新型コロナ感染症第 2 波は ほとんどの都道府県でピークを越えました! 主要都道府県別 新型コロナウイルス感染拡大の予測更新 22.8.19 8 月 19 日の公表データで再計算しました File: R4 1
( コロナ予報更新 8 月 19 日 ) について 8 月 19 日から始まった日本感染症学会で 舘田一博理事長が講演し 今 日本は第 2 波のまっただ中にいる 全国的にも 東京でも新たな感染者数の推移はピークを迎えているようにも見えるが 再び上昇することが無いのか注意する必要がある と述べ 現在 国内が流行の第 2 波を迎えているという見解を示しました そして この先も第 3 波 第 4 波が来ると予想され 新しい生活様式の中で新型コロナウイルスとつきあっていくことになる 学会として 少しでも重症者を減らし 医療現場を混乱から守るため最新の知見を集めていきたい と述べました (NHK NEWS WEB より ) 学会としては慎重な姿勢ですが 8 月 19 日までのデータで計算した結果では 多くの都道府県で新規感染者はピークを越えています 入院 療養者も多くの都道府県でピークを迎えているように見えます その中において 沖縄の病床数はひっ迫しています 重症者が増えているので 前回から全国と大阪府で重症者の予測を追加しています コロナ予報は この HP で 8 月 4 日に公開し 8 月 6 日 9 日 13 日 16 日 19 日 ( 今回 ) と更新しました 第 2 波に対する新規感染者ピークの予測と入院 療養者の予測は これまでのところ 第 1 波で検証した方法がうまく適合できています 第 2 波でも 第 1 波と同じ手法が使えるという前提で 予測計算をしていますが 目的関 N 数 ( データとの一致度を示す決定係数 ) の説明変数になる数理モデルの係数は 感染エリアの拡大を示すそれぞれのエリアの人口 ( 実効感染機会人口 ) を除いて 第 1 波と似たような値をとっているので 第 1 波と同様に一旦は収束に向かうと考えています その先 第 3 波が必ず来ると思いますが いつ来るかの予想は出来ません 南の洋上で台風が発生していないときに台風の予報が出せないのと同じです 2
1 日の新規感染者 全国 図の見方は 末尾の 図の見方 をご覧ください 第 1 波 全国 第 2 波 22/3/1 22/4/1 22/5/1 22/6/1 22/7/1 22/8/1 第 2 波の感染規模は 第 1 波の 3~4 倍 全国の感染者累計 :47,466 人 (8 月 8 日まで ) 便宜的に 5 月 21 日までを第 1 波 5 月 22 日以降を第 2 波とすると第 1 波の累計 : 16,58 人第 2 波の累計 : 3,958 人 (8 月 8 日まで ) 第 1 波の 3~4 倍の規模まで増える 右図は 8 月 19 日までのデータを使って SIQR 数理モデルで計算した結果です 前回の予測 (8 月 16 日 ) と ほぼ同じです 全国で 人を切るのは 9 月初めです 前回から右下の図に重症者の予測を追加しました重症者の場合はピークは遅れて来ます 検査陽性者 検査陽性者 ( 計算 ) 推定感染日 (-1) 要隔離 入院者右軸 入院 療養者右軸 入院者右軸 病床確保数右軸 検査陽性者 検査陽性者 ( 計算 ) 重症者右軸 重症者予測右軸 全国 2 波 全国 2 波 25, 2, 15, 1, 5, 5 45 35 3 25 15 1 5 3
北海道 5 45 4 35 3 25 2 15 1 5 北海道 1 日の新規感染者 第 3 波 22/3/1 22/4/1 22/5/1 22/6/1 22/7/1 22/8/1 北海道は 幾つかのピークを繰り返しており 明確な山が無いので予測が難しいのですが 7/6 以降のデータを第 3 波として計算しています 25 2 15 1 5 1 日の確定感染者 SIQRモデル計算入院 療養計算右軸入院 療養右軸入院者右軸 北海道第 3 波 3 25 15 1 5 前回 (8 月 16 日 ) の予測とほとんど同じです 入院 療養者のピークも過ぎたように見えます 入院 療養者のデータは北海道庁の HP から ( 下記 URL) 道内の発生状況 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/singatakoronahaien.htm 4
首都圏 ( 東京都 ) 5 45 35 3 25 15 1 検査陽性者 IA+IQ 要隔離 入院者 Q 右軸入院者実績右軸 入院 療養者右軸 病床確保数右軸 7 区間移動平均 ( ) 東京都 2 波 1, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 予想は 前回の予測 (8 月 16 日 ) と同じです 東京都の実効再生産数 Re は 8 月 1 日に 1 を下回り.99 となりました 予測計算結果は 1 日の新規感染者が 1 人を切るのは 9 月 5 日 5 人を切るのは 9 月 14 日となっています 神奈川県 埼玉県 東京都 千葉県 5 18, 16, 14, 12, 1, 8, 6, 4, 2, 検査陽性者累計 要隔離 入院者 Q 東京都 2 波 * 都内の最新感染状況 https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/ * 実行再生産数 Reは 東洋経済 ONLINEと同じ簡便法 検査陽性者 Σ(IA+IQ) 実行再生産数 Re 右軸 1.8 1.6 1.4 1.2 1.8.6.4.2 5 45 35 3 25 15 1 5 IA+IQ β*.9 IA+IQ β*1.1 検査陽性者計算 IA+IQ Q β*1.1 Q β*.9 要隔離 入院者 Q 右軸入院者実績右軸入院 療養右軸 東京都 2 波 要請は 8/6 上図は 8 月 12 日までのデータを使って 自粛要請の効果をシミュレーションしたものです 8 月 6 日に要請 解除があり その結果 行動自粛 解除により感染率が ±1% 変動したと仮定した場合です 1 日遅れて効果が出ますが この時点での要請 解除の効果は限定的です 1 9 7 5 3 1 5
22/5/22 22/5/29 22/6/5 22/6/12 22/6/19 22/6/26 22/7/3 22/7/1 22/7/17 22/7/24 22/7/31 22/8/7 22/8/14 22/8/21 22/8/28 22/9/4 22/9/11 首都圏 ( 埼玉 千葉 神奈川 ) 埼玉県 2 波 千葉県 2 波 1 9 8 7 6 5 4 3 2 1 検査陽性者計算要隔離 入院者右軸入院者実績右軸入院 療養右軸ベッド数右軸 2, 14 12 1 8 6 4 2 検査陽性者計算要隔離 入院者右軸入院患者数入院 療養右軸ベッド確保数 2,5 2, 1,5 5 14 12 1 8 6 4 2 検査陽性者計算要隔離 入院者右軸入院患者数実績ベッド確保数入院 療養右軸 神奈川県 2 波 3, 2,5 2, 1,5 5 埼玉県 千葉県は 前回 (8 月 16 日 ) とほぼ同じです 埼玉県と千葉県は 入院 療養者もピークを迎えたと見られます 神奈川県は データが増えてピークが早まりました 神奈川県で 5 人を切るのは 9 月初めです 神奈川県の入院 療養者数も もうすぐピークを迎えると見られます 神奈川県 埼玉県 東京都 千葉県 6
22/5/22 22/5/29 22/6/5 22/6/12 22/6/19 22/6/26 22/7/3 22/7/1 22/7/17 22/7/24 22/7/31 22/8/7 22/8/14 22/8/21 22/8/28 22/9/4 22/9/11 22/5/22 22/5/29 22/6/5 22/6/12 22/6/19 22/6/26 22/7/3 22/7/1 22/7/17 22/7/24 22/7/31 22/8/7 22/8/14 22/8/21 22/8/28 22/9/4 22/9/11 近畿圏 ( 大阪府 ) 愛知県 3 25 15 1 5 検査陽性者 ( 計算 ) IA+IQ 要隔離 入院者 Q 右軸 入院患者数右軸 入院 療養右軸 ベッド確保数右軸 大阪府 2 波 6, 5, 4, 3, 2, 前回とほとんど同じです 大阪府の新規感染者は 既にピークを越えたように見えます 要隔離 入院者もピークを迎えたように見えますが 重症者が増えているので 前回から重症者の予測を追加しています 18 16 14 検査陽性者 ( 計算 ) IA+IQ 要隔離 入院者右軸入院患者 愛知県 2 波 愛知県 5, 4,5 4, 3,5 12 1 8 入院 療養ベッド確保数 3, 2,5 2, 6 1,5 3 25 検査陽性者 ( 計算 )IA+IQ 重症者予測 重症者 大阪府 2 波 兵庫県 京都府 4 2 5 15 1 5 重症者用病床確保数 大阪府 前回とほとんど同じです 愛知県の新規感染者は 既にピークを過ぎ 要隔離 入院者もピークを迎えているように見えます 7
近畿圏 ( 兵庫 京都 ) 兵庫県 2 波 京都府 2 波 1 9 8 7 6 5 4 3 検査陽性者 ( 計算 )IA+IQ 要隔離 入院者 Q 右軸 入院患者数 入院 療養者 ベッド確保数 7 区間移動平均 ( ) 2, 1 9 8 7 6 5 4 3 検査陽性者 ( 計算 ) 要隔離 入院者右軸 入院患者数 入院 療養 ベッド確保数 7 区間移動平均 ( ) 2, 2 2 1 1 前回の予報とほとんど同じです 兵庫県の要隔離 入院者もピークを過ぎています 前回とほとんど同じです 要隔離 入院者は もうすぐピークを迎えます 兵庫県 京都府 大阪府 8
福岡 沖縄 福岡県 3 25 福岡県は第 3 波 1 日の新規感染者 18 16 15 第 1 波 第 2 波 第 3 波 14 1 12 5 1 8 22/3/1 22/4/1 22/5/1 22/6/1 22/7/1 22/8/1 6 4 2 1 日の確定感染者検査陽性者計算要隔離 入院者右軸入院患者数入院 療養者ベッド確保数 福岡県 3 波 4, 3,5 3, 2,5 2, 1,5 5 福岡県 沖縄県 18 16 14 12 1 8 6 4 2 検査陽性者計算要隔離 入院者右軸入院患者右軸入院 療養右軸ベッド確保数右軸 沖縄県 4, 3,5 3, 2,5 2, 1,5 5 福岡の第 1 波は主に福岡市 第 2 波は北九州市でした 第 3 波は 福岡市と北九州市とそれ以外の地域にも拡大しています 前回と ほとんど同じです 新規感染者も要隔離 入院者 ( 入院 療養者 ) も ピークを過ぎたように見えます 沖縄で 実効再生産数が 1 を切ったのは 8 月 16 日ですが 新規感染者のピークは過ぎているように見えます 要隔離 入院者のピークに差し掛かっていますが 病床の不足が懸念されます ( 左図 矢印 ) 感染は 外からの感染者流入によるものと思われるので お盆中の人の移動で結果が変わる可能性があります 9
図の見方 1 の朱色の棒グラフは 1 日の新規感染者 (PCR 検査陽性者 ) で 日々公表される数値です 東洋経済 ONLINE[3] NHK 特設サイト新型コロナウイルス [2] のデータを使用しています 2 の青色の曲線は 公表データに対応する 1 日の新規感染者 ( 検査陽性者 ) の計算値です 3 の赤い曲線は 要隔離 入院者で検査陽性者から治癒者を除いた計算結果です 4 のグレーのプロットは 入院患者の実績 [2][4] です 5 のプロットは ベッドの確保数です 6 の縦左軸は 新規感染者のデータと検査陽性者の人数です 7 の縦右軸は その他の曲線 プロットに対する人数 ベッド数です 5 45 35 3 25 15 1 5 検査陽性者計算 要隔離 入院者右軸 入院者実績右軸 入院 療養右軸 病床確保数右軸 6 7 東京都 2 波 1 2 3 4 5 1, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 参考文献 [1] 小田垣孝 : 新型コロナウィルスに関する一考察 物性研究 ( 電子版 ) Vol.8, No.2 (22 年 5 月 ) [2] NHK 特設サイト新型コロナウイルス https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/ [3] 荻原和樹 : 新型コロナウィルス国内感染の状況 東洋経済 ONLINE https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/ [4] 東京都のホームページモニタリング https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/ 1
注記 では 新型コロナウイルス感染症の感染状況等を解析するための色々な手法について議論しています ここに掲載した 感染状況の予測は 研究会で議論された方法の一つで 公表されたデータをもとに SIQR 数理モデルを使って計算したものです 主要都府県別の感染ピーク時期や検査陽性者数 及び 入院 隔離すべき感染者数を計算しているので 病床の準備やスタッフの備え および 療養用ホテルの準備に役立つと考えています 色々な値を計算していますが ここでは 誰もが知りたいと思っている や要隔離 入院者数の推測計算値に絞って掲載しました 予測計算は 公表されるデータがタイムリーに集計されないことや PCR 検査陽性者が発症者と不顕性陽性者を区別していないこと 感染拡大に影響する接触率などが変わるなどの理由で当然誤差を含みます 結果を保証するものではありません 計算の結果は 計算した日の予測計算結果です データが増えるに従って誤差は少なくなるので 適宜 更新して行く予定です 予測は SIQR 数理モデルの非線形常微分方程式を解くことで求めますが その際 方程式に使っている係数を計算結果がデータに合うように自動的に計算します (AI 機械学習 ) 感染拡大の初期でデータが少ないと過学習 ( オーバーフィティング ) になることがあります その場合は 過学習を防ぐための人為的な介在をして修正をします 尚 市中感染者の治癒期間は 9 日 隔離感染者の治癒期間は 平均 14 日と仮定していますが 入院 療養者のデータに合わせて調整する場合があります メンバー並木正夫 11