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中 学 校 英 語 科 における 指 導 と 評 価 工 夫 改 善 -CAN-DOリスト 効 果 的 な 活 用 を 通 して- 中 学 校 英 語 科 における 指 導 と 評 価 工 夫 改 善 -CAN-DOリスト 効 果 的 な 活 用 を 通 して- 指 導 主 事 鈴 木 信 司 研 究 要 旨 現 在, 英 語 教 育 改 革 大 きな 柱 一 つが,CAN-DOリスト 活 用 による 知 識 偏 重 型 指 導 から 主 事 脱 鈴 却 である し 木 信 司 かしながら, 研 究 要 旨 全 国 的 にも, 本 県 においても,CAN-DOリストを 作 成 し, 作 成 したリストを 実 際 に 活 用 しながら 4 現 技 在 能, 英 向 語 上 教 につなげている 育 改 革 大 きな 中 柱 学 校 一 はまだ つが,CAN-DOリスト 少 ない 本 稿 では, 多 活 忙 用 な による 中 学 校 知 識 実 偏 情 重 を 型 考 指 慮 導 に から 入 れたCAN-DOリ 脱 却 である し かしながら, スト 作 成 全 活 国 用 的 にも, 在 り 方 本 について 県 においても,CAN-DOリストを 一 提 案 を 行 いたい 作 成 し, 作 成 したリストを 実 際 に 活 用 しながら 4 技 能 向 上 につなげている 中 学 校 はまだ 少 ない 本 稿 では, 多 忙 な 中 学 校 実 情 を 考 慮 に 入 れたCAN-DOリ スト 作 成 活 用 在 り 方 について 一 提 案 を 行 いたい Ⅰ 研 究 趣 旨 CAN-DOリストが, 中 学 校 と 高 校 英 語 指 導 に 導 入 されて 早 くも3 年 が 経 とうとしている しかし, 平 成 年 度 末 に 文 部 科 学 省 ( 以 下, 文 科 省 )が 行 った 全 国 調 査 では,CAN-DOリスト 作 成 が 済 んでいる 学 校 割 合 は, 中 学 校 で 約 3 割, 高 校 が 約 6 割 と, 特 に 中 学 校 における 進 捗 状 況 が 思 わしくない また, 福 島 県 教 育 委 員 会 が 行 った 同 時 期 調 査 においても, 作 成 済 み 中 学 校 は 約 4 割 と, 同 様 傾 向 を 示 している 一 方, 日 本 英 語 検 定 協 会 が 平 成 年 度 に 全 国 学 校 を 対 象 に 行 った 外 国 語 教 育 における CAN-DOリス ト 形 で 学 習 到 達 目 標 設 定 に 関 する 現 状 調 査 ( 以 下, 現 状 調 査 )によると, 学 習 到 達 目 標 をCAN-DO リスト 形 で 設 定 する 際 に, 困 難 だった 点 や 妨 げになっ た 点 として, 設 定 する 時 間 的 余 裕 がない と 答 えた 教 員 が %と 最 も 多 かった 中 学 校 現 場 忙 しさが,C AN-DOリスト 普 及 において 一 番 障 壁 となってい ることを 表 している 多 忙 な 毎 日 を 過 ごす 教 員 が,CA N-DOリスト 有 用 性 を 実 感 し, 学 習 到 達 目 標 達 成 に 向 けて 指 導 と 評 価 改 善 を 図 っていけるよう, 本 稿 に おいて,CAN-DOリストを 作 成 活 用 する 際 具 体 的 なポイントを 提 案 し,CAN-DOリスト 普 及 に 向 けた 歩 みを 一 歩 前 へ 進 めたい Ⅱ 研 究 概 要 1 CAN-DOリスト 作 成 における 一 提 案 現 状 調 査 結 果 では, 約 4 割 教 員 が, 学 習 到 達 目 標 を 設 定 する 際 に 根 拠 となる 学 習 指 導 要 領 内 容 を, どう 参 照 したらよいかよく 理 解 していないことが 明 らか になっている 本 稿 では,そ 現 状 を 踏 まえ, 学 習 指 導 要 領 に 基 づいた 学 習 到 達 目 標 設 定 がなされるよう, 文 科 省 が 提 示 した, 能 力 記 述 文 形 で 示 した 国 学 習 到 達 目 標 ( 試 案 ) ( 以 下, 試 案 ) 活 用 を 軸 としたCAN- DOリスト 作 成 方 法 について 提 案 を 行 った 2 CAN-DOリスト 活 用 に 関 する 一 提 案 本 教 育 センター( 以 下, 教 育 センター)における 研 修 や 県 内 各 種 研 修 会 等 で 話 を 聞 くと,CAN-DOリス ト 活 用 を 図 る 上 で, 多 く 教 員 が 疑 問 や 不 安 を 抱 いて いることがある CAN-DOリストが,CANNOT -DOリストになってしまうことへ 懸 念 である 生 徒 能 力 には 個 人 差 があり, 設 定 した 到 達 目 標 が, 生 徒 に とって 一 律 に 到 達 すべき 目 標 となった 段 階 で,かえって できない 感 を 与 えることになりかねないからである ( 長 沼 ) したがって, 到 達 目 標 に 対 する 達 成 状 況 評 価 を, 達 成 できたから, 達 成 できなかったから という, 二 者 択 一 的 な 形 に 押 しとどめない 方 策 が 必 要 と なる 本 稿 では,そため 方 策 一 つとして,CAN -DO 尺 度 ( 長 沼 )を 用 いたCAN-DOリスト 活 用 方 法 について 提 案 を 行 った 3 読 むこと 指 導 における 授 業 実 践 今 年 度, 研 究 協 力 者 2 名 が,CAN-DOリスト 活 用 を 視 野 に 入 れながら, 特 に 読 むこと 技 能 に 焦 点 化 して 指 導 改 善 に 取 り 組 んだ 読 むこと 指 導 を 効 果 的 なもにする 上 で 重 要 な 要 素 となる, 足 場 かけ と 発 問 構 成 二 つを 中 心 に, 研 究 協 力 者 が 行 った 手 だ て 工 夫 について 紹 介 する Ⅲ 研 究 実 際 1 CAN-DOリスト 作 成 における 一 提 案 CAN-DOリスト 取 組 を 推 進 するために, 文 科 省 は, 今 後,ナショナルゴールとして 小 中 高 で 一 貫 した 学 習 到 達 目 標 設 定 に 向 けて, 検 討 を 進 めていく 方 針 を 示 している そ 一 環 として, 平 成 年 度 末 には, 学 習 指 導 要 領 言 語 活 動 指 導 事 項 を, 学 習 到 達 目 標 と して ~することができる 形 式 で 編 集 し 直 したも を 試 案 として 提 示 した 例 として, 学 習 指 導 要 領 33

読 むこと 指 導 事 項 と 学 習 到 達 目 標 比 較 を 以 下 に 示 す 読 むこと 指 導 事 項 ア 文 字 や 符 号 を 識 別 し, 正 しく 読 むこと イ 書 かれた 内 容 を 考 えながら 黙 読 したり,そ 内 容 が 表 現 されるように 音 読 したりすること ウ 物 語 あらすじや 説 明 文 大 切 な 部 分 などを 正 確 に 読 み 取 ること エ 伝 言 や 手 紙 など 文 章 から 書 き 手 意 向 を 理 解 し, 適 切 に 応 じること オ 話 内 容 や 書 き 手 意 見 などに 対 して 感 想 を 述 べたり 賛 否 やそ 理 由 を 示 したりなどするこ とができるよう, 書 かれた 内 容 や 考 え 方 などを とらえること 読 むこと 学 習 到 達 目 標 ( 試 案 ) Aある 程 度 長 さ 物 語 を 読 んでBあらすじをつか んだりAまとまった 内 容 説 明 文 を 読 んでB 大 切 な 部 分 を 理 解 したりすることができる ウ A 伝 言 や 手 紙 などを 読 み,それがB 書 かれた 状 況 や 書 き 手 意 向 を 理 解 することができる エ Aある 程 度 長 さ 文 章 を 読 み,そB 内 容 と 自 分 経 験 や 考 えと 関 連,またそ 主 張 優 れている 点 や 問 題 点 などをとらえることができる オ 指 導 事 項 (ア),(イ)は, 学 習 到 達 目 標 として 取 り 上 げられて いない 下 線 部, 符 号 は 筆 者 加 筆 上 記 ように 試 案 は, 単 元 中 心 的 目 標 となるこ とが 想 定 されにくい 指 導 事 項 とそうでないもを 整 理 し たり, 受 容 技 能 における 到 達 目 標 三 つ 構 成 要 素 A BC( 投 野 ) 内 Aや Bが, 指 導 事 項 より 具 体 的 なもになっていたりと, 到 達 目 標 を 設 定 する 上 で 参 照 しやすいもとなっている 試 案 を 自 校 化 した 一 例 と,より 詳 細 な 学 習 到 達 目 標 にする 二 つポイントについて 以 下 に 述 べる 学 年 試 案 を 自 校 化 した 読 むこと 到 達 目 標 例 A 伝 言 や 手 紙 など 短 い 文 章 を 読 み,C 何 度 か 聞 いたり 音 読 した 後 であれば,それ 1 年 がB 書 かれた 状 況 や 書 き 手 意 向 など 内 容 を 理 解 することができる Unit 11 C 初 見 文 章 でも 何 度 か 読 み 返 せば,A ある 程 度 長 さ 物 語 を 読 んでBあらすじ 2 年 をつかんだり,Aまとまった 内 容 説 明 文 を 読 んでB 大 切 な 部 分 を 理 解 したりするこ とができる (Let's Read 2 Aある 程 度 長 さ 文 章 を 読 んでCあら すじをつかみ 大 切 な 部 分 を 理 解 した 後, 何 度 か 読 み 返 せば,B 文 章 内 容 と 自 分 経 3 年 験 や 考 えと 関 連,またそ 主 張 優 れて いる 点 や 問 題 点 などをとらえることができ る Unit 6 Reading for Communication ポイント1ゴール 単 元 表 記 各 到 達 目 標 に 教 科 書 単 元 名 を( ) で 表 記 した これは, 到 達 目 標 が 達 成 できたかどうか, 最 終 的 にど 単 元 で 評 価 し, 判 断 するかを 明 らかに するためである また,ゴール 単 元 を 決 めることで, 34 到 達 目 標 が 形 だけもになるを 防 ぐことにつなが ると 考 える また,ゴールを 達 成 する 単 元 みならず, 必 要 に 応 じて,ゴール 達 成 に 向 けて 指 導 を 行 っていく 複 数 単 元 を 併 記 することも 可 能 であると 考 える 3 年 分 教 科 書 に 目 を 通 しながら, 卒 業 時 や 学 年 末 到 達 目 標 を 達 成 する 単 元 を 決 めていく 作 業 は,ゴールか ら 逆 算 して, 現 在 指 導 がゴールを 達 成 するに 効 果 的 かどうかをチェックする,マクロ 的 な 視 点 を 持 つこ とにつながっていくと 考 える ポイント2: 追 加 試 案 にはない, 受 容 技 能 における 到 達 目 標 構 成 要 素 一 つであるCを 加 えた こ 要 素 は, どような 条 件 下 ならが 達 成 されるかを 表 したも である が 達 成 される 条 件 は, 生 徒 や 学 校 実 態 により 大 きく 変 わるため, 国 が 示 す 到 達 目 標 として, 一 律 にモデルを 提 示 することが 難 しい しかし, 試 案 自 校 化 を 図 る 上 で, 到 達 目 標 に, 生 徒 実 態 に 合 わ せて 要 素 を 加 味 することは,3 年 間 で 行 う 指 導 を 系 統 化 していくことに 重 要 な 役 割 を 果 たすと 考 える 例 えば,2 年 生 時 に,ある 指 導 者 下 で 初 見 文 章 を 黙 読 しながら 内 容 理 解 を 行 う 指 導 を 受 けてきた 生 徒 たちが,3 年 生 になり, 違 う 指 導 者 下 で, 内 容 理 解 前 に 音 読 を 行 い, 音 読 できるようになってから 意 味 を 確 認 する 指 導 を 受 けた 場 合, 彼 らは, 到 達 目 標 達 成 に 向 けて 系 統 的 かつ 効 果 的 な 指 導 を 受 けたとは いえないであろう 要 素 を 英 語 科 教 員 間 で 吟 味 し, 共 有 化 を 図 ることで,こ 部 分 改 善 が 見 込 まれる CAN-DOリスト 作 成 にあたり, 試 案 をベースに することで, 手 間 が 省 かれ,そ 分, 以 上 ような 自 校 化 過 程 に 力 を 傾 注 できると 考 える 自 校 化 過 程 にお いて, 英 語 科 教 員 が 協 働 することで, 多 忙 感 が 軽 減 され るとともに, 共 同 性 が 高 まり, 言 語 活 動 を 効 果 的 に 行 う ため 教 材 準 備 等 を 協 力 して 行 うなど 態 勢 が 構 築 さ れることも 期 待 できる 2 CAN-DOリスト 活 用 に 関 する 一 提 案 CAN-DO 尺 度 を 用 い 指 導 と 評 価 を 改 善 する 教 育 センターにおいて, 英 語 科 言 語 活 動 における 指 導 と 評 価 実 践 講 座 が 新 しく 開 設 された 本 講 座 におい て 長 沼 君 主 は, 学 習 到 達 目 標 に 対 する 達 成 度 を 評 価 する 際, 個 人 差 ある 生 徒 学 び 過 程 に 沿 った 評 価 を 行 い, 次 学 習 に 向 けて 生 徒 自 身 が 自 律 的 に 目 標 をもつことに つなげる 方 策 を 示 した それが, 到 達 目 標 に 対 する 達 成 度 合 いを4 段 階 に 分 けて 尺 度 化 した,CAN-DO 尺 度

を 用 いた 評 価 方 法 である CAN-DO 尺 度 における 各 段 階 基 準 と,こCAN-DO 尺 度 を 活 用 すること で 期 待 される 効 果 や 具 体 的 活 用 例 について 以 下 に 示 す <CAN-DO 尺 度 における 各 段 階 基 準 > 1 自 信 をもってできない 段 階 2 自 信 があまりない 学 習 者 でも 何 らか 補 助 的 な 足 場 が あればできる 段 階 3 多 く 学 習 者 にとって 目 標 となりうる 達 成 可 能 な 段 階 4 自 信 ある 学 習 者 を 飽 きさせない 挑 戦 的 課 題 を 設 けた 段 階 < 上 記 基 準 に 沿 って 設 定 した,2 学 年 ある 単 元 目 標 とCAN-DO 尺 度 例 ( 読 むこと 技 能 )> 説 明 文 を 読 んで 大 切 な 部 分 を 理 解 することができる 1 文 章 に 書 かれている 情 報 正 誤 を 問 う 質 問 に 答 えるこ とが 難 しい 2 文 章 に 書 かれている 情 報 正 誤 を 問 う 質 問 に 答 えるこ とができる 3 文 章 大 切 な 部 分 について 質 問 に 答 えることができ る 4 文 章 大 切 な 部 分 について 自 分 考 えを 書 くことがで きる 1 できるようになりつつある 過 程 を 自 己 評 価 させる 教 育 センターや 県 内 各 種 研 修 会 等 において, 英 語 教 員 が 作 成 した 自 己 評 価 表 を 見 ると, 到 達 目 標 に 対 する 達 成 度 合 いを,4 段 階 や5 段 階 数 値 評 価 で 自 己 評 価 させ る 形 式 が 多 い 到 達 目 標 が 一 律 に 到 達 すべき 目 標 になる ことを 避 けるために, 段 階 を 設 けて 自 己 評 価 させること は 悪 くない そような 自 己 評 価 形 に,CAN-DO 尺 度 要 素 を 取 り 入 れることで, 自 己 評 価 客 観 性 を 高 め, 生 徒 が 自 分 学 習 状 況 をより 客 観 的 に 振 り 返 り, 次 学 習 目 標 を 自 律 的 に 設 定 することが 可 能 になると 思 われる 例 えば, 単 元 末 に 自 己 評 価 を 行 う 際 には, 上 記 ようなCAN-DO 尺 度 を 生 徒 と 共 有 し, 生 徒 が 自 分 学 習 到 達 段 階 と 比 較 することで, 現 在 到 達 状 況 を 客 観 的 に 振 り 返 ることが 可 能 になると 思 われる 自 分 学 習 到 達 段 階 や 単 元 を 通 した 学 習 へ 取 組 を 振 り 返 る 中 で, 例 えば, 上 記 2 到 達 段 階 にある 生 徒 で あれば, 文 章 中 でどこが 大 切 な 部 分 なかだんだん 分 かってきたで, 次 回 学 習 では 文 章 大 切 な 部 分 につ いて 質 問 に 答 えることができるようになりたい など, 努 力 する 方 向 性 を 具 体 的 に 明 示 するコメントを 自 由 記 述 欄 に 書 くようになることを 期 待 したい 2 目 標 に 沿 った 自 己 評 価 が 可 能 になる 前 述 した 自 己 評 価 表 は, 単 元 1 枚 構 成 で, 毎 時 間 自 己 評 価 を 行 う 形 もが 多 い いかに 客 観 性 を 持 たせて いくかという 問 題 他 に, 単 元 で 行 うほとんど 活 動 に ついて 毎 時 間 自 己 評 価 をさせていることも 課 題 として 挙 げられる 生 徒 にとって, 単 元 目 標 に 沿 っていない 評 価 項 目 が 多 いほど, 単 元 で,または 複 数 単 元 にまた 35 がって,できるようになりつつあることを 実 感 すること が 難 しくなると 考 える CAN-DOリスト 活 用 一 環 として 自 己 評 価 という 観 点 からすれば, 従 来, 学 習 したことをほとんど 全 て 振 り 返 る 形 を 刷 新 し,CAN- DO 尺 度 を 用 いて,4 技 能 に 関 わる 単 元 目 標 部 分 に 焦 点 化 して 振 り 返 ることがよいではないかと 思 う また, 目 標 に 沿 った 評 価 を 無 理 なく 行 うとともに, 指 導 と 評 価 を 一 体 化 する 観 点 からすれば, 一 つ 単 元 で 主 たる 目 標 として 取 り 扱 い, 単 元 末 に 総 括 的 評 価 を 行 う 技 能 は, 重 点 化 を 図 り 一 つから 二 つに 絞 るべきであろう 3 足 場 かけを 行 う 学 習 到 達 目 標 達 成 に 向 けて, 複 数 単 元 で 学 んでい く 過 程 で, 生 徒 が 徐 々にできるようになりつつあること を 評 価 していくためには, 教 師 がCAN-DO 尺 度 を 基 に, 到 達 目 標 達 成 に 向 けた 足 場 かけを 行 っていくこと が 効 果 的 であると 考 える 前 述 したCAN-DO 尺 度, 2から3 段 階 へかける 足 場 例 ( 下 記 ア~エ)を 以 下 に 示 す 2 文 章 に 書 かれている 情 報 正 誤 を 問 う 質 問 に 答 えるこ とができる ア 文 章 大 切 な 部 分 が 書 いてある 箇 所 を 見 付 けること が 難 しい イ 選 択 肢 を 手 がかりに, 文 章 大 切 な 部 分 が 書 いてある 箇 所 を 見 付 けることができる ウ 日 本 語 で 質 問 されれば, 文 章 大 切 な 部 分 について 質 問 に 答 えることができる エ 時 間 をかけて 書 いた 後 であれば, 文 章 大 切 な 部 分 に ついて 質 問 に 英 語 で 答 えることができる 3 文 章 大 切 な 部 分 について 質 問 に 答 えることができ る 例 えば,ア 段 階 にある 生 徒 が 多 い 場 合 は, 文 章 大 切 な 部 分 を 読 み 取 る 設 問 として, 選 択 肢 を 設 けることが 有 効 であると 思 われる そ 際 に, 生 徒 各 自 が 選 んだ 選 択 肢 が 正 解 不 正 解 となる 根 拠 が, 文 章 中 どこに 書 い てあるか 全 体 で 確 認 するなど, 選 択 肢 を 手 がかりに 文 章 を 読 み 取 る 方 法 を 指 導 することが 求 められる そして, 多 く 生 徒 がそような 足 場 を 必 要 としなくなったウ 段 階 にあって,もし 生 徒 たちが, 大 切 な 部 分 について 質 問 が 英 問 英 答 で 行 われることに 困 難 を 感 じるであれ ば, 質 問 を 日 英 両 方 で 提 示 するなど 足 場 かけを 行 うこ ともできる そして, 次 回 以 降 単 元 で, 英 語 で 質 問 に 対 して,フルセンテンスではなく 英 語 で 穴 埋 め 形 式 で 答 えさせるなど 指 導 を 継 続 する 中 で, 多 く 生 徒 が, 文 章 大 切 な 部 分 について, 英 語 質 問 に 英 語 で 答 えら れることをめざしていけると 思 われる 3 読 むこと 指 導 における 授 業 実 践 について O 中 学 校 N 教 諭 授 業 実 践 ( 平 成 年 9 月 )

1 実 践 概 略 本 文 を 読 み 取 ろうとする 生 徒 にとっては, 有 効 な 足 場 に < 単 元 名 >2 年 Unit Homestay in the United States < 授 業 を 行 った 教 科 書 該 当 箇 所 > Reading for Communication < 本 時 ねらい> ホームステイで 悩 みごとについて 書 かれた 英 文 を 読 み, 内 容 を 理 解 することができる < 主 な 活 動 や 読 み 取 り 質 問 > 1 ホームステイに 関 する 相 談 ごとが 書 かれた 英 文 を 読 み,そ 内 容 をペアで 伝 え 合 おう ( 英 文 一 例 ) My host family wears shoes in the house, but that s not clean! We don t wear shoes in Japan. 2 絵 里 相 談 内 容 について 答 えなさい ( 一 部 抜 粋 ) 〇 T or F or We don t know ( )Eri s host family is not nice to her. 絵 里 ホストファミリーは 絵 里 にやさしくない ( )Eri decides to tell her host mother about her problem. 絵 里 は 自 分 悩 みをホストマザーに 伝 えると 決 めている 3 絵 里 相 談 に 対 して, 先 生 は 何 をしなさいと 言 ってい るか, 先 生 がもっとも 伝 えたい 内 容 を 表 す 英 文 を 一 つ 選 び, 〇 をつけなさい ア( )You must tell your host mother イ( )Say, I m sorry. ウ( )She ll understand. 4 内 容 を 確 認 しよう ( 一 部 抜 粋 ) 1 絵 里 悩 んでいることは 何 か 2 先 生 助 言 は 何 か 2 実 践 における 工 夫 : 足 場 かけ 工 夫 N 教 諭 が 指 導 する2 学 年 生 徒 たちは,まとまった 内 容 説 明 文 を 読 んで, 大 切 な 部 分 を 理 解 することに 慣 れ ていない したがって, 多 く 生 徒 が 本 時 ねらいを 達 成 するために,N 教 諭 は, 様 々な 足 場 かけ 工 夫 を 行 っ ていた ア において ホームステイに 関 する 知 識 や 経 験 が 乏 しい 生 徒 にとっ て, 本 文 中 登 場 人 物 悩 みに 共 感 したり,そ 人 物 身 になって 悩 みを 理 解 したりすることは 困 難 であること が 予 想 される したがって, 本 文 を 読 む 前 に, 上 記 1 ような,ホームステイで 悩 みについて 書 かれたいくつ か 英 文 を 読 ませることで,ホームステイに 関 するスキ ーマを 活 性 化 させ, 教 科 書 本 文 内 容 を, 生 徒 が 自 分 生 活 や 実 体 験 と 関 連 付 けて 理 解 できるようにすることは, 大 変 有 効 であると 思 われる 実 際 に, 生 徒 たちは,グル ープで, 読 んで 理 解 したことについて 楽 しそうに 伝 え 合 っていた イにおいて 2 質 問 は,ワークシート 上 には 日 英 両 方 で 示 されて いた 本 文 内 容 はおおかた 読 み 取 れているが, 質 問 自 なると 考 える N 教 諭 は,2 発 問 を 英 語 みで 行 って おり, 日 本 語 足 場 を 必 要 としない 生 徒 に 対 しては, 英 語 を 通 して 理 解 するよう 促 していた さらに, 生 徒 が 質 問 に 答 える 際 に と 答 えることを 認 める ことで, 質 問 に 答 える 際 に 根 拠 となる 本 文 箇 所 を 見 つ けることができない 生 徒 を 見 取 り,フォローアップを 行 うことにつなげた 3では, 選 択 肢 を 与 えることで,ホ ームステイ 悩 みに 対 する 先 生 アドバイス 中 で, 一 番 大 切 な 部 分 を 読 み 取 るために 効 果 的 な 足 場 かけを 行 っていた こ 足 場 かけにより,アドバイス 中 で 一 番 大 切 な 部 分 がどこに 書 かれているか 気 付 いたことが,4 2で, 助 言 より 詳 細 な 内 容 を 読 み 取 る 際 手 がかり になると 思 われる また,こような 足 場 かけ 指 導 を 継 続 することで, 読 み 取 りヒントとなる 選 択 肢 がない 4ような 質 問 を 最 初 からされても, 内 容 大 切 な 部 分 について 読 み 取 ることができる 段 階 に, 徐 々に 到 達 して いけるようになると 考 える F 中 学 校 S 教 諭 授 業 実 践 ( 平 成 年 月 ) 1 実 践 概 略 < 単 元 名 > 3 年 Unit Learn by Losing < 授 業 を 行 った 教 科 書 該 当 箇 所 > Reading for Communication < 本 時 ねらい> ある 外 国 人 力 士 が 体 験 を 通 して 何 を 学 んだかについて 理 解 し,それについて 自 分 感 想 を 英 語 で 述 べようとし ている < 主 な 活 動 や 読 み 取 り 質 問 > 1 本 文 を 読 んで, 次 要 約 文 空 欄 に 適 する 日 本 語 を 書 きましょう たいてい 外 国 人 力 士 は, 日 本 へ 来 たときは (ア ) 日 本 語 を(イ ) ある 若 い 外 国 人 力 士 は,(ア )を(イ ) と 混 同 し,(ウ )を(エ )と 呼 んだ 2 次 問 いに, 日 本 語 で 答 えましょう なぜそ 若 い 外 国 人 力 士 は と を 混 同 したでしょうか なぜそ 外 国 人 力 士 はショックを 受 けたでしょうか 3 次 問 いに,あなたならどう 答 えますか まずどちら かを 〇 で 囲 み, 教 科 書 本 文 やヒントシートなども 参 考 にして, 理 由 を 明 らかにしながら 自 分 意 見 を5 語 以 上 で 書 きましょう Is this young foreign wrestler stupid? I think he is ( stupid / not stupid ) because 2 実 践 における 工 夫 : 発 問 構 成 工 夫 一 般 に, 教 科 書 本 文 読 み 取 りで 用 いられる 発 問 は, 文 章 中 に 書 かれている 事 実 を 問 う 事 実 発 問 田 中 がほとんどである しかし,それでは 前 述 した 学 習 指 導 要 領 読 むこと 指 導 事 項 (オ)や, 試 案 ある 程 度 長 さ 文 章 を 読 み,そ 内 容 と 自 分 経 験 や 考 えと 体 が 難 しいため 答 えられない 生 徒 や, 質 問 を 手 がかりに 関 連,またそ 主 張 優 れている 点 や 問 題 点 などをと 36

らえることができる ような 到 達 目 標 へ 対 応 が 不 十 読 んだ 内 容 について 意 見 や 感 想 を, 即 興 的 に 話 したり 分 となる そこで,S 教 諭 ように, 事 実 発 問 に 加 えて 書 いたりする 技 能 面 総 括 的 評 価 を 急 ぐ 必 要 はなく, 形 推 論 発 問 や 評 価 発 問 田 中 を 用 いるなど, 読 むこ 成 的 評 価 を 行 う 回 数 を 重 ねながら 徐 々にアウトプット と 指 導 において 発 問 構 成 工 夫 を 行 うことが, 今 後 内 容 を 充 実 させ, 自 信 につなげることが 肝 要 であると 考 ますます 求 められると 考 える S 教 諭 が 用 いた 発 問 類 える 型 について 以 下 に 詳 述 する 事 実 発 問 Ⅲ 研 究 まとめ 1 事 実 発 問 に 加 え,2 で, 外 国 人 力 士 が, お 1 研 究 成 果 かみさん と おおかみさん を 混 同 してしまった 理 N 教 諭 やS 教 諭 ように, 読 むこと 指 導 におい 由 を 問 うている こように, 単 純 に 情 報 を 検 索 すれ て, 足 場 かけや 発 問 構 成 工 夫 を 継 続 することで, 英 文 ば 答 えられる 発 問 だけでなく, 複 数 英 文 を 読 んで, を 受 け 身 に 読 むことから 脱 却 し, 主 体 的 に 文 章 に 向 かう そ 前 後 関 係 を 踏 まえ 判 断 しないと 答 えられない 事 実 ことを 可 能 にすると 思 われる そような 学 習 サイクル 発 問 を 用 いることで, 文 章 を 何 度 も 読 み, 内 容 をより 中 で, 自 律 した 学 習 者 を 育 んでいくことが,CAN- 正 確 に 理 解 できるようになると 思 われる DOリスト 活 用 重 要 な 目 的 一 つである 全 て 単 元 推 論 発 問 における 自 己 評 価 表 をあらかじめ 用 意 するなど, 形 上 2は, 文 章 中 に 書 かれた 情 報 に 基 づいて, 直 接 で 準 備 万 端 な 状 態 にすることにとらわれず,N 教 諭 やS 的 には 書 かれていない 内 容 を 推 測 させる 推 論 発 問 であ 教 諭 ように,まずは 高 めたい 技 能 から できる 単 元 る 田 中 内 容 に 対 する 読 みを 深 め, 書 き 手 が 伝 から,CAN-DOリスト 活 用 を 始 めたい 従 来 取 組 えたいことを, 自 分 経 験 や 考 えと 関 連 付 けてとらえ に 新 しいスパイスを 少 し 加 えたことで, 生 徒 における 学 ることを 可 能 にする 2 発 問 に 対 して, 生 徒 た び 質 変 化 を 見 取 ることができれば,そ 新 しい 一 歩 ちは, 当 初, みんなに 笑 われたから ような, 表 は, 今 後, 充 実 発 展 していく 可 能 性 を 大 きく 秘 めてい 面 的 な 読 み 取 りにより 導 き 出 される 答 えを 表 明 して ると 考 える いたが,S 教 諭, 確 かに 笑 われたことはショック アウトプット 活 動 偏 重 が, 中 学 校 英 語 指 導 における だけど, 本 当 にそれだけが 理 由 かな みんながこ 外 課 題 として 挙 げられている N 教 諭 やS 教 諭 ように, 国 人 力 士 だったら,どんなふうに 感 じるかもう 一 度 考 インプット 段 階 で 思 考 を 深 めさせる 指 導 を 行 うことは, えてみよう という 問 い 返 しにより, お 世 話 になって インプット 活 動 充 実 を 図 るだけでなく,アウトプット いる 人 に 失 礼 なことをしてしまったと 反 省 したから 活 動 をさらに 充 実 したもにする 可 能 性 も 秘 めている などど, 内 容 に 対 する 深 い 理 解 がうかがえる 答 えを 導 2 今 後 課 題 き 出 す 生 徒 も 現 れた 今 後, 教 育 センターとして,CAN-DOリスト 作 評 価 発 問 成 活 用 に 係 る 研 究 を 継 続 し, 県 内 中 学 校 におけるCA 3 評 価 発 問 は, 内 容 に 対 する 読 み 手 として 考 え N-DOリスト 普 及 に 努 めたい そため,まずは, や 態 度 を 表 明 させるためもである( 田 中 ) 試 案 を 活 用 して 作 成 されたCAN-DOリストや, こ 発 問 を 英 語 で 行 うことによって, 難 易 度 高 い 活 CAN-DO 尺 度 を 取 り 入 れたリスト 活 用 具 体 等 につ 動 が 求 められるため, 学 習 段 階 が 進 まないとスムー いて, 各 種 研 修 会 や 上 で 発 信 を 行 っていきたいと 考 ズにいかない 場 合 が 多 い そこで,S 教 諭 は3よう える に 英 問 英 答 型 を 与 えることにより 足 場 を 作 り,さらに, 参 考 引 用 文 献 グループで 協 力 して 活 動 させる 工 夫 を 行 った そこ 1) 中 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 外 国 語 編 とが, 全 てグループにおいて, 授 業 時 間 内 に 黒 板 に ( 文 科 省 年 ) 英 語 で 意 見 を 記 入 し 終 えることを 可 能 にした 2) 英 語 到 達 度 指 標 ガイドブック 投 野 由 起 夫 以 上 ようにS 教 諭 は,あくまでも 内 容 理 解 に 関 する ( 大 修 館 書 店 年 ) 読 むこと 技 能 を 主 たる 本 時 ねらいとしている 3)17CAN-DO したがって, 評 価 発 問 に 対 して 英 語 で 答 えることに 関 し リスト 解 説 書 長 沼 君 主 ( 啓 林 館 年 ) ては, 技 能 面 ではなくコミュニケーションへ 関 心 意 4) 推 論 発 問 を 取 り 入 れた 英 語 リーディング 指 導 欲 態 度 観 点 において 評 価 を 行 っている こように, 田 中 武 夫 ( 三 省 堂 年 ) 37