業 種 別 格 付 方 法 空 運 公 表 日 :2015 年 5 月 29 日 この 格 付 方 法 は 航 空 運 送 事 業 を 担 う 事 業 者 に 適 用 する 国 内 外 の 大 手 航 空 会 社 に 加 え 新 規 参 入 事 業 者 や 格 安 航 空 会 社 (LCC)もこの 格 付 方 法 の 対 象 になる I. 事 業 リスクの 評 価 1. 産 業 リスクの 見 方 世 界 の 航 空 運 送 の 売 上 規 模 は 2014 年 時 点 で 8000 億 ドル 弱 長 距 離 移 動 輸 送 のためのインフラと して 必 要 不 可 欠 な 産 業 であり 世 界 経 済 のグローバル 化 が 進 む 中 中 長 期 的 な 成 長 余 地 も 大 きい 航 空 運 送 事 業 は 国 の 許 認 可 など 新 規 参 入 に 際 してのハードルが 相 応 に 高 い ただ 需 要 は 国 際 線 を 中 心 に 景 気 変 動 に 左 右 されやすいうえ 事 故 テロ 感 染 症 の 発 生 など イベントにも 大 きく 影 響 を 受 ける 一 方 で 機 材 関 連 の 費 用 や 人 件 費 など 固 定 費 負 担 が 重 いうえ 燃 料 費 など 市 況 の 影 響 を 受 ける 費 用 もあり 収 益 変 動 は 大 きくなりがちだ 収 入 コストの 両 面 で 悪 条 件 が 重 なると 巨 額 の 赤 字 を 計 上 す ることもある 欧 米 では 規 制 緩 和 が 進 んだことで 新 規 参 入 が 活 発 になり LCC などとの 競 合 が 激 化 した 国 を 代 表 す る 航 空 会 社 でも 経 営 破 綻 に 追 い 込 まれるなど 事 業 環 境 は 厳 しくなっている 空 運 業 界 の 産 業 リスクは 大 きいと 判 断 している (1) 市 場 規 模 市 場 成 長 性 市 場 のボラティリティー 空 運 産 業 は とりわけ 国 際 間 の 旅 客 貨 物 輸 送 に 必 要 不 可 欠 なインフラである 経 済 のグローバル 化 や 新 興 国 の 経 済 成 長 に 伴 い 旅 客 需 要 は 拡 大 してきている IATA 加 盟 会 社 の 合 計 売 上 高 の 推 移 を 見 ると 価 格 の 低 下 や 新 興 国 の 所 得 水 準 向 上 などによる 需 要 拡 大 を 背 景 に 高 成 長 を 続 けている 新 興 国 の 経 済 成 長 余 地 はなお 大 きく それに 合 わせて 航 空 需 要 拡 大 も 見 込 まれる もっとも 米 国 同 時 多 発 テロや SARS 世 界 金 融 危 機 などで 地 域 によっては 大 幅 に 旅 客 数 が 減 るなど ミクロで 見 ると 需 要 変 動 は 大 きい 特 に 国 際 線 は 景 気 動 向 に 加 え 戦 争 テロ 疫 病 などに 大 きく 左 右 される 国 際 線 に 比 べ 需 要 の 安 定 性 が 高 い 国 内 線 といえども 景 気 変 動 の 影 響 は 免 れ 得 ない 市 場 のボ ラティリティーは 大 きいと 判 断 している 1/7
(2) 業 界 構 造 ( 競 争 状 況 ) 航 空 事 業 者 は 数 百 機 の 機 材 を 運 航 する 事 業 規 模 の 大 きい 航 空 会 社 から 数 機 を 繰 り 回 している 新 興 の LCC まで 幅 広 い 航 空 運 送 事 業 は 公 共 性 が 高 いことから 行 政 との 関 係 が 密 接 である 国 内 線 の 競 争 環 境 はその 国 ごとに 違 いがある 日 本 の 場 合 定 期 便 事 業 を 営 むには 路 線 ごとに 国 土 交 通 大 臣 の 免 許 が 必 要 外 資 規 制 が あるなど 一 定 の 参 入 障 壁 がある 羽 田 空 港 の 発 着 容 量 という 物 理 的 な 制 約 もある 国 内 線 は 現 在 でも JAL グループ ANA グループで 約 8 割 の 旅 客 輸 送 シェアを 握 る 寡 占 状 態 となっている もっとも 鉄 道 や 陸 運 など 他 の 輸 送 手 段 との 競 合 はある 国 内 は 距 離 によって 一 定 のすみ 分 けがあるが 路 線 網 の 拡 充 が 続 く 新 幹 線 は 無 視 できない 競 合 相 手 だ 規 制 緩 和 が 進 んでいるとはいえ 国 際 線 の 就 航 に 関 しては 二 国 間 での 協 定 締 結 が 前 提 となる 参 入 制 限 を 二 国 間 で 相 互 に 撤 廃 する 航 空 自 由 化 (オープンスカイ) 協 定 が 結 ばれない 限 り 協 定 締 結 後 も 路 線 及 び 輸 送 力 については 両 国 の 航 空 当 局 間 の 合 意 が 必 要 となり 国 際 線 の 開 設 や 増 便 は 容 易 ではない 主 要 空 港 の 発 着 容 量 という 物 理 的 な 制 約 もある 大 西 洋 路 線 太 平 洋 路 線 のような 大 陸 間 の 国 際 路 線 には 参 入 事 業 者 が 複 数 あるが 基 本 的 には 競 合 先 が 限 定 された 中 での 競 争 となっている 規 制 緩 和 が 進 んでいる 欧 米 では コスト 競 争 力 に 勝 る LCC がシェア 3 割 ~4 割 を 占 めるなど 競 争 は 激 しさを 増 している そのため 大 手 であっても 経 営 破 綻 に 追 い 込 まれるケースや 他 社 の 傘 下 に 入 る ケースが 散 見 される また 航 空 事 業 者 は 与 えられた 路 線 について 一 定 の 需 要 を 前 提 に 機 材 を 効 率 よく 運 営 できるよう 運 航 計 画 を 定 めている そのため 短 期 間 で 供 給 量 を 増 減 することは 困 難 で 急 激 な 需 要 減 少 局 面 では 供 給 過 剰 に 陥 りやすい 固 定 費 負 担 が 重 い 収 支 構 造 で 需 要 が 減 少 すると 価 格 競 争 が 激 化 しやすいという 問 題 も 抱 える (3) 顧 客 の 継 続 性 安 定 性 航 空 運 送 事 業 は 機 材 が 同 じなら 基 本 の 輸 送 サービスに 大 きな 差 は 付 けにくい LCC は 価 格 を 最 大 の 武 器 にするのに 対 し 大 手 航 空 事 業 者 (ネットワークキャリア)は 機 内 の 娯 楽 や 食 事 の 内 容 接 客 サービ スを 充 実 するほか スターアライアンス ワンワールド スカイチームなどの 航 空 連 合 (アライアンス) に 加 盟 することでネットワークの 充 実 や 乗 り 継 ぎの 円 滑 化 を 図 るなど 利 便 性 の 向 上 で 対 抗 している 一 般 に 大 手 航 空 事 業 者 は 会 員 旅 客 に 運 航 距 離 に 比 例 してポイントを 付 与 し 航 空 券 などと 交 換 する マイレージ サービスを 提 供 している マイレージ 会 員 は 国 内 国 際 線 で 同 一 路 線 を 複 数 社 が 運 航 する 場 合 でもポイントを 貯 める 目 的 もあって 同 じ 航 空 会 社 や 同 じアライアンスに 属 する 航 空 会 社 を 継 続 して 利 用 する 傾 向 が 強 く 会 員 の 状 況 には 注 目 する 必 要 がある ただ 運 賃 に 相 応 の 差 がある 場 合 や 直 行 便 の 有 無 や 乗 り 換 えなど 利 便 性 の 問 題 で マイレージ 制 度 があったとしても 顧 客 は 異 なる 航 空 会 社 を 利 用 するケースは 多 い 実 際 多 くの 地 域 で LCC が 低 価 格 を 武 器 にシェアを 伸 ばしていたり 乗 り 2/7
換 えの 利 便 性 をテコに 中 東 の 航 空 会 社 の 存 在 感 が 高 まっている 顧 客 の 継 続 性 安 定 性 はやや 低 い (4) 設 備 在 庫 投 資 サイクル 航 空 機 は 通 常 30 年 程 度 は 使 われるが 安 全 性 確 保 のためのメンテナンス 費 用 が 年 々かさむようにな ることや 中 古 市 場 が 発 達 していることもあり 大 手 航 空 会 社 が 寿 命 まで 保 有 し 続 けるケースは 少 ない 新 型 機 は 躯 体 の 進 歩 などで 燃 費 効 率 だけでなく 移 動 の 快 適 性 なども 向 上 している 燃 料 費 の 上 昇 や 顧 客 ニーズの 分 散 で 大 型 機 で 一 度 に 多 数 の 旅 客 を 運 ぶ 方 法 から 省 燃 費 の 中 小 型 機 を 活 用 して 運 航 回 数 を 増 やす 方 法 がコストの 点 でも 利 便 性 の 点 でも 有 利 になってきたことも 機 材 更 新 を 促 している 機 材 の 稼 働 効 率 を 重 視 する LCC も 機 材 更 新 ペースは 比 較 的 速 い 機 材 の 性 能 が 向 上 していることや 競 合 が 激 しくなっていることで 設 備 投 資 サイクルは 短 くなっている また 航 空 機 材 は 発 注 から 受 け 取 りまで 3~4 年 かかることがあることから 市 場 や 個 別 企 業 の 状 況 が 変 化 し 思 ったような 効 果 が 発 揮 できない 可 能 性 があることには 注 意 が 必 要 投 資 負 担 が 重 い 一 方 収 益 変 動 が 大 きくキャッシュフローの 安 定 性 に 欠 けるだけに 投 資 回 収 は 不 安 定 だが 中 古 市 場 が 発 達 しており 全 額 が 毀 損 する 可 能 性 は 低 い (5) 保 護 規 制 公 共 性 航 空 運 送 事 業 は 国 家 戦 略 上 必 要 不 可 欠 なインフラであり 公 共 性 が 高 い 日 本 の 場 合 定 期 便 事 業 を 営 むには 路 線 ごとに 国 土 交 通 大 臣 の 免 許 が 必 要 である 日 本 に 限 らず 各 国 政 府 は 空 運 産 業 を 規 制 対 象 としている 規 制 緩 和 が 進 んでいるとはいえ 国 際 線 の 開 設 には 引 き 続 き 離 発 着 地 両 国 の 政 府 協 定 が 欠 かせない 空 港 の 離 発 着 能 力 による 制 約 もあり ドル 箱 路 線 への 参 入 は 空 港 の 拡 張 などが 無 い 限 り 困 難 で 保 護 規 制 が 縮 小 しても 一 定 の 参 入 障 壁 はある 一 方 で 経 営 が 悪 化 した 場 合 の 政 府 の 支 援 は 限 られてきている 航 空 運 送 業 を 育 成 する 過 程 では 政 府 の 関 与 は 強 いものの 経 営 が 軌 道 に 乗 った 後 は 民 間 企 業 として 自 立 を 求 められる 先 進 国 を 中 心 に 規 制 緩 和 が 潮 流 となっている 保 護 規 制 公 共 性 による 産 業 リスク 軽 減 効 果 を 強 くみることはできない (6)コスト 構 造 航 空 事 業 者 のコスト 構 造 を 見 ると 人 件 費 や 機 材 投 資 に 伴 う 減 価 償 却 費 など 固 定 費 の 負 担 が 重 い 多 くの 従 業 員 を 抱 えるうえ パイロットや 整 備 士 など 資 格 が 必 要 な 業 務 も 多 く 人 件 費 の 削 減 は 容 易 で はない 機 材 はリースを 活 用 するにしても 契 約 期 間 は 基 本 的 に 長 期 だ 空 港 使 用 料 や 整 備 コストなど も 収 入 の 水 準 ではなく 保 有 機 材 数 や 発 着 回 数 で 決 まってくる 部 分 が 大 きく 固 定 費 的 な 性 格 も 強 い 一 方 変 動 費 で 最 も 構 成 比 が 高 いのが 燃 油 費 だ 燃 油 費 は 原 油 価 格 に 左 右 され 変 動 が 激 しい 国 際 線 収 入 や 燃 料 購 入 は 外 貨 建 で 為 替 変 動 の 影 響 を 受 ける 点 にも 注 意 が 必 要 で 燃 油 為 替 等 のヘッジ 方 針 3/7
も 確 認 する 2. 個 別 企 業 リスクの 見 方 産 業 リスクが 対 象 企 業 の 属 する 業 界 の 標 準 的 なリスクを 示 すのに 対 し 以 下 のような 個 別 企 業 リスク により 各 社 の 事 業 リスクは 相 違 する (1) 営 業 基 盤 航 空 事 業 者 にとって 保 有 路 線 こそが 営 業 基 盤 である 安 定 的 な 需 要 を 抱 える 優 良 路 線 を 多 数 持 ち 使 い 勝 手 の 良 い 時 間 帯 の 発 着 枠 を 確 保 しているかが 重 要 だ 保 有 路 線 で 高 いシェアを 持 てば 営 業 や 機 材 運 営 面 で 効 率 性 が 高 まり 採 算 性 を 高 めやすい (2) 運 営 能 力 旅 客 需 要 が 急 激 に 縮 小 した 場 合 需 要 に 合 わせて 弾 力 的 に 路 便 計 画 を 組 み 替 えられるかが 業 績 を 左 右 する 路 線 に 合 った 機 材 を 投 入 し ロードファクター( 座 席 利 用 率 )を 向 上 していく 必 要 がある 料 金 を 下 げ 過 ぎれば 利 益 拡 大 につながらないので レベニューマネジメントの 巧 拙 を 問 われる 国 際 線 では 機 材 運 用 の 効 率 化 や 柔 軟 性 を 確 保 するために 共 同 運 航 (コードシェアリング)や 合 弁 事 業 など アライアンスの 活 用 提 携 の 深 化 も 重 要 なポイントだ 合 理 的 な 需 要 予 測 に 基 づいた 機 材 導 入 計 画 も 極 めて 重 要 で 急 激 な 供 給 力 の 拡 大 を 目 指 した 投 資 は 需 給 バランスが 崩 れる 可 能 性 が 高 い 投 資 判 断 の 基 準 や 手 続 きを 確 認 する 必 要 がある (3)コスト 管 理 能 力 需 要 変 動 や 為 替 で 収 入 が 増 減 するうえ 変 動 費 で 大 きなウエートを 占 める 燃 油 費 が 原 油 市 況 や 為 替 に 左 右 されるなど 外 部 環 境 の 影 響 を 受 けやすい 利 益 の 安 定 化 のためには 人 件 費 をはじめとしたコス トの 管 理 や 機 材 統 一 による 整 備 や 訓 練 費 引 き 下 げなどの 合 理 化 努 力 が 欠 かせない 業 態 だ 省 燃 費 機 材 の 導 入 やヘッジの 活 用 で 費 用 上 昇 を 緩 和 する 対 策 を 打 っているかも 重 要 なポイントだ (4) 航 空 行 政 における 位 置 付 け 航 空 運 送 事 業 は 規 制 業 種 であり 路 線 を 設 置 するなど 事 業 を 営 むうえで 政 府 との 関 係 は 無 視 できな い 地 盤 とする 国 地 域 でナショナルフラッグキャリアとしての 地 位 にあるなど 重 要 性 が 高 ければ 事 業 環 境 が 大 きく 悪 化 した 場 合 などに 政 府 の 支 援 が 得 られる 可 能 性 がある 政 府 が 航 空 産 業 を 積 極 的 に 育 成 している 場 合 その 国 の 事 業 者 は 政 府 から 様 々なメリットを 受 けられよう 4/7
(5) 安 全 性 サービス 航 空 運 送 業 にとって 安 全 性 の 確 保 は 大 前 提 であり 死 亡 事 故 など 大 きな 問 題 を 起 こした 航 空 会 社 の ブランドイメージは 大 きく 毀 損 する 一 方 サービス 面 での 評 価 が 良 好 であれば ブランドロイヤルテ ィーを 高 め 安 定 顧 客 を 増 やしていくことが 可 能 になる II. 財 務 リスクの 評 価 財 務 リスクについては 財 務 指 標 で 示 される 定 量 要 因 に 加 えて 財 務 運 営 方 針 や 流 動 性 リスクも 評 価 している 一 般 に 航 空 事 業 者 は 航 空 機 材 調 達 の 際 にリースを 活 用 することが 多 い したがって オフバランスに なっているリース 債 務 を 含 めた 実 質 ベースの 有 利 子 負 債 や 総 資 産 リース 料 を 考 慮 した 利 益 キャッシ ュフローに 基 づいて 算 出 した 財 務 指 標 を 中 心 に 据 えて 評 価 している (1) 収 益 力 売 上 高 営 業 利 益 率 EBITDA マージン EBITDA/ 総 資 産 平 均 収 益 性 が 高 ければ 各 種 のコスト コントロールに 優 れ また 効 率 の 高 いオペレーションを 実 施 し ているといえる また 各 種 の 収 益 性 指 標 で 高 い 水 準 を 確 保 できていれば 需 要 が 大 きく 落 ち 込 んだ 際 にも 一 定 の 利 益 を 確 保 する 能 力 があると 考 えられる 航 空 事 業 者 の 収 益 性 を 評 価 するに 当 たっては 売 り 上 げ 変 動 に 対 する 耐 性 を 表 す 売 上 高 営 業 利 益 率 キャッシュフローの 厚 みを 表 すリース 料 を 考 慮 した EBITDA マージンを 重 視 している 航 空 機 材 の 資 産 規 模 が 大 きいこともあり 資 産 を 効 率 よく 利 益 に 結 びつけているかを 判 断 するという 観 点 から EBITDA/ 総 資 産 平 均 も 重 視 している (2) 規 模 投 資 余 力 EBITDA 自 己 資 本 ネットワーク 維 持 や 単 位 当 たりのコスト 低 減 のためには 一 定 の 機 材 が 必 要 なうえ 継 続 的 な 機 材 更 新 が 求 められる 保 有 する 機 材 の 更 新 や 増 強 を 定 期 的 に 行 えるかという 観 点 でみている なお 投 資 余 力 を 見 る 指 標 としては EBITDA などのキャッシュフローが 一 般 的 だが 航 空 会 社 の 場 合 は 航 空 機 をリースで 調 達 するケースが 多 いため リース 料 を 調 整 した EBITDA を 重 視 している 航 空 運 送 事 業 は 需 要 の 変 動 が 大 きく 事 業 環 境 の 悪 化 局 面 では 大 幅 な 赤 字 に 陥 ることが 少 なくない そうした 際 の 財 務 バッファーという 観 点 から 自 己 資 本 の 規 模 も 重 視 している その 他 の 包 括 利 益 累 計 額 には 繰 延 ヘッジ 損 益 や 為 替 換 算 調 整 勘 定 など 市 況 で 変 動 する 項 目 が 含 まれるため 株 主 資 本 を 中 心 とし た 資 本 の 質 の 確 認 は 不 可 欠 である 5/7
(3) 債 務 償 還 年 数 純 有 利 子 負 債 EBITDA 倍 率 航 空 事 業 者 は 航 空 機 の 投 資 負 担 が 重 く その 見 合 いで 有 利 子 負 債 が 膨 らみやすい 有 利 子 負 債 とキ ャッシュフローのバランスは 評 価 上 欠 かすことができない 指 標 である リース 債 務 も 含 めた 実 質 ベ ースの 純 有 利 子 負 債 EBITDA 倍 率 を 重 視 している 航 空 機 材 は 発 注 から 受 け 取 りまで 数 年 かかるこ とから 契 約 の 柔 軟 性 を 考 慮 しながら 評 価 に 織 り 込 んでいく (4) 財 務 構 成 自 己 資 本 比 率 ネット D/E レシオ( 純 有 利 子 負 債 の 自 己 資 本 に 対 する 倍 率 ) 収 益 変 動 リスクが 大 きいだけに 業 績 悪 化 時 の 財 務 耐 久 力 を 判 断 するうえでリスクバッファーの 比 率 は 重 要 な 指 標 である 資 産 の 質 を 勘 案 しながら 実 質 的 な 資 本 の 厚 みを 精 査 するのはもちろんのこと 比 率 をリース 調 整 前 調 整 後 の 両 面 から 確 認 する 厳 しい 事 業 環 境 下 で 赤 字 が 続 くなど 採 算 性 が 悪 化 し た 場 合 に 資 産 の 減 損 も 含 めてどの 程 度 耐 えられるかという 視 点 からアプローチしている (5) 流 動 性 リスク 借 入 金 返 済 やリース 料 支 払 い 人 件 費 など 固 定 的 な 費 用 は 多 い 一 方 で 収 入 は 外 部 環 境 に 影 響 を 受 けるうえ 季 節 によっても 大 きく 変 わるなど 変 動 幅 が 大 きい そうしたことから 現 金 及 び 現 金 同 等 物 を 一 定 程 度 持 っていることが 望 ましい いざという 時 に 資 金 を 確 保 できるかなど 取 引 金 融 機 関 との 関 係 も 確 認 しておく 必 要 がある III. 空 運 業 界 の 格 付 発 行 体 格 付 個 別 企 業 リスク 財 務 リスク 重 要 度 指 標 重 要 度 営 業 基 盤 収 益 力 売 上 高 営 業 利 益 率 運 営 能 力 EBITDAマージン コスト 管 理 能 力 EBITDA/ 総 資 産 平 均 航 空 行 政 における 位 置 付 け 規 模 投 資 余 力 EBITDA 安 全 性 サービス 自 己 資 本 債 務 償 還 年 数 純 有 利 子 負 債 EBITDA 倍 率 財 務 構 成 自 己 資 本 比 率 ネットD/Eレシオ ( )リースは 適 宜 調 整 産 業 リスク 大 きい 注 ) 重 要 度 は 極 めて 重 視 重 視 比 較 的 重 視 6/7
*これまで 公 表 した 同 種 の 格 付 方 法 は 本 稿 に 代 替 されます R&I が 格 付 対 象 の 評 価 に 用 いる 格 付 付 与 方 針 及 び 格 付 方 法 ( 以 下 格 付 付 与 方 針 等 と 総 称 します)は R&I が 独 自 の 分 析 研 究 等 に 基 づいて 作 成 し た R&I の 意 見 にすぎず R&I は 格 付 付 与 方 針 等 の 正 確 性 適 時 性 網 羅 性 完 全 性 商 品 性 及 び 特 定 目 的 への 適 合 性 その 他 一 切 の 事 項 について 明 示 黙 示 を 問 わず 何 ら 表 明 又 は 保 証 をするものではありません また R&I は 格 付 付 与 方 針 等 の 開 示 によって いずれかの 者 の 投 資 判 断 や 財 務 等 に 関 する 助 言 を 行 い 又 は 投 資 の 是 非 等 の 推 奨 をするものではありません R&I は 格 付 付 与 方 針 等 の 内 容 使 用 等 に 関 して 使 用 者 その 他 の 第 三 者 に 発 生 する 損 害 等 につき 請 求 原 因 の 如 何 や R&I の 帰 責 性 を 問 わず 何 ら 責 任 を 負 いません 格 付 付 与 方 針 等 に 関 する 一 切 の 権 利 利 益 ( 特 許 権 著 作 権 そ の 他 の 知 的 財 産 権 及 びノウハウを 含 みます)は R&I に 帰 属 します R&I の 事 前 の 書 面 による 許 諾 無 く 格 付 付 与 方 針 等 の 全 部 又 は 一 部 を 自 己 使 用 の 目 的 を 超 えて 使 用 ( 複 製 改 変 送 信 頒 布 譲 渡 貸 与 7/7