厚 生 労 働 省 が 定 める 診 療 報 酬 や 薬 価 等 には 医 療 機 関 等 が 仕 入 れ 時 に 負 担 する 消 費 税 が 反 映 されています 平 成 26 年 4 月 1 日 から 消 費 税 が8%になることに 伴 い 診 療 報 酬 の 一 部 が 引 き 上 げられています 消 費 税 は 事 業 者 に 負 担 を 求 めるものではなく 商 品 やサービスの 最 終 的 な 消 費 者 が 負 担 するものです 事 業 者 は 売 上 に 係 る 消 費 税 額 から 仕 入 れに 係 る 消 費 税 額 を 控 除 し( 仕 入 税 額 控 除 ) 差 額 を 納 付 するもので あるため 消 費 税 は 本 来 的 に 事 業 者 にとって 実 質 的 な 負 担 となるもの ではありません 一 方 公 的 医 療 保 険 でカバーされる 医 療 ( 社 会 保 険 診 療 )は 非 課 税 取 引 です したがって 医 療 機 関 等 が 社 会 保 険 診 療 を 提 供 する 際 に 患 者 から 消 費 税 を 受 け 取 ることはありません 他 方 で 医 療 機 関 等 が 社 会 保 険 診 療 を 行 うために 医 薬 品 や 設 備 等 を 仕 入 れる 際 には 消 費 税 を 支 払 っています しかし 社 会 保 険 診 療 が 非 課 税 取 引 であるが 故 に 仕 入 税 額 控 除 ができず 医 療 機 関 等 が 仕 入 れに 際 して 支 払 う 消 費 税 は 医 療 機 関 等 のコストになっています 消 費 税 は 事 業 者 にとって 実 質 的 な 負 担 となるべきものではないことか ら 診 療 報 酬 や 薬 価 等 を 設 定 する 際 には 医 療 機 関 等 が 仕 入 れに 際 し て 支 払 う 消 費 税 が 医 療 機 関 等 にとって 実 質 的 な 負 担 となることがない よう 点 数 を 上 乗 せすることで 対 応 をしてきています すなわち 平 成 元 年 平 成 9 年 及 び 平 成 26 年 の 消 費 税 導 入 引 上 げ 時 において 診 療 報 酬 や 薬 価 等 の 改 定 を 行 い 医 療 機 関 等 が 仕 入 れに 際 して 支 払 う 消 費 税 に 応 じた 上 乗 せ 措 置 を 行 っています
消 費 税 はどんな 仕 組 み? 消 費 税 は 消 費 一 般 に 広 く 公 平 に 課 税 される 間 接 税 です ほぼすべての 国 内 における 商 品 の 販 売 サービスの 提 供 を 課 税 対 象 とし 取 引 の 段 階 ごとに8%(うち 1.7%は 地 方 消 費 税 )の 税 率 で 課 税 されます( 税 率 は 平 成 26 年 4 月 1 日 現 在 ) 消 費 税 は 事 業 者 に 負 担 を 求 めるものではありません 税 金 分 は 事 業 者 が 販 売 する 商 品 やサービスの 価 格 に 含 まれて 次 々と 転 嫁 され 最 終 的 に 商 品 を 消 費 し 又 はサービスの 提 供 を 受 ける 消 費 者 が 負 担 することとなります 生 産 流 通 の 各 段 階 で 二 重 三 重 に 税 が 課 されることのないよう 課 税 売 上 に 係 る 消 費 税 額 から 課 税 仕 入 れ 等 に 係 る 消 費 税 額 を 控 除 し 税 が 累 積 しない 仕 組 みとなっています < 図 1> < 図 1>では 消 費 税 が 課 税 される 商 品 の 流 通 を 例 にとって 消 費 税 の 負 担 と 納 付 の 流 れ を 示 しています 小 売 店 は 自 店 で 製 品 販 売 をするため 製 造 業 者 から 消 費 税 込 みの 金 額 で 仕 入 れます ここでは 小 売 店 が 製 造 業 者 に 支 払 う 金 額 は 仕 入 本 体 価 格 1,000 円 + 消 費 税 80 円 です 他 方 小 売 店 は 製 品 を 消 費 者 へ 販 売 する 際 に 消 費 税 込 みの 金 額 を 受 け 取 ります ここで
は 消 費 者 から 受 け 取 る 金 額 は 製 品 本 体 価 格 3,000 円 + 消 費 税 240 円 です その 後 小 売 店 は 消 費 者 から 受 け 取 った 消 費 税 240 円 から 製 造 業 者 に 支 払 った 消 費 税 80 円 を 差 し 引 き( 仕 入 税 額 控 除 ) 税 務 署 へ 消 費 税 160 円 を 申 告 納 付 することとなります すなわち この 小 売 店 が 製 造 業 者 に 支 払 った 消 費 税 と 納 税 した 消 費 税 の 合 計 (240 円 ) は 消 費 者 から 受 け 取 った 消 費 税 (240 円 )と 同 額 であり 実 質 的 な 負 担 はありません つまり 小 売 店 は 消 費 税 を 納 付 する 義 務 は 負 うものの 消 費 税 の 実 質 的 負 担 はなく あ くまで 消 費 者 が 最 終 的 に 負 担 者 となる 点 が 消 費 税 の 特 徴 です 商 品 の 販 売 サービスの 提 供 の 多 くが 課 税 取 引 となるため 原 則 として 事 業 者 にとっ て 消 費 税 は 実 質 的 な 負 担 となるものではないのですが 一 部 の 取 引 については 課 税 対 象 になじまない 又 は 社 会 政 策 的 な 配 慮 から 課 税 することが 適 当 でないとして 非 課 税 取 引 とされています この 非 課 税 取 引 については 事 業 者 は 売 上 に 関 して 消 費 税 を 受 け 取 ることはありません 非 課 税 取 引 のために 行 った 仕 入 れについては それが 課 税 仕 入 れであれば 消 費 税 を 仕 入 れ 先 に 支 払 うことになりますが この 仕 入 時 に 支 払 った 消 費 税 は 非 課 税 取 引 であるが 故 に 仕 入 税 額 控 除 の 対 象 にはならず したがって 事 業 者 にとってのコストになってしまいま す 社 会 保 険 診 療 は 非 課 税 取 引 公 的 医 療 保 険 でカバーされる 医 療 ( 社 会 保 険 診 療 )は 消 費 税 法 上 非 課 税 取 引 の 一 つ として 位 置 付 けられています したがって 社 会 保 険 診 療 を 提 供 する 医 療 機 関 や 薬 局 にお いては 仕 入 税 額 控 除 の 対 象 とならない 消 費 税 の 支 払 いが 発 生 します このことを 具 体 的 に 説 明 するのが< 図 2>です < 図 2>
医 療 機 関 は 卸 業 者 から 社 会 保 険 診 療 に 必 要 な 医 薬 品 等 を 仕 入 れています その 際 医 療 機 関 は 消 費 税 込 みの 金 額 で 卸 業 者 から 購 入 します ここでは 医 療 機 関 が 卸 業 者 に 支 払 う 金 額 は 仕 入 本 体 価 格 1,000 円 + 消 費 税 80 円 です 他 方 社 会 保 険 診 療 は 非 課 税 取 引 であるため 医 療 機 関 が 患 者 及 び 保 険 者 から 消 費 税 を 受 け 取 ることはありませんし 卸 業 者 に 支 払 った 消 費 税 80 円 は 仕 入 税 額 控 除 ができません 消 費 税 は 事 業 者 にとって 実 質 的 な 負 担 となるべきものではないことから 診 療 報 酬 や 薬 価 等 を 設 定 する 際 には 上 記 のような 医 療 機 関 等 が 仕 入 れに 際 して 支 払 う 消 費 税 が 医 療 機 関 等 にとって 実 質 的 な 負 担 となることがないよう 対 応 をしてきています すなわち 平 成 元 年 平 成 9 年 及 び 平 成 26 年 の 消 費 税 導 入 引 上 げ 時 においては 診 療 報 酬 や 薬 価 特 定 保 険 医 療 材 料 価 格 (= 公 的 医 療 保 険 における 保 険 償 還 価 格 が 設 定 されてい るモノ 代 以 下 薬 価 等 という )の 改 定 を 行 い 医 療 機 関 等 が 仕 入 れに 際 して 支 払 う 消 費 税 に 応 じた 上 乗 せ 措 置 を 行 っています 図 2で 言 えば 80 円 分 が 診 療 報 酬 に 上 乗 せされ ています(ただし 後 述 のとおり すべての 報 酬 項 目 に 一 律 に 消 費 税 対 応 の 上 乗 せが 行 われ ているわけではなく 一 部 の 報 酬 項 目 に 代 表 させて 上 乗 せ 措 置 を 講 じてきています) 診 療 報 酬 薬 価 等 の 上 乗 せ 対 応 について ここでは 消 費 税 負 担 に 対 する 診 療 報 酬 薬 価 等 における 上 乗 せ 対 応 の 考 え 方 について 説 明 いたします < 図 3>
< 図 3>は 医 療 機 関 等 における 費 用 収 入 のイメージ 図 です 左 側 が 費 用 ( 仕 入 れ) 右 側 が 収 入 を 表 しており 費 用 ( 仕 入 れ)のうち 黄 色 部 分 が 給 与 等 の 消 費 税 非 課 税 の 費 用 緑 色 部 分 がその 他 の 課 税 経 費 薬 剤 費 特 定 保 険 医 療 材 料 費 の 消 費 税 課 税 の 費 用 を 表 して います 仕 入 れ 時 に 支 払 う 消 費 税 は 課 税 費 用 について 発 生 するため 図 の 左 側 にC( 薄 紫 色 部 分 ) として 記 載 されています すなわち 消 費 税 によってこのCの 面 積 で 表 される 額 だけ 医 療 機 関 等 の 仕 入 れコストが 増 えることとなります この 消 費 税 負 担 が 医 療 機 関 等 にとっ て 実 質 的 な 負 担 とならないよう 診 療 報 酬 本 体 (= 医 師 の 診 療 行 為 等 に 対 応 する 報 酬 いわゆる 技 術 料 部 分 ) 及 び 薬 価 等 について それぞれA Bという 形 で 上 乗 せ 措 置 を 講 じています 消 費 税 負 担 が 医 療 機 関 等 にとって 実 質 的 な 負 担 とならないためには C= A+Bの 関 係 が 成 立 する 必 要 があります 図 3においてA Bの 厚 み が 異 なる 形 で 示 されているのは 以 下 のような 考 え 方 に 基 づいています すなわち 医 療 機 関 にとっての 医 薬 品 や 特 定 保 険 医 療 材 料 に 関 する 費 用 は それらのモノを 卸 業 者 から 購 入 する 代 金 であり 基 本 的 に 全 て 消 費 税 課 税 費 用 です したがって 薬 価 等 には 医 療 機 関 等 における 仕 入 れ 消 費 税 負 担 を 完 全 に 転 嫁 する 必 要 があり ます 具 体 的 には 2 年 に 一 度 の 薬 価 等 の 改 定 において 新 薬 価 新 材 料 価 格 は 卸 業 者 の 医 療 機 関 薬 局 に 対 する 販 売 価 格 (= 市 場 実 勢 価 格 )の 加 重 平 均 値 に 薬 剤 流 通 の 安 定 のための 調 整 幅 ( 改 定 前 薬 価 の2%)を 加 えるという 計 算 式 によって 決 定 されますが こ の 市 場 実 勢 価 格 には 消 費 税 分 を 織 り 込 んで 計 算 しています( 実 際 の 計 算 式 は 以 下 のと おりです) ( 計 算 式 ) 新 薬 価 新 材 料 価 格 = 医 療 機 関 薬 局 への 販 売 価 格 の 1+ 消 費 税 率 加 重 平 均 値 ( 税 抜 の 市 場 実 勢 価 格 ) ( 地 方 消 費 税 分 含 む) + 調 整 幅 これに 対 して 診 療 報 酬 本 体 の 対 象 となる 診 療 行 為 や 調 剤 行 為 についての 費 用 には 消 耗 品 等 の 課 税 費 用 のほか 給 与 等 の 非 課 税 費 用 が 含 まれており 費 用 の 全 体 について 消 費 税 が 掛 かるわけではないため 課 税 費 用 の 構 成 割 合 に 応 じた 報 酬 上 乗 せを 行 うこととな ります こうしたことから 図 3におけるA Bの 厚 み が 異 なる 形 となるものです 消 費 税 が 導 入 された 平 成 元 年 4 月 引 き 上 げが 行 われた 平 成 9 年 4 月 及 び 平 成 26 年 4 月 に おいて このA Bの 厚 み をそれぞれ 増 すような 形 で 対 応 を 行 ってきています なお 診 療 報 酬 本 体 においては 市 場 実 勢 価 格 に 応 じて 機 械 的 に 償 還 価 格 が 計 算 される 薬 価 等 とは 異 なり すべての 報 酬 項 目 に 一 律 に 消 費 税 対 応 の 上 乗 せが 行 われているわけで はなく 一 部 の 報 酬 項 目 に 代 表 させて 上 乗 せ 措 置 を 講 じています どのような 報 酬 項 目 に 上 乗 せするかは それぞれの 時 点 で 考 え 方 が 異 なりますが 平 成 26 年 診 療 報 酬 改 定 におい ては 初 診 料 再 診 料 などの 基 本 診 療 料 や 調 剤 基 本 料 を 中 心 に 上 乗 せ 措 置 を 講 じたところ
です 参考 平成 26 年の消費税8 への引上げに伴う対応について