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平 成 19 年 7 月 18 日 発 行 通 信 第 43 号 発 行 : α 通 信 編 集 部 活 動 場 所 ( 第 1 日 曜 日 第 3 水 曜 日 2 4 土 曜 日 ) 千 葉 大 学 福 祉 環 境 交 流 センター 内 TEL/FAX:043-290-3029 事 務 局 連 絡 先 273-0033 船 橋 市 本 郷 町 505-1-704 FAX:047-333-0679 TEL:090-9317-8488 http://www009.upp.so-net.ne.jp/alpha_chiba/ 発 行 責 任 者 : 土 橋 律 子 編 集 責 任 者 : 五 十 嵐 昭 子 紫 陽 花 の 季 節 もそろそろ 終 わりを 告 げ 暑 い 夏 がそこまで 来 ています うっとうしい 梅 雨 も 植 物 から 見 れば 穀 雨 という なくてはならない 天 の 恵 みでもあります さて 今 号 では3 月 の 講 演 会 の 後 半 をお 届 けします 柳 原 和 子 さん(ノンフィクション 作 家 ) 工 藤 正 俊 さん( 近 畿 大 学 消 化 器 内 科 教 授 )に お 二 人 をドキュメンタリーを 撮 影 する 立 場 から 見 守 ってきたNHKディレクターの 篠 田 恵 一 さんに 加 わってもらい がん 医 療 とくに 再 発 転 移 に 対 するがん 医 療 のあり 方 について 会 場 の 皆 さんと 共 に 考 えてみました がん 医 療 の 底 上 げを 図 るための 標 準 治 療 それが 逆 に 患 者 の 望 む 治 療 に 対 する 壁 になっている という 現 実 これは がん 医 療 が 発 展 してきた 段 階 での 新 たな 問 題 点 とも 言 えると 思 います 私 たちの 選 んだ 医 療 - 患 者 と 医 師 それぞれの 視 点 から- 野 田 ( 世 話 人 ) 篠 田 さん 柳 原 さん 工 藤 さん 野 田 :では これから 第 2 部 に 入 ります 第 2 部 ではもう 一 人 のゲストをご 紹 介 致 します 柳 原 和 子 さんの 闘 病 を 撮 り 続 け 百 万 回 の 永 訣 というドキュメンタリーを 作 った NHK のディ レクター 篠 田 恵 一 さんです 柳 原 さんを3 年 間 工 藤 さんを1 年 半 くらい 一 番 近 くでお 二 人 のパートナーシップも 含 めてご 覧 になってき た 篠 田 さんにコーディネーターをお 願 いしたい -1- と 思 います 篠 田 :ただいまご 紹 介 いただきました 篠 田 と 申 します 柳 原 さんには 2003 年 の 再 発 がわかった ときからずっと 取 材 させていただいています 工 藤 さんは 一 昨 年 の 夏 くらいから 取 材 でお 世 話 になっておりまして お 付 き 合 いさせていた だいています 取 材 者 という 立 場 で 患 者 である 柳 原 さんを 取 材 し 医 師 である 工 藤 さんを 取 材 させていただいたので 多 少 客 観 視 できるよう な 立 場 で 対 談 のお 手 伝 いをさせていただければ と 思 っています 柳 原 :さっき 楽 屋 裏 で 打 ち 合 わせしてた 時 に 篠 田 さんがおもしろいことを 言 いました 柳 原 さんは5 分 に 一 回 意 見 が 変 わる 工 藤 先 生 はひ とつのことについて 聞 いても 絶 対 に 変 わらない だから これは 真 実 なんだなって ほんとによ くわかるんです と とってもよく 見 ていたな とわかったんですけど 篠 田 : 柳 原 さんのおっしゃることが 日 々 変 わる というのは 事 実 です ( 会 場 笑 い)ただ それは 良 く 言 うと まさにその 時 の 人 間 その 瞬 間 そ の 瞬 間 で 判 断 されているので 変 わるんだろう

なということで 別 に 移 り 気 だから 変 わるとか そういうことではないなと 思 っていて そうい う 判 断 が 積 み 重 なっていって 今 があるんだろう と 思 っています 柳 原 : 去 年 ハイビジョンで 放 送 されたものが 90 分 番 組 になって 明 日 総 合 テレビで4 時 30 分 から 放 送 されます 私 は 今 回 一 切 口 出 ししなか ったら すごく 良 い 番 組 に 蘇 っちゃったん ですね もし 良 かったら 多 くの 人 に 見 てもらっ て いろんな 批 評 を NHK に 寄 せてあげてくだ さい がんサポートキャンペーンも3 月 で 終 わ り 非 常 に 番 組 数 が 少 なくなって 患 者 の 目 が NHK の 中 でもしぼんでいきつつあります 全 員 がポジションも 変 わったし ひとりひとり 小 さな 闘 いを 続 けていってくれると 信 じていま すけれど みなさんの 声 が NHK を 作 りますの で ぜひいろんな 番 組 を 作 ってもらうためにも 具 体 的 に 出 していってあげてください 番 組 で 言 っているメッセージをどう 受 け 止 めたか そ ういうコミュニケーションを 彼 等 にしてあげて ください 公 共 というのを 育 てるのはたぶんそ ういうことだと 私 は 思 っていて それは 医 療 を 育 てるものと 同 じだと 思 っています 再 発 転 移 後 の 治 療 について 篠 田 :では 本 題 に 入 りた いと 思 います ここからは 会 場 のみなさんもぜひ 発 言 をしてほしいというのが 主 催 者 の 要 望 なので 双 方 向 で 行 きたいと 思 いますので よろしくお 願 いします 最 初 に 取 り 上 げたいこと は 再 発 転 移 後 の 治 療 につ 篠 田 さん いてです 病 院 に 行 くと も う 打 つ 手 はありません 全 身 の 抗 がん 剤 治 療 しかありません というふう に 道 が 閉 ざされてしまう 柳 原 さんの 場 合 も 2003 年 の 秋 再 発 転 移 が 見 つかったときは 肝 臓 に 多 く 見 つかるともうだめだ と 言 われ さ らに あるとしても 抗 がん 剤 ですね という ことで 道 が 閉 ざされる 感 がありました 実 際 その 後 の3 年 半 を 見 てくると 抗 がん 剤 だけで なくて ラジオ 波 とかいろいろなものを 組 み 合 わせてやってきた そこに 再 発 転 移 後 の 医 療 の 可 能 性 があるんじゃないか ということを 柳 原 さんはおっしゃっていて 工 藤 さんも 医 師 の 立 場 でそこに 何 か 可 能 性 があるんじゃないかと お 考 えのようなので それについてお 二 人 がど のように 思 っているのか さっきの 話 と 重 複 に なるかもしれませんが 改 めてどうでしょうか? 柳 原 :このことについて 具 体 的 にリアルに 語 れ るのは 私 よりも 南 雲 幸 江 さんじゃないかと 思 う んです 新 潟 県 湯 沢 町 の 乳 がんの 再 発 患 者 さん です 乳 がんの 転 移 が 発 見 されたときに 抗 が ん 剤 しかだめだよと 言 われ 続 けたんですが リ ンパ 節 転 移 について 放 射 線 治 療 を 選 択 し 以 後 2 年 間 の 寛 解 を 経 て 再 び 今 リンパ 節 にチラチ ラ 見 えているんですけれど その 中 で 抗 がん 剤 をどういうふうに 考 えるかということをいつも 悩 み 続 けている 人 です 局 所 治 療 と 全 身 治 療 を 両 輪 に 南 雲 ( 会 場 ):いつも 悩 んでいます 今 も 悩 んで います 再 発 転 移 の 治 療 を 進 める 上 で 局 所 治 療 と 全 身 治 療 を 両 輪 のよう にして 受 けたいというの が 私 の 考 えの 柱 なんで す というのは 全 身 治 療 というのはあくまでも 化 学 療 法 ですので 化 学 療 法 というのは いつか 南 雲 さん 有 効 性 が 低 くなって 副 作 用 のほうが 大 きくなっ てくる 有 効 性 のために 他 の 薬 に 変 えるときが 来 るという 意 味 ですが 保 険 適 用 のものもあれ ば 未 承 認 のものもあります いろいろ 副 作 用 も 研 究 されてきて 良 い 薬 が 多 くなってきてはお りますが なかなか 副 作 用 がないという 薬 はあ りません それは 風 邪 薬 にしたって 同 じことで すが 一 般 の 薬 と 違 うところは 普 通 の 薬 が 90 パーセントくらい なんらかの 症 状 緩 和 がある のに 比 して 抗 がん 剤 の 有 効 性 は 極 端 に 低 くて 3 割 の 人 に 効 けばそれはもう 大 見 得 を 張 って 有 効 と 言 えるんですね つまり 7 割 の 人 には 効 かないんです はじめる 前 に どちらかという と 自 分 は 効 く 方 だと 思 って 受 けるんです そう 思 わないととてもやれない でも どちらかと いうと 効 かないことが 多 々あります 化 学 療 法 の 副 作 用 を 低 く 抑 えて 有 効 性 を 最 大 に 長 期 にするために 局 所 治 療 は 外 したくないのです 治 療 経 過 私 の 治 療 経 過 について 話 します 原 発 は 1996-2-

年 でした 治 療 の 根 治 術 では 術 前 化 学 療 法 で 腫 瘍 縮 小 効 果 が 小 さく 石 灰 化 が 拡 がっていたこと もあり 胸 筋 温 存 で 左 乳 房 切 除 乳 房 を 温 存 する ことはできませんでした 仕 事 に 早 く 復 帰 したかったので 放 射 線 治 療 が 加 わらない 全 摘 でした 術 後 の 補 助 療 法 は 抗 が ん 剤 を 受 けましたし 後 々になって 不 勉 強 を 悔 いたのですが ホルモン 感 受 性 がないにも 関 わ らず ホルモン 治 療 も 受 けました 私 が 真 剣 に 考 えたのは 2003 年 に 局 所 再 発 を したときです やはり 原 発 治 療 の 乳 腺 外 科 医 の ところに 走 りました 診 断 は 胸 骨 傍 リンパ 節 転 移 でした 術 前 抗 がん 剤 根 治 手 術 術 後 補 助 療 法 とこれまでの 経 緯 から 考 えると 局 所 療 法 と いうのは 功 を 奏 さない というような 説 明 があ りました 遠 隔 転 移 は 認 められなかったのです が ホルモン 感 受 性 がなく Her Ⅱ(+++) 閉 経 後 でしたので 分 子 標 的 薬 をメインにした 化 学 療 法 を 受 けながら 局 所 治 療 を 考 えたのですが 局 所 治 療 に 賛 成 を 唱 えて 下 さる 先 生 はみつかり ませんでした 最 初 からずっと 主 治 医 との 泣 き 笑 いコミュニケーションがあり 絶 大 な 信 頼 を 置 いていましたから 主 治 医 の 指 示 に 従 って 治 療 を 行 いました しかし 感 覚 では 腫 瘍 周 辺 のこ わばりも 和 らぎ 薬 は 効 いているようなんです が 画 像 データで 腫 瘍 の 縮 小 効 果 は 劇 的 ではあ りませんでした 治 療 を 続 けるうちに 階 段 の 上 り 下 りがちょ っと 息 苦 しくなり 運 動 すると 不 整 脈 のように なってくることがありました 心 臓 のエコー 検 査 をするのですが 自 覚 症 状 がありながらも 数 値 的 には 正 常 範 囲 内 にある 更 年 期 なのか そ れともハーセプチンの 副 作 用 が 引 き 起 こす 心 毒 の 前 触 れなのかが 自 分 では 判 断 できかねました 内 科 の 先 生 にご 相 談 しましたら どちらともい えないけれど この 数 値 であれば 天 秤 にかける とメリットがある ということで このままハ ーセプチンを 続 けましょう とアドバイスをい ただきました がんで 死 ぬのも 忌 々しいけれど その 前 に 治 療 薬 で 心 臓 に 支 障 を 来 たすようになって 日 常 生 活 がままならなくなったら QOL どころかにっ ちもさっちも 行 かないわいと 思 っておりました その 気 持 ちが 膨 らんだのは 局 所 再 発 と 診 断 さ れ 治 療 を 開 始 した6 月 から1 年 間 が 過 ぎても 私 の 場 合 傍 胸 骨 リンパ 節 からどこへも 飛 んで いかなかったからです それで もしかしたら -3- 今 ならやれる 何 かがあるかもしれないという 期 待 で 有 効 な 局 所 療 法 はないものかと 手 探 りで 探 し 始 めました インターネットで 情 報 収 集 インターネットを 使 い いろんな 患 者 会 を 通 して 情 報 を 集 めました あけぼの 会 ソレイユ イデアフォーなどが 乳 がんの 患 者 会 だったので そちらのおしゃべり 会 に 出 席 したり または 機 関 紙 を 取 り 寄 せたり ホームページを 閲 覧 した りということから 始 めました たまたま 乳 がん 患 者 会 とは 別 の 放 射 線 治 療 を 勧 める 患 者 会 に 出 かけたことから 急 展 開 しました 放 射 線 の 治 療 というのはいろんな 手 法 があり 放 射 線 とひ とくくりになった 中 に 線 の 種 類 がいろいろで 機 種 もさまざまですから 部 位 によっては 使 える かもしれないという 情 報 を 得 ました それで あらためて 局 所 療 法 というものを 選 択 したとい うことです 放 射 線 治 療 で 寛 解 を 経 たのですが また 2006 年 の5 月 に 出 てきてしまいました エコー 検 査 を 地 元 の 病 院 でしました ちょっとまた 影 がで きている ということで 生 検 をしましたら ク ラスⅤ という 結 果 がでました やっぱり と 奇 妙 な 納 得 感 がありました というのは 些 細 なことですが 日 常 生 活 で ん? と 思 うこと が 度 々 起 きていたからです 私 は 登 山 が 大 好 きなんです 湯 沢 町 という 山 に 囲 まれたすり 鉢 のようなところに 住 んでいま す 気 分 転 換 と 考 えをめぐらすには 山 歩 きが 最 適 です ところが 登 山 道 の 階 段 を 前 へ 進 も うとすると 身 体 が 前 に 行 かずに 後 ろへ 倒 れるん です 6 月 7 月 は 難 なくできた 登 山 が8 月 に はトラブル 続 出 でした 不 安 になり 主 治 医 に 相 談 して 骨 シンチを 撮 りました 結 果 は 新 た な 集 積 を 認 めない 異 常 なし よって 考 え すぎじゃないの と 言 われて オシマイ でも 何 かおかしい という 思 いを 持 っていました ほんの 僅 かずつだけど 体 重 がじわりじわりと 下 がっていく 頭 頂 部 から 脱 毛 が 増 えてくる 暮 れ 頃 になりますと 今 度 は 背 中 のところが 痛 くな ってきて 腕 が 上 がらなくな りました その 度 に 先 生 に 話 しては 骨 密 度 検 査 を 受 け 血 液 検 査 に 甲 状 腺 機 能 検 査 を 併 せてもらう 頭 髪 は 皮 膚 科 で 相 談 するという 具 合 でした どれも 異 常

を 示 すデータはありませ ん 大 丈 夫 だよ まだ 骨 シンチを 撮 ってから 時 間 が 経 ってないから 様 子 をみよ う と 言 われました 骨 転 移 かも は こんなことを 繰 り 返 した 先 にありました 車 を 運 転 して 通 院 していたので すが 頸 を 後 ろに 向 けることができなくなりま した 不 得 手 のバックが 益 々 苦 手 になりました だんだんステージが 進 んでいく 周 りの 乳 がんの 人 たち 先 に 逝 く 人 たちが 何 人 か 続 いたもので すから 今 度 は 私 の 番 かもしれない という 被 害 妄 想 がエスカレートしていきました 正 月 の お 餅 を 食 べた 後 からひどい 腰 痛 で 動 けなくなり 四 つんばいで 這 い 回 っているような 生 活 になり ました 痛 くて 身 体 を 動 かすこともできない トイレに 這 って 行 くのがやっとの 状 態 ですから 病 院 に 行 くこともできません とにかくこの 痛 みがおさまるのを 待 とうと 鎮 痛 剤 などで 10 日 くらい 過 ごしました 1 月 末 に 先 生 のところに 行 き 秋 から 間 もな いけれど 再 び 骨 シンチをお 願 いしました 田 舎 ですからこの 検 査 機 関 は 新 幹 線 で 30 分 ほどか かりますし 予 約 が 取 れたのは1カ 月 先 で3 月 初 旬 でした 結 果 は2 箇 所 はっきりと 黒 々と したものが 見 えました 胸 椎 と 仙 腸 関 節 部 とい うところでした もう これは 来 るべきときが 来 たと 思 いました 画 像 診 断 の 難 しさ いざ 骨 転 移 の 治 療 をはじめようかという 前 に なって 果 たしてこれがほんとうに 骨 転 移 かど うかということでまた 悩 みました というのは 四 つん 這 い 生 活 をせざるを 得 なかった 痛 みが 時 々 引 けてくるのです 1カ 月 のうち1 週 間 く らい 引 けてくる 時 期 がありまして やれやれと 思 うと 激 痛 が 襲 ってくる これを 柳 原 さんに 話 したところ 違 うんじゃない?それは 骨 転 移 じ ゃないよ 単 なる 腰 痛 だよ と 言 われたからで す まずは 正 確 な 診 断 だ ということにな りました 放 射 線 科 の 先 生 がいらっしゃる 患 者 会 もありましたので そこでちょっと 融 通 を 利 かせてもらって 診 てもらいました そしたら 骨 シンチの 画 像 から 強 く 骨 転 移 を 疑 う と 断 言 されました 更 に 骨 転 移 かどうかを 調 べるた めに MRI を 撮 ったのですが 肝 心 な 仙 腸 関 節 部 のところが 撮 れていない というのです そ こでまた 二 重 にショックを 受 けて やっぱり 来 るべきときが 来 たんだと 思 って 柳 原 さんに 話 しました そしたら 柳 原 さんは 燃 えに 燃 えて もう 一 回 別 の 先 生 に 診 てもらおうよ と 言 われて 全 然 分 野 が 違 うからということで 工 藤 先 生 のところに 駆 け 込 んだ 次 第 です で どうだったか? 工 藤 先 生 は 大 丈 夫 で すよ どこにも 見 当 たりませんよ と 言 われて 私 は 鳩 が 豆 鉄 砲 をくらったようで 黙 ってしま ったんです 悪 くなったことだけを 考 えていた ので それが シロ だと 言 われても クロ は 消 えないんです 先 生 ないんですか? な いんですか? と 聞 くんですけれど ありませ ん と 繰 り 返 すだけなんですね この 体 験 から 放 射 線 科 に 限 らず MRI や 細 胞 診 をしたときに オーダー 票 と 一 緒 に 検 査 の 結 果 をもらうように 心 がけるようになりました そ れは 工 藤 先 生 が 何 を 根 拠 にそう 言 われた の? とおっしゃったからです 検 査 の 結 果 は 質 問 するとそれに 答 えて 説 明 してくれますが それを 書 面 で 下 さい というと 結 果 だけをく れるんですね オーダー 票 はありますか? と 言 っていただくと オーダーした 理 由 の 中 に 例 えばこの 患 者 さんは 前 歴 は 乳 がんでいつ 治 療 をして こういう 経 過 を 経 ているので 再 発 転 移 の 恐 れがあって 検 査 を 受 けられました と いうことが 一 筆 書 かれており それについての 返 事 が 返 ってきます 私 が 工 藤 先 生 のお 話 を 聞 いて 良 かったと 思 っ たのは 診 断 の 根 拠 を 患 者 にわかりやすく 話 し てくださったことです つまり 形 態 血 流 機 能 代 謝 といったことを ありのままにわか りやすく 説 明 をしてもらえるということが 私 たちが 自 分 の 現 状 を 知 るうえで 一 番 いいのでは ないかと 思 っています それが 一 番 私 はうれし かったです 私 の 骨 転 移 騒 動 は 事 なきを 得 ましたので 放 射 線 治 療 から CR へ そして 照 射 して CR に 至 ったけれど 傍 胸 骨 リンパ 節 に 再 度 の 発 現 と なりました それと 第 二 肋 間 ( 左 )のところに もしこりがあります 現 在 この2 箇 所 をハー セプチンとゼローダで 治 療 しています 今 のと ころ 重 篤 な 副 作 用 はなく 順 調 に 経 過 しています が このままで 無 限 にコ ントロールすることは 難 しいことです 抗 がん 剤 治 療 と 放 射 線 治 療 を 組 み 合 わせて 迎 えた 寛 解 でした 寛 解 プラス 無 治 療 という 手 放 しの 生 -4-

活 は 快 適 でした 再 発 後 は 全 身 治 療 がお 奨 めで しょうが 何 らかの 局 所 治 療 を 併 せてやってい きたいというのが 希 望 です 以 上 です 篠 田 :ありがとうございました 今 のお 話 二 つポイントがあって 局 所 治 療 と 全 身 治 療 の 組 み 合 わせをどうしたらいいのかということと 画 像 診 断 についてです 局 所 治 療 と 全 身 治 療 と いうことでは 工 藤 先 生 も 柳 原 さんもそうです し 今 の 南 雲 さんもそうですけど 全 身 治 療 だ けではなくて 局 所 治 療 を 合 わせることで 戦 局 を 開 いている 方 はけっこうお 見 受 けするよう 気 が するんですが 工 藤 さん 再 発 転 移 以 降 は 全 身 治 療 が 標 準 となっているんですが 現 実 はちょ っと 違 うんじゃないかというあたりをドクター から 見 てどうでしょうか 肝 臓 に 関 しては 転 移 であっても 局 所 療 法 が 可 能 の 場 合 はある 工 藤 : 僕 は 消 化 器 内 科 医 で かつ 肝 がんの 治 療 をメインにやって いますので 幅 広 いが んのなかですべて 一 般 化 した 話 はちょっとで きないんですけど 確 かに 再 発 あるいは 転 移 といっても 肝 臓 に 限 局 している2 3 個 ぐ 工 藤 さん らいのものであれば 原 発 巣 にもよりますが 大 腸 であれば 局 所 を きちんと 取 れば 非 常 に 効 果 があるし 明 らかに 生 存 率 は 増 すし 完 全 に 治 癒 することもある 程 度 あります 動 注 なら 大 量 の 抗 がん 剤 ではな くて 少 量 の 抗 がん 剤 でもある 程 度 効 果 があり ます 僕 らの 外 来 に 来 られる 方 で 確 かに 多 臓 器 に 多 発 転 移 がある 場 合 には 局 所 治 療 を 加 え る 意 義 はどうかなと 思 う 方 はありますけど 大 腸 がん あるいは 婦 人 科 がんであったとしても 肝 臓 だけに 限 局 していて リンパ 節 とか 骨 とか にないのに そこの 病 院 では 全 身 化 学 療 法 しか 受 けてないということはありますね 肝 臓 にしかない 場 合 には ラジオ 波 では2cm とか3cmのがんの 体 積 を 簡 単 にゼロにできる 固 形 がんの 効 果 判 定 というのは CR とか PR と か 言 われますが 目 にみえてるところは 100 の ものを 一 日 でゼロにできる 肝 臓 の 中 において は 画 像 的 には 消 し 去 ることはできるので それ にプラス 全 身 化 学 療 法 をするのか 動 注 化 学 療 法 をするのかはケースバイケースで 柳 原 さんの 場 合 は 肝 臓 だけに 限 局 していたので 動 注 化 学 療 法 をやりました それはもう 僕 らにとっては 一 般 的 な 考 え 方 になっていますが 他 科 の 先 生 方 は 一 臓 器 にでも 転 移 があれば 全 身 病 というこ とで 全 身 化 学 療 法 をやる 方 が 多 いようです それはそれで 標 準 なんですけれども ただ 一 臓 器 にあって 特 に 肝 臓 に 留 まっているようであ れば きちんと 局 所 治 療 で 消 すということは 悪 いことではない じゃ それが 生 存 率 の 向 上 につながっている のか データがあるのかといわれると ないん です しかし 全 身 化 学 療 法 で3cm 4cmのが んを 消 し 去 ることは 無 理 なんです 非 常 によく 効 いても 3cmのがんが1cmになった 場 合 は これは 著 効 ですが たぶんまた 再 発 する です から やるべきだと 言 い 切 ることは 難 しいです が 僕 のところに 来 た 方 は 条 件 がよければ 局 所 療 法 = 切 除 ラジオ 波 局 所 放 射 線 治 療 を 組 み 合 わせて 肉 眼 的 に 見 えるものをきちんと 処 理 することはできます これは 証 明 のしようがありませんが できる だけがん 細 胞 を 局 所 に 関 しては 根 治 的 に 制 御 す れば 生 存 の 向 上 に 結 びつくと 信 じてやってい ます ただ これを 科 学 的 に 証 明 するというの はまず 無 理 だと 思 います 目 の 前 の 患 者 さんは たくさんいることだし 基 本 的 には できるの であれば 局 所 療 法 をきちんとやるということ できるならば 切 除 肝 臓 であればラジオ 波 や 放 射 線 治 療 というのは そこの 専 門 家 に 相 談 し てやるというのは 決 して 悪 いことではないと 僕 はそう 信 じてやっています 診 療 科 の 壁 を 越 えるには 篠 田 :さきほどの 表 にあったような 微 妙 なとこ ろ エビデンスはないけれど やったらいいか もしれないというエりアがありましたが そこ にたどり 着 きたい 場 合 は 結 局 柳 原 さんの 場 合 は 婦 人 科 にいたままだったらたどり 着 けない 南 雲 さんも 乳 腺 外 科 の 先 生 とだけ 話 していたら たどり 着 けなくて 放 射 線 科 の 扉 を 叩 いたから そこにたどり 着 けた 患 者 としては 結 局 原 発 の 治 療 を 受 けていた 科 を 飛 び 出 るということが 大 事 だということでしょうか 柳 原 : 飛 び 出 すことを 皆 さんに 勧 めはしません ただ 先 日 ある 乳 腺 外 科 の 信 頼 するお 医 者 さ んに 私 の 本 を 読 んで 工 藤 さんのところにいっ た 患 者 さんについてお 話 申 し 上 げたんです 全 -5-

部 の 治 療 をやりきりまし た でも 肝 臓 に 残 って ます と 乳 がんの 末 期 を 宣 告 されて 腫 瘍 内 科 も ぐるぐるまわった 中 で 私 の 本 か 講 演 かテレビを 見 て 工 藤 先 生 のところへ いきました 数 が 多 かっ たからラジオ 波 はやらな かったけど 動 注 という 柳 原 さん やり 方 で 私 を 診 てくれ ている 若 いお 医 者 さんが タキソールとカルボ プラチンという 私 と 同 じ 抗 がん 剤 を 入 れてみた そしたら 消 えたんですね そしてそのことにつ いてさきほどの 乳 腺 外 科 の 先 生 に 静 脈 全 身 治 療 と 動 脈 の 局 所 治 療 をうまく 組 み 合 わせると 何 か 変 わるってことはありますか? と 聞 いてみ たら それはもう 発 想 外 なんですね 婦 人 科 で も 肝 臓 に 散 ったものに 対 して 動 注 療 法 とい う 発 想 はたぶんなくて 静 脈 から 全 身 に 入 れて まわすというのが 多 いんですね いまだに そういうところで 壁 になっているのが 標 準 治 療 という 壁 なんです それは もちろんお 医 者 さんの 側 から 言 うと 標 準 治 療 を 越 えて 治 療 して 亡 くなってしまったら そこは 裁 判 にな るという 問 題 があることを 竜 先 生 から 私 はず いぶん 教 育 を 受 けたけれど そのことは 今 はお いといて 消 化 器 がんの 先 生 方 は 最 終 的 には 抗 がん 剤 を 信 じていない 期 待 はしているけれど どこか 信 用 しきってはいない それは 肝 臓 とい う 臓 器 がなせる 技 だろうと 思 うんです そこで いろんな 治 療 の 発 想 をしているんです つまり 抗 がん 剤 をなるべく 有 効 に 微 量 で 長 く 使 いな がら 何 かをやってみようという 発 想 で 考 えてい る 頼 るべきものに 最 初 に 食 いついてはいない たぶん この 発 想 が 日 本 の 肝 臓 治 療 を 世 界 一 に させた 大 きなものだと 思 います 標 準 治 療 の 圧 迫 感 そこで 思 考 停 止 が 起 きて いる あるところから これだけやっていれば 正 しい 医 療 ということになってしまっている そこの 人 間 の 壁 をどうするか その 原 因 は 社 会 的 人 間 的 事 情 それから 経 済 の 問 題 さま ざまあると 思 うし 患 者 と 医 師 の 信 頼 関 係 もあ ると 思 う 抗 がん 剤 に 対 する 期 待 のないところ での 日 本 の 肝 臓 医 たちのこの 10 年 の 試 みという のは 極 めて 興 味 深 いものがあると 思 います もうひとつ 私 のヒットだったと 思 うのは 工 藤 先 生 も 含 めて 肝 臓 医 だったことです つま り 転 移 がんに 関 して 言 えば 転 移 した 側 の 臓 ったことがあって そのことの 中 で 極 めたもの がすごく 大 きかったということ 婦 人 科 がんは 今 治 るがんにしていこうとしているので 初 発 で 治 っていく 乳 がんもそうです そうする と 乳 がんとか 治 るがんと 言 われる 子 宮 がん とか 卵 巣 がんでは 治 らなくなったがん 患 者 の 不 幸 性 というか 医 療 における 悲 劇 性 が 極 めて 濃 くなっている そこのところで 発 想 している でも 肝 臓 医 たちは 大 量 の 再 発 がんと 闘 い 続 けているので 婦 人 科 がんの 医 師 より 概 して 絶 望 するのが 遅 いですよね だから 粘 ってく れる 婦 人 科 の 先 生 の 常 識 では 肝 臓 にいった らもう 終 わりと 言 われているのに このイメー ジから 脱 皮 する 標 準 治 療 とか その 他 の 臓 器 の 治 療 側 が 持 っている 常 識 を 突 破 するために 肝 臓 医 の 助 けが 大 いにあった 逆 に 言 えば そ ういう 肝 臓 医 たちの 歩 んだ 道 筋 何 を 求 めたか を 考 えてみるとヒントが 得 られるかもしれませ ん 工 藤 :お 話 を 聞 いていて ひとつ 思 い 出 したこ とがあるのでご 紹 介 したいと 思 います 近 畿 大 学 には 腫 瘍 内 科 学 教 室 という 化 学 療 法 をやる 科 があるんですが そこに 福 岡 教 授 がおられて 日 本 だけではなく 国 際 的 にも 非 常 に 有 名 な 人 で す 僕 は 非 常 に 感 銘 を 受 けたことがありました ある 患 者 さんが 腫 瘍 内 科 と 僕 のところの 消 化 器 内 科 の 両 方 を 受 診 したんです 乳 がんの 肝 転 移 が2cmくらいで あと 肺 にちょっとあった かもしれません 最 終 的 には 腫 瘍 内 科 で 診 るん だけれど ご 本 人 がラジオ 波 で 焼 いてほしいと 言 っているので ということで 紹 介 されたんで すね それで 一 日 で 焼 いてお 返 ししたら 福 岡 先 生 と 次 に 会 ったときに ラジオ 波 って エ ラいもんができたなぁ とおっしゃるんですね ということはどういうことかというと つまり 知 らないんです それ 以 来 3cmくらいまでの 肝 転 移 は 全 部 化 学 療 法 の 前 に 紹 介 してくるん です 再 発 に 対 する 標 準 治 療 は 化 学 療 法 だと 言 われ ているけれど 化 学 療 法 内 科 医 もそれをほんと うに 信 じているわけではなくて それしかツー ルがなかったからそれを 使 っ ているわけです 僕 らは 化 学 療 法 内 科 医 は ラジオ 波 と か そういう 局 所 治 療 がある のを 知 っていながら 信 用 し ていなくて 化 学 療 法 をやって いるのかなと 思 っていたんで すが 実 は 単 に 知 らないだけ 器 の 影 響 をかなり 受 けるのではないかと 一 瞬 思 だったんです それからは 肝 -6-

臓 にメインの 転 移 があって それが 小 さいとき には まずラジオ 波 をして それから 化 学 療 法 をやる という 方 法 でうちの 腫 瘍 内 科 はやって ます 医 師 の 壁 をどう 突 破 する? 柳 原 : 南 雲 さんの 一 番 言 いたいのは 医 者 の 壁 を 突 破 できないことなんですよ 標 準 治 療 は 続 いているから 抗 がん 剤 を 勧 められたときに 断 れない 遠 隔 転 移 に 対 して 局 所 治 療 も 加 えたい と 言 っても 何 をバカなことを 言 っているとい う 目 線 がまず 返 ってきて 話 題 にもならないん ですね 医 者 同 士 がそういう 発 見 を 情 報 交 換 し てくださるように 望 みたいけど それは やは り 自 分 の 身 をもって 患 者 が 突 破 していくしかな い それはそうだと 思 います 医 者 も 患 者 の 実 態 を 見 たから 変 わったわけですから でも そ うするように 勧 めることはできません そうす ることは その 病 院 を 逃 げるしかなくなるとい う 構 造 になっていて 逃 げた 病 院 に 対 して 申 し 訳 ないことをしたと 患 者 は 思 う 底 上 げするためには 標 準 治 療 化 することは 大 事 なんですけど ただ それによってあるとこ ろから 先 の 治 療 はすごく 閉 ざされている 私 が たくさんのお 医 者 さんと 議 論 をしながらわかっ たことは 他 科 の 最 先 端 のことについて 極 め て 無 知 であることが 多 いということです 今 の 専 門 の 領 域 の 忙 しさとそのための 勉 強 とで そ んなことまでやってられない だから そこの ところをどうしたらいいかという 問 題 です 情 報 センターを 作 ればなんとかなるかというと がんの 問 題 は 多 臓 器 に 渡 って 複 雑 になってく るので やっぱり 主 治 医 が 臨 床 経 験 の 中 で 他 科 はこういう 症 例 について 使 えるツールを 持 って いないか というような 興 味 を 持 って 見 ていく しかない 私 を 最 初 に 治 療 した 若 い 医 師 は 大 学 に3 月 いっぱいで 戻 ってくるんだけど 彼 は2 年 間 研 修 医 をやり その 後 過 疎 地 の 治 療 を2 年 やって そのあと2 年 間 アメリカに 研 修 に 行 って 抗 がん 剤 に 目 覚 めました 私 がラジオ 波 の 話 をすると 京 大 の 婦 人 科 では 年 間 6 人 くらいしか 肝 転 移 がいな い だから やっぱり 抗 が ん 剤 をやったほうが 効 率 が 良 いから 僕 はラジオ 波 に ついて 学 ぶ 必 要 はない と 言 う 研 究 テーマが 抗 がん 剤 になってしまったから 当 然 のこととして 抗 がん 剤 を 一 生 懸 命 やろうとするわけです まし てや 抗 がん 剤 が 卵 巣 がんの 治 療 の 主 流 だから そうすると 主 流 をはずれてくれるくらいに 患 者 が 望 むことをやるのかどうか ただし そ のとき 患 者 は 覚 悟 を 決 めなきゃいけないと 思 う んです この 医 者 とこれをやるんだから 私 は もうはずれたぞ ということに 覚 悟 を 決 める 私 は 覚 悟 を 決 めてやるとエネルギーが 沸 いてく る 逆 境 に 強 いタイプなのでいいんですけれど も そこのところですね お 医 者 さんも 限 界 を 患 者 との 関 係 の 中 でどう 突 破 するか っていう ことなんですよ 篠 田 :じゃ どうその 壁 を 突 破 したらいいんで しょう では 竜 ドクターがおられるので 他 科 との 壁 問 題 というあたりを それぞれの 得 意 分 野 をつなぐ 総 合 戦 略 を 持 って 竜 : 私 は 外 科 医 なので 外 科 で 切 れない 患 者 もい るし 自 分 たちの 限 界 も いっぱいあるわけです どうしたらその 限 界 をの りきれるかが 問 題 なわけ です 外 科 で 切 れなけれ ば 放 射 線 療 法 もやってみ よう 自 分 たちでできな ければ 他 の 科 の 助 けを 借 りようと そう 思 ってい るわけですね 昔 の 乳 腺 外 科 医 は 乳 が 千 葉 県 がんセンター 長 竜 さん んは 局 所 のがんだと 信 じていたんです だから 筋 肉 もリンパも 郭 清 して できるだけ 取 るハル ステッド 法 が 標 準 療 法 だった それに 対 して 乳 がんは 全 身 病 だからそんなことをやってもし ょうがない ハルステッド 法 でやっても 温 存 療 法 でやっても 生 存 率 は 変 わらないじゃないか というデータがアメリカから 出 されてきた 乳 がんは 全 身 病 だから 局 所 を 取 る といいながら 局 所 に 放 射 線 までかけるのは 矛 盾 していると 今 思 っているんですけど それが 標 準 的 治 療 とさ れています 乳 がんの 場 合 はとくに 一 度 転 移 が 始 まったら 全 身 病 であるとエビデンスなく 信 じ ている 人 たちがいて それがいま 世 界 的 標 準 と 言 われているんですけど やはり 命 を 取 られる ところを 治 療 すればいいと 思 うんです 転 移 が どこかに 隠 れているかもしれない 状 態 では 無 -7-

駄 うちになるので 抗 がん 剤 をやらなくてもい いのではないか というようないろんな 考 えが あるんですね いまのガイドラインで 縛 られた なかでやると 標 準 的 治 療 をやらないと 罪 悪 かの ような 気 がしているわけなんですね 私 が 肝 臓 がんをやる と 言 ったときに 当 時 の 恩 師 が 烈 火 のごとく 怒 りました そのときは 肝 硬 変 の 方 がだいたい5 年 後 には 30 %しか 生 き 残 っていないわけです そういう 人 たちがが んになる だいたい 行 き 倒 れている 人 が 多 いわ けです そういう 人 たちのがんを 治 してどうな るんだ とか 言 われたわけです そうは 言 って も 千 葉 大 学 にはすばらしい 世 界 的 な 肝 臓 の 奥 田 先 生 とかがいて がんになったら 国 立 がんセン ターに 送 っている 状 況 だったんで それでもや らしてくださいとやったら 皮 肉 なことにがん になった 方 が 長 生 きする 肝 硬 変 合 併 肝 がんの 5 年 生 存 率 は 今 は 60 %だそうですね いろんな 常 識 というのはどんどん 変 わってい くもんだと 僕 は 思 うんですね 今 それぞれのお 医 者 さんが 目 の 前 の 患 者 さんをどうやって 治 そ うかと もう 一 回 原 点 に 帰 るというふうになる ことが 必 要 だと 思 うんです その 中 で 自 分 の 得 意 なところは 自 分 で 不 得 手 なところは 得 意 な 所 と 連 携 して どのように 患 者 さんに 対 してい くかという 総 合 戦 略 の 時 代 が 始 まるんだと 思 う んですね 昔 中 山 恒 明 先 生 が 千 葉 大 学 で 食 道 がん 手 術 を 始 めたときは 食 道 がんの 手 術 死 亡 率 は 90 %だったんです 今 は 手 術 死 亡 率 は 数 % 以 下 に なっています 90 % 死 ぬ 手 術 をやるのは 許 され なかったとなると 食 道 がんが 手 術 で 治 る 時 代 は 来 ないのです 治 らないがんを 治 すようにす るには 今 の 標 準 的 治 療 をどうやって 打 ち 破 っ て 新 しい 標 準 的 治 療 を 打 ち 立 てようか とい うふうにほんとのがんの 最 前 線 に 立 ってる 人 は 考 えているんです 間 違 って 考 えてる 人 は 標 準 的 治 療 をやらないと 訴 えられちゃう という 脅 迫 観 念 の 中 で 診 療 をしているんですね 医 者 が 少 し 萎 縮 していて 強 迫 観 念 に 陥 ってる ということが 確 かにあるんですが ここは 患 者 さんと 一 緒 になってやれることをやりましょ う というふうになれば もっと 多 くの 医 者 が 再 発 したときにすぐにあきらめるような 雰 囲 気 から 脱 却 できるんではと 思 います 他 科 との 連 携 をとりながら 治 療 してくれる 医 師 に 巡 り 会 うには? 南 雲 : 会 場 の 皆 さんにお 尋 ねします 私 は 工 藤 先 生 に 巡 りあった 柳 原 和 子 さんは すごくラッキーだと 思 いま した というのは 工 藤 先 生 が 婦 人 科 の 先 生 放 射 線 の 先 生 を 交 えて 話 し 合 って 治 療 方 針 を 決 め さらに 放 射 線 治 療 を 受 けてい るときにも 工 藤 先 生 はそちらに 立 ち 会 っておら れたのが 映 像 でありましたよね というように 今 ご 自 身 の 主 治 医 が 他 科 の 先 生 にアドバイスを 受 けて 治 療 法 を 指 し 示 して 下 さったという 方 は どのくらいおいででしょうか? そういう 方 い らっしゃいますか? 原 田 : 私 は 今 年 どんぐりの 会 で 体 験 談 を 発 表 し ますが 私 は 全 国 的 に 珍 しい 副 腎 がんで 今 年 で 8 年 目 です 消 化 器 の 内 分 泌 科 から 始 まって 消 化 器 内 科 外 科 とチームでやりまして 放 射 線 からすべて 私 も 一 緒 に 画 像 見 ながら 先 生 と 友 だちのように 意 見 を 対 立 するくらいにやってき ました いまのところ 副 腎 がんというのは 日 本 で 10 人 くらいしかいませんから 治 療 法 がなかっ たんですが 先 ほど 伊 丹 先 生 から 近 年 こういう お 薬 があるということで 今 日 大 変 参 考 になりま した 放 射 線 科 も 行 きましたし 肝 臓 に3 回 転 移 して 肺 も2 回 手 術 しまして 計 5 回 手 術 して おりますが 今 のところ 抗 がん 剤 も 使 ってないし 見 た 目 はがんとは 思 われないと 思 います 気 力 でがんばってるんですよ 女 子 医 大 ですがチー ムワークでやっております いろんな 先 生 と 話 し 合 いながらやっていて はっきりいって 余 命 もありませんが 自 分 の 命 は 自 分 で 決 められる 立 場 にあります 私 はがんと 共 に 生 きようと 思 っております やはり 信 頼 できる 先 生 たちに 出 会 うということが 大 事 だと 思 います 柳 原 : 問 題 はこの 方 ひとりしかいないってこと でしょう? 南 雲 : 工 藤 先 生 は 柳 原 さんでなかったとしても 同 じようにやはり 他 科 を 巡 って あるいはいろ んな 先 生 のアドバイスを 受 けて 治 療 を 進 めるよ うにしているとおっしゃいます 私 は 京 都 から 近 畿 医 大 病 院 まで 柳 原 さんにご 一 緒 していただ きました 何 しろ 往 復 5 時 間 片 道 2 時 間 半 か かるんです 放 射 線 治 療 のために 往 復 5 時 間 も かけて しかも 乗 換 えがありながら 毎 日 通 った というあなたのそのパワーにも 驚 きました 私 は2 日 間 でギブアップしました そこをやり 遂 げたというあなたのパワーに 参 りました 患 者 でもそこまでやる 人 は 少 ないし 工 藤 先 生 に 巡 りあうことができるまで ドクターハンディン -8-

グ ドクターショッピング という 人 もおい ででしたけれど そこまでしていろんな 先 生 の ところを 駆 けずり 回 るパワーは 本 当 に 見 上 げた もんだと 思 っております そこまで 努 力 すれば 神 様 は 何 らかのくもの 糸 を 下 げてくれるんじゃ ないかと 思 いました でも そこまでやらなけ れば 工 藤 先 生 のような 先 生 を 見 つけることが 出 来 ないということが 問 題 ではないでしょうか 篠 田 :それは ドクターは 他 科 の 医 師 と 相 談 す るという 発 想 は 持 っていたけど 忙 しくて 相 談 にいけないのか 発 想 に 至 らないのかという 事 についてはどうでしょうか 工 藤 : 昔 から 関 連 する 科 の 治 療 に 関 しては 例 えば 内 科 外 科 放 射 線 科 で 外 科 手 術 にする かラジオ 波 にするか という 話 し 合 いをする ことは 一 般 的 にはあり ました 最 近 非 常 に 便 利 になり お 互 いが 同 時 に 別 の 場 所 で 画 像 が 工 藤 さん 見 れるコンピューター 端 末 があり PHS で 話 しながら 同 じ 画 像 をみて すぐ 相 談 ができます ですから 外 来 中 にも 外 科 の 先 生 と 同 じ 画 像 を 見 ながらすぐ 相 談 できるん ですね 自 分 がきちっと 責 任 を 持 たなくてはい けない 方 に 関 しては 自 分 が 決 断 しなければいけ ないので そうやって 決 めるわけです 別 の 科 にお 送 りした 方 がいいと 思 った 場 合 は 紹 介 状 を 書 いてそちらに 行 ってもらいます 相 談 してか ら 紹 介 することもします その 気 になれば 出 来 る 話 しです 篠 田 :どうすればその 気 になってもらえるかと いうことがむずかしいですね 柳 原 さんはその 気 になってもらえた まあ 工 藤 先 生 に 出 会 った からかもしれないですけど 柳 原 :それは 竜 先 生 も 同 じですよ 婦 人 科 と 乳 がんは 女 性 が 相 手 なんですよ そこがちょっと 違 うのかなというふうには 思 うんです 女 の 人 は 社 会 に 慣 れてないからモノをいったら 怒 られ るんじゃないかという 怯 えで 断 ち 切 っちゃうこ とがあると 思 います 入 院 すると 工 藤 先 生 は あ ここだ ってい うときに 来 るんですよ 一 番 過 酷 な 時 期 の 画 像 診 断 のその 場 に 来 てくれた 一 番 恐 怖 心 に 怯 え るところはどこかということが どこかで 本 能 的 にわかって そのときそばにいるんですよ 私 は 感 動 したんですけど それはどこから 来 る んだろう 私 は 工 藤 先 生 がはぐれっ 子 だからだ 者 が 楽 になるから と -9- と 思 うんです 医 局 からはずれて ある 大 きな 集 団 それも 世 界 的 有 名 な 大 学 から 外 れて 臨 床 の 現 場 にもぐり 込 んで 行 った ここにすべての 原 点 があると 思 うんです そこでどうやって 人 間 と 人 間 が 繋 がりながら 生 きていくかというこ とをどこかでつかんだんだと 思 っている これ は 文 学 記 者 の 見 方 それは 自 分 もそうだから どこにも 属 さないで 生 きてきたから 人 間 に 対 してなにをどこで 関 係 を 持 っていけばいいかと いうことをすごく 考 えるわけです 感 じる と いうことが 重 要 なんです 人 の 寂 しさというの はどこにあるかということについて 臨 床 医 と いうのは 多 分 そういうことを 日 々 研 鑽 している と 思 うから 柳 原 さんは 幸 運 だった 特 別 患 者 だったからと 思 う 前 に それがやってほしいこ とであるのならば どうしてできないんだろう ということについてみんなで 素 朴 に 考 えあって いったらいいと 思 うんです 一 人 の 人 を 全 部 見 ていてくれるということは 忙 しくて 現 場 に 来 なくても 若 い 医 師 が 主 治 医 に 具 体 的 に 報 告 することでつかんでくれてる という 信 頼 関 係 が 出 来 るまでの 何 回 かだと 思 う んですね やっぱりそれがあって 最 後 ダメで もしょうがない と 踏 み 切 っていけるのだと 思 う そこの 踏 み 切 りというのは 重 要 なんですよ ね 私 たちにとって 私 は 画 像 見 ないと 今 でも 先 生 に 言 います な いとわかったら 見 る 説 明 を 聞 くと イヤです 悪 いけど 私 そんなにしっかりと 自 分 の 病 に 向 き 合 って 生 きていくんならもうやめたい 逃 げて 自 分 の 中 でないものとして 本 を 書 いていたい だから 南 雲 さんとさっきの 原 田 さんがすごいの は 日 々 向 き 合 っている 南 雲 さんは いつ 治 療 をやめるかを 決 定 するために 画 像 見 るの とい うけど 私 にはそんな 勇 気 はないので いいと きだけ 見 ます 悪 いなら 言 葉 で 言 ってください と 言 います 言 葉 はいかようにも 私 の 想 像 力 で 消 すことも 出 来 るし 数 カ 月 本 を 書 いてれば 良 いんだからと 思 っているんです そういうこと を 判 ってくれなければ 標 準 的 な 何 月 何 日 説 明 します ご 家 族 集 まってください という が ん 患 者 学 のあのシー ンになるわけなんです ね 今 日 結 果 がわかっ ているのに 一 週 間 後 でなければボクはあな たに 伝 えません とい うのは 全 員 にいっぺ んに 説 明 したほうが 医

いう 説 明 を 受 けました そのくらい 彼 らが 過 酷 な 医 療 の 中 にいるから それをどうしたらいいのかっていうことを 厚 労 省 とかに 言 わせるのではなくて 現 場 から 考 えて 現 場 の 医 師 がほんとうの 理 想 の 医 療 をどうした ら 出 来 るかということについて 考 える それは 絶 対 に 患 者 のためになるから 批 判 も 大 事 です けどそこをやり 抜 いていきたいと 思 って いい ことをいっぱい 広 げようと 思 っています 私 は 特 別 だから 助 かったと 感 じている 人 一 回 でも 私 が 特 別 と 思 ったことがある 人 手 を 挙 げ てもらえますか ほんとはもっといるでしょ? そうです 特 別 でした だってカメラが 回 って るし 書 くんですから だけど よーくみてく ださい 海 千 山 千 のお 医 者 さんですよ 私 がも し 特 別 な 治 療 を 受 けて 治 ったんなら 実 は 治 っ てないけど 特 別 を 広 げる 方 向 で 考 えよう み んな 特 別 になろう がん 患 者 になったんだから 特 別 になろう 工 藤 : 柳 原 さんに 行 った 治 療 はふつうの 治 療 で すよ どう 特 別 なのかはよくわかりません カ メラが 回 っているし 確 かにいろいろ 書 かれる 可 能 性 はあります ただ 治 療 方 針 に 影 響 した か 結 果 に 影 響 したかという 点 については 特 別 だったから 影 響 したということはありえない と 思 います 篠 田 : 僕 は 取 材 でつきあわ せてもらっている 立 場 でい うと まさに 先 ほど 南 雲 さ んがおっしゃったように ここまで 治 療 について 貪 欲 に 医 師 と 対 話 する 方 はいな い まあノンフィクション 作 家 というお 仕 事 があるか らかもしれませんが 現 実 にそういうふうに 貪 欲 に 行 ったから 今 がある という 意 味 でいえば 特 別 なのか 知 れませんが それが 自 分 にできるかといえばすごく 難 しいと 思 うんです だから みんな 特 別 になろう と いうのはよく 分 かります あと 取 材 があることで 治 療 をことわられた こともあったんです そんなことはご 本 人 も 言 わないし 要 するに ドキュメント 撮 ってるの で 取 材 したい って 言 うと 出 て 行 ってくれ って 事 もあったわけですよ カメラが 付 いてく るということの 負 の 側 面 も 引 き 受 けながら 柳 原 さんは 取 材 を 受 け 入 れ その 記 録 が 医 療 のよ りよい 形 だとか 患 者 さんにいいことだと 思 って やってるんだな とボクは 受 け 取 っているんで す 特 別 ということで 言 うとね こまかくしゃ いですよ -10- べって 恐 縮 なんですが ではせっかく 二 人 いる んですから 会 場 からお 聞 きになりたいこととか 思 っていることなどがありましたらどうぞ 深 見 (がんサポート 編 集 長 ):いまお 話 しを 聞 い ていますと 標 準 治 療 と いうのはすごく 悪 者 みた いな 印 象 を 抱 かれた 方 が 多 いのではないかと 思 う んですが それについて 僕 はちょっと 弁 護 してお きたいと 思 います とい うのは 再 発 転 移 のがん 深 見 さん 治 療 というものに 標 準 治 療 というのはないんで す 申 し 訳 ないけれど 標 準 治 療 として 確 立 され たものはありません ただまあ 乳 がんの 場 合 と 最 近 の 大 腸 がんで FOLFOX とか FOLFIRI と かいう 治 療 が 出 てきているので そういう 面 で は 少 しあるかもしれないですが 基 本 的 にはな いわけですね 標 準 治 療 というのは 初 期 治 療 な んです 日 本 の 場 合 はここ5 年 くらいは 標 準 治 療 に 目 を 向 けられてきましたけども それ 以 前 は 標 準 治 療 は 確 立 されていなかった お 医 者 さ んの 意 識 はどういうものだったかというと 病 院 内 で 標 準 的 に 行 われている 治 療 が 標 準 治 療 だ と 思 っていた 方 がたくさんいたわけです 標 準 治 療 というのは 僕 は 効 果 が 立 証 された 今 の 時 点 では 最 良 の 治 療 だと 思 っています た だ 標 準 治 療 は 50 % 治 療 だと 思 うんです なぜか というと 標 準 治 療 はあくまでもベースであっ て やはり 残 りの 50 %は 医 者 の 経 験 とか 技 術 と かを 盛 り 込 んでいって 情 熱 を 傾 けてやるとい うものだと 思 うんです ですから 標 準 治 療 とい うのはベースの 治 療 だけども 大 事 にしていかな ければいけない と 思 っているんです ですか ら 柳 原 さんがもちろん 今 おやりになっている 代 替 治 療 とか 非 常 に 尊 い 治 療 だと 思 っていますし 間 違 ってないと 思 いますが それは 標 準 治 療 と は 関 係 がないことですからね そういうことを 言 いたかったのです 篠 田 : 標 準 治 療 を 悪 者 というつもりはなかった と 思 うんですが おっしゃられるように 標 準 治 療 が 50 % 治 療 で 工 藤 さんの 言 葉 で 普 遍 性 と 個 別 性 があることを 骨 の 髄 から 知 る と そ ういうことなんでしょうね 平 川 : 私 は 血 液 がんで 骨 髄 移 植 をして 今 元 気 で いますが さきほど 私 が 特 別 だと 言 ったのは やっぱりここまで 動 ける 人 は 少 ないですよ し かもドクターとはっきりケンカできる 人 は 少 な

医 者 になにか 言 うのは 私 も 患 者 で 図 書 館 員 なので 医 療 関 係 を 知 らないわけじ ゃないですけど 医 療 者 に ははっきり 言 っても 大 丈 夫 というのがありながら い やだと 思 われたくないから こんなこと 言 おうかどうしようかなと 遠 慮 する し 治 療 を 自 分 で 選 ぶとき 情 報 がないんです よね それでいろいろ 文 献 を 調 べました だけ どやっぱり 情 報 がないんです 情 報 をください と 言 ってもらったけど ほんとうにそれがすべ てかどうかわからなかったです だからあんな に 動 けてケンカできるってすごいですよ 羨 ま しいですよ 私 の 知 ってる 患 者 がドクターとケ ンカしたのを 見 たことは 一 回 もないですよ だ からそういう 意 味 で 私 は 特 別 だと 思 ってる 自 分 が 病 気 になったときに 病 気 になる 前 に たまたま 看 護 系 の 短 大 の 司 書 だったんでフラッ シュアップのために がん 患 者 学 を 読 んでい て 私 はシングルなのでいろんなものを 人 に 頼 もうということを 勉 強 したし 柳 原 さんの 本 を 読 んで 力 強 かったのは 体 力 お 金 の 力 智 の 力 その3つがあったら と 言 い 切 っていま したね 医 者 だけの 力 ではないんだって 思 えた ことが 力 がなくなったときだったので 力 強 か ったです 実 際 セカンドオピニオンを 自 分 から3カ 所 くらい 行 ったんですが いろんなことがありま した セカンドオピニオンは 当 たり 前 とみん なが 言 ってくれたことがすごく 支 えになりまし た だから 今 迷 っている 人 は 絶 対 にセカンドオ ピニオン 取 った 方 が 良 いと 思 います さっき 特 別 と 言 ったことはパワーがあったことがすごい なと 今 でもそう 思 っています ( 拍 手 ) 柳 原 :さっきの 南 雲 さんの 話 し 方 を 聞 いて 分 か ると 思 うけど すごく 勉 強 してて 医 療 のことを よく 知 ってるでしょ? 私 は 医 者 とケンカして るときはそういうのはなくて 感 情 でケンカして る ケンカできたのがすごいというんなら 最 初 から 不 良 の 烙 印 を 押 されてたからです こい つはうるさいぞ と 思 われてたし 復 権 を 果 た そうとしてニコッと 笑 ったって 向 うはマスメ ディアでうるさいこと 書 いてるアイツかと 思 っ ているのがひしひしと 伝 わってきたから 鬼 の ようにそのことについて 引 き 受 けながら 意 地 張 るしかなかった ということで 今 は 楽 ですが 工 藤 先 生 はマスコミに 興 味 はないですよね 出 たいとも 思 ってないし なおかつ 私 自 身 のこ とをまったく 知 らないし 自 己 紹 介 で 本 を 持 っ -11- ていきましたが 私 が 帰 ったあと しまった でも 担 うしかないな と 思 ったと ずいぶん 後 で 聞 きました ほとんどほかのお 医 者 さんのす べてを 迎 え 撃 つ 感 じでした だからケンカにな らざるを 得 ないのね 私 だって 可 愛 く 行 きたか ったけど すでに 可 愛 くない 女 っていう 烙 印 が ついていたからいくら 化 粧 でごまかしてもダメ で そこが 大 変 でした ( 笑 ) だけど 多 くの 患 者 さんに 言 うんだけど 自 分 の 限 界 の 中 に 医 療 知 識 を 閉 じ 込 めたらソンだよ と 相 手 の 能 力 を 引 き 出 す 力 を 身 に 付 けろって 医 療 の 枠 内 でイエスかノーかを 聞 いたら 医 者 は 絶 対 にイエスかノーできっぱりと 答 えてしま う だけどこっちが 無 知 蒙 昧 のようにニッコリ 笑 って 空 っぽになると それ 以 上 のものを 引 き 出 すことができる 私 のようにケンカしてもな んの 意 味 もないんです 医 者 はみんな 救 いたい んですよ 基 本 的 には その 原 理 的 なところに 訴 えていくことと 覚 悟 を 持 って 私 は 特 別 患 者 になるっていうふうに 思 うこと 特 別 に 扱 って 欲 しい 患 者 は 全 員 思 ってますよ それが 私 の 個 別 という 言 葉 であり 医 療 という 言 葉 で 私 の 事 を 見 据 えて あなたの 今 はこうなんだけ ど ボクはここが 判 らないからこうしよう と 優 れた 医 者 というのはそういうことができる さっき 工 藤 先 生 がおっしゃった 超 一 流 が 付 く 医 者 は 超 一 流 の 医 者 をたくさん 作 りましょ うよ みんなの 力 で これまた 作 りましょう なんておこがましいですね なっていただきま しょうよ ( 笑 ) 最 後 に 主 催 者 からお 聞 きします 野 田 さん( 世 話 人 ) 野 田 : 予 定 の 時 間 をオー バーしたのでそろそろ 締 めにしたいのですが 最 後 に 工 藤 さんと 篠 田 さん にお 聞 きします まず 工 藤 さん お 話 に 出 てまし たけど 柳 原 和 子 さんと 言 う 人 をご 存 知 でしたか? 工 藤 :まったく 知 りませ んでした 野 田 :それでは 柳 原 和 子 さんという 患 者 さんと 関 わったことによって 想 定 外 の 角 度 からスポ ットライトを 浴 びる 例 えばテレビのカメラが 入 ることもそうですし このような 患 者 会 に 呼 ばれることも 含 めて おそらくこれまでご 自 分 が 考 えていらっしゃった 医 師 としてのパターン

と 違 った 場 所 に 引 っぱり 出 されるというか そ ういった 状 況 になってらっしゃると 思 うんです がそのことについてなにか 感 じていらっしゃい ますか? 工 藤 :いや 特 別 はないですが 成 り 行 きで 鈍 感 なのかな? ともかく 入 院 されたとき 本 を 渡 していただいて 私 って 医 療 批 判 をする っ て 自 分 で 言 われて 中 央 公 論 でしたっけ? あ れを 出 されたとき こうやって 書 かれるのか と 初 めて 認 識 しました これはまずいことにな ったなと 思 って でもまあ 淡 々と 自 分 の 思 った ことやるしかないと そのうちに 見 極 めてどっ かに 去 って 行 ってくれるかもしれないし( 笑 ) 僕 は 僕 のやり 方 で 行 く そういうふうに 覚 悟 を 決 めました 後 は 成 り 行 きですね( 笑 ) 野 田 :ありがとうございました 患 者 の 方 が 特 別 だと 一 般 の 方 から 見 られてしまうような 場 合 批 判 も 含 めていろいろ 言 われるわけですけど そんな 患 者 さんを 自 分 の 患 者 に 持 ってしまった ドクターの 気 持 を 聞 いてみたかったのです 篠 田 さんにコーディネーターということで 一 切 下 駄 を 預 けてお 任 せしたんですが 何 年 かの 間 追 ってこられた 中 で 治 療 しても 治 療 しても 次 々 出 てくるという 過 酷 な 時 間 を 側 で 見 ていて 辛 かったこともあったと 思 うんですが お 付 き 合 いが 長 くなればなるほど 被 写 体 と 撮 影 者 とい うより 人 間 関 係 といったものが 出 来 てくると 思 うんで そんな 中 で 撮 ることが 辛 い 苦 しいみ たいな 時 期 はあったんでしょうか? 篠 田 :そういう 意 味 ではずっと 辛 いということ ですよね でも 仕 事 だから 撮 ります が カメラを 向 けてるということは 銃 口 を 向 けていることだと 思 ってい て ずっと 大 変 な 気 持 ちではありま す けれども ひとつは 柳 原 さんが このことを 記 録 することによって こうこうこういうことがこうなるん だっていうご 本 人 の 思 いがあって それをボクたちもともに 受 け 止 めて やるって 決 めた 以 上 それが 辛 いか らとやめることは 裏 切 りになるわけ です あとは 出 来 るだけそばにいさ せてもらうように 銃 口 を 向 けなが らだけれど 撮 りに 行 くというので はなくて そばにいながら 撮 れるよ うにという 二 つを 心 がけながらやり ました 野 田 :ありがとうございました 実 を 言 えばこ の 講 演 会 の 前 に 明 日 の 百 万 回 の 永 訣 の 放 送 があったら テレビを 見 てからのほうが 話 しももっと 深 く 聞 いていた だけたと 思 うし この 講 演 の 宣 伝 もしてもらえ るな と 目 論 んでいたのですが 残 念 ながら 逆 になってしまいました ここでお 聞 きくださっ た 方 はぜひ 明 日 見 ていただきたいと 思 います これで 締 めに 入 りますが 最 後 に 柳 原 さんが 大 すきな 歌 があるそうです 柳 原 :すごい 聖 人 像 になってうれしいですけど 私 を 踏 み 台 にしてとにかくみんなやるんです 生 きていってほしい 大 変 だと 思 うけど その ために 恥 ずかしい 思 いもしたし ストリップも いっぱいやったけど 篠 田 さんに 絶 対 に 寝 巻 き 姿 を 見 せないって 意 地 張 ってたけど 何 シーンか 撮 らせてしまったし 弱 々しい 私 を 見 せないっ て 言 ったけど 見 せてしまった このことから 柳 原 さんがどうのってことでなく 見 つければい い 先 生 もいるし 努 力 してる 先 生 もいるし 伊 丹 先 生 のような 先 生 もいる その 中 で 何 かをつ かんでいくっていうことを 講 演 の 中 でつぶやき のように 言 ったけど 自 分 に 自 信 を 取 り 戻 して 大 事 な 時 間 を 得 るということを 大 変 だけどや っていこうよね ということで 感 動 した 音 楽 を 聴 いて 歌 える 人 は 歌 ってください 吉 田 卓 郎 さんが 24 歳 のときお 遍 路 の 映 画 を 作 ったときの 主 題 歌 で 今 日 までそして 明 日 から という 歌 です 音 楽 - 講 演 会 後 の 懇 親 会 で -12-