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2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

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編 5ヶ 月 6 総 論 7 抜 ピ ド ピ ド 速 永 久 繰 ロ セ 慣 容 易 結 共 通 決 々 5 照 づ 具 ご 紹 介 与 監 査 比 較 場 限 提 始 箇 提 進 ご 安 心 話 提 与 監 査 雑 把 与 締 役 緒 算 類 作 機 関 従 来 税 始 忘 生 物 繰 切 忘 葉

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1

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158 高 校 講 座 習 モ 現 ラ 習 モ 距 離 置 示 終 向 据 示 唆 与 取 ょ 第 7576 回 第 :

平 成 27 年 11 月 ~ 平 成 28 年 4 月 に 公 開 の 対 象 となった 専 門 協 議 等 における 各 専 門 委 員 等 の 寄 附 金 契 約 金 等 の 受 取 状 況 審 査 ( 別 紙 ) 専 門 協 議 等 の 件 数 専 門 委 員 数 500 万 円 超 の 受

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する 婦 人 相 談 所 その 他 適 切 な 施 設 による 支 援 の 明 記 禁 止 命 令 等 をすることが できる 公 安 委 員 会 等 の 拡 大 等 の 措 置 が 講 じられたものである 第 2 改 正 法 の 概 要 1 電 子 メールを 送 信 する 行 為 の 規 制 ( 法

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2. 当 初 の 目 的 と 現 状 コア 会 議 の 役 割 目 的 現 状 分 析 マネジメント 会 議 の 運 営 や あり 方 問 題 取 り 組 みにつ いての 議 論 会 員 からの 意 見 の 吸 い 上 げ と 内 容 の 各 会 議 への 振 り 分 け 全 体 会 運 営 会 議

1 年 女 子 保 健 体 育 生 徒 は 主 体 的 に 授 業 に 取 り 組 んでいる しかし 周 りが 動 かないと 動 けない 場 面 が 見 られる 体 育 係 が 声 掛 けをしているが 今 後 は 体 育 係 の 声 掛 けがなくても 動 けるようにしていく 運 動 が 苦 手 な

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

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47 高 校 講 座 モ オ モ 圏 比 較 危 述 覚 普 第 章 : 活

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

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国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

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いう )は 警 告 をしたときは 速 やかに その 内 容 及 び 日 時 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申 出 をした 者 に 通 知 しなければならないこととされ また 警 告 をし なかったときは 速 やかに その 旨 及 び 理 由 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申

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質 問 票 ( 様 式 3) 質 問 番 号 62-1 質 問 内 容 鑑 定 評 価 依 頼 先 は 千 葉 県 などは 入 札 制 度 にしているが 神 奈 川 県 は 入 札 なのか?または 随 契 なのか?その 理 由 は? 地 価 調 査 業 務 は 単 にそれぞれの 地 点 の 鑑 定

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異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

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- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

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公文書非公開決定処分に関する諮問について(答申)

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年 金 払 い 退 職 給 付 制 度 における 年 金 財 政 のイメージ 積 立 時 給 付 時 給 付 定 基 (1/2) で 年 金 を 基 準 利 率 で 付 利 給 付 定 基 ( 付 与 利 の ) 有 期 年 金 終 身 年 金 退 職 1 年 2 年 1 月 2 月 ( 終 了 )

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国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

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6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

18 国立高等専門学校機構

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[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

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戦略担当者のための

資 格 給 付 関 係 ( 問 1) 外 国 人 Aさん(76 歳 )は 在 留 期 間 が3ヶ 月 であることから 長 寿 医 療 の 被 保 険 者 ではない が 在 留 資 格 の 変 更 又 は 在 留 期 間 の 伸 長 により 長 寿 医 療 の 適 用 対 象 となる 場 合 には 国

Transcription:

199 (Hypothetical, Rhetorical, Intercultural and Extemporaneous) 近 江 誠 これはあるライティング/スピーキンの 指 導 の 理 論 と 実 際 である これは 近 江 が,オーラル インタープリテーションを 通 しての 英 語 教 育 を 補 強 すべく, 南 山 短 期 大 学 英 語 科 で 実 験 開 発 してきたスピーチ ドラマ 学 の 分 野 から 開 発 してきた もうひとつの 柱 である これはわが 国 の 英 語,あるいは 国 語 の 教 育 では, 主 流 ではないライティング/スピー キングの 指 導 である これが 主 流 でなかった 理 由 は 歴 史 が 浅 いからではない 全 く 逆 である 古 代 ギリシャ のアリストテレス,ローマのキケロの 時 代 より 今 日 まで 西 欧 文 化 の 中 に 受 継 がれてきた レトリックの 伝 統 に 根 ざしている 訓 練 にもかかわらず, 後 発 の 言 語 学, 文 学,EFL( 外 国 語 としての 英 語 教 授 法 ) 研 究 が 脚 光 を 浴 びてきたからである 特 に 日 本 においては 不 遇 扱 いというより 殆 ど 真 空 地 帯 であった とは 近 江 の 命 名 である 温 故 知 新 何 となく 話 させ, 何 となく 書 かせる 1) わが 国 の 英 語 国 語 教 育 からの 脱 却 するための 参 考 になることを 祈 りながら Ⅰ 定 義 とは,レトリカルスタンスを 自 由 に 想 定 し, 目 的 を 達 成 する 為 の 戦 略 を 立 て,それに 従 って 全 文 表 記 式 アウトライ ン 形 式 でしたためた 文 章 をエクステンポラニアス スピーチ( 暗 誦, 朗 読, 即 興 などを 混 在 させた 自 然 な 語 りのプレゼンテーション)で 発 表 する までの 一 連 のことばの 訓 練 である

200 Ⅱ 狙 い 情 報 を 伝 達 するばかりがコミュニケーションではない それ 以 外 にも, 説 得, 余 興 歓 待, 弁 明,さらには 人 間 の 負 の 部 分 に 属 する,ぼやきも,お どしも, 見 栄 切 りもある まさに 動 詞 の 数 ほどのコミュニケーション 目 的 が 考 えられる しかし, 考 えや 態 度 の 変 容 をきたし, 行 動 に 駆 り 立 てると いう 説 得 コミュニケーションは, 全 ての 意 図 的 コミュニケーション 活 動 の 中 で 最 も 困 難 なものであり,その 能 力 はただ 書 かせたり 話 させたりするだ けでは 到 底 養 われない の 狙 いはいわゆる 英 会 話 や オーラ ル の 限 界 を 打 破 し, 国 際 社 会 において 日 本 人 として 機 能 しうる 英 語 を 書 く, 話 す 力 を 養 成 することにある ライティング/スピーキングと 両 方 を 標 的 としているのは, 両 者 は 本 質 的 に 共 通 部 分 が 多 くその 能 力 は 相 互 補 完 的 に 伸 ばしていくのがもっとも 自 然 であるからである スピーキングの 感 覚 を 置 き 去 りにしたところに 真 の ライティングの 能 力 は 育 ちにくいし,レトリカル ライティングの 訓 練 を 行 わないところに 息 の 長 いスピーキングの 能 力 は 育 ちにくいからである Ⅲ 手 順 第 一 段 階 :レトリカルスタンスの 設 定 と, 目 的 達 成 のために, どういう 話 を, どういう 配 列 で 語 るのかプランを 考 えてこさせる まず 語 り 手 は 誰 か を 決 めさせる 私 に 決 まっている では 大 した 練 習 にはならない 表 現 内 容 が 限 定 されるからである どういう 自 分 か,どういう 資 格 の 自 分 かを 考 えさせる 次 に どういう 相 手 に 向 かって も 設 定 させる 語 り 手, 聞 き 手, 実 在 の 人 物 であろうと, 歴 史 上 の 人 物,ドラマの 中 の 主 人 公, 誰 でもいい 特 定 の 個 人 から,グループ, 組 織, 国, 草 木 など 無 生 物 でもいい 考 えたこともないからこそ 良 い 訓 練 になる 無 生 物 にもい

201 のちが 宿 っているとすることは, 物 言 わぬものに 対 する 気 持 ちを 醸 成 し, また 日 本 人 の 感 性 を 見 直 すいい 機 会 にもなる 語 り 手 も 聞 き 手 も, 善 男 善 女 である 必 要 はない むしろ 社 会 的 に 疎 外 されている 人 間 の 中 に 一 寸 の 光 を 見 出 そうとすることも,ここでの 訓 練 の 趣 旨 に 合 う もし 学 習 者 が 大 学 生 で, 異 文 化 コミュニケーションや 比 較 文 化 なども 並 列 して 学 んでいたら,こういう 練 習 においてこそ,その 知 識 を 存 分 に 注 入 させる この 相 手 は,こういう 文 化 背 景 と 価 値 観 を 持 っていると 考 えるこ とはスピーチ 学 でいう 聴 衆 分 析 として 機 能 する そこで 目 的 は,たと えば 争 いを 収 める であっても,このような 展 開 にしないで,このよう に 持 っていった 方 がいいのではと 考 えることに 意 味 がある 時 と 場 所 も 設 定 させる ここでも 時 代 と 空 間 を 超 えて 真 摯 に 思 いを 通 わせる 釈 迦 がキリストに 対 して 浄 土 で 人 類 平 和 に 対 する 思 いを 伝 えたり, 再 開 したあの 世 でロメオがジュリエットに 今 度 こそ 結 婚 しよ うと 説 得 するなど 無 限 に 考 えられる そして 冒 頭 にも 述 べた どういう 目 的 を 達 成 しようとするのか, 説 得, 懐 柔, 弁 解, 情 報 伝 達 なのか,あるいは 提 案, 通 達,ぼやきなのかコ ミュニケーション 目 的 を 設 定 させる これを レトリカルスタンスを 設 定 する と 筆 者 は 言 っている 次 は,その 目 的 達 成 のために, どういうふうに の 問 題 になる その 際, 教 育 的 にもっとも 収 穫 が 多 いのは 圧 倒 的 に 説 得 コミュニケーションで ある まずアリストテレスの 三 つの 説 得 法 は 基 点 として 導 入 する ひとつはロ ゴス( 論 理 実 証 )である これは 論 理 を 使 い 相 手 の 知 に 訴 える 説 得 方 法 で ある 最 近, 論 理 的 であれということがよく 言 われる しかし, 論 理 は 一 つの 選 択 であり, 人 はこれだけではなかなか 動 かない そこで,パトス ( 感 情 立 証 )が 登 場 する これは 相 手 の 心 理 に 訴 える 説 得 法 である 人 間 には 肉 体 的 安 定 欲 求, 財 政 的 安 定 欲 求, 帰 属 欲 求, 名 誉 欲 などの 基 本 的 な 欲 求 があり,これらが 満 たされたと 相 手 が 語 り 手 の 自 分 ではない! 感 ずるように 話 を 展 開 していく 説 得 法 である そして 最 後 にくるのが,エト

202 ス( 性 格 立 証 )で, 説 得 者 自 身 の 属 性 である 魅 力, 貫 禄,カリスマ 性 など で 相 手 を 動 かすという 説 得 方 法 である そういったわけで,1 誰 が,2 誰 に 向 かって,3いつ,4どこから,5 どういう 目 的 を 達 成 させるために,7エトス,ロゴス,パトスのどれに 依 るか,それも 具 体 的 には,6どういう 内 容 の,7どういうパラグラフ,す なわち 寓 話, 統 計, 下 降 配 列, 比 較 配 列, 対 照 配 列, 定 義, 原 因 結 果 配 列, 結 果 原 因 配 列, 問 題 解 決 配 列 などをどのようにつなげて,それぞれにどう いう 機 能 をもたせるか 考 えさせる さらには 全 体 の 配 列 は, 時 間 配 列 か 項 目 配 列 か, 原 因 結 果 など 考 えさせる 個 々のパラグラフがどういう 配 列 パ ラグラフであるかということと, 話 し 全 体 の 配 列 は 異 なることがあって 当 然 だからである 実 際 の 指 導 にあたってどの 程 度 掘 り 下 げていくかは,メリハリを 利 かせ て 指 導 すればいい 一 般 的 な 作 文,スピーチの 指 導 では 行 われてこなかっ たことを 考 えれば,そういう 方 向 で 考 え 始 めたということで 十 分 である 第 二 段 階 説 得 プランの 検 討 プランはすべて, 下 記 の 要 領 で 提 示 させる たとえば 学 生 が 次 のよ うなものを 提 出 してきたとする The Eye for Eye Approach Doesn t Work 語 り 手 旅 の 僧 時, 場 所 米 フィラデルフィアの 市 民 ホールの 屋 外 ( 険 悪 な 雰 囲 気 が 漂 っ ている) 聞 き 手 イスラム 圏 の 人 々,アメリカ 人 グループ 目 的 いがみ 合 いを 中 止 させるように 説 得 する 説 得 プラン: もっぱらロゴスによる 説 得 報 復 主 義 ではことは 解 決 しな いということを 理 詰 でとく 同 時 多 発 テロから,その 後 の 状 況 を 時 間 配 列 パラグラフを 使 って 展 開 する 民 間 での 争

203 いも 同 じような 結 果 になるのだという 例 などを 比 較 配 列 に よるパラグラフを 使 って 類 似 点 を 強 調 する INTRODUCTION( 省 略 ) Attention Getter Preview Statement BODY( 省 略 ) Ⅰ 問 題 状 況 Ⅱ 弊 害 Ⅲ 原 因 Ⅳ 解 決 CONCLUSION( 省 略 ) レトリックプランの 検 討 提 出 された 説 得 プランとアウトラインを 元 に, 学 習 者 と 一 緒 にその 検 討 に 入 る 作 文 やスピーチの 指 導 というと, 語 句 やスペリングを 直 して 暗 記 する 程 度 に 考 えられてきた しかし 仮 想 スピーチ 指 導 においては,この 計 画 に 多 くの 時 間 を 費 やす 仮 想 だから 何 が 出 てくるかわからない しかしだから いい 想 像 力 と 頭 の 訓 練 になる 教 師 うん,まず 説 得 者 は 旅 の 僧 か 架 空 の 君 にしたわけだね? 学 生 はい 教 師 コミュニケーションというものはどういう 空 間 で 成 立 するかは 様 々 だ 別 に 聞 き 手 と 正 面 に 向 き 合 って, 号 令 と 共 に 始 まるものばかりではな い ここでは 通 りかかって 後 ろから 輪 の 中 に 入 っていくという 場 面 だな 何 か 揉 め 事 ですかな というわけだね 学 生 イントロで 自 己 紹 介 をしているわけではないし, 語 り 手 の 持 つ 雰 囲 気 で 相 手 を 心 服 させるエトスは 使 えないですね

204 教 師 ウン,それはいいのだが, 本 体 で 君 は 聴 衆 にイスラム 人 とアメリカ 人 という 異 なる 文 化 圏 の 人 間 がいるのに 報 復 主 義 では 国 際 問 題 は 解 決 で きない 一 本 で 押 しているね 学 生 はい それが 言 いたいことです 教 師 あのね, 言 いたいことを 持 ちなさい ではないのだよ つまり 大 切 なのは 内 容 ではない ライティング/スピーキングはコミュニケー ション 的 に 言 えば, 君 が 何 を したいか なんだ あくまでもまず 目 的 ありきだ そこで,もし いがみ 合 いを 中 止 させるように 説 得 する とい うことが 最 終 目 的 だとした 場 合,いくら 自 分 が 言 いたいことが, 報 復 主 義 では 解 決 しない ということあっても,それを 伝 えて 相 手 が 動 かなけれ ば 何 もならない 学 生 聴 衆 分 析 をし, 相 手 によって 持 っていき 方 を 変 えるわけですね イ スラム 圏 とアメリカ 人 の 対 立 グループがいるので,それぞれのグループに 異 なる 説 得 法 で 語 りかけるという 形 をとる 教 師 そう そうすると 全 体 配 列 が 空 間 配 列 になるのかな 通 常, 空 間 配 列 といったら, 中 身 の 配 列 を 指 すが, 聞 き 手 の 並 びから 生 まれる 配 列 というわけだね 学 生 はい 教 師 それはいいのだけれどね 君 のプランは, 全 体 の 配 列 は 問 題 解 決 配 列 で 現 状 や 弊 害 や 原 因 を 長 々と 話 してしまうことになる そして 解 決 法 は 報 復 主 義 ではだめ 一 本 だ だから 問 題 解 決 配 列 がいい 選 択 かどうか ここ は 双 方 の 言 い 分 を 聞 きだす まとめる 判 断 する 根 拠 を 示 す という 配 列 にしたらどうか 学 生 そうですね それからどういうようにもっていったらいいのかです ね 教 師 イスラム 圏 の 人 々は, アメリカ 人 = 殺 人 者,ゆえに 報 復 せよ こ れを A でまとめるよね B で,あなたがたの 解 決 法 は 同 じ 罪 を 犯 すこと になるから 無 効 であると 否 定 する その 理 由 を 説 明 するところで,たとえ ば,このグループに 対 してはロゴス 的 説 得 というより,パトスの 帰 属 的 欲

205 求 充 足 の 危 機 感 をあおる 形 で 持 っていったほうが 説 得 力 があるかもしれな い 学 生 具 体 的 にはどんな 内 容 が 考 えられるでしょうか 教 師 報 復 主 義 を 思 いとどまらせるためにはとして,1,あなたがたイス ラム 教 徒 の 弱 者 に 対 するいたわりの 念 はことさらに 強 い 旅 行 者 も 弱 者 で 困 っていると 手 を 差 し 伸 べるという だから, 相 手 がどんな 大 義 名 分 があ ろうと 多 くの 女 性 や 子 供 が 大 量 に 殺 戮 されるということは,あなたがたに とって 震 えるほど 悲 しく, 世 界 中 のいかなるところに 散 らばっていようと も 燎 原 の 火 のごとく 沸 きあがる 怒 りの 炎 が 強 烈 な 結 束 力 を 生 むという 文 化 であったはずだ,ということを 思 い 出 させるなどかな さらに 2 として, そこにある 立 て 看 板 の, 親 を 無 くした 子 供 の 写 真 を 見 て 涙 ぐんでいたようだが,これは 自 分 の 子 供 とダブらせたからなのでは ないか などと と 持 っていくこともできる この 感 覚 の 根 底 には, 敵 味 方 の 二 元 対 立 ではなく, 敵 も 味 方,という 多 即 一 の 東 洋 的 発 想 が 説 得 者 の 心 にある 学 生 そこでアメリカ 側 への 説 得 はロゴスで 行 きましょうか 教 師 Ⅱの A で, 自 分 達 は 善 を 施 そうとしているのに 感 謝 されないと いうアメリカ 側 の 言 い 分 を 確 認 する 次 に B で, 解 決 法 について, 空 即 是 色,すなわち 心 が, 現 実 を 生 み 出 していく 例 として, 黒 白 の 二 元 論 は,ともすると, 存 在 しもしない 敵 をつくってきてしまったということで 学 生 先 生 がお 得 意 の 月 を 取 るか 私 を 取 るかと 男 性 に 迫 った 為 に 関 係 が 破 綻 した 話 とか 教 師 そうそう そして バグダッドの 壁 の 二 つの 話 をあげたりして, ある 程 度 の 共 感 を 得 るように 持 っていった 方 がいいかもしれない 学 生 ことさらに 敵 対 感 情 ほどのものはなかったスーニン 派 とシリア 派 が, 実 際 の 壁 を 作 られたためにいがみ 合 うようになってしまったという 皮 肉 な 話 ですね でもこのエピソードは, 聞 き 手 がインテリと 見 込 んでの 知 に 訴 えてのロゴス 的 アプローチのようですね

206 学 生 語 り 手 は,イントロで, 自 己 紹 介 している 間 もないので, 語 り 手 の 持 つ 属 性 で 相 手 を 心 服 させるエトスはあまり 使 えないですね 教 師 あえて 身 分 を 隠 して, 後 で 明 かすという 場 面 を 考 えればエトスはむ しろ 増 大 するかもしれないね 水 戸 黄 門 みたいに 笑 まず 全 体 の 配 列 はどうなるかな 意 味 と 機 能 は 与 えられるもの 教 師 そうだね ところが,ここに 実 にコミュニケーション 的 な 視 点 から 面 白 い 問 題 がある 学 生 何 でしょうか 教 師 聴 衆 が 二 分 されているとはいえ,それぞれ 相 手 側 への 語 り 掛 けは 聞 き 取 れる 場 所 にいるわけだよね 学 生 密 談 ではないですからね 教 師 ということは,アメリカ 人 にはロゴス 的 説 得 材 料 として 機 能 させる つもりで 持 ち 出 した 月 とバグダッドの 壁 の 話 が, 僧 が 諄 々と 説 得 してくれ ているという 事 実 がイスラム 学 生 にとっては 強 い 味 方 がいると 映 り, 彼 ら の 名 誉, 自 尊 心 などを 心 地 よく 刺 激 したとしたら,それはパトス 的 説 得 と しても 機 能 したということになる 学 生 なるほど しかも, 諄 々と 諭 す, 日 本 人 の 姿 が, 尊 敬 の 念 を 持 って 受 け 止 められ, 騒 ぎが 収 まったとしたら,エトス 的 説 得 の 機 能 すら 持 った ということになるでしょうね 教 師 これがコミュニケーション 学 における 言 語 パロール 観 なのだ たと えば,マスコミなどは, 近 江 は ATM から 二 十 万 円 引 き 出 していること が 判 明 した と 言 うことで 情 報 伝 達 以 上 の 機 能 を 被 せることも 出 来 るし,そうでなくても 聞 いている 側 がそれを 読 み 取 ってしまうなどとい うことはよくあることだ 学 生 ここでは,だからアメリカン 人 にはロゴス 的 説 得 のつもりで 話 した のに,パトス 的 な 説 得 効 果 を, 片 側 で 聞 いているイスラム 側 が 読 み 取 るこ ともあるわけですね

207 仮 面 をはずせばガンジーが 学 生 すると 結 論 はどうなるでしょうかね 教 師 結 論 では, 通 常 は, 本 体 で 述 べたこと 以 上 の 新 しいことを 言 わない 本 体 で 述 べたことのまとめ,あるいは 特 に 重 要 と 思 われる 点 の 再 度 のア ピールであるのがスマートな 形 だ ただ, 旅 の 僧 は, 改 めて 結 論 めいた 説 教 をするつもりはなかったのだが, 帰 ろうとしたところに, 身 内 が 殺 さ れたがどうするか と 詰 め 寄 られた そこで 仮 面 を 脱 いだ 僧 は,ガンジー の 姿 に 立 ち 返 る そして,すでに 本 体 で 述 べた 二 元 論 的 発 想 の 危 険 性 につ いて 再 アピールをする 例 えば, 世 界 には 親 を 亡 くした 子 であふれてい る その 中 の 一 人 を 選 べ 但 し,アメリカ 人 ではなくイラク 人 の 一 人 を 選 べ そしてわが 子 として 育 てよ! これを 急 遽, 結 論 として 機 能 させるというのはどうだろう 学 生 なるほど 多 即 一, 敵 味 方 はないという 考 えですね ガンジーが 生 前 言 ったというヒンズー 教 とイスラム 教 徒 の 争 いのあるエピソードの 再 現 と 同 じ 展 開 をするのですね 教 師 うん しかし 説 得 法 としては 大 きな 違 いがある 何 だろう 学 生 エトスとして 機 能 している 点 です 教 師 そうだ イスラムグループにはパトスで,アメリカグループにはロ ゴスで,そしてここにきて 仮 面 を 取 った 語 り 手 のガンジーのオーラ,おそ らくはこの 世 のものではない 冷 気 が 周 囲 を 圧 倒 している 学 生 案 を 修 正 してきます 大 切 なことは,この 問 題 の 真 の 解 決 法 を 目 指 すなどという 大 それたこと は 考 えてはいないということである あくまでも 目 的 を 持 った 文 章 を 書 く / 語 る 訓 練 である 学 生 もそこがもっとも 楽 しいところだと 感 じている 今 どきの 学 生 が, 深 いですね などとため 息 をついたりする むつ かしさがわかるだけでも 意 味 がある

208 第 三 段 階 修 正 案 を 確 認 し, 全 文 式 アウトライン 方 式 で 英 文 を 書 かせる オーラルインタープリテーションなどからの 言 語 入 力 を 活 用 して プランが 出 来 たら, 英 文 を 書 き 始 めさせる だが 全 文 のべた 打 ちはさせ ない スピーチの 訓 練 で 使 う 全 文 式 アウトラインで 書 き 出 させる つまり 全 体 を 以 下 の 例 のようにⅠⅡⅢ,ABC,123 abc とずらしを 入 れて 書 かせる アメリカのスピーチ 指 導 でも 一 般 的 な 方 法 である 2) これは 単 なる 形 式 を 教 えているのではない 行 き 所 のない 浮 遊 文 をつくらない ためにということと, 思 考 を 整 理 し, 全 体 のレイアアウトを 意 識 させる 日 本 人 にとっては 非 常 に 有 効 な 訓 練 である 実 際 に 英 文 を 書 く 段 になったとき, 例 の 和 文 英 訳 方 式 で 無 から 置 き 換 え る 習 慣 は 思 い 切 って 断 ち 切 らせる しかも,ここでは 仮 想 である 当 然 多 用 な 表 現 法 が 想 定 される 和 訳 などではそもそも 追 いつかない ではどう するのか 答 えは,いうまでもなくここまでオーラル インタープリテー ションなどを 通 してすり 刷 り 込 んできた,いわば 体 内 に 作 り 置 きしてある 英 文, 口 をついて 出 てくるくらいになっている 語 群 を 縦 横 に 注 入 させるこ とである 実 際 のコミュニケーションは,ここまで 意 図 的 ではない これ はあくまでも 訓 練 であるから 衒 うことなくどんどん 行 う 教 師 による 英 語 の 直 しを 入 れるのだったらこの 段 階 であるが,あまり 手 を 入 れることがない 程 度 になっているのが 望 ましい The Mind Produces Reality, which in turn Affects the Mind WHO: a stranger hiding his identity (GANDHI reincarnated) TO WHOM: a group of young adults from the Islamic world and Americans, some of whom have lost their loved ones on 9/11. WHERE: a city auditorium in Philadelphia Specific Purpose: to pacify both groups getting riled up toward an eye for an eye syndrome and to subtly remind them that evils are caused by their state of mind

209 説 得 プラン: 全 体 配 列 としては 空 間 配 列 同 時 に 状 況 説 明 希 求 判 断 と 根 拠 説 得 は 被 説 得 者 イスラムグループにはパトス,ア メリカ 人 に 対 してはロゴス 的 説 得 ) 図 らずもエトスが 発 揮 される 箇 所 は CONCLUSION として INTRODUCTION Hey! Hey! Calm down. Whoever you are, can t you talk more sensibly? I wonder if you don t mind telling me just what this is all about, each one of you. Who am I? Oh, I m just a traveling monk. BODY Ⅰ( 激 昂 気 味 のイスラム 圏 の 人 々に 対 して) A. ( 相 手 の 言 い 分 確 認 )I see. You say Americans re a bunch of murderers... Wow... that they kill women and children without blinking, bomb mosques and piss on the Koran, uh, hum, I see...and you re taking revenge on them. I see... B. (その 解 決 法 ではダメ) Don t you realize, though, that you would be committing the same sin by venting your anger that way? Pardon? You don t care? No, I don t think that s true. You DO care, because I know you people well enough that that s not what you really want to do. ( 理 由 ) 1 It is said that the people from the Islamic world, if there is anything that hurts them, it is to see women and children physically hurt. And if you see any sign of it, wherever you happen to be on this globe, automatically all will become united, 2 Also,(たて 看 板 の 写 真 を 指 しながら)for example, you were

210 shedding tears a while ago as you were looking at these photographs of children crying. Why? Because you must ve imagined hearing from these silent pictures the cry of your own children who have lost you! Yes, they could ve been your own children! Then how would you feel if the same kind of tragedy was brought about by your own actions? That is the last thing you d want to see, isn t it? Ⅱ ( 同 じく 興 奮 しているアメリカ 人 の 若 者 たちに) A.( 相 手 の 言 い 分 確 認 ) What do YOU say? I see, you say Americans have been going all over to restore peace and liberate the Iraqis and why do you always get unappreciated. B.(その 解 決 法 は 無 効 である 理 由 ) Man has no control over his soul, but he does have control over his mind. That s the good thing about being born as flesh and blood in this life. Your mind shapes the form, which in turns affects your mind, the principle of shiki-soku-zeku. A poor mind produces a poor reality! And in the case of America, history shows that the A or B dichotomy has given rise to God knows how many conflicts in the past, where they really didn t have to exist. 1 An American woman while dating in a park said to her Japanese boy friend, who was looking up at the moon. You re just looking at the moon. Don t you like me? Which would you pick, the moon or me and the couple broke up when they didn t have to. The couple broke up, because of her imaginary enemy that she had made up in her mind. 2 A recent example. In an attempt to alleviate the ill-feelings between he Sunnis and Shia, America built an actual wall in the city of Bagdad separating them, but what happened? Well, ironically the wall only served to aggravate the ill-feelings between the two parties to develop

211 into real hatred. CONCLUSION ( 話 の 内 容 を 理 解 したのかしなかったのか 群 集 私 の 子 供 は 9 11 で 殺 された どうしてこの 怒 りを 抑 えることができようか と 詰 め 寄 ってきたの 見 て, 仮 面 を 脱 ぎ 捨 てガンジーの 姿 になる) The world is filled with children who have lost their parents. Pick one of them and raise him as your own child. Only remember one thing, don t pick an American,pick an Islamic child! 第 四 段 階 空 間 の 中 で 声 に 出 し, 実 演 し, 確 かめさせる 作 文 /スピーチ 出 来 たからいよいよ, 表 現 領 域 に 足 を 踏 み 入 れると 考 え るのは 正 しくない なぜなら 第 三 段 階 までは 説 得 プランを 考 え 抜 いたとは 3) いえ,それはあくまでも 机 上 においてであるからだ いわゆる 河 川 敷 目 線 では 乗 車 感 覚 を 想 像 しても 実 際 には 車 に 乗 っていないから 未 知 である こ の 段 階 は 声 に 出 させ 空 間 も 確 認 する ここで 口 調 を 整 えたり, 表 現 を 変 えたりする 音 声 化 自 体 が 目 的 ではない 通 常 の 文 章 であってもこのこと は 当 てはまる 語 り 手 の 立 ち 位 置 も 説 得 要 素 のひとつ 先 に,もうひとつ 重 大 な 説 得 要 素 があると 述 べた それは 説 得 相 手 とど こで 対 峙 するか, 相 手 側 の 陣 営 か,こちら 側 か,あるいは 中 間 地 帯 である かなどの 空 間 の 問 題 である 例 でいえば, 説 得 者 は 敵 味 方 に 分 断 されたか に 見 えるグループを 目 の 前 にしてアメリカ 側 に 立 つのか,イスラム 側 に 立 つのか その 中 間 に 立 つのかである 比 喩 ではない 今 まさに 話 そうとし ている 実 際 の 空 間 のどこに 身 を 置 くかという 問 題 である これによって 説 得 効 果 が 著 しく 違 ってくる 説 得 プランの 中 に, どこから を 加 え,その 縛 りの 中 でプランを 考 え

212 ることもいい 訓 練 になるが, 経 験 的 には,この 部 分 はあえて 計 画 段 階 では 触 れずに, 実 際 に 話 す 段 になって, 即 興 的 に, 目 的 達 成 のために 最 適 の 身 の 処 し 方 を 考 えさせたほうがおもしろい 第 五 段 階 エクステンポラニアス スピーキングで 発 表 を 仮 に 作 文 でも,ここまで 来 たらそれだけで 終 わらせるのはもったいな い 文 章 が 本 来 意 図 されていた 相 手 と,しかるべき 空 間 を 想 像 して 劇 のよ うに 発 表 させる 何 度 も 練 習 し, 即 興, 暗 記, 朗 読 を 使 い 分 けて 話 ができ るようにしておく ものによってはメモカードだけは 持 たせる 先 の 推 敲 目 的 はまだ 生 きている しかし,この 最 終 的 な 発 表 に 至 る 追 い 込 みのとこ ろで, 過 去 の 入 力 と 今 回 加 わった 部 分 が 一 緒 になって, 新 たなる 表 現 群 と して 身 体 に 保 存 されていくことが 期 待 できる ちなみに, 聞 き 手 からの 質 問 などに 対 するアドリブによる 言 葉 が 加 わる と, 連 続 的 にまとまったことを 喋 っているその 様 子 は 非 常 に 高 度 な 英 会 話 の 様 相 をすでに 示 している エクステンポラニアススピーチ

213 結 び ありえない 場 面 設 定 と 言 われそうである だからいい 訓 練 になっている 大 切 なことは 非 現 実 であるかどうかではない 真 実 であるか 美 であるか だ 怠 惰 な 現 実 より 虚 構 の 中 の 真 実 である 現 実 の 足 枷 を 取 っ 払 うからこ そ, 自 由 に 知 性, 感 性 を 発 揮 できる そもそも 目 的 と 目 的 を 達 成 させる 訓 練 は 違 う 今 日, 教 育 全 体 が, 日 常 にどう 対 応 させるかだけに 関 心 が 向 いている しかしこれが 誤 りであることは,マニュアル, 紋 切 り 型 でしか 対 応 できな い 人 間 が 排 出 されていることでわかる ことばの 教 育 は, 学 習 者 の 学 力 低 下 を 言 い 訳 に, 好 きなように 書 かせ, 好 きなように 話 させる 馴 れ 合 いの 時 間 にならないように 心 がけることが 大 切 である 現 実 対 応 はもちろん 大 切 だが, 骨 太 な 訓 練 を 与 え 続 けていけば, 日 常 対 応 はおろか, 日 本 人 として 国 際 社 会 において 様 々なコミュニケー ション 目 的 を 達 成 するスピーキング ライティングの 力 は 培 われていく オーラル インタープリテーションから 仮 想 レトリカルスピーチ 訓 練 への 一 連 の 訓 練 が,その 中 核 的 なものとして 機 能 することは 確 かである 注 1 ) 三 森 ゆりか(つくば 言 語 教 育 研 究 所 主 宰 )が,2006 年 6 月, 桜 美 林 大 学 で 行 われた 日 本 コミュニケーション 学 会 第 36 回 年 次 大 会 の 開 催 校 シンポジウムで 発 した 言 葉 2 ) 全 文 式 アウトラインが, 一 般 的 に 使 用 されている 例 として,James R. Andrews の Public Speaking, Principles Into Practice[MACMILLAN, New York, 1987]がある 3 ) 河 川 敷 目 線 は 乗 客 目 線, 運 転 手 目 線 らと 共 に, 文 章 に 内 在 する 目 線 であると 同 時 に, 解 釈 自 身 が 実 際 にその 立 場 に 身 をおいてみるべきものとして 筆 者 が 提 案 しはじめた 第 38 回 年 次 大 会 シンポジウム(Human Communication Studies, 日 本 コミュケーション 学 会,p. 27Volume 37 2009 収 録 )