写真3 この鳥では大腿骨 脛足根骨 上腕骨等に発情ホルモンによると思われる過剰な Ca沈着が見られ 産卵直前であることを推察できる
写真6 黒いカーテン生地で作った簡易のカバー 慢性卵管炎の治療 尿洞に開口している外卵管孔から細菌が侵入して卵管炎を起こす 無卵黄卵あるいは奇 形卵を形成する卵が時に形成不全(軟卵殻 巨大卵形成)に陥るかもしれない これらはい ずれも卵塞の原因になる バイトリルが好んで適応される バイトリル注射液を2ml採 り シロップで10mlとする この10滴を飲水10mlに溶解して 自由飲水とする 2ヶ月 以上の投与が必要である 栄養状態の改善とカルシウムの補給 1 健康な食生活 ヒトの食事を与えない 着色等の加工してある餌は避ける 2 体重が維持できる程度の摂取カロリーに留める 餌の中のカルシウム リン ビタミンD含有量がまず適正である必要がある しかし配 合飼料のみでは判断が困難である 幸い 鳥の栄養学者によって考案された ほぼ完全栄 養食のペレットが市販されているのでこれを配合飼料と併用することでかなりの改善が期 待できる ラウデイブッシュ社あるいはハリソン社のものが推奨できる 種子食に50 程度混ぜて与えると良い こうすることで適切なタンパク質の給与が期待できる ペレッ トは若令ほど容易に餌として受け入れるので ヒナあるいは若鳥の頃から与え始めると良 い 卵塞が発生した時にはCa貯蔵が激減しているかも知れない またその結果として再度 卵塞が再発生する コマツナ チンゲンサイ等のカルシウムの豊富な野菜をたくさん与 え 穏やかな温度も安全な産卵のために必要である この他にモウゴウイカの甲(セキセ イインコでは容易に齧り取ることが出来るが 小さな鳴禽類には 匙で甲を削り 粉にし て与えると良い)あるいは牡蛎の貝殻(牡蛎粉)もよく使われる 排卵抑制のホルモン療法
クロールマジノンアセテートとLeuprolide acetate(lupron,tap Phamaceutical の 2種類の薬物が排卵抑制の為に臨床応用されている 1 クロールマジノンアセテートの移植 持続性黄体ホルモンをシリコン柱にしみ込ませた薬剤(ジースインプラント)で 年余に 渡って黄体ホルモンを放出する製剤である これを全身麻酔下で腹腔内に埋め込むこと で 数年間にわたって 排卵の抑制が期待できる4) 写真7 カラスへのシースインプラント剤(クロールマジノンアセテート)の移植手術 写真8 市販のインプラント剤 本法による産卵抑制は確実に少なくとも2年間は持続すると思われる 手術はリドカイン 局所麻酔下で 皮膚は腹部正中線上を鉗子で圧迫挫滅して切開する その下の腹壁も同様 に鉗子で圧迫挫滅して切開して小孔をもうける 適用用量はホルモン学的には体重と関係 ないと言われている イヌ用100mgを一本挿入する必要があるが オカメインコでもも セキセイインコでも物理的に1本の挿入は困難である 通常オカメインコには1/2本 セ キセイインコには1/4を使用している ハト カラスには1本使う しかし注意しなけれ
文献1 Sally E. Solomon,Egg and Eggshell Quality.,Manson Publishing 73-110p,The Veterinary Press Iowa State University Press,Ames 1997 文献2 訳者代表 今道友則 デュークス生理学(下巻),Melvin j. Swenson.,第1版 810-824,学窓社 東京,1997 文献3 海老沢和荘 講演資料集 No1(CD-R),エキゾチック研究会(JSEPM),2006 文献4 中西 比呂子ら 酢酸クロルマジノンによる鳥の発情抑制効果 第26回動物臨床 医学会 Proceeding No.2,183-184,2005 文献5 中津 聡ら 鳥に酢酸リュープロレイン(LH RH誘導体)を用いた発情抑制効果に 対する検討 第25回動物臨床医学会 Proceeding No.2,105-106,2004