最 優 秀 賞 被 災 企 業 訪 問 から 考 える 被 災 企 業 救 済 の 新 たなスキームの 提 案 ~ 災 害 に 強 い 国 づくりファンド~ 武 蔵 大 学 経 済 学 部 安 蔵 洋 平 竹 田 勝 利 島 真 人 市 村 真 也
( 提 言 の 要 約 ) 私 たちは 東 日 本 大 震 災 によって 浮 き 彫 りになった 被 災 地 企 業 の 二 重 債 務 問 題 について 調 査 を 行 い 感 じた 点 が 2 つある 1 つは 産 業 復 興 相 談 センター( 以 下 センター) の 重 要 性 である センタ ーから 支 援 を 受 けて 事 業 を 再 開 した 事 業 者 様 はセンターの 人 たちを 命 の 恩 人 で あるとおっしゃっていた 2 つ 目 は 融 資 を 受 けている 企 業 間 での 情 報 共 有 の 違 いである 企 業 によって は 地 域 と 密 接 に 関 わっている 企 業 もあり 震 災 当 初 企 業 の 情 報 を 地 域 間 で 共 有 していたことで 支 援 を 受 けるまでスムーズに 進 んだ 事 例 もあった しかし 今 後 さらに 復 興 を 加 速 させるためには 問 題 点 も 多 く 存 在 している 震 災 から 2 年 半 が 経 った 今 現 在 地 域 によっては 復 興 が 進 んでおらず 同 じ 被 災 地 でも 差 が 出 てきていることも 感 じた また 未 曽 有 の 災 害 だとはいえ 今 後 いつまたこのような 大 規 模 な 災 害 が 起 こるかわからないことを 考 えると 今 の 復 興 のペースでは 遅 いのではないか そこで 私 たちは 今 回 の 被 災 地 訪 問 を 通 して 産 業 復 興 センターのスキームを 参 考 に 新 たなスキームである 産 業 に 強 い 国 づくりファンド( 通 称 : 富 国 強 産 ファンド) を 提 言 したい 具 体 的 なものとしては1 震 災 発 生 後 の 支 援 において 企 業 に 資 金 を 融 資 するこ とを 目 的 とした 常 設 のファンド 及 び 復 興 支 援 機 関 の 創 設 2 情 報 共 有 機 能 の 強 化 である 先 ほども 述 べたとおり 東 日 本 大 震 災 から 2 年 が 経 過 した 今 でも 復 興 が 思 うように 進 まないその 背 景 にはまずは 資 金 面 の 問 題 がある そして もう ひとつ 私 たちが 考 えるのは 不 完 全 な 情 報 共 有 である 私 たちが 実 際 に 東 北 を 訪 れ 現 地 の 人 々の 話 などを 聞 いて 感 じたのは 複 雑 な 支 援 制 度 などに 対 して 誤 解 等 が 多 くこれが 復 興 の 妨 げになっているのではないか ということである そこで まず 各 地 域 に 支 部 を 設 置 し 震 災 時 にはその 発 生 した 地 域 の 支 部 が 中 心 となり 復 旧 復 興 を 行 うことにより 指 令 系 統 を 一 本 化 迅 速 な 対 応 を 行 えるようにする 資 金 に 関 しては 民 間 企 業 等 を 中 心 に 出 資 を 募 り 通 常 時 は 資 金 運 用 などを 通 じて 資 金 を 蓄 積 し 震 災 発 生 時 に 供 えるのである 情 報 共 有 面 では 過 去 の 被 害 状 況 復 興 政 策 やその 成 功 失 敗 例 等 を 正 確 に 記 録 するとともに 支 援 制 度 等 の 仕 組 みを 対 象 となりえる 企 業 に 素 早 く 且 つ 分 かり 易 く 伝 える 仕 組 みづくりは 必 要 と 考 える 複 雑 な 支 援 制 度 を 極 力 単 純 化 し 高 度 な 知 識 等 がなくとも 分 かり 易 いものにする また 官 民 一 体 のネットワーク を 構 築 し このような 支 援 制 度 等 を 迅 速 に 誤 解 のないように 広 めていくことが 重 要 なのではないだろうか
はじめに 東 日 本 大 震 災 から 2 年 半 を 経 て 被 災 地 の 人 々と それ 以 外 の 人 々での 意 識 の 違 いが 鮮 明 であるということは 今 回 の 被 災 企 業 訪 問 で 課 題 に 感 じたことの 1 つである また 当 事 者 間 でも 復 興 への 意 識 の 差 が 見 え 隠 れしているのがこの 2 年 半 という 時 間 の 重 みである 経 済 基 盤 復 旧 やインフラ 復 旧 も 様 々な 要 因 が 存 在 しているが 復 興 が 想 定 以 上 に 進 んでいないのは 事 実 である しかし ただ 単 に Passion を 持 つだけ では 解 決 する 問 題 ではない 資 本 の 喪 失 という 未 曽 有 の 事 態 に 伴 い 新 たな 金 融 のフレームを 構 築 することを 迫 られているのではないだろうか 今 回 の 提 言 では 現 在 進 行 形 で 被 災 地 金 融 を 二 重 債 務 問 題 の 解 決 という 形 で 支 援 している 産 業 復 興 相 談 センター の 岩 手 県 支 部 に 訪 問 現 地 取 材 を 皮 切 り に 実 際 に 融 資 を 受 けている 企 業 へのインタビューなどで 入 手 することが 出 来 た この 情 報 から 枠 組 みのメリット デメリットを 考 察 することで 新 たな 災 害 に 対 するリスクマネジメントを 金 融 という 形 で 提 言 するのがこの 論 文 の 趣 旨 である 1. 被 災 企 業 の 最 大 の 問 題 ~ 二 重 債 務 問 題 ~ 東 日 本 大 震 災 では 広 域 における 津 波 の 発 生 というこれまでにない 資 本 の 喪 失 という 被 害 をもたらした 潤 沢 な 資 金 や 高 い 信 用 力 を 持 つ 大 きな 企 業 は 比 較 的 に 早 い 時 期 での 事 業 再 開 が 可 能 となった しかし 資 金 や 信 用 力 などに 乏 しい 中 小 企 業 などは 新 たな 融 資 が 得 られず 設 備 や 商 品 等 の 購 入 が 実 現 出 来 ない 実 現 出 来 たとしても 従 来 の 債 務 の 支 払 いと 合 わせた 二 重 の 負 担 により 経 営 が 行 き 詰 るという 状 況 に 陥 ってしまう このような 要 因 により 多 くの 中 小 企 業 が 休 業 廃 業 を 余 儀 なくされるという 問 題 を 抱 えている 金 融 機 関 の 視 点 から 見 てもこういった 被 災 企 業 に 対 しては 担 保 が 取 れないこ とや 再 開 したとしても 震 災 前 の 水 準 にまで 経 営 状 況 を 戻 すことが 出 来 るか 不 透 明 なこともあり 新 たな 融 資 が 困 難 というのがある 銀 行 などの 金 融 機 関 は 健 全 な 経 営 状 況 を 維 持 するため 融 資 先 の 企 業 などに 対 して 財 務 状 況 や 返 済 状 況 を もとに 図 1 1 のような 自 己 査 定 を 行 っている そして 金 融 機 関 は 査 定 結 果 の 区 分 に 応 じて 引 当 金 を 積 むことが 義 務 付 けられているのである 今 回 の 震 災 を 受 けて 多 くの 融 資 先 の 企 業 が 事 業 継 続 困 難 な 状 況 に 陥 り 破 綻 実 質 破 綻 先 に 区 分 されることとなった これにより 融 資 元 の 金 融 機 関 は 多 額 の 引 当 金 を 積 まなければならず 経 営 状 況 を 著 しく 圧 迫 する 事 態 となったの である 元 々 被 災 企 業 の 多 くに 融 資 を 行 っていたのは 地 元 の 地 銀 や 信 金 信 1 資 料 ページ 参 照
組 であり 自 己 資 本 等 の 面 で 脆 弱 であったこと また そもそもの 話 として 破 綻 実 質 破 綻 先 に 区 分 された 企 業 に 対 しては 新 たな 融 資 を 行 うことは 出 来 ない ことが 法 律 上 定 められていたことも 被 災 企 業 が 新 たな 融 資 を 得 る 上 での 障 害 に なっていたといえるであろう 2. 二 重 債 務 問 題 解 決 のフレーム 今 回 の 震 災 における 二 重 債 務 問 題 の 解 決 に 当 たり 行 政 が 構 築 した 機 関 があり それが 産 業 復 興 相 談 センター である 今 回 私 たちはこのセンターの 岩 手 支 部 に 訪 問 し 説 明 を 受 けることが 出 来 た 当 センターは 岩 手 県 盛 岡 市 に 拠 点 を 置 き 青 森 県 をはじめ 他 5 県 に 現 地 事 務 所 を 設 け 中 小 企 業 を 主 な 対 象 とした 被 災 企 業 の 支 援 にあたっている 事 業 再 開 の 支 援 に 当 たっては 被 災 企 業 の 債 権 買 取 金 融 機 関 に 対 してリスケ(リスケ ジュール: 借 入 条 件 の 変 更 に 伴 う 返 済 額 の 減 額 返 済 猶 予 ) DES( Debt Equity Swap: 債 権 の 株 式 化 ) DDS( Debt Debt Swap: 債 権 の 条 件 の 変 更 債 権 の 劣 後 化 = 支 払 期 日 の 延 長 ) 債 権 放 棄 等 の 交 渉 調 整 等 をその 業 務 内 容 としてい る 産 業 復 興 相 談 センターは 被 災 した 企 業 から 支 援 の 依 頼 を 受 けるとその 企 業 の 被 害 状 況 被 災 前 からの 財 務 状 況 等 を 元 に 支 援 の 結 果 事 業 再 開 継 続 の 見 込 み があるかなどを 判 断 する その 後 事 業 再 開 継 続 の 可 能 性 が 十 分 にあること など 一 定 の 条 件 2を 満 たすと 判 断 されれば 次 に 事 業 再 開 やその 後 の 売 上 予 測 などを 明 記 した 具 体 的 な 事 業 計 画 書 を 作 成 それらをもとに 企 業 の 融 資 元 の 金 融 機 関 と 債 務 の 返 済 猶 予 債 権 買 取 及 び 新 規 融 資 の 交 渉 も 行 う 交 渉 の 結 果 合 意 が 得 られれば 実 際 の 手 続 きを 経 て 債 務 の 返 済 猶 予 債 権 買 取 新 規 融 資 が 行 われることとなる 3 ここで 注 意 すべき 点 は 原 則 として 旧 債 務 等 は 棒 引 きや 債 務 の 返 済 免 除 がされ るわけではないということである あくまでリスケや DES DDS 等 を 通 じて 返 済 の 猶 予 や 借 入 条 件 の 変 更 債 権 買 取 等 を 行 い 財 務 状 況 を 改 善 させること によって 破 綻 実 質 破 綻 先 の 区 分 から 外 れ 新 規 融 資 を 実 現 するということ が 目 的 なのである しかし 被 災 企 業 などの 中 にはこの 点 に 関 して 債 務 が 棒 引 きされる 制 度 といったような 誤 解 をしている 企 業 なども 少 なくないというのが 実 情 である 2013 年 8 月 末 時 点 では 対 応 相 談 案 件 は 459 件 に 上 り 内 78 件 の 企 業 の 債 権 2 資 料 ページ 図 2 参 照 3 資 料 ページ 図 3 参 照
買 取 を 決 定 実 行 している 4 また センターと 似 た 組 織 で 東 日 本 大 震 災 事 業 者 再 生 支 援 機 構 という 組 織 が 存 在 する 詳 しい 比 較 等 は 図 5 5 を 参 照 していただきたいが 両 者 の 違 いと しては 震 災 前 において 既 に 赤 字 企 業 であった 企 業 に 対 しては 安 定 的 な 事 業 の 継 続 が 十 分 に 見 込 めない 限 り 産 業 復 興 相 談 センターでの 支 援 が 困 難 である 一 方 東 日 本 大 震 災 事 業 者 再 生 支 援 機 構 はそのような 赤 字 企 業 も 支 援 の 対 象 として 含 める また 東 日 本 大 震 災 事 業 者 再 生 支 援 機 構 はつなぎ 融 資 なども 行 っており このようなことから 産 業 復 興 相 談 センターは 狭 く 深 く 産 業 政 策 の 側 面 が 強 い 一 方 東 日 本 大 震 災 事 業 者 再 生 支 援 機 構 は 広 く 浅 く 社 会 福 祉 の 側 面 が 強 いと 言 える また 産 業 復 興 相 談 センターでは 対 応 することの 出 来 ない 案 件 を 東 日 本 大 震 災 事 業 者 再 生 支 援 機 構 の 方 に 引 き 継 ぐなどの 連 携 も 行 われてい る しかし 一 見 後 者 の 方 が 幅 広 い 救 済 の 可 能 性 があるようにも 見 えるが 支 援 を 行 っても 事 業 再 開 継 続 の 可 能 性 が 低 い 企 業 までを 支 援 の 対 象 とするこ とは 将 来 的 に 大 規 模 連 鎖 的 な 企 業 の 破 綻 金 融 危 機 の 引 き 金 に 繋 がる 可 能 性 も 考 えられるという 点 に 関 しては 注 意 をする 必 要 がある ( 事 実 阪 神 淡 路 大 震 災 ではしっかりとした 審 査 等 を 行 わずに 企 業 を 支 援 していったため 後 に 連 鎖 的 な 企 業 の 破 綻 による 大 量 の 不 良 債 権 が 問 題 となった ) 3.フレームに 対 する 問 題 点 今 回 被 災 地 を 訪 れ 調 査 を 重 ねる 中 で 産 業 復 興 相 談 センターの 取 り 組 みに 企 業 の 方 は 大 変 感 謝 していることを 感 じ 取 ることが 出 来 た そのような 意 味 ではこ の 取 り 組 みが 果 たしている 役 割 は 想 像 以 上 に 大 きく なおかつ 効 果 的 に 機 能 し ているといえる しかし 現 地 での 取 材 をする 中 で 以 下 の 様 な 問 題 も 明 らかになった 1 現 在 中 小 企 業 の 多 くは 厳 しい 経 営 環 境 の 中 大 規 模 災 害 といった 可 能 性 の 極 めて 低 いものには 資 金 等 を 使 い 対 策 をすることが 難 しいといえ ること 2 結 果 として 今 回 は 公 的 資 金 に 頼 ることとなったのだが 本 来 企 業 は 起 こ りうる 全 ての 事 象 に 対 してその 責 任 を 負 うという 無 限 責 任 という 前 提 の 上 に 事 業 活 動 を 行 っているはずである 公 的 資 金 を 注 入 するということ はこの 前 提 と 矛 盾 する 行 為 であり 特 定 の 企 業 にこのような 支 援 を 行 う のは 市 場 の 競 争 を 歪 める 原 因 にもなりかねない 4 資 料 ページ 図 4 参 照 5 資 料 ページ 図 5 参 照
3 震 災 から 数 えて 3 期 目 に 突 入 したからこそ 見 えてくる 事 業 計 画 の 未 達 成 及 び 新 規 の 融 資 も 含 めた 債 務 の 不 履 行 という 問 題 もある 現 在 進 行 形 で 進 んでいる 事 象 であり 将 来 的 にはどうなるか 不 透 明 な 部 分 もあるが 震 災 前 の 負 債 はおろか 復 興 の 際 の 負 債 までも 返 済 出 来 ないリスクが 懸 念 されている また それに 伴 い 新 たな 資 金 調 達 の 必 要 性 が 発 生 する 可 能 性 もある 4 企 業 インタビュー 内 において 既 存 の 負 債 の 棒 引 き 制 度 という 誤 解 や 震 災 以 前 に 赤 字 企 業 であった 事 業 者 は 制 度 が 利 用 出 来 ないといった 誤 解 が 先 行 して 広 まってしまったことも 問 題 点 として 挙 げられる このことは 制 度 の 普 及 の 遅 延 の 原 因 となっている 4. 提 言 ~ 災 害 における 組 合 ~ 以 上 のようにこの 産 業 復 興 相 談 センターは 中 小 企 業 の 復 興 という 面 で 多 大 な 貢 献 をしてきたといえる 一 方 いくつかの 問 題 も 抱 えているといえる また 災 害 に 見 舞 われることの 多 い 我 が 国 では 今 後 も 今 回 のような 事 象 が 起 こりうる 確 率 は 大 いに 存 在 している 産 業 復 興 相 談 センターは 時 限 的 な 組 織 で あり 今 後 今 回 のような 大 規 模 災 害 の 度 に 毎 回 このような 組 織 を 一 から 作 っ ていては 迅 速 な 対 応 も 難 しい そこで 私 たちはこのスキームを 次 世 代 に 起 こりうる 災 害 に 対 しての 対 策 とし ての 発 展 形 である 常 設 の 機 関 である 災 害 に 強 い 国 づくりファンド( 通 称 : 富 国 強 産 ファンド) というかたちで 提 言 を していきたい このファンドの 特 徴 は 従 来 産 業 復 興 相 談 センターが 担 ってきた 各 種 業 務 内 容 に 加 えて 以 下 の 2 つの 機 能 を 付 け 加 える 1. 今 後 起 こりうる 災 害 に 対 しての 保 険 機 能 2. 支 援 をより 円 滑 にするための 情 報 共 有 機 能 本 来 担 ってきた 二 重 債 務 問 題 における 産 業 復 興 支 援 センターの 役 割 を 引 き 継 ぐ ことにより 貸 し 倒 れリスクを 最 小 限 に 抑 えることが 出 来 るように 努 力 する また 今 後 災 害 が 起 きた 時 に 今 回 のような 枠 組 みをしっかりと 用 意 してお けば 迅 速 に 対 応 に 移 ることが 出 来 る さらに 上 記 の 2 つを 加 える 保 険 機 能 を 付 与 することによって 今 後 は 公 的 負 担 を 最 大 限 減 らすという 効 果 も 望 むことが 出 来 るのである 今 回 のスキームでは 国 : 民 間 金 融 機 関 =8:2 で 運 用 されている この 割 合 では 国 の 支 出 がどうしても 多 くなってしまう 今 回 のような 災 害 ですべてを 失 うと 同 じように 二 重 の 債 務 を 背 負 わなくてはな らない 企 業 が 出 てくることが 予 測 される そのリスクに 対 するヘッジ 手 段 とし
て 損 害 保 険 会 社 に 払 うような 形 で 少 額 のお 金 をファンドに 出 資 する 全 国 の 様 々な 地 域 から 出 資 することで 災 害 のリスク 分 散 も 出 来 る 万 が 一 今 回 のよ うな 資 本 喪 失 を 伴 う 大 規 模 災 害 に 見 舞 われたときはその 出 資 だけでは 足 りない だろう その 時 にはファンドが 賄 えない 分 を 公 的 資 金 として 支 援 を 行 う この ように 全 国 の 中 小 企 業 をはじめ 大 企 業 等 が 少 額 でも 負 担 すれば 国 の 負 担 は 減 り 災 害 に 見 舞 われた 時 の 国 の 二 重 債 務 に 対 する 公 的 資 金 の 負 担 も 減 らすこと が 出 来 る そして この 提 言 のメインとしていきたいのが 情 報 共 有 機 能 である この 情 報 共 有 機 能 には 2 つ の 意 味 がある まず 1 つ 目 は 災 害 が 起 きた 際 に 災 害 が 起 きた 地 域 の 企 業 間 で 情 報 を 共 有 し 合 うことである いわゆる 横 のつながりであ る 今 回 被 災 地 企 業 の 方 が 一 番 苦 労 したのは 事 業 計 画 づくりである それに 対 してファンドが 仲 介 に 入 り 計 画 作 成 に 対 して 情 報 を 共 有 することが 出 来 る ようになれば 効 率 よく 融 資 を 受 けることにもつながる 仲 介 に 入 ることで 横 の つながりを 密 にし 事 業 計 画 づくりを 相 互 で 共 有 していくのである 2 つ 目 に 将 来 の 災 害 の 際 のために 実 際 に 行 われた 支 援 の 情 報 を 残 していくア ーカイブ 機 能 である 例 えば 別 の 地 域 で 水 産 加 工 業 の 企 業 が 被 災 したとする その 時 に 今 回 の 水 産 加 工 業 の 事 例 が 使 えるかもしれない 被 災 してから 復 旧 し 今 に 至 るまで そして 今 後 復 興 していくまでの 過 程 がその 時 に 使 えるかも しれない もちろん 共 有 するのは 成 功 事 例 だけではない 失 敗 例 も 共 有 する そうすることで 今 後 は 災 害 が 起 こった 時 にそこから 迅 速 かつ 効 率 的 に 企 業 の 復 興 が 出 来 るのではないだろうか 実 際 今 回 の 取 材 でもプライバシーの 問 題 からいえない 点 もあるが そのようなことが 非 常 に 多 く 感 じられた 情 報 を 共 有 することには 難 色 を 示 す 企 業 が 多 数 存 在 するであろう さらに 悪 用 の 可 能 性 地 域 の 特 性 によって 事 例 が 異 なるなども 出 てくるであろう しかし リス クマネジメントもさることながら 情 報 を 共 有 することにより 支 援 を 受 けた 際 のリスクの 軽 減 にもつながる この 情 報 共 有 機 能 によって 2 つの 効 果 を 付 与 す ることで 現 地 調 査 を 踏 まえて 介 在 している 問 題 点 を 解 決 することが 出 来 るで あろう 未 曾 有 の 大 災 害 だからこそ 全 体 の Experience を 活 かしていくこ とが 必 要 なのである 終 わりに 日 本 の 産 業 と 災 害 は 切 っても 切 れない 関 係 といえる だからこそ 今 回 のスキームを 維 持 発 展 させていくことは 日 本 全 体 のリスクマネジメントに もつながっていくのである 金 融 を 通 じて 産 業 を 救 う この 提 言 を 私 たちは 強 く 推 進 していきたい
図 4 岩 手 県 産 業 復 興 相 談 センターの 相 談 受 付 状 況 対 応 相 談 案 件 実 件 数 459 買 取 決 定 78 債 務 の 返 済 条 件 変 更 等 の 合 意 21 買 取 債 務 の 返 済 条 件 変 更 に 向 けた 検 討 作 業 中 35 従 来 型 の 再 生 支 援 を 検 討 中 7 窓 口 相 談 継 続 中 ( 情 報 の 収 集 整 理 等 ) 8 窓 口 相 談 完 了 ( 助 言 を 行 い 完 結 ) 30 センターや 各 種 制 度 の 説 明 等 を 終 了 280 参 考 文 献 : 岩 手 県 産 業 復 興 相 談 センターの 相 談 受 付 状 況 ( 岩 手 県 産 業 復 興 相 談 センターより)
図 5 産 業 再 生 支 援 機 構 と 東 日 本 大 震 災 事 業 者 再 生 支 援 機 構 の 比 較 組 織 名 岩 手 産 業 復 興 機 構 ( 岩 手 県 産 業 復 興 相 談 センター) 東 日 本 大 震 災 事 業 者 再 生 支 援 機 構 形 態 投 資 事 業 有 限 責 任 機 構 組 合 株 式 会 社 出 資 者 等 中 小 企 業 基 盤 整 備 機 構 :80% 任 意 組 合 他 :20% ( 県 岩 手 銀 行 東 北 銀 行 預 金 保 険 機 構 貯 金 保 険 機 構 北 日 本 銀 行 宮 古 信 金 ) 存 続 期 間 12 年 (3 年 延 長 可 ) 20 年 投 資 機 関 2 年 2か 月 (1 年 延 長 可 ) 5 年 (1 年 延 長 可 ) 拠 点 盛 岡 ( 他 現 地 事 務 所 合 わせて 計 12か 所 ) 仙 台 東 京 東 日 本 大 震 災 事 業 者 再 生 支 援 機 構 法 支 援 対 象 地 域 ( 復 興 場 所 ) 第 19 条 第 1 項 により 指 定 された 地 域 ( 上 に 指 定 された 地 域 であれば 従 来 と 違 っても 可 ) 業 務 内 容 支 援 対 象 企 業 岩 手 県 ( 将 来 戻 ってきたい 意 志 があれば 他 所 での 復 興 も 可 ) 債 権 買 取 金 融 機 関 に 対 するリスケ DES DDS 債 権 放 棄 等 の 交 渉 調 整 事 業 計 画 作 成 支 援 アドバイス 中 小 企 業 に 限 定 せず 被 災 企 業 であれば 可 ( 大 企 業 は 除 く) ( 一 定 比 率 までは 中 小 企 業 以 外 の 買 取 も 可 ) 旧 債 務 の 整 理 ( 債 権 買 取 リスケ DES DDS 債 務 免 除 ) 事 業 再 生 支 援 ( 専 門 家 派 遣 助 言 つなぎ 融 資 出 資 債 務 保 証 ) 中 小 企 業 中 堅 企 業 ( 大 企 業 第 3セクは 対 象 外 ) 重 点 対 象 : 小 規 模 事 業 者 農 林 水 産 事 業 者 医 療 福 祉 事 業 者 産 業 復 興 機 構 が 支 援 困 難 な 事 業 者 ) 買 取 価 格 算 定 震 災 前 の 平 均 CF 5 年 分 (DCF) 他 DCF 法 ( 最 長 15 年 ) または 回 収 可 能 価 格 とリ ファイナンス 価 格 との 合 計 額 を 現 在 価 値 に 割 り 戻 す 方 法 支 援 決 定 数 78 岩 手 県 内 で65 件 の 支 援 決 定 ( 全 国 では200 件 ) 特 色 狭 く 深 く 産 業 政 策 的 な 側 面 広 く 浅 く 社 会 福 祉 的 な 側 面 参 考 文 献 : 岩 手 県 産 業 復 興 相 談 センターと 東 日 本 大 震 災 事 業 者 再 生 支 援 機 構 ( 岩 手 県 産 業 復 興 相 談 センターより)
参 考 文 献 21 世 紀 中 小 企 業 論 多 様 性 と 可 能 性 を 探 る ; 有 斐 閣 アルマ ; 渡 辺 幸 男 黒 瀬 直 宏 小 川 正 博 向 山 雅 夫 岩 手 県 産 業 復 興 相 談 センターのご 案 内 ; 岩 手 県 産 業 復 興 相 談 センター 産 業 宇 復 興 相 談 センターQ&A; 岩 手 県 産 業 復 興 相 談 センター 論 文 の 教 室 ~レポートから 卒 論 まで~;NHKbooks; 戸 田 山 和 久 岩 手 県 産 業 復 興 センターと 東 日 本 大 震 災 事 業 者 再 生 支 援 機 構 ; 岩 手 県 産 業 復 興 センター 岩 手 県 産 業 復 興 センターの 相 談 受 付 状 況 ; 岩 手 県 産 業 復 興 センター 一 般 社 団 法 人 全 国 銀 行 協 会 URL: http://www.zenginkyo.or.jp/ 最 終 アクセス 日 :2013 年 9 月 30 日