<5461726F2D8E9197BF3238208BAD8AAD8DDF82C982A882AF82E9965C8D73>



Similar documents
為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

弁護士報酬規定(抜粋)

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

を 行 わなければならない 適 正 な 運 用 方 針 を 厳 格 に 運 用 することによっては じめて 人 がみだりにその 容 ぼう 等 を 撮 影 されない 自 由 や 権 利 の 保 護 と 犯 罪 発 生 の 抑 止 という 防 犯 カメラの 設 置 目 的 との 調 和 が 実 現 され

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

中 間 利 払 日 とし 預 入 日 または 前 回 の 中 間 利 払 日 からその 中 間 利 払 日 の 前 日 までの 日 数 および 通 帳 または 証 書 記 載 の 中 間 利 払 利 率 によって 計 算 した 中 間 利 払 額 ( 以 下 中 間 払 利 息 といいます )を 利

Microsoft Word - 制度の概要_ED.docx

住 民 監 査 請 求 に 係 る 監 査 結 果 第 1 請 求 の 受 付 1 請 求 の 受 付 日 平 成 25 年 10 月 15 日 2 請 求 人 ( 省 略 ) 3 請 求 の 趣 旨 ( 原 文 のまま 掲 載 ) 請 求 の 要 旨 阿 波 町 大 道 北 54 番 地 1 と

1 傷 害 罪 における 承 継 的 共 同 正 犯 の 成 否 最 決 平 成 24 年 11 月 6 日 争 点 後 行 者 の 加 担 後 の 暴 行 が 共 謀 加 担 前 に 先 行 行 為 者 が 既 に 生 じさせていた 傷 害 を 相 当 程 度 悪 化 させた 場 合 の 傷 害

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

(5) 事 業 者 等 自 転 車 及 び 自 動 車 の 製 造 輸 入 販 売 又 は 修 理 を 業 として 行 っている 者 及 びそ れらの 者 の 団 体 並 びにその 他 の 事 業 者 をいう (6) 所 有 者 等 自 動 車 の 所 有 権 占 有 権 若 しくは 使 用 権 を

定款

Taro-29職員退職手当支給規程

答申第585号

諮問第1号

もの( 交 通 事 故 事 件 に 係 るものを 除 く ) 3 重 大 な 交 通 事 故 事 件 とは 次 に 掲 げる 交 通 事 故 事 件 をいう (1) 死 亡 ひき 逃 げ 事 件 車 両 等 の 交 通 により 人 が 死 亡 した 場 合 において 道 路 交 通 法 ( 昭 和

疑わしい取引の参考事例

2 前 項 に 定 める 日 に 支 給 する 給 与 は 総 額 給 与 を12 分 割 した 額 ( 以 下 給 与 月 額 という ) 扶 養 手 当 住 居 手 当 通 勤 手 当 単 身 赴 任 手 当 寒 冷 地 手 当 及 び 業 績 手 当 並 びに 前 月 分 の 超 過 勤 務

●労働基準法等の一部を改正する法律案

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

3-1_CSAJ_投資契約書_シードラウンド)

性 行 為 とは 性 交 及 び 性 交 類 似 行 為 と 同 義 であり( 昭 和 40 年 7 月 12 日 新 潟 家 裁 長 岡 支 部 決 定 ) わいせつな 行 為 とは いたずらに 性 欲 を 刺 激 興 奮 せしめたり その 露 骨 な 表 現 によって 健 全 な 常 識 のある

Microsoft Word 役員選挙規程.doc

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

人 に 使 用 される 者 としての 勤 続 期 間 を 当 該 職 員 となつた 者 の 職 員 としての 勤 続 期 間 に 通 算 することと 定 められている 法 人 に 限 る )をいう 3 第 一 項 の 退 職 手 当 通 算 予 定 職 員 とは 任 命 権 者 又 はその 委 任

答申書

<4D F736F F D2091E F18CB48D C481698E7B90DD8F9590AC89DB816A2E646F63>

無罪判決後の勾留に関する意見書


2. 会 計 規 程 の 業 務 (1) 規 程 と 実 際 の 業 務 の 調 査 規 程 や 運 用 方 針 に 規 定 されている 業 務 ( 帳 票 )が 実 際 に 行 われているか( 作 成 されている か)どうかについて 調 べてみた 以 下 の 表 は 規 程 の 条 項 とそこに


Microsoft Word - 19年度(行情)答申第081号.doc

Microsoft Word - 12 職員退職手当規程_H 改正_

第 8 条 乙 は 甲 に 対 し 仕 様 書 に 定 める 期 日 までに 所 定 の 成 果 物 を 検 収 依 頼 書 と 共 に 納 入 する 2 甲 は 前 項 に 定 める 納 入 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする 3 検 査 不 合 格 となった 場 合 甲 は

国立大学法人 東京医科歯科大学教職員就業規則

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

を 行 うこと 又 は 必 要 な 機 能 を 追 加 することをいう ( 補 助 対 象 事 業 ) 第 3 条 補 助 金 の 交 付 対 象 となる 事 業 ( 以 下 補 助 対 象 事 業 という )は, 次 条 に 規 定 するこの 補 助 金 の 交 付 の 対 象 となる 者 ( 以

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

<4D F736F F D208E9197BF A955B895E93AE82CC8B4B90A C982C282A282C42E646F6378>

に 公 開 された 映 画 暁 の 脱 走 ( 以 下 本 件 映 画 1 という ), 今 井 正 が 監 督 を 担 当 し, 上 告 人 を 映 画 製 作 者 として 同 年 に 公 開 された 映 画 また 逢 う 日 まで ( 以 下 本 件 映 画 2 という ) 及 び 成 瀬 巳

4 乙 は 天 災 地 変 戦 争 暴 動 内 乱 法 令 の 制 定 改 廃 輸 送 機 関 の 事 故 その 他 の 不 可 抗 力 により 第 1 項 及 び 第 2 項 に 定 める 業 務 期 日 までに 第 1 条 第 3 項 の 適 合 書 を 交 付 することができない 場 合 は

< F2D824F C D9197A791E58A C938C8B9E>

目     次

<947A957A8E9197BF C E786C73>

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

固定資産評価審査申出とは

Microsoft Word - 通達(参考).doc

Microsoft Word - 04特定任期付職員(特任事務)給与規程【溶込】

国立大学法人東京医科歯科大学職員の労働時間、休暇等に関する規則(案)

年 金 払 い 退 職 給 付 制 度 における 年 金 財 政 のイメージ 積 立 時 給 付 時 給 付 定 基 (1/2) で 年 金 を 基 準 利 率 で 付 利 給 付 定 基 ( 付 与 利 の ) 有 期 年 金 終 身 年 金 退 職 1 年 2 年 1 月 2 月 ( 終 了 )

異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

発 覚 理 由 違 反 態 様 在 日 期 間 違 反 期 間 婚 姻 期 間 夫 婦 間 の 子 刑 事 処 分 等 1 出 頭 申 告 不 法 残 留 約 13 年 9 月 約 9 年 11 月 約 1 年 10 月 2 出 頭 申 告 不 法 入 国 約 4 年 2 月 約 4 年 2 月 約

定款  変更

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

Taro-2220(修正).jtd

後 にまで 及 んでおり(このような 外 部 研 究 資 金 を 以 下 契 約 理 由 研 究 という ) かつ その 者 が 退 職 後 も 引 き 続 き 研 究 代 表 者 となることを 研 究 所 が 認 める 場 合 とし 理 事 室 の 命 を 受 けて 発 議 書 ( 別 に 定 め

第 9 条 の 前 の 見 出 しを 削 り 同 条 に 見 出 しとして ( 部 分 休 業 の 承 認 ) を 付 し 同 条 中 1 日 を 通 じて2 時 間 ( 規 則 で 定 める 育 児 休 暇 を 承 認 されている 職 員 については 2 時 間 から 当 該 育 児 休 暇 の

入札公告 機動装備センター

福 岡 厚 生 年 金 事 案 4486 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 の 申 立 期 間 については その 主 張 する 標 準 報 酬 月 額 に 基 づく 厚 生 年 金 保 険 料 を 事 業 主 により 給 与 から 控 除 されていたことが 認 められることから 申 立 期

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

1

< F2D CA795F18CB48D E B835E816A20>

<4D F736F F D20D8BDB8CFC8BCDED2DDC482A882E682D1BADDCCDFD7B2B1DDBD8B4B92F E646F63>

Speed突破!Premium問題集 基本書サンプル

< F2D8AC493C CC81698EF3928D8ED2816A2E6A7464>

の 購 入 費 又 は 賃 借 料 (2) 専 用 ポール 等 機 器 の 設 置 工 事 費 (3) ケーブル 設 置 工 事 費 (4) 防 犯 カメラの 設 置 を 示 す 看 板 等 の 設 置 費 (5) その 他 設 置 に 必 要 な 経 費 ( 補 助 金 の 額 ) 第 6 条 補

( 補 助 金 の 額 ) 第 6 条 補 助 金 の 額 は 第 5 条 第 2 項 の 規 定 による 無 線 LAN 機 器 の 設 置 箇 所 数 に 1 万 5 千 円 を 掛 けた 金 額 と 第 5 条 第 3 項 に 規 定 する 補 助 対 象 経 費 の2 分 の1のいずれか 低

退職手当とは

(2) 勤 続 5 年 を 超 え 10 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の140 (3) 勤 続 10 年 を 超 え 20 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の180 (4)

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>

駐 車 場 管 理 規 程

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

第4回税制調査会 総4-1

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

Taro-契約条項(全部)

Microsoft Word - str_bt_grundlage2015_07自由に対する罪(1).docx

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

者 が 在 学 した 期 間 の 年 数 を 乗 じて 得 た 額 から 当 該 者 が 在 学 した 期 間 に 納 付 すべき 授 業 料 の 総 額 を 控 除 した 額 を 徴 収 するものとする 3 在 学 生 が 長 期 履 修 学 生 として 認 められた 場 合 の 授 業 料 の

(2) 単 身 者 向 け 以 外 の 賃 貸 共 同 住 宅 等 当 該 建 物 に 対 して 新 たに 固 定 資 産 税 等 が 課 税 される 年 から 起 算 して5 年 間 とする ( 交 付 申 請 及 び 決 定 ) 第 5 条 補 助 金 の 交 付 を 受 けようとする 者 は

(2) 懲 戒 については 戒 告 は 3 ヵ 月 減 給 は 6 ヵ 月 停 職 は 9 ヵ 月 4 病 気 休 暇 休 職 欠 勤 により 勤 務 しなかった 職 員 が 再 び 勤 務 するに 至 った 場 合 において 他 の 職 員 との 均 衡 上 必 要 があると 認 められるときは

〔自 衛 隊〕

一部解約可能型定期預金(複利型)規定

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

募集新株予約権(有償ストック・オプション)の発行に関するお知らせ

回 答 Q3-1 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 質 問 : 土 地 下 落 の 傾 向 の 中 土 地 の 固 定 資 産 税 が 毎 年 あがるのはなぜですか? 答 : あなたの 土 地 は 過 去 の 評 価 替 えで 評 価 額 が

<4D F736F F D2096F088F582CC8B8B975E814191DE90458EE B4997A B794EF82C98AD682B782E98B4B91A E352E3129>

< 現 在 の 我 が 国 D&O 保 険 の 基 本 的 な 設 計 (イメージ)> < 一 般 的 な 補 償 の 範 囲 の 概 要 > 請 求 の 形 態 会 社 の 役 員 会 社 による 請 求 に 対 する 損 免 責 事 由 の 場 合 に 害 賠 償 請 求 は 補 償 されず(

ができます 4. 対 象 取 引 の 範 囲 第 1 項 のポイント 付 与 の 具 体 的 な 条 件 対 象 取 引 自 体 の 条 件 は 各 加 盟 店 が 定 めます 5.ポイントサービスの 利 用 終 了 その 他 いかなる 理 由 によっても 付 与 されたポイントを 換 金 すること

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

安 芸 太 田 町 学 校 適 正 配 置 基 本 方 針 の 一 部 修 正 について 1 議 会 学 校 適 正 配 置 調 査 特 別 委 員 会 調 査 報 告 書 について 安 芸 太 田 町 教 育 委 員 会 が 平 成 25 年 10 月 30 日 に 決 定 した 安 芸 太 田

第2回 制度設計専門会合 事務局提出資料

東近江行政組合職員の育児休業等に関する条例

(3) 区 分 所 有 法 第 7 条 の 先 取 特 権 の 実 行 滞 納 管 理 費 等 に 係 る 債 権 は 区 分 所 有 法 第 7 条 の 先 取 特 権 の 被 担 保 債 権 となってい るため 債 務 名 義 ( 確 定 判 決 等 )を 取 得 せずとも 先 取 特 権 の

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

shokuin-taisyoku

(3) その 他 市 長 が 必 要 と 認 める 書 類 ( 補 助 金 の 交 付 決 定 ) 第 6 条 市 長 は 前 条 の 申 請 書 を 受 理 したときは 速 やかにその 内 容 を 審 査 し 補 助 金 を 交 付 すべきものと 認 めたときは 規 則 第 7 条 に 規 定 す

<4D F736F F D208CF689768ED C8FE395FB978E8CEA8BA689EF814592E88ABC2E646F63>

自動継続自由金利型定期預金(M型)規定

Transcription:

強 姦 罪 における 暴 行 脅 迫 の 程 度 に 関 する 裁 判 例 強 姦 罪 の 成 立 が 肯 定 された 例 最 判 昭 和 33 年 6 月 6 日 なるほど, 所 論 引 用 の 当 裁 判 所 判 例 は, 刑 法 一 七 七 条 にいわゆる 暴 行 脅 迫 は 相 手 方 の 抗 拒 を 著 しく 困 難 ならしめる 程 度 のものであることを 以 つて 足 りると 判 示 している し かし,その 暴 行 または 脅 迫 の 行 為 は, 単 にそれのみを 取 り 上 げて 観 察 すれば 右 の 程 度 に は 達 しないと 認 められるようなものであつても,その 相 手 方 の 年 令, 性 別, 素 行, 経 歴 等 やそれがなされた 時 間, 場 所 の 四 囲 の 環 境 その 他 具 体 的 事 情 の 如 何 と 相 伴 つて, 相 手 方 の 抗 拒 を 不 能 にし 又 はこれを 著 しく 困 難 ならしめるものであれば 足 りると 解 すべきで ある そして 原 判 決 の 判 示 するところも, 第 一 審 判 決 の 認 定 した 被 告 人 等 三 名 の 判 示 午 後 八 時 頃 から 翌 午 前 二 時 頃 までに 亘 る 一 連 の 行 動 によれば, 被 告 人 等 三 名 が 原 判 決 が 判 示 するような 善 良 純 真 な 少 女 である 本 件 被 害 者 に 対 し, 深 夜 他 に 人 気 のない 判 示 校 庭, 附 近 の 公 園 等 の 環 境 を 背 景 にして, 同 女 の 身 辺 につきまとつてその 帰 宅 を 妨 げるため 逮 捕 監 禁 の 手 段 にも 等 しい 判 示 暴 行 行 為 をなしていると 同 時 に, 被 告 人 等 三 名 の 集 団 的 な 威 力 により 場 合 によつては 相 手 方 の 生 命 身 体 等 に 危 害 を 加 えるかも 知 れないという 脅 迫 的 態 度 を 暗 示 して 脅 迫 した 事 実 を 認 めることができ, 本 件 被 害 者 はこの 暴 行 脅 迫 によつ て 恐 怖 のあまり 抗 拒 不 能 に 陥 りついに 第 一 審 判 決 認 定 のような 姦 淫 の 被 害 を 受 けるに 至 つたものと 認 められるとした 趣 旨 である されば, 原 判 決 の 判 示 には, 所 論 のように, 強 姦 罪 における 暴 行 脅 迫 が 相 手 方 の 抗 拒 を 著 しく 困 難 ならしめる 程 度 のものでなくとも よいとの 挙 示 の 判 例 に 相 反 する 判 断 は 少 しも 示 されていないのである 所 論 は, 結 局, 原 判 決 の 証 拠 の 取 捨 選 択, 証 拠 の 価 値 判 断 を 非 難 し, 前 記 の 暴 行 および 脅 迫 によつて 本 件 被 害 者 が 抗 拒 不 能 に 陥 つたとの 原 判 決 の 認 定 を 論 難 するものであつて, 事 実 誤 認 の 主 張 に 帰 し 上 告 適 法 の 理 由 とならない 徳 島 地 判 平 成 24 年 11 月 22 日 ( 被 告 人 控 訴 ( 量 刑 不 当 ): 控 訴 棄 却 ) ( 罪 となるべき 事 実 ) 被 告 人 は, 徳 島 市 内 において, 美 容 院 を 経 営 していたが, 平 成 24 年 3 月 18 日, 初 めて 同 店 に 客 として 訪 れた 被 害 者 ( 当 時 22 歳 )に 対 するカットやカラーの 施 術 の 間, 被 告 人 と 同 年 代 の 男 性 とキスをすることや 交 際 することについて, 被 害 者 が 肯 定 的 な 受 け 答 えをし,メールアドレスの 交 換 にも 応 じるなど 期 待 を 持 たせるような 言 動 をしたこ とから,このまま 強 引 に 誘 えば 被 害 者 が 被 告 人 と 交 際 してくれるかもしれないと 誤 解 を した 被 告 人 は, 同 日 午 後 3 時 ころ, 同 店 舗 内 シャンプー 台 に 被 害 者 を 仰 向 けに 寝 かせ, 第 三 者 が 店 舗 内 に 入 って 来 ないように 同 店 舗 出 入 口 のドアの 鍵 をかけ, 被 害 者 のシャン プーを 終 えると,いきなり 被 害 者 にキスをした 被 告 人 は, 被 害 者 にキスをしたことに より, 性 的 に 興 奮 したことから,このまま 被 害 者 と 性 交 できるかもしれないと 誤 解 を 深 め, 被 害 者 の 髪 を 乾 かしている 途 中, 同 日 午 後 3 時 30 分 前 後 ころ, 自 己 の 性 欲 の 赴 く まま 被 害 者 と 性 交 しようと 考 え, 被 害 者 の 手 首 をつかむと, そのまま 被 害 者 を 引 っ 張 り, 同 店 舗 内 休 憩 室 に 連 れ 込 んだ そして, 被 害 者 の 背 後 から 被 害 者 に 抱 きつくと, 被 害 者 - 1 -

の 両 脇 下 から 両 手 を 被 害 者 の 胸 の 前 にまわし, 服 の 上 から 被 害 者 の 両 乳 房 をもんだ さ らに, 被 害 者 がこれに 抵 抗 して 両 脇 をしめたことから, 今 度 は 無 理 矢 理 に 被 害 者 の 服 の 襟 元 から 右 手 を 差 し 入 れてその 左 乳 房 をもむなどした 被 告 人 は,その 後, 被 害 者 の 着 用 していたショートパンツ 及 びパンティー 等 を 無 理 矢 理 引 き 下 げると, 被 害 者 を 同 休 憩 室 内 ソファーに 押 し 倒 した 上, 被 害 者 に 自 己 の 勃 起 した 陰 茎 を 無 理 矢 理 触 らせて, 興 奮 した 様 子 で はめらせて などと 繰 り 返 し 迫 り,これを 拒 否 して 太 ももを 閉 じた 被 害 者 の 陰 部 付 近 を 無 理 矢 理 触 った 後,その 陰 部 に 手 指 を 挿 入 するなどし, 以 上 の 一 連 の 暴 行 脅 迫 により 被 害 者 の 抵 抗 を 著 しく 困 難 な 状 態 にして, 無 理 矢 理 被 害 者 と 性 交 しようと した しかし, 避 妊 具 なしでの 性 交 を 被 害 者 が 強 く 拒 絶 したことから, 被 告 人 が 性 交 を 思 いとどまるとともに, 被 害 者 が 同 休 憩 室 から 逃 げ 出 したため 強 姦 の 目 的 を 遂 げなかっ た そして,その 際, 被 害 者 の 陰 部 に 手 指 を 挿 入 するなどした 暴 行 により, 被 害 者 に 対 し, 治 癒 期 間 約 1 週 間 の 膣 壁 擦 過 傷, 左 小 陰 唇 擦 過 傷 の 怪 我 を 負 わせた ( 事 実 認 定 の 補 足 説 明 ) 当 裁 判 所 は, 当 公 判 廷 における 被 告 人 の 供 述 及 び 被 害 者 の 供 述 並 びに 関 係 各 証 拠 から, 前 記 罪 となるべき 事 実 記 載 の 事 実 を 認 めた そして,これらの 事 実 関 係 からすると, 被 告 人 には 強 姦 致 傷 罪 が 成 立 するものと 認 めた すなわち, 本 件 店 舗 には, 被 告 人 と 被 害 者 の2 人 だけしかおらず, 店 舗 の 出 入 口 は 被 告 人 により 施 錠 されていた また, 被 告 人 と 被 害 者 は 初 対 面 であり, 被 害 者 は, 美 容 院 の 客 として 施 術 を 受 けている 途 中 に, 突 然 被 告 人 からキスをされ, 狭 く 薄 暗 い 店 舗 奥 の 休 憩 室 内 に 連 れ 込 まれており, 通 常 の 人 であれば,この 時 点 で 相 当 な 恐 怖 を 抱 くものと いえる そして, 被 害 者 は,このような 状 況 下, 相 当 な 体 格 差 のある 被 告 人 から 前 記 一 連 の 暴 行 脅 迫 を 受 けている このような 状 態 になれば, 通 常 の 人 であれば, 抵 抗 する ことは 著 しく 困 難 なものであるといえ, 被 告 人 は, 強 姦 罪 の 手 段 としての 暴 行 脅 迫 を 行 ったものと 認 められる なお, 弁 護 人 は, 被 害 者 が 抵 抗 した 様 子 は 認 められない 旨 主 張 しているが, 被 告 人 と 被 害 者 の 体 格 差 などから, 被 害 者 において 抵 抗 及 ばず 被 告 人 のなすがままに 休 憩 室 に 連 れ 込 まれ,ソファーに 押 し 倒 されるなどしたのであって, 被 告 人 がその 抵 抗 に 目 をむけ ず, 自 己 の 都 合 のよいように 解 釈 したにすぎない そして, 被 告 人 は, 判 示 記 載 の 一 連 の 行 為 を 十 分 認 識 した 上 で 行 っており,さらに, 被 告 人 の 供 述 を 前 提 としても, 被 告 人 は, 被 害 者 が 抵 抗 し, 性 交 を 拒 否 していることを 十 分 認 識 していたものと 認 められるか ら, 強 姦 の 故 意 にも 何 ら 欠 ける 点 はない 新 潟 地 判 平 成 24 年 9 月 21 日 ( 自 然 確 定 ) ( 罪 となるべき 事 実 ) 被 告 人 は,カラオケ 店 で 声 をかけて 同 席 していた 被 害 者 ( 当 時 23 歳 )に 欲 情 し, 平 成 24 年 4 月 18 日 午 前 4 時 50 分 頃 から 同 日 午 前 5 時 10 分 頃 までの 間, 新 潟 市 内 に あるカラオケBOX13 号 室 において, 同 人 に 対 し, 上 半 身 を 押 し, 逃 れようとしてソ ファに 倒 れた 同 人 の 下 着 等 を 無 理 矢 理 脱 がした 上, 両 足 を 広 げるなどの 暴 行 を 加 え,そ の 反 抗 を 著 しく 困 難 にして 同 人 と 性 交 し, 逃 れようとした 同 人 の 頭 髪 をつかむなどの 暴 - 2 -

行 を 加 え, 上 記 一 連 の 暴 行 や,これから 逃 れようとした 同 人 が 左 膝 を 机 にぶつけたこと により, 同 人 に 全 治 約 10 日 間 を 要 する 後 頭 部 打 撲, 左 顎 関 節 部 打 撲 及 び 左 膝 打 撲 の 傷 害 を 負 わせた ( 量 刑 の 理 由 ( 抜 粋 ) 姦 淫 するために 殴 る 蹴 るなどの 積 極 的 暴 行 は 加 えていないし, 被 害 者 のけがも 重 くな く, 態 様 の 悪 質 性, 傷 害 結 果 は 同 種 事 案 の 中 では 軽 い 深 夜 のカラオケ 店 で, 部 屋 代 を 奢 るという 誘 いに 応 じ, 相 当 量 飲 酒 し, 連 絡 先 を 交 換 するなどしながら 数 時 間 を 共 に 過 ごす 中, 友 人 が 帰 った 後 も 女 性 一 人 で 部 屋 に 残 り, 被 告 人 から 肩 に 腕 を 回 されたり, 抱 きつかれたりしても 強 く 抵 抗 していなかった 被 害 者 に 対 し,にわかに 欲 情 を 高 めて 犯 行 に 至 ったという 経 緯 も, 侵 入 強 姦 や 路 上 強 姦 の 事 案 と 比 較 し, 悪 質 とはいえない 東 京 地 判 平 成 24 年 8 月 10 日 ( 被 告 人 控 訴 ( 量 刑 不 当 ): 一 審 は 実 刑 判 決 であった が, 刑 訴 法 第 397 条 第 2 項 により 破 棄, 自 判 して 執 行 猶 予 とした) ( 罪 となるべき 事 実 ) 被 告 人 は,ボクシングジムの 会 長 をしていたものであるが, 平 成 22 年 10 月 19 日 夜, 東 京 都 内 のスポーツジム 内 で1 人 で 仕 事 をしていたところ,たまたま 忘 れ 物 を 取 り に 同 ジムにやって 来 た 会 員 である 被 害 者 ( 当 時 36 歳 )と 性 交 しようと 思 い, 同 ジム 内 において, 同 女 に 背 後 からいきなり 抱 き 付 いたが, 同 女 がこれに 抵 抗 したことから, 暴 行 を 用 いて 同 女 を 姦 淫 しようと 考 え, 同 日 午 後 10 時 46 分 過 ぎ 頃 から 同 日 午 後 11 時 41 分 頃 までの 間, 同 女 に 対 し, 仰 向 けに 倒 れ 込 んだ 同 女 に 馬 乗 りになり, 着 衣 をめく り 上 げて 乳 房 を 舐 め, 下 着 の 上 から 陰 部 を 触 るなどの 暴 行 を 加 え,その 反 抗 を 著 しく 困 難 にして 同 女 と 性 交 しようとしたが, 自 己 の 意 思 により 犯 行 を 中 止 し, 姦 淫 の 目 的 を 遂 げなかったものである ( 争 点 に 対 する 判 断 ( 抜 粋 ) 弁 護 人 は,1 被 告 人 は 被 害 者 に 馬 乗 りになったことはなく, 他 に 反 抗 を 抑 圧 する 程 度 の 暴 行 又 は 脅 迫 を 加 えていない( 中 略 ) 旨 主 張 する ( 中 略 ) 以 上 のとおり 信 用 できる 被 害 者 の 供 述 によれば, 被 告 人 が 被 害 者 に 馬 乗 りになるなど 判 示 のとおりの 行 為 に 及 んだ 事 実 が 認 められる そして,これらの 行 為 態 様 に, 夜 間 に 被 告 人 と 被 害 者 が2 人 きりの 状 態 にあったことなど 関 係 証 拠 から 認 められる 状 況 を 併 せ 勘 案 すれば, 被 告 人 の 判 示 行 為 が 被 害 者 の 反 抗 を 著 しく 困 難 にする 程 度 の 暴 行 であった ことは 認 めるに 十 分 である - 3 -

強 姦 罪 の 成 立 が 否 定 された 例 東 京 高 判 平 成 26 年 9 月 19 日 ( 自 然 確 定 ) ( 一 審 が 認 めた 罪 となるべき 事 実 ) 被 告 人 は, 平 成 25 年 2 月 25 日 午 後 8 時 30 分 頃, 千 葉 県 内 の 小 学 校 校 庭 内 におい て, 被 害 者 ( 当 時 15 歳 )に 対 し,その 正 面 から 同 人 の 肩 を 手 で 押 してその 背 後 にある コンクリートブロックに 同 人 の 背 中 を 押 し 付 け, 同 人 着 用 のブラジャー 内 に 手 を 差 し 入 れてその 乳 房 をもみ,さらに, 同 人 の 背 後 から, 同 人 がスカートの 下 に 着 用 していたパ ンツ 等 を 足 首 まで 無 理 矢 理 引 きずり 下 ろすなどの 暴 行 を 加 えてその 反 抗 を 著 しく 困 難 に し, 強 いて 同 人 を 姦 淫 した ( 暴 行 脅 迫 の 程 度 に 関 する 一 審 の 判 示 ( 要 旨 ) 夜 間 に, 当 時 15 歳 の 中 学 3 年 生 であり, 飲 酒 の 影 響 下 にもあった 被 害 者 に 対 し, 小 学 校 の 校 庭 内 の 校 舎 から 見 えにくく 暗 い 場 所 において,その 肩 を 押 してコンクリートブ ロックの 際 に 追 い 込 み,キスをしたり 乳 房 を 触 るなどした 後, 向 きを 変 えさせて 背 後 か ら 被 害 者 と 性 交 し,その 間, 被 害 者 が, やめて と 言 いながら, 被 告 人 の 手 を 押 さえた りズボンを 脱 がされまいとするなどの 抵 抗 をしても, 性 交 等 をやめなかったというもの であるから, 被 告 人 は, 被 害 者 の, 男 性 ( 被 告 人 )との 性 交 渉 に 関 する 自 由 な 意 思 決 定 を 妨 げ, 被 告 人 との 性 交 を 拒 絶 することを 著 しく 困 難 にさせるのに 足 りる 有 形 力 の 行 使 をしたものと 認 められる ( 本 判 決 の 判 示 ( 要 旨 ) 原 判 決 について, 強 制 わいせつ 罪 における 暴 行 の 程 度 が, 一 般 には, 強 姦 罪 と 同 様 に, 被 害 者 の 抵 抗 を 著 しく 困 難 にする 程 度 とされていながら, 暴 行 自 体 が 強 制 わいせつ 行 為 でもある 場 合 を 説 明 するに 当 たり, 被 害 者 の 意 思 に 反 するものであれば 足 りるように 解 釈 運 用 されていることから, 原 判 決 は, 実 質 的 には, 強 姦 罪 においてもこれと 同 等 の 暴 行 があれば 足 りるもののように 解 したと 思 われなくもない 仮 にそうであるとすれば, そのような 理 解 は, 暴 行 自 体 がわいせつ 行 為 となり 得 る 強 制 わいせつ 罪 と 暴 行 が 性 交 の 手 段 である 強 姦 罪 との 行 為 の 性 質 の 相 違 を 看 過 するものであって, 正 当 とはいえない 強 姦 罪 が 成 立 するためには,その 手 段 である 暴 行 は,あくまでも 性 交 についての 抵 抗 を 著 しく 困 難 にする 程 度 のものでなければならず,その 意 思 に 反 するものでは 足 りないと 解 される とした 上, 被 告 人 は, 女 生 徒 ( 引 用 注 : 被 害 者 )の 肩 を 押 して 背 中 をコンクリートブロック に 押 し 付 けた 以 外 は, 合 意 の 上 での 性 交 の 場 合 にも 伴 うような 行 為 に 及 んだにとどま り, 女 生 徒 の 抵 抗 を 排 除 するような 暴 行 脅 迫 は 加 えていない さらに, 性 交 の 際 の 両 者 の 体 勢 によれば, 女 生 徒 が 足 をばたつかせるなどしさえすれば, 性 交 を 容 易 に 妨 げ ることができたといえる そうすると, 本 件 における 性 交 が, 夜 間 に 小 学 校 の 築 山 の 裏 側 という 人 気 もなく 暗 い 場 所 で 行 われたものであり, 被 告 人 が 当 時 25 歳 の 成 人 男 性 であるのに 対 し, 女 生 徒 は 当 時 15 歳 の 小 柄 な 中 学 3 年 生 であることを 考 慮 しても, 被 告 人 が 女 生 徒 の 抵 抗 を 著 しく 困 難 にする 程 度 の 暴 行 を 加 えたということはできな い とし, さらに, 飲 酒 の 影 響 についても, 飲 酒 が 女 生 徒 の 身 体 等 に 与 えた 影 響 は,その 飲 酒 - 4 -

量 や 事 実 の 経 過 からみて,それほど 大 きいものとは 考 えられない 女 生 徒 の 左 膝 の 負 傷 等 がその 運 動 能 力 に 一 定 の 制 約 を 与 えたことは 認 められるものの, 女 生 徒 は, 飲 酒 場 所 から 性 交 現 場 まで2キロメートル 以 上 を 歩 き, 性 交 の 際 にもズボンを 下 ろされな いようにつかんだり, 被 告 人 の 手 を 押 さえるなどの 抵 抗 をしたというのであるから, それなりの 運 動 能 力 を 保 持 していたものと 認 められる と 認 定 した 上 で, 運 動 能 力 の 制 約 は,それほど 大 きいものとはいえず, 当 裁 判 所 の 事 実 取 調 べの 結 果 を 加 えても, 被 告 人 が 女 生 徒 の 抵 抗 を 著 しく 困 難 にする 程 度 の 暴 行 を 加 えて 性 交 に 及 んだと 認 める ことはできにない とし, 原 判 決 を 破 棄 して 無 罪 を 言 い 渡 した 大 阪 地 判 平 成 20 年 6 月 27 日 ( 自 然 確 定 ) ( 公 訴 事 実 ) 被 告 人 は, 平 成 19 年 6 月 12 日 午 後 9 時 ころ, 大 阪 市 内 の 路 上 に 停 車 した 普 通 乗 用 自 動 車 内 において, 被 害 者 ( 当 時 14 歳 )に 対 し,その 手 を 払 いのけ,その 両 足 を 無 理 矢 理 開 いた 上, 同 女 に 覆 い 被 さるなどの 暴 行 を 加 えて,その 反 抗 を 抑 圧 し, 強 いて 同 女 を 姦 淫 したものである ( 判 示 ( 要 旨 ) 被 告 人 が 被 害 者 の 陰 部 を 触 ろうとした 際 に, 被 害 者 が 足 を 閉 じたこと, 性 交 の 前 に, 被 害 者 が 今 日 はやめて と 言 い, 足 を 閉 じていたが, 被 告 人 は, 入 れるまで はせえへん と 言 うなどし, 被 害 者 の 足 を 開 け 性 交 したとの 被 害 者 の 供 述 の 信 用 性 は 高 く,この 点 に 関 する 被 告 人 の 公 判 供 述 は 採 用 できない 本 件 公 訴 事 実 中, 被 告 人 が 本 件 現 場 で, 被 害 者 に 対 し,その 両 足 を 開 いた 上, 同 女 に 覆 い 被 さり, 同 女 と 性 交 した 事 実 は 認 められる なお, 被 害 者 の 手 を 払 いのけた 点 は, 被 害 者 は 公 判 で 供 述 しておらず,この 点 についての 捜 査 段 階 の 被 告 人 供 述 の 信 用 性 には 慎 重 な 考 慮 が 必 要 とされることに 照 らすと, 証 拠 上 認 定 することはできない としつつ, 反 抗 を 著 しく 困 難 にする 程 度 の 暴 行 の 認 定 に 消 極 的 に 働 く 事 情 として 被 害 者 も 被 告 人 との 交 際 に 対 して 積 極 的 であった 被 害 者 は, 本 件 当 日, 被 告 人 に 会 う 前 に, 化 粧, 着 替 え 及 び 入 浴 をして 身 支 度 を 整 えており, 被 告 人 もそのことを 認 識 していた 本 件 直 前, 被 告 人 は, 車 の 中 で, 被 害 者 に 付 き 合 うか 尋 ね, 被 害 者 がこれを 承 諾 し ており, 性 交 を 受 け 入 れたものと 被 告 人 が 考 えても 不 自 然 ではない 人 的 関 係 にあった 被 告 人 は, 本 件 現 場 に 行 くまでの 間 に 被 害 者 とキスをし, 本 件 現 場 において, 後 部 座 席 に 被 害 者 を 誘 い, 後 部 座 席 を 倒 した 後 に, 被 害 者 は 後 部 座 席 に 移 動 して, 任 意 に 寝 転 がり, 被 告 人 とキスをしている そうすると, 被 害 者 は, 被 告 人 とは, 強 く 抵 抗 することが 困 難 な 関 係 にはなく, 被 告 人 の 方 も, 被 害 者 の 抵 抗 に 対 して 多 少 強 引 に 迫 れば, 被 害 者 もあきらめ, 同 意 により 性 交 できると 期 待 しても 不 自 然 ではない 被 害 者 の 公 判 供 述 によっても, やめて というのは, 被 告 人 に 聞 こえる 程 度 の 声 であり, 叫 ぶなど 強 い 拒 絶 の 様 子 を 示 したとまでは 認 められない その 抵 抗 の 態 様 は, 被 告 人 の 肩 ないし 腕 を 手 で 押 さえたり, 上 記 のとおり, 容 易 に - 5 -

開 かれる 程 度 に 足 を 閉 じていたと 言 うにとどまり,パンツを 脱 がされるときには,パ ンツを 持 っていない ジャージのズボンとパンツには, 脱 がされるに 際 して 破 れた 形 跡 はなく, 被 害 者 自 身 あっさりと 私 の 両 足 を 開 き と 供 述 しており, 足 を 固 く 閉 じていたとまでは 認 め られないし, 開 かれた 後, 必 死 で 抵 抗 したとの 状 況 ではなかった 本 件 自 動 車 を 運 転 し, 本 件 現 場 に 停 車 した 被 告 人 は, 本 件 現 場 が 被 害 者 と 待 ち 合 わ せをした 場 所 や 被 害 者 の 通 う 中 学 校 から1キロメートル 前 後 の 距 離 にある, 南 側 は 住 宅 地 となっている 公 道 上 であることは 認 識 していたとみられる ことがある 旨 指 摘 した 上 で, 被 告 人 が 被 害 者 の 足 を 開 く 行 為 及 び 被 害 者 に 覆 い 被 さる 行 為 が, 反 抗 を 著 しく 困 難 にする 程 度 の 有 形 力 の 行 使 であるとは 認 めがたい 被 告 人 は, 被 害 者 が 拒 否 的 な 態 度 を 示 しつつも, 最 終 的 には 大 きな 抵 抗 もないことから, 自 己 との 性 交 を 消 極 的 ながら 受 け 入 れていたと 誤 信 していた 疑 いは 払 拭 できない と 判 示 してい る - 6 -