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国立市在宅療養推進連絡協議会が制作し た くにたち在宅療養ハンドブック 認知症カフェ でのミニ講義の様子 足が浮かび上がった 解決の道筋は 地域包括ケ ある 現場対応の苦慮などで ストレスを抱える職 ア体制の構築を抜本的に考える かかりつけ医 員も少なくない の養成教育 サポート医が取り組んできた実践の見 1人で悩みを抱え込まないよう留意しています 直し 待つ医療から生活の中へ入り込む 医療へ と地域包括ケア 在宅療養推進担当を兼ねる課長 の進展 といった方向性が示された 入院 外来 補佐の葛原千恵子さんは言う 葛原さんは保健師 医療ではない第3の道である在宅医療が必要 とい であり 子育て支援の現場を経験するなど 市民 う結論である 第3の道 を築くには在宅医療の 生活に密着 した職歴を持つ職員である それだけ クオリティーが問われるから 認知症教育システ に個別対応の難しさも職員が抱え込みがちな悩みに ムの構築 が必須であるが そもそもサポート医の も通じている チームで情報を共有できるよう 役割とは何かという点については モデル事業を通 各人が声を発することができる職場づくりを意識し じて得られた結論は かかりつけ医の相談 アド ています と葛原さん 上司である大川さんも 環 バイザー役 地域の連携づくり 地域における 境面では 職員のコンディションに注意を払いつつ 認知症対応力 を高めるための企画 立案と普及 声掛けをしています ただ一方では 業務遂行が 活動 といった 地域連携の推進役 である 第1ですから ある意味 厳しさも問います とも 医療と介護が組み合ってこその在宅医療である 言う その意味でも 職員が職場で言語化する その中で 核になるのは認知症ケアだと思います 重要性を指摘する 遭遇した特定の事象が業務体 認知症ケアは地域の理解が得られなければ進みま 系の中でどのような位置づけで対処できるのか せん と 地域 市民の重要性も大川さんは訴えて 根拠ある 情報共有をしたうえで それぞれの職 いる 員どうしが互いの仕事を検証し合う職場づくりを意 識している 職員として チームとして 基幹型センターの業務の質を高めようとする流れ の中で ある意味 仕事に厳しい トップと とき 在宅介護 認知症ケアといった生活に密着した 現場ではさまざまなケースに向き合わなければなら ない 問題行為 虐待等々をめぐって家族 近隣住 民 地域から各種の相談が寄せられる 根拠を持って実践していくことが大事 と大川 36 にその緩衝材的存在でもあるサブリーダーの存在は 組織運営上 うまく機能しているようである 多職種のメンバーが 考え抜いて小冊子を作った さんは言う 自身 100件ほどの在宅現場を担当し さて 他の自治体が 国立市の地域を挙げての ながらも 体系的な行政機能のありようを模索して 活動の模様や さらには市民の今日的な問題意識も きた経験から 現場に精通したうえで よりよい 理解できそうなツールがあるので 紹介しておきた 行政体系を描ける職員 であってほしいと望んでい い 国立市在宅療養推進連絡協議会が平成25年度 る とはいえ 組織を運営するのは難しい面が多々 に制 作した くにたち在 宅 療 養 ハンドブック
市役所本庁内に設置された地域包括支援センター vol.1 という30数ページの小冊子である かかりつけ医 ケアマネージャー 歯科医等々専 門医 訪問看護師 かかりつけ薬局 市民 さまざ 健康福祉部地域包括ケア推進担当課長 大川潤一さん 左 と健康福祉部高齢者支援課 地域包括ケア 在宅 療養推進担当の課長補佐 葛原千恵子さん スーパーバイズをうけながら 継続的な活動を続け ている ケーススタディの継続的な検証を通じ 対 応の質の向上を図っていこうとしている まな地域の人々が在宅療養で伝えたいことをコンパ 市民からの理解については もちろん個人差は クトに整理し 相談アクセス情報も併記して 地域 あるのですが 現場を歩いていますと 着実に根付 における在宅療養体制の骨子に加えて誰しもが遭 いているように感じます と葛原さんは言う 遇するであろう悩み事もフォローした構成になって 大川さんは 本当に試行錯誤しながら取り組ん いる 実体験からの目線で整理した エンディング できました 在宅療養支援を行うための庁内合意で ノートの書き方 や先に紹介した 認知症集まれる は当初 難しい局面もあったのですが 議会の理解 場マップ なども掲載されている 多くの人の協 も得られました と言う 職員数に関しては 数の 力を得て 時間をかけて作り込みました 葛原さ 問題ではないと思います 少数精鋭であっても稼働 ん というとおり 在宅療養を考えるうえで必須な できる ただし体力面で参ってしまうこともあるの 要素がコンパクトに盛り込まれている で 課長職として職員のコンディションづくりには 国立市では 先にも紹介した地区の市民勉強会 などで 説明を交えて配布しているが ホームペー ジからもダウンロードできる 留意しているつもりです とも言う 健康福祉部全体でバックアップしていただいて いるという実感があります 例えば課長招集会議で 大川さんによれば 口から食べる重要性 看取 地域包括ケアの体制づくりに向けた合意形成が図ら り 終末期医療 地域包括支援センターの体制など れてきた経過があります 事務部門も窓口部門も地 など 海外からのゲストを含め 多職種の方々が参 域包括ケアとのつながりを意識して仕事をしていま 加してまちづくりを考えた背景が本市にはあります す 今後 住まい方をめぐって庁内合意を図る必要 ですから多層的な視点の構成で かつわかりやすく があると思っています 大川さん 整理できたのではないか という内容になっている 実践 検証を積み重ね 全庁総力戦で 最後に 大川さんに現場対応に苦慮する職員向 けにアドバイスを求めた 市民も悩んで苦慮した上で相談に来られる そ の気持ちをまずは汲むべきだろうと思います 相談 国立市は平成25年度から 地域包括支援セン を受けるケース1件1件に対して いっしょになっ ター 在宅医療相談窓口の職員からなる 認知症対 て考えていく その意味でも 継続的に話し合って 応チーム の機動体制を敷いた 在宅の認知症の いく職員の姿勢が問われているのではないでしょう 方に関し 医療機関とともにチームを組んで対応し か 市民との話し合いの積み上げが 地域の課題 ようという狙いである もともとは 認知症医療支 の抽出にもつながりますし 政策形成のヒントにも 援診療所地域連携モデル事業の調査チームが発足 なる と大川さんは言う そして そうした 繋が の契機になっているが 調査を終えた現在も医師の り を大事にしていきたいと大川さんは考えている 37