鑑定評価書の様式とその見方

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1 天神 5 丁目本件土地及び状況類似地域 天神 5 丁目 本件土地 1 状況類似地域 標準宅地

路線価図

目 次 1 固定資産税と固定資産税評価 1 1 固定資産税とは 1 2 固定資産税の課税のしくみ 2 (1) 固定資産税を納める人 ( 納税義務者 ) 2 (2) 税額の計算 2 2 固定資産税評価のあらまし 1 固定資産税評価の意義 2 固定資産税評価によって求める価格とは 3 固定資産の価格を求

土地の概要 - 1 事例 A 8, m2 正面路線価 150 千円 借地権割合 70% 地区区分 ビル街地区 5.0 m m 地形 (: 計算方法 ) 旗状地 同説明 旗地 敷地延長とも言われる 狭小 奥行長大が適用されることが多い 路線価 ( 千円 ) 奥行補正 狭小 奥行

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し, これを評点 1 点当たりの価額に乗じて, 各筆の宅地の価額を求めるものとしている 市街地宅地評価法は,1 状況が相当に相違する地域ごとに, その主要な街路に沿接する宅地のうちから標準宅地を選定し,2 標準宅地について, 売買実例価額から評定する適正な時価を求め, これに基づいて上記主要な街路の

市税のしおり2016表紙再3

第 6 回令和元年度固定資産評価実務者勉強会 第 3 部 税理士による最近の各種課税評価に関するお話 講師 : 税理士 不動産鑑定士 赤川明彦 ( 株式会社土地評価センター取締役 ) copyright 2019 KOTOBUKI PROPERTY ASSESSMENT all rights res

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川崎都市計画事業登戸土地区画整理事業

税理士法人チェスター【紹介】

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第 1 基本的事項 1 業務内容についての順守事項本業務を行う不動産鑑定士又は不動産鑑定士補 ( 以下 不動産鑑定士等 という ) は 本業務が単に個別地点について行う鑑定評価と異なり 同一価格時点で大量に行う鑑定評価であり 特に面的な価格の均衡が求められる固定資産税評価のための基礎資料を作成するも

平成 27 年 8 月 5 日判決言渡 平成 25 年 ( 行ウ ) 第 239 号固定資産評価審査棄却決定取消請求事件 主 文 1 原告の請求を棄却する 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求吹田市固定資産評価審査委員会が平成 25 年 5 月 15 日付けで原告に対してした別

『知っておきたい 不動産所有コストの中身と抑えるコツ』

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魚津市固定資産 ( 土地 ) 評価事務取扱要領 魚津市

ており 土地の個別的要因に係る補正が全て考慮されたものとなっていることから 土地の形状 道路との位置関係等に基づく個別的要因に係る補正 すなわち評価通達 15(( 奥行価格補正 )) から 20(( 不整形地の評価 )) まで及び 20-3(( 無道路地の評価 )) から 20-6(( 容積率の異な

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研シ(○○コ)第00000号_依頼者名

いう (7) 側方路線角地及び三 四方路線地において 側方の間口が接する路線をいう (8) 背面路線正背路線地及び三 四方路線地において 背面の間口が接する路線をいう (9) 分割線画地の形状 利用状況により画地を部分に分割する線をいう (10) 奥行逓減割合画地の価格が奥行により逓減する割合をいう

1. 固定資産税 都市計画税について 固定資産税は 毎年 1 月 1 日 ( 賦課期日 といいます ) 現在に土地 家屋 償却資産 ( こ れらを総称して 固定資産 といいます ) を所有している人が その固定資産の所在する 市町村に納める税金です 都市計画税は 下水道 街路 公園などの都市計画事業

固定資産(土地)評価基準取扱要領

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第 1 章総 則 ( 趣旨 ) 第 1 条本仕様書は 市原市 ( 以下 発注者 という ) が業務を委託する 固定資産総合資料整備業務委託 ( 評価支援事務 ) ( 以下 本業務 という ) に必要な事項を定めるものとし 受託者 ( 以下 受注者 という ) は 当該仕様書に基づき業務を行うものとす

第 5 節 鉱泉地 第 6 節 池沼 第 7 節 山林 第 8 節 牧場 第 9 節 原野 第 10 節 雑種地 第 11 節 その他 第 12 節 経過措置 第 2 章 家屋 第 1 節 通則 第 2 節 木造家屋 第 3 節 非木造家屋 第 4 節 経過措置 第 3 章 償却資産 第 1 節 償

目 次 第 1 章総則... 1 第 1 節基本的事項... 1 第 2 節評価の基本原則... 1 第 2 章土地... 1 第 1 節通則... 1 第 1 土地評価の基本... 1 第 2 地目の認定 認定の時期等 一般的な認定基準... 2 宅地... 2 農

す ) 5 地区 地域内の各筆の評価 ( 一画地の宅地ごとに評価額を算出します < 土地に対する課税 > (1) 評価のしくみ固定資産評価基準によって 地目別に定められた評価方法により評価します 平成 6 年度の評価替えから 宅地の評価は 地価公示価格の 7 割を目途に均衡化 適正化が図られています

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目 次 第 1 章 総 則 1 1 目 的 1 2 地目の認定 1 3 地積の認定 2 4 存在が確認できない土地の取扱い 3 第 2 章 宅 地 4 1 宅地の評価 4 2 市街地宅地評価法 6 3 画地計算法 9 4 その他の宅地評価法 34 ( 別表 1) 宅地の比準表 38 第 3 章 市街

土地評価事務取扱要領

~ 都市計画道路予定地の評価 ~ 今回の豆知識では 我々不動産鑑定士が日常の評価業務において良く目にする 都市計画 道路予定地 の評価について取り上げてみたいと思います 1. 都市計画道路とは? 都市計画法では 道路 公園 下水道処理施設等の施設 ( 都市施設 ) のうち必要なものを都市計画に定める

計算式 1 1 建物の価額 ( 固定資産税評価額 ) =2 長期居住権付所有権の価額 +3 長期居住権の価額 2 長期居住権付所有権の価額 ( 注 1) =1 固定資産税評価額 法定耐用年数 ( 経過年数 + 存続年数 ( 注 3)) 法定耐用年数 ( 注 2) 経過年数 ライプニッツ係数 ( 注

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【印刷用】H30 評価要領.doc

はじめに 1 第 1 章土砂災害警戒区域の概要と現状分析 1 近年の土砂災害状況 2 2 土砂災害警戒区域 土砂災害特別警戒区域について 4 3 大阪府内の指定状況等について 6 4 土砂災害警戒区域等指定に伴う不動産価格への影響 8 第 2 章固定資産税評価について 1 固定資産税の概要 10 ⑴

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物件番号

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販売用不動産の時価評価の基準(案)と論点

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きんび利用目的に重点を置き 部分的に僅少の差異が存するときでも土地全体として の状況を観察し認定する ( 評価基準第 1 章第 1 節一 ) ただし 一筆の土地が相 当の規模で二以上全く別個の用途に利用されているときには その利用状況によ って区分し それぞれに地目を定めることができる なお 利用状

目次 第 1 章総則 1 第 1 条 ( 適用の範囲 ) 1 第 2 条 ( 事業の目的 ) 1 第 3 条 ( 準拠する法令等 ) 1 第 4 条 ( 協議 ) 1 第 5 条 ( 業務実施計画 ) 1 第 6 条 ( 管理技術者等 ) 2 第 7 条 ( 報告の義務 ) 2 第 8 条 ( 関係

二予備的請求主文第二項 第三項同旨第二事案の概要一事案の要旨本件は 本件土地一ないし五を所有する原告 AR 及び本件土地六を所有する原告 CCが 同各土地について固定資産課税台帳に登録された平成九年度の固定資産課税台帳登録価格について 適正な時価を上回る違法なものであるとして 被告に対して審査の申し

第 2 章各種の補正 1. 奥行価格補正 Step1 机上調査 公図の奥行を三角スケールをあてて計測したところ おおよそ 13mであった 土地の地積は 110 m2である < 公図 > Step2 現地調査 現地調査において 奥行をメジャーで測ったところ 11.9mであった <

12. 地価公示は 土地鑑定委員会が 毎年 1 回 2 人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め その結果を審 査し 必要な調整を行って 標準地の正常な価格を判定し これを公示するものである 13. 不動産鑑定士は 土地鑑定委員会の求めに応じて標準地の鑑定評価を行うに当たっては 近傍類地の取 引価格から

固定資産評価事務取扱要領 第〓節 通則

73,800 円 / m2 幹線道路背後の住宅地域 については 77,600 円 / m2 という結論を得たものであり 幹線道路背後の住宅地域 の土地価格が 幹線道路沿線の商業地域 の土地価格よりも高いという内容であった 既述のとおり 土地価格の算定は 近傍類似の一般の取引事例をもとに算定しているこ

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第 1 章 総則 ( 適用の範囲 ) 第 1 条この仕様書は 平成 30 年度佐賀市固定資産評価替えのため 佐賀市内の街路に路線を付設し 路線図の作成及び路線価格の算定を行う業務 ( 以下 本業務 という ) の委託について定める ( 事業の目的 ) 第 2 条本業務は 平成 30 年度評価替えに向

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本検討会で扱う「所有者の所在の把握が難しい土地」とは

首席国有財産鑑定官

電子メール テンプレート (標準)

2 税額控除等の計算 ( 単位 : 円 ) 項目対象者計算過程金額 答案用紙 Chapter2 問題 3 課税価格の計算 Ⅰ 相続人及び受遺者の相続税の課税価格の計算 1 分割財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 2 みなし取得財産価額の計算 ( 単位 : 千円 ) 取得者財産の種類計算過程金額

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住民税について

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固定資産評価業務委託 ( その 1) 仕様書 第 1 章総則 ( 趣旨 ) 第 1 条本仕様書は 委託者武豊町 ( 以下 甲 という ) が 受託者 ( 以下 乙 という ) に委託して行う固定資産評価業務委託 ( 以下 業務 という ) の内容 方法等について定めるものである ( 業務目的 ) 第

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LEC 東京リーガルマインド 複製 頒布を禁じます 平成 29 年度不動産鑑定士論文式試験 ズバリ的中 鑑定理論 論文問題 問題 1 (50 点 ) 移行地に関する次の各問に答えなさい (1) 不動産の種別における移行地の定義について 見込地と比較した上で 説明しなさい (2) 移行地の個別的要因に

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固定資産の価格は 国が示す基準で評価します 固定資産の評価は 国が示す 固定資産評価基準 によって行うこととされています ( 固定資産評価基準は 総務大臣が告示します ) これにより 評価した価格 ( 評価額 ) は 毎年 3 月 31 日までに市町村長が決定します 平成 30 年度の価格 ( 評価

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TAS-MAP 土地建物評価土地建物評価 レポートのサンプル 評価レポート (PDF) 評価額 比準表 評価条件 事例一覧 路線価表示住宅地図 公示等推移グラフ 変動率 固定資産税データを使用した場合このページは出力されません 事例プロット図 評価レポート (Excel) エクセル形式では土地建物レ

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地域経済分析システム () の表示内容 ヒートマップでは 表示する種類を指定する で選択している取引価格 ( 取引面積 mあたり ) が高い地域ほど濃い色で表示されます 全国を表示する を選択すると 日本全国の地図が表示されます 都道府県単位で表示する を選択すると 指定地域 で選択している都道府県

第 Ⅱ ゾーンの地区計画にはこんな特徴があります 建築基準法のみによる一般的な建替えの場合 斜線制限により または 1.5 容積率の制限により 利用できない容積率 道路広い道路狭い道路 街並み誘導型地区計画による建替えのルール 容積率の最高限度が緩和されます 定住性の高い住宅等を設ける

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指定標準 適用区域 建ぺい率 容積率 建築物の高さの最高限度 m 用途地域の変更に あたり導入を検討 すべき事項 ( 注 2) 1. 環境良好な一般的な低層住宅地として将来ともその環境を保護すべき区域 2. 農地等が多く 道路等の都市基盤が未整備な区域及び良好な樹林地等の保全を図る区域 3. 地区計

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再販入札⇒先着順物件調書

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1 目的 建築基準法第 68 条の 5 の 5 第 1 項及び第 2 項に基づく認定に関する基準 ( 月島地区 ) 平成 26 年 6 月 9 日 26 中都建第 115 号 建築基準法 ( 昭和 25 年法律第 201 号 以下 法 という ) 第 68 条の 5 の 5 第 1 項 及び第 2

相続財産の評価P64~75

平成 27 年度評価替え路線価付設業務基本仕様書 第 1 章総則 ( 適用範囲 ) 第 1 条本仕様書は 宜野湾市の 平成 27 年度評価替え路線価付設業務 について その作業内容等を定めるものである ( 準拠する法令等 ) 第 2 条本業務は 本仕様書によるほか 次の関連法令 諸規則に基づき実施す

されている そして 市町村長 ( 東京都の特別区においては 法七三四条一項の規定により 東京都知事 以下同じ ) は評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならないとされ ( 法四〇三条一項 ) 固定資産の価格等を決定し 価格等を登録した場合には その結果の概要調書を作成し 毎年四月中にこれを

Transcription:

平成 29 年度 Web 研修会固定資産税初任者研修動画 宅地評価の実務路線価付設と画地評価のポイント 一般財団法人 MIA 協議会 www.miaj.gr.jp 1 目次 Ⅰ 宅地評価の概要 Ⅲ 各筆の評点数の付設 2 Ⅰ 宅地評価の概要 < 宅地の評価 > 各筆の宅地について評点数を付設する方法として 市町村の宅地の状況に応じて二通りの方法が定められている 主として市街地的形態を形成する地域における宅地 市街地宅地評価法 主として市街地的形態を形成するに至らない地域における宅地 その他の宅地評価法 3-1-

鑑定評価価格等 Ⅰ 宅地評価の概要 < 市街地宅地評価法の手順 > 用途地区 状況類似地域の区分 主要な街路 標準宅地の選定 標準宅地の適正な時価の評定 路線価 ( 主 他 ) 付設 各筆の評点数の付設 画地計算法 各筆の評価額の算出 4 Ⅰ 宅地評価の概要 < その他の宅地評価法の手順 > 鑑定評価価格等 用途地区 状況類似地域の区分標準宅地の選定標準宅地の適正な時価の評定各筆の評点数の付設各筆の評価額の算出 宅地の比準表の適用 5 評価法適用区分 Ⅰ 宅地評価の概要 市行政区界 その他の宅地評価法 市街地宅地評価法 6-2-

< 市街地宅地評価法 > 用途地区 状況類似地域の区分 中小工場地区 普通住宅地区 用途地区区分 普通商業地区 状況類似区分 7 < 市街地宅地評価法 > 主要な街路 標準宅地の選定 主要な街路 標準宅地 8 < 市街地宅地評価法 > 路線価及び各筆の評点数の付設 主要な街路 その他の街路 画地計算法により形状等で補正 9-3-

< その他の宅地評価法 > 宅地の比準表の適用 標準宅地 宅地の比準表を適用し ( 奥行 形状等 ) 標準宅地の価額から比準 10 1. 路線区分 2. 路線価の付設 3. 路線価算定システム 4. 価格形成要因 5. 路線価比準表 6. 路線価算定例 11 1. 路線区分 市街地宅地評価法は 土地の価格形成要因 ( 土地の価格に影響のある要因 ) を路線単位で集約し これに対応する路線毎の路線価を付設し 画地計算法を適用して各筆の評価額を算出する方法 < 路線区分の定義 > 土地の価格形成要因を路線単位で集約したもの 価格形成要因がおおむね等しい範囲 沿接する宅地の価格が等しい区間 12-4-

1. 路線区分 < 路線区分の例示 > 区分範囲が 同一状況類似区分内に収まること 道路構造が おおむね同等であること 路線の両端での接近条件が 無視し得る範囲の延長範囲であること 地上物件の利用状況が均質的であり その収益性もしくは快適性 利便性に特段の格差が認められないこと 13 2. 路線価の付設 (1) 主要な街路の路線価付設 標準宅地の鑑定評価書記載の 標準価格 の 7 割相当額を 主要な街路の路線価として付設する この路線価が 状況類似地域内のその他の街路の路線価算定の価格の基本となる 鑑定評価書記載の価格 標準価格とは画地計算法附表の補正率が 1.00 となる 標準的な画地を想定した場合の価格 鑑定評価額とはその土地の個別的要因の格差率 ( 角地 不整形 奥行長大など ) を含んだ評価額 14 2. 路線価の付設 (2) その他の街路の路線価付設 その他の街路の路線価は 主要な街路の路線価を基本として 土地の価格に影響のある要因 ( 価格形成要因 ) について それぞれの状況を比準 ( 比較 ) することで 価格を算定する その他の街路の路線価を算定するには 路線価算定システム を活用 15-5-

3. 路線価算定システム路線価算定システムとは 標準宅地の鑑定評価結果を基礎として 比準表に基づき路線価を求めるシステムのことをいう (1) 各種データを 路線価算定システムへの取り込み 1 地図データ 用途地区区分 状況類似地域区分 路線区分等 2 属性データ 価格形成要因等 ( 街路 交通 環境 行政的条件 ) (2) 各種の要因データ比較価格形成要因について 比準表を用いて路線価を算定する * 基本的には 次の計算過程によって路線価が算定される 16 4. 価格形成要因 価格形成要因内容 1 街路条件 路線毎の幅員 舗装有無 行止り道路 急傾斜路 自動車通過不能路等の 路線の個別条件 が要因として採用される 2 交通接近条件 3 環境条件 4 行政的条件 公共施設等との接近条件 ( 距離 ) 鉄道駅 市役所 学校 スーパー 銀行等の生活上の利便施設の内 土地の価格に影響を与えているものが要因として採用される 下水道 都市ガス等のインフラ整備状況 汚水処理場などの嫌悪施設との接近状況が要因として採用される 都市計画用途地域 建ぺい率 容積率などの土地利用に関する行政上の一般的な規制 制約の程度等が要因として採用される 17 4. 価格形成要因 (1) 価格形成要因の把握 地域の実情に合った要因の検討 前回評価替の状況を整理し 要因採否決定 要因をデータ化 (2) 路線価比準表の考え方 最近の土地取引市場の実態と価格形成要因に即した 統一的な路線価比準表 を作成する 路線価比準表 の作成にあたっては 以下の点に留意する 1 地価形成要因に対応した比準表を設定 2 比準条件は 街路 交通接近 環境 行政 等に大別する 3 資産評価システム研究センター等の要因も参考とする 4 前回評価替えの採用要因 格差率との整合性を図ること 5 電算仕様に合致したデータを作成すること 18-6-

5. 路線価比準表 ( 例 ) 道路幅員 主要な街路の幅員が 6m その他の街路が 4m の場合 その格差は -4 点となります 19 6. 路線価算定例 状類 10 標準宅地 10 標準価格 100,000 円 / m2 その他の街路 010005 主要な街路 010001 20 6. 路線価算定例 路線番号状類標宅主要な街路標準価格主要な街路路線価 010005 10 10 010001 100,000 70,000 街路条件 要因名称 主要な街路状況 その他街路状況 評点 幅員 6.0m 4.0m -4.0 排水有無 -1.0 ( 格差 ) 95/100 駅距離 300m 500m -1.0 交通接近役所距離 400m 600m -1.0 条件 ( 格差 ) 98/100 90,000 96/100 97/100 100/100 100/100 83,800 下水道有有 0.0 環境条件 83,800 0.7 58,600 / m2 路線 (010005) の路線価 ( 格差 ) 100/100 行政的条件 都計用途一住居一住居 0.0 ( 格差 ) 100/100 21-7-

6. 路線価算定例 主要な街路 (010001) の路線価 100,000 0.7 = 70,000 円 / m2 その他の街路 (010005) の路線価 70,000 95/100 98/100 100/100 100/100 ( 街路条件 ) ( 交通接近条件 ) ( 環境条件 ) ( 行政的条件 ) 65,100 円 / m2 22 Ⅲ 各筆の評点数の付設 1. 地目認定 (1) 地目認定基準 (2) 地目認定の基本 2. 画地認定 計測 (1) 画地認定の具体的事例 (2) 画地計測の意義 23 1. 地目認定 (1) 地目認定基準 Ⅲ 各筆の評点数の付設 田畑宅地鉱泉地池沼山林牧場原野雑種地 農耕地で 用水を利用して耕作する土地 農耕地で 用水を利用しないで耕作する土地 建物の敷地及びその維持もしくは効用を果たすために必要な土地 鉱泉 ( 温泉を含む ) の湧出口及びその維持に必要な土地 かんがい用水でない水の貯水池 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地 家畜を放牧する土地 耕作の方法によらないで雑草 かん木類の生育する土地 上記地目のいずれにも該当しない土地 ( 例 : 運動場 ゴルフ場 鉄塔敷地 鉄軌道用地 駐車場等 ) 評価基準では 土地の地目を 9 地目に区分している 24-8-

(2) 地目認定の基本 1. 地目認定 認定時期 賦課期日である 1 月 1 日現在 の利用状況による 現況主義 土地評価上の地目は現況の地目によるものとし 原則として一筆毎に行うものである この場合 土地全体としての状況に着眼し 一般の社会通念に照らし 客観的に妥当と認められる地目を認定することが必要である 25 Ⅲ 各筆の評点数の付設 2. 画地認定 計測 (1) 画地認定の具体的事例原則として 土地課税台帳又は土地補充課税台帳に登録された一筆の宅地を一画地とする 但し 利用形態 所有形態から複数筆一画地と認定する場合がある < 複数筆一画地 一筆を別画地とする認定の例 > 1 2 6 道路 3 4 5 宅地 ブロック塀 駐車場 一画地認定一画地認定二画地認定 26 (2) 画地計測の意義 2. 画地認定 計測 画地は形状により価格に影響するところが大きいため 画地認定を行った後 間口 奥行 蔭地割合等を計測し 画地計算法を適用して評点数を付設する 例えば 三角形の土地には効率的な形状の家は建て辛いが 正方形や長方形の土地には住みやすい家が建てられる そのため このような個々の土地の形状等に起因する利用上の便による価格差は画地計算法により補正が行われる 27-9-

2. 画地認定 計測 1 接面間口の設定 2 想定整形地の作成 3 間口距離の計測 判定 4 奥行距離の計算 判定 5 蔭地割合の計算 6 不整形地補正率の判定 7 画地評点数の算定 28 1 接面間口の設定 接面間口とは 認定した画地が正面路線に接する部分をいう まず 画地の正面路線を確定する < 接面間口の判定例 > : 路線 : 接面間口 29 < 正面路線の判定 > 2 本以上の路線に接する画地においては 原則として 路線価の高い方を正面とし また 路線価が同じである場合には 間口の大きい方とする 路線 A 路線価 10,000 1 接面間口の設定 a. 路線価に差がある場合 b. 路線価が同一場合 路線 C 路線価 10,000 路線 B 路線価 9,000 正面路線 路線価 A 路線 D 路線価 10,000 正面路線 路線 C 30-10-

2 想定整形地の作成 想定整形地は 画地全体を囲む正面路線に面する矩形又は正方形の土地のうち最も面積の小さいものを想定整形地とする 1 道 30m 20m 2 道 30m 22m 600 m2 3 道 33m 19m 660 m2 627 m2 31 3 間口距離の計算 判定 間口距離は 接面間口 ( 画地が路線に実際に接する部分 または間口の両端を直線で結んだ部分 ) の距離 と 想定整形地の間口距離 のうち短い方を当該画地の決定間口とする 25m 接面間口 : 25m 想定整形地間口 : 30m 30m 画地の決定間口 : 25m 32 4 奥行距離の計算 判定奥行距離は 画地面積 決定間口 と 想定整形地 の奥行距離 の内 短い方を当該画地の決定奥行とする A. B. 10m 18m 140m2 10m 140m2 10m 画地面積 決定間口 = 140m2 10m = 14m a 想定整形地の奥行き 10m b a>bであるから決定奥行きは10m 画地面積 決定間口 = 140m2 18m 7.7m a 想定整形地の奥行き 10m b a<bであるから決定奥行きは7.7m 33-11-

5 蔭地割合の計算蔭地割合は 想定整形地に対する蔭地部分の面積割合により求める 10m 225 m2 18m 15m 想定整形地の面積 18m 15m = 270m2画地の面積 225m2蔭地部分の面積 270m2-225m2 = 45m2蔭地割合 = 蔭地面積 想定整形地 45m2 270m2 17% 34 6 不整形地補正率の判定 不整形地は 不整形地補正率表 ( 附表 4) により補正されるが 間口狭小補正率表 ( 附表 5) や 奥行長大補正率表 ( 附表 6) の適用になる場合には計算 1 計算 2 を両方行い 補正率の小さい方を不整形地補正率とする 計算 1 不整形地補正率表の補正率 間口狭小補正率 計算 2 奥行長大補正率 間口狭小補正率 35 実際に計算してみよう! 6 不整形地補正率の判定 < 用途地区 : 普通住宅地区 > 路線価 :10,000 10m 1. 接面間口 10m 2. 想定整形地 18m 15m = 270 m2 225 m2 15m 18m 3. 間口距離の計測 判定 10m or 15m 短い方 4. 奥行距離の計測 判定 18m or 22.5m 短い方 5. 蔭地割合の計算 17% 36-12-

6 不整形地補正率の判定 37 6 不整形地補正率の判定 38 6 不整形地補正率の判定 18m/10m=1.8 39-13-

6 不整形地補正率の判定 計算 1 0.96 1.00 = 0.96 不整形地補正率表の補正率間口狭小補正率 計算 2 1.00 1.00 = 1.00 奥行長大補正率 間口狭小補正率 計算 1< 計算 2 より 不整形地補正率は0.96 40 7 画地評点数の算定 奥行価格補正率表 ( 附表 1) 側方路線影響加算率表 ( 附表 2) 二方路線影響加算率表 ( 附表 3) これらに照らし合わせ 評点数の算定を行います 41 7 画地評点数の算定 42-14-

7 画地評点数の算定 < 基本 1 m2あたりの評点数 > = 10,000 1.00 0.96 路線価 奥行価格補正率 不整形地補正率 = 9,600 < 画地評点数 > = 9,600 225( 地積 ) = 2,160,000 43 おわり ご清聴 ありがとうございました 一般財団法人 MIA 協議会 44-15-