東京産婦人科医会との協力による 子宮がん細胞診 検診を指導した先生 青木大輔 慶應義塾大学医学教授 青木基彰 検診の方法とシステム この検診は 東京産婦人科医会 以下 医会 旧東京母性保護 医協会 以下 東母 の会員の施設を利用して検体を採取し 東京産婦人科医会顧問 それを東京都予防医学協会細胞診センターに郵送して細胞診断を 伊藤良彌 行う施設検診方式 東母方式 で実施されている 東京都予防医学協会婦人検診長 岩倉弘毅 東京婦人科医会監事 大橋克洋 東京産婦人科医会副会長 落合和彦 この東母方式には 下図のような流れがある一つは 受診 希望者が医会会員の施設を訪れ 自費で検診を受けるものであり 自由検診 といわれている 自由検診 に対して 行政検診 は 区 市 町 村が検診の 東京産婦人科医会副会長 費用を公費で負担するもので 受診者は各自治体が発行した受診 木村好秀 券を持って地区内の医会会員の施設に出向いて検診を受ける方式 東京産婦人科医会学術長 田中忠夫 東京慈恵会医科大学教授 塚﨑克己 慶應義塾大学医学准教授 長谷川壽彦 東京都予防医学協会検査研究センター長 である 自由検診 行政検診 ともに原則1次スクリーニングでclass Ⅲ以上と判定された受診者は 医会会員の施設または東京都予防 医学協会内の精密検診センターなどで精密検査を受ける方式で実 施される 町田利正 東京産婦人科医会会長 東京都予防医学協会年報 年版 第号
表 年度別 検診別 子宮頸がん検診成績 年度 年度 自由検診 Ⅰ Ⅱ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,.. Ⅲ Ⅳ Ⅴ,.,.,.,,,.,.,.,.,.,.,.,.,.,..........,..........,.,,,,,,,,,,, 度と年度の比較では 自由検診受診者と行政検 診受診者合わせて,件の減少で 年度とほぼ 行政検診 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ,,,,,.,.,,,,,,,,,,,,,,,,,,,.,.,.,.,.,.,.,.,.,,,,,............,. Ⅴ.,,.........,.,,,,,,,,,,, まった疑陽性率の減少は今後の課題である 年齢別子宮頸がん検診受診者数の推移 同じ水準に戻ったことになる体がん検診を保険で 自由検診における検診受診者の年齢構成は 行う場合が増加していると推測するのは 今後の推 昭和 年度までのピーク 歳に対 移を見ながら判断すべきであろう 表 細胞診の疑陽性 陽性率を見ると 年度と対 比してほぼ同程度の結果であった細胞診を行う立 して 歳にピークを認めているこの傾向は 年度以来大きな変化を認めていない 図 行政検診について 歳未満受診者は年度 場としては 極力疑陽性率を下げようと努力はして 年度 年度それぞれ...と推 いるが 内膜細胞診判定の困難さから 病変の存在 移している歳未満受診者が増加傾向にあるのか を見逃してはならないこともあり かなりの率 自由 判断するのは難しいが 若年者の検診受診者が一定 検診. 行政検診. で疑陽性と判断してし の割合を占めるようになったと考えている 東京都予防医学協会年報 年版 第号
表 年度別 検診別 子宮体がん検診成績 年度 検診別 自 由 検 診 判 定 陰 性,,..,,,..,,,,,,,,,,..................,,,,,,,,,,,,,,,,,,..................,,,,,,,,, 疑陽性 % 行 政 検 診 陽 性 % 陰 性 疑陽性 % 陽 性 %,,,,,,...... 子宮がん発見症例数 考えると大きな問題である個人情報保護法の影響 年度の子宮頸がんの発見者数を年度と比 が大きいとの指摘もあるが 検診の質の向上を考え 較すると 自由検診で例 行政検診で例の減少 るのであれば 検診関係者は一層の努力を行うべき であったがん発見率については 自由検診では低 であろう 下傾向を認めるが 行政検診では傾向は認めるとし 年度の子宮がん発見率を全体 年 ても 明らかに低下したと言い切れる数値ではない の合 と比較すると 大幅な低下傾向にあるが 追跡が終了していない症例もあるので 年度に んと診断する前に治療 高度等で治療した す 年度と年度を比較してみてから傾向をみる る症例が増加すれば この傾向は持続するが 子宮 べきである がん罹患率や死亡率はむしろ増加しているデータも 考慮すべき問題は 年版年報でも述べたが あり がん症例が大幅に減少したと思われないので 年々低下する追跡率で 特に自由検診での追跡率が 今後の推移を注意深く見守ることが大切である 表 を下回るまで低下していることは検診の精度を 子宮頸がん検診で発見されたがんの種類別で 東京都予防医学協会年報 年版 第号
表 年度別 検診別 子宮がん検診数 頸がん 体がん と子宮がん発見数および発見率 年度 年度 自 由 検 診 行 政 検 診 検診数 人 がん発見数 人 発見率 追跡率 検診数 人 がん発見数 人 発見率 追跡率,,,,,,,,,,,..................,,,,,,,,,,,..................,,,..,,,.. 自由検診と行政検診の合およびがん発見数 発見率,, 件, 人.% 注①がん発見数は 年 月 日現在の上皮内癌を含むがんの確定数 ② 年から 子宮体がんの検診数を含む は 全体と比較すると上皮内癌を含めたがん例は自 由検診 行政検診ともに低率化している軽度異形 成 中等度 高度 上皮内癌について める場合での検診が多いためと思われる 表 細胞診成績 年齢別 年度別子宮頸がん検診細胞診成績 年度と年度の検出率を比較すると 大きな 子宮頸がん検診の細胞診で いわゆる異常があり 差を認めていないに対する上皮内癌と微小 精密検査の対象としていたクラスⅢ ⅣとⅤの全体 合数の比率は 過去の総上で自由検診が に占める割合は クラスⅢで年度と年度を ほぼ対 行政検診が約対であった年度 追 比較すると 自由検診で.と. 行政検診で 跡が終了していないので未集分が存在する でみ.であった年度による変動範囲内と考え 誤差 ると それぞれ約.倍.倍であった年度に 範囲とみたいクラスⅣとⅤについてみると 自由 ついては に対して上皮内癌 微小症 検診で.と. 行政検診で.と.と 例比率は減少傾向にあった 大きな差を認めていない近年増加傾向にあるのは ベセスダシステムが導入されると問題になるのが 歳未満若年者のクラスⅢ増加であり その原因は H-SIL 高度扁平上皮内病変 の扱いである中等度異 HPV感染症例の増加である子宮頸がん取り扱い規 形成から上皮内癌 微小疑いを含め までを包 約でHPV感染を軽度相当と評価しているので 括する組織分類なので そのまま採用することなく HPV感染症例のクラス分類をクラスⅢaとしている これまでの分類方式を当てはめて 日本産婦人科医 のが大きな要因である 表 会で採択したベセスダシステム準拠子宮頸報 ベセスダシステムが普及すると 現行でのクラス 告様式にしたがってH-SIL診断を再分類し これまで 分類による統をベセスダ用語に変えなければなら 同様中等度 高度 上皮内癌 微小浸 ないが ASC-USとASC-Hの扱いとクラスⅢa扱い 潤癌疑いを付記することになる 表 図 であったベセスダシステムH-SILの中等度の扱 子宮体がん検診で発見された新生物症例 特に子 いは なんらかの取り決めが必要であろう 宮内膜がんについて がん発見率は扁平上皮系の低 下傾向と比較して 大きな変動を認めていない体 おわりに がん発見率については 自由検診が行政検診と比較 本会における子宮がん検診の結果について 子宮 して高値を示しているが 症状 主として出血 を認 がん検診を取り巻く最近の話題 特にベセスダシス 東京都予防医学協会年報 年版 第号
表 子宮頸がん検診の追跡結果 年度 確定病変 頸 体 良 良 自由検診 行政検診 合 年度 自由検診 行政検診 合,..,..,........ 内 膜 増 殖 症 内膜異型増殖症............ 成 度 度 度,,,....,,,....,,,................ 上 皮 内 癌 微 小 浸 潤 癌 上 皮 内 腺 癌 微小浸潤腺癌 そ の 他,.....,.....,,.................... 扁 平 上 皮 癌 頸 腺 癌 腺扁平上皮癌 体 腺 癌 頸 そ の 他 そ の 他,............,........................ 追 跡 可 能 例 追 跡 不 可 能 例,,..,,..,,......,,.. 追 跡 対 象 例, 性 性 腺 異 形 軽 中 等 高 早期癌,,,,, 注 各症例のは追跡可能例に対する割合を示す その他のがんは子宮以外のがんや 位不確定のがん等の症例 テムの導入と影響 さらに移行期の対応について解 しなければならないと思っている 説した転換期にある子宮がん検診を 国民健康の 注 より詳しい資料をお求めの場合 保持 増強に益するように方向づけしなければなら ここに示した統資料は本会開設以来年度毎に集 ない毎年強調している事項であるが 国民の利益 したものを簡略化しています詳しい資料につい にかなうよう 検診関係者一同がなお一層の努力を ては ご連絡をいただければ開示します 東京都予防医学協会年報 年版 第号
表 子宮体がん検診の追跡結果 年度 年度 自由検診 行政検診 合 性 性,..,..,........ 内 膜 増 殖 症 内 膜 異 型 増 殖 症....,........ 体 癌...... 腺 軽 中 高 成 度 度 度........................ 早期癌 上 皮 内 癌 微 小 浸 潤 癌 上 皮 内 腺 癌 微小浸潤腺癌........................ 確定病変 扁 平 上 皮 癌 頸 腺 癌 その他の組織型.................. 癌...... 追 跡 可 能 例 追 跡 不 可 能 例,,..,..,,........ 追, 体 頸 頸 病 変 そ 良 良 の 跡 腺 異 形 等 他 対 の 象 例, 自由検診, 行政検診 合 注 各症例のは追跡可能例に対する割合を示す その他のがんは子宮以外のがんや 位不確定のがん等の症例 表 年齢別子宮頸がん検診成績 自由検診 class 年度 検査数 歳 歳 年度 年令 不明 検査数 歳 歳 年令 不明 Ⅰ,.,,,,,,,.,,, Ⅱ,.,,,,,,,.,,,,, Ⅲ,.,,,,,,. Ⅳ,.. Ⅴ,..,,,..,.,.,,.,.,.,.,..,,.. 行政検診 年度 年度 年令 不明 検査数 Ⅰ,,.,,,,,,,.,,,,, Ⅱ,,.,,,,,,,.,,,,, Ⅲ,.,,,,,,. Ⅳ,.. Ⅴ..,,,,,,,,.....,.,,.,.,.,.,.. 歳 歳 自由検診と行政検診の合,,件 検査数 年令 不明 class 歳 歳 自由検診と行政検診の合, 件 東京都予防医学協会年報 年版 第号
子宮がん精密検診センターの実施成績 塚 克 己 慶應義塾大学医学准教授 はじめに これら会員からの要精検者のほかにも 本会婦人科 子宮がんは 年来の検診体制の整備などにより 検診センター 通称グリーンルーム や行政検診にお 右下がりの死亡率の減少を示してきたが 近年の若 ける要精検者の精密検査も行っており 毎年 年報 年者の罹患率の上昇などにより その死亡率は横ば を発行してその成績を報告するとともに 問題点を いあるいは軽度上昇の傾向すら認めており 頸がん 考察し 検診精度の向上に努めてきた だけをみても毎年約,人が罹患し 約,人が 本稿では 平成 年度の成績を中心に 他 頸がんで死亡しているこの現状を打開するために 年度との比較や若干の考察を交えて報告する は 子宮がん検診の更なる質の向上こそが必須であ 精検実施数 り 早期発見のための検診受診率の向上や検診精度 年度の年間受診者数は,人であり 前年度 の向上が急務となっている 東京産婦人科医会では 会員が自分の施設で行う より人増加し 年ぶりに,人を超えた 子宮がんの検診方法を 昭和 年より開設した 年のセンター開設以来年度までの年間の精検 その事業の実務を東京都予防医学協会 以下 本会 者数の合は,人となる月別の受診者数の傾 が全面的に引き受け 細胞診異常例に対する精密検 向をみると 例年どおり夏にやや増加する傾向を認 診センターも本会内に開設し 医会会員から委託さ めるものの 年度では月 月の冬の受診者 れた要精検者の精密検査を実施してきた現在では が多く 珍しい傾向を示した 表 表1 年度別 月別 精検実施数 年度 年度 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月 月..,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.,,,,,............,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.,. 注 年度および年度の下段の数字は表,, も同じ 東京都予防医学協会年報 年版 第号
精検受診者の年齢分布 拍車がかかっているこの年度 年度にお 精検受診者の年齢を歳ごとに区別すると ける体がんの精検者数の減少に関しては 年に 年度では 歳が人. と最も多く 次 出された指針による体がんの行政検診者数の減少が いで 歳の人. であった歳以下 定着してきた表れであると考えられる 表 の占める割合は全体の.と 久しぶりに前年度よ 病理組織診断 り低下し 近年増加傾向にあった若年受診者の割合 年度の精検受診者の子宮頸病理診断は 軽 にストップがかかったこの理由は不明だが 今後 の動向に注目したい 表 度例. 高度例. 上皮内癌例. 微小例. 浸潤 精検受診者の 次検診における細胞診判定 癌例. であったこれを年度から 頸がん検診に関しては 年度の受診者のclass 年度までの各病変における平均比率と比較すると 分類をみると classⅢaが例. で圧倒的 軽度が増加. しているのに反し に多く 以下classⅢbの例. classⅣの 上皮内癌以上の病変ではすべて低下しており 細胞 例. classⅤの例. classⅠ Ⅱの例 診判定における結果 表 とほぼ同様の傾向を示し. の順であったこれを年度から年 た特に リンパ節郭清等を伴い 術後の合併症頻 度までの平均頻度と比較すると classⅢaは増加傾 度の高いの頻度を激減.. させる 向 classⅠ Ⅱ classⅢb classⅣやclassⅤは減少 ことができたことは がんの早期発見に有用であり 傾向にあることが示唆され ここ数年と比べてみて 医療費の面のみならず患者のquality of lifeの面から も 上皮内癌やの減少と 軽 中等度 の意義が大きい 一方 子宮体病変では 年度における子 の益々の増加傾向が認められる 一方 体がん検診に関して 年度は内膜細胞 宮内膜増殖症と体がんはそれぞれ例. 例 診疑陽性が例 で 陽性例は例 であ. であり 年度から年度までの平均 り 精検者総数は人であるこれは 年度か 比率と比べ いずれも減少... ら年度までの平均である.人,/ より. を示したしかしながら この数字は内膜 増加しているものの 年度よりほぼ横ばいであっ 増殖症や体がんの実態を表した数字ではなく 頸 た例年に比べ 年度 年度と減少の傾向に の数の増加による見かけ上の減少であり 症 表 年度別 受診者の年令分布 年度 年齢 年度 歳.,.,.,.,.,.,....,.,,,,,..........,.,.,.,.,.,.,.,.,...,. 人 歳 東京都予防医学協会年報 年版 第号
表 精検受診者の 次検診における細胞診判定 年度 判定 頸がん検診 体がん検診 Ⅰ Ⅱ Ⅲa Ⅲb Ⅳ Ⅴ 疑陽性.,.,.,..,.,.,,..... 人.,.,.,. 全体における.... 年度 陽性 なし.,..,,,,,,....,.,.,..,.,.......,. 注 各年度に重複例が含まれる表も同じ 体不能再検例は含まない 表 病理組織診断 年度 組織診断 年度 人 高 度 上皮内 癌 微小 良性 軽 度,,,,,,,,,,,,,,,............,,.,.,.,.,.,....,..., 例数はここ数年余り変わっていない前述したごと 体がん 内 膜 増殖症 その他 未実施 判定 不能 追跡中 頸がん患者の年齢の推移 く 体がんの行政検診者数が減少していることを考 頸がん 上皮内癌以上で 頸腺癌も含む の症例 慮に入れれば 実数は増加している印象を持つこと 数は近年減少傾向にあるまた その年度別の年齢 はあれ 決して減少していないしかも 対頸がん 構成の推移をみると 例年は 歳以上の頸がんの 平均比 上皮内癌は除く は 年度 年度が 減少 歳以下の増加が認められ 頸がんの若年化. 体がん.例/頸がん.例 年度 傾向を示してきたが 年度では 歳以下の頻 年度は. 体がん.例/.例 と約.倍に 度が.と減少し 逆に歳以上の頻度は.と 増加しており 症例数 対頸がん比とも近年体がん 増加したこの現象が単年度の偶発的なものなのか が増加していることが想定される 表 図 歳以上の検診者の割合が増加したことが影響して いるのか その他の要素によるものなのか その理 東京都予防医学協会年報 年版 第号
由は不明であるが 今後の動向に注目したい 図 の細胞診における偽陽性率は依然として高いものの 年度の. 年度の.に比べれば低下 次検診時の細胞診と病理組織診断 表における細胞診classⅠ Ⅱ症例は グリーン ルームで次検診を行った症例の内 細胞診陰性 コ ルポ診有所見にて精検を行った症例である している 精検センター受診時の細胞診と病理組織診断 表におけるclassⅠ Ⅱ症例は 次検診でclassⅢ 年度では classⅢaと推定病変の軽度 a以上であったが 精検センターでの細胞診でⅠ Ⅱ が合致した割合は. / であり 例 であった症例で 次検診と精検との間隔が短い場合 の高度 例の上皮内癌 例の微小を に起り得るが コルポスコピー下での組織診で軽度 検出している一方 良性所見 偽陽性 が.に が. / 高度が. / 認められているClassⅢa例の取り扱いに関しては 検出されており 次検診におけるコルポ診の有用性 従来 偽陽性率が高いことから 年度より良性 が示唆される頸における成績は 次検診時と 異型やHPV感染に起因すると考えられ る症例については要精検とせず ヵ月 後のfollow upとして 細胞診classⅢa 症例における要精検率を絞り込んでき た年度では残念ながらその効果 は認められず 偽陽性率は.であっ たが 年度は. 年度は.と ここ数年と比べても年連続 で低値を維持しており 絞り込みの効 果が定着してきた可能性がある 子宮内膜細胞診の疑陽性における合 致率は. / と低いが 例の 体がんが検出されている一方 偽陽 性率は.であるまた 次検診時 東京都予防医学協会年報 年版 第号
表 1次検診時の細胞診と病理組織診断 年度 病理組織診断 細 胞 診 頸 Ⅰ Ⅱ Ⅲa Ⅲb Ⅳ Ⅴ 体 疑 陽 性 陽 性 人 良性 軽 度 高 度 上皮内 癌 微 小 体がん 内 膜 増殖症 その他 未実施 判定 不能. 表 精検センター受診時の細胞診と病理組織診断 年度 病理組織診断 細 胞 診 Ⅰ Ⅱ Ⅲa Ⅲb Ⅳ Ⅴ 頸 体 陰 性 疑 陽 性 陽 性 判定不能 人 良性 軽 度 高 度 上皮内 癌 微 小 体がん 内 膜 増殖症 その他 未実施 判定 不能, ほぼ同様の傾向を示しているが 全体として 合致 的には 早期発見のための検診受診率の向上であ 率 偽陽性率とも次検診より良好であり ちなみに り 検診精度の向上である受診率の向上に向けて classⅢa例における合致率は. / 偽陽 は 厚生労働省健康局がん対策推進室が年月 性率は. / と改善が認められているこ 日に 子宮頸がん 乳がん検診の無料クーポン券 のことから 頸細胞診の精度向上のためには 適 の交付を決定するなどの対策が講じられ 月ごろか 正な標本作製が重要であることが示唆される一方 ら都内でもこの無料クーポン券を利用する受診者が 体の成績では疑陽性例における偽陽性率は. みられるようになった現場としては 増えた細胞 / と例年 年度. 年度. に 診標本の診断や 精度管理の維持に大わらわである 比べ低値であり ここにも疑陽性例の絞り込みの成 が これを機に女性特有のがんに対する国民の理解 果が表れていると考えられるなお 細胞診陽性例 が深まり 検診受診率が高まればと期待している では偽陽性例は認められず 例年のことではあるが 細胞診陽性例の偽陽性率は極めて低いことがわかる おわりに また 精度の向上に向けては ①頸がんの細胞診 断に対するベセスダシステムの導入 ②HPV検査の 頸がん検診への導入 ③細胞診標本の作製における 液状処理細胞診 LBC の導入などが検討されている 冒頭にも述べたように 今 子宮がん検診に求 ベセスダシステムに関しては 年月以降 医 められているものは 更なる質の向上であり 具体 会ですでに導入されているが 標本の適否が重視さ 東京都予防医学協会年報 年版 第号
れる点 また 意義不明異型扁平上皮 表 頸スメア class Ⅲ a 体スメア疑陽性症例の 偽陽性率の年次推移 ASC-US がすぐ精検ではなくfollow up 年 度 またはHPV検査のワンクッションが入 次検診classⅢa症例での組織診良性率 精検センターclassⅢa症例での組織診良性率 ることなどにより 偽陽性率の低下に貢 頸 献するものと考えられるが 反面 その 次検診疑陽性症例での組織診良性率 体 精検センター疑陽性症例での組織診良性率................ 頻度が以内であることが期待される という制約はあるものの 異型扁平上皮 ASC が従来のclassⅢaのように意味 不明標本の温床になるのではとの危惧もあるこれ された各種病変の細胞像の検討や classⅢaまたは疑 については 来年以降の成績に注目したいと考えて 陽性と判定して 組織診断で不一致であった多数例 いる における細胞像の再評価を行い 子宮がん検診にお また HPV検査の検診への導入に関しては HPV ける診断精度の向上に有用な細胞診判定基準作成を 検査の陰性反応適中度が高いことなど 検査の精度 試みている J.Jpn.SOC.Clin.Cytol.: :- 感度 特異度 に関してはほぼ明らかになっている 表は 年から年までの頸スメアclass ものの 子宮頸がん検診のエンドポイントを死亡率 Ⅲa症例と 腔内スメア疑陽性症例における 次検 の低下におくか 妊孕性の確保など患者のquality of 診時ならびに精検センター受診時の偽陽性率を示し lifeの向上に置くかの立場で意見が分かれており 保 たものである有意差検定は行っていないが 次 険収載の問題なども含めて早急な導入は難しそうな 検診に比べ 精検センターにおける偽陽性率が低い 現状となっているさらに LBCに関しては その 傾向が認められるこのことは 細胞の採取法 採取 導入の問題点として 標本作製機器が高価であるこ 器具 採取場所 細胞の塗沫法 固定法などが適切 とがあげられている一方 LBCは標本作製方法で で 細胞診標本のクオリティーが高ければ偽陽性率 あるため その実施にあたって指針上の問題はなく は低下することを示唆していると考えられるした したがって 機器の低価格化の実現や 今後従来法 がって クオリティーの高い標本の作製に対する更 との比較の中でLBC標本の精度が優れていることが なる啓発こそが急務であると思われるまた 偽陽 判明すれば 検診精度向上の上から導入されるもの 性率の年次変化に関しては われわれが検討を始め と考えられる た年に比べ年は逆に偽陽性率が上昇してい 以上 最近の診断精度向上に向けての取り組みに たが 年 年と改善の傾向が認められている ついて述べてきたが 本会も年頃より頸スメ これがわれわれの検討の成果か否か まだデータが アのclassⅢa検体における偽陽性率の低下 腔内ス 少なく 判断は控えるが 年以降更なる成績と メアにおける疑陽性検体の偽陽性率の低下を目指し 考察を重ねることにより 細胞診の精度向上に向け て検討を行ってきたその方法は 組織学的に診断 た努力を続けていきたいと考えている 東京都予防医学協会年報 年版 第号