(案1)【28年3月版】知っておきたい働くときのルールについて



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平 成 34 年 4 月 1 日 から 平 成 37 年 3 月 31 日 まで 64 歳 第 2 章 労 働 契 約 ( 再 雇 用 希 望 の 申 出 ) 第 3 条 再 雇 用 職 員 として 継 続 して 雇 用 されることを 希 望 する 者 は 定 年 退 職 日 の3か 月 前 まで

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

育休代替任期付職員制度について

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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育児・介護休業等に関する規則

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

とする この 場 合 育 児 休 業 中 の 期 限 付 職 員 が 雇 用 契 約 を 更 新 するに 当 たり 引 き 続 き 育 児 休 業 を 希 望 する 場 合 には 更 新 された 雇 用 契 約 期 間 の 初 日 を 育 児 休 業 開 始 予 定 日 として 育 児 休 業 申

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

第 7 条 職 員 の 給 与 に 関 する 規 程 ( 以 下 給 与 規 程 という ) 第 21 条 第 1 項 に 規 定 す るそれぞれの 基 準 日 に 育 児 休 業 している 職 員 のうち 基 準 日 以 前 6 月 以 内 の 期 間 にお いて 在 職 した 期 間 がある 職

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(3) 職 員 の 初 任 給 の 状 況 ( 平 成 5 年 月 日 現 在 ) 決 定 初 任 給 採 用 年 経 過 後 給 料 月 額 大 学 卒 7, 8, 一 般 行 政 職 短 大 卒 9,8 6, 高 校 卒, 8,5 () 職 員 の 経 験 年 数 別 学 歴 別 平 均 給 料

基発第 号

27-045人事規程270401

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●労働基準法等の一部を改正する法律案

国立大学法人 東京医科歯科大学教職員就業規則

後 にまで 及 んでおり(このような 外 部 研 究 資 金 を 以 下 契 約 理 由 研 究 という ) かつ その 者 が 退 職 後 も 引 き 続 き 研 究 代 表 者 となることを 研 究 所 が 認 める 場 合 とし 理 事 室 の 命 を 受 けて 発 議 書 ( 別 に 定 め

目 次 休 暇 関 係 Q1 妊 娠 中 健 康 診 査 を 受 けるための 休 暇 が 取 れるのですか? Q2 出 産 予 定 日 の 何 日 前 から 休 暇 が 取 れるのですか? Q3 出 産 後 何 日 まで 休 暇 が 取 れるのですか? Q4 妻 が 出 産 するのですが 休 暇 が

第 4 条 (1) 使 用 者 は 2 年 を 超 えない 範 囲 内 で( 期 間 制 勤 労 契 約 の 反 復 更 新 等 の 場 合 は その 継 続 勤 労 した 総 期 間 が2 年 を 超 えない 範 囲 内 で) 期 間 制 勤 労 者 を 使 用 することができる ただ し 次 の


m07 北見工業大学 様式①

5 次 のいずれにも 該 当 する 従 業 員 は 子 が1 歳 6ヶ 月 に 達 するまでの 間 で 必 要 な 日 数 について 育 児 休 業 をするこ とができる なお 育 児 休 業 を 開 始 しようとする 日 は 原 則 として 子 の1 歳 の 誕 生 日 に 限 るものとする (1

参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

定款

公表表紙

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Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

労働時間と休日は、労働条件のもっとも基本的なものの一つです

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Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

16 日本学生支援機構

H28記入説明書(納付金・調整金)8

該 介 護 休 業 が 終 了 する 日 までに, 当 該 介 護 休 業 に 係 る 対 象 家 族 が 死 亡 したとき 又 は 離 婚, 婚 姻 の 取 消, 離 縁 等 により 当 該 介 護 休 業 に 係 る 対 象 家 族 との 親 族 関 係 が 消 滅 した とき (3) 配 偶

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平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

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( 補 助 金 等 交 付 決 定 通 知 に 加 える 条 件 ) 第 7 条 市 長 は 交 付 規 則 第 11 条 に 規 定 するところにより 補 助 金 の 交 付 決 定 に 際 し 次 に 掲 げる 条 件 を 付 するものとする (1) 事 業 完 了 後 に 消 費 税 及 び

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1 育 児 休 業 代 替 任 期 付 職 員 ( 一 般 事 務 職 )とは 育 児 休 業 代 替 任 期 付 職 員 とは 一 般 の 職 員 が 育 児 休 業 を 取 得 した 際 に 代 替 職 員 とし て 勤 務 する 職 員 です 一 般 事 務 職 については 候 補 者 として

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養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

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2 前 項 前 段 の 規 定 にかかわらず 年 俸 制 教 職 員 から 申 し 出 があった 場 合 においては 労 使 協 定 に 基 づき その 者 に 対 する 給 与 の 全 額 又 は 一 部 を 年 俸 制 教 職 員 が 希 望 する 金 融 機 関 等 の 本 人 名 義 の 口

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続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

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Microsoft Word - 紛争解決新聞発表2015

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

第 9 条 の 前 の 見 出 しを 削 り 同 条 に 見 出 しとして ( 部 分 休 業 の 承 認 ) を 付 し 同 条 中 1 日 を 通 じて2 時 間 ( 規 則 で 定 める 育 児 休 暇 を 承 認 されている 職 員 については 2 時 間 から 当 該 育 児 休 暇 の

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( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

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入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

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調査結果の概要

Transcription:

知 っておきたい 働 くときのルールについて 厚 生 労 働 省 労 働 基 準 局 監 督 課

目 次 はじめに 第 1 章 労 働 法 について 1 労 働 法 とはなんだろう 1 2 労 働 法 の 役 割 とは 1 3 労 働 組 合 とは 2 第 2 章 働 き 始 める 前 に 1 労 働 契 約 を 結 ぶとき 3 2 就 業 規 則 を 知 っていますか 6 3 安 心 して 働 くための 各 種 保 険 と 年 金 制 度 7 第 3 章 働 くときのルール 1 労 働 条 件 が 違 っていたら 9 2 賃 金 についてのきまり 10 3 労 働 時 間 と 休 憩 休 日 などについてのきまり 13 第 4 章 仕 事 を 辞 めるとき 辞 めさせられるとき 1 仕 事 を 辞 めるには( 退 職 ) 18 2 仕 事 を 辞 めさせられるとは( 解 雇 ) 18 3 会 社 が 倒 産 したら 21 第 5 章 多 様 な 働 き 方 1 派 遣 労 働 者 22 2 契 約 社 員 ( 有 期 労 働 契 約 ) 22 3 パートタイム 労 働 者 23 4 業 務 委 託 ( 請 負 ) 契 約 24 働 くときのルールについての 相 談 窓 口 25

知 っておきたい 働 くときのルールについて はじめに このパンフレットは みなさんが 働 くときに 知 っておきたい 労 働 法 に 関 する 基 本 的 な 知 識 について 労 働 基 準 監 督 署 という 厚 生 労 働 省 の 第 一 線 機 関 で 扱 っている 事 項 を 中 心 に 分 かりやすくまとめています テキストの 最 後 の 部 分 では 労 働 基 準 監 督 署 の 問 い 合 わせ 窓 口 についても 紹 介 していますのでご 利 用 下 さい 第 1 章 労 働 法 について 1 労 働 法 とはなんだろう 労 働 法 といっても 労 働 法 という 名 前 がついた 一 つの 法 律 があるわけではあり ません 労 働 問 題 に 関 するたくさんの 法 律 をひとまとめにして 労 働 法 と 呼 んでいま す その 中 には 労 働 基 準 法 や 労 働 組 合 法 をはじめ 最 低 賃 金 法 や 労 働 安 全 衛 生 法 といった 様 々な 法 律 が 含 まれています このパンフレットでは 働 く 人 々を 保 護 す るための 様 々な 法 律 で 決 められている 約 束 事 を 紹 介 しています 2 労 働 法 の 役 割 とは みなさんが 会 社 に 就 職 しようとする 場 合 みなさん( 働 く 人 労 働 者 )と 会 社 ( 雇 う 人 使 用 者 事 業 主 )との 間 で 働 きます 雇 います という 約 束 = 労 働 契 約 が 結 ばれます どういう 条 件 で 働 くかといった 契 約 内 容 も 労 働 者 と 使 用 者 の 合 意 で 決 め るのが 基 本 です 労 働 契 約 を 結 ぶことによって 会 社 は 労 働 契 約 で 定 めた 給 料 を 払 う という 義 務 を 負 いますが 一 方 で 労 働 者 の 皆 さんも 会 社 の 指 示 に 従 って 誠 実 に 働 く という 義 務 を 負 うことになります 労 働 契 約 が 労 働 者 と 使 用 者 の 合 意 で 決 めるのが 基 本 だからといって この 契 約 を 全 く 自 由 に 結 んでよいとしてしまったらどうなるでしょうか 労 働 者 はどこかに 雇 ってもらって 給 料 をもらわなければ 生 計 を 立 てていくことが できません したがって 雇 ってもらうためには 給 料 や 働 く 時 間 に 不 満 があっても 会 社 の 提 示 した 条 件 どおりに 契 約 を 結 ばなければいけないかもしれません また もっと 高 い 給 料 で 働 きたいと 言 って 会 社 と 交 渉 しようとしても ほかにも 働 きたい 人 はいるから 嫌 なら 働 かなくていい と 会 社 に 言 われてしまえば 結 局 会 社 の 一 方 的 な 条 件 に 従 わなければいけなくなることもあるでしょう 1

このように 全 くの 自 由 にしてしまうと 実 際 には 立 場 の 弱 い 労 働 者 にとって 低 賃 金 や 長 時 間 など 劣 悪 な 労 働 条 件 の 不 利 な 契 約 内 容 となってしまうかもしれませ ん そうしたことにならないよう 労 働 者 を 保 護 するために 労 働 法 は 定 められていま す 労 働 法 について 知 識 をつけておくことが みなさん 自 身 の 権 利 を 守 ることにつな がります なお 労 働 法 の 保 護 を 受 ける 労 働 者 には 雇 われて 働 いている 人 は 皆 含 まれ ますので 正 社 員 だけでなく パートタイム 労 働 者 やアルバイトも 労 働 者 として 労 働 法 の 適 用 を 受 けます 3 労 働 組 合 とは 労 働 組 合 とは 労 働 者 が 主 体 となって 自 主 的 に 労 働 条 件 の 維 持 改 善 や 経 済 的 地 位 の 向 上 を 目 的 として 組 織 する 団 体 すなわち 労 働 者 が 自 分 たちの 手 で 自 分 たちの 権 利 を 守 るために 作 る 団 体 です 休 みも 十 分 にとれずに 低 賃 金 で 働 いている 状 況 をなんとかしたくても 労 働 者 ひ とりで 会 社 相 手 に 改 善 を 要 求 実 現 していくことは 簡 単 なことではありません 要 求 しても 君 の 代 わりはいくらでもいるから 嫌 なら 辞 めてくれていいよ と 会 社 に 言 われてしまったらそれで 終 わり ということにもなりかねないからです そこで 労 働 者 が 集 団 となることで 労 働 者 が 会 社 と 対 等 な 立 場 で 交 渉 できるよう 日 本 国 憲 法 では 1 労 働 者 が 労 働 組 合 を 結 成 する 権 利 ( 団 結 権 ) 2 労 働 者 が 使 用 者 ( 会 社 )と 団 体 交 渉 する 権 利 ( 団 体 交 渉 権 ) 3 労 働 者 が 要 求 実 現 のために 団 体 で 行 動 する 権 利 ( 団 体 行 動 権 ( 争 議 権 )) の 労 働 三 権 を 保 障 しています( 日 本 国 憲 法 第 28 条 ) そして この 権 利 を 具 体 的 に 保 障 するため 労 働 組 合 法 が 定 められており 会 社 は 正 当 な 理 由 がないのに 団 体 交 渉 を 行 うことを 拒 否 してはいけないとされています また 労 働 組 合 法 は 会 社 が 労 働 組 合 に 入 らないことを 雇 用 の 条 件 としたり 労 働 組 合 の 組 合 員 であることなどを 理 由 に 解 雇 や 不 利 益 な 取 扱 い( 給 料 の 引 き 下 げ 嫌 がらせなど)をすることなどを 不 当 労 働 行 為 として 禁 止 しています このような 不 当 労 働 行 為 を 受 けたときは 労 働 組 合 側 は 労 働 委 員 会 に 救 済 を 求 めることがで きます 2

第 2 章 働 き 始 める 前 に 1 労 働 契 約 を 結 ぶとき みなさんが 仕 事 をするときは 仕 事 の 内 容 や 給 料 勤 務 日 などの 労 働 条 件 をチェ ックして 自 分 に 合 った 条 件 の 会 社 で 働 こうとしますね しかし 条 件 の 合 う 会 社 に 就 職 できても 実 際 に 働 き 始 めたら 会 社 の 人 が 最 初 に 言 っていたことと 全 く 条 件 が 違 っていた なんてことになってしまったら 困 ってしまいます そこで 労 働 法 ではそ んなことがないように 労 働 契 約 を 結 ぶときには 使 用 者 が 労 働 者 に 労 働 条 件 をき ちんと 示 すことを 義 務 として 定 めています さらに 特 に 重 要 な 次 の6 項 目 については 口 約 束 だけではなく 使 用 者 は 労 働 者 に 対 しきちんと 書 面 を 交 付 しなければならないことが 定 められています( 労 働 基 準 法 第 15 条 ) 1 契 約 はいつまでか( 労 働 契 約 の 期 間 に 関 すること) 2 期 限 の 定 めのある 契 約 の 更 新 についてのきまり( 更 新 があるかどうか 更 新 する 場 合 の 判 断 のしかたなど) 3 どこでどんな 仕 事 をするのか( 仕 事 をする 場 所 仕 事 の 内 容 ) 4 仕 事 の 時 間 や 休 みはどうなっているのか( 仕 事 の 始 めと 終 わりの 時 刻 残 業 の 有 無 休 憩 時 間 休 日 休 暇 交 替 制 勤 務 のローテーション 等 ) 5 賃 金 はどのように 支 払 われるのか( 賃 金 の 決 め 方 計 算 と 支 払 いの 方 法 締 切 日 と 支 払 日 ) 6 辞 めるときのきまり( 退 職 に 関 すること( 解 雇 を 含 む)) 労 働 契 約 を 結 ぶときに 期 間 を 定 める 場 合 と 期 間 を 定 めない 場 合 がありま す 一 般 的 に 正 社 員 は 長 期 雇 用 を 前 提 として 特 に 期 間 の 定 めがなく アルバ イトやパートタイム 労 働 者 は 期 間 の 定 めがあることが 多 いです これら 以 外 の 労 働 契 約 の 内 容 についても 労 働 者 と 使 用 者 はできる 限 り 書 面 で 確 認 する 必 要 があると 定 められています( 労 働 契 約 法 第 4 条 第 2 項 ) 3

もう 一 歩 進 んで 労 働 契 約 の 禁 止 事 項 今 の 会 社 を 辞 めて 新 しい 会 社 に 転 職 したくなったときに 途 中 で 辞 めると ペナルティとして 罰 金 を 取 られるという 条 件 があっては 辞 めることができ なくなりますよね そこで 労 働 法 では 労 働 者 が 不 当 に 会 社 に 拘 束 される ことのないように 労 働 契 約 を 結 ぶときに 会 社 が 契 約 に 盛 り 込 んではなら ない 条 件 も 定 められています 1 労 働 者 が 労 働 契 約 に 違 反 した 場 合 の 違 約 金 の 額 を あらかじめ 決 めてお くこと( 労 働 基 準 法 第 16 条 ) たとえば 使 用 者 が 労 働 者 に 対 し 1 年 未 満 で 会 社 を 退 職 したときは ペナルティとして 罰 金 10 万 円 会 社 の 備 品 を 壊 したら1 万 円 などとあ らかじめ 決 めておいたとしても それに 従 う 必 要 はありません もっとも これは 実 際 の 損 害 とは 無 関 係 にあらかじめ 賠 償 額 について 定 めておくこと を 禁 止 するものですので 労 働 者 が 故 意 や 重 大 な 不 注 意 で 現 実 に 会 社 に 大 きな 損 害 を 与 えてしまった 場 合 などに 損 害 賠 償 請 求 を 免 れるという 訳 で はありません 2 労 働 することを 条 件 として 労 働 者 にお 金 を 前 貸 しし 毎 月 の 給 料 から 一 方 的 に 天 引 きしたり 辞 めるときには1 度 に 全 額 を 返 済 させたりすること ( 労 働 基 準 法 第 17 条 ) 労 働 者 が 会 社 からの 借 金 のために 辞 めたくても 辞 められなくなるのを 防 止 するためのものです 3 労 働 者 に 強 制 的 に 会 社 にお 金 を 積 み 立 てさせること( 労 働 基 準 法 第 18 条 ) 積 立 の 理 由 は 関 係 なく 社 員 旅 行 費 など 労 働 者 の 福 祉 のためでも 強 制 的 に 積 み 立 てさせることは 禁 止 されています ただし 社 内 預 金 制 度 があ るところなど 労 働 者 の 意 思 に 基 づいて 会 社 に 賃 金 の 一 部 を 委 託 するこ とは 一 定 の 要 件 のもと 許 されています 4

もう 一 歩 進 んで 採 用 内 定 新 規 学 卒 者 の 採 用 においては 就 職 活 動 採 用 試 験 の 後 実 際 に 入 社 する 日 よりかなり 前 に 採 用 の 内 定 をもらうというのが 一 般 的 ですが この 採 用 内 定 にはどのような 意 味 があるのでしょうか 大 変 な 就 職 活 動 を 経 て 行 きた い 会 社 から 春 からうちにきて 下 さい と 言 われたら その 会 社 で 働 けるこ とを 期 待 するのが 当 然 ですし 突 然 なかったことにする と 言 われてし まっては その 先 の 予 定 がすべて 狂 ってしまうことにもなりかねません そ こで 採 用 内 定 により 労 働 契 約 が 成 立 したと 認 められる 場 合 には 内 定 取 消 しは 契 約 の 解 約 となるとされています したがって この 場 合 は 通 常 の 解 雇 と 同 様 正 当 な 理 由 がなければできません もっとも 実 際 に 働 き 始 めた 後 の 解 雇 よりは 解 約 理 由 が 広 く 認 められます ので 学 校 を 卒 業 できなかった 場 合 や 所 定 の 免 許 資 格 が 取 得 できなかった 場 合 健 康 状 態 が 悪 化 し 働 くことが 困 難 となった 場 合 履 歴 書 の 記 載 内 容 に 重 大 な 虚 偽 記 載 があった 場 合 刑 事 事 件 を 起 こしてしまった 場 合 などには 内 定 取 消 しが 正 当 と 判 断 され 得 ます もう 一 歩 進 んで 業 務 命 令 労 働 契 約 を 結 ぶことに 伴 って 会 社 の 業 務 命 令 に 従 う 義 務 も 発 生 します 業 務 命 令 の 内 容 は 出 勤 時 刻 の 遵 守 毎 日 の 仕 事 の 進 め 方 から 残 業 の 指 示 職 種 や 勤 務 場 所 の 変 更 出 張 応 援 から 出 向 等 々 会 社 での 生 活 全 般 に 及 びます この 業 務 命 令 は その 命 令 の 内 容 について 責 任 と 権 限 を 持 ち 労 働 者 を 管 理 する 立 場 にある 人 が 発 します 労 働 者 は 業 務 命 令 に 従 う 義 務 があり もし 正 当 な 理 由 がないのにこの 命 令 に 従 わなければ 就 業 規 則 の 定 めに 従 って 懲 戒 処 分 されることもあり 得 ます ただ 業 務 命 令 ならどのようなものでも 従 わなければならないというもので はありません 労 働 基 準 法 などの 法 律 に 違 反 する 内 容 のものや 労 働 契 約 就 業 規 則 の 内 容 に 反 するもの それに 従 うことによって 大 きな 不 利 益 を 被 るもの など 内 容 に 合 理 性 がない 業 務 命 令 に 従 う 義 務 はないとされています 5

2 就 業 規 則 を 知 っていますか みなさんが 会 社 で 働 くときの 労 働 条 件 は その 職 場 で 働 く 人 たち 皆 に 共 通 のもの が 多 いですが そのような 共 通 のルールは 就 業 規 則 に 定 められることになってい ます 就 業 規 則 は 労 働 者 の 賃 金 や 労 働 時 間 などの 労 働 条 件 に 関 すること 職 場 内 の 規 律 等 について 労 働 者 の 意 見 を 聴 いた 上 で 使 用 者 が 作 成 するルールブックです 大 勢 の 集 まりである 会 社 においては ルールを 定 めそれを 守 ることで みんなが 安 心 して 働 き 無 用 なトラブルを 防 ぐことができるので 就 業 規 則 の 役 割 は 重 要 です 就 業 規 則 は 掲 示 したり 配 布 したりして 労 働 者 がいつでも 内 容 が 分 かるようにして おかなければいけないとされていますので( 労 働 基 準 法 第 106 条 ) 自 分 の 職 場 で 何 か 気 になることがあるときは 就 業 規 則 を 見 て 確 認 しましょう もう 一 歩 進 んで 就 業 規 則 のきまり 常 時 10 人 以 上 の 労 働 者 を 雇 用 している 会 社 ( 事 務 所 工 場 店 舗 など)は 必 ず 就 業 規 則 を 作 成 し 労 働 基 準 監 督 署 に 届 け 出 なければいけません( 労 働 基 準 法 第 89 条 ) 就 業 規 則 に 必 ず 記 載 しなければいけない 事 項 ( 労 働 基 準 法 第 89 条 ) 始 業 および 終 業 の 時 刻 休 憩 時 間 休 日 休 暇 交 替 勤 務 制 の 場 合 の 就 業 時 転 換 ( 交 替 制 )に 関 する 事 項 賃 金 に 関 する 事 項 退 職 に 関 する 事 項 就 業 規 則 の 作 成 変 更 をする 際 には 必 ず 労 働 者 側 の 意 見 を 聴 かなければいけ ません( 労 働 基 準 法 第 90 条 ) 就 業 規 則 の 内 容 は 法 令 や 労 働 協 約 に 反 してはなりません( 労 働 基 準 法 第 92 条 労 働 契 約 法 第 13 条 ) 6

3 安 心 して 働 くための 各 種 保 険 と 年 金 制 度 みなさんは 求 人 情 報 を 見 ているときに 各 種 保 険 完 備 と 書 かれている 会 社 を 見 たことがあると 思 いますが これはどういう 意 味 でしょうか 各 種 保 険 完 備 とは 一 般 に 会 社 が 労 災 保 険 雇 用 保 険 健 康 保 険 厚 生 年 金 保 険 に 加 入 しており その 会 社 で 働 く 従 業 員 にはそれらの 制 度 が 適 用 されますよ ということを 示 してい ます これらは 病 気 や 怪 我 をしたとき 出 産 をしたとき 失 業 したとき 高 齢 になっ たときなど 働 けなくなってしまうような 様 々な 場 面 で 必 要 な 給 付 を 受 けられるよう にして 労 働 者 の 生 活 を 守 ることを 目 的 とした 制 度 です 就 業 する 際 には 自 分 が 働 こうとしている 会 社 がどういった 制 度 に 加 入 しているのかチェックしておくことがと ても 大 切 です もう 一 歩 進 んで それぞれの 制 度 を 見 てみよう 労 災 保 険 労 災 保 険 は 労 働 者 の 業 務 が 原 因 の 怪 我 病 気 障 害 死 亡 ( 業 務 災 害 ) または 通 勤 の 途 中 の 事 故 などの 場 合 ( 通 勤 災 害 )に 国 が 会 社 に 代 わって 給 付 を 行 う 公 的 な 制 度 です 基 本 的 に 労 働 者 を1 人 でも 雇 用 する 会 社 は 加 入 が 義 務 付 けられており 保 険 料 は 全 額 会 社 が 負 担 します 労 災 保 険 は 災 害 を 受 けた 労 働 者 にとって 補 償 内 容 が 健 康 保 険 よりも 手 厚 くなっています 例 えば 労 災 保 険 の 指 定 病 院 にかかれば 治 療 費 は 原 則 として 無 料 になりますし( 指 定 されていない 病 院 の 場 合 労 働 者 が 一 旦 治 療 費 の 全 額 を 病 院 に 支 払 う( 立 て 替 える) 必 要 がありますが 立 替 分 が 後 で 支 払 われます) 仕 事 を 休 まなければいけなくなったときには 休 業 補 償 ( 休 業 4 日 目 から 平 均 賃 金 に 相 当 する 額 の8 割 支 給 )が 受 けられます また 業 務 災 害 で 療 養 休 業 中 とその 後 30 日 間 は 労 働 者 を 解 雇 することは できません( 労 働 基 準 法 第 19 条 ) また うつ 病 などの 精 神 的 な 不 調 も 長 時 間 労 働 や 職 場 でのひどい 嫌 が らせ いじめなど 仕 事 が 原 因 の 場 合 には 労 災 として 申 請 ができます 仕 事 中 だけでなく 通 勤 途 中 の 電 車 で 事 故 に 遭 った 場 合 など 通 勤 中 の 怪 我 も 労 災 保 険 の 対 象 です ただし 通 勤 途 中 であればどこであっても 対 象 となるわけではないので 通 勤 経 路 から 外 れて 寄 り 道 をした 際 に 事 故 に 遭 った 場 合 などは 通 勤 途 中 で 起 きた 事 故 といえず 労 災 保 険 の 対 象 に はなりません(わずかな 寄 り 道 など 例 外 もあります ) したがって 仕 事 での 病 気 やけがは 労 災 保 険 による 補 償 が 得 られるよう 必 要 な 請 求 をすることが 大 事 です( 労 災 保 険 による 補 償 が 受 けられる 場 合 に は 健 康 保 険 を 利 用 することはできません また 労 働 者 が 仕 事 を 休 業 しな 7

ければならないほどの 労 働 災 害 に 遭 った 場 合 には 労 働 者 による 労 災 請 求 と は 別 に 会 社 が 労 災 事 故 について 労 働 基 準 監 督 署 に 届 ける 必 要 があり 届 け ない 場 合 労 災 かくし として 法 律 違 反 となります ) 労 災 請 求 をする 際 に 会 社 が 協 力 してくれない 場 合 は 労 働 基 準 監 督 署 に 相 談 しましょう また 仮 に 会 社 が 加 入 手 続 きをしていない 場 合 でも 労 災 請 求 が 可 能 であり 補 償 を 受 けられます 詳 しくはこちらをご 覧 下 さい http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roud oukijun/zigyonushi/rousai/index.html 雇 用 保 険 雇 用 保 険 は 労 働 者 が 失 業 した 場 合 に 生 活 の 安 定 と 就 職 の 促 進 のための 失 業 等 給 付 を 行 う 保 険 制 度 です 詳 しくはこちらをご 覧 下 さい http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken.html 健 康 保 険 健 康 保 険 は 労 働 者 やその 家 族 が ( 業 務 などを 原 因 としない) 病 気 や 怪 我 をしたときや 出 産 をしたとき 亡 くなったときなどに 必 要 な 医 療 給 付 や 手 当 金 の 支 給 をすることで 生 活 を 安 定 させることを 目 的 とした 社 会 保 険 制 度 です 詳 しくは 御 加 入 の 医 療 保 険 者 ( 全 国 健 康 保 険 協 会 又 は 健 康 保 険 組 合 )にお 問 い 合 わせください 厚 生 年 金 保 険 厚 生 年 金 保 険 は 労 働 者 が 高 齢 となって 働 けなくなったり 何 らかの 病 気 や 怪 我 によって 身 体 に 障 害 が 残 ってしまったり 一 家 の 大 黒 柱 を 亡 くし てその 遺 族 が 生 活 に 困 窮 してしまうといった 事 態 に 際 し 保 険 給 付 を 行 い 労 働 者 とその 遺 族 の 生 活 の 安 定 と 福 祉 の 向 上 に 寄 与 することを 目 的 とした 制 度 です 詳 しくはこちらをご 覧 下 さい http://www.nenkin.go.jp/n/www/index.html 8

第 3 章 働 くときのルール 1 労 働 条 件 が 違 っていたら 実 際 に 働 き 始 めたら 給 料 労 働 時 間 仕 事 の 内 容 など あらかじめ 示 された 労 働 契 約 の 内 容 と 実 際 の 労 働 条 件 が 違 っていた 場 合 にはどうすればよいのでしょう か そのようなトラブルがないように 労 働 基 準 法 では 使 用 者 に 労 働 条 件 の 明 示 が 義 務 づけられていることは 既 に 述 べましたが(P.3 参 照 ) 実 際 の 労 働 条 件 が 違 って いた 場 合 には 労 働 者 は 約 束 どおりにするように 要 求 できます( 労 働 基 準 法 第 15 条 ) 労 働 条 件 が 約 束 どおりに 戻 らなかった 場 合 は 有 期 労 働 契 約 の 契 約 期 間 途 中 であっても 退 職 することができます また 今 経 営 が 苦 しいので 来 月 から 給 料 を 引 き 下 げます などと 会 社 が 勝 手 に 労 働 条 件 を 変 更 しようとした 場 合 にはどうすればよいのでしょうか 賃 金 などの 労 働 条 件 は 使 用 者 と 労 働 者 で 交 わした 約 束 ( 労 働 契 約 )で 定 められているもので すから 会 社 は 払 うと 約 束 した 賃 金 はきちんと 支 払 わなければならず 労 働 者 の 同 意 がないのに 労 働 者 に 不 利 益 なものに 変 更 することは 約 束 違 反 であり 許 されま せん( 労 働 契 約 法 第 9 条 ) もう 一 歩 進 んで 不 利 益 変 更 の 注 意 点 引 き 下 げられた 給 料 をただ 黙 って 受 け 取 っていると 同 意 があったとみなさ れてしまうおそれがあるので 注 意 しなくてはなりません いつもより 額 が 少 なかった など 気 になることがあった 場 合 は 会 社 に 問 い 合 わせてみること をお 勧 めします また 職 場 の 共 通 ルールである 就 業 規 則 の 変 更 によって 就 業 規 則 で 統 一 的 に 定 まっている 労 働 条 件 を 不 利 益 に 変 更 することもできません( 労 働 契 約 法 第 9 条 ) ただし その 変 更 が 諸 事 情 に 照 らして 合 理 性 があり かつ 労 働 者 に 周 知 されていた 場 合 には 就 業 規 則 の 変 更 による 労 働 条 件 の 不 利 益 変 更 が 認 めら れる 場 合 もあります( 労 働 契 約 法 第 10 条 ) もっとも 合 理 性 があるかは 変 更 の 必 要 性 や 労 働 者 が 受 ける 不 利 益 の 度 合 い 変 更 後 の 就 業 規 則 の 内 容 の 相 当 性 労 働 組 合 との 交 渉 の 状 況 などから 判 断 されるべきものですので それらの 基 準 を 満 たさない 限 り 変 更 することはできません また 変 更 後 の 内 容 が 法 令 や 労 働 協 約 に 反 している 場 合 も 無 効 です 9

2 賃 金 についてのきまり 賃 金 額 についてのきまり 仕 事 を 選 ぶときには 給 料 ( 法 律 では 賃 金 といいます)の 額 は 重 要 なポイント となりますね 例 えば みなさんがアルバイトをしようと 考 えたとき 多 くの 募 集 の 中 から 選 べるときには なるべく 時 給 の 高 いものを 選 ぼうと 考 えるでしょう しかし 逆 に 求 人 が 少 ないときには 時 給 が 低 くてもその 中 から 仕 事 を 選 ばざるを 得 ないとい うこともあるかもしれません 本 来 アルバイトの 時 給 など 賃 金 の 額 は 人 を 雇 いた い 会 社 がたくさんあって 求 人 が 多 いときは 高 くなり 逆 に 求 人 が 少 ないのに 働 きた い 人 が 多 いときには 低 くなるものです では 会 社 は 状 況 に 応 じて 自 由 に 時 給 を 設 定 して 時 給 500 円 でも 働 ける 人 を 募 集 しようとすることはできるのでしょうか 賃 金 は 労 働 者 の 生 活 の 柱 となるものですから 景 気 や 求 人 の 状 況 によって 賃 金 が 低 くなりすぎて 働 いても 生 活 の 維 持 が 困 難 となるということは 防 止 しなけれ ばいけません そこで 最 低 賃 金 法 によって 使 用 者 が 支 払 わなければならない 賃 金 の 最 低 限 度 額 が 定 められています 最 低 賃 金 額 は 都 道 府 県 ごとに 決 まっていて 例 え ば 東 京 では 時 給 907 円 です( 平 成 28 年 3 月 現 在 ) この 最 低 賃 金 は 労 働 者 の 大 事 な 権 利 であり たとえ 労 働 者 が 同 意 したとしても それより 低 い 賃 金 での 契 約 は 認 められません もし みなさんが 頼 まれて 時 給 500 円 で 働 くことに 同 意 してしまっ たとしても その 約 束 は 法 律 によって 無 効 となり 最 低 賃 金 額 と 同 額 の 約 束 をした ものとみなされます したがって 会 社 は 最 低 賃 金 との 差 額 働 いた 時 間 分 ( 東 京 なら 407 円 時 間 )を 支 払 わなければなりません もう 一 歩 進 んで 最 低 賃 金 の 種 類 最 低 賃 金 には すべての 労 働 者 とその 使 用 者 に 適 用 される 地 域 別 最 低 賃 金 と 特 定 の 産 業 に 従 事 する 労 働 者 とその 使 用 者 に 適 用 される 特 定 最 低 賃 金 があり それぞれ 都 道 府 県 ごとに 決 められています 両 方 の 最 低 賃 金 が 同 時 に 適 用 される 場 合 には 高 い 方 の 最 低 賃 金 が 適 用 されます 最 低 賃 金 制 度 や 最 低 賃 金 額 について 詳 しくはHPをご 覧 下 さい 最 低 賃 金 制 度 10

支 払 われ 方 についてのきまり 賃 金 が 全 額 確 実 に 労 働 者 に 渡 るように 支 払 われ 方 にも 決 まりがあり 次 の4 つの 原 則 が 定 められています( 労 働 基 準 法 第 24 条 ) 1 通 貨 払 いの 原 則 賃 金 は 現 金 で 支 払 わなければならず 現 物 ( 会 社 の 商 品 など)で 支 払 ってはい けません ただし 労 働 者 の 同 意 を 得 た 場 合 は 銀 行 振 込 み 等 の 方 法 によること ができます 2 直 接 払 いの 原 則 賃 金 は 労 働 者 本 人 に 支 払 わなければなりません 未 成 年 者 だからといって 代 わりに 親 などに 支 払 うことはできません 3 全 額 払 いの 原 則 賃 金 は 全 額 残 らず 支 払 われなければなりません したがって 積 立 金 などの 名 目 で 強 制 的 に 賃 金 の 一 部 を 控 除 ( 天 引 き)して 支 払 うことは 禁 止 されています ただし 所 得 税 や 社 会 保 険 料 など 法 令 で 定 められているものの 控 除 は 認 めら れています それ 以 外 は 労 働 者 の 過 半 数 で 組 織 する 労 働 組 合 または 労 働 者 の 過 半 数 を 代 表 する 者 との 間 で 結 んだ 労 使 協 定 で 定 めたものに 限 って 認 められま す 4 毎 月 1 回 以 上 定 期 払 の 原 則 賃 金 は 毎 月 1 回 以 上 一 定 の 期 日 を 定 めて 支 払 わなければいけません した がって 今 月 分 は 来 月 2か 月 分 まとめて 払 うから 待 ってくれ ということは 認 められ ませんし 支 払 日 を 毎 月 20 日 ~25 日 の 間 や 毎 月 第 4 金 曜 日 など 変 動 する 期 日 とすることは 認 められません ただし 臨 時 の 賃 金 や 賞 与 (ボーナス)は 例 外 とし て 適 用 はありません 11

もう 一 歩 進 んで 賃 金 についてのその 他 の 決 まり その 他 労 働 者 の 生 活 の 保 障 のため 賃 金 については 以 下 のような 決 ま りもあります 減 給 の 定 めの 制 限 ( 労 働 基 準 法 第 91 条 ) 労 働 者 が 無 断 欠 勤 や 遅 刻 を 繰 り 返 したりして 職 場 の 秩 序 を 乱 したり 職 場 の 備 品 を 勝 手 に 私 用 で 持 ち 出 したりする 等 の 規 律 違 反 をしたことを 理 由 に 制 裁 として 賃 金 の 一 部 を 減 額 することを 減 給 といいます 1 回 の 減 給 金 額 は 平 均 賃 金 の1 日 分 の 半 額 を 超 えてはなりません また 複 数 回 規 律 違 反 をしたとしても 減 給 の 総 額 が 一 賃 金 支 払 期 における 金 額 ( 月 給 なら 月 給 の 金 額 )の10 分 の1 以 下 でなくてはなりません また 減 給 の 制 裁 を 行 うには あらかじめ 就 業 規 則 で 定 めておくことが 必 要 です 休 業 手 当 ( 労 働 基 準 法 第 26 条 ) 使 用 者 の 責 任 で 労 働 者 を 休 業 させた 場 合 には 労 働 者 の 最 低 限 の 生 活 の 保 障 を 図 るため 使 用 者 は 平 均 賃 金 の6 割 以 上 の 休 業 手 当 を 支 払 わなけれ ばなりません したがって 働 いていないから 給 料 がもらえないのは 仕 方 ない ということはなく 休 みが 会 社 の 都 合 である 以 上 一 定 程 度 の 賃 金 は 保 障 されています 給 与 明 細 書 ( 所 得 税 法 第 231 条 ) 労 働 基 準 法 には 給 与 明 細 書 を 必 ず 渡 さなければいけないという 決 まりは ありませんが 所 得 税 法 において 給 与 を 支 払 う 者 は 給 与 の 支 払 を 受 ける 者 に 支 払 明 細 書 を 交 付 しなくてはならないと 定 められています したがっ て 会 社 には 従 業 員 に 給 与 明 細 書 を 交 付 する 義 務 があり 給 与 を 支 払 う 際 に 交 付 しなければいけません 給 与 明 細 書 は 賃 金 がいくら 支 払 われたのか 税 金 や 保 険 料 はいくら 引 かれているのかなど 重 要 な 証 拠 となるものですから 内 容 をしっかり 確 認 し 万 が 一 のトラブルに 備 えて 保 管 しておくことが 大 事 です 12

3 労 働 時 間 や 休 憩 休 日 などについての 決 まり 労 働 時 間 の 決 まり どんな 仕 事 でも 長 時 間 続 けて 働 くことは 心 身 ともに 大 きな 負 担 となります 最 近 では 過 労 によるストレスなども 大 きな 問 題 となっています 労 働 者 が 働 きすぎ にならないように 労 働 時 間 や 休 憩 休 日 についても 決 まりがあります 先 ほど 述 べたとおり(P.6) 就 業 規 則 で 始 業 や 終 業 の 時 刻 が 決 まっています 働 くあなたは 始 業 の 時 刻 に 遅 刻 しないようにし 勤 務 時 間 中 は 無 断 で 職 場 を 離 れる ことなく 上 司 の 指 示 に 従 って 誠 実 に 業 務 を 遂 行 しなければなりません 働 く 時 間 の 長 さは 法 律 で 制 限 されています 労 働 基 準 法 では 1 日 の 労 働 時 間 を8 時 間 以 内 1 週 間 の 労 働 時 間 を 40 時 間 以 内 と 定 めています( 法 定 労 働 時 間 労 働 基 準 法 第 32 条 ) 使 用 者 が 法 定 労 働 時 間 を 超 えて 労 働 者 を 働 かせる 場 合 には あらかじめ 労 働 者 の 過 半 数 で 組 織 する 労 働 組 合 又 は 過 半 数 を 代 表 する 者 との 間 に 時 間 外 労 働 休 日 労 働 に 関 する 協 定 を 締 結 し 労 働 基 準 監 督 署 に 届 け 出 なければいけま せん( 労 働 基 準 法 第 36 条 ) この 協 定 は 労 働 基 準 法 第 36 条 に 規 定 されていること から 36 協 定 (サブロク 協 定 ) と 呼 ばれています 36 協 定 により 延 長 できる 労 働 時 間 については 厚 生 労 働 大 臣 が 定 める 時 間 外 労 働 の 限 度 に 関 する 基 準 ( 厚 生 労 働 省 告 示 )において 上 限 時 間 が 示 されており 協 定 内 容 はこの 基 準 に 適 合 するようにしなければなりません( 原 則 月 45 時 間 年 360 時 間 ) また 使 用 者 が 労 働 者 に 時 間 外 労 働 をさせた 場 合 には 割 増 賃 金 (いわゆる 残 業 代 )を 支 払 わなければなりません 1 法 定 労 働 時 間 を 超 えて 働 かせた 時 ( 時 間 外 労 働 )は 25% 以 上 増 2 法 定 休 日 に 働 かせた 時 ( 休 日 労 働 )は 35% 以 上 増 3 午 後 10 時 から 午 前 5 時 までの 深 夜 に 働 かせた 時 ( 深 夜 労 働 )は 25% 以 上 増 例 えば 法 定 労 働 時 間 外 の 労 働 かつ 深 夜 労 働 であった 場 合 (1+3)は 支 給 される 賃 金 は50% 以 上 増 えます 1 か 月 60 時 間 を 超 える 時 間 外 労 働 については 50% 以 上 の 割 増 賃 金 を 支 払 わ なければなりません ただし 中 小 企 業 については 当 分 の 間 25% 以 上 の 割 増 賃 金 の 支 払 いで 足 りるとされています この 割 増 賃 金 は 雇 用 形 態 に 関 わらず すべての 労 働 者 に 適 用 されます よって アルバイトやパートタイム 労 働 者 にも 支 払 わなければなりません サービス 残 業 といって 法 定 労 働 時 間 を 超 えて 働 いているのに 時 間 外 手 当 が 支 払 われないということを 聞 いたことがあるかもしれませんが それは 労 働 基 準 法 違 反 です 会 社 が 支 払 わない 場 合 は 労 働 基 準 監 督 署 に 相 談 しましょう 13

休 憩 休 日 の 決 まり 使 用 者 は1 日 の 労 働 時 間 が6 時 間 を 超 える 場 合 には 少 なくとも 45 分 8 時 間 を 超 える 場 合 には 少 なくとも 60 分 の 休 憩 を 勤 務 時 間 の 途 中 で 与 えなければいけま せん( 労 働 基 準 法 第 34 条 ) 休 憩 時 間 は 労 働 者 が 自 由 に 利 用 できるものでなければならないので 休 憩 中 でも 電 話 や 来 客 の 対 応 をするように 指 示 されていれば それは 休 憩 時 間 ではなく 労 働 時 間 とみなされます また 労 働 契 約 において 労 働 義 務 を 免 除 されている 日 のことを 休 日 といいます 使 用 者 は 労 働 者 に 毎 週 少 なくとも1 回 あるいは4 週 間 を 通 じて4 日 以 上 の 休 日 を 与 えなければなりません( 法 定 休 日 労 働 基 準 法 第 35 条 ) もう 一 歩 進 んで 手 待 時 間 も 労 働 時 間 労 働 時 間 とは 始 業 時 刻 から 終 業 時 刻 までの 時 間 から 休 憩 時 間 を 除 いた 時 間 をいいます この 労 働 時 間 は 使 用 者 の 指 揮 監 督 下 にある 時 間 をいい 必 ずしも 実 際 に 作 業 に 従 事 していることは 要 しません したがって 会 議 が 始 まるまでの 待 機 している 時 間 や 途 切 れた 資 材 の 到 着 を 待 って 作 業 の 手 を 止 めている 場 合 など 実 際 には 何 もしていなくてもその 場 を 離 れることができ ない 場 合 それらの 時 間 (これを 一 般 に 手 待 時 間 といいます )は 労 働 時 間 ということになります また 昼 の 休 憩 時 間 中 であっても 電 話 当 番 など として かかってきた 電 話 に 応 対 しなければならない 場 合 などには その 時 間 も 労 働 時 間 となります もう 一 歩 進 んで 変 形 労 働 時 間 制 ( 労 働 基 準 法 第 32 条 の2~ 第 32 条 の5) 変 形 労 働 時 間 制 とは 一 定 の 要 件 の 下 一 定 の 期 間 を 平 均 して1 週 間 の 労 働 時 間 が 40 時 間 を 超 えない 範 囲 で 特 定 の 日 の 労 働 時 間 が8 時 間 を 超 えた り 特 定 の 週 の 労 働 時 間 が 40 時 間 を 超 えて 労 働 させることができる 制 度 で す 繁 閑 の 差 が 激 しい 業 種 において この 制 度 は 業 務 の 忙 しい 時 期 と 比 較 的 暇 な 時 期 に 応 じて 労 働 時 間 をあらかじめ 計 画 的 に 配 分 し 全 体 の 労 働 時 間 の 短 縮 を 図 るためなどに 利 用 されています 変 形 労 働 時 間 制 には 1か 月 単 位 1 年 単 位 の 変 形 労 働 時 間 制 1 週 間 以 内 の 非 定 型 的 変 形 労 働 時 間 制 労 働 者 が 自 分 で 始 業 時 刻 終 業 時 刻 を 決 定 で きるフレックスタイム 制 があります 変 形 労 働 時 間 制 は 労 働 時 間 を 弾 力 化 することで 業 務 の 効 率 をよくする 反 14

面 労 働 者 にとっては 生 活 が 不 規 則 となったり 通 常 の 労 働 時 間 制 ならば 時 間 外 手 当 の 対 象 となる 時 間 がそうでなくなったりすることにつながるな どの 問 題 点 もあります そこで 変 形 労 働 時 間 制 の 導 入 には 就 業 規 則 や 労 使 協 定 で 定 めておく 必 要 があるなどの 要 件 を 満 たす 必 要 があります また 妊 産 婦 や 育 児 介 護 を 行 う 人 たちには 適 用 制 限 がありますし 変 形 制 といっても 全 く 自 由 に 長 時 間 連 続 で 働 かせることができるわけではなく 法 令 上 上 限 や 時 間 外 労 働 休 日 に 関 する 規 定 が 定 められており それに 反 することはできません 年 次 有 給 休 暇 についての 決 まり 年 次 有 給 休 暇 とは 所 定 の 休 日 以 外 の 日 に 仕 事 を 休 んでも 賃 金 を 支 払 って もらうことができる 休 暇 のことです 労 働 者 の 心 身 の 疲 労 を 回 復 させ また 仕 事 と 生 活 の 調 和 を 図 るためにも まとまった 休 暇 の 取 得 は 重 要 です 労 働 者 は 6か 月 継 続 して 勤 務 していて 全 労 働 日 の8 割 以 上 を 出 勤 していれば 10 日 間 の 年 次 有 給 休 暇 が 与 えられます さらに 勤 続 年 数 が 増 えていくと 8 割 以 上 の 出 勤 の 条 件 を 満 たしている 限 り 1 年 ごとに 取 れる 休 暇 日 数 は 増 え ていきます(20 日 が 上 限 ) また 与 えられた 日 から1 年 間 で 取 得 しきれなかった 年 次 有 給 休 暇 は 翌 年 に 繰 り 越 すことができますが さらに1 年 間 使 われなかったときは 時 効 に より 消 滅 します 年 次 有 給 休 暇 の 付 与 日 数 ( 一 般 の 労 働 者 ) 勤 続 年 数 6 か 月 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 6 年 6 か 月 6 か 月 6 か 月 6 か 月 6 か 月 6 か 月 以 上 付 与 日 数 10 日 11 日 12 日 14 日 16 日 18 日 20 日 また 原 則 として 有 給 休 暇 は 休 養 のためでもレジャーのためでも 利 用 目 的 を 問 われることなく 取 得 することができます しかし 会 社 の 正 常 な 運 営 を 妨 げるようなことになるときに 限 っては 会 社 が 別 の 時 季 に 休 暇 を 取 るよ うに 休 暇 日 を 変 更 させることができます なお 会 社 は 有 給 休 暇 を 取 得 した 労 働 者 に 対 して 不 利 益 な 取 扱 いをしてはいけないことになっています アルバイトやパートタイム 労 働 者 でも 16か 月 間 の 継 続 勤 務 2 全 労 働 日 の8 割 以 上 の 出 勤 3 週 5 日 以 上 の 勤 務 という3つの 要 件 を 満 たせば 有 給 休 暇 は 正 社 員 と 同 じだけ 与 えられます( 週 4 日 以 下 の 勤 務 であったとして も 週 の 所 定 労 働 時 間 が 30 時 間 以 上 であれば 正 社 員 と 同 じだけ 有 給 休 暇 が 与 えられます) 加 えて 週 の 所 定 労 働 時 間 が4 日 以 下 で 週 の 所 定 労 働 時 間 が 30 時 間 未 満 の 場 合 でも その 所 定 労 働 日 数 に 応 じた 日 数 の 有 給 休 暇 が 与 えられることになります 15

年 次 有 給 休 暇 の 付 与 日 数 ( 週 所 定 労 働 時 間 が30 時 間 未 満 の 労 働 者 ) 週 所 定 年 間 所 定 労 働 勤 続 年 数 労 働 日 数 日 数 6 か 月 1 年 6 か 月 2 年 6 か 月 3 年 6 か 月 4 年 6 か 月 5 年 6 か 月 6 年 6 か 月 4 日 169~216 日 7 日 8 日 9 日 10 日 12 日 13 日 15 日 3 日 121~168 日 5 日 6 日 6 日 8 日 9 日 10 日 11 日 2 日 73~120 日 3 日 4 日 4 日 5 日 6 日 6 日 7 日 1 日 48~72 日 1 日 2 日 2 日 2 日 3 日 3 日 3 日 もう 一 歩 進 んで 時 間 単 位 年 休 年 次 有 給 休 暇 は 日 単 位 で 取 得 することが 原 則 ですが 労 使 協 定 を 締 結 すれ ば 年 に5 日 を 限 度 として 時 間 単 位 で 取 得 することができます( 時 間 単 位 年 休 ) 労 使 協 定 には 時 間 単 位 年 休 の 対 象 労 働 者 の 範 囲 や 時 間 単 位 年 休 の 日 数 等 を 規 定 しなければなりません また 労 働 者 が 希 望 し 使 用 者 が 同 意 した 場 合 であれば 労 使 協 定 が 締 結 されていない 場 合 でも 年 次 有 給 休 暇 は 日 単 位 で 取 得 するという 原 則 を 破 ら ない 程 度 で 半 日 単 位 で 年 次 有 給 休 暇 を 取 得 することが 可 能 です その 他 ( 労 働 安 全 衛 生 法 ) 働 き 始 めると1 日 の 大 半 を 職 場 で 過 ごすことになりますから 職 場 では 心 身 ともに 気 持 ち 良 く 過 ごしたいですよね そこで 職 場 における 労 働 者 の 安 全 と 健 康 を 確 保 し 快 適 な 職 場 環 境 を 形 成 することを 目 的 として 労 働 安 全 衛 生 法 が 定 められています 労 働 安 全 衛 生 法 は 我 が 国 の 労 働 災 害 や 健 康 障 害 を 防 止 するための 基 幹 となっている 法 律 です この 法 律 は 事 業 者 に 仕 事 が 原 因 となって 労 働 者 が 事 故 に 遭 ったり 病 気 になったりしないように 措 置 する 義 務 を 定 めるとともに 労 働 者 に 対 して は 労 働 災 害 を 防 止 するために 必 要 な 事 項 を 守 り 事 業 者 が 行 う 措 置 に 協 力 するように 定 めています 例 えば 事 業 者 は 労 働 者 を 雇 い 入 れた 際 とその 後 定 期 的 に( 一 般 的 に は 年 1 回 ) 医 師 による 健 康 診 断 を 行 わなければならず 労 働 者 はその 健 康 診 断 を 受 ける 必 要 があります( 労 働 安 全 衛 生 法 第 66 条 ) また 最 近 では 仕 事 上 のストレスによるメンタルヘルス 不 調 など 労 働 者 のメンタルヘルスも 大 きな 問 題 となっており 事 業 者 がメンタルヘルス 対 策 16

を 行 うことも 重 要 となっています このような 状 況 を 踏 まえ 労 働 者 のメンタルヘルス 不 調 を 未 然 に 防 止 する ことを 目 的 に 平 成 27 年 12 月 1 日 から 従 業 員 50 人 以 上 の 事 業 場 に 年 1 回 のストレスチェックの 実 施 が 義 務 づけられました ストレスチェックの 結 果 は 実 施 者 である 医 師 等 から 直 接 本 人 へ 通 知 され 労 働 者 の 同 意 が 無 けれ ば 事 業 者 へ 渡 されることはありません また ストレスチェックの 結 果 高 ストレス 者 でストレスチェックの 実 施 者 から 面 接 指 導 が 必 要 とされた 労 働 者 から 申 出 があった 場 合 医 師 による 面 接 指 導 が 実 施 され 必 要 に 応 じて 適 切 な 措 置 ( 就 業 場 所 の 変 更 作 業 の 転 換 労 働 時 間 の 短 縮 等 )が 講 じられま す 労 働 者 にストレスチェックを 受 ける 義 務 はありませんが 個 人 の 情 報 は 適 切 に 管 理 され 労 働 者 本 人 の 意 思 に 反 し 事 業 者 等 に 知 られることはありま せんので 自 分 のストレスを 知 るために 積 極 的 に 受 けるようにしましょう 17

第 4 章 仕 事 を 辞 めるとき 辞 めさせられるとき 1 仕 事 を 辞 めるには( 退 職 ) 労 働 者 からの 申 し 出 によって 労 働 契 約 を 終 了 することを 退 職 といいます 会 社 を 退 職 することは 労 働 者 の 自 由 ですが 予 告 もせず いきなり 会 社 に 行 か なくなるというようなことはルール 違 反 です 退 職 の 意 思 を 上 司 に 伝 え 書 面 で 届 け 出 る 仕 事 の 引 き 継 ぎをするなど 社 会 的 ルールを 守 って 辞 めることが 大 切 です 一 般 的 に 就 業 規 則 等 に 退 職 する 場 合 は 退 職 予 定 日 の1か 月 前 までに 申 し 出 るこ と というように 定 めている 会 社 も 多 いので 就 業 規 則 で 退 職 手 続 がどうなっている か 調 べることも 必 要 です また 退 職 の 申 し 出 にあたっては 契 約 期 間 の 定 めがある 労 働 契 約 を 結 んでい た 場 合 と そうでない 場 合 とで 法 律 上 異 なったルールが 定 められています 正 社 員 などのように あらかじめ 契 約 期 間 が 定 められていないときは 労 働 者 は 少 なくとも2 週 間 前 までに 退 職 届 を 提 出 するなど 退 職 の 申 し 出 をすれば 法 律 上 はいつでも 辞 めることができます( 会 社 の 就 業 規 則 に 退 職 手 続 きが 定 められてい る 場 合 はそれに 従 って 退 職 の 申 し 出 をする 必 要 があります) アルバイトでよくあるように 3か 月 間 などあらかじめ 契 約 期 間 の 定 め ( 有 期 労 働 契 約 )がある 場 合 であっても 法 律 上 やむを 得 ない 事 由 がある ときは 労 働 者 は 直 ちに 契 約 の 解 除 をすることができます 2 仕 事 を 辞 めさせられるとは( 解 雇 ) 使 用 者 からの 申 し 出 による 一 方 的 な 労 働 契 約 の 終 了 を 解 雇 といいますが 突 然 君 はこの 会 社 に 合 わないからもう 来 なくていいよ と 言 われてしまったら 労 働 者 の 生 活 はひどく 不 安 定 なものになってしまいますよね 解 雇 は 使 用 者 がいつでも 自 由 に 行 えるというものではなく 客 観 的 に 合 理 的 な 理 由 を 欠 き 社 会 通 念 上 相 当 と 認 められない 場 合 は 労 働 者 を 解 雇 することはできません( 労 働 契 約 法 第 16 条 ) すなわち 解 雇 するには 社 会 の 常 識 に 照 らして 納 得 が 得 られる 理 由 が 必 要 なの です 例 えば 解 雇 の 理 由 として 勤 務 態 度 に 問 題 がある 業 務 命 令 や 職 務 規 律 に 違 反 するなど 労 働 者 側 に 落 ち 度 がある 場 合 が 考 えられますが 必 ずしも1 回 の 失 敗 ですぐに 解 雇 が 認 められるかというものでもなく 労 働 者 の 落 ち 度 の 程 度 や 行 為 の 内 容 それによって 会 社 が 被 った 損 害 の 重 大 性 労 働 者 が 悪 意 や 故 意 でやったの か やむを 得 ない 事 情 があるか 等 さまざまな 事 情 が 考 慮 されて 解 雇 が 正 当 かど うか 労 使 が 争 う 場 合 には 最 終 的 には 裁 判 所 において 判 断 されます また 労 働 契 約 法 だけでなく 他 の 法 律 においても 一 部 の 場 合 については 解 雇 が 明 示 的 に 禁 止 されています ( 以 下 主 なもの) 18

労 働 基 準 法 業 務 上 災 害 のため 療 養 中 の 期 間 とその 後 の 30 日 間 の 解 雇 産 前 産 後 の 休 業 期 間 とその 後 の 30 日 間 の 解 雇 労 働 基 準 監 督 署 に 申 告 したことを 理 由 とする 解 雇 労 働 組 合 法 労 働 組 合 の 組 合 員 であること 等 を 理 由 とする 解 雇 男 女 雇 用 機 会 均 等 法 労 働 者 の 性 別 を 理 由 とする 解 雇 女 性 労 働 者 が 結 婚 妊 娠 出 産 産 前 産 後 の 休 業 をしたことを 理 由 とする 解 雇 育 児 介 護 休 業 法 労 働 者 が 育 児 介 護 休 業 等 を 申 し 出 たこと または 育 児 介 護 休 業 等 をしたことを 理 由 とする 解 雇 また 使 用 者 は 就 業 規 則 に 解 雇 できる 場 合 を 記 載 しておかなければなりませ ん そして 合 理 的 な 理 由 があっても 解 雇 を 行 う 際 には 使 用 者 は 少 なくとも 30 日 前 に 解 雇 の 予 告 をする 必 要 があります 予 告 を 行 わない 場 合 には 30 日 分 以 上 の 平 均 賃 金 (= 解 雇 予 告 手 当 )を 支 払 わなければなりません( 予 告 の 日 数 が 30 日 に 満 たない 場 合 には その 不 足 日 数 分 の 平 均 賃 金 を 解 雇 予 告 手 当 として 支 払 う 必 要 があります 例 えば 解 雇 日 の 10 日 前 に 予 告 した 場 合 は 20 日 平 均 賃 金 を 支 払 う 必 要 があります )( 労 働 基 準 法 第 20 条 ) さらに 労 働 者 が 解 雇 の 理 由 について 証 明 書 を 請 求 した 場 合 には 会 社 はす ぐに 労 働 者 に 証 明 書 を 交 付 しなければなりません( 労 働 基 準 法 第 22 条 ) 期 間 の 定 めがある 場 合 期 間 の 定 めのある 労 働 契 約 ( 有 期 労 働 契 約 )については あらかじめ 使 用 者 と 労 働 者 が 合 意 して 契 約 期 間 を 定 めたのですから 使 用 者 はやむを 得 ない 事 由 が ある 場 合 でなければ 契 約 期 間 の 途 中 で 労 働 者 を 解 雇 することはできないことと されています( 労 働 契 約 法 第 17 条 ) そして 期 間 の 定 めのない 労 働 契 約 の 場 合 よりも 解 雇 の 有 効 性 は 厳 しく 判 断 されます また 有 期 労 働 契 約 においては 契 約 期 間 が 過 ぎれば 原 則 として 自 動 的 に 労 働 契 約 が 終 了 することとなりますが 3 回 以 上 契 約 が 更 新 されている 場 合 や1 年 を 超 えて 継 続 勤 務 している 人 については 契 約 を 更 新 しない 場 合 使 用 者 は 30 日 前 までに 予 告 しなければならないとされています さらに 反 復 更 新 の 実 態 などから 実 質 的 に 期 間 の 定 めのない 契 約 と 変 わらな いといえる 場 合 や 雇 用 の 継 続 を 期 待 することが 合 理 的 であると 考 えられる 場 合 19

雇 止 め( 契 約 期 間 が 満 了 し 契 約 が 更 新 されないこと)をすることに 客 観 的 合 理 的 な 理 由 がなく 社 会 通 念 上 相 当 であると 認 められないときは 雇 止 めが 認 めら れません その 場 合 今 までと 同 じ 労 働 条 件 で 有 期 労 働 契 約 が 更 新 されること になります( 労 働 契 約 法 第 19 条 ) もう 一 歩 進 んで 整 理 解 雇 使 用 者 が 不 況 や 経 営 不 振 などの 理 由 により 人 員 削 減 のために 行 う 解 雇 を 整 理 解 雇 といいます これは 使 用 者 側 の 事 情 による 解 雇 ですから 次 の 事 項 に 照 らして 整 理 解 雇 が 有 効 か 否 か 厳 しく 判 断 されます 1 人 員 削 減 の 必 要 性 人 員 削 減 措 置 の 実 施 が 不 況 経 営 不 振 などによる 企 業 経 営 上 の 十 分 な 必 要 性 に 基 づいていること 2 解 雇 回 避 の 努 力 配 置 転 換 希 望 退 職 者 の 募 集 など 他 の 手 段 によって 解 雇 回 避 のために 努 力 したこと 3 人 選 の 合 理 性 整 理 解 雇 の 対 象 者 を 決 める 基 準 が 客 観 的 合 理 的 で その 運 用 も 公 正 で あること 4 解 雇 手 続 の 妥 当 性 労 働 組 合 または 労 働 者 に 対 して 解 雇 の 必 要 性 とその 時 期 規 模 方 法 について 納 得 を 得 るために 説 明 を 行 うこと もう 一 歩 進 んで 退 職 勧 奨 について 解 雇 と 間 違 いやすいものに 退 職 勧 奨 があります 退 職 勧 奨 とは 使 用 者 が 労 働 者 に 対 し 退 職 してほしい 辞 めてくれないか などと 言 って 退 職 を 勧 めることをいいます これは 労 働 者 の 意 思 とは 関 係 なく 使 用 者 が 一 方 的 に 契 約 の 解 除 を 通 告 する 解 雇 とは 異 なります 退 職 勧 奨 に 応 じるか 否 かは 労 働 者 の 自 由 であり その 場 ですぐ 答 える 必 要 もありませんし 辞 める 意 思 がない 場 合 は 応 じないことを 明 確 に 伝 えることが 大 切 です 退 職 勧 奨 に 応 じてしまうと 解 雇 と 違 って 合 理 的 な 理 由 がなくても 有 効 とな ってしまいます 多 数 回 や 長 期 にわたる 退 職 勧 奨 が 違 法 な 権 利 侵 害 に 当 たる とされた 裁 判 例 もあるので 執 拗 に 退 職 を 勧 められたりして 対 応 に 困 った 場 合 には 労 働 組 合 や 全 国 の 都 道 府 県 労 働 局 等 に 相 談 しましょう なお 退 職 勧 奨 に 応 じて 退 職 した 場 合 には 雇 用 保 険 において 自 己 都 合 に よる 退 職 とはなりません 20

3 会 社 が 倒 産 したら 会 社 が 倒 産 して 賃 金 が 支 払 ってもらえなくなった 時 のために 賃 金 の 支 払 の 確 保 等 に 関 する 法 律 により 未 払 賃 金 立 替 払 制 度 が 設 けられています この 制 度 は 会 社 が 倒 産 したために 賃 金 が 支 払 われないまま 退 職 した 労 働 者 に 対 して その 未 払 賃 金 の 一 定 範 囲 について 国 ( 労 働 者 健 康 福 祉 機 構 平 成 28 年 4 月 から 労 働 者 健 康 安 全 機 構 に 名 称 変 更 )が 事 業 主 に 代 わって 支 払 う 制 度 です 実 際 に 立 替 払 を 受 けられるかどうかは 労 働 基 準 監 督 署 に 相 談 してみましょう 立 替 払 制 度 の 詳 細 はこちらをご 覧 下 さい http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shi nsai_rousaihoshouseido/tatekae/index.html 21

第 5 章 多 様 な 働 き 方 従 来 からあった 正 社 員 という 働 き 方 に 加 え 派 遣 や 契 約 社 員 業 務 委 託 請 負 といった 様 々な 働 き 方 をする 人 が 増 えています 自 分 自 身 がどのような 形 態 で 働 きたいのか( 働 いているのか)を 知 っておくことは 働 く 者 としての 自 らの 権 利 を 守 る 上 でとても 大 切 です 1 派 遣 労 働 者 派 遣 とは 労 働 者 が 人 材 派 遣 会 社 ( 派 遣 元 )との 間 で 雇 用 契 約 を 結 んだ 上 で 派 遣 元 が 労 働 者 派 遣 契 約 を 結 んでいる 会 社 ( 派 遣 先 )に 労 働 者 を 派 遣 し 労 働 者 は 派 遣 先 の 指 揮 命 令 を 受 けて 働 くというものです 労 働 者 派 遣 では 労 働 者 に 賃 金 を 支 払 う 会 社 と 指 揮 命 令 をする 会 社 が 異 なるという 複 雑 な 労 働 形 態 となっていること から 労 働 者 派 遣 法 において 派 遣 労 働 者 のための 細 かいルールを 定 めています 派 遣 では 法 律 上 の 雇 い 主 はあくまで 派 遣 元 になります よって 事 故 やトラブル が 起 きた 際 は まず 派 遣 元 が 責 任 をもって 対 処 しなければなりません しかし 実 際 に 指 揮 命 令 をしている 派 遣 先 は 全 く 責 任 を 負 わないというのは 妥 当 ではなく 労 働 者 派 遣 法 において 派 遣 元 と 派 遣 先 が 責 任 を 分 担 するべき 事 項 が 定 められていま す 2 契 約 社 員 ( 有 期 労 働 契 約 ) 契 約 社 員 といわれる 人 たちなどにみられるように 正 社 員 と 違 って 労 働 契 約 に あらかじめ 雇 用 期 間 が 定 められている 場 合 があります このような 期 間 の 定 めのあ る 労 働 契 約 は 契 約 期 間 の 満 了 によって 労 働 契 約 は 自 動 的 に 終 了 することとなり ます 1 回 当 たりの 契 約 期 間 は 一 定 の 場 合 を 除 いて 最 長 3 年 です こうした 期 間 の 定 めのある 労 働 者 は 正 社 員 と 比 較 し 待 遇 が 良 くないことも 多 いので 業 績 が 悪 いから といって 契 約 社 員 への 転 換 をせまられた 場 合 などは 慎 重 に 検 討 すること が 大 切 です 22

もう 一 歩 進 んで 有 期 労 働 契 約 について 3つのルールができました 労 働 契 約 法 が 改 正 され 次 の3つのルールが 平 成 25 年 4 月 1 日 から 全 面 施 行 さ れています 1 無 期 労 働 契 約 への 転 換 : 有 期 労 働 契 約 が 繰 り 返 し 更 新 されて 通 算 5 年 を 超 え たときは 労 働 者 の 申 込 みにより 期 間 の 定 めのない 労 働 契 約 ( 無 期 労 働 契 約 ) に 転 換 できます 契 約 期 間 が1 年 の 場 合 の 例 大 学 等 及 び 研 究 開 発 法 人 の 研 究 者 教 員 等 や 高 度 な 専 門 的 知 識 等 を 有 す る 有 期 雇 用 労 働 者 定 年 後 に 引 き 続 き 雇 用 される 有 期 雇 用 労 働 者 については 特 例 があります 詳 細 については こちらをご 覧 下 さい http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/ roudoukijun/keiyaku/kaisei/ 2 雇 止 め 法 理 の 法 定 化 : 最 高 裁 判 例 で 確 立 した 雇 止 め 法 理 が そのままの 内 容 で 法 律 に 規 定 されました 一 定 の 場 合 には 使 用 者 による 雇 止 めが 認 めら れません(P18 19 参 照 ) 3 不 合 理 な 労 働 条 件 の 禁 止 : 有 期 契 約 労 働 者 と 無 期 契 約 労 働 者 との 間 で 期 間 の 定 めのあることによる 不 合 理 な 労 働 条 件 の 相 違 を 設 けることは 禁 止 されま す 3 パートタイム 労 働 者 パートタイム 労 働 者 とは 一 般 的 には パートタイム 労 働 法 で 定 義 されている 短 時 間 労 働 者 のことをいい 1 週 間 の 所 定 労 働 時 間 が 同 一 の 事 業 所 に 雇 用 されて いる 通 常 の 労 働 者 と 比 べて 短 い 労 働 者 のことを 指 しています 法 律 上 はパートタイ ム 労 働 者 やアルバイトという 区 別 はなく 条 件 を 満 たせば 呼 び 名 は 違 ってもすべて パートタイム 労 働 者 となります また パートタイム 労 働 者 も 労 働 者 であることに 変 わりはないので 各 種 労 働 法 が 適 用 されます したがって 要 件 を 満 たしていれば 年 次 有 給 休 暇 も 取 得 できま すし 雇 用 保 険 や 健 康 保 険 厚 生 年 金 保 険 にも 加 入 することができます 労 働 者 を 雇 い 入 れる 際 使 用 者 は 労 働 条 件 を 明 示 すること 特 に 重 要 な 条 件 については 文 書 を 交 付 することが 義 務 付 けられていますが パートタイム 労 働 法 で はすでに 述 べた6 点 (P.3の 表 参 照 )に 加 え 昇 給 退 職 手 当 及 び 賞 与 の 有 無 並 び 23

にパートタイム 労 働 者 の 雇 用 管 理 の 改 善 等 に 関 する 事 項 に 係 る 相 談 窓 口 について も 文 書 の 交 付 による 明 示 を 義 務 付 けています 4 業 務 委 託 ( 請 負 ) 契 約 を 結 んで 働 いている 人 正 社 員 や 上 の1~3で 記 述 してきた 派 遣 社 員 契 約 社 員 パートタイム 労 働 者 などは 労 働 者 として このテキストに 書 かれているような 労 働 法 の 保 護 を 受 け ることができます 他 方 業 務 委 託 や 請 負 といった 形 態 で 働 く 場 合 には 注 文 主 から 受 けた 仕 事 の 完 成 に 対 して 報 酬 が 支 払 われるというものなので 注 文 主 の 指 揮 命 令 を 受 け ない 事 業 主 として 扱 われ 基 本 的 には 労 働 者 としての 保 護 を 受 けることはでき ません したがって 業 務 委 託 や 請 負 といった 形 態 で 働 く 際 には 十 分 注 意 が 必 要 です ただし 業 務 委 託 や 請 負 といった 契 約 をしていても その 働 き 方 の 実 態 から 労 働 者 であると 判 断 されれば 労 働 法 規 の 保 護 を 受 けることができます 例 えば 仕 事 をする 場 所 時 間 を 指 定 されていたり 仕 事 の 仕 方 を 細 かく 指 示 されていたりす る 場 合 などは 労 働 者 と 判 断 される 可 能 性 が 高 まります 労 働 者 であるかどう かということは 実 はとても 難 しい 問 題 です 自 分 が 労 働 者 として 労 働 法 の 保 護 を 受 けることができるかどうか 困 った 際 には 労 働 基 準 監 督 署 に 相 談 をしてみましょう もう 一 歩 進 んで 労 働 基 準 法 上 の 労 働 者 とは 労 働 基 準 法 上 の 労 働 者 とは 使 用 者 の 指 揮 命 令 の 下 で 働 き その 報 酬 として 賃 金 を 受 ける 者 をいい 職 種 は 問 いません 主 に 会 社 の 指 揮 監 督 の 下 で 働 い ているか 否 か( 指 示 された 仕 事 を 拒 否 する 自 由 があるか 時 間 を 拘 束 され 場 所 を 指 定 されているか 他 の 者 で 代 替 できるか 等 々) 受 け 取 る 報 酬 が 指 揮 監 督 の 下 で 働 いたことに 対 する 報 酬 か 否 か( 請 負 代 金 や 成 功 報 酬 的 なものとなって いないか 等 々)によって 労 働 基 準 法 上 の 労 働 者 であるか 否 かが 決 まります 24

働 くときのルールについての 相 談 窓 口 労 働 基 準 監 督 署 賃 金 労 働 時 間 安 全 衛 生 などについての 監 督 指 導 労 働 基 準 関 係 法 令 に 基 づく 許 可 認 可 などの 事 務 を 行 っています 労 働 基 準 監 督 署 の 所 在 地 や 連 絡 先 に ついては 下 記 ホームページをご 覧 下 さい http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/location.html 労 働 基 準 監 督 官 について 労 働 基 準 監 督 官 は 労 働 基 準 監 督 署 などに 配 置 され 各 企 業 において 適 正 な 労 働 条 件 が 確 保 されるよう 会 社 を 指 導 する 専 門 職 の 職 員 です 具 体 的 にはあらゆ る 会 社 に 立 ち 入 り 法 律 に 定 められた 賃 金 労 働 時 間 や 安 全 衛 生 に 関 する 基 準 が 守 られているか 調 査 し これが 守 られていない 場 合 には その 是 正 を 指 導 すること によって 労 働 者 の 労 働 条 件 を 確 保 し 向 上 させることを 任 務 としています 労 働 者 は 労 働 基 準 関 係 法 令 に 違 反 がある 場 合 には 労 働 基 準 監 督 官 に 権 利 救 済 を 求 めることができます(これを 申 告 といいます) 申 告 を 契 機 として 労 働 基 準 監 督 官 が 会 社 へ 赴 くなどした 際 法 律 違 反 が 認 められた 場 合 には 是 正 を 図 る よう 行 政 指 導 を 行 います 申 告 は 匿 名 でも 行 うことができ 使 用 者 は 労 働 者 が 申 告 をしたことを 理 由 として 不 利 益 な 取 り 扱 いをしてはならないとされています 労 働 基 準 監 督 官 が 取 り 扱 う 法 律 は 労 働 基 準 法 労 働 安 全 衛 生 法 最 低 賃 金 法 などの 労 働 基 準 関 係 法 令 です 労 働 条 件 相 談 ほっとライン 違 法 な 時 間 外 労 働 過 重 労 働 による 健 康 障 害 賃 金 不 払 残 業 などの 労 働 基 準 関 係 法 令 に 関 する 問 題 について 専 門 知 識 を 持 つ 相 談 員 が 法 令 裁 判 例 などの 説 明 や 各 関 係 機 関 の 紹 介 などを 行 う 無 料 電 話 相 談 です フリーダイヤル 0120-811-610 (はい! ろうどう) 受 付 時 間 : 平 日 ( 月 火 木 金 ) 17 時 ~22 時 土 日 10 時 ~17 時 25

労 働 条 件 ポータルサイト 確 かめよう 労 働 条 件 労 務 管 理 に 関 するQ&A 法 令 制 度 や 相 談 機 関 の 紹 介 など 労 働 条 件 に 関 す る 情 報 を 分 かりやすく 掲 載 しています 詳 細 については 下 記 ホームページをご 覧 下 さい http://www.check-roudou.mhlw.go.jp 総 合 労 働 相 談 コーナー 全 国 各 地 の 労 働 局 や 労 働 基 準 監 督 署 などに 設 置 している 総 合 労 働 相 談 コーナ ーでは 労 働 条 件 募 集 採 用 いじめなど 労 働 問 題 に 関 するあらゆる 分 野 につ いての 労 働 者 事 業 主 からの 相 談 を 専 門 の 相 談 員 が 面 談 あるいは 電 話 で 受 け ています(ご 相 談 は 無 料 です) 労 働 関 係 で 困 ったことがあった 場 合 ぜひ 相 談 して みて 下 さい 各 地 に 設 置 している 総 合 労 働 相 談 コーナーの 所 在 地 や 連 絡 先 につい ては 下 記 ホームページをご 覧 下 さい http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html 労 働 委 員 会 不 当 労 働 行 為 (P.2 参 照 )があった 場 合 に 労 働 組 合 や 労 働 者 を 救 済 したり ストラ イキなどの 労 働 争 議 があった 場 合 に 労 働 組 合 と 会 社 の 間 の 争 いの 解 決 のための 調 整 (あっせん 調 停 仲 裁 )を 行 います また 労 働 者 個 人 と 会 社 の 間 での 労 働 条 件 など 労 働 問 題 に 関 する 争 いを 解 決 するための 支 援 ( 個 別 労 働 紛 争 のあっせん)を 行 っています( 注 : 個 別 労 働 紛 争 のあっせんについては 一 部 の 都 道 府 県 労 働 委 員 会 を 除 く) 労 使 間 で 紛 争 が 解 決 困 難 な 場 合 はご 相 談 下 さい なお ご 利 用 は 無 料 で す 都 道 府 県 労 働 委 員 会 の 所 在 地 や 連 絡 先 については 下 記 ホームページをご 覧 下 さい http://www.mhlw.go.jp/churoi/chihou/pref.html ( 都 道 府 県 労 働 委 員 会 ) (H28.3) 26