平成 29 年度 Web 研修会固定資産税初任者研修動画 宅地評価の実務路線価付設と画地評価のポイント 一般財団法人 MIA 協議会 www.miaj.gr.jp 1 目次 Ⅰ 宅地評価の概要 Ⅲ 各筆の評点数の付設 2 Ⅰ 宅地評価の概要 < 宅地の評価 > 各筆の宅地について評点数を付設する方法として 市町村の宅地の状況に応じて二通りの方法が定められている 主として市街地的形態を形成する地域における宅地 市街地宅地評価法 主として市街地的形態を形成するに至らない地域における宅地 その他の宅地評価法 3-1-
鑑定評価価格等 Ⅰ 宅地評価の概要 < 市街地宅地評価法の手順 > 用途地区 状況類似地域の区分 主要な街路 標準宅地の選定 標準宅地の適正な時価の評定 路線価 ( 主 他 ) 付設 各筆の評点数の付設 画地計算法 各筆の評価額の算出 4 Ⅰ 宅地評価の概要 < その他の宅地評価法の手順 > 鑑定評価価格等 用途地区 状況類似地域の区分標準宅地の選定標準宅地の適正な時価の評定各筆の評点数の付設各筆の評価額の算出 宅地の比準表の適用 5 評価法適用区分 Ⅰ 宅地評価の概要 市行政区界 その他の宅地評価法 市街地宅地評価法 6-2-
< 市街地宅地評価法 > 用途地区 状況類似地域の区分 中小工場地区 普通住宅地区 用途地区区分 普通商業地区 状況類似区分 7 < 市街地宅地評価法 > 主要な街路 標準宅地の選定 主要な街路 標準宅地 8 < 市街地宅地評価法 > 路線価及び各筆の評点数の付設 主要な街路 その他の街路 画地計算法により形状等で補正 9-3-
< その他の宅地評価法 > 宅地の比準表の適用 標準宅地 宅地の比準表を適用し ( 奥行 形状等 ) 標準宅地の価額から比準 10 1. 路線区分 2. 路線価の付設 3. 路線価算定システム 4. 価格形成要因 5. 路線価比準表 6. 路線価算定例 11 1. 路線区分 市街地宅地評価法は 土地の価格形成要因 ( 土地の価格に影響のある要因 ) を路線単位で集約し これに対応する路線毎の路線価を付設し 画地計算法を適用して各筆の評価額を算出する方法 < 路線区分の定義 > 土地の価格形成要因を路線単位で集約したもの 価格形成要因がおおむね等しい範囲 沿接する宅地の価格が等しい区間 12-4-
1. 路線区分 < 路線区分の例示 > 区分範囲が 同一状況類似区分内に収まること 道路構造が おおむね同等であること 路線の両端での接近条件が 無視し得る範囲の延長範囲であること 地上物件の利用状況が均質的であり その収益性もしくは快適性 利便性に特段の格差が認められないこと 13 2. 路線価の付設 (1) 主要な街路の路線価付設 標準宅地の鑑定評価書記載の 標準価格 の 7 割相当額を 主要な街路の路線価として付設する この路線価が 状況類似地域内のその他の街路の路線価算定の価格の基本となる 鑑定評価書記載の価格 標準価格とは画地計算法附表の補正率が 1.00 となる 標準的な画地を想定した場合の価格 鑑定評価額とはその土地の個別的要因の格差率 ( 角地 不整形 奥行長大など ) を含んだ評価額 14 2. 路線価の付設 (2) その他の街路の路線価付設 その他の街路の路線価は 主要な街路の路線価を基本として 土地の価格に影響のある要因 ( 価格形成要因 ) について それぞれの状況を比準 ( 比較 ) することで 価格を算定する その他の街路の路線価を算定するには 路線価算定システム を活用 15-5-
3. 路線価算定システム路線価算定システムとは 標準宅地の鑑定評価結果を基礎として 比準表に基づき路線価を求めるシステムのことをいう (1) 各種データを 路線価算定システムへの取り込み 1 地図データ 用途地区区分 状況類似地域区分 路線区分等 2 属性データ 価格形成要因等 ( 街路 交通 環境 行政的条件 ) (2) 各種の要因データ比較価格形成要因について 比準表を用いて路線価を算定する * 基本的には 次の計算過程によって路線価が算定される 16 4. 価格形成要因 価格形成要因内容 1 街路条件 路線毎の幅員 舗装有無 行止り道路 急傾斜路 自動車通過不能路等の 路線の個別条件 が要因として採用される 2 交通接近条件 3 環境条件 4 行政的条件 公共施設等との接近条件 ( 距離 ) 鉄道駅 市役所 学校 スーパー 銀行等の生活上の利便施設の内 土地の価格に影響を与えているものが要因として採用される 下水道 都市ガス等のインフラ整備状況 汚水処理場などの嫌悪施設との接近状況が要因として採用される 都市計画用途地域 建ぺい率 容積率などの土地利用に関する行政上の一般的な規制 制約の程度等が要因として採用される 17 4. 価格形成要因 (1) 価格形成要因の把握 地域の実情に合った要因の検討 前回評価替の状況を整理し 要因採否決定 要因をデータ化 (2) 路線価比準表の考え方 最近の土地取引市場の実態と価格形成要因に即した 統一的な路線価比準表 を作成する 路線価比準表 の作成にあたっては 以下の点に留意する 1 地価形成要因に対応した比準表を設定 2 比準条件は 街路 交通接近 環境 行政 等に大別する 3 資産評価システム研究センター等の要因も参考とする 4 前回評価替えの採用要因 格差率との整合性を図ること 5 電算仕様に合致したデータを作成すること 18-6-
5. 路線価比準表 ( 例 ) 道路幅員 主要な街路の幅員が 6m その他の街路が 4m の場合 その格差は -4 点となります 19 6. 路線価算定例 状類 10 標準宅地 10 標準価格 100,000 円 / m2 その他の街路 010005 主要な街路 010001 20 6. 路線価算定例 路線番号状類標宅主要な街路標準価格主要な街路路線価 010005 10 10 010001 100,000 70,000 街路条件 要因名称 主要な街路状況 その他街路状況 評点 幅員 6.0m 4.0m -4.0 排水有無 -1.0 ( 格差 ) 95/100 駅距離 300m 500m -1.0 交通接近役所距離 400m 600m -1.0 条件 ( 格差 ) 98/100 90,000 96/100 97/100 100/100 100/100 83,800 下水道有有 0.0 環境条件 83,800 0.7 58,600 / m2 路線 (010005) の路線価 ( 格差 ) 100/100 行政的条件 都計用途一住居一住居 0.0 ( 格差 ) 100/100 21-7-
6. 路線価算定例 主要な街路 (010001) の路線価 100,000 0.7 = 70,000 円 / m2 その他の街路 (010005) の路線価 70,000 95/100 98/100 100/100 100/100 ( 街路条件 ) ( 交通接近条件 ) ( 環境条件 ) ( 行政的条件 ) 65,100 円 / m2 22 Ⅲ 各筆の評点数の付設 1. 地目認定 (1) 地目認定基準 (2) 地目認定の基本 2. 画地認定 計測 (1) 画地認定の具体的事例 (2) 画地計測の意義 23 1. 地目認定 (1) 地目認定基準 Ⅲ 各筆の評点数の付設 田畑宅地鉱泉地池沼山林牧場原野雑種地 農耕地で 用水を利用して耕作する土地 農耕地で 用水を利用しないで耕作する土地 建物の敷地及びその維持もしくは効用を果たすために必要な土地 鉱泉 ( 温泉を含む ) の湧出口及びその維持に必要な土地 かんがい用水でない水の貯水池 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地 家畜を放牧する土地 耕作の方法によらないで雑草 かん木類の生育する土地 上記地目のいずれにも該当しない土地 ( 例 : 運動場 ゴルフ場 鉄塔敷地 鉄軌道用地 駐車場等 ) 評価基準では 土地の地目を 9 地目に区分している 24-8-
(2) 地目認定の基本 1. 地目認定 認定時期 賦課期日である 1 月 1 日現在 の利用状況による 現況主義 土地評価上の地目は現況の地目によるものとし 原則として一筆毎に行うものである この場合 土地全体としての状況に着眼し 一般の社会通念に照らし 客観的に妥当と認められる地目を認定することが必要である 25 Ⅲ 各筆の評点数の付設 2. 画地認定 計測 (1) 画地認定の具体的事例原則として 土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録された一筆の宅地を一画地とする 但し 利用形態 所有形態から複数筆一画地と認定する場合がある < 複数筆一画地 一筆を別画地とする認定の例 > 1 2 6 道路 3 4 5 宅地 ブロック塀 駐車場 一画地認定一画地認定二画地認定 26 (2) 画地計測の意義 2. 画地認定 計測 画地は形状により価格に影響するところが大きいため 画地認定を行った後 間口 奥行 蔭地割合等を計測し 画地計算法を適用して評点数を付設する 例えば 三角形の土地には効率的な形状の家は建て辛いが 正方形や長方形の土地には住みやすい家が建てられる そのため このような個々の土地の形状等に起因する利用上の便による価格差は画地計算法により補正が行われる 27-9-
2. 画地認定 計測 1 接面間口の設定 2 想定整形地の作成 3 間口距離の計測 判定 4 奥行距離の計算 判定 5 蔭地割合の計算 6 不整形地補正率の判定 7 画地評点数の算定 28 1 接面間口の設定 接面間口とは 認定した画地が正面路線に接する部分をいう まず 画地の正面路線を確定する < 接面間口の判定例 > : 路線 : 接面間口 29 < 正面路線の判定 > 2 本以上の路線に接する画地においては 原則として 路線価の高い方を正面とし また 路線価が同じである場合には 間口の大きい方とする 路線 A 路線価 10,000 1 接面間口の設定 a. 路線価に差がある場合 b. 路線価が同一場合 路線 C 路線価 10,000 路線 B 路線価 9,000 正面路線 路線価 A 路線 D 路線価 10,000 正面路線 路線 C 30-10-
2 想定整形地の作成 想定整形地は 画地全体を囲む正面路線に面する矩形又は正方形の土地のうち最も面積の小さいものを想定整形地とする 1 道 30m 20m 2 道 30m 22m 600 m2 3 道 33m 19m 660 m2 627 m2 31 3 間口距離の計算 判定 間口距離は 接面間口 ( 画地が路線に実際に接する部分 または間口の両端を直線で結んだ部分 ) の距離 と 想定整形地の間口距離 のうち短い方を当該画地の決定間口とする 25m 接面間口 : 25m 想定整形地間口 : 30m 30m 画地の決定間口 : 25m 32 4 奥行距離の計算 判定奥行距離は 画地面積 決定間口 と 想定整形地 の奥行距離 の内 短い方を当該画地の決定奥行とする A. B. 10m 18m 140m2 10m 140m2 10m 画地面積 決定間口 = 140m2 10m = 14m a 想定整形地の奥行き 10m b a>bであるから決定奥行きは10m 画地面積 決定間口 = 140m2 18m 7.7m a 想定整形地の奥行き 10m b a<bであるから決定奥行きは7.7m 33-11-
5 蔭地割合の計算蔭地割合は 想定整形地に対する蔭地部分の面積割合により求める 10m 225 m2 18m 15m 想定整形地の面積 18m 15m = 270m2画地の面積 225m2蔭地部分の面積 270m2-225m2 = 45m2蔭地割合 = 蔭地面積 想定整形地 45m2 270m2 17% 34 6 不整形地補正率の判定 不整形地は 不整形地補正率表 ( 附表 4) により補正されるが 間口狭小補正率表 ( 附表 5) や 奥行長大補正率表 ( 附表 6) の適用になる場合には計算 1 計算 2 を両方行い 補正率の小さい方を不整形地補正率とする 計算 1 不整形地補正率表の補正率 間口狭小補正率 計算 2 奥行長大補正率 間口狭小補正率 35 実際に計算してみよう! 6 不整形地補正率の判定 < 用途地区 : 普通住宅地区 > 路線価 :10,000 10m 1. 接面間口 10m 2. 想定整形地 18m 15m = 270 m2 225 m2 15m 18m 3. 間口距離の計測 判定 10m or 15m 短い方 4. 奥行距離の計測 判定 18m or 22.5m 短い方 5. 蔭地割合の計算 17% 36-12-
6 不整形地補正率の判定 37 6 不整形地補正率の判定 38 6 不整形地補正率の判定 18m/10m=1.8 39-13-
6 不整形地補正率の判定 計算 1 0.96 1.00 = 0.96 不整形地補正率表の補正率間口狭小補正率 計算 2 1.00 1.00 = 1.00 奥行長大補正率 間口狭小補正率 計算 1< 計算 2 より 不整形地補正率は0.96 40 7 画地評点数の算定 奥行価格補正率表 ( 附表 1) 側方路線影響加算率表 ( 附表 2) 二方路線影響加算率表 ( 附表 3) これらに照らし合わせ 評点数の算定を行います 41 7 画地評点数の算定 42-14-
7 画地評点数の算定 < 基本 1 m2あたりの評点数 > = 10,000 1.00 0.96 路線価 奥行価格補正率 不整形地補正率 = 9,600 < 画地評点数 > = 9,600 225( 地積 ) = 2,160,000 43 おわり ご清聴 ありがとうございました 一般財団法人 MIA 協議会 44-15-