 純 資 産 が 2 億 USD 以 上 であることなどの 資 金 面 についての 条 件 があり 特 に 中 規 模 以 下 の 外 資 小 売 業 にと っては 厳 しい 参 入 条 件 となる 参 入 後 についても 営 業 開 始 8 年 以 内 に 30% 以 上 の 株 式 公 開 することを 求 めるなど の 事 業 に 対 する 制 約 がある 次 頁 に 小 売 自 由 化 法 に 定 められた 外 資 参 入 にあたっての 条 件 を 示 す 17

図 表 12. 小 売 自 由 化 法 による 外 資 参 入 条 件 参 入 条 件 小 売 業 奢 侈 品 小 売 業 ( 高 級 ブランド 品 など) 資 本 規 制 店 舗 設 置 親 会 社 株 式 公 開 現 地 調 達 払 込 資 本 金 250 万 USD 以 上 現 地 企 業 買 収 の 場 合 は 買 収 対 象 企 業 の 純 資 産 が 250 万 USD 以 上 1 店 舗 83 万 USD 以 上 の 投 資 1 純 資 産 2 億 USD 以 上 2 世 界 で 5 箇 所 以 上 の 直 営 若 しくはフランチャイズ 店 を 有 するか 資 本 金 が 25 万 USD 以 上 の 店 舗 を 1 店 以 上 有 する 35 年 間 の 営 業 実 績 を 持 つ 4 親 会 社 の 登 記 国 がフィリピン 資 本 の 小 売 業 参 入 を 認 めている 外 資 比 率 が 80% 以 上 の 場 合 営 業 開 始 後 8 年 以 内 に 最 低 30%の 株 式 を 国 内 株 式 市 場 にて 公 開 する 本 法 施 行 後 10 年 間 (2010 年 まで)は 金 額 ベース で 在 庫 の 最 低 30%をフィリピン 産 品 とする 1 店 舗 につき 払 込 資 本 金 25 万 USD 以 上 純 資 産 5,000 万 USD 以 上 条 件 なし フィリピン 産 品 最 低 10% 出 所 :ジェトロ HP などを 元 に MURC 作 成 18

図 表 13. 小 売 自 由 化 法 案 抜 粋 法 規 正 式 名 称 :Republic Act No.8762 An Act Liberalizing the Retail Trade business, Repealing for the Purpose Republic Act No.1180, As Amended, and forother purposes 通 称 :The Retail Trade Liberalization Act of 2000 小 売 自 由 化 法 制 定 :2000 年 3 月 2002 年 以 降 は250 万 米 ドル 以 上 で 独 資 可 能 参 入 に 関 する 資 本 条 件 但 し 未 だ 事 例 はない Section 5 外 資 本 の 参 入 フィリピンの 法 律 に 従 い 設 立 される 外 資 との 提 携 組 合 企 業 は Secuties and Exchange Commission (SEC) 及 びthe Department od Trade and industry(dti) 外 資 単 独 所 有 の 場 合 は DTIに 登 録 する 従 事 又 は 投 資 できる 小 売 事 業 は 以 下 の 分 野 に 限 られる カテゴリーA: フィリピンペソでの 払 込 資 本 金 が250 万 米 ドル 相 当 未 満 の 企 業 は フィリピン 人 及 びフィリピン 資 本 100%の 企 業 に 限 られる カテゴリーB: フィリピンペソでの 払 込 資 本 金 250 万 米 ドル 以 上 750 万 米 ドル 未 満 相 当 の 企 業 は 外 資 100% 保 有 が 可 能 但 し 本 法 施 行 後 2 年 間 は 外 資 の 株 式 保 有 比 率 は60% 未 満 に 制 限 される カテゴリーC: フィリピンペソでの 払 込 資 本 金 750 万 米 ドル 相 当 以 上 の 企 業 は 外 資 100% 保 有 が 可 能 但 し カテゴリーB 及 びCは 一 店 舗 設 置 の 投 資 額 がフィリピンペソで83 万 米 ドル 相 当 以 上 であることが 条 件 となる カテゴリーD: ハイエンド 若 しくは 奢 侈 品 に 特 化 した 企 業 は 一 店 舗 当 たりのフィリピンペソでの 払 込 資 本 金 が25 万 米 ドル 以 上 であれば 外 資 保 有 100%が 可 能 Section 6 ハイエンド(High-end) 或 いは 奢 侈 品 (Luxury goods) とは 生 活 維 持 に 必 要 のない 物 で 主 に 高 所 得 者 層 からの 需 要 であるものを 言 う これに 限 らないが 例 としては 宝 石 ブランドやデザイナーズブランドの 衣 服 や 靴 などアパレル レ ジャー スポーツ 用 品 電 気 製 品 その 他 身 の 回 り 品 など なお ハイエンド 奢 侈 品 の 定 義 は The Inter-Agency Committee on tariff and related Matters(NEDA)で 定 期 的 に 更 新 され る (Section8) 外 資 による 現 地 小 売 企 業 買 収 外 国 投 資 が 既 存 の 小 売 店 を 買 収 する 場 合 上 場 非 上 場 に 限 らず 買 収 対 象 フィリピン 企 業 は フィリピンペソで250 万 米 ドル 相 当 以 上 の 純 資 産 を 保 有 していなければならない 本 法 施 行 後 2 年 間 は 外 資 保 有 率 は 最 大 60%のまでとし それ 以 後 は 残 りの 比 率 を 取 得 することが 可 能 参 入 及 び 参 入 後 のその 他 条 件 Section 7 株 式 公 開 株 式 の80% 以 上 を 保 有 する 全 てのカテゴリーB 及 びCに 該 当 する 小 売 企 業 は 営 業 開 始 後 8 年 以 内 に フィリピンの 証 券 取 引 所 を 通 じ 最 低 30%の 株 式 を 公 開 しなければならない Section 8 外 国 企 業 の 条 件 下 記 の 条 件 を 満 たさない 外 国 小 売 企 業 はフィリピン 国 内 で 小 売 業 に 従 事 することは 出 来 ない (a) 親 会 社 の 純 資 産 がカテゴリーB 及 びCについて2 億 ドル 以 上 カテゴリーDについて5000 万 米 ドル 以 上 (b) 世 界 の 何 処 かに5 店 舗 以 上 の 支 店 ないしはフランチャイズを 有 する 若 しくは 資 本 金 2500 万 米 ドル 以 上 の 店 舗 を 少 なく とも 一 店 舗 保 有 している (c) 5 年 以 上 の 小 売 業 実 績 を 有 する (d) 登 記 国 がフィリピン 小 売 業 の 参 入 を 認 めていること Section 9 フィリピン 産 品 の 販 売 促 進 本 法 執 行 後 10 年 間 は カテゴリーB Cに 該 当 する 小 売 業 の 在 庫 総 金 額 の 最 低 30%を カテゴリーDは 最 低 10%をフィリピン 産 品 としなければならない Section 10 外 資 参 入 を 禁 止 する 活 動 車 などの 移 動 物 での 販 売 販 売 代 理 人 を 利 用 した 販 売 訪 問 販 売 レストランやサリサリストア 及 びこれらに 類 する 活 動 な ど 詳 細 のリストは The department of Trade and Industry ( 貿 易 産 業 省 )が 今 後 別 途 定 める 出 所 :ジェトロ HP などを 元 に MURC 作 成 19

図 表 14. 第 7 次 ネガティブリスト 抜 粋 Seventh Regular Foreign Investment Negative List 第 7 次 ネガティブリスト (2007 年 1 月 発 効 ) リストA 憲 法 又 は 特 別 法 により 外 資 が 規 制 されている 分 野 1. 外 資 参 入 禁 止 分 野 1 2 レコーディングを 除 くマスメディア 専 門 職 a. エンジニア( 詳 細 略 ) b. 医 療 関 連 ( 詳 細 略 ) c. 会 計 士 d. e. f. g. h. i. 建 築 士 犯 罪 捜 査 科 学 者 税 関 貨 物 取 扱 者 環 境 設 計 山 林 管 理 j. 地 質 調 査 k. 内 装 設 計 l. 景 観 設 計 m. 弁 護 士 n. 司 書 o. 船 舶 航 海 士 p. q. r. s. t. u. 船 舶 機 関 士 配 管 業 製 糖 社 会 福 祉 教 師 農 業 漁 業 v. 払 込 資 本 金 額 が250 万 米 ドル 以 下 の 小 売 業 協 同 組 合 民 間 警 備 会 社 小 規 模 鉱 業 3 4 5 6 7 8 9 10 11 爆 竹 その 他 花 火 製 品 の 製 造 群 島 内 領 海 内 排 他 的 経 済 海 域 内 の 海 洋 資 源 の 利 用 闘 鶏 場 の 所 有 運 営 経 営 核 兵 器 の 製 造 修 理 貯 蔵 流 通 生 物 化 学 放 射 線 兵 器 の 製 造 修 理 貯 蔵 流 通 出 所 :ジェトロ HP を 元 に MURC 作 成 2. その 他 の 規 制 状 況 中 国 などに 見 られるような 販 売 できる 商 品 を 制 限 する 営 業 品 目 規 制 はフィリピンに は 無 い 煙 草 酒 塩 雑 誌 などの 販 売 は 許 可 制 ではなく 自 由 に 扱 うことができる ま た 出 店 場 所 を 制 限 する 類 の 規 制 も 現 在 のところない 全 般 的 に 外 資 内 資 に 関 らず 小 売 業 に 関 する 法 規 制 は 現 在 のところ 十 分 に 整 ってい ない 不 公 正 な 取 引 を 抑 制 する 競 争 法 についても 包 括 的 なものは 無 く 関 連 規 制 として 価 格 法 (1992 年 制 定 ) 消 費 者 法 (1992 年 制 定 ) 改 正 刑 法 186 条 (1957 年 )がある のみである 小 売 や 食 品 などの 産 業 構 造 がある 意 味 いびつで 一 部 大 企 業 が 大 きな 力 を 持 つフィリピン 市 場 においては 不 公 正 取 引 を 発 生 させないための 包 括 的 な 法 を 導 入 する ことも 市 場 環 境 の 整 備 において 必 要 な 事 項 であると 思 われる 20

図 表 15. 競 争 関 連 法 抜 粋 改 正 刑 法 第 186 条 Art 186, Republic Act No.3815 An Act Revising the Penal Code and Other Penal Lows(1957 年 制 定 ) 価 格 法 Republic Act No.7581 The Price Act (1992 年 制 定 ) 消 費 者 法 Republic Act No.734 The Consumer Act of the Philippines (1992 年 制 定 ) 取 引 制 限 に 関 する 独 占 及 び 結 合 の 禁 止 カルテルの 禁 止 消 費 者 保 護 改 正 刑 法 第 86 条 価 格 法 消 費 者 法 ア. 以 下 の 行 為 は 禁 止 される (ア) 取 引 や 通 商 を 制 限 すること 若 しくは 市 場 における 自 由 競 争 を 人 為 的 手 段 を 用 いで 妨 げることを 目 的 として 契 約 若 しくは 結 合 に 参 加 する 者 特 定 の 商 品 に 関 する 製 造 若 しくは 流 通 を 独 占 し 生 産 高 を 規 制 若 しくは 支 配 し 販 売 を 制 限 し 価 格 を 固 定 若 しくは 維 持 し 競 争 を 抑 制 若 しくは 排 除 し 又 は 逆 に 自 由 競 争 状 態 による 正 常 な 取 引 過 程 を 妨 害 する 等 の 目 的 を 有 する 二 人 以 上 の 個 人 若 しくは 法 人 によるトラスト プール 若 しくは その 他 の 連 合 が これに 当 たる (イ) 虚 偽 の 噂 を 広 め 若 しくは 市 場 における 競 争 を 制 約 する 策 略 を 用 い 価 格 を 変 更 することを 目 的 と して 取 引 若 しくは 通 商 の 対 象 物 若 しくは 商 品 を 独 占 しようとする 者 かかる 物 品 若 しくは 商 品 を 独 占 するために 第 三 者 と 結 合 しようとする 者 当 該 取 引 に 対 する 排 他 的 権 利 若 しくは 排 他 的 支 配 を 請 求 する 場 合 及 びかかる 権 利 および 支 配 から 他 の 者 をすべて 排 除 する 場 合 はこれに 当 たる (ウ) 外 国 若 しくはアメリカ 合 衆 国 から 商 品 若 しくは 通 商 の 対 象 物 を 輸 入 する 者 であって 合 法 的 な 通 商 を 侵 害 しようとして 第 三 者 と 結 合 させんとする 者 若 しくは 輸 入 された 財 貨 輸 入 されようとしてい る 財 貨 又 は 輸 入 された 財 貨 を 用 いて 生 産 された 財 貨 の 価 格 をフィリピン 諸 島 で 吊 りあげようとして 第 三 者 と 結 合 せんとする 者 イ. 違 反 した 場 合 には 起 訴 され 有 罪 が 確 定 すれば 6 年 以 上 12 年 以 下 の 禁 固 に 処 せられる ア.カルテルとは 二 以 上 の 者 又 は 事 業 者 が 生 活 必 需 品 又 は 主 要 な 商 品 の 生 産 製 造 加 工 貯 蔵 供 給 流 通 又 は 販 売 にかかる 値 段 を 故 意 に 及 び 不 当 に 上 げる 又 は 操 ることをいう イ. 違 反 した 場 合 には 5 年 以 上 15 年 以 下 の 禁 固 又 は2,000ペソ 以 上 5,000ペソ 以 下 の 課 徴 金 又 はその 併 科 に 処 せられる 消 費 者 法 は 以 下 の 項 目 について 規 制 している (ⅰ) 商 品 の 品 質 及 び 安 全 性 (ⅱ) 欺 まん 的 又 は 不 公 正 な 販 売 又 は 取 引 (ⅲ)サービスの 保 証 (ⅳ)ラベリング 及 び 公 正 な 包 装 (ⅴ) 広 告 及 び 販 売 促 進 出 所 : 公 正 取 引 委 員 会 HP 21

第 三 章 参 入 後 の 課 題 1. 人 材 と 労 務 に 関 する 問 題 (1) 雇 用 義 務 労 働 法 により 6 ヶ 月 以 上 の 就 労 した 者 は 正 規 雇 用 しなければならないと 定 められて おり 小 売 事 業 者 にとっては 柔 軟 な 雇 用 調 整 ができず 事 業 経 営 店 舗 運 営 の 制 約 となっ ている フィリピン 労 働 法 典 (The Labor Code of the Philippines,1974 制 定 )の 雇 用 に 関 す る 規 定 により 労 働 者 は 従 事 する 事 業 の 完 成 や 終 了 が 予 め 決 定 されている 場 合 や 従 事 する 労 働 やサービスが 季 節 的 で 雇 用 がその 期 間 に 限 定 される 場 合 を 除 き 雇 用 者 の 通 常 業 務 を 行 う 場 合 は 原 則 的 に 正 規 雇 用 を 義 務 付 けられる 例 え 書 面 などによって 非 正 規 雇 用 の 契 約 がなされていたとしても 正 規 雇 用 と 見 なされる その 上 で 試 用 期 間 は 6 ヶ 月 までとされており それ 以 降 も 就 労 する 者 は 正 社 員 登 用 しなければならない シー ズンやイベントなど 業 務 に 繁 閑 があり 柔 軟 性 のある 人 員 雇 用 が 必 要 な 小 売 業 にとって は 効 率 的 な 経 営 を 妨 げる 要 因 となる 図 表 16.フィリピン 労 働 法 典 雇 用 に 関 する 条 項 抜 粋 The Labor Code of the Philippines (1974 年 ) BOOK SIX Post Employment, Title ⅠTermination of the Employment Act.279 雇 用 保 障 正 規 雇 用 の 場 合 正 当 な 理 由 がある 場 合 または 労 働 法 典 が 認 める 場 合 を 除 き 労 働 者 との 雇 用 関 係 を 終 了 させることはできない Act.280 正 規 及 び 臨 時 雇 用 労 働 者 の 就 労 開 始 時 より その 事 業 の 完 成 又 は 終 了 が 決 定 されている 事 業 や 特 別 プロジェクトへの 雇 用 の 場 合 または 遂 行 されるべき 労 働 やサービスが 本 来 季 節 的 で 雇 用 がその 期 間 に 限 定 されている 場 合 を 除 き 労 働 者 が 雇 用 者 の 通 常 業 務 において 通 常 必 要 とされる 業 務 に 従 業 する 場 合 正 規 雇 用 でない 旨 の 書 面 による 合 意 及 び 当 事 者 の 口 頭 のよる 契 約 が 存 在 しても 正 規 雇 用 とめなされる 前 項 が 適 用 されない 場 合 雇 用 は 臨 時 雇 用 とみなされる ただし 継 続 的 であれ 断 続 的 であれ 1 年 以 上 労 働 を 行 った 労 働 者 は 雇 用 されている 業 務 について 正 規 雇 用 者 とみなされ 業 務 が 存 在 する 限 り 雇 用 関 係 が 継 続 される Act.281 試 用 期 間 試 用 期 間 は 6カ 月 より 長 期 間 を 規 定 する 養 成 訓 練 契 約 が 適 用 される 以 外 は 労 働 者 の 就 労 開 始 日 より6カ 月 を 超 えてはならない ただし 労 働 者 が 試 用 期 間 開 始 時 点 に 雇 用 者 が 労 働 者 に 通 知 した 正 規 雇 用 者 として の 合 理 的 な 基 準 を 満 たす 資 格 を 有 しない 場 合 雇 用 者 は 雇 用 関 係 を 終 了 させることができる 試 用 期 間 終 了 後 就 労 を 許 された 労 働 者 は 正 規 雇 用 者 とみなされる Act.286 雇 用 関 係 が 終 了 したとはみなされない 場 合 営 業 または 操 業 の6カ 月 未 満 の 虚 偽 でない 一 時 的 な 停 止 または 労 働 者 の 軍 隊 または 市 民 の 義 務 の 遂 行 を 理 由 に 雇 用 関 係 を 終 了 させることはできない 上 記 の 場 合 雇 用 者 の 操 業 再 開 または 軍 隊 や 市 民 の 義 務 より 解 放 されてから1カ 月 以 内 に 労 働 者 が 復 職 を 希 望 した 場 合 雇 用 者 は 先 任 権 を 失 わせることなく 労 働 者 を 従 前 の 職 務 に 復 職 させなければならない 出 所 : 財 団 法 人 海 外 職 業 訓 練 協 会 HP Philippines Department of Labor and Employment 22

この 法 規 を 遵 守 しながら 柔 軟 な 人 員 体 制 を 維 持 するため 現 地 の 小 売 業 は 内 資 外 資 を 問 わず 5 ヶ 月 毎 に 試 用 期 間 の 終 る 労 働 者 を 解 雇 し 同 時 に 新 しい 人 材 を 雇 用 するこ とを 繰 り 返 している 結 果 として 採 用 や 教 育 に 掛 かる 労 力 やコストが 大 きくなり 事 業 者 への 負 担 となって いる また 常 に 短 期 で 人 が 替 わるため 従 業 員 の 経 験 やスキルが 蓄 積 せず 店 舗 のオ ペレーションレベルの 向 上 が 難 しくなっている 小 売 事 業 者 からは 試 用 期 間 の 延 長 や 契 約 社 員 を 認 めるなど 雇 用 規 定 の 緩 和 への 要 望 が 上 がっている (2) 離 職 率 離 職 率 が 高 いことも 人 材 面 での 課 題 の 一 つとなっている 例 えば 2007 年 第 2 四 半 期 の 小 売 卸 関 連 業 種 の 離 職 率 は 14.7%となっており サービス 業 ( 小 売 卸 業 もサー ビス 業 に 含 まれる) 全 体 の 平 均 離 職 率 7.9% 全 業 種 平 均 離 職 率 7.8%と 比 較 して 非 常 に 高 い 図 表 17. 産 業 別 離 職 採 用 率 (2007 年 第 2 四 半 期 ) 業 種 離 職 率 採 用 率 全 業 種 平 均 7.8% 11.3% 農 林 水 産 業 平 均 4.6% 7.2% 工 業 平 均 7.4% 7.9% サービス 業 平 均 7.9% 12.4% 卸 小 売 関 連 業 14.7% 17.8% ホテル レストラン 5.1% 15.7% 出 所 :Philippines Department of Labor and Employment データを 元 に MURC 作 成 離 職 の 理 由 として 多 いのは キャリアアップのための 転 職 フィリピンでは アメリ カ 的 な 転 職 によるキャリアアップ を 志 向 する 風 潮 があり 職 位 の 高 低 に 関 らずキャ リアアップを 求 めて 転 職 を 繰 り 返 す 人 が 多 い その 他 海 外 就 労 のため 退 職 する 人 も 多 くフィリピン 特 有 の 社 会 的 背 景 も 影 響 している 人 の 流 動 性 が 高 いことにより 人 員 体 制 が 安 定 しないことやミドルマネージメント 人 材 の 育 成 などが 事 業 上 の 課 題 となっている 特 に 管 理 職 人 材 の 維 持 と 採 用 が 難 しく 頭 を 悩 ませる 企 業 も 多 い 但 し 人 材 雇 用 の 面 での 利 点 もある 管 理 職 候 補 人 材 の 確 保 は 難 しいが 店 舗 人 員 な ど 一 般 スタッフレベルであれば 低 コストで 比 較 的 容 易 に 人 が 確 保 できる 日 額 最 低 賃 金 はマニラ 首 都 圏 で 362 ペソ( 約 980 円 2007 年 8 月 改 訂 )であるが 失 業 率 が 全 国 23

平 均 7% 前 後 マニラ 首 都 圏 では 10% 強 と 高 いこともあり 実 際 にこの 金 額 で 人 が 集 る (3) 労 務 管 理 フィリピンで 事 業 を 行 う 外 資 企 業 にとっては 労 務 管 理 も 重 要 な 課 題 となる 従 来 労 働 環 境 や 待 遇 への 不 満 から 労 働 争 議 が 頻 繁 に 勃 発 し 日 系 企 業 でも 業 務 に 支 障 が 出 る ケースがあった フィリピンには 全 国 レベルでの 労 働 連 合 が 幾 つかあり 中 には 過 激 左 派 組 織 も 存 在 するため 外 資 企 業 は 常 に 労 務 管 理 に 神 経 を 尖 らせている ここ 数 年 で ストライキの 数 は 減 少 傾 向 にあるが 企 業 の 労 務 争 議 発 生 のリスクが 減 少 した 訳 ではな く 現 地 外 資 企 業 は 労 務 管 理 に 長 けたフィリピン 人 を 担 当 として 配 置 するなど 気 を 使 っ ている 図 表 18.ストライキ 発 生 件 数 と 損 失 労 働 日 数 の 推 移 ストライキ 数 ( 件 ) 30 25 26 件 123,329 人 日 損 失 労 働 日 数 (1,000 人 日 ) 140 120 20 15 10 5 9 件 43,519 人 日 6 件 12,000 人 日 100 80 60 40 20 0 2005 年 2006 年 2007 年 出 所 :Philippines Department of Labor and Employment データを 元 に MURC 作 成 2. 税 制 法 人 所 得 税 などが 高 く 負 担 感 が 大 きい 法 人 税 は 35%であるが 周 辺 国 の 基 本 法 人 税 率 と 比 較 した 場 合 ベトナム 28% マレーシア 28% タイ 30%とフィリピンが 最 も 高 い 2009 年 1 月 より 30%へ 引 き 下 げられる 予 定 であるが 従 来 33%であった 中 国 も 2008 年 1 月 より 25%への 引 き 下 げを 実 施 しており フィリピンの 高 税 率 が 目 立 つ ロイヤルティ 利 子 配 当 送 金 への 課 税 率 もそれぞれ 25% 15% 25%と 高 率 にな っている 但 し これらは 2006 年 12 月 の 日 比 租 税 条 約 改 定 の 合 意 を 受 け ロイヤル ティと 利 子 送 金 については 10% 配 当 送 金 は 15%に 改 訂 されることが 決 まっている 日 本 側 の 国 家 批 准 手 続 きは 完 了 しているが フィリピン 側 の 批 准 が 遅 れているため 早 期 の 批 准 発 効 が 望 まれる 24

周 辺 アジア 諸 国 と 比 べ 全 般 的 に 日 系 企 業 の 投 資 意 欲 を 刺 激 する 税 の 優 遇 制 度 などが 少 ないため 今 後 インセンティブ 導 入 などによる 進 出 しやすい 投 資 環 境 の 整 備 が 期 待 さ れる 図 表 19.フィリピンの 主 な 税 率 (2008 年 2 月 現 在 ) 分 類 税 率 法 人 所 得 税 35% 直 接 税 配 当 所 得 25% 利 子 所 得 15% 国 税 ロイヤルティ 所 得 25% 付 加 価 値 税 12% 間 接 税 60 万 ペソまで 2% 以 降 販 売 額 によ 物 品 税 り 20~60% 地 方 税 地 方 事 業 税 税 率 は 事 業 形 態 により 異 なる 上 限 3.65% 一 般 的 には 0.75% 出 所 :ジェトロ HP などを 元 に MURC 作 成 3. インフラ (1) 電 力 電 気 料 金 が 非 常 に 高 く コスト 増 加 の 一 因 となっている 電 力 供 給 そのものについて は 1990 年 代 前 半 まで 多 発 した 停 電 などの 問 題 は 改 善 され 安 定 的 な 供 給 が 実 現 され ているが 料 金 が 日 本 に 匹 敵 するほど 高 く 企 業 のコストを 圧 迫 している フィリピン 最 大 の 配 電 会 社 Meralco の 電 気 販 売 料 金 は 過 去 5 年 で 40% 以 上 上 昇 している 小 売 事 業 者 によっては 電 気 料 金 が 店 舗 売 上 の 20% 近 くとなる 例 もあり 大 きな 負 担 となってい る また 料 金 の 値 上 げも 突 然 実 施 されることがあり 安 定 した 価 格 での 電 力 供 給 が 望 まれている 図 表 20. Meralco の 用 途 別 電 力 販 売 代 金 (2007 年 6 月 現 在 ) 民 生 用 商 業 用 産 業 用 9.12 ペソ/kWh 7.94 ペソ/kWh 6.89 ペソ/kWh 出 所 :Meralco 2007Quarterty Report フィリピン 政 府 は 2001 年 に 電 力 産 業 改 革 法 (Electric Power Industry Reform Act of 2001)を 施 行 し 電 力 事 業 の 分 割 民 営 化 を 図 り 電 力 産 業 の 改 革 を 進 めている しか 25

し 民 営 化 プロセスは 遅 れており 現 在 までに 当 初 計 画 の 40% 強 が 実 現 されたに 留 ま っており 現 地 外 資 企 業 からも 迅 速 な 計 画 遂 行 を 望 む 声 が 大 きい 図 表 21. アジア 諸 国 と 比 較 したフィリピンの 電 気 料 金 USD/Kw 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 フィリピン インドネシア タイ ベトナム 中 国 インド マレーシア 出 所 :IMD World Competitiveness Yearbook データを 元 に MURC 作 成 (2) 物 流 インフラ フィリピンでは 貨 物 輸 送 の 約 5 割 が 道 路 輸 送 であり 物 流 の 道 路 への 依 存 は 高 い し かし 道 路 の 整 備 状 況 は 十 分 とはいえず 物 流 インフラの 脆 弱 さが 指 摘 されている フィリピンの 道 路 舗 装 率 は 幹 線 国 道 と 市 道 はそれぞれ 約 70% 77%と 比 較 的 高 い が 二 級 国 道 となると 約 50%に 落 ち 州 道 やバランガイと 呼 ばれる 最 小 地 方 自 治 単 位 の 道 を 含 めた 全 道 路 平 均 で 見 れば 21.3%と 非 常 に 低 い 道 路 の 質 の 悪 さは 高 率 的 な 物 流 網 の 構 築 の 障 害 となるのみでなく 配 送 物 品 の 破 損 や 品 質 悪 化 に 繫 がるため 小 売 事 業 にとって 大 きな 問 題 となる また 整 備 が 比 較 的 進 んでいるマニラ 首 都 圏 でも 慢 性 的 な 渋 滞 は 改 善 しておらず 遅 配 などの 問 題 が 生 じる 政 府 も 道 路 整 備 の 必 要 性 は 感 じており 舗 装 率 の 向 上 新 たな 高 速 道 路 の 建 設 などを 数 年 来 計 画 しているが 財 政 状 況 が 厳 しいためほとんど 進 んでいないのが 実 情 であり 今 後 どのように 財 源 を 確 保 し どう 整 備 していくのかが 国 にとっての 課 題 であり 現 地 で 事 業 展 開 する 小 売 業 にとっても 早 急 な 対 応 が 望 まれるところである 一 方 でフィリピンは 群 島 国 家 であり 仮 に 小 売 業 が 全 国 展 開 しようとすると 物 の 輸 送 は 海 上 輸 送 に 頼 らなければならない その 場 合 まず 課 題 となるのが 輸 送 コストである 陸 上 輸 送 の 場 合 生 産 地 やメーカーから 店 舗 まで 一 貫 してトラックで 運 ぶことが 出 来 る が 海 上 輸 送 を 伴 う 場 合 港 までトラック 輸 送 し 港 で 一 旦 物 品 を 積 降 して 保 管 し そ の 後 船 輸 送 を 経 て 再 びトラック 輸 送 と 複 数 の 業 者 に 跨 り 多 くの 作 業 が 発 生 するため コ ストが 格 段 に 高 くなる 26

また 積 降 や 保 管 を 繰 り 返 す 段 階 で 商 品 の 破 損 が 起 きる 率 も 高 くなり 商 品 の 管 理 も 難 しくなる 農 産 物 などが 輸 送 の 途 中 で 腐 り 廃 棄 するケースも 多 く 発 生 しているようであ り 海 上 輸 送 での 物 流 品 質 も 小 売 業 者 の 事 業 展 開 によっては 大 きな 課 題 となる (3) 物 流 に 関 するその 他 の 課 題 物 流 に 関 する 課 題 としては 道 路 などインフラの 問 題 のほか 物 流 業 者 の 質 の 問 題 が 挙 げられている フィリピンでは 組 織 化 された 物 流 業 者 は 少 なく 上 場 している 物 流 会 社 となると 僅 か 数 社 しかない 小 売 同 様 多 くの 業 者 が 個 人 のパパママ 事 業 者 であり 高 い 物 流 品 質 は 望 めない 小 売 事 業 者 が 最 も 懸 念 しているのは 物 流 段 階 での 商 品 盗 難 であり その 発 生 率 は 日 本 とは 比 較 にならないほど 多 いと 漏 らす 関 係 者 もいる 進 出 済 みの 外 資 企 業 の 中 には 自 社 若 しくは 関 連 会 社 と 協 力 して 物 流 センターを 構 築 し 自 ら 物 流 システムを 構 築 している ケースもあるが その 場 合 も 配 送 は 地 場 の 運 送 会 社 に 委 託 することが 多 いため 同 様 の 問 題 を 抱 えている コールドチェーンについては 既 存 日 系 小 売 では 自 社 物 流 システムによりチルドと 常 温 の 2 温 度 帯 物 流 を 実 現 しているところもあるが 一 般 的 にはまだ 広 まっていない 但 し 現 在 フィリピン 市 場 は HM や SM チェーンの 店 舗 数 が 増 え 始 め 徐 々にでは あるが 伝 統 的 市 場 から 近 代 的 市 場 へ 人 の 流 れが 変 わりつつある また それに 付 随 し 冷 凍 食 品 やチルド 食 品 も 市 場 に 出 始 めるなど 食 生 活 にも 変 化 が 現 れつつあり 日 本 企 業 が 先 行 して 洗 練 された 物 流 ノウハウを 導 入 することで 小 売 市 場 において 優 位 性 を 構 築 できる 可 能 性 はある 4. フランチャイズ 事 業 に 関 係 する 課 題 フランチャイズについては 特 にその 活 動 を 妨 げるような 規 制 は 無 い 実 際 フィリ ピンでは 外 食 産 業 を 中 心 にマクドナルド KFC といった 外 資 フランチャイズチェー ンは 勿 論 Jollibee という 現 地 の 大 手 外 食 フランチャイズチェーンも 有 りフランチャイ ズ 事 業 そのものは 広 く 受 け 入 れられている CVS においても 今 回 のヒアリングでは 特 にフランチャイズシステムを 運 営 する 上 で 障 害 となるような 事 項 は 聞 かれなかった 会 計 制 度 もオープンアカウントを 導 入 し 日 本 と 同 じシステムで 運 用 しており 問 題 は 無 いということである 事 業 面 での 課 題 として 大 きいのは オーナー 候 補 が 少 ないことである 開 業 には 日 本 円 にして 百 万 円 単 位 の 資 金 が 必 要 であり フィリピンでその 資 金 を 準 備 できる 人 は 限 られる 日 本 では 脱 サラした 会 社 員 など 標 準 的 な 所 得 や 家 庭 環 境 の 人 がオーナーにな ることができるが フィリピンでのオーナー 候 補 は 富 裕 層 高 所 得 者 層 となり 確 保 する ことが 難 しい また 富 裕 層 が 開 業 する 場 合 も 自 ら 地 道 に 店 舗 経 営 をするというより は 投 資 として 短 期 的 なリターンを 求 めるケースが 多 いため 本 部 としての 指 導 が 難 し 27

い また アメリカ 的 な 感 覚 からか フィリピン 人 は 直 ぐに 訴 訟 を 起 こす 傾 向 にあり マネージメントに 苦 労 するという 声 も 聞 かれる 加 盟 店 オーナーからのクレームとして 多 いのは 商 品 物 流 が 安 定 しないこと 原 因 は 主 にメーカーからの 供 給 の 遅 れや 在 庫 切 れなどサプライヤー 側 の 問 題 が 大 きいが オー ナーに 対 しては 本 部 が 窓 口 であるため 対 応 しなければならない 地 区 によっては 最 小 地 方 自 治 単 位 であるバランガイで 売 上 の 2-3%の 税 を 取 る 所 があり その 支 払 について のクレームが 本 部 にくることがある また 契 約 終 了 の 際 に 何 らかの 理 由 をつけてク レームし 条 件 などを 交 渉 しようとするケースも 多 い 5. 治 安 治 安 に 関 する 問 題 は 小 売 事 業 に 限 らず 進 出 する 日 本 企 業 にとって 大 きな 懸 念 事 項 と なる ここ 数 年 首 都 圏 やその 他 地 域 で 爆 弾 テロが 発 生 しており 2007 年 にも 起 こっ ている 日 本 人 を 狙 った 犯 罪 も 発 生 しており 2006 年 には 強 盗 などにより 日 本 人 が 死 傷 した 事 件 が 6 件 報 告 されている このような 状 況 を 受 け 日 本 の 外 務 省 も 2008 年 2 月 現 在 マニラ 首 都 圏 を 含 むフ ィリピン 全 地 域 への 渡 航 に 対 して 十 分 注 意 して 下 さい との 勧 告 を ミンダナオに 対 しては 地 域 により 渡 航 の 延 期 をお 勧 めします または 渡 航 の 是 非 を 検 討 して 下 さい との 勧 告 を 出 している 実 際 マニラ 首 都 圏 のオフィスビルやホテル 大 型 商 業 施 設 などでは 銃 装 備 した 警 備 員 が 個 人 の 荷 物 や 車 のトランクの 点 検 を 行 い 厳 重 な 警 戒 態 勢 が 敷 かれている また 大 型 施 設 に 限 らず スーパーや CVS などでも 殆 どの 店 舗 で 警 備 員 を 出 入 り 口 に 配 置 してい る 状 況 である その 為 万 引 きなどの 店 舗 内 での 犯 罪 は 少 ないようであるが 地 域 全 体 の 治 安 には 不 安 を 抱 かざるを 得 ない 日 本 企 業 が 進 出 する 場 合 不 安 定 な 治 安 が 事 業 に 与 える 影 響 はもちろん 社 員 の 安 全 をどう 確 保 するかが 重 要 な 検 討 事 項 となる 進 出 環 境 の 整 備 にあたっては フィリピン 政 府 に 治 安 の 改 善 を 求 めることも 必 要 となろう 28

第 四 章 日 本 企 業 の 市 場 参 入 にあたっての 課 題 と 機 会 1. 参 入 の 課 題 (1) 見 えない 参 入 障 壁 フィリピンの 外 資 小 売 業 参 入 に 対 する 法 的 な 規 制 は 参 入 の 条 件 付 けという 形 でなさ れている 最 低 資 本 金 や 店 舗 設 置 の 投 資 額 親 会 社 の 資 格 などの 条 件 は 必 ずしも 低 くな く 進 出 を 検 討 する 日 本 企 業 の 規 模 によっては 大 きな 障 壁 となる しかし 一 定 の 資 金 力 を 持 った 企 業 であれば 基 本 的 には 独 資 で 参 入 することが 可 能 で 参 入 後 の 事 業 経 営 を 制 約 する 規 制 もほとんどない 日 本 企 業 にとってより 大 きな 制 約 となるのは 法 規 制 よりむしろ フィリピンの 経 済 や 産 業 構 造 を 背 景 とする 見 えない 障 壁 である フィリピンでは 小 売 業 や 小 売 と 関 連 が 深 い 食 品 メーカー 不 動 産 業 など 多 くの 商 業 産 業 分 野 で 財 閥 企 業 など 一 部 の 大 企 業 が 大 きな 力 を 持 ち 業 界 を 支 配 している そのため 現 地 にコネクションを 持 たない 外 資 企 業 の 場 合 調 達 仕 入 れや 価 格 競 争 など 事 業 経 営 上 やオペレーションにおいて 不 利 な 立 場 に 立 たされる 可 能 性 が 高 い 独 自 で 参 入 しよう とする 外 資 企 業 にとっては スタートの 時 点 で 相 当 なハンディを 負 う 事 になり 適 正 な 収 益 を 確 保 し 事 業 を 安 定 的 に 拡 大 するには 非 常 な 努 力 が 必 要 となる 2002 年 以 降 外 資 100%での 参 入 も 可 能 であるにもかかわらず 既 存 の 外 資 小 売 業 が 全 て 現 地 有 力 企 業 と の 提 携 であることも 独 自 参 入 の 難 しさを 表 す 事 象 と 考 えられる 独 資 で 進 出 する 場 合 は 政 府 や 現 地 事 業 関 係 者 との 関 係 をどう 構 築 するか 競 争 の 前 提 条 件 が 不 利 な 状 況 下 で どのように 優 位 性 を 出 し 収 益 性 向 上 に 繋 げるかが 課 題 とな る (2) 顧 客 及 び 商 品 戦 略 中 間 層 の 購 買 力 が 弱 く 実 質 一 部 の 富 裕 層 と 大 多 数 の 低 所 得 者 層 という 2 極 化 した 消 費 者 構 造 の 市 場 において 日 本 企 業 としてはどの 消 費 者 層 をどのような 商 品 で 狙 うのか が 大 きな 課 題 となる 第 一 章 の 消 費 者 構 造 でみたように 現 在 のところ 所 得 上 位 10% が フィリピン 消 費 市 場 の 約 30%を 担 っていることを 考 えれば 富 裕 層 のみをターゲ ットとして 付 加 価 値 の 高 い 商 品 を 販 売 し 中 間 層 の 購 買 力 が 上 がるのを 待 つのも 一 つの 手 である より 広 い 市 場 浸 透 を 狙 いたい 場 合 は マスマーケットを 狙 うこととなるが その 場 合 も まずは 上 位 中 間 層 を 中 心 とした 顧 客 設 定 は 必 須 である 現 時 点 での 中 間 層 を 狙 う 場 合 は 地 場 企 業 との 価 格 競 争 は 避 けられないため 消 費 者 が 求 める 商 品 の 品 質 レベルと 価 格 の 設 定 が 難 しい 投 資 収 益 計 画 も 比 較 的 長 期 で 考 える 必 要 があると 考 えられる 何 れにせよ 長 年 貧 富 2 極 構 造 にある 社 会 構 造 上 中 間 層 の 購 買 力 が 今 後 どのくらい のスパンでどの 程 度 上 がるのかは 見 通 しにくい 面 もあり 中 長 期 における 顧 客 や 商 品 戦 29

略 を 含 む 事 業 戦 略 をどのように 方 向 付 けるかが 根 本 的 な 課 題 となる 2. 参 入 の 機 会 (1) パートナー 候 補 の 存 在 参 入 の 課 題 で 地 場 大 手 企 業 の 支 配 構 造 を 背 景 とする 事 業 障 壁 を 挙 げたが 見 方 を 変 えれば 地 場 大 手 企 業 の 存 在 が 市 場 参 入 のチャンスともなる 100% 独 資 での 参 入 に 拘 らず ジョイントベンチャー 或 いはライセンス 契 約 によるブランドとしての 参 入 を 検 討 する 場 合 は 資 金 力 と 現 地 での 強 大 なコネクションのある 地 場 大 企 業 と 組 むことで 参 入 時 及 び 参 入 後 の 障 壁 を 低 減 できる 新 興 市 場 では 往 々にして 十 分 な 資 金 力 や 経 営 体 力 を 持 ち 且 つ 小 売 業 の 知 見 や 関 心 のあるパートナーを 探 すことが 難 しい しかし フィリピンの 場 合 は 小 売 業 に 通 じた 大 企 業 が 存 在 するため 候 補 となる 企 業 があるという 意 味 で パートナー 選 定 のハードル が 下 がる また それらの 企 業 と 提 携 しお 互 いにメリットのあるパートナーシップを 構 築 することが 出 来 れば 外 資 企 業 ゆえに 直 面 する 制 約 や 困 難 を 回 避 できる 実 際 に 現 地 企 業 とのジョイントベンチャーにより 市 場 参 入 し 順 調 に 事 業 を 進 めてい る 外 資 企 業 もある そのようなケースでは 例 えば 事 業 オペレーションは 外 資 側 が 主 導 を 握 り 政 府 との 折 衝 や 土 地 契 約 労 務 管 理 や 財 務 税 関 連 などの 管 理 業 務 は 現 地 側 が 主 導 を 握 るなど お 互 いの 役 割 分 担 を 明 確 にしている 当 然 ながら 良 好 なパートナーシップの 構 築 や 維 持 は 決 して 容 易 なことではないが フィリピンにおいては 現 地 企 業 との 提 携 は 進 出 方 法 の 有 効 なオプションと 成 り 得 る (2) 発 展 段 階 の 流 通 業 フィリピンの 流 通 業 はまだ 発 展 段 階 にあり 今 後 先 進 他 国 のように 徐 々に 伝 統 的 小 売 市 場 から 近 代 的 小 売 市 場 への 移 行 が 進 むと 思 われる 現 在 市 場 は 一 部 の 地 場 大 手 企 業 が 複 数 業 態 を 持 ち 大 きなシェアを 握 る 状 態 であり 彼 らとの 競 争 は 厳 しいが 全 体 を 見 れば 高 いレベルの 小 売 ノウハウを 持 つ 小 売 事 業 者 は 少 なく また 外 資 企 業 の 本 格 参 入 も 数 少 ないため 早 い 段 階 で 市 場 に 進 出 しブランド 浸 透 を 図 り 消 費 者 のロイヤルティ を 醸 成 することにより 将 来 に 渡 る 事 業 基 盤 を 築 くことが 出 来 る また 小 売 業 の 発 展 に 従 い より 高 度 な 物 流 システムや 商 品 管 理 ノウハウなどが 必 要 とされるようになるため その 段 階 で 日 本 企 業 の 強 みを 活 かし 価 格 競 争 に 終 始 しない 競 争 優 位 性 を 築 くチャンスが 生 まれる 日 本 企 業 が 参 入 し 流 通 システム 高 度 化 の 一 翼 を 担 うことによりフィリピンに 貢 献 する 事 ができれば 地 場 の 小 売 流 通 業 にとってもメ リットがあり 日 本 企 業 の 参 入 も 歓 迎 されるのではなかろうか (3) CVS フィリピン 特 にマニラ 首 都 圏 においては CVS にとって 有 利 に 働 く 事 業 環 境 があ 30

第 一 に 人 々は 所 得 に 関 係 なく 消 費 性 向 が 高 く 金 銭 的 余 裕 が 無 くとも 小 額 商 品 を 頻 繁 に 購 入 する 実 際 に 現 地 の CVS では 他 国 では 見 られないほど 少 量 のパッケージや 食 品 雑 貨 のばら 売 り 商 品 が 並 んでいる 小 量 小 額 の 商 品 を 多 品 種 揃 える CVS はフィリピ ン 人 の 消 費 特 性 に 合 っていると 言 える 加 えて 昨 今 のコールセンター 産 業 の 発 展 も CVS にとって 有 利 な 事 業 環 境 となる 2000 年 前 後 からアメリカ 向 けを 主 としたコールセンターがマニラ 首 都 圏 を 中 心 に 次 々 に 設 立 され 既 にその 数 は 100 箇 所 以 上 となっている コールセンター 産 業 の 急 成 長 は その 24 時 間 稼 働 という 性 質 から 深 夜 や 早 朝 という 従 来 無 かった 時 間 帯 の 市 場 を 生 み 出 し センターの 周 辺 には 従 業 員 をターゲットとした 飲 食 店 や 小 売 店 娯 楽 施 設 など の 出 店 が 相 次 いでいる 積 極 的 に 市 場 を 取 り 込 んでいる 例 では 首 都 圏 最 大 級 のショッ ピングセンター モールオブアジア(Mall of Asia)は モールを 構 成 する 一 棟 に DELL のコールセンターを 入 居 させ モールに 入 るテナントも 24 時 間 或 いは 長 時 間 営 業 の 対 応 をしている コールセンター 産 業 は 2010 年 には GDP の 5%を 占 める 一 大 産 業 になるとの 予 測 も あり CVS を 中 心 とした 小 売 業 にとっては フィリピンでの 新 たなチャンスとなる 31