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<重要な会計方針及び注記>

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Transcription:

第 2 節 安 定 成 長 を 模 索 する 中 国 経 済 中 国 経 済 が 大 規 模 な 景 気 刺 激 策 に 頼 ることなく 自 律 的 かつ 安 定 的 な 成 長 を 実 現 するた めには 過 剰 投 資 過 剰 生 産 過 剰 信 用 の 調 整 と 投 資 から 消 費 への 移 行 を 進 めるとと もに 人 口 減 少 高 齢 化 の 進 展 に 伴 う 問 題 に 対 処 しつつ いわゆる 中 所 得 国 の 罠 に 陥 る ことを 回 避 することが 必 要 である 本 節 では 中 国 経 済 が 直 面 するこれらの 課 題 について 分 析 した 上 で 中 国 経 済 が 安 定 成 長 を 実 現 するための 条 件 について 考 察 を 行 う 1. 過 剰 投 資 過 剰 生 産 過 剰 信 用 の 解 消 中 国 政 府 は リーマンショック 後 に 採 られた4 兆 元 ( 当 時 の 為 替 レートで 約 兆 円 比 %)の 景 気 刺 激 策 によって 生 じた 過 剰 投 資 過 剰 生 産 過 剰 信 用 を 調 整 するた め 景 気 の 一 定 程 度 の 減 速 を 前 提 に 構 造 改 革 を 優 先 する 方 針 を 採 っている その 際 成 長 の 軸 足 を 投 資 から 消 費 に 移 行 させることを 目 標 とし 雇 用 吸 収 力 の 高 いサービス 業 の 成 長 を 促 すとしている また 改 革 に 当 たって 生 じる 痛 みに 対 して 大 規 模 な 対 策 は 採 らずに 的 を 絞 った 対 策 で 対 応 する 方 針 を 採 っている 中 国 政 府 は 成 長 率 の 低 下 した 新 たな 経 済 状 態 を 新 常 態 (ニ ューノーマル)と 呼 んでいる (1) 過 剰 投 資 と 過 剰 生 産 過 剰 投 資 や 過 剰 生 産 の 調 整 はどこまで 進 んでいるのだろうか 中 国 の 総 固 定 資 本 投 資 ( 公 的 固 定 資 本 形 成 民 間 設 備 投 資 住 宅 投 資 の 合 計 )の 比 を 確 認 すると ~ 年 までは 平 均 %であったが 4 兆 元 の 景 気 対 策 が 開 始 され た 年 には%に 急 上 昇 し 直 近 3 年 間 は% 台 で 推 移 している これに 呼 応 する 形 で 消 費 比 率 は 低 下 していたが 年 の%を 底 に 緩 やかながら 上 昇 傾 向 にある( 第 図 ) 総 固 定 資 本 投 資 比 率 を 他 国 と 比 較 すると 先 進 国 ではアメリカが%( 年 ) 日 本 が%( 年 )となっているほか 一 人 当 たり 国 民 所 得 が 中 国 と 同 レベルの 国 につい ても 中 国 より 低 くなっているなど 中 国 の 投 資 比 率 が 際 立 って 高 いことが 分 かる( 第 図 ) - 26 -

第 図 投 資 消 費 比 率 の 推 移 : 投 資 比 率 は 高 止 まり (%) 消 費 率 投 資 率 ( 備 考 ). 中 国 国 家 統 計 局 より 作 成 ( 年 ). 消 費 率 = 最 終 消 費 名 目 投 資 率 = 総 資 本 形 成 名 目 第 図 : 主 な 中 進 国 と 比 較 した 投 資 比 率 : 中 国 は 際 立 って 高 い (%) 中 エ コ マ タ メ チ 南 ト ブ 国 ク ロ レ イ キ ュ ア ル ラ ア ン ー シ ニ フ コ ジ ド ビ シ コ ジ リ ル ル ア ア ア カ ( 備 考 ).より 作 成. 年 時 点 過 剰 投 資 は 過 剰 生 産 能 力 をもたらしている 鉄 鋼 セメント アルミニウム 板 ガラ ス 船 舶 は 過 剰 生 産 能 力 業 種 とされており これらの 業 種 の 設 備 稼 働 率 は 近 年 低 下 傾 向 にある( 第 表 ) - 27 -

第 123 表 過 剰 生 産 能 力 業 種 の 設 備 稼 働 率 (%) 14 年 と 2007 年 13 年 14 年 07 年 の 差 製 造 業 全 体 79.4 70.8 71.0 8.4 鉄 金 属 加 工 ( 鉄 鋼 等 ) 81.2 7.3.1 15.1 非 金 属 鉱 物 (ガラス セメント 等 ) 80.7 8.8.8 13.9 非 鉄 金 属 加 工 (アルミ 等 ) 80.7 70.3 9.4 11.3 交 通 運 輸 ( 船 舶 等 ) 78.9 71.4 73.1 5.8 ( 備 考 ). 中 国 企 業 家 調 査 系 統 中 国 企 業 経 営 者 跟 踪 問 巻 調 査 報 告 ( 中 国 企 業 経 営 者 アンケート 調 査 )の 各 年 版 より 作 成. 年 の 交 通 運 輸 には 自 動 車 も 含 まれる 過 剰 生 産 は 物 価 の 下 押 し 圧 力 となっており 生 産 者 物 価 指 数 は 年 4~6 月 期 以 降 前 年 比 マイナスで 推 移 している( 第 図 ) 非 鉄 金 属 加 工 (アルミ 等 ) 及 び 鉄 金 属 加 工 ( 鉄 鋼 等 )は 全 体 よりも 下 落 幅 が 大 きく 特 に 鉄 金 属 加 工 の 下 落 幅 は 際 立 って 大 きい 過 剰 生 産 5 業 種 の 固 定 資 産 投 資 は 製 造 業 全 体 を 上 回 るペースで 減 少 しており 製 造 業 の 投 資 を 押 し 下 げる 要 因 になっている( 第 図 ) 第 124 図 過 剰 生 産 能 力 業 種 と 生 産 者 物 価 指 数 (): 過 剰 生 産 能 力 業 種 の 生 産 者 物 価 はより 低 下 ( 前 年 比 %) 20 非 金 属 鉱 物 ( 全 体 ) 10 (ガラス セメント 等 ) 0 非 鉄 金 属 加 工 (アルミ 等 ) 10 鉄 金 属 加 工 ( 鉄 鋼 等 ) 20 3( 期 ) 2011 12 13 14 15 ( 年 ) ( 備 考 ) 中 国 国 家 統 計 局 より 作 成 - 28 -

第 図 過 剰 生 産 能 力 業 種 の 固 定 資 産 投 資 : 低 下 傾 向 ( 前 年 比 %) 0 製 造 業 ( 全 体 ) 0 0 非 金 属 鉱 物 (ガラス 等 ) 0 0 非 鉄 金 属 加 工 (アルミ 等 ) 0 鉄 金 属 加 工 0 ( 鉄 鋼 等 ) ( 期 ) 0 ( 年 ) ( 備 考 ) 中 国 国 家 統 計 局 より 作 成 過 剰 投 資 が 生 産 能 力 の 過 剰 をもたらし 生 産 過 剰 及 び 生 産 者 物 価 の 低 下 につながり 実 質 金 利 の 高 止 まりによって 生 産 性 や 品 質 を 向 上 させるための 前 向 きな 投 資 が 押 し 下 げられるという 悪 循 環 を 断 ち 切 るためには 過 剰 設 備 の 廃 棄 が 必 要 である 年 末 時 点 の 中 国 の 粗 鋼 生 産 能 力 は 億 トンに 対 し 実 際 の 生 産 量 が 億 トン アルミニウムは 万 トンの 生 産 能 力 に 対 し 生 産 量 が 万 トンとなっている 中 国 政 府 ( 工 業 情 報 化 部 )は 設 備 稼 働 率 % 以 上 を 適 正 水 準 としていることから 現 在 の 需 要 水 準 を 前 提 とし 稼 働 率 を%として 機 械 的 に 試 算 すると 年 末 時 点 の 過 剰 生 産 能 力 は 粗 鋼 億 トン アルミニウム 万 トンとなる( 第 表 ) 同 部 は 数 次 にわたって 過 剰 生 産 能 力 業 種 を 始 めとした 業 種 の 過 剰 設 備 の 廃 棄 目 標 を 定 めており 年 5 月 には 製 鉄 万 トン 鉄 鋼 万 トン アルミニウム 万 トン 等 業 種 ごとに 廃 棄 すべき 生 産 能 力 の 目 標 が 定 められ 年 には 目 標 を 製 鉄 万 トン 鉄 鋼 万 トン アルミニウ ム 万 トン 等 に 拡 大 したものの 上 記 試 算 に 比 べれば 設 備 廃 棄 の 規 模 は 小 さくなってい る 第 表 過 剰 生 産 能 力 ( 試 算 値 ) (3) 実 際 の 生 産 量 を 適 (4) 過 剰 生 産 能 力 正 な 稼 働 率 (80%)とし (1) 生 産 能 力 (2) 実 際 の 生 産 量 ( 試 算 値 ) た 場 合 の 望 ましい 生 産 能 (4)=(1)-(3) 力 水 準 ( 試 算 値 ) (3)=(2)/0.8 粗 鋼 ( 億 t). 8. 0.. アルミニウム( 万 t) 00 8 0.. ( 備 考 ). 中 国 工 業 情 報 化 部 年 鋼 鉄 行 業 運 行 状 況 和 年 展 望 年 我 国 有 色 金 属 工 業 運 行 情 况 分 析 和 年 形 势 展 望 及 重 点 工 作 より 作 成.(1) 生 産 能 力 と(2) 実 際 の 生 産 量 はいずれも 年 の 値. 中 国 工 業 情 報 化 部 は 設 備 稼 働 率 % 以 上 を 適 正 な 水 準 としている - 29 -

中 国 政 府 は 年 3 月 に 鉄 鋼 の 深 刻 な 過 剰 生 産 能 力 について 年 までに 生 産 能 力 規 模 を 再 編 成 し 設 備 稼 働 率 を% 以 上 として 同 業 種 の 利 潤 率 及 び 資 産 収 益 率 を 適 切 な 水 準 へ 回 復 させる 年 までにトップ 社 の 鉄 鋼 企 業 (グループ)の 粗 鋼 生 産 シェ アを 全 国 の% 以 上 とするとともに 3~5 社 の 世 界 的 に 強 い 競 争 力 を 持 った 超 大 型 の 鉄 鋼 企 業 グループを 形 成 する 方 針 を 示 した さらに5 月 には 建 材 や 建 機 鉄 道 といった 分 野 について アジア 諸 国 等 に 生 産 設 備 を 輸 出 する 方 針 を 打 ち 出 した 過 剰 生 産 能 力 の 解 消 を 進 めるに 当 たっては 国 有 企 業 による 寡 占 体 制 の 強 化 を 回 避 し 公 正 な 競 争 条 件 が 確 保 されることが 望 まれる (2) 過 剰 信 用 と 過 剰 債 務 上 記 のような 過 剰 設 備 の 背 景 には これを 可 能 にしてきた 大 規 模 な 資 金 の 流 れがあり それは 銀 行 を 通 じた 貸 出 と 貸 出 以 外 の 金 融 仲 介 とに 大 別 される 中 国 では 年 9 月 日 まで 預 貸 率 の 上 限 が%に 設 定 されていたなど 銀 行 規 制 が 厳 しく これを 回 避 するために 銀 行 貸 出 以 外 の 形 で 行 われる 金 融 仲 介 が 発 達 した その 代 表 的 なものに 理 財 商 品 及 び 信 託 商 品 がある 理 財 商 品 とは 銀 行 が 組 成 販 売 する 集 団 投 資 スキームであり 銀 行 が 事 実 上 の 元 本 保 証 を 行 っている 個 人 投 資 家 が 主 な 買 い 手 であり 預 金 金 利 よりも 高 い 利 回 りが 設 定 されている 調 達 された 資 金 は 年 末 時 点 で 約 兆 元 ( 比 %)に 達 し 企 業 融 資 や 不 動 産 開 発 などの 実 物 投 資 に 加 え 証 券 投 資 にも 振 り 向 けられている また 銀 行 はリスクの 少 ない 国 有 企 業 への 融 資 を 優 先 する 傾 向 にあるため 中 小 企 業 は 金 融 機 関 以 外 の 貸 出 に 依 存 する 傾 向 がある 信 託 商 品 とは 信 託 会 社 または 銀 行 が 販 売 している 運 用 商 品 であり 最 低 投 資 単 位 が 数 百 万 元 と 高 額 であるなど 富 裕 層 や 機 関 投 資 家 を 対 象 としている 調 達 した 資 金 は 年 9 月 末 時 点 で 約 兆 元 ( 比 %)に 達 し 理 財 商 品 と 同 様 実 物 投 資 に 加 え 証 券 投 資 にも 振 り 向 けられている 他 の 金 融 仲 介 の 形 としては 銀 行 の 紹 介 により 企 業 が 他 の 企 業 へ 高 利 回 りで 融 資 をす る 委 託 貸 付 などがある これは 企 業 による 財 テク に 近 い 性 質 のものである 金 融 機 関 以 外 の 貸 出 と 金 融 機 関 貸 出 の 合 計 である 社 会 融 資 総 量 残 高 の 比 は 上 昇 を 続 け 年 6 月 時 点 でおよそ%に 達 している このうち 貸 出 以 外 の 金 融 仲 介 によっ て 行 われた 融 資 は 比 で 約 % 程 度 となっている 特 に 年 に 打 ち 出 された 大 型 の 景 気 対 策 を 背 景 とする 高 成 長 期 には 理 財 商 品 や 信 託 商 品 を 通 じて 集 められた 資 金 が 預 貸 規 制 の 枠 を 超 えて 金 融 仲 介 機 能 を 果 たしていた 中 国 工 業 情 報 化 部 () 2 中 国 国 務 院 常 務 会 議 (2015) - 30 -

また 国 際 的 にみても 中 国 の 民 間 部 門 の 債 務 は 高 水 準 となっており 年 末 には 名 目 比 で%に 達 しており 世 界 金 融 危 機 時 のアメリカ( 年 %)を 上 回 ると ともに 日 本 のバブル 後 のピーク( 年 %)に 近 づいている( 第 図 ) 第 図 非 金 融 企 業 + 家 計 債 務 残 高 の 名 目 比 : 中 国 は 高 水 準 (%) 日 本 中 国 アメリカ ( 年 ) ( 備 考 ) より 作 成 多 様 な 経 路 を 通 じて 供 給 された 資 金 は 景 気 減 速 を 背 景 に 企 業 のキャッシュフローが 減 少 する 中 不 良 債 権 化 するリスクを 抱 えている 理 財 商 品 等 についても 販 売 元 の 銀 行 が 実 質 的 な 元 本 保 証 を 行 っていることから 貸 出 と 同 様 に 最 終 的 なデフォルトリスクは 銀 行 に 帰 属 するとみられる 中 国 の 商 業 銀 行 の 不 良 債 権 比 率 は 年 9 月 を 底 に 上 昇 傾 向 にあり 年 9 月 現 在 で %となっている( 第 図 ) ただし この 不 良 債 権 は 銀 行 のバランスシートに 計 上 されているものであり オフバランス 扱 いとなっている 理 財 商 品 等 は 含 まれていない 前 述 のように 理 財 商 品 で 集 められた 資 金 は 不 動 産 開 発 等 に 融 資 されており その 一 部 は 既 に 不 良 債 権 化 しているとみられる 不 良 債 権 の 増 大 に 伴 う 金 融 機 関 の 財 務 体 質 の 悪 化 は 金 融 政 策 を 緩 和 しても 銀 行 の 貸 出 態 度 が 軟 化 しないことの 要 因 になっているとの 指 摘 がある( 第 図 ) 信 用 力 の 低 い 中 小 企 業 では 特 に 資 金 繰 りが 厳 しくなってい る 可 能 性 がある - 31 -

第 図 不 良 債 権 比 率 : 第 図 銀 行 の 貸 出 態 度 と 預 金 準 備 率 : 上 昇 傾 向 利 下 げ 後 も 貸 出 態 度 は 軟 化 せず (%) () 融 資 承 認 ( 右 目 盛 ) 厳 格 化 軟 化 不 良 債 権 比 率 ( 右 目 盛 ) 損 失 預 金 準 備 率 可 疑 次 級 ( 期 ) ( 月 ) ( 年 ) ( 年 ) ( 備 考 ). 中 国 人 民 銀 行 より 作 成. 中 国 では 債 権 分 類 は 正 常 関 注 () 次 級. 融 資 承 認 は 中 国 人 民 銀 行 が 行 の 銀 行 に 対 し () 可 疑 () 損 失 ()の5つ アンケート 調 査 を 行 い 算 出 過 去 3か 月 間 に 自 行 の があり 次 級 以 下 3 分 類 を 不 良 債 権 として 計 上 日 本 で 融 資 承 認 判 断 が 軟 化 変 わらず 厳 格 化 したと は 正 常 先 要 注 意 先 破 たん 懸 念 先 実 質 破 たん 先 破 いう 回 答 を1 点 点 0 点 に 換 算 たん 先 の5つに 分 類 し 要 注 意 先 の 一 部 から 下 の4 分 類 を 不 良 債 権 として 計 上 内 閣 府 ()でも 分 析 したとおり 現 在 中 国 は 金 融 制 度 改 革 を 漸 進 的 に 進 めており 金 利 の 自 由 化 が 進 展 中 である 年 7 月 には 貸 出 金 利 の 下 限 が 撤 廃 された 預 金 金 利 の 上 限 は 年 月 にそれまでの 預 金 基 準 金 利 の 倍 から 倍 に 引 き 上 げられて 以 降 順 次 引 上 げが 進 み 年 5 月 に 倍 まで 引 き 上 げられた 後 年 月 に 撤 廃 された 金 利 の 自 由 化 によって 銀 行 が 経 営 状 態 に 応 じて 預 金 金 利 を 設 定 することが 可 能 となり 消 費 者 が 理 財 商 品 を 購 入 するインセンティブは 低 くなるとみられる また 中 国 銀 行 業 監 督 管 理 委 員 会 ( 銀 監 会 )は 年 7 月 に 理 財 商 品 の 規 制 強 化 を 打 ち 出 し 販 売 に 当 たって 顧 客 にリスクを 説 明 することや 銀 行 内 に 理 財 商 品 の 運 用 や 管 理 を 専 門 的 に 行 う 部 署 を 設 立 することを 義 務 付 けた 銀 行 によって 集 められた 理 財 商 品 信 託 商 品 は 年 名 目 比 で 約 %に 達 するが 企 業 収 益 が 減 少 し 資 産 価 格 が 調 整 する 中 で 不 良 債 権 化 も 進 行 していると 考 えられる 資 産 劣 化 の 度 合 いやリスクの 所 在 が 不 透 明 であることから 理 財 商 品 のデフォルトが 発 生 すると 信 用 不 安 が 一 気 に 広 がりやすい 状 態 にあるとも 考 えられ 情 報 不 足 を 原 因 と して 当 局 の 対 応 が 遅 れることも 懸 念 される 理 財 商 品 信 託 商 品 の 新 規 発 行 量 は 年 に 入 って 伸 びが 鈍 化 しているものの デフォルトリスクには 引 き 続 き 注 意 を 要 する (3) 地 方 政 府 の 債 務 問 題 地 方 政 府 は 地 方 政 府 融 資 平 台 ( 地 方 政 府 が 出 資 して 設 立 した 都 市 インフラ 開 発 公 社 ) ( 億 元 ) (%) ( 備 考 ). 中 国 銀 行 業 監 督 管 理 委 員 会 より 作 成 - 32 -

を 通 じて 資 金 を 調 達 し 大 規 模 なインフラ 投 資 や 不 動 産 開 発 を 進 めてきた 融 資 平 台 は 理 財 商 品 を 通 じて 集 められた 資 金 の 流 入 先 の1つとなっている 地 方 政 府 の 幹 部 にとっ て 経 済 成 長 率 が 重 要 な 目 標 と 位 置 付 けられているため 地 方 政 府 は 採 算 を 度 外 視 した 投 資 を 行 うこともあると 言 われている 近 年 地 方 政 府 が 銀 行 からの 借 入 れや 地 方 融 資 平 台 を 通 じて 調 達 した 資 金 の 債 務 残 高 は 増 加 を 続 けており 年 末 時 点 で 兆 元 比 %に 達 している( 第 図 ) 第 図 地 方 政 府 の 債 務 残 高 : 増 加 ( 兆 元 ) 地 方 政 府 債 務 残 高 比 ( 右 目 盛 ) 地 方 政 府 債 務 残 高 ( 比 %) 報 道 ベース ( 年 月 ) ( 備 考 ) 地 方 政 府 債 務 残 高 は 年 及 び 年 6 月 末 は 審 計 署 より 作 成. 年 の 地 方 政 府 債 務 残 高 は 新 華 社 の 報 道 により 作 成 従 来 地 方 政 府 による 地 方 債 の 発 行 は 原 則 禁 止 されていたが 年 8 月 に 国 務 院 ( 中 国 政 府 )が 承 認 した 限 度 額 の 枠 内 で 認 められることになった 年 7 月 末 時 点 で 兆 元 分 の 地 方 債 が 発 行 されている また 国 務 院 は 年 3 月 に 最 大 1 兆 元 分 の 各 種 地 方 債 務 の 借 換 えを 承 認 し その 後 も 枠 が 追 加 され 8 月 時 点 で 借 換 え 枠 は 兆 元 まで 拡 大 した 年 に 償 還 期 限 を 迎 える 地 方 債 務 は 当 該 枠 内 に 収 まる 兆 元 となっていること から 年 については 地 方 債 務 問 題 の 深 刻 化 は 回 避 されたとみられる 一 方 年 地 方 政 府 債 券 発 行 における 指 定 引 受 に 関 する 通 知 ( 年 5 月 財 政 部 中 国 人 民 銀 行 銀 監 会 )によると 銀 行 を 始 めとした 金 融 機 関 は 地 方 債 の 引 受 けを 求 め られている 地 方 債 の 利 回 りは 国 債 とほとんど 変 わらないため これが 銀 行 の 収 益 を 圧 迫 している 可 能 性 もある 一 方 で 地 方 債 への 借 り 換 えが 進 んだことから 銀 行 経 営 にとっ ては 地 方 債 務 の 不 履 行 による 不 確 実 性 は 低 下 したとも 考 えられる 以 上 のように 地 方 政 府 の 債 務 問 題 には 一 定 の 進 展 がみられるものの 地 方 債 務 問 題 が 根 本 的 に 解 決 した 訳 ではない 債 務 の 借 換 えは 利 払 いを 低 下 させる 効 果 があるものの 元 本 は 依 然 として 残 っている 年 に 償 還 期 限 を 迎 える 債 務 は 兆 元 年 は 兆 元 年 以 降 は 約 2 兆 元 と 今 後 も 多 額 の 債 務 が 償 還 期 限 を 迎 える 見 込 みであり 償 還 ないし 債 務 の 借 り 換 えが 上 手 く 進 まなければ 債 務 のデフォルトが 発 生 するリスクは 未 だ - 33 -

存 在 している また 元 本 償 還 や 利 払 い 負 担 によって 地 方 債 務 が 地 方 財 政 の 硬 直 化 を 招 いていることも 否 定 できない 2. 中 所 得 国 の 罠 の 回 避 中 所 得 国 の 罠 とは 一 人 当 たりが 中 程 度 の 水 準 に 達 した 後 発 展 パターンや 戦 略 を 転 換 できず 成 長 率 が 低 下 し 先 進 国 へ 移 行 できずに 中 所 得 国 にとどまることであ る 主 要 中 進 国 における 実 質 経 済 成 長 率 と 一 人 当 たりの 関 係 をみると 例 えばブラジ ルでは 一 人 当 たりがドル 程 度 になった 後 成 長 率 が 低 下 する 傾 向 がみられる ( 第 図 ) 第 図 実 質 経 済 成 長 率 と 一 人 当 たり: 一 人 当 たりがドル 程 度 になった 後 成 長 率 が 低 下 (1) 主 な 中 進 国 の 事 例 (2) 中 国 ( 実 質 経 済 成 長 率 %) ( 実 質 経 済 成 長 率 %) マレーシア タイ 年 代 後 半 年 代 年 年 ブラジル アルゼンチン ( 一 人 当 たり 実 質 ドル) (ベース 一 人 当 たり 実 質 ドル) ( 備 考 ). 中 国 はより その 他 各 国 はより 作 成. 中 国 については 年 から 年 までの 各 年 の 実 質 経 済 成 長 率 とベースの 一 人 当 たり 実 質 をプロットしたもの その 他 各 国 については 実 質 経 済 成 長 率 ( 年 基 準 ドル)は 各 年 代 ( 左 から 年 代 年 代 年 代 年 代 年 代 前 半 後 半 )の 幾 何 平 均 一 人 当 たり 実 質 は( 年 ドル)は 各 年 代 の 算 術 平 均 先 行 研 究 によると 中 所 得 国 の 罠 に 陥 った 国 では 輸 出 製 品 が 一 次 製 品 や 労 働 集 約 的 なものにとどまり 多 様 化 高 度 化 していない 産 業 間 の 移 動 や 技 術 のキャッチ アップから 得 られていた 生 産 性 の 向 上 が 止 まり 国 際 競 争 力 の 低 下 に 起 因 して 成 長 率 が 低 下 するといった 特 徴 がある - 34 -

中 国 の 一 人 当 たりと 実 質 経 済 成 長 率 の 推 移 をみると 一 人 当 たりがドル 程 度 を 超 えた 辺 りから 実 質 経 済 成 長 率 が 緩 やかに 低 下 してきている 年 4 月 中 国 の 財 政 部 長 ( 財 務 大 臣 に 相 当 )は 今 後 中 国 は5 年 あるいは 年 の 間 に% 以 上 の 可 能 性 で 中 所 得 国 の 罠 に 陥 る ことから 農 業 戸 籍 労 働 関 係 土 地 社 会 保 険 の 改 革 を 行 う 必 要 がある と 指 摘 している 中 国 が 中 所 得 国 の 罠 に 陥 る 要 因 はいくつか 指 摘 できる まず 中 国 では 賃 金 の 上 昇 が 顕 著 になっているため これまでのような 労 働 集 約 的 な 産 業 に 競 争 力 がなくなってきている 中 国 の 実 質 賃 金 上 昇 率 は おおむね 一 人 当 たり 成 長 率 を 上 回 って 推 移 している( 第 図 ) 中 国 の 賃 金 をアジア 諸 国 と 比 較 すると 年 時 点 で 日 本 の 程 度 の 水 準 であるものの タイの 倍 以 上 の 水 準 となっている( 第 図 ) 第 図 中 国 の 賃 金 :おおむね 一 人 当 たりを 上 回 って 賃 金 が 上 昇 ( 前 年 比 %) ( 年 ) イ ン ド ネ シ ア 一 人 当 たり ( 実 質 ) イ ン ド タ イ 一 人 当 たり 平 均 賃 金 ( 実 質 ) ( 備 考 ). 中 国 国 家 統 計 局 より 作 成. 平 均 賃 金 は 国 有 企 業 集 団 所 有 制 企 業 株 式 会 社 外 資 系 企 業 等 の 都 市 就 業 者 一 人 当 たりの 賃 金 ( 郷 鎮 企 業 私 営 企 業 自 営 業 等 の 就 業 者 は 含 まれない) 中 国 韓 国 日 本 ( 備 考 ).より 作 成. 年 の 月 平 均 賃 金 インドのみ~ 第 図 アジア 諸 国 の 賃 金 : 中 国 はタイの 倍 超 (ドル) - 35 -

加 えて 全 要 素 生 産 性 () 上 昇 率 の 成 長 への 寄 与 は 低 下 傾 向 にある 中 国 の 成 長 は これまで 労 働 投 入 やよりも 資 本 の 深 化 に 負 うところが 大 きかった( 第 図 ) 資 本 ストックの 蓄 積 が 進 む 中 資 本 の 限 界 生 産 性 は 低 下 している 後 述 のとおり 今 後 人 口 減 少 高 齢 化 が 進 むことが 見 込 まれており 労 働 の 投 入 による 成 長 にも 限 界 がある このため を 高 めていくことが 必 要 となっている の 伸 び 率 の 低 下 傾 向 を 反 転 さ せるためにはイノベーションの 創 出 が 重 要 となっている 中 国 政 府 もイノベーションの 重 要 性 は 十 分 認 識 しており 年 3 月 に 公 表 された 中 国 製 造 では 製 造 業 の イノベーション 能 力 の 向 上 を 重 要 戦 略 の 一 つとして 掲 げている( 第 5 節 を 参 照 ) 第 図 経 済 成 長 の 要 因 分 解 :の 寄 与 は 低 下 傾 向 ( 前 年 比 %) 実 質 経 済 成 長 率 労 働 資 本 ( 年 ) ( 備 考 ) より 作 成 高 水 準 の 所 得 格 差 が 中 所 得 国 の 罠 の 要 因 になるという 見 方 もある 中 国 の 所 得 格 差 が 中 所 得 国 の 罠 につながる 可 能 性 について 高 水 準 の 所 得 格 差 が 貯 蓄 率 の 高 さ につながり そのことによってもたらされた 過 剰 投 資 によって 資 本 効 率 が 低 下 し 成 長 率 が 低 下 する 経 路 高 水 準 の 所 得 格 差 によって 経 済 社 会 的 な 不 満 が 高 まり 投 資 環 境 が 悪 化 することによって 成 長 率 が 低 下 するといった 経 路 が 指 摘 されている 中 国 政 府 の 統 計 によれば 所 得 格 差 を 示 すジニ 係 数 は 低 下 傾 向 にあるものの 社 会 が 不 安 定 になるとされるを 依 然 として 上 回 っている( 第 図 ) また 中 国 は 所 得 の 不 平 等 度 が 世 界 で 最 も 悪 化 した 国 の 一 つであるとする 分 析 もある 年 の 家 計 貯 蓄 について 上 位 %の 所 得 の 家 計 が%を 上 位 5%の 家 計 が%を 占 めていた との 推 計 もある さらに 中 国 では 都 市 部 においても 農 村 部 においても 所 得 が 高 いほど 7-36 -

消 費 性 向 が 低 い 傾 向 もみられ 所 得 格 差 が 貯 蓄 率 の 高 さにつながっている 可 能 性 は 高 い 第 図 ジニ 係 数 の 推 移 低 下 傾 向 にあるものの 高 水 準 ( 係 数 ) ジニ 係 数 ( 備 考 ) 中 国 国 家 統 計 局 より 作 成 ( 年 ) クズネッツの 逆 U 字 仮 説 によると 経 済 発 展 の 過 程 で 主 要 産 業 が 農 業 から 工 業 へと 進 むにつれて 所 得 の 不 平 等 度 が 相 対 的 に 高 い 工 業 部 門 のウエイトが 高 まることによっ て 国 内 の 所 得 格 差 は 広 がるが その 後 そうした 工 業 化 の 進 んだ 都 市 に 住 む 人 々の 工 業 都 市 への 適 応 が 進 み また 民 主 化 社 会 における 低 所 得 者 層 の 政 治 力 の 増 大 を 通 じた 法 律 や 制 度 の 整 備 が 進 むことなどにより 所 得 の 不 平 等 度 が 低 下 する 傾 向 がみられる とされる 中 国 においても 所 得 格 差 の 縮 小 を 通 じて 消 費 性 向 が 高 まり 投 資 から 消 費 へ の 移 行 が 進 むかどうか 注 視 が 必 要 である 年 月 に 公 表 された 第 次 5か 年 計 画 (~ 年 )の 草 案 の 中 でも 所 得 格 差 の 解 消 が 取 り 上 げられており 貧 困 撲 滅 のため 総 計 万 人 の 貧 困 人 口 ( 年 収 元 未 満 )と 国 家 が 指 定 する 全 国 に 弱 ある 貧 困 県 を5 年 間 でなくす 方 針 が 掲 げられている なお 財 政 部 長 は 以 下 のとおり 農 業 戸 籍 労 働 関 係 土 地 社 会 保 障 について 改 革 の 方 向 性 を 示 している これらの 改 革 を 進 めることにより 経 済 がより 柔 軟 で 市 場 原 理 に 基 づいた 構 造 になり 中 所 得 国 の 罠 に 陥 ることを 防 ぐことが 期 待 でき る () 農 業 : 全 面 的 に 食 糧 の 補 助 金 を 削 減 し 農 産 物 の 輸 入 を 促 進 することで 農 村 の 労 働 力 を 製 造 業 サービス 業 へと 振 り 向 ける () 戸 籍 改 革 : 戸 籍 を 移 転 させる 上 での 法 的 な 障 害 を 取 り 除 き 労 働 力 の 流 動 性 を 高 める 関 (2015a) 内 閣 府 (2007) - 37 -