第 2 回 日 本 醸 造 学 会 若 手 シンポジウム 要 旨 集 平 成 22 年 9 月 15 日 ( 水 ) ~ 平 成 22 年 9 月 16 日 ( 木 ) 北 とぴあ( 114-850 東 京 都 北 区 王 子 1-11-1)にて
第 2 回 日 本 醸 造 学 会 若 手 シンポジウム スケジュール 第 1 日 目 9 月 15 日 ( 水 ) ポスター 発 表 北 とぴあ 9 階 901 会 議 室 *12:00~15:00 までの 間 は 日 本 醸 造 学 会 大 会 参 加 者 であれば 自 由 にポスター をご 覧 いただけます 15:00 以 降 は 若 手 シンポジウムの 参 加 費 をお 支 払 いいた だきます 11:00~ 開 場 (901 会 議 室 ) 12:00~ ポスター 掲 示 開 始 (ポスター 発 表 者 はこの 時 間 までに 掲 示 を 終 える ようにして 下 さい 14:30~ 受 付 開 始 当 日 参 加 一 般 9,000 円 学 生 3,000 円 15:15~ ポスター 討 論 ( 奇 数 ポスター コアタイム 30 分 ) * 学 会 誌 の 広 告 と 予 定 が 変 わっています 15:45~ ポスター 討 論 ( 偶 数 ポスター コアタイム 30 分 ) * 学 会 誌 の 広 告 と 予 定 が 変 わっています 16:30 ポスター 討 論 終 了 ポスター 賞 投 票 16:45~ 総 会 ( 北 とぴあ 9 階 和 室 ) * 学 会 誌 の 広 告 と 予 定 が 変 わっています 17:30~ 交 流 会 ( 北 とぴあ 16 階 錦 の 間 ) 交 流 会 ではポスター 賞 の 発 表 と 表 彰 を 行 います 19:30 交 流 会 終 了 合 宿 参 加 者 は 太 栄 館 に 移 動 します 20:30~ 醸 造 学 会 若 手 の 会 合 宿 スタート 太 栄 館 案 内 113-0033 東 京 都 文 京 区 本 郷 6-10-12 TEL/FAX 03-3811-6226/03-3811-6220 URL: http://homepage3.nifty.com/taieikan/ 北 とぴあからは 交 流 会 終 了 後 に 運 営 委 員 が 案 内 いたします 南 北 線 王 子 駅 から 乗 車 し 東 大 前 で 下 車 徒 歩 8 分 です pg. 1
第 2 日 目 9 月 16 日 ( 木 ) シンポジウム 北 とぴあ 15 階 ペガサスホール 9:30~ 開 場 10:00~ 糸 状 菌 二 次 代 謝 産 物 のケミカルバイオロジー ( 独 ) 理 化 学 研 究 所 基 幹 研 究 所 長 田 裕 之 先 生 11:00~ ウイスキーづくりの 継 承 と 革 新 サントリー( 株 ) チーフブレンダー 輿 水 精 一 先 生 - 昼 食 - 13:00~ ゲノムの 個 人 差 と 栄 養 や 食 品 の 関 係 ( 独 ) 理 化 学 研 究 所 ゲノム 医 科 学 研 究 センター 鎌 谷 直 之 先 生 14:00~ 日 本 酒 は 世 界 の 酒 になれるか 外 務 省 広 報 文 化 交 流 部 門 司 健 次 郎 先 生 15:00 閉 会 参 考 太 栄 館 地 図 pg. 2
ポスター 賞 について 若 手 シンポジウムでは 参 加 者 全 員 の 投 票 によるポスター 賞 の 授 与 を 行 いま す ポスター 賞 は 以 下 の 二 つで 選 定 方 法 は 以 下 のとおりです ポスター 賞 カテゴリー 醸 造 研 究 の 未 来 を 開 く 醸 造 ベーシックサイエンス 賞 (ノーメル 未 来 賞 ) 醸 造 技 術 をパワーアップする 醸 造 イノベーション 賞 (ノーメル 技 術 賞 ) * なお 醸 造 エコノミー マーケティング 賞 を 予 定 しておりましたが 今 回 は 発 表 者 が 無 いため 該 当 なしといたしました 選 定 方 法 1. 各 ベストポスターの 賞 ごとに 参 加 者 全 員 が 投 票 を 行 い 最 も 得 票 が 多 かったポスター 賞 とする 2. 最 高 得 点 のポスターの 投 票 数 が 同 じだった 場 合 運 営 委 員 による 決 選 投 票 を 行 い 決 定 する ポスター 発 表 の 方 へ 1.ポスター 発 表 の 場 所 は 北 とぴあ 9 階 901 会 議 室 です 2.パネルサイズ:90 cm X 180 cm(a0 一 枚 もの 数 枚 の 組 合 せでも OK)で す 3.ポスターの 掲 示 は 9 月 15 日 午 前 12 時 までに 行 っていただきますようお 願 いいたします 押 しピン 等 は 会 場 内 に 用 意 しております 係 員 にお 伺 い 下 さい 4.ポスター 発 表 は 15 時 ( 醸 造 学 会 本 会 が 終 了 次 第 )から 始 まります 時 間 が 変 更 になっています 5.15 時 00 分 ~15 時 45 分 までが 奇 数 ポスターの 討 論 時 間 6.15 時 45 分 ~16 時 30 分 までが 偶 数 ポスターの 討 論 時 間 7.ポスターは 翌 日 の 講 演 会 でも 掲 示 する 予 定 です ポスター 発 表 時 間 が 終 わりましても 剥 がさないで 下 さい 8. 交 流 会 の 席 でベストポスター 賞 の 発 表 を 行 います ベストポスター 賞 の 選 定 方 法 は 以 下 のとおりです 9.ポスターは 9 月 16 日 ( 木 )の 講 演 会 終 了 後 に 撤 去 して 下 さい 撤 去 の 際 押 しピンはボードに 刺 していただければ 後 ほど 係 が 回 収 いたします pg. 3
ポスター 発 表 目 次 P01 DNA マーカーを 用 いた 玄 麦 からの 国 内 外 国 産 大 麦 の 品 種 判 別 田 野 上 佳 枝 ( 三 和 酒 類 株 式 会 社 三 和 研 究 所 ) P02 炭 素 安 定 同 位 体 比 による 酒 類 の 原 材 料 判 別 堀 井 幸 江 ( 独 立 行 政 法 人 酒 類 総 合 研 究 所 ) P03 転 写 因 子 AmyR が Aspergillus nidulans の 二 次 代 謝 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 上 村 曜 介, 鳴 神 寿 昭, 桝 尾 俊 介, 高 谷 直 樹 ( 筑 波 大 院 生 命 環 境 ) P04 糸 状 菌 Aspergillus nidulans の 糖 転 移 酵 素 Pmt の 基 質 探 索 瀬 戸 和 史 1, 二 神 泰 基 2, 竹 川 薫 2, 後 藤 正 利 2 ( 九 大 院 生 資 環 1, 九 大 院 農 2 ) P05 Aspergillus oryzae の histone deacetylase(hdac) の 機 能 解 析 河 内 護 之 1 西 浦 未 華 1 岩 下 和 裕 1, 2 2 山 田 修 ( 広 島 大 学 先 端 物 質 科 学 研 究 科 分 子 生 命 機 能 科 学 専 攻 1 ( 独 ) 酒 類 総 合 研 究 所 2 ) P06 米 麹 特 有 の 麹 菌 (Aspergillus oryzae)タンパク 質 の 機 能 解 析 花 田 照 明 1 福 原 慎 一 郎 1 河 野 美 乃 里 2 北 村 洋 朗 1 岩 下 和 裕 1, 2 2 山 田 修 ( 広 島 大 学 先 端 物 質 科 学 研 究 科 分 子 生 命 機 能 科 学 専 攻 1 ( 独 ) 酒 類 総 合 研 究 所 2 ) P07 醤 油 用 黄 麹 菌 (Aspergillus oryzae RIB915 株 )のゲノムシーケンス 解 析 藤 村 友 明 1 野 村 孝 典 1 小 田 健 太 1 伊 藤 岳 1 岩 下 和 裕 1, 2 2 山 田 修 ( 広 島 大 学 先 端 物 質 科 学 研 究 科 分 子 生 命 機 能 科 学 専 攻 1 ( 独 ) 酒 類 総 合 研 究 所 2 ) P08 実 用 麹 菌 株 ゲノムの 分 子 進 化 と 醸 造 特 性 との 関 係 伊 藤 岳 1 妹 尾 悠 平 1 岩 下 和 裕 1, 2 2 山 田 修 ( 広 島 大 学 先 端 物 質 科 学 研 究 科 分 子 生 命 機 能 科 学 専 攻 1 ( 独 ) 酒 類 総 合 研 究 所 2 ) P09 清 酒 酵 母 ミトコンドリアの 拡 大 培 養 時 の 形 態 変 化 とその 物 質 代 謝 への 影 響 元 村 沙 織 北 垣 浩 志 ( 佐 賀 大 学 ) P10 転 写 因 子 Msn2/4p を 介 したストレス 応 答 とエタノール 発 酵 の 関 係 渡 辺 大 輔 野 口 千 笑 周 延 呉 洪 赤 尾 健 下 飯 仁 (( 独 ) 酒 類 総 合 研 究 所 ) pg. 4
P11 醸 造 関 連 ストレスに 対 する 酵 母 の 応 答 機 構 の 解 析 井 沢 真 吾 ( 京 都 工 芸 繊 維 大 学 応 用 生 物 学 部 門 微 生 物 工 学 研 究 室 ) P12 焼 酎 酵 母 SH-4 のゲノム 解 析 金 光 尚 哉 ( 三 和 酒 類 株 式 会 社 三 和 研 究 所 ) P13 下 面 ビール 酵 母 (bottom-fermenting yeast)に 特 徴 的 なゲノム 構 造 尾 形 智 夫 (アサヒビール 酒 類 技 術 研 究 所 ) P14 地 域 資 源 を 活 用 した 新 規 調 味 料 に 関 する 調 査 研 究 田 中 淳 也 (( 地 独 ) 山 口 県 産 業 技 術 センター 企 業 支 援 部 食 品 技 術 グループ) P15 乳 酸 菌 由 来 の 短 鎖 脂 肪 酸 に 特 異 性 を 示 す 脂 肪 酸 エステル 加 水 分 解 酵 素 について 岸 野 重 信 1,2 石 垣 佑 記 1,2 内 堀 良 重 2 横 関 健 三 1 清 水 昌 2 小 川 順 2 (1, 京 大 院 農 産 業 微 生 物 2, 京 大 院 農 応 用 生 命 ) P16 高 尿 酸 血 症 予 防 に 有 効 な 乳 酸 菌 プロバイオティクスの 開 発 元 吉 智 美 1 小 園 伊 織 1 堀 之 内 伸 行 1 横 関 健 三 2 清 水 昌 1 小 川 順 1 (1, 京 大 院 農 応 用 生 命 2, 京 大 院 農 産 業 微 生 物 ) P17 酒 蔵 の 乳 酸 菌 米 のしずく の 開 発 岩 井 大 悟 ( 菊 正 宗 酒 造 株 式 会 社 総 合 研 究 所 ) pg. 5
P01 DNA マーカーを 用 いた 玄 麦 からの 国 内 外 国 産 大 麦 の 品 種 判 別 田 野 上 佳 枝 ( 三 和 酒 類 株 式 会 社 三 和 研 究 所 ) 背 景 目 的 昨 今 の 食 品 の 安 全 意 識 の 高 まりや 大 麦 輸 入 制 度 が 変 更 され 大 麦 流 通 の 自 由 度 が 増 大 したことから 品 質 保 証 において 原 料 大 麦 の 産 地 や 品 種 証 明 の 重 要 性 が 増 して きている 本 研 究 の 目 的 は 麦 焼 酎 に 使 用 される 可 能 性 のある 大 麦 25 品 種 の 品 種 判 別 技 術 を 開 発 することである 方 法 改 良 CTAB 法 にて 糠 および 玄 麦 1 粒 から 鋳 型 となる DNA 抽 出 を 行 った 鋳 型 DNA を 用 いて SSR/RAPD マーカーにて PCR 後 電 気 泳 動 を 行 い 品 種 判 別 に 有 用 と 考 えられ る 識 別 バンドを 選 択 した 識 別 バンドのクローニングを 行 い その 塩 基 配 列 を 基 に STS マ ーカーを 設 計 した STS マーカーを 用 いて PCR 後 電 気 泳 動 を 行 い 識 別 バンドが 明 瞭 に 現 れるマーカーを 選 択 した 結 果 改 良 CTAB 法 により 1 回 の PCR に 十 分 な 収 量 および 純 度 の 鋳 型 DNA を 再 現 性 よく 抽 出 できた SSR/RAPD マーカーにて PCR 後 電 気 泳 動 を 行 ったところ 25 の 識 別 バンドが 選 択 でき 品 種 判 別 が 可 能 となった STS 化 を 実 施 したところ 9 種 の STS マ ーカーが 完 成 した そのマーカーを 用 いることで 判 別 対 象 の 大 麦 品 種 がより 明 確 に 判 別 できるようになった Key words 大 麦 品 種 判 別 DNA マーカー P02 炭 素 安 定 同 位 体 比 による 酒 類 の 原 材 料 判 別 堀 井 幸 江 ( 独 立 行 政 法 人 酒 類 総 合 研 究 所 ) [ 目 的 ] 近 年 甲 類 乙 類 混 和 焼 酎 や 新 ジャンルと 呼 ばれるその 他 の 発 泡 性 酒 類 が 製 造 されるなど 原 材 料 の 多 様 化 が 進 行 している 原 材 料 の 適 正 表 示 に 関 し 使 用 割 合 を 含 めた 原 材 料 判 別 の 開 発 は 重 要 である そこで 酒 類 中 のエタノール 等 の 炭 素 安 定 同 位 体 比 から 判 別 法 の 開 発 を 試 みた [ 材 料 および 方 法 ] 炭 素 安 定 同 位 体 比 (δ 13 C) は 酒 類 を 蒸 留 してエタノールを 精 製 し 安 定 同 位 体 比 質 量 分 析 計 DELTA V ADVANTAGE ConFloⅣ System (EA-IRMS) (Thermo fisher scientific)で 測 定 した またビール 系 飲 料 を 凍 結 乾 燥 させたエキス 分 の δ 13 C を 測 定 した [ 結 果 と 考 察 ] 1 当 所 で 醸 造 した 純 米 酒 にアルコール 添 加 したところ 添 加 量 とエタノールの δ 13 C に 高 い 相 関 がみられた 2 本 格 芋 焼 酎 に 連 続 式 蒸 留 焼 酎 を 混 和 した 場 合 連 続 式 蒸 留 焼 酎 の 混 和 割 合 に 応 じてエタ ノールの δ 13 C は 直 線 的 に 大 きくなった 3オールモルトビール 副 原 料 使 用 ビール 発 泡 酒 その 他 の 発 泡 性 酒 類 について エタ ノールおよびエキス 分 の δ 13 C で 2 次 元 プロットを 行 うと グループ 間 に 距 離 が 生 じ これ らの 酒 類 の 判 別 の 可 能 性 が 示 された Key words 炭 素 安 定 同 位 体 比 原 材 料 判 別 pg. 6
P03 転 写 因 子 AmyR が Aspergillus nidulans の 二 次 代 謝 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 上 村 曜 介, 鳴 神 寿 昭, 桝 尾 俊 介, 高 谷 直 樹 ( 筑 波 大 院 生 命 環 境 ) AmyR は DNA 結 合 型 の 転 写 因 子 で α-アミラーゼを 含 むアミロース 分 解 性 遺 伝 子 群 の 発 現 誘 導 を 担 っていることが 知 られる 我 々は A. nidulans の amyr 遺 伝 子 破 壊 株 (DamyR)を グルコースを 単 一 炭 素 源 とした 最 少 寒 天 培 地 を 用 いて 培 養 した 際 に 培 地 が 赤 色 に 呈 色 することを 見 出 した また DamyR は 野 生 型 株 (WT)と 比 べ 培 地 中 に 多 くのステリグマトシスチン(ST)を 生 成 し ST 生 合 成 遺 伝 子 群 の 発 現 量 も 大 きく 増 加 して いたことから AmyR がアミロース 分 解 性 遺 伝 子 群 の 発 現 調 節 以 外 の 機 能 を 有 することが 示 された WT と DamyR を 最 少 寒 天 培 地 で 培 養 した 際 のトランスクリプトーム 解 析 を 行 っ たところ DamyR では 他 の 多 くの 二 次 代 謝 産 物 合 成 系 酵 素 遺 伝 子 の 発 現 量 が 増 加 すると ともに 転 写 因 子 CreA に 依 存 して 発 現 がカタボライト 抑 制 される 遺 伝 子 の 発 現 量 が 増 加 し ていた A. nidulans の CreA は グルコースやスクロースを 炭 素 源 とした 際 のカタボライ ト 抑 制 を 担 う 転 写 因 子 である WT では 培 地 に 添 加 するグルコース 濃 度 が 高 いほど 菌 体 内 の ST 生 成 量 が 減 少 したことから ST の 生 合 成 がカタボライト 抑 制 されることが 示 された 以 上 の 結 果 から A. nidulans の AmyR はアミロース 分 解 性 遺 伝 子 群 の 発 現 誘 導 だけで なく ST をはじめとする 様 々な 二 次 代 謝 系 遺 伝 子 の 発 現 の 抑 制 に 関 与 することが 示 された おそらく AmyR は CreA と 相 互 作 用 にすることによって CreA に 依 存 したカタボライト 抑 制 を 調 節 し これらの 発 現 制 御 に 関 わると 考 えている Key words AmyR 二 次 代 謝 産 物 カタボライト 抑 制 P04 糸 状 菌 Aspergillus nidulans の 糖 転 移 酵 素 Pmt の 基 質 探 索 瀬 戸 和 史 1, 二 神 泰 基 2, 竹 川 薫 2, 後 藤 正 利 2 ( 九 大 院 生 資 環 1, 九 大 院 農 2 ) 目 的 糸 状 菌 Aspergillus nidulans の O- 結 合 型 糖 鎖 合 成 に 関 わる 糖 転 移 酵 素 PmtA PmtB および PmtC の 遺 伝 子 破 壊 株 は 異 常 な 形 態 を 示 す その 原 因 として O-グリコシ レーションを 受 けるタンパク 質 の 機 能 低 下 により 細 胞 極 性 決 定 に 異 常 をきたしているこ とが 推 定 された そこで 本 研 究 では A. nidulans の Pmt 基 質 タンパク 質 を 探 索 し そ の 機 能 解 明 を 行 うことを 目 的 とした 結 果 考 察 出 芽 酵 母 の 細 胞 壁 ストレスセンサータンパク 質 Wsc1 は Pmt の 基 質 である Wsc1 の A.nidulans ホモログ 遺 伝 子 wsca に HA タグを 付 与 し A. nidulans 野 生 株 と pmt 破 壊 株 に 導 入 した pmta および pmtc 破 壊 株 で 各 々 発 現 させた WscA-HA については 糖 鎖 付 加 が 抑 制 されており また 一 部 は 分 解 されていた 一 方 A. nidulans の wsca 破 壊 株 は 低 浸 透 圧 条 件 に 高 感 受 性 となり pmta 及 び pmtc 破 壊 株 の 表 現 型 の 一 部 をみたした 従 って WscA は PmtA と PmtC の 基 質 タンパク 質 であると 考 察 した ついで 同 様 に Pmt の 基 質 である Bud10 について A.nidulans ホモログ 遺 伝 子 の 破 壊 株 を 取 得 した Bud10 は 出 芽 酵 母 において 出 芽 点 の 決 定 に 関 与 することが 知 られている 野 生 株 と 遺 伝 子 破 壊 株 のコロニー 形 態 を 比 較 した 結 果 ph 温 度 浸 透 圧 の 変 化 に 対 して 差 異 は 認 められなか ったが Hygromycin B に 対 して 感 受 性 の 増 大 が 認 められた Key words Aspergillus O- 結 合 型 糖 鎖 pg. 7
P05 Aspergillus oryzae の histone deacetylase(hdac) の 機 能 解 析 河 内 護 之 1 西 浦 未 華 1 岩 下 和 裕 1, 2 山 田 修 2 ( 広 島 大 学 先 端 物 質 科 学 研 究 科 分 子 生 命 機 能 科 学 専 攻 1 ( 独 ) 酒 類 総 合 研 究 所 2 ) これまでの 研 究 で A.oryzae においてヒストンアセチル 化 修 飾 関 連 遺 伝 子 の 発 現 が 培 養 条 件 やストレスによって 変 動 することが 明 らかとなっている 一 般 的 に ヒストンのアセ チル 化 は 遺 伝 子 発 現 制 御 において 基 盤 的 な 役 割 を 担 い 近 年 糸 状 菌 において 重 要 な 役 割 を 果 たしている 事 から 麴 菌 のHDAC に 注 目 し 解 析 を 行 った まず A.oryzae に 存 在 する 11 の HDAC ホモログの 破 壊 を 試 み 10 の 破 壊 株 が 得 られた RPD3 ホモログの 破 壊 では ヘテロカリオンしか 得 られず RPD3 は 必 須 遺 伝 子 であることが 示 唆 された 次 に 得 ら れた HDAC ホモログ 破 壊 株 を 用 い 液 体 培 養 並 びにプレート 培 養 で ストレスの 付 加 等 に よるフェノタイプの 観 察 を 行 った その 結 果 HOS2 ホモログ 破 壊 株 は ほぼ 全 ての 観 察 条 件 で 明 らかな 影 響 を 示 し 生 育 やストレス 応 答 において 基 盤 的 な 役 割 を 果 たしている 事 が 示 唆 された 他 の HDAC 遺 伝 子 についても ストレス 応 答 や 生 育 に 影 響 が 認 められた 以 上 より HDAC は 麴 菌 においても 生 育 やストレス 応 答 に 重 要 な 役 割 を 果 たしていること が 示 唆 された 現 在 米 麴 を 作 成 し HDAC の 醸 造 上 の 影 響 について 検 討 している Key words HDAC ヒストンアセチル 化 ストレス 応 答 P06 米 麹 特 有 の 麹 菌 (Aspergillus oryzae)タンパク 質 の 機 能 解 析 花 田 照 明 1 福 原 慎 一 郎 1 河 野 美 乃 里 2 北 村 洋 朗 1 岩 下 和 裕 1, 2 山 田 修 2 ( 広 島 大 学 先 端 物 質 科 学 研 究 科 分 子 生 命 機 能 科 学 専 攻 1 ( 独 ) 酒 類 総 合 研 究 所 2 ) 醸 造 産 業 において 麴 は 酵 素 の 供 給 源 として 重 要 な 役 割 を 果 たしている しかし 麴 菌 (A. oryzae)のタンパク 質 については アミラーゼなどの 一 部 の 酵 素 類 でしか 解 析 されていな い そこで 我 々は 普 通 用 と 大 吟 醸 用 米 麴 のプロテオーム 解 析 を 行 い 主 要 なタンパク 質 として 159 遺 伝 子 の 産 物 を 同 定 した これらの 遺 伝 子 について BLAST 解 析 等 により 再 アノテーションを 行 った 結 果 機 能 既 知 の 遺 伝 子 が 38 個 機 能 が 推 定 可 能 な 遺 伝 子 が 50 個 具 体 的 な 機 能 を 推 定 する 事 が 困 難 な 機 能 未 知 遺 伝 子 が 71 個 となった これらの 遺 伝 子 の 製 麴 上 醸 造 上 の 機 能 を 解 析 するために 機 能 既 知 遺 伝 子 9 個 機 能 推 定 可 能 な 遺 伝 子 15 個 機 能 未 知 遺 伝 子 31 個 を 選 択 して 遺 伝 子 破 壊 を 行 った 各 遺 伝 子 につき 独 立 した 2 株 以 上 の 破 壊 株 を 得 ることとしたが 2 遺 伝 子 については 破 壊 株 が 得 られず 8 遺 伝 子 につ いてはヘテロカリオンしか 得 られなかった 破 壊 株 及 びヘテロカリオン 株 が 得 られたもの について プレート 培 養 でグロース 分 生 子 の 形 成 率 液 体 培 養 でグロースを 測 定 した 現 在 米 麹 を 作 成 し グロースや α アミラーゼなど 一 般 的 な 酵 素 活 性 について 評 価 を 行 っ ている Key words 米 麴 タンパク 質 遺 伝 子 破 壊 表 現 型 解 析 製 麴 pg. 8
P07 醤 油 用 黄 麹 菌 (Aspergillus oryzae RIB915 株 )のゲノムシーケンス 解 析 藤 村 友 明 1 野 村 孝 典 1 小 田 健 太 1 伊 藤 岳 1 岩 下 和 裕 1, 2 山 田 修 2 ( 広 島 大 学 先 端 物 質 科 学 研 究 科 分 子 生 命 機 能 科 学 専 攻 1 ( 独 ) 酒 類 総 合 研 究 所 2 ) 麴 菌 (Aspergillus oryzae)は 醸 造 産 業 酵 素 産 業 等 において 重 要 な 微 生 物 であり これ らの 産 業 では 特 性 の 異 なる 多 様 な 株 が 使 用 されている 当 研 究 室 では 麴 菌 DNAchip によ るゲノムアレイ 解 析 により 各 実 用 麴 菌 株 の 系 統 解 析 を 行 うと 共 に 各 系 統 と 麴 菌 の 用 途 の 相 関 等 を 示 してきた また 清 酒 用 麴 菌 のモデル 株 である RIB128 株 現 在 の 主 要 な 清 酒 用 麴 菌 株 の 1 つである RIBOIS01 株 について 454 genome sequence FLX (Roche 社 )ゲノム 配 列 解 析 を 行 ってきた 今 回 これに 加 えて 同 シーケンサーを 用 いた pair end 解 析 により 醤 油 用 麴 菌 株 の 1 つである RIB915 株 のゲノムシーケンス 解 析 を 行 った その 結 果 最 長 4Mbp のものを 含 む 679 個 の Scaffold を 獲 得 した さらに 全 contig 長 は 37.0Mbp で RIB40 株 と 比 較 したところ 500bp 以 上 の 欠 失 箇 所 ( 総 欠 失 配 列 長 ) 新 規 配 列 挿 入 箇 所 ( 総 新 規 配 列 長 )は 156 (600kb) 142 (531kb) 箇 所 であった 現 在 RIB40 株 と 比 べた 染 色 体 間 組 換 え や 総 遺 伝 子 数 などについて 更 に 解 析 を 進 めている Key words Aspergillus oryzae ゲノムシーケンス 比 較 ゲノム P08 実 用 麹 菌 株 ゲノムの 分 子 進 化 と 醸 造 特 性 との 関 係 伊 藤 岳 1 妹 尾 悠 平 1 岩 下 和 裕 1, 2 山 田 修 2 ( 広 島 大 学 先 端 物 質 科 学 研 究 科 分 子 生 命 機 能 科 学 専 攻 1 ( 独 ) 酒 類 総 合 研 究 所 2 ) 麹 菌 は 醸 造 産 業 では 欠 くことの 出 来 ない 微 生 物 で かつ 酵 素 産 業 等 でも 酵 素 の 供 給 源 と して 着 目 されている このような 背 景 から A.oryzae RIB40 株 のゲノムシーケンス 解 析 が 行 われたが 各 醸 造 産 業 において 使 用 される 麹 菌 株 は RIB40 株 とは 異 なり それぞれの 製 品 生 産 に 適 した 菌 株 が 使 用 されている つまり 各 製 品 生 産 に 適 した 性 質 を 持 つようにゲ ノムが 進 化 した 菌 株 が 選 抜 され 使 用 されていると 考 える 事 が 出 来 る これまで 当 研 究 室 では 麹 菌 DNA チップを 用 いたゲノムアレイ 解 析 により 実 用 麹 菌 株 の 系 統 解 析 を 行 ってきた その 結 果 9 つの 主 なグループに 分 類 され これらのグループと 産 業 用 途 には 相 関 がみられることが 明 らかとなった しかし 各 麹 菌 株 の 性 質 とゲノム 構 造 の 関 連 性 については 依 然 十 分 な 解 析 がなされていない そこで ゲノムアレイを 行 った RIB 株 55 株 に 着 目 し 清 酒 製 造 上 重 要 な 酵 素 の 力 価 の 測 定 を 行 い 各 ゲノムアレイ 解 析 の 系 統 との 相 関 性 について 検 討 した さらに 今 後 は 各 実 用 菌 株 で 製 麴 した 米 麴 により 実 際 に 小 仕 込 み 試 験 を 行 い 発 酵 経 過 や 清 酒 の 特 性 代 謝 物 のプロファイルなどの 醸 造 特 性 につい て 解 析 を 行 う 予 定 である Key words 実 用 麹 菌 株 ゲノム 系 統 解 析 醸 造 特 性 pg. 9
P09 清 酒 酵 母 ミトコンドリアの 拡 大 培 養 時 の 形 態 変 化 とその 物 質 代 謝 への 影 響 元 村 沙 織 北 垣 浩 志 ( 佐 賀 大 学 ) 清 酒 醸 造 において 清 酒 酵 母 はまず 拡 大 培 養 された 後 本 培 養 に 移 される 拡 大 培 養 時 に おいて 清 酒 酵 母 は 通 気 培 養 されることも 多 く その 代 謝 は 呼 吸 状 態 であると 思 われるが 呼 吸 発 酵 転 換 時 の 清 酒 酵 母 のミトコンドリア(mito)の 形 態 とその 物 質 代 謝 における 意 義 を 解 析 した 研 究 はほとんどない そこでまず GFP により 清 酒 酵 母 の mito を 可 視 化 して 培 養 条 件 を 変 えて 形 態 を 観 察 した その 結 果 非 発 酵 性 炭 素 源 での 呼 吸 時 には mito は 細 胞 内 空 間 全 体 に 分 布 し その 長 さは 多 様 で 多 くの 枝 分 かれを 持 つが 高 濃 度 のグルコースがあると mito の 長 さは 長 くなる 一 方 そ の 本 数 や 枝 分 かれ 数 は 減 少 し 1,2 本 の 長 い 形 態 の mito が 細 胞 の 表 層 をとぐろ 状 に 取 り 囲 むようになることがわかった 一 方 エタノール 濃 度 が 高 くなると mito はドット 状 に 断 片 化 した 次 に 呼 吸 発 酵 転 換 と 物 質 代 謝 の 関 係 を 調 べた その 結 果 前 培 養 が 呼 吸 だとコハク 酸 が 多 くなるが 前 培 養 が 発 酵 だとリンゴ 酸 が 多 くなるという 結 果 が 得 られた 本 会 ではこ れらの 結 果 から 考 えられる mito に 着 目 した 発 酵 代 謝 制 御 技 術 の 可 能 性 について 議 論 したい 本 研 究 はサッポロ 生 物 科 学 振 興 財 団 及 び 農 芸 化 学 研 究 奨 励 会 の 助 成 により 行 った Key words 清 酒 酵 母 ミトコンドリア 物 質 代 謝 P10 転 写 因 子 Msn2/4p を 介 したストレス 応 答 とエタノール 発 酵 の 関 係 渡 辺 大 輔 野 口 千 笑 周 延 呉 洪 赤 尾 健 下 飯 仁 (( 独 ) 酒 類 総 合 研 究 所 ) 清 酒 醸 造 において 清 酒 酵 母 は 低 温 高 エタノール 等 のストレス 環 境 下 においても 効 率 良 くエタノール 発 酵 を 行 うことができる 清 酒 酵 母 の 高 発 酵 性 の 原 因 をストレス 応 答 の 観 点 から 探 るため 我 々は 清 酒 酵 母 と 実 験 室 酵 母 についてストレス 応 答 関 連 遺 伝 子 の 差 異 に 着 目 した その 結 果 意 外 なことに ストレス 応 答 転 写 因 子 Msn4p の N 末 及 び C 末 がき ょうかい 7 号 (K7)を 含 む 清 酒 酵 母 グループ 特 異 的 に 欠 失 しており K7 が Msn2/4p を 介 した 環 境 ストレス 応 答 機 能 に 著 しい 欠 損 を 示 すことを 見 出 した 実 験 室 酵 母 の msn2/4 遺 伝 子 破 壊 株 は エタノールストレスに 対 して 感 受 性 を 示 すにも 関 わらず 清 酒 もろみにおけ る 発 酵 速 度 が 大 きいことから 清 酒 酵 母 における msn4 機 能 欠 失 変 異 が 高 発 酵 性 の 一 因 と なっていると 結 論 づけた また 同 様 に K7 の MSN2 遺 伝 子 を 破 壊 することにより K7 よ りもエタノール 発 酵 速 度 が 向 上 した 株 を 作 成 することができた 以 上 の 結 果 から 転 写 因 子 Msn2/4p を 介 したストレス 応 答 はエタノール 発 酵 を 負 に 制 御 しており Msn2/4p を 介 し たストレス 応 答 を 調 節 することによって 発 酵 効 率 の 改 善 に 貢 献 できると 考 えられる (Yeast Genetics & Molecular Biology Meeting 2010 にて 発 表 済 みのポスターの 再 掲 で す ) Key words 清 酒 酵 母 ストレス 応 答 エタノール 発 酵 pg. 10
P11 醸 造 関 連 ストレスに 対 する 酵 母 の 応 答 機 構 の 解 析 井 沢 真 吾 ( 京 都 工 芸 繊 維 大 学 応 用 生 物 学 部 門 微 生 物 工 学 研 究 室 ) 発 酵 食 品 製 造 に 関 連 する 出 芽 酵 母 のストレス 応 答 機 構 について 私 たちのグループで 行 っている 以 下 の 研 究 内 容 を 紹 介 する mrna flux におけるエタノールストレス 応 答 エタノールストレス 応 答 時 の 酵 母 細 胞 内 で 生 じる mrna の 選 択 的 核 外 輸 送 や P-body ス トレス 顆 粒 による mrna の 隔 離 翻 訳 抑 制 等 について 分 子 機 構 や 生 理 的 意 義 の 解 明 に 取 り 組 んでいる 醸 造 過 程 の 酵 母 オルガネラの 解 析 各 オルガネラのマーカータンパク 質 を GFP で 標 識 し 清 酒 および 白 ワイン 醸 造 過 程 におけ るオルガネラ 形 態 や 機 能 の 変 化 について 網 羅 的 な 解 析 を 行 っている 解 析 を 通 じ 醸 造 過 程 の 酵 母 の 生 理 について 理 解 を 深 めたいと 考 えている ストレス 応 答 時 の 膜 ミクロドメイン 構 造 の 変 動 浸 透 圧 や 低 温 といったストレス 条 件 下 で 生 じる 細 胞 膜 上 のミクロドメインのストレス 応 答 機 構 について 解 析 している 遺 伝 子 操 作 非 依 存 的 な 食 品 微 生 物 機 能 の 改 変 消 費 者 感 情 の 点 から 国 内 での 導 入 が 難 しい 遺 伝 子 組 換 え 技 術 に 代 わる 食 品 微 生 物 の 機 能 改 変 技 術 の 開 発 を 行 っている 可 食 天 然 成 分 を 利 用 したパン 酵 母 機 能 の 改 良 例 について 紹 介 する Key words mrna flux オルガネラ 膜 ミクロドメイン P12 焼 酎 酵 母 SH-4 のゲノム 解 析 金 光 尚 哉 ( 三 和 酒 類 株 式 会 社 三 和 研 究 所 ) 焼 酎 酵 母 の 特 性 をゲノムレベルで 解 明 するために 代 表 的 な 焼 酎 酵 母 の 一 つである SH-4 株 (RIB1019)のゲノム 解 析 を 行 った ( 独 ) 酒 類 総 合 研 究 所 より 分 譲 頂 いた SH-4 株 (RIB1019)の 2% YPD 培 養 液 より 染 色 体 DNA を 抽 出 し Roche 社 454GS FLX 及 び ABI 社 SOLiD を 用 いてゲノム 配 列 の 決 定 を 試 みた 得 られた 配 列 を Newbler によりアセンブルした 結 果 1,270 本 のコンティグが 得 られ その 長 さの 総 和 は 11,400,704bp GC 含 量 は 38.1%であった S288C の 各 染 色 体 と 相 同 性 の 割 合 を 算 出 した 結 果 1 番 染 色 体 において 84.1% ミトコンドリアに 対 しては 81.2%の 相 同 性 で それ 以 外 の 染 色 体 では 95% 以 上 の 相 同 性 であった また Glimmer2 により ORF の 抽 出 を 行 った 結 果 9,074 個 の ORF を 抽 出 することができ アミノ 酸 データベース nr に 対 してホモロジー 検 索 を 行 った 結 果 E-Value 10-4 でヒットした ORF(7,246 個 )の 約 30%の ORF が 41 の 高 温 で 生 育 できる 酵 母 YJM789 株 に 対 してトップヒットであった Key words 焼 酎 酵 母 ゲノム pg. 11
P13 下 面 ビール 酵 母 (bottom-fermenting yeast)に 特 徴 的 なゲノム 構 造 尾 形 智 夫 (アサヒビール 酒 類 技 術 研 究 所 ) 下 面 ビール 酵 母 Saccharomyces pastorianus は S. cerevisiae (SC)と S. bayanus (SB) の 自 然 交 雑 体 であって 双 方 の 染 色 体 を 有 していることが 明 らかになっている しかし ゲノム 解 読 の 結 果 下 面 ビール 酵 母 のゲノムは SC と SB の 染 色 体 が 単 純 に 合 わさっただ けではなく 双 方 の 染 色 体 及 びその 他 の 配 列 が 複 雑 に 組 みあっているものであることがわ かった また 下 面 ビール 酵 母 の SC 型 第 VIII 染 色 体 の 右 腕 末 端 は ゲノム 解 読 株 実 験 室 酵 母 S. cerevisiae S288C では FLO5 遺 伝 子 が 座 乗 している locus には 別 の 遺 伝 子 であ る Lg-FLO1 遺 伝 子 が 座 乗 していることがわかった また 多 くの 下 面 ビール 酵 母 株 では この locus に 実 験 室 酵 母 S. cerevisiae S288C で 第 IX 染 色 体 左 腕 末 端 の 配 列 が 挿 入 され Lg-FLO1 遺 伝 子 が 消 失 している 染 色 体 の 双 方 を 有 する heterozygous な 状 態 であることが わかった LOH によって Lg-FLO1 遺 伝 子 が 完 全 に 消 失 すると その 酵 母 菌 株 は 下 面 ビー ル 酵 母 の 重 要 な 特 性 である 凝 集 性 を 消 失 することになることがわかった Key words 下 面 ビール 酵 母 染 色 体 構 造 LOH P14 地 域 資 源 を 活 用 した 新 規 調 味 料 に 関 する 調 査 研 究 田 中 淳 也 (( 地 独 ) 山 口 県 産 業 技 術 センター 企 業 支 援 部 食 品 技 術 グループ) 近 年 魚 醤 油 の 認 知 度 が 高 まりをみせており それに 伴 い 全 国 各 地 で 地 域 資 源 を 活 用 した 魚 醤 油 の 開 発 が 進 んでいる 収 集 した 情 報 を 製 品 PR や 技 術 支 援 等 に 資 することを 目 的 としている 国 内 外 の 魚 醤 油 の 品 質 特 性 を 把 握 し 九 州 山 口 産 魚 醤 油 23 点 その 他 の 国 内 産 魚 醤 油 9 点 国 外 産 魚 醤 油 18 点 の 計 50 点 を 分 析 試 料 とし 各 機 関 が 分 担 して 成 分 分 析 を 実 施 した また 本 調 査 の 参 画 研 究 員 13 名 による 官 能 評 価 を 実 施 した 九 州 山 口 産 を 含 む 国 内 産 魚 醤 油 と 国 外 産 魚 醤 油 では 成 分 の 差 異 が 顕 著 に 現 われた 特 に 国 外 産 魚 醤 油 の 食 塩 分 の 平 均 値 は 国 内 産 よりも 高 い 27.9 g/100ml であり 官 能 評 価 に おいても 塩 味 が 強 いとの 指 摘 が 多 かった また 国 内 産 魚 醤 油 の 香 気 成 分 の 主 体 がアルコ ール 類 であるのに 対 し 国 外 産 では 酸 類 が 主 体 であった これら 酸 類 には 酸 臭 の 原 因 となる 酢 酸 や 不 潔 臭 の 原 因 となる n- 酪 酸 が 含 まれていた 官 能 評 価 においても 国 外 産 魚 醤 油 の 香 りに 対 する 評 価 は 低 かった このほか 国 外 産 魚 醤 油 では 国 内 産 に 比 べて 旨 味 系 アミノ 酸 (グルタミン 酸 アスパラギン 酸 )の 濃 度 が 高 く 製 法 の 違 いや 製 造 段 階 におけるうまみ 調 味 料 等 の 添 加 が 推 察 された 国 内 産 魚 醤 油 間 においても 麹 使 用 の 有 無 により 成 分 に 差 がみられた 麹 を 使 用 した 魚 醤 油 では エキス 分 ( 無 塩 可 溶 性 固 形 分 )が 多 い 傾 向 がみられた これは 麹 原 料 の 麦 や 大 豆 に 含 まれるデンプン 質 が 分 解 されたためと 考 えられる エキス 分 の 高 い 魚 醤 油 は 官 能 評 価 においても 高 評 価 である 傾 向 がみられ 麹 の 添 加 が 味 に 好 影 響 を 与 える 可 能 性 が 示 唆 さ れた また 麹 を 使 用 した 魚 醤 油 に 対 する 香 りの 評 価 も 良 く 香 味 ともに 好 影 響 を 与 える 可 能 性 が 示 唆 された 官 能 評 価 については 九 州 山 口 産 を 含 む 国 内 産 魚 醤 油 では 概 ね 味 は 良 好 であり 多 くの 製 品 で 香 りも 良 好 であった 一 方 国 外 産 魚 醤 油 については 味 の 評 価 は 良 好 であったが pg. 12
ほとんどの 製 品 で 香 りが 悪 かった Key words 魚 醤 油 官 能 評 価 香 気 成 分 P15 乳 酸 菌 由 来 の 短 鎖 脂 肪 酸 に 特 異 性 を 示 す 脂 肪 酸 エステル 加 水 分 解 酵 素 について 岸 野 重 信 1,2 石 垣 佑 記 1,2 内 堀 良 重 2 横 関 健 三 1 清 水 昌 2 小 川 順 2 (1, 京 大 院 農 産 業 微 生 物 2, 京 大 院 農 応 用 生 命 ) 目 的 乳 酸 菌 は 古 来 より 酒 造 りの 生 産 において 欠 かすことのできないものであり 今 日 においても 新 たな 利 用 が 模 索 されている これまでに 短 鎖 の 脂 肪 酸 を 選 択 的 に 加 水 分 解 する 脂 肪 酸 エステル 加 水 分 解 酵 素 はほとんど 知 られていない また 乳 酸 菌 由 来 の 加 水 分 解 によって 遊 離 する 短 鎖 脂 肪 酸 は 乳 製 品 におけるフレーバー 成 分 の 重 要 な 因 子 であり 食 品 加 工 におけるフレーバー 改 善 への 寄 与 が 期 待 できる そこで 構 成 脂 肪 酸 が 炭 素 鎖 数 4 の 酪 酸 であるトリブチリンの 加 水 分 解 能 を 有 する 乳 酸 菌 の 探 索 を 行 った 方 法 結 果 乳 酸 菌 約 300 株 を 対 象 にトリブチリン 加 水 分 解 能 を 有 する 乳 酸 菌 を 探 索 し 生 成 物 である 酪 酸 の 生 成 量 が 多 い 乳 酸 菌 Enterococcus faecium LBK 73 株 を 選 抜 した 本 菌 よりトリブチリン 加 水 分 解 活 性 を 示 す 酵 素 を 精 製 酵 素 を 用 いて 詳 細 に 検 討 した 本 酵 素 はトリブチリンに 3 カ 所 存 在 するエステル 結 合 のうち 2 カ 所 のみを 加 水 分 解 していた ま た 本 酵 素 の 基 質 特 異 性 を 検 討 した 結 果 トリカプロイン メチル 酪 酸 メチルカプロイ ン 酸 においてトリブチリンに 対 して 約 30%の 活 性 が 認 められた Key words 乳 酸 菌 エステル 加 水 分 解 酵 素 短 鎖 脂 肪 酸 P16 高 尿 酸 血 症 予 防 に 有 効 な 乳 酸 菌 プロバイオティクスの 開 発 元 吉 智 美 1 小 園 伊 織 1 堀 之 内 伸 行 1 横 関 健 三 2 清 水 昌 1 小 川 順 1 (1, 京 大 院 農 応 用 生 命 2, 京 大 院 農 産 業 微 生 物 ) 痛 風 などの 原 因 となる 高 尿 酸 血 症 の 予 防 に 有 効 な 乳 酸 菌 プロバイオティクスの 開 発 を 試 み た 食 経 験 がある 乳 酸 菌 を 中 心 にプリンヌクレオシドを 活 発 に 分 解 する 菌 株 を 選 抜 した これらのうち プロバイオティクス 用 途 に 適 する 植 物 性 発 酵 食 品 ならびに 魚 類 食 肉 の 発 酵 食 品 から 分 離 された 株 について 食 餌 性 高 尿 酸 血 症 モデルラットを 用 いた 血 中 尿 酸 濃 度 上 昇 抑 制 作 用 を 解 析 した モデルラット 試 験 の 結 果 Lactobacillus fermentum L. pentosus に 血 中 尿 酸 値 上 昇 抑 制 作 用 を 見 いだした これらの 乳 酸 菌 はプリンヌクレオシド を 腸 管 吸 収 性 が 低 いプリン 塩 基 に 変 換 することで 血 中 尿 酸 値 上 昇 抑 制 作 用 を 発 揮 してい ると 考 えられた また 新 たなスクリーニング 系 として Caco-2 培 養 細 胞 を 用 いる 評 価 系 を 構 築 した Key words プリン 体 高 尿 酸 血 症 乳 酸 菌 Caco-2 培 養 細 胞 pg. 13
P17 酒 蔵 の 乳 酸 菌 米 のしずく の 開 発 岩 井 大 悟 ( 菊 正 宗 酒 造 株 式 会 社 総 合 研 究 所 ) はじめに 近 年 の 健 康 志 向 の 高 まりから 乳 酸 菌 を 用 いた 機 能 性 飲 料 が 注 目 を 集 めている そこで 生 酛 より 分 離 した 乳 酸 菌 から 免 疫 調 節 作 用 の 高 い 乳 酸 菌 株 を 選 抜 し また 機 能 性 成 分 含 量 が 高 い 米 品 種 の 選 抜 を 行 い 生 酛 技 術 を 応 用 した 米 乳 酸 発 酵 飲 料 の 開 発 を 行 った 乳 酸 菌 株 の 選 抜 当 社 嘉 宝 蔵 生 酛 製 造 場 より 分 離 した 乳 酸 菌 の 中 から マクロファージ 様 細 胞 株 J774.1のIL-12 産 生 促 進 能 及 びマウス 受 動 皮 膚 アナフィラキシー 反 応 抑 制 効 果 を 指 標 にL. sakei LK-117 株 を 選 抜 した LK-117 株 にはアトピー 性 皮 膚 炎 発 症 抑 制 効 果 も 認 め られた 米 品 種 の 選 抜 18 品 種 の 米 を 精 米 歩 合 85%まで 搗 精 し 総 ポリフェノール 量 フェルラ 酸 量 DPPHラジカル 消 去 能 難 消 化 性 デンプン 量 を 測 定 したところ 高 アミロース 米 ホシ ニシキがいずれの 測 定 項 目 においても 高 い 値 を 示 した 米 乳 酸 発 酵 飲 料 の 機 能 性 評 価 ホシニシキと LK-117 株 を 用 いて 調 製 した 米 乳 酸 発 酵 飲 料 には 免 疫 調 節 作 用 抗 酸 化 作 用 整 腸 作 用 などが 期 待 される さらに 高 血 圧 自 然 発 症 ラ ットを 用 いた 単 回 投 与 試 験 により 血 圧 降 下 作 用 を 有 することが 明 らかとなった Key words 生 酛 (きもと) 乳 酸 菌 ホシニシキ pg. 14
糸 状 菌 二 次 代 謝 産 物 のケミカルバイオロジー 理 研 基 幹 研 究 所 ケミカルバイオロジー 研 究 基 盤 施 設 長 田 裕 之 微 生 物 代 謝 産 物 は 抗 生 物 質 を 始 めとして 化 学 構 造 も 生 物 活 性 も 多 様 性 に 富 んでいるた め 医 薬 農 薬 の 探 索 源 として 重 要 な 位 置 を 占 めてきた しかし 最 近 ではロボットを 活 用 し たハイスループットスクリーニング(HTS)による 医 薬 探 索 が 主 流 になったため 創 薬 資 源 と しては 微 生 物 産 物 より 合 成 化 合 物 が 用 いられることが 多 くなった 微 生 物 産 物 では HTS に 供 する 検 体 数 を 確 保 することが 困 難 であり さらに 精 製 に 手 間 やコストがかかることが 障 害 と 思 われている 一 方 では 微 生 物 から 単 離 されたイベルメクチン FK506 ML236B など が それぞれ 駆 虫 薬 免 疫 抑 制 剤 高 脂 血 症 治 療 薬 として 実 用 化 された 例 でも 明 らかなよう に 微 生 物 産 物 から 選 択 的 かつ 強 力 な 薬 剤 が 発 見 できる 確 率 が 高 いことも 知 られている 我 々は 微 生 物 代 謝 産 物 の 良 さを 引 き 出 し かつ HTS に 対 応 可 能 な 新 しい 化 合 物 ライブラ リーを 作 製 するために 糸 状 菌 二 次 代 謝 産 物 の 生 合 成 機 構 に 関 する 研 究 をしているので 本 シ ンポジウムでは その 具 体 例 を 紹 介 する 糸 状 菌 はゲノム 中 に 膨 大 な 数 の 二 次 代 謝 遺 伝 子 を 持 っており 特 に 子 嚢 菌 類 糸 状 菌 は 二 次 代 謝 産 物 の 主 要 な 生 産 者 である 生 合 成 遺 伝 子 クラ スター 改 変 と 新 たな 糸 状 菌 種 をターゲットにすることは 糸 状 菌 が 潜 在 的 に 生 産 可 能 な 二 次 代 謝 産 物 を 利 用 するための 有 力 な 手 段 である 微 生 物 の 生 合 成 能 を 活 用 した 化 合 物 ライブ ラリーの 作 製 に 関 する 研 究 と 生 物 活 性 のスクリーニングを 紹 介 する Aspergillus fumigatus が 産 生 するジケトピペラジン 化 合 物 フミトレモルジン C には breast cancer resistance protein(bcrp)に 対 する 阻 害 活 性 が 知 られている[1] これまで の 研 究 から 生 産 株 A. fumigatus BM939 は トリプロスタチン 類 フミトレモルジン 類 など 多 くの 代 謝 産 物 を 産 生 する ことが 明 らかになっている 各 類 縁 化 合 物 を 精 製 しその 生 物 活 性 を 明 らかにするた め 生 合 成 遺 伝 子 の 破 壊 株 作 製 とその 表 現 型 の 解 析 ならびに 異 種 宿 主 発 現 系 を 利 用 した 各 生 合 成 遺 伝 子 の 機 能 解 析 を 行 った[2] すでに A. fumigatus で は 全 ゲノム 配 列 が 明 らかに なっているので 先 ず ゲ ノム 解 読 株 Af293 と 生 産 株 pg. 15
BM939 株 の 代 謝 産 物 比 較 を 行 った BM939 において 主 要 に 生 産 されるトリプロスタチン 類 が Af293 では 検 出 されず 代 わりにトリプロスタチンの 生 合 成 中 間 体 RK-293A の 蓄 積 が 観 察 さ れた 本 表 現 型 は BM939 の ftmc 遺 伝 子 欠 失 株 のそれとよく 一 致 し さらに BM939 由 来 の ftmc 遺 伝 子 断 片 を Af293 に 導 入 した 形 質 転 換 株 において BM939 と 同 様 のトリプロスタチン 生 産 性 を 示 した 以 上 の 結 果 は Af293 において ftmc が 何 らかの 理 由 により 機 能 していないこと を 示 唆 する 両 株 の 生 合 成 遺 伝 子 群 の 塩 基 配 列 を 比 較 したところ ftmc 遺 伝 子 座 周 辺 では 4 カ 所 の 変 異 が 見 出 された 生 合 成 遺 伝 子 破 壊 株 を 利 用 することにより 通 常 の 生 合 成 プロセ スでは 蓄 積 しにくいような 生 合 成 中 間 体 を 効 率 的 に 取 得 することができるようになった [1] Jain H.D. et al Osada H. & Cook J.M. Synthesis and structure-activity relationship studies on tryprostatin A, an inhibitor of breast cancer resistance protein. Bioorg Med Chem, 16, 4626-4651 (2008) [2] Kato N. et al & Osada H. Identification of cytochrome P450s required for fumitremorgin biosynthesis in Aspergillus fumigatus. Chembiochem, 10, 920-928 (2009) pg. 16
ウイスキーづくりの 継 承 と 革 新 サントリー 酒 類 株 式 会 社 チーフブレンダー 輿 水 精 一 近 年 海 外 で 開 催 される 酒 類 のコンペティションにおいて 日 本 のウイスキーが 最 高 賞 を 獲 得 したというニュースが 毎 年 のように 報 道 されるのを 記 憶 されている 方 も 多 いだろう もちろん 一 般 消 費 者 のレベルでみると まだまだ 日 本 のウイスキーの 認 知 度 が 高 いとは 言 えない しかし 少 なくとも 業 界 内 専 門 家 の 間 では 日 本 の 評 価 は 定 着 してきており 世 界 の 5 大 ウイスキーのひとつとして その 存 在 感 は 年 々 大 きくなりつつある 日 本 におけるウイスキーづくりは サントリーの 創 業 者 である 鳥 井 信 治 郎 が 1923 年 京 都 と 大 阪 の 境 山 崎 の 地 に 蒸 溜 所 建 設 を 始 めたところから 始 まる 現 ニッカウヰスキーの 創 業 者 であり 山 崎 蒸 溜 所 初 代 工 場 長 であった 竹 鶴 正 孝 氏 がスコットランドで 学 んだウイ スキーづくりを 忠 実 に 再 現 することからスタートした しかし 近 年 の 日 本 のウイスキー に 対 する 高 評 価 は 単 にスコッチウイスキーの 伝 統 的 製 法 を 継 承 したからではないと 考 え る 日 本 でのウイスキーづくりは 技 術 的 な 面 だけを 取 り 上 げてみても 極 めて 困 難 な 状 況 下 での 取 り 組 みと 言 わざるを 得 ない 本 来 ウイスキーの 美 味 さはブレンドという 技 術 に よるところが 大 きい ブレンドは 消 費 者 の 嗜 好 にあった 味 わいをつくり 出 すための 重 要 な 技 術 であるとともに 香 味 を 長 期 的 安 定 的 に 維 持 していくためにも 不 可 欠 な 技 術 である 当 然 ブレンドによる 美 味 さの 創 出 には 多 彩 で 高 品 質 な 原 酒 の 存 在 が 必 須 である 一 箇 所 の 蒸 溜 所 しかない 中 で この 困 難 なハードルをクリアするために スコットランドには みられない 一 蒸 溜 所 が 多 様 な 原 酒 をつくり 分 ける という 独 自 の 生 産 スタイルが 生 まれる ことになる 加 えて 日 本 の 夏 場 の 暑 さも 長 期 間 の 樽 貯 蔵 を 経 てつくられるウイスキー にとっては 大 きな 困 難 を 伴 うものであった これら 決 して 小 さいとは 言 えないハンデキャップを 克 服 するために 長 年 取 り 組 み 続 け てきたことが 日 本 のウイスキーの 製 造 技 術 を 大 きく 高 めることになる つまりは 一 方 で 伝 統 的 な 製 法 のよさを 守 り 続 けながら 常 に 新 しいことに 挑 戦 し 続 ける 姿 こそが 日 本 なら ではのものと 言 えよう 本 講 演 では 85 年 以 上 にわたって 継 承 されてきた 弊 社 のウイスキーづくりについて そ の 考 え 方 から つくりへのこだわり 人 材 育 成 などの 面 についてふれてみたい pg. 17
ゲノムの 個 人 差 と 栄 養 や 食 品 の 関 係 理 化 学 研 究 所 ゲノム 医 科 学 研 究 センター 鎌 谷 直 之 近 年 の 日 本 人 の 寿 命 の 伸 びは 著 しく また 疾 患 の 種 類 の 変 化 も 著 しい この 間 に 日 本 人 の 遺 伝 子 が 大 きく 変 化 をしたとは 考 えられないので 寿 命 や 疾 患 の 種 類 の 変 化 は 環 境 の 変 化 による と 考 えられる その 一 部 は 衛 生 状 態 の 変 化 や 医 療 の 寄 与 により 説 明 できるが 栄 養 や 食 品 の 影 響 も 大 きいと 考 えられる 即 ち 栄 養 や 食 品 が 人 間 の 寿 命 や 疾 患 に 大 きな 影 響 を 与 えている 事 は 間 違 いない 例 えば 古 くからビタミンの 不 足 により 特 定 の 障 害 を 来 たす 事 が 知 られていた が 近 年 は 摂 取 物 質 の 過 剰 による 疾 患 の 方 が 多 い 摂 取 カロリーが 増 加 する 事 により 糖 尿 病 に かかりやすくなり 摂 取 塩 分 が 増 加 する 事 により 高 血 圧 症 にかかりやすくなる コレステロー ル 摂 取 が 増 加 する 事 で 動 脈 硬 化 を 起 こしやすくなり 摂 取 プリン 体 量 が 増 加 する 事 により 痛 風 にかかりやすくなる しかし これらの 栄 養 素 は 不 足 すると 健 康 を 害 し また 食 品 中 の 含 有 量 が 味 などに 大 きな 影 響 を 与 える 従 って 全 員 にこれらの 栄 養 素 の 制 限 を 行 う 事 は 困 難 であり また 不 適 当 な 事 である 同 じ 食 品 や 同 じ 栄 養 を 摂 取 しても 個 人 により 疾 患 にかかりやすさは 大 きく 異 なり これには 遺 伝 も 大 きく 関 連 する 特 定 の 疾 患 にかかりやすい 人 々に 限 り 特 定 の 栄 養 素 の 摂 取 を 制 限 したり 奨 励 したりする 必 要 がある このように 人 間 の 疾 患 に 影 響 を 与 えるものとして 遺 伝 と 栄 養 や 食 品 を 含 めた 環 境 がある と 考 えられていたが 遺 伝 の 分 野 については 近 年 急 速 に 解 明 が 進 んできた ヒトの 遺 伝 的 情 報 は 約 30 億 のゲノム 配 列 により 保 有 されているが ヒト 全 ゲノム 配 列 が 2003 年 にほぼ 解 明 され た また その 後 の 複 数 の 個 人 の 配 列 の 比 較 により 個 人 間 には 膨 大 なゲノム 配 列 の 違 い(ゲ ノム 多 様 性 )が 存 在 する 事 がわかった 即 ち 異 なった 二 人 の 間 には 数 100 万 の 配 列 の 違 いが ある それに 基 づき 2000 年 代 にゲノム 配 列 の 違 い 約 50 万 個 を 比 較 する 研 究 が 進 み 多 くの 疾 患 に 関 連 する 遺 伝 子 がわかった 中 でも 理 化 学 研 究 所 ゲノム 医 科 学 研 究 センターで 2002 年 から 始 められたゲノムワイド 関 連 解 析 (GWAS; genome-wide association study)は 大 きな 威 力 を 発 揮 した 糖 尿 病 心 筋 梗 塞 関 節 リウマチ 各 種 の 癌 などの 多 くの 疾 患 に 関 連 する 遺 伝 子 が 明 らかになっただけでなく 血 糖 値 コレステロール 値 尿 酸 値 などに 関 連 する 遺 伝 子 も 次 々に 明 らかになって 来 た 更 に 最 近 では 個 人 の 全 ゲノム 配 列 を 読 む 事 も 現 実 的 になって きている 最 近 我 々はバイオバンクの 約 1 万 5 千 人 のデータを 用 い 大 規 模 に 血 液 データに 関 連 する 遺 伝 子 を 検 索 した それにより HDL コレステロール LDL コレステロール 中 性 脂 肪 尿 酸 値 などに 影 響 する 遺 伝 子 が 明 らかになった これらの 結 果 から ゲノム 配 列 の 違 いに 基 づいて 栄 養 や 食 品 を 調 整 する ゲノム 配 列 に 基 づいた 個 別 化 栄 養 学 を 提 唱 したい ただし 個 人 差 が 非 常 に 大 きいので 少 数 の 例 での 証 拠 により 効 果 や 害 を 判 断 する 事 には 問 題 がある pg. 18
講 演 骨 子 日 本 酒 を 真 の 国 酒 に そして 世 界 酒 に 1. 私 と 日 本 酒 との 係 わり 合 い 2. 世 界 で 人 気 の 日 本 酒 3. 日 本 酒 は 世 界 酒 になれるか (1) イメージの 改 善 確 立 を 図 る (2) 新 たなファンを 獲 得 する( 日 本 酒 との 出 会 い) (3) 日 本 酒 を 分 かりやすくする( 透 明 性 ) (4) 本 物 の 日 本 酒 を 提 供 する (5) 様 々な 日 本 酒 を 揃 える( 多 様 性 ) (6) 食 の 世 界 との 関 連 を 築 く (7) 日 本 酒 を 入 手 しやすくする pg. 19
醸 造 学 会 若 手 の 会 の 活 動 について 日 本 醸 造 学 会 若 手 の 会 は 以 下 のような 活 動 を 通 して 醸 造 学 の 研 究 を 活 性 化 させ 醸 造 学 の 進 歩 と 発 展 のために 積 極 的 に 貢 献 していきます 1.シンポジウムの 開 催 などを 通 して 醸 造 学 を 志 す 若 手 の 研 究 者 技 術 者 経 営 者 学 生 など 会 員 のパワーアップをはかるとともに 会 員 間 の 交 流 を 積 極 的 に 進 めます 2. 未 来 の 醸 造 学 研 究 者 である 学 生 の 皆 さんに 醸 造 学 に 興 味 を 持 ってもらう ための 活 動 を 積 極 的 に 進 めます 3. 醸 造 学 を 学 ぶ 世 界 各 国 の 若 手 研 究 者 等 との 交 流 にもチャレンジします 我 々の 活 動 にご 指 導 とご 支 援 をよろしくお 願 い 致 します 第 2 回 日 本 醸 造 学 会 若 手 シンポジウム 運 営 委 員 運 営 委 員 長 岩 下 和 裕 ( 独 立 行 政 法 人 酒 類 総 合 研 究 所 ) 会 計 担 当 金 井 宗 良 ( 独 立 行 政 法 人 酒 類 総 合 研 究 所 ) 会 場 運 営 中 尾 嘉 宏 (サントリーホールディングス 株 式 会 社 ) 杉 本 利 和 (アサヒビール 株 式 会 社 ) 高 橋 理 (キッコーマン 株 式 会 社 ) ポスター 運 営 高 橋 俊 成 ( 菊 正 宗 株 式 会 社 ) 小 川 順 ( 京 都 大 学 ) 堤 浩 子 ( 月 桂 冠 株 式 会 社 ) 講 演 会 運 営 林 圭 ( 三 和 酒 類 株 式 会 社 ) 後 藤 正 利 ( 九 州 大 学 ) 高 谷 直 樹 ( 筑 波 大 学 ) オブザーバー 島 純 ( 京 都 大 学 )
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