国 際 通 貨 基 金 コミュニケー ション 局 ( 参 考 仮 訳 ) プレスリリース No. 14/374 即 時 解 禁 国 際 通 貨 基 金 (IMF) 米 国 ワシントン DC 2014 年 7 月 31 日 IMF 理 事 会 対 日 4 条 協 議 を 完 了 2014 年 7 月 23 日 国 際 通 貨 基 金 (IMF) 理 事 会 は 対 日 4 条 協 議 を 完 了 した [1] 日 本 経 済 の 今 年 の 成 長 率 (1.6%)は 企 業 による 力 強 い 投 資 と 4 月 の 消 費 税 率 引 き 上 げ 前 の 駆 け 込 み 需 要 に 支 えられ 潜 在 成 長 率 を 上 回 る 見 通 しである 増 税 の 影 響 を 除 くと 今 年 の 基 調 インフレ 率 は 1%を 若 干 上 回 る 見 込 みである 物 価 の 上 昇 は 引 き 続 き 2013 年 はじめの 円 安 との 関 係 が 大 きいものの 今 や 非 貿 易 財 にも 拡 大 して いる 金 融 部 門 は 日 本 国 債 からのポートフォリオ リバランスの 動 きがあるなか 引 き 続 き 安 定 している 中 期 的 には 労 働 力 の 減 少 が 負 の 影 響 を 及 ぼすものの ( 第 3 の 矢 のイニシアティ ブによる) 生 産 性 と 資 本 形 成 の 改 善 により 成 長 率 は 1% 程 度 で 安 定 すると 考 えら れる 需 給 ギャップの 解 消 と 期 待 インフレ 率 の 上 昇 が 物 価 上 昇 に 勢 いを 与 え イン フレ 率 は 2016 年 ~2017 年 に 2%の 目 標 に 到 達 するだろう [1] IMF 協 定 第 4 条 の 規 定 に 基 づき IMF は 加 盟 国 と 通 常 毎 年 協 議 を 行 う IMF 代 表 団 が 協 議 相 手 国 を 訪 問 し 経 済 金 融 の 情 報 を 収 集 するとともに その 国 の 経 済 状 況 及 び 政 策 について 政 府 当 局 者 と 協 議 する 本 部 に 戻 った 後 IMF スタッフは 理 事 会 における 議 論 の 土 台 となる 報 告 書 を 作 成 する ワシントン D.C. 20431 電 話 : 202-623-7100 ファックス: 202-623-6772 www.imf.org
2 中 期 的 には 下 振 れリスクの 方 が 大 きい アベノミクスが 改 革 案 を 実 行 しない 場 合 成 長 期 待 が 低 下 し 財 政 の 健 全 性 に 関 する 懸 念 が 高 まる 可 能 性 がある 成 長 期 待 を 引 き 上 げ 財 政 の 今 後 に 対 する 信 認 を 確 固 たるものにするためには 具 体 的 な 中 期 財 政 健 全 化 計 画 とともに 6 月 に 発 表 された 成 長 戦 略 の 改 訂 版 を 更 に 進 め る 構 造 改 革 が 不 可 欠 である 潜 在 成 長 率 を 引 き 上 げる 追 加 的 措 置 として 労 働 供 給 の 引 き 上 げ 労 働 市 場 の 二 極 化 の 解 消 リスク 資 本 の 供 給 拡 大 農 業 及 びサービス 部 門 の 一 層 の 規 制 緩 和 などが 考 えられる 消 費 税 率 を 10%にする 二 段 階 目 の 引 き 上 げは 計 画 通 り 2015 年 10 月 に 実 施 すべきだが それだけでは 政 府 債 務 の 対 GDP 比 を 減 少 軌 道 にのせるには 十 分 ではない 実 際 のインフレ 率 及 び 期 待 インフレ 率 が 共 に 上 昇 するなか 2% 目 標 への 進 捗 を 確 認 するために 用 いる 指 標 を 明 確 にしながら 金 融 政 策 は 現 在 のスタンスを 維 持 すべき である 成 長 が 弱 まる あるいは 実 際 のインフレ 率 や 期 待 インフレ 率 が 反 落 する 場 合 には 日 本 銀 行 ( 日 銀 )は 迅 速 に 行 動 し 資 産 購 入 の 拡 大 や 資 産 構 成 をよりリ スクの 高 いものへ 変 更 することが 必 要 になるだろう しかし 日 銀 による 追 加 緩 和 の 効 果 は 財 政 と 成 長 の 矢 をしっかりと 放 てるかにかかっている これが 実 現 しな い 場 合 金 融 政 策 に 過 度 の 負 担 がかかり 円 が 過 度 に 下 落 し また 金 融 が 不 安 定 に なるリスクが 生 じるかもしれない
3 [2] 理 事 会 による 評 価 理 事 会 は 日 本 経 済 について 成 長 率 が 潜 在 成 長 率 を 上 回 る 見 通 しであり その 根 底 にあるモメンタムは 引 き 続 き 強 固 であることに 合 意 するとともに 短 期 的 な 見 通 し が 改 善 したことを 歓 迎 した しかし 財 政 の 脆 弱 性 に 起 因 するものも 含 め 中 期 的 に 大 きな 下 方 リスクを 抱 えているという 点 で 理 事 会 の 意 見 は 一 致 している 理 事 会 は こうしたリスクを 最 小 化 するための 最 適 な 手 法 は 日 本 政 府 が 経 済 改 革 の 全 ての 要 素 を 着 実 に 実 施 することであり それは 国 内 の 見 通 しを 改 善 することを 通 じ 世 界 経 済 にも 利 益 をもたらすであろうことに 合 意 した 理 事 会 は 民 需 主 導 の 景 気 回 復 への 移 行 とデフレと 低 成 長 からの 持 続 的 な 脱 却 には 労 働 供 給 を 拡 大 し 労 働 市 場 の 二 極 化 を 解 消 させるとともに リスク 資 本 の 供 給 を 強 化 し 農 業 及 びサービス 部 門 の 規 制 緩 和 を 進 める 野 心 的 な 構 造 改 革 が 不 可 欠 だと いう 点 で 一 致 した また 日 本 再 興 戦 略 が 最 近 改 訂 されたことを 歓 迎 するとと もに その 迅 速 な 実 施 を 期 待 した 理 事 会 は いくつかの 分 野 で 既 に 講 じられた 措 置 について 当 局 を 賞 賛 した 例 えば コーポレート ガバナンス 改 革 は 企 業 が 保 有 する 巨 額 の 資 金 をより 生 産 的 に 活 用 する 一 助 となり 得 る 一 方 で 労 働 市 場 改 革 など 進 捗 が 遅 れている 分 野 については 一 層 の 努 力 を 慫 慂 した 理 事 会 は 財 政 の 道 筋 に 対 する 信 認 を 構 築 し 財 政 リスクを 抑 制 するためには 2015 年 より 後 の 具 体 的 な 中 期 財 政 計 画 が 必 要 だと 強 調 した 中 期 的 に 債 務 の 対 GDP 比 を 安 定 させるためには 多 大 な 努 力 が 必 要 だと 指 摘 するとともに 当 局 に 対 し 財 政 調 整 [2] 議 長 である 専 務 理 事 は 審 議 終 了 時 に 理 事 会 の 見 解 を 要 約 し その 要 約 ( 本 書 )は 協 議 国 の 政 府 当 局 に 提 出 される 専 務 理 事 による 要 約 で 使 用 される 修 飾 語 句 の 定 義 については 以 下 リンクを 参 照 http://www.imf.org/external/np/sec/misc/qualifiers.htm.
4 の 進 展 と 成 長 の 下 支 えの 間 で 適 切 なバランスをとるよう 促 した この 点 に 関 し 理 事 会 は 予 定 されている 法 人 税 率 の 引 き 下 げは 投 資 を 押 し 上 げる 可 能 性 もある 一 方 財 政 コストを 伴 うため 歳 入 の 減 少 を 相 殺 する 措 置 と 組 み 合 わせてはじめて 実 施 す べきであるという 点 で 合 意 した 総 じてインフレ 率 が 上 昇 傾 向 にあり 需 給 ギャップが 解 消 に 向 かっていることから 理 事 会 は 現 段 階 において 更 なる 金 融 緩 和 は 必 要 ないという 点 で 一 致 した しかし インフレ 見 通 しに 関 する 下 方 リスクが 顕 在 化 した 場 合 日 銀 は 金 融 面 のリスクも 考 慮 したうえで 追 加 的 なあるいはより 残 存 期 間 の 長 い 資 産 の 購 入 により 迅 速 に 対 応 する 必 要 があろう これに 関 連 し 理 事 会 は 日 銀 に 対 し 政 策 の 今 後 の 方 向 性 に 関 するコミュニケーションを 一 層 強 化 するための 方 法 を 考 えるよう 促 した より 一 般 的 には 財 政 構 造 改 革 で 補 完 することなく 金 融 緩 和 を 長 期 化 させることは 金 融 政 策 に 過 度 な 負 担 をかけ 新 たなリスクを 生 じさせる 可 能 性 があるという 点 で 意 見 の 一 致 があった 理 事 会 は 金 融 部 門 は 引 き 続 き 安 定 しており 十 分 な 資 本 を 備 えていると 指 摘 した また 進 行 中 のポートフォリオ リバランスがリスク 資 本 の 供 給 を 拡 大 し 成 長 を 支 えているとしてこれを 歓 迎 した しかし 一 方 で 投 資 家 の 利 回 り 追 求 は 海 外 融 資 に 関 するものも 含 め 様 々な 脆 弱 性 を 生 み 出 す 可 能 性 があると 指 摘 した そこで 理 事 会 は 当 局 に 対 し 積 極 的 に 状 況 を 監 視 し 続 けるよう 促 した さらに 当 局 に 対 し て 資 金 洗 浄 テロ 資 金 供 与 対 策 の 枠 組 みに 関 し 残 っている 課 題 に 取 り 組 むよう 促 した
5 理 事 会 は 日 本 の 対 外 ポジションは 中 期 的 ファンダメンタルズ 及 び 望 ましい 政 策 と 概 ね 整 合 的 であるとしたスタッフの 評 価 に 留 意 した しかし 一 方 で 海 外 への 生 産 移 転 や 2011 年 の 地 震 以 降 のエネルギー 輸 入 の 増 加 など 一 時 的 要 因 と 構 造 的 要 因 が 絡 み 合 っていることから この 評 価 は 大 きな 不 確 実 性 にさらされているという 点 で 合 意 した
6 名 目 GDP: 4 兆 9000 億 米 ドル (2013) 人 口 : 1 億 2700 万 人 (2013) 1 人 あたりGDP: 38,478 米 ドル (2013) クォータ:156 億 SDR (2013) 経 済 指 標 (2009~2015) 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 成 長 率 ( 変 化 率 パーセント)1/ 実 質 GDP -5.5 4.7-0.5 1.4 1.5 1.6 1.1 国 内 需 要 -4.0 2.9 0.4 2.3 1.8 1.8 0.8 民 間 消 費 -0.7 2.8 0.3 2.0 2.0 0.7 0.7 民 間 設 備 投 資 (グロス) -14.7-0.5 4.3 3.5 0.3 6.7 3.9 政 府 消 費 2.3 1.9 1.2 1.7 2.0 1.2 0.5 公 共 投 資 7.0 0.7-8.2 2.8 11.4 3.9-9.6 在 庫 投 資 2/ -1.5 0.9-0.2 0.1-0.3-0.2 0.0 純 輸 出 2/ -2.0 2.0-0.8-0.7-0.2 0.0 0.2 財 サービスの 輸 出 3/ -24.2 24.4-0.4-0.1 1.7 7.2 3.5 財 サービスの 輸 入 3/ -15.7 11.1 5.9 5.3 3.4 8.2 2.8 インフレ 率 ( 年 平 均 ) CPI 4/ -1.3-0.7-0.3 0.0 0.4 2.8 2.1 GDPデフレーター -0.5-2.2-1.9-0.9-0.6 1.4 1.6 失 業 率 ( 年 平 均 ) 5.1 5.0 4.6 4.3 4.0 3.9 3.9 政 府 部 門 ( 対 GDP 比 ) 一 般 政 府 歳 入 29.6 29.6 30.8 31.2 31.7 33.0 33.8 歳 出 40.0 38.9 40.6 39.9 40.0 40.0 39.7 財 政 収 支 -10.4-9.3-9.8-8.7-8.3-7.0-5.9 基 礎 的 財 政 収 支 -9.9-8.6-9.0-7.8-7.6-6.3-5.0 公 的 債 務 グロス 210.2 216.0 229.8 237.3 243.4 243.2 242.7 マネー 及 び 信 用 ( 変 化 率 % 期 末 ) ベースマネー 5.8 4.8 15.2 7.0 34.4 M2 ( 期 間 平 均 ) 2.7 2.8 2.7 2.5 3.6 国 内 信 用 1.3 1.2 0.6 3.5 4.7 銀 行 融 資 -0.9-1.8 0.7 1.3 2.2 金 利 無 担 保 コールレート 翌 日 物 ( 期 末 )period) 0.09 0.08 0.08 0.08 0.07 CD3カ 月 物 ( 年 平 均 ) 0.3 0.3 0.3 0.3 0.2 公 定 歩 合 ( 期 末 ) 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 国 際 収 支 (10 億 米 ドル) 経 常 収 支 145.3 217.5 127.0 58.7 33.1 59.9 63.9 対 GDP 比 2.9 4.0 2.1 1.0 0.7 1.2 1.3 貿 易 収 支 57.6 108.4-4.1-53.5-89.9-63.1-59.5 対 GDP 比 1.1 2.0-0.1-0.9-1.8-1.3-1.2 財 の 輸 出 (FOB) 546.3 733.6 789.0 776.5 695.0 715.8 766.1 財 の 輸 入 (FOB) -488.8-625.1-793.1-830.0-784.9-778.9-825.6 原 油 輸 入 ( 取 引 ベース) 99.9 134.3 182.5 196.9 184.9 192.4 191.4 FDI(ネット 対 GDP 比 率 ) 1.2 1.3 2.0 2.0 2.7 2.2 2.2 交 易 条 件 ( 変 化 率 パーセント) 19.5-3.3-7.5 0.8-2.9 1.8-2.3 外 貨 準 備 増 減 27.0 43.2 172.8-38.2 39.5-4.5-7.2 外 貨 準 備 高 ( 金 を 除 く)(10 億 米 ドル) 1,022.2 1,061.5 1,258.2 1,227.2 1237.3 為 替 相 場 ( 年 平 均 ) 円 / 米 ドル 93.6 87.8 79.8 79.8 97.6 円 /ユーロ 130.3 116.5 111.0 102.6 129.6 実 質 実 効 為 替 相 場 (ULCベース)5/ 108.2 109.8 118.5 119.7 96.7 実 質 実 効 為 替 相 場 (CPIベース) 98.9 100.0 101.7 100.3 80.1 出 所 :グローバルインサイト 野 村 データベース IMF Competitiveness Indicators System IMFスタッフ 推 計 及 び 見 通 し(2014 年 6 月 20 日 現 在 ) une 1/ 年 20, 成 長 2014. 率 及 び 寄 与 度 は 季 節 調 整 済 みデータから 算 出 2/ GDP 成 長 への 寄 与 度 3/ 2014 年 に 関 しては 国 際 収 支 統 計 の 作 成 方 法 に 変 更 があり(BPM6へ 移 行 )それ 以 前 と 接 続 しておらず 輸 出 及 び 輸 入 の 成 長 率 は 高 くなっている
4/ 2014 年 及 び2015 年 の 消 費 税 率 の 引 き 上 げの 影 響 を 含 む 5/ 標 準 化 された 単 位 労 働 コストをベースに 算 定 2005=100 7