金 融 商 品 取 引 法 研 究 会 (2015 年 5 月 20 日 ) インサイダー 取 引 規 制 と 自 己 株 式 京 都 大 学 大 学 院 法 学 研 究 科 前 田 雅 弘 Ⅰ はじめに 自 己 株 式 の 取 得 インサイダー 取 引 の 危 険 平 成 13 年 改 正 前 商 法 が 自 己 株 式 取 得 を 原 則 禁 止 した 理 由 の1つ 平 成 13 年 商 法 改 正 は 金 商 法 によりインサイダー 取 引 の 危 険 を 防 止 できるという 考 えが 基 礎 自 己 株 式 処 分 についてもインサイダー 取 引 の 危 険 が 除 去 されている 必 要 あり Ⅱ インサイダー 取 引 規 制 と 自 己 株 式 取 得 1) 1 インサイダー 取 引 規 制 が 問 題 となる 場 面 1 会 社 が 自 己 株 式 取 得 についての 決 定 をすれば それが 重 要 事 実 となり それが 未 公 表 の 間 役 員 ら 会 社 関 係 者 が 自 らのために 売 買 等 をすることを 禁 止 する 必 要 あり 2 新 製 品 の 企 業 化 の 決 定 などの 重 要 事 実 が 存 在 するときは それが 未 公 表 の 間 会 社 が 自 己 株 式 を 取 得 することを 禁 止 すべきか 3 自 己 株 式 取 得 についての 決 定 が 重 要 事 実 となるとき 会 社 による 具 体 的 な 買 付 けにも 規 制 を 及 ぼすべきか 2 重 要 事 実 としての 自 己 株 式 取 得 2-1 規 制 の 概 要 平 成 6 年 の 証 券 取 引 法 改 正 平 成 6 年 商 法 改 正 により 自 己 株 式 取 得 禁 止 規 制 の 緩 和 ( 平 成 6 年 改 正 商 210 条 ノ 2 212 条 ノ 2) = 使 用 人 に 譲 渡 するための 自 己 株 式 取 得 を 例 外 的 に 許 容 = 定 款 の 定 めによらず 定 時 株 主 総 会 決 議 に 基 づいて 利 益 消 却 のための 自 己 株 式 取 得 を 行 うことを 許 容 弊 害 防 止 策 の1つとして 証 券 取 引 法 改 正 = 自 己 株 式 の 取 得 を 行 うことについての 決 定 をしたことを 新 たに 重 要 事 実 に 追 加 ( 平 成 6 年 改 正 証 取 166 条 2 項 1 号 ハ) 上 場 会 社 の 業 務 執 行 を 決 定 する 機 関 が 会 社 法 156 条 1 項 の 規 定 による 自 己 株 式 取 得 につ いての 決 定 をしたこと(またはその 決 定 の 公 表 後 に 行 わないことを 決 定 したこと)は 重 要 事 実 となり( 金 商 166 条 2 項 1 号 ニ) 役 員 ら 会 社 関 係 者 は 自 らのために 株 式 を 売 買 することを 禁 止 される( 金 商 166 条 1 項 ) 1) 前 田 雅 弘 自 己 株 式 取 得 とインサイダー 取 引 規 制 法 学 論 叢 140 巻 5=6 号 (1997)252 頁 - 1 -
2-2 課 徴 金 事 例 告 発 事 件 課 徴 金 勧 告 事 例 = 資 料 1 告 発 事 件 = 資 料 1 2-3 自 己 株 式 取 得 についての 決 定 重 要 事 実 の 発 生 は2 段 階 あり 取 締 役 会 など 業 務 執 行 を 実 質 的 に 決 定 する 機 関 が 自 己 株 式 取 得 のための 議 案 を 株 主 総 会 へ 提 出 することを 決 定 した 場 合 あるいはそれに 向 けて 具 体 的 な 検 討 をするよう 決 定 した 場 合 には その 段 階 で 重 要 事 実 が 発 生 する 株 主 総 会 決 議 に 基 づいて 取 締 役 会 が 具 体 的 な 自 己 株 式 の 買 付 けを 決 定 することも( 会 社 157 条 ) 重 要 事 実 となる -ただし 具 体 的 な 取 得 についての 決 定 の 事 実 が 公 表 されていなくても 授 権 決 議 につ いて 公 表 があれば 会 社 は 自 己 株 式 の 買 付 けをすることが 例 外 的 に 認 められる( 後 記 4) 一 定 の 場 合 に 会 社 法 156 条 1 項 の 事 項 を 取 締 役 会 決 議 で 決 定 することが 認 められる - 子 会 社 から 自 己 株 式 を 取 得 する 場 合 ( 会 社 163 条 ) - 剰 余 金 配 当 を 取 締 役 会 決 議 で 決 定 できる 会 社 が 自 己 株 式 取 得 も 取 締 役 会 決 議 で 決 定 す る 旨 を 定 款 で 定 めた 場 合 ( 会 社 459 条 1 項 1 号 ) - 市 場 取 引 公 開 買 付 けの 方 法 でする 自 己 株 式 取 得 を 取 締 役 会 決 議 で 定 めることができ る 旨 を 定 款 で 定 めた 場 合 ( 会 社 165 条 2 項 ) 会 社 法 156 条 の 決 議 と 157 条 の 決 議 を 一 体 として 行 うのであれば 重 要 事 実 の 発 生 を2 段 階 で 考 える 必 要 はないのであろう 2-4 新 株 予 約 権 の 取 得 の 決 定 金 商 法 が 自 己 株 式 取 得 の 決 定 を 重 要 事 実 としたのは 株 式 の 需 要 増 加 を 示 す 情 報 であり 投 資 者 の 投 資 判 断 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼすから 自 己 新 株 予 約 権 取 得 の 決 定 は 重 要 事 実 でない - 新 株 予 約 権 の 発 行 の 決 定 は 重 要 事 実 ( 金 商 166 条 2 項 1 号 イ) 自 己 新 株 予 約 権 取 得 の 決 定 も 株 式 の 需 給 に 影 響 を 与 える 情 報 新 株 予 約 権 発 行 の 決 定 をして 公 表 したあと 発 行 の 中 止 を 決 定 することは 重 要 事 実 ( 金 商 166 条 2 項 1 号 イ) 発 行 後 に 取 得 して 消 却 することに 規 制 がかからなくてよいか 新 株 予 約 権 と 株 式 とをどこまでパラレルに 扱 うべきかという 問 題 - 会 社 法 でも 新 株 予 約 権 を 株 式 とパラレルに 扱 っているのは 発 行 の 場 面 だけ 3 重 要 事 実 があるときの 自 己 株 式 取 得 3-1 規 制 の 概 要 新 製 品 の 企 業 化 の 決 定 などの 重 要 事 実 が 存 在 するとき それが 未 公 表 の 間 会 社 が 自 己 株 式 を 取 得 することには 制 限 がかかる 会 社 が 公 開 買 付 けの 方 法 で 自 己 株 式 を 取 得 しようとする 場 合 には 未 公 表 の 重 要 事 実 が あれば 公 開 買 付 届 出 書 を 提 出 する 前 に それを 公 表 しなければならない( 金 商 27 条 の 22-2 -
の 3 第 1 項 ) 金 商 法 166 条 は 会 社 自 身 を 会 社 関 係 者 にした 規 制 になっていない しかし 会 社 による 自 己 株 式 取 得 は 取 締 役 従 業 員 らが 会 社 の 計 算 で 当 該 会 社 の 株 式 を 取 得 することにほかならない 3-2 課 徴 金 事 例 課 徴 金 勧 告 事 例 = 資 料 2 3-3 信 託 方 式 投 資 一 任 方 式 による 自 己 株 式 取 得 現 実 に 買 付 けを 決 定 する 者 が 未 公 表 の 重 要 事 実 を 知 らずに 買 付 けを 行 うのであれば イ ンサイダー 取 引 規 制 に 反 することはない 他 部 門 で 発 生 する 重 要 事 実 が 自 己 株 式 の 買 付 け 担 当 部 門 に 伝 達 されない 措 置 (チャイニ ーズ ウォール)が 適 正 に 構 築 されていれば 買 付 けはインサイダー 取 引 規 制 に 抵 触 し ない 情 報 隔 離 をより 明 確 にするため 信 託 方 式 投 資 一 任 方 式 が 考 案 されている インサイダー 取 引 規 制 に 関 するQ&A ( 金 融 庁 証 券 取 引 等 監 視 委 員 会 平 成 20 年 11 月 18 日 ) 問 1 = 資 料 3 (1)を 必 要 としたことは 正 当 売 買 等 ( 金 商 166 条 1 項 )には 他 人 に 売 買 等 の 委 託 指 図 をすることも 含 まれる (2)の1 典 型 的 には 信 託 契 約 等 の 締 結 時 に 買 付 け 数 量 総 額 などを 定 めておき その 範 囲 内 で の 個 別 具 体 的 な 買 付 けの 決 定 を 信 託 銀 行 等 に 行 わせるタイプ 積 極 的 に 中 止 の 措 置 をとらなければ 規 制 違 反 になるかという 問 題 あり 2) - 重 要 事 実 を 知 った 役 員 等 の 裁 量 の 余 地 はなく 中 止 しなくても 投 資 者 の 市 場 に 対 する 信 頼 を 損 なうことにはならないのではないか (2)の2 指 示 を 行 う 部 署 と 重 要 事 実 を 知 っている 者 との 間 で 真 に 情 報 隔 離 が 行 われているのであ れば 重 要 事 実 を 知 った 者 が 売 買 等 をすることにはならない = 信 託 方 式 等 を 使 わずに1つの 会 社 内 部 で 情 報 隔 離 を 行 った 場 合 と 同 様 金 商 法 上 の 根 拠 金 商 法 166 条 6 項 12 号 の 適 用 除 外 事 由 に 当 たるとの 見 解 あり 3) - 同 規 定 を 重 要 事 実 を 知 ったことと 無 関 係 に 行 われる 売 買 等 であることが 明 らかなも 4) のを 適 用 除 外 にする 規 定 であると 広 く 解 釈 2) 金 融 商 品 取 引 法 研 究 会 編 金 庫 株 解 禁 に 伴 う 商 法 証 券 取 引 法 別 冊 商 事 法 務 251 号 (2002)79 頁 以 下 参 照 3) 矢 野 正 紘 自 己 株 式 取 得 に 係 る インサイダー 取 引 規 制 に 関 するQ&A の 検 討 中 商 事 法 務 1873 号 (2009)127 頁 4) 横 畠 裕 介 インサイダー 取 引 規 制 と 罰 則 159 頁 (1989 有 斐 閣 ) - 3 -
金 商 法 166 条 1 項 に 該 当 しないからと 解 すべきではないか 5) - 重 要 事 実 を 知 った 者 が 売 買 等 をすることにはならない 状 況 を 確 保 3-4 重 要 事 実 を 知 ったことと 無 関 係 に 行 われた 売 買 等 Q&A 改 訂 ( 平 成 26 年 6 月 27 日 )により 問 3 追 加 規 制 違 反 にならない 場 合 の 例 イ 重 要 事 実 が 株 価 を 引 き 上 げる 情 報 であるときに 公 表 前 に 売 付 けを 行 った 場 合 ロ 重 要 事 実 を 知 る 前 に 買 付 け 注 文 を 行 った 場 合 前 記 ロ 金 商 法 166 条 1 項 に 該 当 しないので 規 制 違 反 にならない - 重 要 事 実 を 知 った 者 が 売 買 等 をすることにはならない 前 記 イ 仮 に 重 要 事 実 を 知 らなかったのであれば 前 記 と 同 様 金 商 法 166 条 1 項 に 該 当 しない 本 問 は 知 っている 場 合 金 商 法 166 条 6 項 12 号 の 適 用 除 外 事 由 があるか 金 商 法 166 条 6 項 12 号 の 適 用 除 外 規 定 =1 知 る 前 契 約 の 履 行 2 知 る 前 計 画 の 実 行 3その 他 これに 準 ずる 特 別 の 事 情 に 基 づく 売 買 等 であることが 明 らかな 売 買 等 をする 場 合 ( 内 閣 府 令 で 定 める 場 合 に 限 る ) を 適 用 除 外 括 弧 書 きの 限 定 を 3の 部 分 は 受 けないという 見 解 - 前 記 イは 3に 基 づく 適 用 除 外 に 当 たると 解 するのであろう 6) 括 弧 書 きの 限 定 は3の 部 分 にだけかかるという 見 解 -12に 基 づく 適 用 除 外 を 広 く 認 めることができる -しかし 現 在 の 内 閣 府 令 ( 有 価 証 券 の 取 引 等 の 規 制 に 関 する 内 閣 府 令 59 条 )は12につ いての 定 め 近 年 の 違 反 事 案 及 び 金 融 企 業 実 務 を 踏 まえたインサイダー 取 引 規 制 をめぐる 制 度 整 備 について (インサイダー 取 引 規 制 に 関 するワーキング グループ 平 成 24 年 12 月 25 日 ) = 資 料 4 知 る 前 契 約 計 画 にかかる 適 用 除 外 規 定 の 見 直 しを 提 言 WG 報 告 の 提 言 を 活 かすためには 金 商 法 または 内 閣 府 令 の 文 言 を 改 めるのが 適 切 では ないか 4 会 社 による 具 体 的 な 買 付 けについての 適 用 除 外 自 己 株 式 取 得 についての 決 定 が 重 要 事 実 となり その 重 要 事 実 の 発 生 により 会 社 自 身 が 自 己 株 式 を 取 得 することに どのような 制 限 がかかるか 5) 岩 原 紳 作 ほか 金 融 商 品 取 引 法 セミナー( 開 示 制 度 不 公 正 取 引 業 規 制 編 ) 383 頁 (2011 有 斐 閣 )[ 藤 本 拓 資 発 言 ] 6) 松 尾 直 彦 金 融 商 品 取 引 法 第 3 版 (2014 商 事 法 務 )585 頁 岩 原 ほか 前 掲 注 5)388 頁 [ 松 尾 直 彦 発 言 ] - 4 -
規 制 の 概 要 ( 平 成 6 年 証 券 取 引 法 改 正 ) 取 締 役 会 等 が 自 己 株 式 取 得 のための 議 案 を 株 主 総 会 へ 提 出 することを 決 定 した 場 合 (ま たはそれに 向 けて 具 体 的 な 検 討 をするよう 決 定 した 場 合 )には これが 重 要 事 実 となり これが 未 公 表 の 間 会 社 は 自 己 株 式 取 得 を 禁 じられる( 金 商 166 条 1 項 2 項 1 号 ニ) = 役 員 ら 会 社 関 係 者 が 自 己 の 計 算 で 取 引 をする 場 合 ( 前 記 2)と 同 様 株 主 総 会 決 議 について 公 表 がなされると それに 基 づく 具 体 的 な 自 己 株 式 の 買 付 けの 決 定 は 未 公 表 であっても 会 社 は 自 己 株 式 を 買 い 付 けることができる( 金 商 166 条 6 項 4 号 の 2) 適 用 除 外 が 認 められた 理 由 7) 会 社 が 自 己 株 式 を 円 滑 に 取 得 することを 困 難 にするおそれがあるとの 見 解 自 己 株 式 取 得 の 決 定 によって 決 定 の 目 的 たる 取 得 行 為 が 妨 げられてはならないという 当 8) 然 の 結 果 とする 見 解 買 付 けの 決 定 と 同 時 に 重 要 事 実 が 発 生 し 重 要 事 実 を 知 ったことと 無 関 係 に 買 付 けの 決 定 がされることが 定 型 的 に 明 確 であるからではないか 9) Ⅲ インサイダー 取 引 規 制 と 自 己 株 式 処 分 1 重 要 事 実 としての 自 己 株 式 処 分 平 成 13 年 証 券 取 引 法 改 正 により 自 己 株 式 の 処 分 の 決 定 が 重 要 事 実 に 追 加 ( 証 取 166 条 2 項 1 号 ホ)= 金 商 法 166 条 2 項 1 号 イ 平 成 13 年 商 法 改 正 により 自 己 株 式 の 取 得 保 有 が 自 由 化 され 処 分 も 無 視 できなくなっ た 新 株 発 行 の 決 定 は 従 前 より 重 要 事 実 ( 同 条 2 項 1 号 イ) 自 己 新 株 予 約 権 の 処 分 の 決 定 はなお 重 要 事 実 とされていない 2 重 要 事 実 があるときの 自 己 株 式 処 分 2-1 自 己 株 式 処 分 と 有 償 の 譲 渡 自 己 株 式 処 分 は 売 買 その 他 の 有 償 の 譲 渡 若 しくは 譲 受 け ( 金 商 166 条 1 項 柱 書 き) に 該 当 するか 10) 問 題 は 新 株 発 行 の 場 合 との 平 仄 新 株 発 行 は 解 釈 としては 有 償 の 譲 渡 若 しくは 譲 受 け には 当 たらないと 解 するのが 通 説 しかしその 実 質 的 根 拠 は 乏 しい - 新 株 発 行 では 商 法 および 証 券 取 引 法 上 の 開 示 規 制 がかかる との 説 明 7) 証 券 取 引 審 議 会 公 正 取 引 特 別 部 会 自 己 株 式 取 得 等 の 規 制 緩 和 に 伴 う 証 券 取 引 制 度 の 整 備 について Ⅲ1(3)3( 平 成 6 年 2 月 7 日 ) 商 事 法 務 1346 号 (1994)25 頁 8) 黒 沼 悦 郎 インサイダー 取 引 規 制 と 法 令 解 釈 金 融 法 務 事 情 1866 号 (2009)50 頁 9) 前 田 前 掲 注 1)267 頁 10) 岩 原 ほか 前 掲 注 5)325 頁 以 下 参 照 - 5 -
会 社 法 金 商 法 に 基 づく 開 示 によって 必 ずしも 重 要 事 実 が 開 示 されるわけではない 11) 会 社 法 上 新 株 発 行 と 自 己 株 式 処 分 は 手 続 開 示 の 面 では 揃 えられ 金 商 法 上 も 平 成 21 年 改 正 により 自 己 株 式 処 分 は 取 得 勧 誘 類 似 行 為 として 実 質 的 に 新 株 発 行 と 同 様 の 扱 い 現 行 法 の 解 釈 として 自 己 株 式 処 分 を 規 制 対 象 とすべき 金 商 法 上 新 規 発 行 か 既 発 行 かの 区 別 は 相 対 化 してきているが 開 示 規 制 でも 新 規 発 行 12) と 既 発 行 との 区 別 を 前 提 にした 規 制 文 言 上 は 該 当 実 質 的 にも 未 公 表 の 重 要 事 実 を 知 った 会 社 関 係 者 が 株 式 を 処 分 するときに 自 己 の 保 有 株 式 を 処 分 するか 自 己 株 式 を 会 社 のために 処 分 するかで 投 資 者 の 市 場 に 対 する 信 頼 の 損 なわれ 方 に 差 はない 2-2 自 己 株 式 処 分 と 知 る 者 同 士 の 取 引 との 関 係 第 三 者 割 当 ての 自 己 株 式 処 分 について 知 る 者 同 士 の 取 引 (クロクロ 取 引 )との 関 係 が 問 題 未 公 表 の 重 要 事 実 を 知 っている 者 の 間 での 相 対 取 引 は 適 用 除 外 ( 金 商 166 条 6 項 7 号 ) 第 三 者 割 当 てであれば 通 常 会 社 から 割 当 予 定 先 に 重 要 事 実 の 伝 達 が 行 われ 適 用 除 13) 外 となりうる 旨 の 指 摘 第 三 者 が 重 要 事 実 を 知 って 株 式 を 引 き 受 け 重 要 事 実 公 表 後 の 株 価 上 昇 で 利 得 をするの 14) は 不 都 合 ではないかという 指 摘 重 要 事 実 を 事 前 に 引 受 人 に 伝 達 しておけば 金 商 法 上 は 適 用 除 外 問 題 になるのは 会 社 法 上 の 有 利 発 行 規 制 との 関 係 - 客 観 的 には 株 式 価 値 は 重 要 事 実 発 生 時 点 で 上 昇 - 重 要 事 実 が 未 公 表 のまま 株 主 総 会 の 特 別 決 議 なく 有 利 発 行 がされる 事 態 が 生 じうる - 損 害 を 受 けるのは 旧 株 主 - 第 三 者 による 利 得 は 一 般 にクロクロ 取 引 で 生 じうる 事 態 - 旧 株 主 の 救 済 は 会 社 法 によらざるを 得 ないのではないか 11) 川 口 恭 弘 新 株 発 行 等 に 関 する 規 制 - 金 商 法 の 視 点 から 商 事 法 務 2041 号 (2014)64 頁 12) 神 田 秀 樹 ほか 編 著 金 融 商 品 取 引 法 コンメンタール4- 不 公 正 取 引 規 制 課 徴 金 罰 則 (2011 商 事 法 務 )124 頁 [ 神 作 裕 之 ] 13) 川 口 前 掲 注 11)65 頁 14) 吉 本 健 一 ほか (シンポジウム) 新 株 発 行 等 新 株 予 約 権 発 行 の 法 規 制 をめぐる 諸 問 題 私 法 77 号 (2015)124 頁 [ 黒 沼 悦 郎 発 言 ] - 6 -
26 8 23 6 15 20 6 = 20 11 18 26 6 27 24 12 25
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ISBN978-4-89032-667-9 C3032 500E