今 後 の 花 粉 発 生 源 対 策 の 推 進 方 策 について ~ 花 粉 発 生 源 対 策 プロジェクトチーム 検 討 報 告 ~ 1 プロジェクトチームの 設 置 と 任 務 我 が 国 のスギ 人 工 林 は 約 452 万 haで 森 林 面 積 の2 割 を 占 め これらの 森 林 は 木 材 供 給 はもとより 国 土 の 保 全 水 源 のかん 養 地 球 温 暖 化 の 防 止 など 様 々な 重 要 な 役 割 を 果 たしている 一 方 で スギ 花 粉 症 の 有 病 率 が 国 民 の1 割 を 超 えると 推 計 されるなど 国 民 的 課 題 であるスギ 花 粉 症 の 発 生 源 にもなっており 花 粉 発 生 源 対 策 の 充 実 強 化 への 国 民 の 強 い 要 請 を 受 けているところである このような 中 で 今 後 の 花 粉 発 生 源 対 策 の 加 速 化 を 図 るため 本 年 4 月 に 林 野 庁 に 花 粉 発 生 源 対 策 プロジェクトチーム を 設 置 し ( 1) 国 民 的 要 請 を 踏 まえた 現 行 対 策 の 現 状 と 評 価 ( 2) 国 民 的 要 請 に 応 えるための 抜 本 的 対 策 のあり 方 ( 3) これらを 踏 まえた 平 成 19 年 度 の 対 応 策 及 び 平 成 20 年 度 予 算 概 算 要 求 等 を 検 討 し 平 成 20 年 度 予 算 概 算 要 求 までに 取 りまとめることとなった 2 検 討 過 程 本 チームでは はじめに 林 野 庁 がこれまで 取 り 組 んできたスギ 花 粉 症 対 策 の 現 状 と 課 題 について 検 討 を 行 い この 結 果 を 本 年 7 月 5 日 に 公 表 した この 間 の 検 討 に 当 たり 主 要 な 課 題 は 次 の 点 であった 1 少 花 粉 スギ 品 種 は 花 粉 生 産 量 が 普 通 の 品 種 の1% 以 下 であるという 特 性 が 森 林 所 有 者 や 林 業 関 係 者 等 に 十 分 に 普 及 していないこと また 開 発 された 品 種 に 地 域 的 な 偏 りがあり 各 地 域 に 馴 染 んだ 品 種 等 の 無 花 粉 化 が 必 要 なこと 2 スギ 山 行 き 苗 木 の 全 供 給 量 に 占 める 少 花 粉 スギ 苗 木 の 割 合 は 供 給 量 の1% 以 下 に 留 まっており 花 粉 症 対 策 品 種 の 増 産 体 制 の 確 立 が 必 要 なこと 3 全 国 のスギ 人 工 林 面 積 は 約 452 万 haであるが 最 近 のスギ 造 林 面 積 は 全 体 で 年 間 6 千 ha 程 度 であり 全 てのスギ 人 工 林 をスギ 花 粉 の 少 ない 森 林 に 更 新 す るためには 相 当 な 時 間 を 要 すること 4 少 花 粉 スギ 品 種 への 更 新 や 針 広 混 交 林 への 誘 導 を 積 極 的 に 進 めるためには 森 林 所 有 者 の 理 解 と 協 力 が 必 要 であり 森 林 施 業 意 欲 等 を 高 めるための 推 進 方 策 が 必 要 であること 5 花 粉 発 生 源 対 策 を 計 画 的 かつ 着 実 に 進 めていくためには 多 くの 国 民 の 理 解 と 協 力 が 不 可 欠 であり 広 く 国 民 参 加 による 花 粉 発 生 源 対 策 を 進 めることが 必 要 で あること 3 検 討 結 果 ( 1) それぞれの 課 題 について 本 チームにおいて 森 林 資 源 の 状 況 現 在 の 技 術 的 な 可 能 性 現 場 の 実 行 体 制 等 を 踏 まえながら 現 段 階 において 考 えられる 課 題 に 対 する 対 策 の 検 討 を 進 めた -1-
その 結 果 本 チームとしては 仮 にそれぞれの 課 題 について 全 て 適 切 な 対 応 が 行 われた 場 合 には 次 のような 効 果 の 発 現 が 期 待 できるとの 結 論 に 達 した 10 年 後 に 期 待 される 成 果 首 都 圏 等 へのスギ 花 粉 の 飛 散 に 強 く 影 響 を 与 えると 推 定 されるスギ 林 ( 約 9.5 万 ha)について 少 花 粉 スギの 造 林 抜 き 伐 りによる 針 広 混 交 林 への 誘 導 等 ス ギ 花 粉 の 少 ない 森 林 への 転 換 を 進 め 10 年 間 でおおむね5 割 減 少 させる 少 花 粉 スギ 苗 木 等 の 供 給 量 の 大 幅 な 拡 大 に 向 けて 少 花 粉 スギ 苗 木 の 生 産 体 制 を 整 備 し 少 花 粉 スギ 苗 木 等 の 供 給 量 を 現 状 の9 万 本 ( 平 成 17 年 度 実 績 )から 平 成 24 年 度 にはおおむね100 万 本 に 平 成 29 年 度 にはおおむね1000 万 本 に 増 大 させる (これまでの 目 標 は 平 成 28 年 度 に100 万 本 ) なお 首 都 圏 等 へ 飛 散 するスギ 花 粉 発 生 地 域 を 含 む 都 府 県 のスギ 苗 木 供 給 量 に 占 める 少 花 粉 スギ 苗 木 等 の 割 合 は 平 成 24 年 度 にはおおむね4 割 に 10 年 後 の 平 成 29 年 度 には10 割 になる ( 参 考 ) 今 後 10 年 間 のスギ 花 粉 の 少 ない 森 林 への 転 換 見 通 し 区 分 第 1 期 第 2 期 合 計 ( H20 ~ 24) ( H25 ~ 29) 首 都 圏 等 へのスギ 花 粉 飛 散 に 強 く 影 響 を 与 えると 推 定 されるスギ 林 ( 重 点 区 域 )における 花 粉 症 対 策 20 千 ha 27 千 ha 46 千 ha 林 整 備 資 金 造 成 事 業 の 実 施 国 公 有 林 の 取 組 等 による 少 花 粉 スギ 林 への 転 換 等 重 点 区 域 のスギ 林 面 積 に 対 する 達 20% 30% 50% 成 率 重 点 区 域 面 積 :95 千 ha -2-
( 2) 本 チームにおいて 検 討 した 各 課 題 に 対 する 対 策 は 次 のとおりである 課 題 1 花 粉 発 生 源 対 策 の 効 果 の 早 期 発 現 スギ 林 が 全 国 に 約 452 万 haもある 中 で スギ 花 粉 の 少 ない 森 林 への 転 換 を 図 るためには 気 の 遠 くなるような 年 月 を 要 するが いかに 短 期 間 に 効 果 をあげるか 1 スギ 人 工 林 は 約 452 万 haで 北 海 道 から 九 州 まで 幅 広 く 分 布 しており このう ち 雄 花 が 多 く 形 成 される26 年 生 以 上 の 森 林 が 約 335 万 haで 全 体 の3/4を 占 めている これらの 森 林 をすべて 花 粉 の 少 ない 森 林 へ 更 新 するためには 厖 大 な 時 間 と 労 力 が 必 要 である 2 一 方 日 本 アレルギー 協 会 等 によるスギ 花 粉 症 の 全 国 実 態 調 査 においては スギ 花 粉 症 有 病 率 は 人 口 の 集 中 している 関 東 東 海 近 畿 ブロックで 高 くなっており 特 に 首 都 圏 の 都 県 市 からは 花 粉 発 生 源 対 策 の 充 実 強 化 に 対 する 強 い 要 望 が 出 され ている 3 このような 中 で 今 後 の 花 粉 発 生 源 対 策 を 効 果 的 に 進 めていくためには 首 都 圏 等 へ 多 くの 花 粉 を 飛 散 している 地 域 を 絞 り 込 んで スギ 花 粉 の 少 ない 森 林 への 更 新 等 を 優 先 的 に 実 施 することが 必 要 である 4 このため 当 面 は 平 成 18 年 度 から 取 り 組 んでいる スギ 花 粉 発 生 源 調 査 の 暫 定 的 な 調 査 結 果 を 踏 まえて 首 都 圏 等 への 花 粉 量 に 与 える 影 響 が 非 常 に 強 い ス ギ 林 を 主 体 に 花 粉 発 生 源 対 策 の 重 点 化 を 図 り 事 業 効 果 の 早 期 発 現 に 結 びつけてい く 必 要 がある 参 考 1. 人 工 林 の 現 況 森 林 面 積 天 然 林 2,512 万 ha 1,335 万 ha 約 700 年 かかる 人 工 林 1,036 万 ha 造 林 面 積 0.64 万 ha/ 年 うち スギ 人 工 林 452 万 ha 2. 首 都 圏 等 の 花 粉 量 への 影 響 度 別 スギ 林 面 積 ( 暫 定 版 ) ( 単 位 : 千 ha) 区 域 非 常 に 強 い 強 い やや 強 い 弱 い 合 計 首 都 圏 55 70 166 876 1,167 中 京 圏 0 0 153 1,124 1,277 京 阪 神 40 78 286 911 1,315-3-
スギ 花 粉 発 生 源 対 策 重 点 区 域 の 推 定 ( 例 : 首 都 圏 ) - 評 価 ランクを 基 に 対 象 地 域 への 影 響 度 を 区 分 - 区 分 非 常 に 強 い が 重 点 区 域 影 響 度 別 スギ 林 の 推 定 図 首 都 圏 の 花 粉 量 への 影 響 度 別 ス ギ 林 面 積 ( 合 計 1,167 千 ha) 非 常 に 強 い 55 千 ha 5% 強 い 70 千 ha 6% やや 強 い 166 千 ha 14% 弱 い 876 千 ha 75% 首 都 圏 花 粉 量 32.2 個 /m 3 12.2 個 /m3 8 個 /m3 8 個 /m3 4 個 /m3 評 価 ランクの 区 分 非 常 に 多 い (20 個 /m 3 以 上 ) 多 い (12~20 個 /m 3 未 満 ) やや 多 い (4~12 個 /m 3 未 満 ) 少 ない (~4 個 /m 3 未 満 ) 影 響 度 別 スギ 林 の 推 定 図 について 平 成 17 年 及 び 平 成 18 年 シーズン(2 月 ~4 月 )の 平 均 のスギ 花 粉 発 生 源 の 推 定 分 布 図 で 表 示 単 位 を 約 2km 四 方 のメッシュとしている 青 い 円 は 東 京 駅 ( 首 都 圏 )を 中 心 とする 半 径 10km 圏 内 を 表 しており この 青 い 円 内 に 到 達 し た 花 粉 の 発 生 源 を 推 定 都 市 部 における 花 粉 飛 散 量 を 表 す 評 価 ランクに 対 応 して 発 生 源 のスギ 林 を 都 市 部 の 花 粉 量 への 影 響 度 の 強 い 順 位 に 非 常 に 強 い 強 い やや 強 い 弱 い に 区 分 し この 中 の 非 常 に 強 い のランクのスギ 林 を 重 点 的 に 施 策 を 講 じる 区 域 として その 部 分 を 赤 色 から 橙 黄 色 で その 他 の 発 生 源 部 分 を 黄 色 から 緑 青 緑 色 で 表 示 評 価 ランクの 区 分 について 評 価 ランクとは 花 粉 飛 散 量 の 測 定 値 と 花 粉 症 患 者 の 症 状 との 関 係 から 花 粉 飛 散 数 を 非 常 に 多 い(20 個 /m3 以 上 ) 多 い(12 個 /m3 以 上 20 個 /m3 未 満 ) やや 多 い(4 個 /m3 以 上 12 個 /m3 未 満 ) 少 ない(0 個 /m3より 大 4 個 /m3 未 満 ) の4 段 階 に 区 分 したもので 非 常 に 多 い は8 割 以 上 の 花 粉 症 患 者 が 症 状 を 訴 え 安 眠 が 妨 げられたり 実 生 活 に 影 響 が 強 く 出 る 人 もいる 多 い は8 割 以 上 の 花 粉 症 患 者 が 発 症 する やや 多 い は5 割 以 上 の 花 粉 症 患 者 が 症 状 を 訴 える 少 ない は シーズン 前 に 適 切 に 予 防 措 置 をした 場 合 かなり 症 状 が 軽 減 されるとされています なお この 評 価 ランク は 全 国 の 自 治 体 や 医 療 機 関 民 間 気 象 事 業 者 等 の 関 係 機 関 が 発 表 する 花 粉 情 報 にも 用 いられています -4-
課 題 2 少 花 粉 スギ 林 等 への 転 換 の 促 進 林 業 経 営 の 悪 化 等 により 最 近 のスギ 造 林 面 積 が 全 国 で 約 6 千 haとい う 状 況 の 下 で どのように 森 林 所 有 者 の 協 力 を 得 ながら 転 換 を 促 していく か 1 スギ 人 工 林 を 花 粉 の 少 ない 森 林 に 更 新 するためには 伐 採 可 能 な 林 分 の 計 画 的 な 伐 採 の 促 進 天 然 更 新 のための 抜 き 伐 りによる 針 広 混 交 林 への 誘 導 等 について 森 林 所 有 者 の 理 解 と 協 力 を 得 ることが 不 可 欠 である 2 特 に 伐 採 後 の 再 造 林 については 林 業 経 営 の 採 算 性 を 確 保 し 伐 採 後 の 造 林 や 保 育 費 用 を 十 分 に 確 保 する 必 要 があり これらの 経 費 の 一 部 については 森 林 整 備 事 業 等 による 支 援 や 各 種 林 業 振 興 策 を 推 進 してきたところである 3 しかしながら 近 年 林 業 採 算 性 が 悪 化 する 中 で 素 材 生 産 量 やスギの 造 林 面 積 は 年 々 減 少 しており 今 後 少 花 粉 スギ 品 種 等 への 更 新 を 積 極 的 に 促 すためには 森 林 所 有 者 等 が 伐 採 更 新 に 取 り 組 む 意 欲 を 増 進 する 新 たな 方 策 が 必 要 と 考 えられ る 4 このため 今 後 スギ 花 粉 発 生 源 調 査 結 果 を 踏 まえ 花 粉 発 生 源 対 策 を 重 点 的 に 進 めていく 地 域 を 対 象 として 例 えば 花 粉 の 少 ない 森 林 への 転 換 を 図 るための 伐 採 に 対 して 協 力 金 の 交 付 により 奨 励 する 制 度 の 確 立 を 図 る 必 要 がある 5 なお 森 林 の 有 する 多 面 的 機 能 の 持 続 的 な 発 揮 に 向 けて 大 面 積 の 伐 採 跡 地 が 広 がることを 防 止 するため 森 林 所 有 者 等 の 理 解 と 協 力 を 求 めながら 1 箇 所 当 たり の 伐 採 面 積 を1ha 以 下 の 小 面 積 とし パッチ 状 に 伐 採 を 推 進 することが 適 切 と 考 えられる 参 考 最 近 のスギ 造 林 面 積 の 推 移 年 スギ 人 工 造 林 面 積 ( 千 ha) H2 H7 H12 H17 22 16 10 6 民 有 林 18 14 8 5 度 合 計 国 有 林 4 2 2 1 資 料 : 林 野 庁 業 務 資 料 による 国 有 林 には 官 行 造 林 を 含 む 樹 下 植 栽 を 含 む 花 粉 症 対 策 の 林 種 転 換 協 力 金 制 度 のイメージ 協 力 金 の 仕 組 み ( 例 ) 国 資 金 中 央 団 体 ( 資 金 造 成 ) 助 成 金 対 象 森 林 重 点 区 域 のスギ 林 が 対 象 都 道 府 県 団 体 森 林 所 有 者 林 種 転 換 協 力 金 -5-
課 題 3 少 花 粉 スギ 苗 木 供 給 量 の 増 大 平 成 17 年 度 には 年 間 9 万 本 しか 供 給 されていない 少 花 粉 スギの 山 行 き 苗 木 をどのように 飛 躍 的 に 増 大 するか 1 少 花 粉 スギ 等 の 苗 木 供 給 量 を 大 幅 に 増 やすためには 都 道 府 県 市 町 村 森 林 組 合 苗 木 生 産 者 森 林 所 有 者 等 が 各 々の 立 場 から 連 携 協 力 することが 必 要 である 2 特 に 少 花 粉 スギ 等 の 供 給 量 を 増 大 させるためには 都 道 府 県 が 管 理 する 採 種 園 等 から 苗 木 生 産 者 に 少 花 粉 スギ 等 の 種 穂 を 大 量 かつ 安 定 的 に 供 給 する 体 制 を 整 備 す ることが 不 可 欠 である しかしながら 従 来 の 採 種 園 ではその 造 成 から 種 子 の 供 給 までに 少 なくとも13 年 程 度 を 必 要 とするため 短 期 間 に 少 花 粉 スギ 等 の 苗 木 を 大 幅 に 増 産 することは 困 難 である 3 このような 中 で ミニチュア 採 種 園 の 造 成 は 通 常 の 採 種 園 と 比 べて 種 子 の 供 給 までに 要 する 時 間 を 大 幅 に 短 縮 (13 年 4 年 程 度 )することが 可 能 であり ジベ レリン( 植 物 ホルモンの 一 種 ) 処 理 を 行 うことにより 小 面 積 で 大 量 の 種 子 を 生 産 することができる 手 法 である このため 長 期 的 には 少 花 粉 スギ 品 種 の 採 種 園 の 造 成 が 必 要 であるが 当 面 は 各 都 道 府 県 の 協 力 を 得 ながら 森 林 総 合 研 究 所 からの 採 種 園 用 台 木 等 の 供 給 可 能 量 等 に 応 じた 計 画 的 な 採 種 園 の 造 成 改 良 を 行 う 必 要 がある 4 さらに 少 花 粉 スギの 供 給 量 を 拡 大 する 手 法 として 山 行 き 苗 木 の 先 端 部 分 の 枝 か らさし 穂 を 採 取 し 同 形 質 の 個 体 の 増 産 を 図 る 新 たな 挿 し 木 技 術 (マイクロカッテ ィング)の 導 入 が 有 効 と 考 えられる 挿 し 木 による 苗 木 生 産 は 九 州 地 方 を 主 体 に 西 日 本 で 広 く 行 われているが 関 西 以 東 では 苗 木 は 基 本 的 に 種 子 から 生 産 されている このため マイクロカッティン グの 導 入 に 当 たっては 挿 し 木 技 術 の 普 及 定 着 が 急 務 な 課 題 であり 積 極 的 に 研 修 機 会 を 設 けるとともに 併 せて 森 林 総 合 研 究 所 等 研 究 機 関 と 連 携 しながら 技 術 の 向 上 に 取 り 組 む 必 要 がある 参 考 年 度 花 粉 症 対 策 苗 木 の 供 給 状 況 ( 平 成 17 年 ) ( 単 位 : 万 本 %) スギ 苗 木 供 給 量 比 率 (%) 全 体 (A) 少 花 粉 等 (B) (B/A) 現 状 (H17) 1,507 9 0.6 将 来 (H29) ー 948 62.9-6-
生 産 手 法 別 花 粉 症 対 策 苗 木 の 供 給 目 標 ( 単 位 : 万 本 ) 生 産 方 法 現 状 5 年 後 10 年 後 ( 平 成 17 年 度 )( 平 成 24 年 度 )( 平 成 29 年 度 ) 採 種 園 による 供 給 7 26 34 採 穂 園 による 供 給 2 50 107 ミニチュア 採 種 園 による 供 給 0 23 690 マイクロカッティングによる 供 給 0 15 110 その 他 0 5 7 合 計 9 119 948 花 粉 症 対 策 苗 木 の 供 給 計 画 ( 試 算 ) 単 位 : 万 本 1000 900 800 700 600 500 ミニチュア 採 種 園 ( 新 規 造 成 ) マイクロカッティンク 方 式 少 花 粉 品 種 ( 既 存 造 成 ) 無 花 粉 品 種 ( 既 存 造 成 ) 低 花 粉 品 種 ( 既 存 造 成 ) 400 300 200 100 0 H17 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29-7-
課 題 4 少 花 粉 スギ 苗 木 供 給 体 制 の 確 立 林 業 の 停 滞 とともに 苗 木 生 産 業 者 の 高 齢 化 零 細 化 が 進 む 中 で 少 花 粉 スギの 苗 木 をいかに 安 定 的 に 生 産 供 給 するか 1 苗 木 生 産 は 播 種 から 山 行 き 苗 として 出 荷 するまで3 年 間 が 必 要 であり この 間 の 需 給 リスクを 苗 木 生 産 者 が 負 担 することになる このため 地 域 に 馴 染 んだ 形 質 の 明 らかな 林 業 的 価 値 の 高 い 品 種 を 優 先 して 生 産 する 傾 向 にあり 少 花 粉 スギ 等 の 最 近 開 発 された 苗 木 を 積 極 的 に 生 産 する 意 欲 は 十 分 とは 言 えない 2 今 後 少 花 粉 スギ 等 の 山 行 き 苗 木 の 生 産 量 を 着 実 に 増 大 させるためには 国 と 都 道 府 県 が 一 体 となって 少 花 粉 スギ 品 種 の 苗 木 生 産 に 対 する 指 導 要 請 を 行 うととも に 少 花 粉 スギ 苗 木 等 が 地 域 の 林 業 関 係 者 に 普 及 定 着 するまでの 間 は 需 要 者 側 の 各 都 道 府 県 の 森 林 組 合 連 合 会 等 から 県 苗 木 生 産 組 合 に 少 花 粉 スギ 苗 木 の 生 産 を 委 託 するなど 苗 木 生 産 者 が 計 画 的 に 少 花 粉 苗 木 等 の 生 産 を 行 いうる 仕 組 みが 必 要 と 考 えられる 参 考 スギ 苗 木 生 産 量 の 推 移 ( 万 本 ) 800 700 600 500 400 300 200 100 0 苗 木 生 産 量 743 629 スギ その 他 491 415 399 261 234 156 164 252 104 213 114 137 75 70 41 28 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 76 57 18 最 近 のスギ 苗 木 の 生 産 量 と 供 給 量 ( 単 位 : 万 本 ) 区 分 15 年 度 16 年 度 17 年 度 生 産 量 2,057 2,024 1,780 供 給 量 1,598 1,488 1,507 残 苗 量 459 537 273 残 苗 率 22% 27% 15% -8-
課 題 5 魅 力 ある 無 花 粉 品 種 の 開 発 森 林 所 有 者 の 林 種 転 換 意 欲 を 増 進 させるためには 地 域 に 馴 染 んだ 魅 力 的 な 無 ( 少 ) 花 粉 スギ 品 種 の 開 発 が 必 要 であるが 何 十 年 にも 及 ぶ 森 林 のラ イフサイクルの 中 でどのように 品 種 開 発 を 促 進 するか 1 少 花 粉 スギ 品 種 等 の 花 粉 症 対 策 品 種 は 現 在 122 品 種 が 開 発 されているが 都 道 府 県 別 にみると 関 東 地 方 が 多 くなっている 一 方 東 北 関 西 地 方 は 十 数 品 種 に 止 まっている 2 このような 中 で 各 地 域 の 林 業 関 係 者 が 馴 染 んだ 優 良 品 種 を 遺 伝 子 組 換 え 等 の 新 たな 技 術 によって 無 ( 少 ) 花 粉 化 することが 可 能 になれば 将 来 的 に 花 粉 症 対 策 品 種 の 需 要 がより 増 大 することが 期 待 される 3 このため 無 花 粉 スギとの 人 工 交 配 による 新 たな 品 種 の 開 発 を 進 めるとともに 遺 伝 子 組 換 え 技 術 を 用 いた 花 粉 発 生 制 御 技 術 を 確 立 し 新 たな 花 粉 症 対 策 品 種 の 効 率 的 な 開 発 を 推 進 する 必 要 がある 参 考 森 林 林 業 分 野 における 遺 伝 子 組 換 え 技 術 に 関 する 研 究 開 発 の 今 後 の 展 開 方 向 について( 概 要 ) 遺 伝 子 組 換 え 技 術 の 開 発 の 現 状 ポプラ ユーカリ スギの 完 全 長 cdna 塩 基 配 列 情 報 の 大 規 模 収 集 ポプラ ユーカリ スギのゲノム 情 報 の 整 備 と 有 用 遺 伝 子 の 単 離 組 換 えポプラの 早 期 開 花 技 術 の 開 発 耐 病 性 高 セルロース 含 有 組 換 えポプラの 開 発 環 境 ストレス 耐 性 組 換 えユーカリ 等 の 開 発 雄 性 不 稔 組 換 えスギの 開 発 今 後 の 展 開 方 向 ゲノムサイズが 他 の 生 物 と 比 較 すると 著 しく 膨 大 我 が 国 の 遺 伝 子 組 換 え 技 術 の 開 発 に 携 われる 研 究 者 数 が 少 ない 隔 離 ほ 場 等 試 験 を 行 う 施 設 が 国 内 には 少 ないことから 以 下 の 優 先 順 位 を 設 定 して 研 究 開 発 を 推 進 する 1 地 球 温 暖 化 軽 減 : 乾 燥 塩 害 耐 性 の 付 与 CO 2 固 定 2 木 質 バイオマス 生 産 性 の 向 上 : 高 セルロース 低 リグニン 3 病 虫 害 に 対 する 抵 抗 性 の 付 与 :マツノザイセンチュウ 抵 抗 性 4 育 種 年 限 の 短 縮 共 通 する 重 要 な 課 題 花 粉 発 生 制 御 : 花 成 制 御 技 術 の 開 発 花 粉 形 成 抑 制 技 術 の 開 発 実 用 化 に 向 けた 課 題 国 民 の 理 解 増 進 のための 情 報 発 信 研 究 開 発 基 盤 の 課 題 モデル 植 物 や 農 作 物 を 材 料 とする 研 究 分 野 との 連 携 協 力 隔 離 ほ 場 等 研 究 開 発 の 基 盤 整 備 遺 伝 子 組 換 え 樹 木 の 開 発 が 期 待 される 分 野 花 粉 発 生 抑 制 対 策 に 貢 献 地 球 温 暖 化 防 止 対 策 に 貢 献 新 品 種 の 早 期 開 発 に 貢 献 生 物 多 様 性 維 持 に 貢 献 木 質 バイオマス 生 産 に 貢 献 熱 帯 地 域 等 の 資 源 充 実 に 貢 献 -9-
課 題 6 国 民 参 加 による 花 粉 発 生 源 対 策 の 推 進 今 後 花 粉 発 生 源 対 策 を 積 極 的 に 進 めていくためには 国 民 の 理 解 と 協 力 が 不 可 欠 であるが どのような 形 で 花 粉 発 生 源 対 策 に 国 民 の 参 加 を 求 め ていくか 1 花 粉 発 生 源 対 策 を 計 画 的 かつ 着 実 に 推 進 していくためには 関 係 する 国 民 の 理 解 と 協 力 が 不 可 欠 である 2 特 に 花 粉 発 生 源 となっているスギ 林 を 管 理 している 山 村 地 域 とスギ 花 粉 症 患 者 の 多 くが 居 住 している 都 市 地 域 の 人 々が 連 携 協 力 しながら 花 粉 発 生 源 対 策 を 進 め ることが 重 要 である 3 このため 今 後 花 粉 発 生 源 対 策 を 進 める 上 で 必 要 な 資 金 や 労 力 を 都 市 住 民 等 が 提 供 できる 仕 組 みを 確 立 し 都 市 住 民 等 の 参 加 によるスギ 花 粉 の 少 ない 森 林 づくりを 進 めることが 効 果 的 と 考 えられる 4 また 利 用 可 能 な 人 工 林 資 源 が 充 実 しつつある 一 方 国 民 一 人 当 たりの 国 産 材 の 利 用 量 は 減 少 しており 今 後 スギ 人 工 林 の 更 新 を 促 す 上 でも 花 粉 発 生 源 対 策 に 伴 い 生 産 される 素 材 等 の 国 産 材 を 積 極 的 に 活 用 するための 体 制 の 整 備 や 国 産 材 の 利 用 拡 大 を 図 るための 普 及 啓 発 を 展 開 する 必 要 がある 参 考 手 入 れの 不 十 分 な 私 有 林 の 整 備 に 対 する 消 費 者 の 意 識 森 林 ボランティアへの 参 加 や 緑 の 募 金 への 協 力 など 国 民 全 体 で 取 り 組 むべき 36.7 あくまでも 森 林 所 有 者 が 中 心 となって 手 入 れをすべき 26.9 国 や 地 方 公 共 団 体 が 中 心 となって 手 入 れをすべき 26.3 その 他 わからない 無 回 答 10.2 0 5 10 15 20 25 30 35 40 (%) 林 産 物 の 用 途 別 の 利 用 の 目 標 ( 単 位 : 百 万 m3) 国 産 材 利 用 量 総 需 要 量 区 分 ( 実 績 ) ( 目 標 ) ( 実 績 ) ( 見 通 し) 平 成 16 年 平 成 27 年 平 成 16 年 平 成 27 年 製 材 用 材 11 14 37 33 パルプ チップ 用 材 4 5 38 41 合 板 用 材 1 3 14 15 その 他 1 1 2 2 合 計 17 23 91 91 注 :その 他 とは 杭 丸 太 しいたけ 原 木 薪 炭 用 材 等 である -10-
4. 今 後 の 対 応 圏 域 別 に 花 粉 対 策 推 進 会 議 ( 仮 称 )を 開 催 し 国 都 道 府 県 森 林 組 合 種 苗 生 産 組 合 等 との 連 携 を 密 にしながら 今 後 の 花 粉 発 生 源 対 策 の 計 画 的 な 実 施 を 図 る 関 係 する 都 道 府 県 においては 花 粉 発 生 源 対 策 に 係 る 実 施 計 画 を 作 成 し 重 点 実 施 地 域 における 取 組 の 強 化 を 図 るよう 要 請 する また 首 都 圏 等 で 実 施 してきた 花 粉 発 生 源 調 査 については その 他 の 政 令 指 定 都 市 でも 必 要 に 応 じて 実 施 することとし 全 体 の 実 施 状 況 をみながら 取 組 内 容 の 見 直 しを 図 るものとする -11-