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2012 年 5 月 日 本 貿 易 振 興 機 構 (ジェトロ) 北 京 事 務 所 海 外 調 査 部 中 国 北 アジア 課

ジェトロは 本 報 告 書 の 記 載 内 容 に 関 して 生 じた 直 接 的 間 接 的 あるいは 懲 罰 的 損 害 および 利 益 の 喪 失 については 一 切 の 責 任 を 負 いません これは たとえ ジェトロが かかる 損 害 の 可 能 性 を 知 らされていても 同 様 とします

アンケート 返 送 先 FAX: 03-3582-5309 e-mail:org@jetro.go.jp 日 本 貿 易 振 興 機 構 海 外 調 査 部 中 国 北 アジア 課 宛 ジェトロアンケート 調 査 タイトル: 中 国 の 社 会 保 険 の 概 要 とその 最 新 動 向 ジェトロでは 中 国 ビジネスに 取 り 組 まれている 企 業 の 皆 様 への 情 報 提 供 を 目 的 に 本 調 査 を 実 施 いたしました 報 告 書 をお 読 みいただいた 後 是 非 アンケートにご 協 力 をお 願 い 致 します 今 後 の 調 査 テーマ 選 定 などの 参 考 にさせていただきます 質 問 1: 今 回 本 報 告 書 で 提 供 させていただきました 中 国 の 社 会 保 険 の 概 要 とその 最 新 動 向 について どのように 思 われましたでしょうか?( をひとつ) 4: 役 に 立 った 3:まあ 役 に 立 った 2:あまり 役 に 立 たなかった 1: 役 に 立 たなかった 質 問 2:1 使 用 用 途 2 上 記 のように 判 断 された 理 由 3その 他 本 報 告 書 に 関 する ご 感 想 をご 記 入 下 さい 質 問 3: 今 後 のジェトロの 調 査 テーマについてご 希 望 等 がございましたら ご 記 入 願 います お 客 様 の 会 社 名 等 をご 記 入 ください ( 任 意 記 入 ) 会 社 団 体 名 ご 所 属 企 業 団 体 個 人 部 署 名 お 名 前 ご 提 供 頂 いたお 客 様 の 個 人 情 報 については ジェトロ 個 人 情 報 保 護 方 針 (http://www.jetro.go.jp/privacy/)に 基 づき 適 正 に 管 理 運 用 させていただきます また 上 記 のアンケートにご 記 載 いただいた 内 容 については ジェトロの 事 業 活 動 の 評 価 及 び 業 務 改 善 事 業 フォローアップのために 利 用 いたします ~ご 協 力 有 難 うございました~

はじめに 先 に 豊 かになれる 者 から 豊 かに という 先 富 論 を 踏 襲 した 市 場 経 済 の 浸 透 は 中 国 社 会 に 急 速 な 発 展 をもたらしました しかしながら 急 速 な 発 展 は 貧 富 の 差 や 収 入 水 準 の 不 均 衡 といった いわゆる 格 差 の 拡 大 をもたらすことにもなりました 産 業 構 造 からみ れば 世 界 の 工 場 に 加 え 世 界 の 市 場 として 製 造 拠 点 だけでなく 消 費 市 場 としても 一 層 の 魅 力 が 増 す 中 国 において 外 資 系 企 業 の 進 出 は 増 加 の 一 途 をたどっています 現 地 で 勤 務 する 従 業 員 の 存 在 は 企 業 活 動 の 大 きな 支 えとなっていますが 近 年 中 国 で 勤 務 す る 外 国 人 や 中 国 人 の 社 会 保 障 制 度 を 国 として 見 直 す 動 きが 出 てきています 2006 年 に 行 われた 中 国 共 産 党 の 第 16 回 中 央 委 員 会 第 6 次 会 議 では 2020 年 までに 都 市 と 農 村 の 住 民 をカバーする 社 会 保 障 体 系 を 基 本 的 に 築 き 上 げる という 目 標 が 定 められ ました さらに 2011 年 に 制 定 した 国 民 経 済 と 社 会 発 展 第 12 次 五 ヵ 年 計 画 綱 要 でも 社 会 保 険 制 度 のさらなる 整 備 と 発 展 がうたわれています このような 状 況 の 下 2011 年 7 月 1 日 社 会 保 険 分 野 における 初 めての 法 律 である 社 会 保 険 法 が 正 式 に 施 行 されま した 社 会 保 険 法 は 養 老 医 療 労 災 出 産 失 業 という 5 つの 保 険 制 度 を 立 法 上 で 確 定 させると 同 時 に これまで 社 会 保 険 の 納 付 を 履 行 してこなかった 企 業 に 対 して 経 営 上 の 責 任 を 負 わせることになりました このように 社 会 保 険 に 対 する 政 策 や 法 律 面 での 環 境 整 備 は 徐 々に 進 展 しているところ ですが 他 方 で 社 会 保 険 の 実 務 においては 都 市 や 地 域 間 における 大 きな 差 異 が 依 然 とし て 存 在 しており 統 一 的 な 運 用 や 見 解 を 得 ることは 難 しいのが 現 状 です そしてこの 運 用 の 不 透 明 さにより 中 国 に 進 出 した 外 資 系 企 業 にとっては 進 出 地 の 社 会 保 険 制 度 の 把 握 が 困 難 になっているほか ビジネスリスクの 増 大 にもつながっています また 同 年 10 月 15 日 から 施 行 されている 中 国 国 内 で 就 業 する 外 国 人 の 社 会 保 険 加 入 に 関 する 暫 定 弁 法 により 中 国 国 内 で 就 業 する 外 国 人 についても 社 会 保 険 料 の 納 付 が 義 務 付 けられるこ ととなり 中 国 でビジネスを 展 開 する 外 資 系 企 業 関 係 者 の 中 で 改 めて 中 国 の 社 会 保 険 に 対 する 関 心 が 高 まっています 以 上 のような 背 景 に 基 づき 本 レポートでは 中 国 の 現 行 の 社 会 保 険 制 度 を 整 理 すると 同 時 に 中 国 内 でも 日 系 企 業 の 進 出 が 多 い 主 要 5 都 市 ( 北 京 上 海 広 州 大 連 青 島 ) で 実 施 されている 社 会 保 険 制 度 の 現 状 について 調 査 を 行 いました また 巻 末 には 中 国 の 社 会 保 険 に 関 わる 主 要 法 令 の 日 本 語 訳 も 参 考 資 料 として 添 付 しています 本 レポートが 中 国 ビジネスに 関 わる 企 業 関 係 者 に 対 し 中 国 の 社 会 保 険 事 情 を 理 解 する 一 助 になれば 幸 甚 です 2012 年 5 月 日 本 貿 易 振 興 機 構 (ジェトロ) 北 京 事 務 所 海 外 調 査 部 中 国 北 アジア 課

目 次 第 一 部 中 国 の 社 会 保 障 体 系 の 沿 革 と 全 体 概 要... 1 1. 中 国 社 会 保 険 体 系 の 沿 革... 1 2. 中 国 社 会 保 険 体 系 の 概 要... 2 図 表 1 中 国 の 社 会 保 険 体 系... 2 図 表 2 企 業 従 業 員 に 対 する 社 会 保 険 制 度... 2 図 表 3 都 市 住 民 ( 自 営 業 者 非 就 労 者 など)に 対 する 社 会 保 険 制 度... 3 図 表 4 農 村 住 民 ( 農 民 )に 対 する 社 会 保 険 制 度... 3 図 表 5 社 会 保 険 (5 険 )の 主 要 内 容... 3 図 表 6 社 会 保 険 加 入 者 数 の 推 移... 4 図 表 7 社 会 保 険 料 の 収 支 状 況 の 推 移 ( 全 国 )... 4 図 表 8 社 会 保 険 に 関 わる 主 要 の 法 規... 4 図 表 9 社 会 保 険 法 の 重 要 内 容... 5 3. 社 会 保 険 料 の 計 算... 8 (1) 社 会 保 険 料 の 計 算 方 法 について... 8 図 表 10 社 会 保 険 料 の 計 算 式... 8 (2) 同 一 管 理 地 域 について... 9 第 二 部 中 国 の 5 険 制 度 に 対 する 詳 細 解 説... 10 1. 養 老 保 険... 10 図 表 11 各 種 養 老 保 険 の 加 入 対 象... 10 (1) 養 老 保 険 の 納 付 者 と 納 付 比 率... 11 (2) 養 老 金 の 受 給 要 件... 11 (3) 養 老 金 の 給 付 方 式... 12 図 表 12 基 本 養 老 保 険 料 の 支 払 と 養 老 金 の 給 付... 12 (4) 基 本 養 老 保 険 統 一 運 営 基 金 口 座 による 月 間 給 付 額... 13 (5) 個 人 養 老 金 口 座 による 月 間 給 付 額... 13 図 表 13 係 数 月 数 表... 13 2. 医 療 保 険... 14 図 表 14 基 本 医 療 保 険 の 支 払 と 給 付... 14 図 表 15 基 本 医 療 保 険 基 金 による 費 用 負 担 の 仕 組 み... 15 3. 労 災 保 険... 16 図 表 16 労 災 保 険 基 金 による 給 付 の 仕 組 み... 17 図 表 17 身 体 障 害 等 級 に 対 応 する 身 体 障 害 一 括 補 助 金 の 支 給 月 数... 19 図 表 18 身 体 障 害 等 級 に 対 応 する 身 体 障 害 手 当 の 支 給 割 合... 19 4. 出 産 保 険... 19 図 表 19 出 産 保 険 の 納 付 方 式 と 主 な 支 給 項 目... 20 5. 失 業 保 険... 20 図 表 20 失 業 保 険 の 納 付 方 式 と 主 な 支 給 項 目... 21 第 三 部 主 要 5 都 市 の 社 会 保 険 運 用 状 況... 23 1. 主 要 5 都 市 における 5 険 の 状 況... 23 (1) 納 付 基 数 の 上 下 限 シミュレーション... 23 図 表 21 主 要 5 都 市 における 納 付 基 数 上 限... 23

図 表 22 主 要 5 都 市 における 納 付 基 数 下 限... 23 (2) 納 付 比 率... 24 北 京 市 ( 図 表 23 北 京 市 における 5 険 の 納 付 比 率 )... 24 上 海 市 ( 図 表 24 上 海 市 における 5 険 の 納 付 比 率 )... 25 広 州 市 ( 図 表 25 広 州 市 における 5 険 の 納 付 比 率 )... 26 大 連 市 ( 図 表 26 大 連 市 における 5 険 の 納 付 比 率 )... 27 青 島 市 ( 図 表 27 青 島 市 における 5 険 の 納 付 比 率 )... 28 (3) 社 会 保 険 料 の 徴 収 機 関 および 社 会 保 険 料 と 最 低 賃 金 との 関 係... 29 図 表 28 各 地 の 徴 収 機 関 および 社 会 保 険 料 と 最 低 賃 金 との 関 係... 29 2. 主 要 5 都 市 の 養 老 保 険... 30 (1) 月 平 均 費 用 納 付 指 数... 30 (2) 係 数 月 数... 30 図 表 29 主 要 5 都 市 における 養 老 金 の 平 均 給 付 水 準... 30 3. 主 要 5 都 市 の 医 療 保 険... 31 (1) 医 療 費 の 給 付 方 式... 31 図 表 30 5 都 市 の 医 療 保 険 基 金 による 医 療 費 の 給 付 方 式... 31 (2) 医 療 保 険 基 金 から 個 人 への 還 付... 31 図 表 31 主 要 5 都 市 における 医 療 費 の 還 付 金 額... 32 (3) 定 年 退 職 後 の 医 療 保 険 待 遇 の 享 受 要 件... 32 図 表 32 定 年 退 職 後 にも 医 療 保 険 待 遇 を 享 受 するための 累 積 年 数 条 件... 32 (4) 医 療 保 険 料 の 負 担 例 ( 北 京 市 )... 32 図 表 33 北 京 市 における 医 療 保 険 の 構 成 と 給 付... 33 主 要 5 都 市 の 労 災 保 険... 34 図 表 34 主 要 5 都 市 の 労 災 医 療 一 括 補 助 金 の 支 給 水 準... 34 図 表 35 5 都 市 の 身 体 障 害 者 就 労 一 括 補 助 金 の 支 給 水 準... 34 図 表 36 労 災 待 遇 に 関 わる 主 要 5 都 市 の 地 方 法 規... 35 5. 主 要 5 都 市 の 出 産 保 険... 36 図 表 37 主 要 5 都 市 における 育 児 休 暇 の 期 間... 36 6. 主 要 5 都 市 の 失 業 保 険... 38 図 表 38 主 要 5 都 市 における 失 業 保 険 金 の 最 大 受 給 期 間 ( 当 地 都 市 戸 籍 従 業 員 )... 38 図 表 39 主 要 5 都 市 における 失 業 保 険 金 の 月 間 受 給 金 額... 39 図 表 40 失 業 保 険 金 に 関 わる 主 要 5 都 市 の 地 方 規 定... 40 第 四 部 外 国 人 の 中 国 における 社 会 保 険 加 入 の 義 務 化... 41 1. 保 険 料 納 付 義 務 化 に 関 わる 中 央 政 府 による 法 制 化 への 取 り 組 み... 41 図 表 41 外 国 人 の 社 会 保 険 加 入 に 関 わる 最 近 の 動 向 ( 年 表 )... 44 図 表 42 本 社 から 派 遣 される 外 国 人 が 中 国 で 社 会 保 険 に 加 入 するメリット デメリット... 45 図 表 43 主 要 5 都 市 における 社 会 保 険 料 支 払 金 額 シミュレーション... 46 2. 外 国 人 への 保 険 料 納 付 義 務 化 に 関 わる 各 地 方 政 府 の 動 き... 46 3. 外 国 人 の 社 会 保 険 加 入 に 関 する 事 務 手 続 き... 49 (1) 社 会 保 険 登 記 手 続 き... 49 (2) 外 国 人 本 人 の 社 会 保 険 加 入 手 続 き... 49 図 表 44 社 会 保 障 カードサンプル... 50

第 五 部 参 考 資 料 ( 関 連 法 令 訳 )... 51 参 考 資 料 1: 中 華 人 民 共 和 国 社 会 保 険 法... 51 参 考 資 料 2: 中 華 人 民 共 和 国 社 会 保 険 法 実 施 の 若 干 規 定... 65 参 考 資 料 3: 企 業 従 業 員 基 本 養 老 保 険 制 度 の 整 備 に 関 する 国 務 院 の 決 定... 71 参 考 資 料 4: 都 市 従 業 員 基 本 医 療 制 度 の 確 立 に 関 する 国 務 院 の 決 定... 75 参 考 資 料 5: 労 災 保 険 条 例... 79 参 考 資 料 6: 企 業 従 業 員 出 産 保 険 試 行 弁 法... 91 参 考 資 料 7: 失 業 保 険 条 例... 93 参 考 資 料 8: 中 国 国 内 で 就 業 する 外 国 人 の 社 会 保 険 加 入 に 関 する 暫 定 施 行 弁 法... 98 参 考 資 料 9: 中 国 国 内 で 就 業 する 外 国 人 の 社 会 保 険 加 入 業 務 遂 行 の 関 連 問 題 に 関 する 通 知... 101

第 一 部 中 国 の 社 会 保 障 体 系 の 沿 革 と 全 体 概 要 1. 中 国 社 会 保 険 体 系 の 沿 革 中 国 の 社 会 保 障 制 度 は 1953 年 に 公 布 された 中 華 人 民 共 和 国 労 働 保 険 条 例 によっ て 確 立 された また その 翌 年 に 制 定 された 中 華 人 民 共 和 国 憲 法 では 労 働 者 の 社 会 保 険 権 を 正 式 に 認 めた 従 って 建 国 の 歴 史 から 見 れば 中 国 における 社 会 保 障 制 度 の 歴 史 は 決 して 短 くない しかし 計 画 経 済 期 の 中 国 は 資 産 は 全 て 国 有 であり 政 府 で 定 められた 計 画 を 実 施 す る 国 有 企 業 が 絶 対 的 なシェアを 占 めていた 従 って 政 府 と 国 有 企 業 との 間 には 明 確 な 線 は 引 かれておらず 国 有 企 業 は 政 府 の 出 先 との 認 識 が 一 般 的 だった このような 状 況 に おいて 国 有 企 業 は 政 府 の 計 画 に 基 づき 生 産 活 動 を 行 い 従 業 員 に 対 して 賃 金 を 支 払 うと 同 時 に 資 本 主 義 社 会 では 政 府 がその 責 を 担 っている 社 会 保 障 福 祉 の 提 供 も 国 有 企 業 が 従 業 員 に 対 して 行 っていた 国 有 企 業 は 住 宅 を 建 て 従 業 員 に 無 償 提 供 していたほか 病 院 幼 稚 園 浴 場 食 堂 など 生 活 に 係 るほぼすべてのサービスを 提 供 していた つまり 計 画 経 済 時 代 国 有 企 業 自 身 が それぞれ 一 つの 社 会 のような 存 在 であった また 従 業 員 も 基 本 的 には 終 身 雇 用 が 確 保 され 老 齢 や 病 気 けが 出 産 育 児 など 一 時 的 または 恒 久 的 な 形 で 労 働 ができなくなった 場 合 でも その 際 の 保 障 は 国 有 企 業 を 通 じて 全 て 享 受 できるものという 認 識 が 深 く 浸 透 していた 従 って 前 述 した 労 働 保 険 条 例 に 定 めら れた 保 険 もこのような 社 会 事 情 を 背 景 に 作 られたものであった しかし 1980 年 代 から 市 場 経 済 化 が 進 められ かつての 計 画 経 済 時 代 のシステムは 大 幅 に 改 革 された 政 府 が 有 していた 権 限 の 多 くは 地 方 政 府 や 国 有 企 業 に 移 譲 され 国 有 企 業 には 経 営 自 主 権 が 与 えられるようになった 従 業 員 を 解 雇 する 人 事 権 も 国 有 企 業 に 付 与 されることにより 政 府 によって 行 われていた 労 働 力 の 分 配 も 市 場 を 通 して 行 われるよ うになった これにより 人 材 の 流 動 性 が 高 くなり さらには 外 資 系 企 業 や 民 営 企 業 の 登 場 により 従 来 国 有 企 業 が 主 要 な 責 を 果 たしてきた 社 会 保 険 制 度 が 徐 々に 実 状 に 合 致 しな くなってきた 1993 年 に 開 かれた 第 8 回 全 国 人 民 代 表 大 会 常 務 委 員 会 ( 以 下 : 全 人 代 ) では 現 段 階 の 中 国 の 経 済 発 展 レベルに 合 致 する 社 会 保 障 制 度 を 段 階 的 に 構 築 しなけれ ばならない 重 点 的 に 失 業 保 険 と 労 災 保 険 の 健 全 化 を 図 り 養 老 保 険 と 医 療 保 険 の 社 会 性 を 高 め 合 理 的 な 負 担 による 社 会 保 障 基 金 制 度 を 設 立 する という 目 標 が 打 ち 出 された その 後 中 国 は 1990 年 代 から 2003 年 までの 10 数 年 の 間 に 社 会 保 険 制 度 に 関 わる 政 策 と 法 規 を 多 数 制 定 公 布 した( 各 分 野 における 重 要 法 規 の 公 布 状 況 などについては 後 述 ) 1

2. 中 国 社 会 保 険 体 系 の 概 要 図 表 1 中 国 の 社 会 保 険 体 系 社 会 保 障 体 系 社 会 救 済 社 会 保 険 社 会 福 祉 住 宅 補 助 補 充 保 障 軍 人 優 待 最 低 生 活 保 障 養 老 保 険 女 性 福 祉 公 共 住 宅 積 立 慈 善 事 業 生 活 補 助 災 害 救 済 医 療 保 険 児 童 福 祉 廉 価 賃 貸 住 宅 商 業 保 険 職 業 斡 旋 社 会 共 済 労 災 保 険 老 人 福 祉 軍 人 保 険 個 別 救 済 出 産 保 険 障 害 者 福 祉 失 業 保 険 現 時 点 で 実 施 されている 社 会 保 険 制 度 の 内 容 をみると 1 企 業 の 従 業 員 が 享 受 する 社 会 保 険 制 度 2 都 市 住 民 ( 自 営 業 者 非 就 労 者 など)が 享 受 する 社 会 保 険 制 度 3 農 村 住 民 ( 農 民 )が 享 受 する 社 会 保 険 制 度 の 3 つがあり 社 会 保 険 料 の 納 付 方 式 から 享 受 でき る 保 険 待 遇 までそれぞれ 内 容 は 異 なる 図 表 2 企 業 従 業 員 に 対 する 社 会 保 険 制 度 ( 企 業 従 業 員 の) 社 会 保 険 養 老 保 険 医 療 保 険 労 災 保 険 出 産 保 険 失 業 保 険 企 業 個 人 2

図 表 3 都 市 住 民 ( 自 営 業 者 非 就 労 者 など)に 対 する 社 会 保 険 制 度 ( 都 市 戸 籍 自 由 職 業 者 または 無 職 者 ) 社 会 保 険 養 老 保 険 ( 都 市 住 民 社 会 保 険 養 老 保 険 ) 医 療 保 険 ( 都 市 住 民 基 本 医 療 保 険 ) 個 人 図 表 4 農 村 住 民 ( 農 民 )に 対 する 社 会 保 険 制 度 ( 農 民 の) 社 会 保 険 養 老 保 険 ( 新 型 農 村 社 会 養 老 保 険 ) 医 療 保 険 ( 新 型 農 村 合 作 医 療 保 険 ) 政 府 農 村 集 団 ( 農 村 自 治 体 ) 個 人 図 表 2 3 4 で 示 したとおり 中 国 では 納 付 者 ( 受 給 者 )の 所 属 ステージによって 異 なる 保 険 制 度 が 設 けられている 例 えば 企 業 従 業 員 に 対 する 制 度 は 養 老 保 険 医 療 保 険 労 災 保 険 出 産 保 険 失 業 保 険 の 5 つであり 実 務 ではこれを 5 険 と 呼 んでいる なお 出 産 保 険 と 失 業 保 険 の 2 つについては これまで 強 制 徴 収 を 実 施 していなかった 地 域 もあるため それらを 除 いて 3 険 と 呼 ぶ 地 域 もある 図 表 5 社 会 保 険 (5 険 )の 主 要 内 容 5 険 主 要 内 容 養 老 保 険 定 年 退 職 後 の 年 金 ( 養 老 金 )の 支 給 医 療 保 険 医 療 費 の 負 担 ( 労 災 出 産 は 含 まず) 労 災 保 険 労 災 に 関 わる 医 療 費 の 負 担 補 償 金 等 の 支 給 出 産 保 険 出 産 に 関 わる 医 療 費 の 負 担 産 休 手 当 等 の 支 給 失 業 保 険 失 業 期 間 中 における 生 活 費 および 医 療 費 等 の 支 給 3

図 表 6 社 会 保 険 加 入 者 数 の 推 移 25,000 20,000 15,000 単 位 :100 万 人 基 本 養 老 保 険 基 本 医 療 保 険 労 災 保 険 出 産 保 険 失 業 保 険 10,000 5,000 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2009 出 所 :2010 年 中 国 労 働 統 計 年 鑑 図 表 7 社 会 保 険 料 の 収 支 状 況 の 推 移 ( 全 国 ) 単 位 :100 万 元 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 16,116 13,696 12,303 10,812 9,925 8,643 7,888 6,975 6,477 5,780 4,049 4,883 5,401 4,627 2,645 3,102 4,016 3,471 2,386 2,748 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 収 入 支 出 出 所 :2010 年 中 国 労 働 統 計 年 鑑 5 険 に 関 わる 主 な 法 律 法 規 は 以 下 のとおり( 一 部 の 法 律 法 規 については 添 付 参 考 資 料 内 に 日 本 語 訳 あり) 図 表 8 社 会 保 険 に 関 わる 主 要 の 法 規 内 容 主 要 法 規 公 布 日 養 老 保 険 企 業 従 業 員 の 養 老 保 険 制 度 改 革 に 関 する 国 務 院 の 決 1991.6.26 定 企 業 従 業 員 の 基 本 養 老 保 険 制 度 の 統 一 的 設 置 に 関 す る 国 務 院 の 決 定 1997.7.16 4

医 療 保 険 企 業 従 業 員 の 基 本 養 老 保 険 制 度 改 善 に 関 する 国 務 院 の 決 定 都 市 部 従 業 員 の 基 本 医 療 保 険 制 度 設 置 に 関 する 国 務 院 の 決 定 医 薬 衛 生 体 制 改 革 の 深 化 に 関 する 中 国 共 産 党 中 央 国 務 院 の 意 見 2005.12.3 1998.12.14 2009.3.17 労 災 保 険 労 災 保 険 条 例 2003.4.27 (2010.12.20 改 訂 ) 出 産 保 険 企 業 従 業 員 生 育 保 険 試 行 弁 法 1994.12.14 失 業 保 険 失 業 保 険 条 例 1999.1.22 保 険 料 徴 収 社 会 保 険 料 徴 収 暫 定 条 例 1999.1.22 これまで 5 険 に 関 わる 法 律 法 規 は 国 務 院 が 公 布 する 決 定 や 労 働 部 が 制 定 した 部 門 規 定 がほとんどであった 社 会 保 険 制 度 を1 日 も 早 く 整 備 し 各 地 方 も 含 め 統 一 した 保 険 制 度 を 運 用 することを 目 指 し 社 会 保 険 制 度 に 関 わる 法 律 1 を 制 定 する 必 要 性 が 高 まっていた 中 華 人 民 共 和 国 社 会 保 険 法 ( 以 下 : 社 会 保 険 法 )は 2007 年 末 に 全 人 代 に 草 案 が 提 出 され 4 回 の 審 議 を 経 て 2010 年 10 月 29 日 に 公 布 され 2011 年 7 月 1 日 に 施 行 された この 法 律 は 中 国 の 社 会 保 険 制 度 史 上 初 めての 体 系 的 な 法 律 として 5 険 制 度 を 法 律 上 で 確 定 するとともに 社 会 保 険 料 の 徴 収 納 付 法 的 責 任 などについて 定 めている 中 国 では 法 律 は 大 きな 概 念 しか 定 めておらず 具 体 的 手 続 きや 細 かい 規 定 等 は 別 途 公 布 されることが 多 い 社 会 保 険 法 についても 同 様 で 公 布 後 人 力 資 源 社 会 保 障 部 は 2011 年 6 月 29 日 に 社 会 保 険 法 の 実 施 に 係 る 若 干 の 規 定 を 公 布 し 社 会 保 険 法 の 一 部 の 規 定 に 対 して 実 施 細 則 を 設 けた しかしながらこれだけではまだまだ 不 透 明 な 点 も 多 く 今 後 は 社 会 保 険 法 の 運 用 をさらに 強 化 徹 底 すべく 実 施 細 則 行 政 法 規 部 門 規 定 な どが 作 られ 公 布 される 見 通 しである 図 表 9 社 会 保 険 法 の 重 要 内 容 項 目 内 容 5 険 全 体 第 2 条 国 は 基 本 養 老 保 険 基 本 医 療 保 険 労 働 災 害 保 険 失 業 保 険 出 産 保 険 等 の 社 会 保 険 制 度 を 確 立 し 公 民 が 高 齢 罹 患 労 働 災 害 失 業 出 産 等 の 状 況 において 法 により 国 および 社 会 から 物 質 的 な 援 助 を 受 ける 権 利 を 保 障 する 第 4 条 中 華 人 民 共 和 国 国 内 における 雇 用 単 位 2および 個 人 は 法 により 社 会 保 険 料 を 納 付 し 納 付 記 録 個 人 の 権 利 利 益 記 録 を 照 会 し 社 会 保 険 取 扱 機 関 に 対 し 社 会 保 険 相 談 等 の 関 係 サービスを 提 供 するよう 求 める 権 利 を 有 する 第 9 条 労 働 組 合 は 法 により 従 業 員 の 合 法 的 な 権 利 利 益 を 保 護 し 社 会 保 険 に 関 する 重 大 事 項 の 検 討 に 参 画 し 社 会 保 険 監 督 委 員 会 に 参 加 し 従 業 員 の 社 会 保 険 の 権 利 利 益 に 係 わる 事 項 を 監 督 する 権 利 を 有 する 1 中 国 では 最 高 立 法 機 関 である 全 国 人 民 代 表 大 会 ( 全 人 代 )およびその 常 務 委 員 会 によって 制 定 さ れた 法 的 文 書 を 法 律 と 呼 称 している 法 律 は 憲 法 に 次 いで 行 政 法 規 や 部 門 規 定 より 高 い 立 法 レベ ルを 有 する 2 雇 用 単 位 は 中 国 式 の 表 現 だが 使 用 者 の 意 味 5

基 本 養 老 保 険 基 本 医 療 保 険 労 働 災 害 保 険 第 12 条 雇 用 単 位 は 国 が 規 定 した 当 該 単 位 の 従 業 員 の 賃 金 総 額 の 割 合 により 基 本 養 老 保 険 料 を 納 付 し 基 本 養 老 保 険 統 一 運 営 基 金 に 計 上 しなければならな い 従 業 員 は 国 が 規 定 した 本 人 の 賃 金 の 割 合 により 基 本 養 老 保 険 料 を 納 付 し 個 人 口 座 に 計 上 しなければならない 労 働 者 を 雇 用 していない 個 人 経 営 商 工 業 者 雇 用 単 位 で 基 本 養 老 保 険 に 加 入 して いない 非 正 規 従 業 員 およびその 他 のフレックスタイム 制 で 就 労 する 者 が 基 本 養 老 保 険 に 加 入 する 場 合 は 国 の 規 定 に 基 づき 基 本 養 老 保 険 料 を 納 付 し 基 本 養 老 保 険 の 社 会 統 一 運 営 基 金 および 個 人 口 座 にそれぞれ 計 上 しなければならない 第 15 条 基 本 養 老 金 は 統 一 運 営 養 老 金 および 個 人 口 座 養 老 金 により 構 成 され る 基 本 養 老 金 は 個 人 の 累 計 納 付 年 数 ( 基 数 となる) 納 付 賃 金 額 当 該 地 域 の 従 業 員 の 平 均 賃 金 個 人 口 座 の 残 高 都 市 人 口 の 平 均 予 測 寿 命 等 の 要 素 によって 確 定 される 第 19 条 個 人 が 統 一 運 営 地 域 をまたがって 就 業 する 場 合 その 基 本 養 老 保 険 関 係 は 本 人 と 共 に 移 転 し 納 付 年 数 は 累 計 して 計 算 する 個 人 が 法 定 退 職 年 齢 に 達 した 際 には 基 本 養 老 金 は 段 階 を 分 けて 計 算 し まとめて 支 給 する 第 20 条 国 は 新 型 農 村 社 会 養 老 保 険 制 度 を 確 立 し 整 備 する 新 型 農 村 社 会 養 老 保 険 は 個 人 による 納 付 集 団 による 補 助 および 政 府 による 手 当 を 結 合 して 実 行 する 第 22 条 国 は 都 市 住 民 の 社 会 養 老 保 険 制 度 を 確 立 し 整 備 する 第 23 条 従 業 員 は 従 業 員 基 本 医 療 保 険 に 加 入 し 雇 用 単 位 と 従 業 員 は 国 の 規 定 に 基 づいて 基 本 医 療 保 険 料 を 分 担 して 納 付 しなければならない 労 働 者 を 雇 用 していない 個 人 経 営 商 工 業 者 雇 用 単 位 で 従 業 員 基 本 医 療 保 険 に 加 入 していない 非 正 規 従 業 員 およびその 他 のフレックスタイム 制 で 就 労 する 者 は 従 業 員 基 本 医 療 保 険 に 加 入 することができ 個 人 が 国 の 規 定 により 基 本 医 療 保 険 料 を 納 付 する 第 24 条 国 は 新 型 農 村 合 作 医 療 制 度 を 確 立 し 整 備 する 第 25 条 国 は 都 市 住 民 基 本 医 療 保 険 制 度 を 確 立 し 整 備 する 都 市 住 民 基 本 医 療 保 険 は 個 人 による 納 付 金 と 政 府 による 手 当 を 結 合 して 実 行 す る 第 27 条 従 業 員 基 本 医 療 保 険 に 加 入 した 個 人 が 法 定 退 職 年 齢 に 達 した 際 に 累 計 納 付 年 数 が 国 の 規 定 する 年 数 に 達 している 場 合 退 職 後 は 基 本 医 療 保 険 料 を 納 付 せずに 国 の 規 定 に 基 づいて 基 本 医 療 保 険 待 遇 を 享 受 する 国 の 規 定 する 年 数 に 達 していない 場 合 には 国 の 規 定 する 年 数 まで 納 付 することができる 第 30 条 以 下 の 医 療 費 は 基 本 医 療 保 険 基 金 の 支 給 範 囲 に 組 み 入 れない (1) 労 働 災 害 保 険 基 金 から 支 給 すべきもの (2) 第 三 者 が 負 担 すべきもの (3) 公 共 衛 生 が 負 担 すべきもの (4) 国 外 で 診 療 したもの 第 33 条 従 業 員 は 労 働 災 害 保 険 に 加 入 しなければならない 雇 用 単 位 が 労 働 災 害 保 険 料 を 納 付 し 従 業 員 は 労 働 災 害 保 険 料 を 納 付 しない 第 38 条 労 働 災 害 により 発 生 した 以 下 の 費 用 は 国 の 規 定 に 基 づいて 労 働 災 6

失 業 保 険 出 産 保 険 法 的 責 任 害 保 険 基 金 より 支 給 する (1) 労 働 災 害 を 治 療 するための 医 療 費 とリハビリ 費 用 (2) 入 院 食 事 補 助 費 (3) 統 一 運 営 地 域 外 において 受 診 した 場 合 の 交 通 および 食 事 宿 泊 費 用 (4) 後 遺 障 害 補 助 器 具 の 据 付 配 置 に 要 する 費 用 (5) 自 活 できない 場 合 に 労 働 能 力 鑑 定 委 員 会 が 確 認 した 生 活 看 護 費 (6) 一 括 性 の 後 遺 障 害 補 助 金 および1 級 から 4 級 の 後 遺 障 害 従 業 員 が 毎 月 受 給 す る 後 遺 障 害 手 当 (7) 労 働 契 約 の 終 了 又 は 解 除 時 に 享 受 すべき 一 括 性 の 医 療 補 助 金 (8) 業 務 に 起 因 し 死 亡 した 場 合 に その 遺 族 が 受 給 する 葬 儀 補 助 金 扶 養 親 族 弔 慰 金 および 業 務 に 起 因 する 死 亡 補 助 金 (9) 労 働 能 力 鑑 定 費 用 第 44 条 従 業 員 は 失 業 保 険 に 加 入 しなければならない 雇 用 単 位 および 従 業 員 は 国 の 規 定 に 基 づいて 失 業 保 険 料 を 分 担 して 納 付 する 第 46 条 失 業 者 が 失 業 する 前 の 雇 用 単 位 および 本 人 による 累 計 納 付 期 間 が 1 年 以 上 5 年 未 満 の 場 合 は 失 業 保 険 金 を 受 給 する 期 間 は 最 長 12 ヵ 月 とする 累 計 納 付 期 間 が 5 年 以 上 10 年 未 満 の 場 合 は 失 業 保 険 金 を 受 給 する 期 間 は 最 長 18 ヵ 月 とする 累 計 納 付 期 間 が 10 年 以 上 の 場 合 は 失 業 保 険 金 を 受 給 する 期 間 は 最 長 24 ヵ 月 とする 新 たに 就 業 した 後 に 再 び 失 業 した 場 合 には 納 付 期 間 を 新 たに 計 算 するものとし 失 業 保 険 金 を 受 給 する 期 間 は 前 回 の 失 業 において 受 給 すべきであったが 受 給 していない 失 業 保 険 金 の 期 間 と 合 算 し 最 長 で 24 ヵ 月 を 超 えないものとする 第 50 条 雇 用 単 位 は 失 業 者 のため 遅 滞 なく 労 働 関 係 を 終 了 又 は 解 除 した 旨 の 証 明 書 を 発 行 し かつ 労 働 関 係 を 終 了 又 は 解 除 した 日 から 15 日 以 内 に 失 業 者 の 名 簿 を 社 会 保 険 取 扱 機 関 に 報 告 しなければならない 第 54 条 雇 用 単 位 がすでに 出 産 保 険 料 を 納 付 している 場 合 その 従 業 員 は 出 産 保 険 待 遇 を 享 受 する 従 業 員 の 未 就 業 の 配 偶 者 は 国 の 規 定 に 基 づいて 出 産 医 療 費 待 遇 を 享 受 する 必 要 な 資 金 は 出 産 保 険 基 金 から 支 給 する 出 産 保 険 待 遇 には 出 産 医 療 費 と 出 産 手 当 金 を 含 む 第 55 条 出 産 医 療 費 には 次 の 各 項 を 含 むものとする (1) 出 産 に 係 わる 医 療 費 (2) 計 画 出 産 に 係 わる 医 療 費 (3) 法 律 および 法 規 が 規 定 するその 他 の 費 用 第 62 条 雇 用 単 位 が 規 定 に 基 づいて 納 付 すべき 社 会 保 険 料 の 金 額 を 申 告 しな い 場 合 は 当 該 単 位 の 前 月 の 納 付 額 の 110%により 納 付 すべき 金 額 を 確 定 する 納 付 単 位 が 追 って 申 告 の 手 続 をした 後 社 会 保 険 料 徴 収 機 関 は 規 定 に 基 づいて 精 算 する 第 63 条 雇 用 単 位 が 期 限 通 りに 社 会 保 険 料 を 満 額 納 付 しない 場 合 社 会 保 険 料 徴 収 機 関 は 雇 用 単 位 に 対 して 期 限 を 定 めて 納 付 又 は 追 納 するよう 命 じる 雇 用 単 位 が 期 限 を 過 ぎても 社 会 保 険 料 を 満 額 納 付 しないか 又 は 追 納 しない 場 合 社 会 保 険 料 徴 収 機 関 は 銀 行 又 はその 他 の 金 融 機 関 にて 雇 用 単 位 の 預 金 口 座 を 調 査 することができ かつ 県 級 以 上 の 関 係 行 政 部 門 に 対 して 社 会 保 険 料 を 割 当 支 出 する 決 定 を 下 し その 口 座 開 設 銀 行 又 はその 他 の 金 融 機 関 に 社 会 保 険 料 を 割 7

当 支 出 する 旨 を 書 面 にて 通 知 するよう 申 し 立 てることができる 雇 用 単 位 の 口 座 の 残 高 が 納 付 すべき 社 会 保 険 料 を 下 回 る 場 合 社 会 保 険 料 徴 収 機 関 は 当 該 雇 用 単 位 に 担 保 を 提 供 し 納 付 延 期 契 約 を 締 結 するよう 要 求 することができる 雇 用 単 位 が 社 会 保 険 料 を 満 額 納 付 せず かつ 担 保 を 提 供 しない 場 合 社 会 保 険 料 徴 収 機 関 は 人 民 法 院 に 納 付 すべき 社 会 保 険 料 に 相 当 する 価 値 の 財 産 を 差 押 え 封 印 競 売 するよう 申 し 立 て 競 売 による 所 得 を 社 会 保 険 料 に 充 当 することができ る 第 84 条 雇 用 単 位 が 社 会 保 険 登 記 をしない 場 合 社 会 保 険 行 政 部 門 は 期 限 を 定 めて 是 正 を 命 ずる 期 限 を 過 ぎても 是 正 しない 場 合 は 雇 用 単 位 に 対 して 納 付 すべき 社 会 保 険 料 金 額 の1 倍 以 上 3 倍 以 下 の 罰 金 を 科 す 直 接 責 任 を 負 う 主 担 当 者 およびその 他 の 直 接 の 責 任 者 に 対 して 500 元 以 上 3,000 元 以 下 の 罰 金 を 科 す 第 86 条 雇 用 単 位 が 期 限 通 りに 社 会 保 険 料 を 満 額 納 付 しない 場 合 は 社 会 保 険 料 徴 収 機 関 は 期 間 を 定 め 納 付 又 は 追 納 を 命 じ 未 納 日 から 1 日 あたり 0.05% の 滞 納 金 を 追 徴 する 期 限 を 過 ぎても 納 付 しない 場 合 は 関 係 行 政 部 門 は 未 納 金 額 の 1 倍 以 上 3 倍 以 下 の 罰 金 を 科 す 中 国 の 社 会 保 険 制 度 をより 理 解 しやすくするため 社 会 保 険 料 の 計 算 方 法 と 統 筹 地 区 = 同 一 管 理 地 域 の 概 念 を 取 り 上 げる 3. 社 会 保 険 料 の 計 算 (1) 社 会 保 険 料 の 計 算 方 法 について 社 会 保 険 料 の 納 付 金 額 は 外 国 人 中 国 人 問 わず 納 付 基 数 に 納 付 比 率 を 掛 けた ものとなる 図 表 10 社 会 保 険 料 の 計 算 式 納 付 する 社 会 保 険 料 納 付 基 数 = 納 付 比 率 まず 納 付 基 数 は 通 常 加 入 対 象 ( 個 人 )の 前 年 度 の 月 平 均 賃 金 になる ここでい う 月 平 均 賃 金 とは 前 年 度 (1 月 ~12 月 )12 ヵ 月 の 賃 金 総 額 ( 各 種 手 当 ボーナスを 含 んだ 税 引 き 前 の 賃 金 額 )を 12 で 除 した 額 である なお これに 基 いて 算 出 した 当 該 対 象 者 の 前 年 度 の 月 平 均 賃 金 が 当 地 従 業 員 の 前 年 度 の 月 平 均 賃 金 ( 毎 年 当 該 地 方 政 府 から 金 額 が 公 表 される ちなみに 北 京 市 の 2010 年 度 従 業 員 平 均 月 賃 金 は 4,201 元 )の 3 倍 を 上 回 った 場 合 は 当 地 従 業 員 前 年 度 平 均 月 賃 金 の 3 倍 が 納 付 基 数 となり 基 数 の 上 限 が 設 定 されることになる( 北 京 市 の 場 合 は 4,201 元 3=1 万 2,603 元 が 上 限 となる) この 点 特 に 外 国 人 ( 日 本 人 )の 場 合 通 常 本 国 ( 日 本 )から 派 遣 された 駐 在 員 の 月 賃 金 は 当 地 従 業 員 の 平 均 月 賃 金 の 3 倍 を 上 回 ることが 多 いため 当 地 従 業 員 前 年 度 平 均 月 賃 金 の 3 倍 が 基 数 となるケースが 多 いと 予 想 される 8

なお 当 該 対 象 者 の 前 年 度 平 均 月 賃 金 が 当 地 従 業 員 前 年 度 平 均 月 賃 金 の 60%を 下 回 る 場 合 は 当 地 従 業 員 前 年 度 平 均 月 賃 金 の 60%が 納 付 基 数 となり 基 数 の 下 限 が 設 定 され ることになる つまり 社 会 保 険 の 納 付 基 数 は 加 入 対 象 者 の 現 時 点 における 月 額 賃 金 と 一 致 しているとは 限 らず また 上 限 3 倍 や 下 限 60%のルールが 適 用 される 場 合 の 納 付 基 数 は 本 人 の 前 年 度 12 ヵ 月 の 月 平 均 賃 金 額 とも 限 らない 納 付 基 数 は 毎 年 4 月 前 後 に 企 業 からの 申 告 によって 調 整 することが 認 められているが 仮 に 企 業 が 過 少 申 告 した 場 合 は 一 定 の 罰 則 が 加 えられる 可 能 性 がある 次 に 納 付 比 率 は 政 府 の 規 定 によって 定 められているが 地 域 によって 多 少 の 差 異 が 存 在 するため 所 在 地 域 における 5 険 の 各 料 率 を 確 認 する 必 要 がある 全 体 的 な 状 況 を 概 観 すると 企 業 負 担 分 による 5 険 の 納 付 比 率 累 計 は 納 付 基 数 の 約 30% 個 人 負 担 に よる 5 険 の 納 付 比 率 累 計 は 納 付 基 数 の 約 10%となっている 労 使 双 方 の 納 付 比 率 は 納 付 基 数 の 約 40%に 達 しており 世 界 的 にも 高 い 水 準 であると 言 える (2) 同 一 管 理 地 域 について 社 会 保 険 料 は 定 められたエリア 単 位 で 徴 収 が 行 われ そのエリア 毎 に 徴 収 された 保 険 料 がそのエリアの 給 付 原 資 となる この 点 例 えば 一 部 の 税 金 のように 中 央 政 府 が 一 度 徴 収 し 各 地 方 政 府 に 分 配 する 方 式 とは 異 なる このエリアのことを 中 国 の 社 会 保 険 法 上 で は 統 筹 地 区 と 表 しており この 言 葉 の 日 本 語 訳 について 本 報 告 書 内 では 同 一 管 理 地 域 と 表 記 している 中 国 の 行 政 区 域 等 級 は 上 から 下 の 順 に1 中 央 政 府 レベル 2 省 自 治 区 直 轄 市 レベル 3 地 区 自 治 州 地 級 市 4 県 県 級 市 市 管 轄 区 5 郷 鎮 街 道 の5つに 分 けられるが この 場 合 の 統 筹 地 区 = 同 一 管 理 地 域 は 通 常 4 県 県 級 市 のエリアとされている( 直 轄 市 の 場 合 は 特 例 で 直 轄 市 自 身 が 統 筹 地 区 となっている) しかしながら 地 域 によりその 範 囲 は 異 なるため 具 体 的 には 確 認 が 必 要 である なお 前 述 したとおり 統 筹 地 区 = 同 一 管 理 地 域 の 行 政 等 級 は 一 般 的 には 低 位 に 属 し 各 エリアそれぞれが 地 元 の 社 会 保 険 料 の 徴 収 や 給 付 を 管 理 している このことが 統 一 され た 制 度 の 運 用 を 困 難 にしているのみならず 統 筹 地 区 = 同 一 管 理 地 域 をまたいだ 転 勤 をした 従 業 員 は 前 任 地 での 社 会 保 険 が 移 動 地 で 引 き 継 げないなど 社 会 保 険 のメリットの 享 受 に 支 障 をきたす 結 果 となっている 社 会 保 険 法 では 基 本 養 老 保 険 基 金 は 徐 々に 全 国 的 な 同 一 管 理 を 行 う その 他 の 社 会 保 険 基 金 は 徐 々に 省 級 の 同 一 管 理 を 行 い 具 体 的 なスケジュールおよび 段 取 りは 国 務 院 が 規 定 する としており 政 府 は 今 後 統 筹 地 区 = 同 一 管 理 地 域 における 運 用 や 体 制 の 整 備 に 注 力 していくとみられる 9

第 二 部 中 国 の 5 険 制 度 に 対 する 詳 細 解 説 1. 養 老 保 険 養 老 保 険 とは 法 律 で 定 められた 一 定 の 年 数 をベースに 労 働 者 が 事 業 所 を 退 職 した 後 に 一 定 の 経 済 的 保 障 を 給 付 する 保 険 である 養 老 保 険 は 文 字 通 り 受 給 者 の 老 後 の 生 活 を 養 う 保 険 であり 日 本 の 年 金 保 険 と 類 似 する 中 国 の 養 老 保 険 の 特 徴 として 1 労 使 間 の 雇 用 関 係 に 基 づき 使 用 者 ( 企 業 )と 被 使 用 者 ( 従 業 員 )が 共 同 で 負 担 納 付 する 従 業 員 基 本 養 老 保 険 2 受 給 者 個 人 が 納 付 する 都 市 住 民 社 会 養 老 保 険 3 政 府 農 村 自 治 体 ( 中 国 語 では 農 村 集 体 と 呼 ぶ) 受 給 者 個 人 の 3 者 が 共 同 で 負 担 納 付 する 新 型 農 村 社 会 養 老 保 険 という 3 つのタイプが 存 在 する( 公 務 員 に 対 する 養 老 保 険 は 基 本 的 に 社 会 保 険 の 範 疇 から 離 れた 運 営 となっている) 図 表 11 各 種 養 老 保 険 の 加 入 対 象 企 業 従 業 員 事 業 単 位 従 業 員 ( 一 部 ) 弁 護 士 会 計 士 など 以 下 の 要 件 をすべて 満 た した 人 員 ( 非 強 制 的 ) 1 満 16 歳 の 非 学 校 在 学 者 2 従 業 員 基 本 養 老 保 険 の 加 入 対 象 にならない 人 員 3 都 市 戸 籍 の 非 就 労 者 以 下 の 要 件 をすべて 満 た した 人 員 ( 非 強 制 的 ) 1 満 16 歳 の 非 学 校 在 学 者 2 従 業 員 基 本 養 老 保 険 の 加 入 対 象 にならない 人 員 3 農 村 戸 籍 の 住 民 公 務 員 従 業 員 基 本 養 老 保 険 システ ム 都 市 住 民 社 会 保 険 養 老 保 険 システム 新 型 農 村 社 会 養 老 保 険 シス テム 公 務 員 養 老 保 険 システム 合 算 可 能 合 算 可 能 中 国 では 90 年 代 まで 定 年 退 職 前 に 所 属 していた 企 業 から 毎 月 退 職 金 を 受 領 する のが 老 後 生 活 を 維 持 していく 主 な 手 段 であった それは 前 述 のとおり 事 業 主 体 のほと んどが 国 有 企 業 (= 政 府 )という 環 境 があり 一 定 の 年 齢 に 達 した 場 合 には 国 有 企 業 (= 政 府 )が 全 ての 面 倒 を 見 るというコンセンサスが 存 在 していた 改 革 開 放 政 策 の 実 施 外 資 系 企 業 や 民 営 企 業 など 様 々な 事 業 主 体 の 登 場 経 営 不 振 の 国 有 企 業 改 革 など 時 代 の 進 展 とともに 国 有 企 業 による 従 来 の 体 制 の 維 持 が 徐 々に 難 しくなってきたこともあり 国 務 院 は 1991 年 に 5 険 の 中 で 最 も 早 く 企 業 従 業 員 養 老 保 険 制 度 改 革 に 関 する 国 務 院 の 決 定 を 公 布 した その 後 各 地 方 政 府 においても 養 老 保 険 制 度 の 確 立 に 関 する 地 方 規 定 を 制 定 公 布 した が このことは 地 域 間 で 異 なる 運 用 格 差 を 生 み 出 すことにもなった それを 是 正 するた め 国 務 院 は 1997 年 統 一 的 企 業 従 業 員 基 本 養 老 保 険 制 度 の 確 立 に 関 する 国 務 院 の 決 定 を 2005 年 には 企 業 従 業 員 基 本 養 老 保 険 制 度 の 完 全 化 に 関 する 国 務 院 の 決 定 を 公 布 した これら 国 務 院 の 3 つの 決 定 は 現 時 点 の 養 老 保 険 制 度 を 構 築 した 中 央 レベルの 10

規 定 となっている しかし 決 定 の 内 容 をみる 限 り いずれも 方 向 性 の 明 示 あるいは 政 策 の 大 方 針 的 なニュアンスが 強 く 養 老 保 険 制 度 の 詳 細 内 容 を 定 めた 正 式 な 法 律 は 社 会 保 険 法 の 公 布 に 至 るまで 空 白 状 態 であったといっても 過 言 でない 現 時 点 では 企 業 従 業 員 ( 就 労 者 ) 都 市 戸 籍 非 就 労 者 農 村 住 民 ( 農 民 ) という 3 つの 分 類 に 対 し それぞれ 異 なる 養 老 保 険 制 度 が 運 用 されている この 3 つの 養 老 保 険 制 度 は 費 用 負 担 方 式 納 付 比 率 納 付 基 数 保 険 待 遇 の 全 てにわたり 異 なる そのため 人 材 の 流 動 性 が 高 まっている 一 方 で 3 つの 養 老 保 険 システム 間 の 引 き 継 ぎがスムーズに 行 われない 地 域 が 多 いのが 実 態 である 例 えば 社 会 保 険 法 では 基 本 養 老 保 険 に 加 入 した 個 人 は 法 定 退 職 年 齢 に 達 した 際 に 累 計 納 付 年 数 が 満 15 年 である 場 合 は 基 本 養 老 金 を 毎 月 受 給 する ( 第 16 条 )との 規 定 があり 養 老 保 険 の 給 付 ( 中 国 では 養 老 金 と 呼 ぶ 以 下 養 老 金 )が 受 けられる 前 提 条 件 として 累 計 満 15 年 の 保 険 料 納 付 が 定 められている この 15 年 の 累 計 年 数 のカ ウントに 関 し 以 下 のような 問 題 が 生 じている 従 来 新 型 農 村 社 会 養 老 保 険 に 加 入 し ていた 農 民 が 出 稼 ぎのために 都 市 に 行 き その 都 市 の 従 業 員 基 本 養 老 保 険 に 加 入 す るケースがある これらの 人 が 定 年 退 職 以 降 養 老 保 険 を 受 給 する 際 就 労 地 と 戸 籍 地 が 異 なる 省 にある 場 合 には 2 つの 養 老 保 険 に 加 入 し 納 付 した 社 会 保 険 料 が 合 算 されず 養 老 保 険 の 給 付 が 受 けられないケースが 発 生 している 社 会 保 険 法 はこうした 状 況 を 改 める ことをその 目 的 の1つにもしているが 中 国 のその 広 さゆえ 簡 単 ではない 状 況 にある 従 業 員 基 本 養 老 保 険 ( 以 下 基 本 養 老 保 険 )の 要 点 は 以 下 の 通 り (1) 養 老 保 険 の 納 付 者 と 納 付 比 率 社 会 保 険 法 によれば 従 業 員 は 基 本 養 老 保 険 に 加 入 しなければならない 使 用 者 お よび 従 業 員 は 基 本 養 老 保 険 料 を 分 担 して 納 付 する ( 第 10 条 )と 規 定 されている 従 って 企 業 などに 勤 務 する 労 働 者 に 対 する 基 本 養 老 保 険 料 用 は 企 業 と 労 働 者 の 共 同 負 担 となる 他 方 社 会 保 険 法 では 労 働 者 を 雇 用 していない 個 人 経 営 の 商 工 業 者 雇 用 単 位 で 基 本 養 老 保 険 に 加 入 していない 非 正 規 従 業 員 およびその 他 のフレックスタイム 制 で 就 労 する 者 は 基 本 養 老 保 険 に 加 入 することができ 個 人 が 基 本 養 老 保 険 料 を 納 付 する と 定 めているため これらの 自 営 業 者 は 個 人 名 義 で 基 本 養 老 保 険 に 加 入 し 費 用 もすべて 個 人 負 担 となる 基 本 養 老 保 険 の 納 付 比 率 は 企 業 負 担 20% 個 人 負 担 8%が 原 則 となっているが 地 域 によってその 比 率 は 異 なる( 特 に 企 業 負 担 比 率 ) 企 業 が 拠 出 する 社 会 保 険 料 は 納 付 基 数 約 30%である 旨 は 記 述 したが その 約 3 分 の2が 基 本 養 老 保 険 の 負 担 となっている 地 域 が 多 く 5 険 と 呼 ばれる 社 会 保 険 の 各 費 用 の 中 でも 基 本 養 老 保 険 の 負 担 割 合 が 最 も 高 い なお 最 近 では 青 島 市 を 含 む 一 部 の 地 域 などで 企 業 による 養 老 保 険 の 納 付 比 率 を 引 き 下 げ 企 業 負 担 の 軽 減 を 図 る 動 きもある (2) 養 老 金 の 受 給 要 件 前 述 のとおり 養 老 金 の 給 付 は 累 計 満 15 年 の 保 険 料 納 付 を 条 件 としているが 定 年 退 職 時 における 累 計 納 付 年 数 が 15 年 未 満 の 加 入 者 には 以 下 3 つのいずれかを 選 ぶこ とができる 3 3 社 会 保 険 法 の 実 施 に 係 る 若 干 の 規 定 ( 人 的 資 源 社 会 保 障 部 令 第 13 号 2011 年 6 月 29 日 公 布 ) 第 2 条 ~ 第 4 条 11

1 満 15 年 に 至 るまで 保 険 料 を 納 付 し 続 ける 2 新 型 農 村 社 会 養 老 保 険 又 は 都 市 住 民 社 会 養 老 保 険 システムへの 転 入 を 申 請 する 3 従 業 員 基 本 養 老 保 険 を 終 了 し 養 老 金 口 座 の 残 高 ( 個 人 負 担 分 のみ)を 一 括 して 本 人 に 支 給 することを 社 会 保 険 センターに 申 請 する なお 上 記 3を 選 択 する 場 合 基 本 的 にその 時 点 で 精 算 したとみなされ 今 後 保 険 待 遇 を 受 けられなくなるデメリットがある (3) 養 老 金 の 給 付 方 式 図 表 12 基 本 養 老 保 険 料 の 支 払 と 養 老 金 の 給 付 企 業 による 納 付 ( 納 付 基 数 納 付 比 率 ) 個 人 による 納 付 ( 納 付 基 数 納 付 比 率 ) 基 本 養 老 保 険 費 の 月 間 納 付 基 本 養 老 保 険 統 一 運 営 基 金 個 人 養 老 金 口 座 定 年 退 職 前 社 会 保 険 基 本 養 老 保 険 基 金 ( 統 一 運 営 地 域 の 社 会 保 険 管 理 部 門 より 管 理 ) 定 年 退 職 後 基 本 養 老 保 険 金 の 月 間 給 付 一 定 の 条 件 を 満 たした 受 給 者 図 表 12 のとおり 養 老 保 険 は 基 本 的 に 企 業 と 個 人 がそれぞれ 定 められた 比 率 の 保 険 料 を 納 付 するため 退 職 後 に 受 け 取 る 基 本 養 老 保 険 金 も 企 業 納 付 分 と 個 人 納 付 分 それぞ れの 保 険 料 が 積 み 立 てられた 基 本 養 老 保 険 統 一 運 営 基 金 口 座 と 個 人 養 老 金 口 座 と いう 2 つの 口 座 からなり 養 老 金 もそれぞれの 口 座 から 支 給 されることとなる 2 つの 口 座 から 支 払 われる 養 老 金 の 金 額 は それぞれ 以 下 のとおり 計 算 される 12

(4) 基 本 養 老 保 険 統 一 運 営 基 金 口 座 による 月 間 給 付 額 4 基 本 養 老 保 険 統 一 運 営 基 金 口 座 による 月 間 給 付 額 =( 受 給 時 の 当 地 従 業 員 前 年 度 月 平 均 賃 金 + 別 計 算 で 指 数 化 した 月 平 均 保 険 料 納 付 基 数 ) 2 納 付 年 数 5 1% 別 計 算 で 指 数 化 した 月 平 均 保 険 料 納 付 基 数 = 受 給 時 の 当 地 従 業 員 前 年 度 月 平 均 賃 金 月 平 均 費 用 納 付 指 数 月 平 均 費 用 納 付 指 数 = 社 会 保 険 料 納 付 時 の 本 人 の 納 付 基 数 を 納 付 時 点 における 当 地 従 業 員 前 年 度 月 平 均 賃 金 で 除 した 数 値 を 加 算 し 比 例 計 算 した 数 値 月 平 均 費 用 納 付 指 数 = [ 第 1 ヵ 月 目 納 付 時 の 納 付 基 数 納 付 時 点 の 当 地 従 業 員 前 年 度 月 平 均 賃 金 ] +[ 第 2 ヵ 月 目 納 付 時 の 納 付 基 数 納 付 時 点 の 当 地 従 業 員 前 年 度 月 平 均 賃 金 ] + +[ 定 年 退 職 前 前 月 の 納 付 基 数 納 付 時 点 の 当 地 従 業 員 前 年 度 月 平 均 賃 金 ] 累 計 納 付 月 数 (5) 個 人 養 老 金 口 座 による 月 間 給 付 額 個 人 養 老 金 口 座 による 月 間 給 付 額 = 個 人 養 老 金 口 座 の 累 計 残 高 ( 利 息 を 含 む) 係 数 月 数 図 表 13 係 数 月 数 表 6 退 職 年 齢 係 数 月 数 退 職 年 齢 係 数 月 数 退 職 年 齢 係 数 月 数 40 233 50 195 60 139 41 230 51 190 61 132 42 226 52 185 62 125 43 223 53 180 63 117 44 220 54 175 64 109 45 216 55 170 65 101 46 212 56 164 66 93 47 208 57 158 67 84 48 204 58 152 68 75 以 上 企 業 納 付 分 と 個 人 納 付 分 の 支 払 い 計 算 式 は 複 雑 かつ 異 なるものの 養 老 金 の 受 給 金 額 は1 保 険 料 納 付 時 の 納 付 基 数 と 納 付 時 点 における 社 会 の 月 平 均 賃 金 2 養 老 保 険 の 累 計 納 付 月 数 3 受 給 時 の 社 会 の 月 平 均 賃 金 4 納 付 した 養 老 保 険 料 の 累 計 残 高 という 4 つの 要 素 から 構 成 されていると 言 える 4 基 本 養 老 金 とも 呼 ばれる 5 納 付 年 数 =( 累 計 納 付 月 数 12) 小 数 点 以 下 切 り 捨 て 6 退 職 年 齢 が 70 歳 以 上 である 場 合 係 数 月 数 は 一 律 に 56 ヵ 月 で 計 算 する また 女 性 従 業 員 の 定 年 退 職 年 齢 は 通 常 50 歳 (ブルーカラー)と 55 歳 ( 管 理 職 及 び 事 務 職 など) 男 性 従 業 員 の 定 年 退 職 年 齢 は 通 常 60 歳 になる 13

2. 医 療 保 険 医 療 保 険 とは 企 業 従 業 員 の 非 労 災 要 因 による 罹 病 に 係 る 医 療 又 は 都 市 住 民 および 農 民 の 疾 病 医 療 に 対 して 補 助 する 保 険 制 度 である 医 療 保 険 も 先 述 した 養 老 保 険 と 同 様 に 従 業 員 基 本 医 療 保 険 ( 企 業 従 業 員 就 労 者 ) 都 市 住 民 社 会 保 険 養 老 保 険 ( 都 市 戸 籍 非 就 労 者 ) 新 型 農 村 合 作 医 療 保 険 7 ( 農 村 住 民 農 民 )の 3 つに 分 類 され 納 付 方 式 と 給 付 条 件 がそれぞれ 異 なる これら 制 度 は 大 変 複 雑 なため ここでは 多 くの 外 資 系 企 業 に 該 当 する 従 業 員 基 本 医 療 保 険 ( 以 下 基 本 医 療 保 険 )を 説 明 する まず 基 本 医 療 保 険 は 基 本 養 老 保 険 と 同 じく 計 画 経 済 からの 転 換 とともに 誕 生 した 社 会 福 祉 制 度 の 1 つである 国 有 企 業 が 企 業 の 絶 対 的 多 数 を 占 めていた 時 期 は 国 有 企 業 が 従 業 員 の 医 療 費 を 100% 負 担 していた 8 しかし 国 有 企 業 = 政 府 による 莫 大 な 医 療 費 支 出 の 軽 減 が 急 務 となり 1998 年 12 月 に 国 務 院 が 公 布 した 都 市 従 業 員 基 本 医 療 保 険 制 度 の 確 立 に 関 する 決 定 を 皮 切 りに 医 療 保 険 制 度 の 改 革 にメスが 入 った その 後 医 療 分 野 が 抱 えていたさまざまな 問 題 を 解 決 するべく 国 務 院 と 中 国 共 産 党 中 央 委 員 会 は 2009 年 医 療 衛 生 改 革 を 推 進 することに 関 する 意 見 を 公 布 し 従 業 員 基 本 医 療 保 険 制 度 都 市 住 民 社 会 保 険 養 老 保 険 制 度 新 型 農 村 合 作 医 療 保 険 制 度 をそ れぞれ 確 立 し 3 者 間 の 引 き 継 ぎ 問 題 を 解 決 する 目 標 を 明 記 した 図 表 14 基 本 医 療 保 険 の 支 払 と 給 付 企 業 側 による 納 付 ( 納 付 基 数 納 付 比 率 ) 個 人 側 による 納 付 ( 納 付 基 数 納 付 比 率 ) 従 業 員 基 本 医 療 保 険 基 金 上 限 つきの 指 定 項 目 への 給 付 ( 各 地 方 に よって 異 なる) 救 急 医 療 費 外 来 医 療 費 ( 非 救 急 ) 入 院 費 薬 局 における 薬 品 購 入 費 基 本 医 療 保 険 の 支 給 方 式 については 基 本 医 療 保 険 の 保 険 料 も 養 老 保 険 と 同 じく 企 業 負 担 分 と 個 人 負 担 分 に 分 けて 納 付 されている 負 担 割 合 は 地 域 によって 異 なるが 概 ね 企 業 負 担 が 10% 前 後 個 人 負 担 が 2% 前 後 の 地 域 が 多 い その 意 味 では 企 業 にとっては 養 老 保 険 に 次 いで 負 担 割 合 が 多 い 保 険 項 目 である しかし 給 付 方 式 は 養 老 保 険 のように 受 給 者 に 対 し 積 み 立 てをベースにした 一 定 金 額 を 支 給 するのではなく 罹 病 時 に 実 際 に 発 7 新 型 農 村 合 作 医 療 保 険 への 加 入 は 個 人 負 担 の 保 険 費 が 小 額 であるため 加 入 者 は 8 億 3,000 万 人 にも 上 っているとの 報 道 もある しかし 当 該 保 険 の 省 をまたぐ 合 算 はまだできておらず 今 後 の 重 点 課 題 となっている 8 企 業 は 通 常 医 務 室 を 抱 え 従 業 員 及 びその 家 族 への 無 料 診 断 無 料 治 療 を 実 施 していた また 医 務 室 が 発 行 した 書 類 をもって 外 部 の 病 院 で 受 診 した 場 合 には 企 業 が 病 院 の 医 療 費 を 100% 負 担 してい た 14

生 した 医 療 費 入 院 費 を 基 本 医 療 保 険 基 金 が 一 部 負 担 することが 主 体 となる このとき 費 用 負 担 対 象 から 除 外 されるのは 労 災 発 生 時 の 医 療 費 入 院 費 と 育 児 出 産 時 に 発 生 する 医 療 費 入 院 費 である この 2 項 目 は それぞれ 労 災 保 険 および 出 産 保 険 でカバーされ るためである 基 本 医 療 保 険 で 医 療 費 入 院 費 などを 負 担 する 仕 組 みは 複 雑 なため 下 図 は 参 考 として イメージを 確 認 いただきたい 図 表 15 基 本 医 療 保 険 基 金 による 費 用 負 担 の 仕 組 み 企 業 個 人 医 療 保 険 料 納 付 医 療 保 険 料 納 付 個 人 の 医 療 カード 従 業 員 基 本 医 療 保 険 基 金 保 険 費 ( 一 部 ) 還 付 医 療 費 負 担 医 療 費 負 担 医 療 費 負 担 医 療 機 構 薬 代 負 担 薬 代 負 担 救 急 医 療 費 外 来 医 療 費 ( 非 救 急 ) 入 院 費 など 外 部 薬 局 など 1 企 業 と 個 人 が 毎 月 一 定 金 額 の 医 療 保 険 料 を 従 業 員 基 本 医 療 保 険 基 金 に 対 し 納 付 2 医 療 保 険 基 金 は 毎 月 一 定 金 額 を 個 人 が 保 有 する 医 療 カード 9 に 還 元 する 還 元 された 医 療 費 の 使 途 は 限 定 されており 残 高 を 現 金 の 形 で 引 き 出 すことは 通 常 認 められ ない 3 医 療 機 関 で 実 際 に 発 生 した 医 療 費 は まず 医 療 カードで 決 済 残 高 が 不 足 する 場 合 は 基 本 的 に 個 人 負 担 となる( 一 部 の 地 域 においては 残 高 を 超 過 した 医 療 費 につい て 医 療 保 険 基 金 が 更 に 一 部 負 担 することもある) 4 実 際 に 発 生 した 入 院 費 は 医 療 保 険 基 金 が 一 定 の 限 度 内 で 負 担 し 限 度 額 を 超 過 し た 部 分 は 医 療 カードの 残 高 を 利 用 することが 可 能 それでもなお 不 足 する 場 合 は 個 人 負 担 となる 5 外 部 薬 局 での 医 薬 品 購 入 には 医 療 カードの 利 用 が 認 められる 9 医 療 カードは 銀 行 のキャッシュカードに 似 た IC チップ 付 きのカード 保 険 対 象 の 基 本 情 報 や 保 険 納 付 状 況 を 記 録 するほか 還 付 される 医 療 保 険 費 を 記 録 する また 指 定 の 医 療 費 に 対 して 同 カードで 直 接 決 済 が 可 能 15

3. 労 災 保 険 労 災 保 険 は 労 災 事 故 に 遭 遇 した 従 業 員 や 職 業 病 を 患 った 従 業 員 の 治 療 を 行 うべく 一 定 の 補 助 をする 保 険 である 国 務 院 は 2003 年 労 働 災 害 保 険 条 例 ( 中 国 語 では 工 傷 保 険 条 例 と 表 記 )を 公 布 2004 年 1 月 1 日 に 施 行 し 労 災 保 険 制 度 を 確 立 した 2010 年 社 会 保 険 法 で 定 めた 労 災 の 認 定 基 準 や 労 災 待 遇 などに 基 づき 同 条 例 も 同 年 大 幅 に 改 定 され 2011 年 1 月 1 日 に 改 定 条 例 が 施 行 した 経 緯 がある 労 災 保 険 待 遇 が 給 付 される 前 提 として 労 災 認 定 が 必 要 となる 労 働 災 害 保 険 条 例 ( 第 14 条 )では 以 下 のときに 労 災 として 認 定 すると 定 めている 1 労 働 時 間 および 労 働 場 所 内 において 業 務 上 の 原 因 により 事 故 傷 害 を 受 けたとき 2 労 働 時 間 の 前 後 に 労 働 場 所 内 において 業 務 に 関 係 する 準 備 又 は 後 片 付 けの 性 質 を 持 つ 業 務 に 従 事 し 事 故 傷 害 を 受 けたとき 3 労 働 時 間 および 労 働 場 所 内 において 業 務 上 の 職 責 の 履 行 に 起 因 し 暴 力 等 の 予 想 外 の 傷 害 を 受 けたとき 4 職 業 病 を 患 ったとき 5 業 務 による 外 出 期 間 において 業 務 上 の 原 因 により 傷 害 を 受 け 又 は 事 故 が 発 生 し 行 方 不 明 であるとき 6 出 退 勤 の 途 中 において 本 人 に 主 たる 責 任 のない 交 通 事 故 又 は 都 市 軌 道 交 通 旅 客 運 送 フェリーもしくは 列 車 事 故 に 遭 い 傷 害 を 受 けたとき 7 法 律 又 は 行 政 法 規 の 規 定 により 労 働 災 害 であると 認 定 するべきその 他 の 事 由 がある 場 合 また 同 条 例 の 第 15 条 では 以 下 のときに 労 災 としてみなされると 規 定 している 1 労 働 時 間 および 業 務 上 の 職 位 において 突 発 的 疾 病 により 死 亡 し 又 は 48 時 間 内 に 緊 急 救 助 を 経 たものの 効 果 がなく 死 亡 したとき 2 危 険 緊 急 対 応 災 害 救 助 等 の 国 の 利 益 および 公 共 利 益 を 維 持 保 護 する 活 動 において 傷 害 を 受 けたとき 3 従 業 員 が 過 去 に 軍 隊 に 服 務 し 戦 争 又 は 公 務 により 負 傷 して 後 遺 障 害 が 残 り 既 に 革 命 傷 害 軍 人 証 を 取 得 し 使 用 者 に 勤 務 後 に 旧 傷 害 が 再 発 したとき なお a. 故 意 に 罪 を 犯 したとき b. 酒 酔 い 又 は 麻 薬 を 吸 引 していたとき c. 自 傷 又 は 自 殺 しようとしたときに 受 けた 傷 害 は 労 災 事 故 として 認 定 しないと 同 条 例 の 第 16 条 では 定 めている 労 災 保 険 の 保 険 料 は 養 老 保 険 や 医 療 保 険 とは 異 なり 企 業 負 担 のみとなり 個 人 負 担 は ない 保 険 料 の 納 付 金 額 は 従 業 員 全 員 の 社 会 保 険 納 付 基 数 の 合 計 10に 納 付 比 率 をかけて 計 算 される 納 付 比 率 は 地 域 によって また 業 種 によって 0.5%~2%のレンジとなっ ている 11 また 労 災 事 故 の 発 生 率 に 応 じて その 企 業 に 適 用 される 労 災 保 険 の 納 付 比 率 を 社 会 保 険 管 理 部 門 が 毎 年 調 整 できることになっている 労 災 として 認 定 を 受 けた 場 合 発 生 する 医 療 費 や 補 償 金 などは 基 本 的 に 労 災 保 険 によ って 給 付 されるが 一 部 の 費 用 は 依 然 として 企 業 負 担 が 発 生 する 点 には 注 意 が 必 要 である 10 労 働 災 害 保 険 条 例 の 第 10 条 では 従 業 員 の 賃 金 総 額 と 定 められているが 実 務 上 では 従 業 員 全 員 の 社 会 保 険 納 付 基 数 の 合 計 になる 11 労 災 保 険 費 の 比 率 問 題 に 関 する 通 知 ( 労 社 部 発 [2003]29 号 ) 16

図 表 16 労 災 保 険 基 金 による 給 付 の 仕 組 み 事 故 負 傷 の 発 生 使 用 者 による 労 災 認 定 の 申 請 ( 負 傷 後 の30 日 以 内 ) 使 用 者 によ る 正 常 賃 金 の 支 給 使 用 者 によ る 介 護 費 用 の 支 給 労 災 認 定 結 果 の 公 布 ( 受 理 後 の60 日 以 内 ) 労 災 として 認 定 完 治 身 体 に 障 害 が 残 る [ 有 給 休 業 期 間 ] 治 療 休 養 容 態 の 安 定 又 は 有 給 休 業 期 間 の 満 了 身 体 障 害 等 級 の 認 定 職 場 復 帰 重 度 障 害 中 度 障 害 軽 度 障 害 労 災 として 認 定 された 場 合 : 労 災 保 険 基 金 によ る 以 下 の 費 用 の 負 担 1) 診 療 費 2) 薬 代 3) 入 院 費 4) 食 事 手 当 5) 外 地 での 診 療 に 関 わる 交 通 費 と 食 費 宿 泊 費 6)リハビリ 費 用 7) 生 活 に 必 要 とする 義 足 矯 正 器 具 義 眼 など の 費 用 使 用 者 による 毎 月 身 体 障 害 手 当 の 支 給 1~4 級 認 定 5~6 級 認 定 7~10 級 認 定 職 場 を 離 れ 在 宅 休 養 一 定 の 業 務 に 従 事 す ることができない 一 定 の 業 務 に 従 事 す ることができる 労 災 保 険 基 金 によ る 身 体 障 害 一 括 補 助 金 の 支 給 毎 月 労 災 保 険 基 金 による 身 体 障 害 手 当 の 支 給 使 用 者 による 毎 月 社 会 保 険 費 の 納 付 定 年 退 職 年 齢 に なり 退 職 労 働 者 によって 労 働 契 約 の 解 除 又 は 終 了 を 提 起 した 場 合 使 用 者 によって 労 働 契 約 の 終 了 を 提 起 した 場 合 使 用 者 による 身 体 障 害 者 就 労 一 括 補 助 金 の 支 給 使 用 者 による 労 働 契 約 の 解 除 又 は 終 了 に 関 わる 経 済 補 償 金 の 支 給 身 体 障 害 手 当 の 受 給 停 止 養 老 保 険 金 の 受 給 開 始 労 働 契 約 の 解 除 又 は 終 了 労 災 保 険 基 金 によ る 労 災 医 療 一 括 補 助 金 の 支 給 図 表 16 は 労 働 災 害 保 険 条 例 の 規 定 に 基 づき 労 災 発 生 後 の 対 応 について 整 理 したも のである 右 側 の 下 線 部 分 は 労 災 発 生 後 に 労 災 保 険 基 金 が 給 付 する 費 用 であるのに 対 して 左 側 の 斜 字 体 部 分 は 企 業 が 負 担 する 必 要 のある 費 用 となっている また 一 部 費 用 について は 企 業 が 一 旦 立 て 替 える 必 要 がある 費 用 もある まとめれば 労 災 保 険 基 金 によって 負 17

担 される 費 用 は 主 に 以 下 となる 1 労 災 発 生 後 に 治 療 に 用 いた 診 療 費 薬 代 入 院 費 について 正 規 な 医 療 機 関 での 診 療 と 入 院 薬 代 ( 限 度 あり)が 労 災 保 険 基 金 により 実 費 精 算 される 12 また 外 地 での 診 療 に 関 わる 交 通 費 および 労 災 発 生 後 のリハビリ 費 用 については 労 災 保 険 センターの 事 前 承 認 を 受 けたうえで 実 費 精 算 することが 可 能 2 入 院 時 の 食 事 手 当 外 地 での 診 療 に 関 する 宿 泊 費 は 労 災 保 険 基 金 から 固 定 金 額 が 支 給 される 例 えば 上 海 市 では 入 院 時 の 食 事 手 当 として 20 元 /1 日 /1 人 外 地 での 診 療 に 関 る 宿 泊 費 は 150 元 /1 日 /1 人 と 規 定 している 13 3 身 体 障 害 ( 後 遺 症 ) 認 定 を 受 けたうえ 認 定 された 等 級 に 応 じて 労 災 保 険 基 金 から 身 体 障 害 一 括 補 助 金 14 が 一 括 支 給 される 身 体 障 害 一 括 補 助 金 は 負 傷 者 の 月 額 賃 金 15を 基 に 下 表 に 記 載 した 月 数 を 掛 けて 計 算 する 4 身 体 障 害 等 級 が 1~4 級 と 認 定 された 従 業 員 に 対 して 労 災 保 険 基 金 より 毎 月 身 体 障 害 手 当 16 が 支 給 される 身 体 障 害 手 当 の 支 給 基 準 は 下 表 のとおり 負 傷 者 の 月 額 賃 金 の 一 定 の 割 合 になる 5 身 体 障 害 等 級 が 5~10 級 と 認 定 された 従 業 員 が 17 使 用 者 と 労 働 契 約 を 解 除 または 終 了 した 際 には 労 災 保 険 基 金 から 労 災 医 療 一 括 補 助 金 が 支 給 されることとなる 6 上 述 した 項 目 のほかに 従 業 員 が 労 災 で 死 亡 した 場 合 には その 近 親 者 は 労 災 保 険 基 金 から 葬 儀 補 助 金 扶 養 親 族 慰 問 金 および 一 括 性 労 働 災 害 死 亡 補 助 金 を 受 領 することができる 18 12 これらの 費 用 は 企 業 が 一 旦 立 て 替 えたうえで 必 要 な 証 憑 を 添 付 して 労 災 保 険 センターに 請 求 する 必 要 がある 13 上 海 市 人 民 政 府 の 社 会 保 険 法 の 貫 徹 実 施 と 本 市 の 労 災 保 険 政 策 調 整 に 関 する 通 知 ( 滬 府 発 2011 34 号 ) 14 中 国 語 では 一 次 性 傷 残 補 助 金 と 呼 称 する 15 負 傷 者 の 月 額 賃 金 とは 労 働 災 害 の 従 業 員 が 業 務 に 起 因 し 事 故 傷 害 を 受 け 又 は 職 業 病 にかかる 前 12 ヵ 月 の 平 均 月 保 険 料 納 付 賃 金 (= 納 付 基 数 )を 指 す 本 人 の 賃 金 が 同 一 管 理 地 域 の 従 業 員 の 平 均 賃 金 の 300 パーセントを 上 回 る 場 合 には 同 一 管 理 地 域 の 従 業 員 の 平 均 賃 金 の 300 パーセントを 上 限 とした 割 合 で 計 算 する 本 人 の 賃 金 が 同 一 管 理 地 域 の 従 業 員 の 平 均 賃 金 の 60 パーセントを 下 回 る 場 合 には 同 一 管 理 地 域 の 従 業 員 の 平 均 賃 金 の 60 パーセントを 下 限 とした 割 合 で 計 算 する( 労 働 災 害 保 険 条 例 第 64 条 ) 16 中 国 語 では 傷 残 津 貼 と 呼 称 する 17 身 体 障 害 等 級 が 1~4 級 と 認 定 された 従 業 員 は 企 業 との 労 働 関 係 が 通 常 定 年 退 職 まで 維 持 される ことになる 18 労 働 災 害 保 険 条 例 第 39 条 18

図 表 17 身 体 障 害 等 級 に 対 応 する 身 体 障 害 一 括 補 助 金 の 支 給 月 数 身 体 障 害 等 級 支 給 月 数 1 級 27 2 級 25 3 級 23 4 級 21 5 級 18 6 級 16 7 級 13 8 級 11 9 級 9 10 級 7 図 表 18 身 体 障 害 等 級 に 対 応 する 身 体 障 害 手 当 の 支 給 割 合 身 体 障 害 等 級 支 給 割 合 (%) 1 級 90 2 級 85 3 級 80 4 級 75 4. 出 産 保 険 出 産 保 険 ( 中 国 語 では 生 育 保 険 と 呼 ぶ)とは 従 業 員 の 出 産 に 関 わる 医 療 費 や 出 産 休 暇 期 間 中 における 賃 金 などを 補 助 する 保 険 である 出 産 保 険 は 他 の 保 険 と 比 べて 主 に 以 下 の 特 徴 を 有 する 1 企 業 負 担 による 納 付 のみであり 個 人 負 担 はない 2 給 付 事 項 は 女 性 従 業 員 の 出 産 に 関 わるものが 主 であるが 男 女 を 問 わず 一 律 に 同 条 件 で 加 入 する 必 要 がある 3 企 業 に 属 しない 自 営 業 者 や 非 就 労 者 は 出 産 保 険 に 加 入 することができない 4 現 時 点 で 一 部 地 域 においては 農 村 戸 籍 の 従 業 員 の 出 産 保 険 への 加 入 が 認 められて いない 出 産 保 険 の 根 拠 法 となっているのは 労 働 部 が 1994 年 に 公 布 した 企 業 従 業 員 出 産 保 険 試 行 弁 法 である 同 弁 法 では 出 産 保 険 制 度 の 大 枠 が 定 められているが 出 産 保 険 の 加 入 対 象 は 都 市 戸 籍 の 従 業 員 に 限 定 していた しかし 社 会 保 険 法 では 出 産 保 険 の 加 入 対 象 を 企 業 と 労 働 関 係 を 有 する 全 従 業 員 に 拡 大 したため 現 在 では 企 業 に 勤 める 従 業 員 全 員 が 出 産 保 険 に 加 入 する 必 要 がある 19

図 表 19 出 産 保 険 の 納 付 方 式 と 主 な 支 給 項 目 企 業 側 による 納 付 ( 納 付 基 数 納 付 比 率 ) 従 業 員 基 本 医 療 保 険 基 金 育 児 休 暇 ( 流 産 休 暇 など を 含 む) 期 間 中 における 休 暇 手 当 の 支 給 育 児 関 わる 検 査 費 出 産 費 手 術 費 入 院 費 薬 代 ( 限 度 つき) 出 産 によって 発 生 した 疾 病 に 関 わる 医 療 費 など 計 画 生 育 に 関 わる 費 用 図 表 19 のとおり 出 産 保 険 の 支 給 項 目 は 主 に 出 産 の 医 療 費 と 育 児 休 暇 中 における 出 産 手 当 金 である このうち 出 産 に 伴 う 医 療 費 については 一 定 金 額 内 での 実 費 精 算 となる 休 暇 手 当 が 支 払 われる 育 児 休 暇 期 間 は 地 域 によって 多 少 異 なる また 出 産 保 険 料 の 納 付 比 率 については 企 業 従 業 員 出 産 保 険 試 行 弁 法 に 定 められ た 1%を 上 回 らない 範 囲 内 で 各 地 域 がそれぞれ 地 方 規 定 を 設 けているほか 医 療 保 険 に 包 含 している 地 域 もある 5. 失 業 保 険 失 業 保 険 とは 一 定 の 条 件 を 満 たした 企 業 従 業 員 に 対 して 失 業 期 間 中 に 失 業 保 険 金 な どを 給 付 する 保 険 である 失 業 保 険 制 度 を 確 立 した 法 規 は 国 務 院 が 1999 年 に 制 定 した 失 業 保 険 条 例 であり 企 業 負 担 と 個 人 負 担 による 納 付 が 必 要 となっている 保 険 料 率 は 地 域 によって 異 なるが 企 業 負 担 が 2% 以 下 個 人 負 担 が 1% 以 下 となっているところ が 多 い なお 企 業 に 属 しない 自 営 業 者 や 非 就 労 者 は 本 保 険 に 加 入 することができない 20

図 表 20 失 業 保 険 の 納 付 方 式 と 主 な 支 給 項 目 企 業 側 による 納 付 ( 納 付 基 数 納 付 比 率 ) 従 業 員 失 業 保 険 基 金 失 業 保 険 金 失 業 保 険 金 受 領 期 間 の 医 療 補 助 金 失 業 保 険 金 受 領 期 間 に 死 個 人 による 納 付 ( 農 村 戸 籍 従 業 員 は 免 除 される) ( 納 付 基 数 納 付 比 率 ) 亡 した 失 業 人 員 の 葬 儀 補 助 金 並 びに 当 該 人 員 の 扶 養 する 配 偶 者 及 び 直 系 親 族 の 慰 問 金 失 業 保 険 金 受 領 期 間 にお いて 職 業 養 成 訓 練 及 び 職 業 失 業 保 険 条 例 19によれば 失 業 保 険 待 遇 を 受 けられる 受 給 者 は 以 下 の 要 件 を 満 たさなけ ればならない 1 規 定 に 従 い 失 業 保 険 に 加 入 し 使 用 者 および 本 人 が 規 定 に 従 い 保 険 料 納 付 を 1 年 以 上 履 行 していること 2 本 人 の 意 思 によらず 就 業 が 中 断 したこと 3 失 業 登 記 手 続 を 行 い かつ 求 職 要 求 のあること また 失 業 保 険 金 受 領 期 間 において 失 業 人 員 に 次 の 各 号 に 掲 げる 事 由 の1つに 該 当 した 場 合 は 失 業 保 険 金 の 受 領 を 停 止 しなければならないとされている 20 1 新 たに 就 業 するとき 2 徴 兵 に 応 じて 兵 役 に 服 するとき 3 国 外 に 移 転 居 住 するとき 4 基 本 養 老 保 険 待 遇 を 享 受 するとき 5 刑 事 判 決 により 収 監 執 行 され 又 は 労 働 教 養 に 付 されるとき 6 正 当 な 理 由 なくして 当 該 地 域 人 民 政 府 の 指 定 する 部 門 又 は 機 関 の 紹 介 する 業 務 の 受 入 れを 拒 絶 するとき 失 業 保 険 金 を 受 領 できる 期 間 は 失 業 保 険 の 納 付 期 間 と 関 連 している 失 業 保 険 条 例 では 保 険 料 を 納 付 した 累 計 期 間 が 1 年 以 上 5 年 未 満 である 場 合 には 失 業 保 険 金 を 受 領 で きる 期 間 は 最 長 で 12 ヵ 月 保 険 料 納 付 累 計 期 間 が 5 年 以 上 10 年 未 満 である 場 合 には 失 業 保 険 金 を 受 領 できる 期 間 は 最 長 で 18 ヵ 月 保 険 料 納 付 累 計 期 間 が 10 年 以 上 であ る 場 合 には 失 業 保 険 金 を 受 領 できる 期 間 は 最 長 で 24 ヵ 月 とする また 新 たに 就 業 し た 後 に 再 度 失 業 した 場 合 には 保 険 料 納 付 累 計 期 間 は 新 たに 計 算 するものとするが 失 業 保 険 金 を 受 領 できる 期 間 は 前 回 の 失 業 時 において 受 領 すべきであったが 受 領 していな 19 第 14 条 20 第 16 条 21

い 失 業 保 険 金 の 期 間 を 合 算 することができる ただし 最 長 で 24 ヵ 月 を 超 えてはならな い と 定 めている なお 具 体 的 な 受 給 可 能 月 数 および 受 給 できる 失 業 保 険 金 の 金 額 につ いては 各 地 方 が 地 方 法 規 を 定 めている 以 上 を 踏 まえ 現 時 点 で 中 国 の 社 会 保 険 制 度 に 存 在 する 問 題 をまとめると 以 下 の 点 が 挙 げられる 1 地 方 毎 に 保 険 料 の 徴 収 や 保 険 基 金 に 対 する 管 理 が 行 われており 統 一 性 や 利 便 性 に 欠 ける また 地 域 によって 財 源 や 管 理 体 制 にばらつきがあり 受 けられる 待 遇 が 異 なる 2 都 市 戸 籍 者 と 農 村 戸 籍 者 で 取 り 扱 いが 異 なる 3 保 険 料 納 付 比 率 が 高 く 特 に 企 業 負 担 が 重 い 4 養 老 保 険 や 医 療 保 険 は 保 険 料 に 比 べ 享 受 できる 待 遇 が 限 られる 5 転 勤 や 転 職 等 で 地 域 をまたぐ 移 動 がある 場 合 過 去 納 付 分 の 引 き 継 ぎに 際 しての 問 題 が 少 なくない 22

第 三 部 主 要 5 都 市 の 社 会 保 険 運 用 状 況 1. 主 要 5 都 市 における 5 険 の 状 況 北 京 上 海 広 州 大 連 青 島 の 5 都 市 における 5 つの 社 会 保 険 (5 険 )に 関 して 現 時 点 における 納 付 比 率 納 付 基 数 の 上 下 限 徴 収 機 関 平 均 賃 金 最 低 賃 金 等 をまとめる と 以 下 のとおりとなる (1) 納 付 基 数 の 上 下 限 シミュレーション 図 表 21 主 要 5 都 市 における 納 付 基 数 上 限 単 位 : 元 北 京 市 上 海 市 広 州 市 大 連 市 青 島 市 2010 年 度 従 業 員 月 平 均 賃 金 4,201 3,896 4,541 3,718 2,379 養 老 保 険 企 業 個 人 10,089( 注 1) 医 療 保 険 企 業 12,603 11,688 11,154 7,137 個 人 13,623 労 災 保 険 企 業 個 人 -- 出 産 保 険 企 業 12,603 11,688 13,623 11,154 7,137 個 人 -- 失 業 保 険 企 業 個 人 12,603 11,688 13,623 11,154 7,137 注 1: 広 州 市 では 養 老 保 険 納 付 基 数 の 上 限 を( 当 市 従 業 員 前 年 度 平 均 月 賃 金 の3 倍 のではなく) 広 東 省 従 業 員 前 年 度 月 平 均 賃 金 (2010 年 度 は3,363 元 であった)の3 倍 としている 図 表 22 主 要 5 都 市 における 納 付 基 数 下 限 単 位 : 元 北 京 市 上 海 市 広 州 市 大 連 市 青 島 市 2010 年 度 従 業 員 月 平 均 賃 金 4,201 3,896 4,541 3,718 2,379 養 老 保 険 企 業 個 人 1,680( 注 1) 2,018( 注 2) 医 療 保 険 労 災 保 険 出 産 保 険 企 業 2,338 2,231 1,427 2,521 2,725 個 人 企 業 企 業 1,680( 注 1) 2,521 1,300( 注 3) 2,338 2,725 2,231 1,427 個 人 個 人 -- -- 失 業 保 険 企 業 個 人 1,680( 注 1) 2,338 1,300( 注 3) 2,231 1,427 注 1: 北 京 市 では 現 在 養 老 保 険 労 災 保 険 ( 企 業 側 )と 失 業 保 険 の 最 低 納 付 基 数 を 当 市 従 業 員 前 年 度 月 平 均 賃 金 の40%としている 注 2: 広 州 市 では 養 老 保 険 納 付 基 数 の 下 限 を 広 東 省 従 業 員 前 年 度 月 平 均 賃 金 (2010 年 度 は3,363 元 であった)の 60%としている 注 3: 広 州 市 では 労 災 保 険 ( 企 業 側 )と 失 業 保 険 の 最 低 納 付 基 数 を1,300 元 と 固 定 している 23

(2) 納 付 比 率 北 京 市 ( 図 表 23 北 京 市 における 5 険 の 納 付 比 率 ) 企 業 所 在 地 従 業 員 戸 籍 養 老 保 険 医 療 保 険 労 災 保 険 出 産 保 険 失 業 保 険 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 北 京 市 都 市 戸 籍 農 村 戸 籍 北 京 市 都 市 戸 籍 者 外 地 都 市 戸 籍 者 北 京 市 農 村 戸 籍 者 外 地 農 村 戸 籍 者 20% 8% 10% 2%+3 方 式 A:10% 方 式 B:1% (1) 方 式 A:2%+3 方 式 B: 納 付 しない(1) 0.5%/1%/ 2% -- 0.8% (2) -- 1% 0.2% -- (3) (1) 農 村 戸 籍 の 従 業 員 が 北 京 で 医 療 保 険 に 加 入 する 場 合 には 2つの 方 式 のどちらかの 採 用 が 認 められる 方 式 Aを 採 用 する 場 合 には 医 療 保 険 に 加 入 している 都 市 戸 籍 従 業 員 が 受 けられる 保 険 給 付 待 遇 と 変 わらない 待 遇 を 受 けられるが 方 式 Bを 採 用 する 場 合 には 納 付 比 率 が 低 くなり 個 人 負 担 分 も 免 除 されるかわりに 1 納 付 年 数 が 合 算 されず かつ2 外 来 診 療 費 が 給 付 されないというデメリットがある (2) 2011まで 地 方 戸 籍 従 業 員 の 北 京 における 出 産 保 険 の 加 入 が 認 められていなかったが 2012 年 以 降 には 加 入 できるようになった (3) 農 村 戸 籍 の 従 業 員 による 失 業 保 険 の( 個 人 負 担 分 ) 納 付 は 免 除 されるが 失 業 時 の 待 遇 が 都 市 戸 籍 従 業 員 と 異 なる 加 入 者 ( 個 人 名 義 )(1) 北 京 市 都 市 戸 籍 者 北 京 市 農 村 戸 籍 者 養 老 保 険 医 療 保 険 20% 7% 960 元 ~7,420 元 / 年 (2) 農 村 合 作 医 療 失 業 保 険 1% -- (1) 個 人 名 義 で 社 会 保 険 に 加 入 できるのが 北 京 市 戸 籍 所 有 者 に 限 定 される (2) 北 京 市 農 村 戸 籍 者 が 加 入 する 養 老 保 険 は 都 市 農 村 養 老 保 険 で 企 業 従 業 員 が 加 入 する 都 市 従 業 員 養 老 保 険 とは 異 なる( 将 来 的 に 受 給 できる 養 老 金 の 金 額 も 異 なる) 当 面 両 システム 間 の 移 動 が 実 現 できている( 根 拠 法 : 北 京 市 人 民 政 府 の 北 京 市 における 都 市 と 農 村 住 民 の 養 老 保 険 弁 法 の 印 刷 発 布 に 関 する 通 知 ( 京 政 発 [2008]49 号 )) 都 市 農 村 養 老 保 険 に 加 入 する 際 に 採 用 する 納 付 基 数 は 基 本 的 に 個 人 による 自 己 申 告 と 自 己 選 択 が 認 められている 24

上 海 市 ( 図 表 24 上 海 市 における 5 険 の 納 付 比 率 ) 企 業 所 在 地 従 業 員 戸 籍 養 老 保 険 医 療 保 険 労 災 保 険 出 産 保 険 失 業 保 険 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 上 海 市 都 市 戸 籍 農 村 戸 籍 上 海 市 都 市 戸 籍 1% 外 地 都 市 戸 籍 12% 2% 0.8% -- 1.7% 22% 8% 0.5% -- 上 海 市 農 村 戸 籍 --(2) 外 地 農 村 戸 籍 (1) 6% 1% -- -- -- -- (1) 外 地 の 農 村 戸 籍 従 業 員 が 社 会 保 険 に 加 入 する 場 合 労 使 双 方 の 合 意 によって 以 下 2つの 方 法 のいずれかを 採 用 することができる 方 式 A: 実 平 均 収 入 を 基 数 に 社 会 保 険 費 を 納 付 する 方 式 B:1,558 元 を 納 付 基 数 に 社 会 保 険 費 を 納 付 する 注 : 方 式 Bは 外 地 農 村 戸 籍 者 を 上 海 市 の 社 会 保 険 体 制 に 組 み 入 れるための 過 渡 的 措 置 であり 金 額 は 毎 年 調 整 されている (2) 農 村 戸 籍 の 従 業 員 による 失 業 保 険 の( 個 人 負 担 分 ) 納 付 が 免 除 されるが 失 業 時 の 待 遇 が 都 市 戸 籍 従 業 員 と 異 なる ( 根 拠 法 : 上 海 市 失 業 保 険 実 施 細 則 の 印 刷 発 布 に 関 する 通 知 ( 滬 労 保 従 発 (1999)17 号 )) 加 入 者 ( 個 人 名 義 ) 養 老 保 険 医 療 保 険 上 海 市 都 市 戸 籍 30% 14% (1) 個 人 名 義 での 社 会 保 険 加 入 は 原 則 上 海 市 都 市 戸 籍 の 所 有 者 に 限 定 するが 上 海 市 都 市 戸 籍 者 の 配 偶 者 ( 非 上 海 市 都 市 戸 籍 )の 加 入 も 認 められている (2) 加 入 時 の 納 付 基 数 は 基 本 的 に 個 人 による 自 己 申 告 と 自 己 選 択 が 認 められる ( 根 拠 法 : 上 海 市 都 市 部 従 業 員 養 老 保 険 弁 法 本 市 の 自 由 職 業 に 従 事 している 者 の 養 老 医 療 保 険 の 若 干 の 問 題 の 試 行 意 見 発 布 に 関 する 通 知 ( 滬 労 保 業 一 発 (1998)39 号 )) 25

広 州 市 ( 図 表 25 広 州 市 における 5 険 の 納 付 比 率 ) 企 業 所 在 地 従 業 員 戸 籍 養 老 保 険 医 療 保 険 労 災 保 険 出 産 保 険 失 業 保 険 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 広 州 市 都 市 戸 籍 農 村 戸 籍 広 州 市 都 市 戸 籍 者 20% 8% 外 地 都 市 戸 籍 者 広 州 市 農 村 戸 籍 者 外 地 農 村 戸 籍 者 12% 8% 8%(1) 2% 0.5%/1%/ 1.5% -- 0.85% -- 2% 1% - (1) 広 州 市 は 従 業 員 医 療 保 険 のほか 使 用 者 から 毎 月 当 市 企 業 従 業 員 前 年 度 の 月 平 均 収 入 (2011 年 は4,541 元 )の0.26%に 相 当 する 重 大 疾 病 医 療 補 助 金 を 納 付 しなければならない 加 入 者 ( 個 人 名 義 ) 養 老 保 険 医 療 保 険 広 州 市 都 市 戸 籍 者 673 元 466 元 (1) 個 人 名 義 での 社 会 保 険 加 入 は 原 則 広 州 都 市 戸 籍 の 所 有 者 に 限 定 する (2) 個 人 名 義 で 加 入 する 際 に 納 付 する 保 険 料 は 固 定 金 額 となる 26

大 連 市 ( 図 表 26 大 連 市 における 5 険 の 納 付 比 率 ) 企 業 所 在 地 従 業 員 戸 籍 養 老 保 険 医 療 保 険 労 災 保 険 出 産 保 険 失 業 保 険 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 大 連 市 都 市 戸 籍 農 村 戸 籍 大 連 市 都 市 戸 籍 者 外 地 都 市 戸 籍 者 大 連 市 農 村 戸 籍 者 外 地 農 村 戸 籍 者 20% 8% 8% 2% 0.5%-2% -- 0.8% -- 2% 1.0% --(1) (1) 農 村 戸 籍 の 従 業 員 による 失 業 保 険 の( 個 人 負 担 分 ) 納 付 は 免 除 されるが 失 業 時 の 待 遇 が 都 市 戸 籍 従 業 員 と 異 なる 加 入 者 ( 個 人 名 義 ) 養 老 保 険 医 療 保 険 大 連 市 都 市 戸 籍 者 (1) 20% 6% (1) 個 人 名 義 で 社 会 保 険 に 加 入 する 前 提 として 失 業 保 険 手 続 きの 履 行 が 必 要 になっている 27

青 島 市 ( 図 表 27 青 島 市 における 5 険 の 納 付 比 率 ) 企 業 所 在 地 従 業 員 戸 籍 養 老 保 険 医 療 保 険 労 災 保 険 出 産 保 険 失 業 保 険 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 企 業 負 担 個 人 負 担 青 島 市 都 市 戸 籍 農 村 戸 籍 青 島 市 都 市 戸 籍 外 地 都 市 戸 籍 青 島 市 農 村 戸 籍 外 地 農 村 戸 籍 18% (1) 8% 9% または 7% (2) 2% ( 業 種 に よって) 0.7%/1.2% /1.9% -- 1.0% -- 2% 1.0% -- (3) (1) 企 業 側 による 養 老 保 険 の 納 付 比 率 は2011 年 は20%であしたが 2012 年 より18%まで 引 き 下 げられた (2) 市 内 七 区 ( 市 南 区 / 市 北 区 / 四 方 区 / 李 滄 区 / 嶗 山 区 / 黄 島 区 / 城 陽 区 )にある 使 用 者 は 9% にて 納 付 する 五 市 ( 即 墨 市 / 膠 州 市 / 膠 南 市 / 平 度 市 / 莱 西 市 )にある 使 用 者 は2012 年 に 7% にて 納 付 するが 2013 年 には8% 2014 年 には9%まで 統 一 される (3) 農 村 戸 籍 の 従 業 員 による 失 業 保 険 の( 個 人 負 担 分 ) 納 付 が 免 除 されるが 失 業 時 の 待 遇 が 都 市 戸 籍 従 業 員 と 異 なる 加 入 者 ( 個 人 名 義 ) 養 老 保 険 (1) 医 療 保 険 (2) 戸 籍 所 在 地 に 対 する 制 限 なし 20% 9% または11% (1) 企 業 従 業 員 の 場 合 の 企 業 側 による 納 付 比 率 が2012 年 に20%から18%まで 引 き 下 げられたが 個 人 名 義 で 加 入 する 場 合 には 20%の 納 付 比 率 が 維 持 されている (2) 市 内 七 区 ( 市 南 区 / 市 北 区 / 四 方 区 / 李 滄 区 / 嶗 山 区 / 黄 島 区 / 城 陽 区 )にある 使 用 者 は 9% にて 納 付 する 五 市 ( 即 墨 市 / 膠 州 市 / 膠 南 市 / 平 度 市 / 莱 西 市 )にある 使 用 者 は2012 年 に 7% にて 納 付 するが 2013 年 には8% 2014 年 には9%まで 統 一 される 28

(3) 社 会 保 険 料 の 徴 収 機 関 および 社 会 保 険 料 と 最 低 賃 金 との 関 係 図 表 28 各 地 の 徴 収 機 関 および 社 会 保 険 料 と 最 低 賃 金 との 関 係 北 京 市 上 海 市 広 州 市 大 連 市 青 島 市 社 会 保 険 費 の 徴 収 機 関 社 会 保 険 管 理 部 門 社 会 保 険 管 理 部 門 地 方 税 務 局 地 方 税 務 局 社 会 保 険 管 理 部 門 当 地 最 低 賃 金 1,260 元 1,450 元 1,300 元 1,000 元 / 1,100 元 ( 注 1) 1,100 元 /1,240 元 最 低 賃 金 執 行 開 始 日 2012.1.1 2012.4.1 2011.3.1 2011.4.1 2012.3.1 最 低 賃 金 に 社 会 保 険 料 の 個 人 負 担 分 を 含 むか 否 か 含 まない 含 まない 含 む 含 む 含 む 注 1: 1,000 元 が 適 用 されるエリア: 普 蘭 店 市 / 瓦 房 店 市 / 庄 河 市 1,100 元 が 適 用 されるエリア: 中 山 区 / 西 崗 区 / 沙 河 口 区 / 甘 井 子 区 / 旅 順 口 区 / 金 州 区 / 長 海 県 / 大 連 経 済 技 術 開 発 区 / 大 連 保 税 区 注 2: 1,100 元 が 適 用 されるエリア: 即 墨 市 / 膠 州 市 / 膠 南 市 / 平 度 市 / 莱 西 市 1,240 元 が 適 用 されるエリア: 市 南 区 / 市 北 区 / 四 方 区 / 李 滄 区 / 嶗 山 区 / 黄 島 区 / 城 陽 区 29

2. 主 要 5 都 市 の 養 老 保 険 既 述 のとおり 国 務 院 が 2005 年 に 公 布 した 企 業 従 業 員 基 本 養 老 保 険 制 度 の 完 全 化 に 関 する 国 務 院 の 決 定 により 全 国 的 に 養 老 金 の 計 算 方 式 が 統 一 された 一 方 各 都 市 においては これま で 長 年 にわたって 実 施 してきた 養 老 金 の 計 算 給 付 方 式 は 必 ずしも 国 務 院 の 決 定 で 定 められた 方 法 と 一 致 しておらず 全 国 で 統 一 的 な 制 度 を 構 築 するにあたり 現 在 に 至 るまで 移 行 期 間 が 続 いてい る また 都 市 によっては 全 国 統 一 的 な 制 度 の 導 入 自 体 が 遅 れる 状 況 が 発 生 している 例 えば 上 海 市 は 1998 年 から 養 老 保 険 制 度 を 実 施 している 2006 年 21および 2007 年 22に 養 老 金 の 計 算 に 関 す る 地 方 法 規 が 公 布 されているが これらは 2005 年 に 公 布 された 既 述 の 国 務 院 の 決 定 と 100% 一 致 しているわけではない 2011 年 に 入 り 上 海 市 は 本 市 の 都 市 企 業 従 業 員 基 本 養 老 金 計 算 発 給 にお ける 若 干 の 問 題 の 処 理 意 見 に 関 わる 通 知 23 を 公 布 し 2005 年 の 国 務 院 の 決 定 と 一 致 する 全 国 統 一 的 な 制 度 への 移 行 スケジュールについて 次 のとおり 規 定 した (1) 月 平 均 費 用 納 付 指 数 月 平 均 費 用 納 付 指 数 の 計 算 にあたり 2010 年 末 までは 毎 月 の 納 付 基 数 と 納 付 時 点 の 従 業 員 前 年 度 平 均 月 賃 金 の 比 例 計 算 (14 ページ(1) 参 照 ) については 一 律 に 1 として 計 算 する(つま り 月 平 均 費 用 納 付 指 数 =1) 2011 年 1 月 1 日 以 降 は 14 ページに 記 載 の 計 算 方 法 に 基 づくが 2011 年 1 月 から 2013 年 12 月 までは 過 渡 期 とし この 3 年 間 は 実 際 の 計 算 による 指 数 算 出 後 そ れぞれ 1 0.85 0.75 を 下 回 った 場 合 は 1 0.85 0.75 で 計 算 すると 定 められている (2) 係 数 月 数 一 部 の 給 付 対 象 の 係 数 月 数 を 計 算 する 際 は 本 人 の 定 年 退 職 年 齢 を 基 に 換 算 (14 ページ 図 表 13) するのではなく 一 律 に 120 で 計 算 する なお 主 要 5 都 市 における 養 老 金 の 平 均 給 付 水 準 は 以 下 の 通 りである 図 表 29 主 要 5 都 市 における 養 老 金 の 平 均 給 付 水 準 北 京 市 上 海 市 広 州 市 大 連 市 青 島 市 養 老 金 の 月 間 平 均 給 付 水 準 2,032 元 1,908 元 2,413 元 1,561 元 1,767 元 年 2011 年 2010 年 2010 年 2010 年 2011 年 情 報 元 http://npc.people.co m.cn/gb/12301577. html http://news.cntv.cn/ map/20110524/1073 28.shtml http://news.sohu.co m/20110129/n2791 45034.shtml http://www.daliandail y.com.cn/newsdl/co ntent/2011-09/27/content_1768 57.htm 注 : 現 時 点 では 各 地 方 の 養 老 金 平 均 受 給 水 準 について 公 式 な 情 報 が 公 布 されていないため 表 中 の 数 字 は 各 メディアに 報 道 された 数 字 を 引 用 している http://politics.p eople.com.cn/h/20 12/0122/c226651-3270215890.html 21 滬 府 発 2006 19 号 22 滬 府 発 2007 27 号 23 滬 府 発 2011 15 号 30

3. 主 要 5 都 市 の 医 療 保 険 (1) 医 療 費 の 給 付 方 式 実 務 上 医 療 費 の 負 担 方 法 は 以 下 が 挙 げられる 全 額 個 人 負 担 全 額 個 人 負 担 だが 医 療 カード 残 高 ( 医 療 基 金 より 還 付 )を 利 用 することが 認 められるため 自 己 負 担 が 一 部 軽 減 される 一 定 の 金 額 内 は 全 額 個 人 負 担 超 過 部 分 は 医 療 保 険 基 金 と 個 人 との 共 同 負 担 一 定 の 金 額 内 は 全 額 個 人 負 担 超 過 部 分 は 医 療 保 険 基 金 と 個 人 との 共 同 負 担 になるが 個 人 負 担 部 分 について 医 療 カード 残 高 ( 医 療 基 金 より 還 付 )を 利 用 することで 一 部 軽 減 される 医 療 保 険 基 金 と 個 人 との 共 同 負 担 医 療 保 険 基 金 による 全 額 負 担 図 表 30 5 都 市 の 医 療 保 険 基 金 による 医 療 費 の 給 付 方 式 北 京 市 上 海 市 広 州 市 大 連 市 青 島 市 救 急 医 療 費 外 来 医 療 費 ( 非 救 急 ) ( 一 部 の 医 療 費 支 出 項 目 : ) ( 年 間 1,800 元 ) ( 年 間 1,500 元 ) 入 院 費 薬 局 における 薬 品 購 入 費 (2) 医 療 保 険 基 金 から 個 人 への 還 付 医 療 保 険 基 金 は 毎 月 一 定 金 額 の 医 療 費 を 従 業 員 が 保 有 する 医 療 カードに 振 り 込 み 医 療 機 関 で の 決 済 に 備 える 方 法 を 用 いている 15 ページ2で 説 明 の 通 り 原 則 その 用 途 や 出 金 には 制 限 がある が 北 京 市 では 同 方 法 を 用 いておらず 基 本 医 療 保 険 基 金 から 一 定 の 現 金 が 従 業 員 の 個 人 銀 行 口 座 に 振 り 込 まれる 方 法 が 採 用 されている また 北 京 市 においては 同 現 金 の 用 途 や 出 金 について 特 段 の 制 限 はなく 自 由 に 現 金 を 引 き 出 すことが 可 能 となっている 31

図 表 31 主 要 5 都 市 における 医 療 費 の 還 付 金 額 還 付 先 と 還 付 金 額 医 療 費 還 付 先 北 京 市 (1) 上 海 市 広 州 市 大 連 市 青 島 市 (2) 加 入 者 銀 行 口 座 医 療 カード 医 療 カード 医 療 カード 医 療 カード 月 還 付 金 額 基 礎 部 分 A 2% A 2% -- -- -- 年 齢 補 助 部 分 34 歳 以 下 A 0.8% 140 元 A 2% A 2.3%-5 元 A 2.8% 35 歳 以 上 ~ A 1% 280 元 A 3% A 2.7%-5 元 44 歳 以 下 45 歳 ~ 定 年 A 2% 420 元 A 3.8% A 3.3% A 3.5%-5 元 退 職 年 齢 定 年 退 職 後 ~74 歳 75 歳 以 上 100 元 ( 基 礎 部 分 なし) ( 定 年 退 職 後 ~70 歳 ) 110 元 ( 基 礎 部 分 なし) (70 歳 以 上 ) 1,120 元 ( 基 礎 部 分 なし) 1,260 元 ( 基 礎 部 分 なし) C 4.1% B 6.5% ( 医 療 保 険 の 累 積 納 付 が25 年 以 上 であること が 前 提 ) B 5%-5 元 注 :A= 還 付 時 点 における 医 療 保 険 の 納 付 基 数 B= 還 付 時 点 における 養 老 金 の 給 付 金 額 C= 広 州 市 前 年 度 従 業 員 平 均 月 賃 金 (2011 年 に 適 用 されていたのが4,541 元 であった) (1) 北 京 市 では 定 年 退 職 後 に 医 療 保 険 基 金 による 月 間 還 付 金 額 が 定 額 方 式 (100 元 又 は110 元 )に 切 り 替 えられる また 毎 月 3 元 の 入 院 高 額 医 療 相 互 扶 助 資 金 が 自 動 的 に 控 除 されるため 口 座 への 入 金 額 は 実 際 97 元 又 は107 元 になる (2) 青 島 市 で 毎 月 の 還 付 金 額 より 引 き 落 とされる 5 元 は 高 額 医 療 補 助 保 険 費 である 図 表 31 から 分 かるように 各 地 では 従 業 員 個 人 が 納 付 した 医 療 保 険 料 ( 納 付 基 数 の 2% 程 度 )に ついて 医 療 保 険 基 金 から 毎 月 従 業 員 に 還 付 されている 同 時 に 企 業 が 納 付 した 医 療 保 険 料 ( 納 付 基 数 の 8% 程 度 )の 一 部 も 従 業 員 に 還 付 されている (3) 定 年 退 職 後 の 医 療 保 険 待 遇 の 享 受 要 件 社 会 保 険 法 によれば 従 業 員 基 本 医 療 保 険 に 加 入 した 個 人 が 法 定 退 職 年 齢 に 達 した 際 累 計 納 付 年 数 が 国 の 規 定 する 年 数 に 達 している 場 合 退 職 後 は 基 本 医 療 保 険 料 を 納 付 せずに 国 の 規 定 に 基 づいて 基 本 医 療 保 険 待 遇 を 享 受 する とされている つまり 定 年 退 職 後 も 引 き 続 き 医 療 保 険 待 遇 ( 上 記 の 医 療 費 還 付 を 含 む)を 享 受 するには 医 療 保 険 料 の 累 積 納 付 年 数 が 一 定 の 年 数 に 達 することを 条 件 としている この 累 積 納 付 年 数 について 主 要 5 都 市 では 下 表 のとおり 規 定 されている 図 表 32 定 年 退 職 後 にも 医 療 保 険 待 遇 を 享 受 するための 累 積 年 数 条 件 北 京 市 上 海 市 広 州 市 大 連 市 青 島 市 男 性 納 付 者 満 25 年 満 25 年 満 15 年 満 10 年 満 25 年 女 性 納 付 者 満 20 年 満 20 年 (4) 医 療 保 険 料 の 負 担 例 ( 北 京 市 ) 上 述 した 医 療 費 の 月 間 還 付 金 額 は 各 都 市 で 異 なるほか 医 療 保 険 基 金 が 従 業 員 に 対 して 実 際 発 生 した 医 療 費 を 負 担 する 比 率 費 用 上 限 なども 異 なる ここでは 北 京 市 の 状 況 について 説 明 する 32