海洋安全保障情報月報 2012年3月号

Similar documents

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

岡山県警察用航空機の運用等に関する訓令

1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

Taro-契約条項(全部)

スライド 1

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

航空隊及び教育航空隊の編制に関する訓令


<947A957A8E9197BF C E786C73>

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

Taro-条文.jtd

●電力自由化推進法案

Taro-29職員退職手当支給規程

した 開 示 決 定 等 に 当 たっては, 法 11 条 を 適 用 して, 平 成 23 年 5 月 13 日 まで 開 示 決 定 等 の 期 限 を 延 長 し, 同 年 4 月 11 日 付 け 防 官 文 第 号 により,1 枚 目 を 一 部 開 示 した そして, 同 年

弁護士報酬規定(抜粋)

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

航空隊等の内部組織に関する達

Microsoft PowerPoint - 基金制度

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

参 考 改 正 災 害 対 策 基 本 法 1 ( 災 害 時 における 車 両 の 移 動 等 ) 第 七 十 六 条 の 六 道 路 管 理 者 は その 管 理 する 道 路 の 存 する 都 道 府 県 又 はこれに 隣 接 し 若 しくは 近 接 する 都 道 府 県 の 地 域 に 係

< F2D926E88E6895E977089DB81608E528CFB8CA78C788E4082CC8D71>

< F2D AFA CD90AE94F58C7689E62E6A7464>

< F2D D D837C815B B8EC08E7B97768D80>

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

別紙3

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

の 購 入 費 又 は 賃 借 料 (2) 専 用 ポール 等 機 器 の 設 置 工 事 費 (3) ケーブル 設 置 工 事 費 (4) 防 犯 カメラの 設 置 を 示 す 看 板 等 の 設 置 費 (5) その 他 設 置 に 必 要 な 経 費 ( 補 助 金 の 額 ) 第 6 条 補

Microsoft Word - H24様式(那珂市版).doc

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

Microsoft Word 第1章 定款.doc

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

18 国立高等専門学校機構

〔自 衛 隊〕

住み慣れたこの町で最期まで 安心して暮らすために

文化政策情報システムの運用等

などは 別 の 事 業 所 とせず その 高 等 学 校 に 含 めて 調 査 した 5 調 査 事 項 単 独 事 業 所 調 査 票 全 産 業 共 通 事 項 ( 単 独 事 業 所 ) ア 名 称 及 び 電 話 番 号 イ 所 在 地 ウ 経 営 組 織 ( 協 同 組 合 においては 協

Microsoft PowerPoint 資料6 技術基準.ppt [互換モード]

市街化区域と市街化調整区域との区分

【労働保険事務組合事務処理規約】

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

定款

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

もの( 交 通 事 故 事 件 に 係 るものを 除 く ) 3 重 大 な 交 通 事 故 事 件 とは 次 に 掲 げる 交 通 事 故 事 件 をいう (1) 死 亡 ひき 逃 げ 事 件 車 両 等 の 交 通 により 人 が 死 亡 した 場 合 において 道 路 交 通 法 ( 昭 和

(Microsoft Word - \203A \225\345\217W\227v\227\314 .doc)

honbu-38H06_kunrei31

第 4 条 (1) 使 用 者 は 2 年 を 超 えない 範 囲 内 で( 期 間 制 勤 労 契 約 の 反 復 更 新 等 の 場 合 は その 継 続 勤 労 した 総 期 間 が2 年 を 超 えない 範 囲 内 で) 期 間 制 勤 労 者 を 使 用 することができる ただ し 次 の

・モニター広告運営事業仕様書

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

公表表紙

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

1 予 算 の 姿 ( 平 成 25 当 初 予 算 ) 長 野 県 財 政 の 状 況 H 現 在 長 野 県 の 予 算 を 歳 入 面 から 見 ると 自 主 財 源 の 根 幹 である 県 税 が 全 体 の5 分 の1 程 度 しかなく 地 方 交 付 税 や 国 庫 支

Taro-01 議案概要.jtd


< F2D AFA CD90AE94F58C7689E62E6A7464>

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

目 次 第 1. 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 等 1 (1) 土 区 画 整 理 事 業 の 名 称 1 (2) 施 行 者 の 名 称 1 第 2. 施 行 区 1 (1) 施 行 区 の 位 置 1 (2) 施 行 区 位 置 図 1 (3) 施 行 区 の 区 域 1 (4) 施

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

目 次 第 1 章 総 則 第 1 節 計 画 の 目 的... 1 第 1 計 画 の 目 的 1 第 2 計 画 の 策 定 1 第 3 計 画 の 構 成 2 第 4 用 語 の 意 義 2 第 2 節 計 画 の 前 提 条 件... 3 第 1 自 然 条 件 3 第 2 社 会 条 件

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 級 の 給 料 月 額 最 高 号 級 の 給 料 月 額 1 級 ( 単 位 : ) 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 9 級 1 級 135,6 185,8 222,9 261,

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第081号.doc

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

現 行 工 業 地 域 準 工 業 地 域 商 業 地 域 近 隣 商 業 地 域 改 正 後 準 工 業 地 域 ( 特 別 業 務 地 区 ( 第 2 種 ) 及 び 指 定 集 積 区 域 を 除 く) 近 隣 商 業 地 域 2 / 7

スライド 1

Microsoft Word - 目次.doc

4 松 山 市 暴 力 団 排 除 条 の 一 部 風 俗 営 業 等 の 規 制 及 び 業 務 の 適 正 化 等 に 関 する 法 律 等 の 改 正 に 伴 い, 公 共 工 事 から 排 除 する 対 象 者 の 拡 大 等 を 図 るものです 第 30 号 H H28.1

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

(15) 兵 庫 県 道 高 速 湾 岸 線 (16) 神 戸 市 道 高 速 道 路 2 号 線 (17) 兵 庫 県 道 高 速 北 神 戸 線 (18) 神 戸 市 道 高 速 道 路 北 神 戸 線 (19) 神 戸 市 道 高 速 道 路 湾 岸 線 のうち 上 り 線 については 神 戸

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ


6. 概 要 コメント 本 法 は 社 会 保 険 関 係 を 規 範 化 し 公 民 の 社 会 保 険 への 参 加 社 会 保 険 待 遇 を 享 受 す る 権 益 を 保 護 し 公 民 に 国 家 発 展 の 成 果 を 共 同 で 享 受 させ 社 会 の 調 和 と 安 定 を 促

m07 北見工業大学 様式①

< F2D E633368D86816A89EF8C768E9696B18EE688B5>

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

Microsoft Word - 07②-2 補足説明資料1.docx

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

 三郷市市街化調整区域の整備及び保全の方針(案)

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

平成24年度開設予定大学院等一覧(判定を「不可」とするもの)

資料6 国の行政機関等における法曹有資格者の採用状況についての調査結果報告(平成27年10月実施分)(法務省提出資料)

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

Transcription:

本 月 報 は 公 表 された 情 報 を 執 筆 者 が 分 析 評 価 し 要 約 作 成 したものであり 情 報 源 を 括 弧 書 きで 表 記 すると 共 にインターネットによるリンク 先 を 掲 載 した リンク 先 URL はいずれも 2012 年 3 月 末 現 在 アクセス 可 能 なものである 編 集 者 : 秋 山 昌 廣 執 筆 者 : 秋 元 一 峰 上 野 英 詞 河 村 雅 美 酒 井 英 次 関 根 大 助 髙 田 祐 子 友 森 武 久 長 尾 賢 向 和 歌 奈 和 田 大 樹 本 書 の 無 断 転 載 複 写 複 製 を 禁 じます

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) 2012 年 3 月 の 主 要 事 象 海 洋 治 安 :3 月 はハイジャック 事 案 が 2 件 あった ソマリアの 海 賊 は 4 日 オマーン 沖 で パナマ 籍 船 でドバイの 船 社 所 有 のケミカルタンカー MT Royal Grace(6,813DWT)をハイジャックした ソマリアの 海 賊 は 26 日 モルディブの Hoarafush 島 北 西 沖 でイランの 船 社 所 有 のばら 積 み 船 MV Eglantine(63,400DWT)をハイジャックした ギリシャは 5 日 財 政 危 機 対 処 の 一 貫 として 経 費 節 減 のために EU 海 賊 対 処 艦 隊 から 自 国 戦 闘 艦 を 撤 退 させることになった ギリシャのフリゲート 1 隻 の 派 遣 費 用 は 1 カ 月 当 たり 250 万 ユーロで ある 一 方 EU 国 防 相 会 議 は 23 日 EU 艦 隊 の 海 賊 対 処 作 戦 Operation Atalanta を ソマリア 海 賊 の 陸 上 拠 点 にも 拡 大 するとともに Operation Atalanta を 2014 年 12 月 末 まで 更 に 2 年 間 延 長 することにも 合 意 した EU 艦 隊 旗 艦 でスペイン 海 軍 フリゲート ESPS Patino は 26 日 海 賊 行 為 を 働 いたと 見 られる イエメン 籍 船 のダウ 船 を 拿 捕 した EU 艦 隊 所 属 のフランス 海 軍 フリゲート FS Aconit は 27 日 ソマリア 沿 岸 沖 で 10 人 の 海 賊 襲 撃 グループを 拘 束 した 23 日 付 の AP 通 信 が 報 じるところによれば 民 間 警 備 会 社 は 洋 上 武 器 庫 を 利 用 して 武 器 を 保 管 している 洋 上 武 器 庫 を 利 用 する 船 舶 は 海 賊 多 発 海 域 に 入 る 前 に 武 器 庫 から 武 器 を 受 領 し 海 賊 多 発 海 域 を 抜 ければ 別 の 洋 上 武 器 庫 に 武 器 を 返 す 洋 上 武 器 庫 は 2011 年 頃 から 海 運 業 界 がソマ リアの 海 賊 対 処 のために 民 間 武 装 警 備 員 の 雇 用 を 増 やし 始 めた 状 況 下 で ビジネスとして 登 場 してき た 現 在 常 時 10 隻 から 12 隻 の 船 舶 が 洋 上 武 器 庫 として 運 用 されている インド ケララ 州 高 裁 は 29 日 イタリア 船 MV Enrica Lexie の 解 放 を 命 じた 該 船 は 添 乗 の イタリア 海 軍 武 装 警 備 員 は 2 月 15 日 にインド 人 漁 民 2 人 を 死 亡 させた 事 案 で 以 来 コーチ 港 に 拘 束 されていた 軍 事 動 向 : 英 国 防 省 が 2 日 に 明 らかにしたところによれば 英 海 軍 の 最 新 鋭 艦 HMS Daring が ス エズ 以 東 の 海 域 で 初 めての 実 働 任 務 に 参 加 する 同 艦 は 多 国 籍 海 軍 部 隊 CTF-150 に 所 属 して 紅 海 アデン 湾 及 びイエメン 沿 岸 沖 で 海 賊 密 輸 あるいは 不 法 移 民 などの 違 法 活 動 に 対 処 する 哨 戒 任 務 Operation SCIMITAR ANZAC に 参 加 する 3 日 付 けのインド 紙 Business Standard の 報 道 によれば インド 国 防 省 はこのほど 海 軍 が 求 め ているハイテク 通 常 型 潜 水 艦 を 建 造 するのに 必 要 なインフラと 能 力 を 保 有 していないとして 国 内 の 民 間 造 船 所 を 予 定 より 大 幅 に 遅 れている Project 75I 潜 水 艦 計 画 から 閉 め 出 した Project 75I 潜 水 艦 は 6 隻 建 造 されることになっているが 最 初 の 2 隻 が 海 外 の 造 船 所 で 残 りの 4 隻 が 国 内 の 海 軍 工 廠 とで 建 造 されることになる 中 国 の 全 国 人 民 代 表 大 会 の 李 肇 星 報 道 官 は 4 日 の 記 者 会 見 で 中 国 の 2012 年 度 軍 事 支 出 が 前 年 比 11.2% 増 の 6,700 億 元 (1,060 億 米 ドル)になることを 明 らかにした 米 ドル 換 算 で 1,000 億 ドル を 超 えるのは 初 めてである 12 日 付 けの 人 民 日 報 が 報 じるところによれば 中 国 海 軍 の 徐 洪 猛 副 司 令 員 は 解 放 軍 は 空 母 ワリヤーグ を 2012 年 中 に 就 役 させる 計 画 である と 語 った 英 国 の 国 際 戦 略 研 究 所 (IISS)のチップマン 所 長 7 日 中 国 が 引 っ 張 る 2012 年 のアジア 諸 国 の 軍 事 支 出 は 経 済 成 長 と 戦 略 環 境 の 不 安 定 化 を 背 景 に 急 増 しており 初 めて 欧 州 のそれを 上 回 る 見 込 みである と 語 った 19 日 付 けのトルコ 紙 Hurriyet News が 報 じるところによれば 韓 国 の 大 宇 造 船 海 洋 (DSME) 1

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) は 2011 年 12 月 22 日 U209 潜 水 艦 3 隻 を 11 億 米 ドルで 建 造 する 契 約 をインドネシアとの 間 で 結 ん だが 契 約 価 格 が 低 すぎるとして 一 方 的 に 総 額 14 億 米 ドルに 増 額 したことから 同 国 の 次 期 潜 水 艦 として ドイツ トルコ 共 同 開 発 の U209 潜 水 艦 が 再 浮 上 するかもしれないという トルコ 調 達 庁 高 官 によれば ドイツ トルコ 共 同 企 業 体 は 2 月 7 日 インドネシアに 新 たなオファーを 提 示 し 現 在 返 事 待 ちという 27 日 付 の 米 紙 The Washington Post によれば 米 豪 両 国 は インド 洋 のオーストラリア 領 ココス 諸 島 に 高 々 度 無 人 偵 察 機 Global Hawk の 新 たな 拠 点 とする 可 能 性 を 含 め 両 国 の 軍 事 協 力 の 大 幅 な 拡 大 に 向 けた 協 議 を 進 めている インドネシアは 米 国 がココス 諸 島 への 無 人 機 配 備 を 計 画 しているこ とに 対 して インドネシアの 主 権 を 侵 害 するものとする 抗 議 書 を 米 豪 両 国 政 府 に 対 して 送 付 した 南 シナ 海 関 連 事 象 :ベトナム 海 軍 は 1 日 3 隻 の 新 型 哨 戒 艦 を 就 役 させた 5 日 付 け 新 華 社 の 報 道 によれば 陳 明 義 中 国 人 民 政 治 協 商 会 議 常 務 委 員 ( 前 福 建 省 党 書 記 )はこ のほど 中 国 の 海 洋 法 令 執 行 能 力 を 強 化 し 海 洋 資 源 開 発 を 活 発 化 するために 海 洋 部 ( 省 ) の 早 期 創 設 を 政 府 に 提 案 した 中 国 軍 事 科 学 院 の 羅 援 少 将 は 南 シナ 海 における 領 有 権 主 張 を 裏 付 ける ために 国 家 沿 岸 警 備 隊 の 創 設 島 嶼 への 駐 留 部 隊 の 増 強 更 には 漁 業 会 社 や 石 油 開 発 会 社 に 対 して 周 辺 海 域 における 商 業 活 動 の 活 発 化 を 提 案 した 外 交 国 際 関 係 : 韓 国 の 国 土 海 洋 部 当 局 者 は 13 日 中 国 漁 民 の 不 法 操 業 に 海 洋 警 察 が 迅 速 に 対 処 で きるようにするため 仁 川 沖 合 180 キロにある 白 翎 島 と 南 西 の 木 浦 沖 合 90 キロの 黒 山 島 の 2 カ 所 に 前 進 拠 点 を 建 設 することを 明 らかにした 一 方 韓 国 の 農 林 水 産 食 品 部 は 7 日 韓 国 の 領 海 および EEZ 内 における 中 国 漁 民 の 不 法 操 業 を 効 果 的 に 監 視 できるハイテク 巡 視 船 の 就 役 式 典 を 釜 山 港 で 行 った この 巡 視 船 は 国 花 の 名 を 冠 した 1,258 トンのハイテク 装 備 の 無 窮 花 I (Mugunghwa I) で 現 有 巡 視 船 の 多 くが 装 備 していない 電 子 海 図 表 示 装 置 自 動 操 縦 装 置 暗 視 カメラを 備 え 最 高 時 速 17 ノットで 航 行 できる 14 日 付 けの 米 紙 The Wall Street Journal は 東 シナ 海 の 暗 礁 を 巡 る 中 国 と 韓 国 の 海 洋 境 界 争 い を 報 じている 争 点 となっている 東 シナ 海 の 暗 礁 は 韓 国 名 離 於 島 中 国 名 を 蘇 岩 礁 と 言 い 海 面 下 4~5 メートルにある 中 韓 両 国 の EEZ は 重 複 しており 両 国 は 離 於 島 / 蘇 岩 礁 を 自 国 の EEZ 内 に あると 主 張 してきた 両 国 はこれまで 16 回 の 海 洋 境 界 画 定 交 渉 を 行 ってきたが 合 意 には 至 ってい ない 国 際 海 洋 法 裁 判 所 (The International Tribunal for the Law of the Sea: ITLOS)は 14 日 ベン ガル 湾 のバングラデシュ ミャンマー 間 海 洋 境 界 画 定 紛 争 に 関 して 判 決 を 下 した この 海 洋 境 界 画 定 紛 争 に 関 する 初 めての ITLOS の 判 決 について シンガポールのシンクタンク The S. Rajaratnam School of International Studies(RSIS)の 顧 問 サム ベートマンは 20 日 付 けの RSIS Commentaries に Solving Maritime Disputes: The Bangladesh-Myanmar Way と 題 する 論 説 を 寄 稿 し 両 国 間 の 紛 争 が 平 和 的 に 解 決 されたが この 判 決 は 必 ずしも 他 の 紛 争 解 決 の 先 例 とは ならないと 指 摘 している 海 運 造 船 港 湾 : 商 船 三 井 の 9 日 付 プレスリリースによれば 2009 年 に 国 土 交 通 省 の 船 舶 から の CO2 削 減 技 術 開 発 支 援 事 業 に 採 択 された 同 社 の 停 泊 中 ゼロエミッションを 目 指 したハイブリッ ド 自 動 車 船 は 9 日 Emerald Ace と 命 名 され 三 菱 重 工 神 戸 造 船 所 において 進 水 した 2

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) 海 洋 資 源 エネルギー 海 洋 環 境 その 他 :3 日 付 AP は 米 海 軍 の 老 朽 艦 撃 沈 処 理 が 海 洋 環 境 に 及 ぼす 影 響 について (1) 海 軍 は 撃 沈 処 理 を"Sinkex" 計 画 として 実 弾 射 撃 演 習 と 兵 器 の 攻 撃 効 果 を 実 見 する 重 要 な 国 家 安 全 保 障 上 の 任 務 と 位 置 づけてきた (2)しかし 海 軍 は 一 方 で 軍 事 訓 練 の 要 請 と 海 洋 環 境 への 配 慮 との 間 で 苦 慮 してきた と 報 じている 情 報 分 析 : 米 国 コロラド 州 のシンクタンク The One Earth Future Foundation によるプロジェク ト Oceans Beyond Piracy は 2 月 8 日 ソマリアの 海 賊 が 世 界 経 済 に 与 えるインパクトに 関 する 報 告 書 The Economic Cost of Somali Piracy 2011 を 公 表 した( 以 下 報 告 書 ) それによると ソ マリアの 海 賊 が 世 界 経 済 に 与 えるインパクトの 80%が 海 運 業 界 の 負 担 になっており 残 りの 20%が 各 国 政 府 の 海 賊 対 処 費 用 となっている 報 告 書 の 見 積 もりでは その 総 額 は 66 億 ~69 億 ドル( 金 額 は 推 定 単 位 は 米 ドル)に 達 すると 見 られる 報 告 書 は ソマリアの 海 賊 が 世 界 経 済 に 与 えるイ ンパクトを 見 積 もるに 当 たって 9 つのコスト 要 因 を 取 り 上 げ 各 種 の 資 料 を 総 合 してそれらに 関 わ る 費 用 を 見 積 もっている 情 報 分 析 では 各 要 因 の 費 用 見 積 りを 紹 介 した 3

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) 1. 情 報 要 約 1.1 海 洋 治 安 3 月 4 日 ソマリアの 海 賊 パナマ 籍 船 タンカーをハイジャック (gcaptain, March 5, 2012) ソマリアの 海 賊 は 4 日 オマーン 沖 で パナマ 籍 船 でドバイの 船 社 所 有 のケミカルタンカー MT Royal Grace(6,813DWT)をハイジャックした 記 事 要 旨 :ソマリアの 海 賊 は 4 日 オマーン 沖 で パナマ 籍 船 でドバイの 船 社 所 有 のケミカルタン カー MT Royal Grace(6,813DWT)をハイジャックした 該 船 の 乗 組 員 は インド 人 パキスタ ン 人 およびナイジェリア 人 の 22 人 である 記 事 参 照 :Pirates Hijack Chemical Tanker off Oman http://gcaptain.com/pirates-hijack-chemical-tanker/?41571 3 月 5 日 ギリシャ EU 海 賊 対 処 艦 隊 から 撤 退 (Reuters, March 5, 2012) ギリシャは 5 日 財 政 危 機 対 処 の 一 貫 として 経 費 節 減 のために EU 海 賊 対 処 艦 隊 から 自 国 戦 闘 艦 を 撤 退 させることになった ギリシャのフリゲート 1 隻 の 派 遣 費 用 は 1 カ 月 当 たり 250 万 ユーロで ある 記 事 要 旨 :ギリシャは 5 日 財 政 危 機 対 処 の 一 貫 として 経 費 節 減 のために EU 海 賊 対 処 艦 隊 から 自 国 戦 闘 艦 を 撤 退 させることになった ギリシャは 戦 後 最 悪 の 財 政 危 機 のため 2012 年 度 国 防 予 算 を 4 億 ユーロ 削 減 する 国 防 省 によれば ギリシャが EU 艦 隊 に 派 遣 しているフリゲートは 当 初 予 定 の 4 月 4 日 から 3 月 8 日 に 帰 国 し その 後 2012 年 下 半 期 は 海 賊 対 処 活 動 に 参 加 しない ギリシ ャのフリゲート 1 隻 の 派 遣 費 用 は 1 カ 月 当 たり 250 万 ユーロである ギリシャは 2008 年 から 始 まった EU 艦 隊 による "Operation Atalanta" に フランス イタリア ドイツ 及 び 英 国 と 共 に 最 初 からの 参 加 国 であった 記 事 参 照 :Greece pulls out from EU anti-piracy force due to crisis http://af.reuters.com/article/somalianews/idafl5e8e59md20120305 3 月 7 日 米 海 賊 容 疑 者 をセイシェルに 引 き 渡 し (Reuters, March 7, 2012 米 国 は 7 日 15 人 の 海 賊 容 疑 者 を 裁 判 のためセイシェルに 引 き 渡 した この 15 人 は 米 海 軍 戦 闘 艦 が 2012 年 1 月 にアラビア 海 で 海 賊 の 人 質 になっていたイラン 人 漁 民 13 人 を 救 出 したときに 拘 束 され た セイシェルでは 現 在 66 人 が 有 罪 判 決 を 受 けて 収 監 されており 他 に 37 人 が 勾 留 されている 記 事 要 旨 : 米 国 は 7 日 15 人 の 海 賊 容 疑 者 を 裁 判 のためセイシェルに 引 き 渡 した 海 賊 容 疑 者 を 起 訴 するために 引 受 先 を 捜 すのが 困 難 で 容 疑 者 は 拘 束 されてもしばしば 解 放 されている セイシェ ルは 2011 年 に 法 律 を 改 正 し 領 海 外 で 拘 束 した 海 賊 容 疑 者 でも 起 訴 できるようになった 米 国 務 省 によれば この 15 人 は 米 海 軍 戦 闘 艦 が 2012 年 1 月 にアラビア 海 で 海 賊 の 人 質 になっていたイラ ン 人 漁 民 13 人 を 救 出 したときに 拘 束 された ( 本 件 事 案 については OPRF 海 洋 安 全 保 障 情 報 月 報 2012 年 1 月 号 1.1 海 洋 治 安 参 照 )セイシェル 当 局 によれば 同 国 では 現 在 66 人 が 有 罪 判 決 を 受 け て 収 監 されており 他 に 37 人 が 勾 留 されている 4

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) 記 事 参 照 :U.S. hands pirate suspects to Seychelles for trial http://www.reuters.com/article/2012/03/07/somalia-piracy-seychelles-idusl5e8e76 9P20120307 3 月 23 日 民 間 警 備 会 社 洋 上 武 器 庫 を 利 用 (AP, March 23, 2012) 23 日 付 の AP 通 信 が 報 じるところによれば 民 間 警 備 会 社 は 洋 上 武 器 庫 を 利 用 して 武 器 を 保 管 している 洋 上 武 器 庫 を 利 用 する 船 舶 は 海 賊 多 発 海 域 に 入 る 前 に 武 器 庫 から 武 器 を 受 領 し 海 賊 多 発 海 域 を 抜 ければ 別 の 洋 上 武 器 庫 に 武 器 を 返 す 洋 上 武 器 庫 は 2011 年 頃 から 海 運 業 界 がソマ リアの 海 賊 対 処 のために 民 間 武 装 警 備 員 の 雇 用 を 増 やし 始 めた 状 況 下 で ビジネスとして 登 場 してき た 現 在 常 時 10 隻 から 12 隻 の 船 舶 が 洋 上 武 器 庫 として 運 用 されている 記 事 要 旨 :23 日 付 の AP 通 信 が 報 じるところによれば 民 間 警 備 会 社 は 洋 上 武 器 庫 を 利 用 して 武 器 を 保 管 している 海 運 業 界 によれば これによって 民 間 武 装 警 備 員 の 雇 用 を 望 む 船 舶 は 費 用 を 節 減 できるとともに 武 器 の 輸 出 入 に 関 する 各 国 の 法 の 規 制 を 逃 れることができる 海 運 業 界 や 法 律 専 門 家 によれば 洋 上 武 器 庫 は 法 的 には グレーアリア にある 洋 上 武 器 庫 は 2011 年 頃 から 海 運 業 界 がソマリアの 海 賊 対 処 のために 民 間 武 装 警 備 員 の 雇 用 を 増 やし 始 めた 状 況 下 で ビジネスと して 登 場 してきた 現 在 常 時 10 隻 から 12 隻 の 船 舶 が 洋 上 武 器 庫 として 運 用 されている ある 民 間 警 備 会 社 によれば その 内 訳 は 約 半 分 が 紅 海 沖 にあり 3 隻 がアラブ 首 長 国 連 邦 沖 2 隻 がマダガ スカル 沖 にある 洋 上 武 器 庫 を 利 用 する 船 舶 は 海 賊 多 発 海 域 に 入 る 前 に 武 器 庫 から 武 器 を 受 領 し 海 賊 多 発 海 域 を 抜 ければ 別 の 洋 上 武 器 庫 に 武 器 を 返 す ソマリア 周 辺 地 域 の 国 には 武 器 の 傾 向 を 規 制 している 国 が 多 く サウジアラビア エジプトおよびイエメンは アラブの 春 が 始 まって 以 来 外 国 人 の 武 器 所 持 に 特 に 神 経 を 尖 らせている 船 舶 にある 武 器 の 規 制 は 国 によって 異 なる 例 え ば セイシェルでは 入 港 船 舶 に 警 察 が 乗 船 し 武 器 庫 を 封 印 する モーリシャスでは 船 舶 が 入 港 後 武 器 を 降 ろし 警 察 が 保 管 する しかし 公 海 では 船 舶 を 規 制 できるのは 当 該 船 舶 の 旗 国 のみ で リビアやパナマなど 多 くの 旗 国 は 比 較 的 規 制 が 緩 やかである 各 国 の 武 器 規 制 は 民 間 武 装 警 備 会 社 の 急 増 に 追 いついていないのが 現 状 である 2 月 以 来 英 国 の 全 ての 民 間 警 備 会 社 と 従 業 員 あるいは 英 国 船 に 武 装 警 備 員 を 派 遣 している 会 社 は 新 たな 法 規 制 を 遵 守 しなければならない しか し この 規 制 には 洋 上 武 器 庫 に 対 する 如 何 なる 規 制 もない 記 事 参 照 :Piracy fighters use floating armories http://www.google.com/hostednews/ap/article/aleqm5jmdbkordaevxbtmkep-74sa X8KrQ?docId=8e04ce8bbc9f4e6cb6bcf21ab91af4f7 3 月 23 日 EU ソマリア 海 賊 の 陸 上 拠 点 にも 作 戦 拡 大 (Break Bulk, March 23, 2012) EU 国 防 相 会 議 は 23 日 EU 艦 隊 の 海 賊 対 処 作 戦 Operation Atalanta を ソマリア 海 賊 の 陸 上 拠 点 にも 拡 大 するとともに Operation Atalanta を 2014 年 12 月 末 まで 更 に 2 年 間 延 長 すること にも 合 意 した 記 事 要 旨 :EU 国 防 相 会 議 は 23 日 EU 艦 隊 の 海 賊 対 処 作 戦 Operation Atalanta を ソマリア 海 賊 の 陸 上 拠 点 にも 拡 大 することに 合 意 した 会 議 は Operation Atalanta を 2014 年 12 月 末 ま で 更 に 2 年 間 延 長 することにも 合 意 した EU 艦 隊 は ソマリア 暫 定 政 府 とその 他 の 国 内 勢 力 による 沿 岸 の 海 賊 拠 点 に 対 する 攻 撃 を 支 援 するため 彼 らと 直 接 協 力 する EU は 2 年 間 の 作 戦 延 長 経 費 として 1,490 万 ユーロを 支 出 する 5

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) 他 方 NATO も 19 日 海 賊 対 処 作 戦 Operation Ocean Shield を 2014 年 末 まで 延 長 することに 合 意 している 記 事 参 照 :EU Extends Somali Counter-piracy Operation http://www.breakbulk.com/piracy/eu-extends-somali-counter-piracy-operation 3 月 26 日 ソマリアの 海 賊 イラン 船 をハイジャック (BBC News, March 26, 2012) ソマリアの 海 賊 は 26 日 モルディブの Hoarafush 島 北 西 沖 でイランの 船 社 所 有 のばら 積 み 船 MV Eglantine(63,400DWT)をハイジャックした 記 事 要 旨 :ソマリアの 海 賊 は 26 日 モルディブの Hoarafush 島 北 西 沖 約 190 カイリで ボリビ ア 籍 船 でイランの 船 社 所 有 のばら 積 み 船 MV Eglantine(63,400DWT)をハイジャックした 該 船 の 乗 組 員 は 23 人 である モルディブ 国 防 当 局 によれば この 海 域 でのハイジャック 事 案 は 初 めてで ある モルディブは ソマリア 沿 岸 から 3,000 キロ 近 く 離 れている モルディブは 沿 岸 警 備 艇 を 現 場 海 域 に 派 遣 し 乗 組 員 救 出 についてインドの 海 軍 と 調 整 している 記 事 参 照 :Somali pirates 'seize ship off Maldives' http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-17518631 MV Eglantine とハイジャック 海 域 Source: Minivan News, March 26, 2012 3 月 26 日 EU 艦 隊 海 賊 母 船 を 拿 捕 (EU NAVFOR Public Affairs Office, Press Release, March 28, 2012) EU 艦 隊 旗 艦 でスペイン 海 軍 フリゲート ESPS Patino は 26 日 海 賊 行 為 を 働 いたと 見 られる イエメン 籍 船 のダウ 船 を 拿 捕 した 記 事 要 旨 :EU 艦 隊 旗 艦 でスペイン 海 軍 フリゲート ESPS Patino は 26 日 海 賊 行 為 を 働 いたと 見 られる イエメン 籍 船 のダウ 船 を 拿 捕 した このダウ 船 は 前 日 の 25 日 に 2 隻 の 小 型 ボートで 商 船 を 襲 撃 したグループの 母 船 と 見 られる 16 人 が 乗 っていたダウ 船 は 母 船 と 確 認 された 16 人 の 海 賊 容 疑 者 の 14 人 は 直 ちに 降 伏 した 2 人 の 乗 組 員 は 解 放 された 以 下 は その 時 の 様 子 である 6

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) 記 事 参 照 :EU Naval Force Ensures Pirate Action Group is Incapable of Further Crime http://www.eunavfor.eu/2012/03/eu-naval-force-ensures-pirate-action-group-is-incap able-of-further-crime/ Helicopter and boarding team closing in to the dhow Source: EU NAVFOR Public Affairs Office, Press Release, March 28, 2012 3 月 27 日 EU 艦 隊 海 賊 襲 撃 グループを 拘 束 (EU NAVFOR Public Affairs Office, Press Release, March 28, 2012) EU 艦 隊 所 属 のフランス 海 軍 フリゲート FS Aconit は 27 日 ソマリア 沿 岸 沖 で 10 人 の 海 賊 襲 撃 グループを 拘 束 した 記 事 要 旨 :EU 艦 隊 所 属 のフランス 海 軍 フリゲート FS Aconit は 27 日 ソマリア 沿 岸 沖 で 10 人 の 海 賊 襲 撃 グループを 拘 束 した このグループは 26 日 に マリア 沿 岸 沖 約 400 カイリの 海 域 で 香 港 籍 船 のタンカーを 襲 撃 したと 見 られるグループで 同 艦 が ルクセンブルグ 派 遣 の 海 上 哨 戒 機 の 支 援 を 得 て 追 跡 していた 哨 戒 機 は 小 型 ボート 2 隻 を 曳 航 する 大 型 ボートを 発 見 し 同 艦 に 通 報 し た 27 日 に 同 艦 の 艦 載 ヘリが 大 型 ボートを 警 告 射 撃 で 停 船 させた 同 艦 の 臨 検 チームが 大 型 ボート を 臨 検 し 海 賊 容 疑 者 10 人 を 拘 束 した 既 に このグループは 証 拠 隠 滅 のために 武 器 類 梯 子 や 燃 料 と 共 に 小 型 ボートを 切 り 離 し 沈 めていた 以 下 はその 時 の 様 子 である 記 事 参 照 :Would Be Pirates Captured By European Naval Forces http://www.eunavfor.eu/2012/03/would-be-pirates-captured-by-european-naval-forces/ 7

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) Boarding teams and whaler Source: EU NAVFOR Public Affairs Office, Press Release, March 28, 2012 3 月 29 日 インド ケララ 州 高 裁 イタリア 船 解 放 を 命 令 (gcaptain, March 29, 2012) インド ケララ 州 高 裁 は 29 日 イタリア 船 MV Enrica Lexie の 解 放 を 命 じた 該 船 は 添 乗 の イタリア 海 軍 武 装 警 備 員 は 2 月 15 日 にインド 人 漁 民 2 人 を 死 亡 させた 事 案 で 以 来 コーチ 港 に 拘 束 されていた 記 事 要 旨 :インド ケララ 州 高 裁 は 29 日 イタリア 船 MV Enrica Lexie の 解 放 を 命 じた 該 船 は 添 乗 のイタリア 海 軍 武 装 警 備 員 は 2 月 15 日 にインド 人 漁 民 2 人 を 死 亡 させた 事 案 で 以 来 コ ーチ 港 に 拘 束 されていた 該 船 を 所 有 するイタリアの 船 社 は 海 軍 武 装 警 備 員 は 乗 組 員 ではなく イ タリア 海 軍 によって 任 命 された 者 であり 船 舶 は 解 放 されるべきである と 主 張 してきた 一 方 2 人 のイタリア 海 軍 の 海 兵 隊 員 は インド 刑 務 所 の 勾 留 されており 殺 人 罪 で 起 訴 されている (2 月 の 本 件 事 案 については OPRF 海 洋 安 全 保 障 情 報 月 報 2012 年 2 月 号 1.1 海 洋 治 安 参 照 ) 記 事 参 照 :M/V Enrica Lexie Free to Leave India http://gcaptain.com/enrica-lexie-free-leave-india/?43233 1.2 軍 事 動 向 3 月 2 日 英 海 軍 最 新 鋭 艦 アデン 湾 周 辺 海 域 での 哨 戒 任 務 に 参 加 (Defence Web, March 2, 2012) 英 国 防 省 が 2 日 に 明 らかにしたところによれば 英 海 軍 の 最 新 鋭 艦 HMS Daring が スエズ 以 東 の 海 域 で 初 めての 実 働 任 務 に 参 加 する 同 艦 は 多 国 籍 海 軍 部 隊 CTF-150 に 所 属 して 紅 海 アデ ン 湾 及 びイエメン 沿 岸 沖 で 海 賊 密 輸 あるいは 不 法 移 民 などの 違 法 活 動 に 対 処 する 哨 戒 任 務 Operation SCIMITAR ANZAC に 参 加 する 記 事 要 旨 : 英 国 防 省 が 2 日 に 明 らかにしたところによれば 英 海 軍 の 最 新 鋭 艦 HMS Daring が スエズ 以 東 の 海 域 で 初 めての 実 働 任 務 に 参 加 する 同 艦 は 多 国 籍 海 軍 部 隊 CTF-150 に 所 属 して 8

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) 紅 海 アデン 湾 及 びイエメン 沿 岸 沖 で 海 賊 密 輸 あるいは 不 法 移 民 などの 違 法 活 動 に 対 処 する オー ストラリア パキスタン ニュージーランド 及 びイエメンによる 哨 戒 任 務 Operation SCIMITAR ANZAC に 参 加 する HMS Daring は 1970 年 代 に 就 役 した Type 42 に 替 わる Type 45 の 1 番 艦 で ある Type 45 は 当 初 計 画 では 12 隻 建 造 される 計 画 であったが 2008 年 に 財 政 難 から 6 隻 に 半 減 さ れた 現 在 3 隻 の 建 造 が 完 了 しているが 他 の 2 隻 は 実 戦 配 備 されていない 同 艦 は 高 性 能 の Sea Viper 対 空 ミサイルを 搭 載 し 兵 員 60 人 を 乗 せることができる ヘリの 発 着 艦 が 可 能 な 広 い 飛 行 甲 板 を 備 え 災 害 救 助 任 務 の 場 合 700 人 を 収 容 できる 同 艦 は 基 本 排 水 量 8,000 トン 最 高 速 度 27 ノット 以 上 航 続 距 離 7,000 カイリ 以 上 である 記 事 参 照 :HMS Daring joins allied navies for her first major operation, hunting for pirates http://www.defenceweb.co.za/index.php?option=com_content&view=article&id=2405 3:hms-daring-joins-allied-navies-for-her-first-major-operation-hunting-for-pirates&c atid=51:sea&itemid=106 HMS Daring Source: Defence Web, March 2, 2012 3 月 3 日 インド 国 防 省 潜 水 艦 建 造 計 画 から 民 間 部 門 締 め 出 し (Business Standard, March 3, 2012) 3 日 付 けのインド 紙 Business Standard の 報 道 によれば インド 国 防 省 はこのほど 海 軍 が 求 め ているハイテク 通 常 型 潜 水 艦 を 建 造 するのに 必 要 なインフラと 能 力 を 保 有 していないとして 国 内 の 民 間 造 船 所 を 予 定 より 大 幅 に 遅 れている Project 75I 潜 水 艦 計 画 から 閉 め 出 した Project 75I 潜 水 艦 は 6 隻 建 造 されることになっているが 最 初 の 2 隻 が 海 外 の 造 船 所 で 残 りの 4 隻 が 国 内 の 海 軍 工 廠 とで 建 造 されることになる 記 事 要 旨 :3 日 付 けのインド 紙 Business Standard の 報 道 によれば インド 国 防 省 はこのほど 海 軍 が 求 めているハイテク 通 常 型 潜 水 艦 を 建 造 するのに 必 要 なインフラと 能 力 を 保 有 していないと して 国 内 の 民 間 造 船 所 を 予 定 より 大 幅 に 遅 れている Project 75I 潜 水 艦 計 画 から 閉 め 出 した Project 75I 潜 水 艦 は 6 隻 建 造 されることになっているが 海 外 の 造 船 所 と 国 内 の 海 軍 工 廠 とで 建 造 されることになる 国 防 省 によれば Project 75I 潜 水 艦 の 最 初 の 2 隻 は 海 外 で 建 造 され 残 りの 4 隻 が 潜 水 艦 建 造 能 力 を 持 つ 2 カ 所 の 海 軍 工 廠 ムンバイの Mazagon Dock Limited(MDL) ビシ ャカパトナムの Hindustan Shipyard Ltd で 建 造 される この 決 定 は 国 防 省 防 衛 取 得 会 議 (The Defence Acquisition Council: DAC)が 1 月 に 行 った 一 方 1999 年 には 安 全 保 障 閣 僚 会 議 (The 9

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) Cabinet Committee on Security: CCS)が 24 隻 の 通 常 型 潜 水 艦 を 全 て 国 内 で 建 造 するという 潜 水 艦 建 造 30 年 計 画 を 承 認 している 2 隻 を 海 外 で 建 造 するという 国 防 省 の 決 定 はこれに 違 反 するが 海 軍 は Project 75I 潜 水 艦 計 画 の 最 初 の 2 隻 を 海 外 で 建 造 することを 強 く 主 張 したようである 海 軍 は 現 在 進 行 中 の Project 75 潜 水 艦 計 画 を 台 無 しにするような 計 画 の 遅 れを 未 然 に 回 避 したいと 望 ん でいる Project 75 潜 水 艦 計 画 では フランスとスペインの 共 同 企 業 体 Armaris と 提 携 して MDL が 6 隻 の Scorpion 級 潜 水 艦 を 建 造 するが 1 番 艦 は 2012 年 に 引 き 渡 し 予 定 であったが 2015 年 に 完 成 するとみられる 記 事 参 照 :Doors slammed on pvt firms in submarine project http://www.business-standard.com/india/news/doors-slammedpvt-firms-in-submarin e-project/466583/ 3 月 4 日 中 国 の 2012 年 度 軍 事 支 出 前 年 比 11.2% 増 (The Washington Post, March 4, 2012) 中 国 の 全 国 人 民 代 表 大 会 の 李 肇 星 報 道 官 は 4 日 の 記 者 会 見 で 中 国 の 2012 年 度 軍 事 支 出 が 前 年 比 11.2% 増 の 6,700 億 元 (1,060 億 米 ドル)になることを 明 らかにした 米 ドル 換 算 で 1,000 億 ドル を 超 えるのは 初 めてである 記 事 要 旨 : 中 国 の 全 国 人 民 代 表 大 会 の 李 肇 星 報 道 官 は 4 日 の 記 者 会 見 で 中 国 の 2012 年 度 軍 事 支 出 が 前 年 比 11.2% 増 になることを 明 らかにした それによれば 2012 年 度 の 軍 事 支 出 は 6,700 億 元 (1,060 億 米 ドル)となっている 米 ドル 換 算 で 1,000 億 ドルを 超 えるのは 初 めてである 2011 年 度 は 915 億 米 ドルで 2010 年 度 に 比 して 12.7% 増 であった 李 肇 星 報 道 官 は 軍 事 支 出 の 増 額 は 中 国 経 済 の 成 長 に 合 わせたものだが GDP に 占 める 割 合 で 見 れば 1.28%で 他 の 諸 国 特 に 2%を 超 える 米 英 と 比 較 すると 低 い と 述 べた しかしながら ストックホルムのシンクタンク SIPRI は 中 国 の 実 際 の 軍 事 支 出 は GDP 比 2%を 超 えると 見 積 もっている 一 部 の 専 門 家 は 中 国 の 軍 事 支 出 は 2015 年 までに アジア 太 平 洋 地 域 の 12 カ 国 の 軍 事 支 出 の 合 計 よりも 多 くなるであろう と 推 測 している 記 事 参 照 :China military spending to top $100 billion in 2012, alarming neighbors http://www.washingtonpost.com/world/china-military-spending-to-top-100-billion-th is-year/2012/03/04/giqajrnypr_story.html?wpisrc=nl_headlines 関 連 記 事 2012 年 のアジア 諸 国 の 軍 事 支 出 欧 州 を 上 回 る 見 込 み IISS (The Guardian, March 7, 2012) 英 国 の 国 際 戦 略 研 究 所 (IISS)のチップマン 所 長 7 日 中 国 が 引 っ 張 る 2012 年 のアジア 諸 国 の 軍 事 支 出 は 経 済 成 長 と 戦 略 環 境 の 不 安 定 化 を 背 景 に 急 増 しており 初 めて 欧 州 のそれを 上 回 る 見 込 み である と 語 った 記 事 要 旨 : 英 国 の 国 際 戦 略 研 究 所 (IISS)は 7 日 2012 年 版 の ミリタリー バランス を 公 表 した ジョン チップマン(John Chipman) 所 長 は 記 者 会 見 で 中 国 が 引 っ 張 る 2012 年 のアジ ア 諸 国 の 軍 事 支 出 は 急 増 しており 初 めて 欧 州 のそれを 上 回 る 見 込 みである と 語 った 同 所 長 によ れば 西 側 諸 国 が 大 幅 に 国 防 予 算 を 削 減 しているのに 対 して アジアでは 経 済 成 長 と 戦 略 環 境 の 不 安 定 化 を 背 景 に 軍 事 競 争 が 益 々 激 しくなっている IISS の 見 積 もりでは 2011 年 のアジア 諸 国 の 国 防 予 算 の 実 質 伸 び 率 は 3%を 超 え 特 に 中 国 の 軍 事 支 出 が 域 内 全 体 のそれに 占 める 割 合 は 30%を 超 えて いる アジアでは オーストラリア インドネシア マレーシア シンガポール タイおよびベトナ 10

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) ムは 海 空 軍 力 の 強 化 に 努 めている 一 方 欧 州 では 国 防 予 算 は 財 政 的 制 約 下 にあり 装 備 計 画 に 対 する 削 減 が 続 いている 2008 年 から 2010 年 の 間 NATO 欧 州 諸 国 の 内 少 なくとも 16 カ 国 で 国 防 予 算 が 削 減 され 最 大 削 減 幅 は 実 質 10%を 超 えた 記 事 参 照 :Asia's military spending likely to overtake Europe this year http://www.guardian.co.uk/world/2012/mar/07/asia-military-spending-overtake-europe 3 月 8 日 中 国 空 母 ワリヤーグ 2012 年 に 就 役 海 軍 副 司 令 員 (Taipei Times, March 13, 2012) 12 日 付 けの 人 民 日 報 が 報 じるところによれば 中 国 海 軍 の 徐 洪 猛 副 司 令 員 は 解 放 軍 は 空 母 ワ リヤーグ を 2012 年 中 に 就 役 させる 計 画 である と 語 った 記 事 要 旨 :12 日 付 けの 人 民 日 報 が 報 じるところによれば 中 国 海 軍 の 徐 洪 猛 副 司 令 員 は 全 人 代 開 催 中 の 8 日 解 放 軍 は 空 母 ワリヤーグ を 2012 年 中 に 就 役 させる 計 画 である と 語 った 解 放 軍 高 官 が 空 母 の 就 役 時 期 について 具 体 的 に 語 ったのは これが 初 めてである 防 衛 問 題 の 専 門 家 は 空 母 の 就 役 を 解 放 軍 創 設 記 念 日 に 合 わせた 8 月 1 日 と 見 ている 空 母 は J-15 戦 闘 機 と Z-8 輸 送 ヘ リを 搭 載 して 海 南 島 に 配 備 され 東 シナ 海 南 シナ 海 をカバーすると 見 られる 記 事 参 照 :Aircraft carrier could launch this year: PLA http://www.taipeitimes.com/news/taiwan/archives/2012/03/13/2003527671 3 月 13 日 中 国 ミャンマーにフリゲート 2 隻 供 与 (Maritime Propulsion, March 13, 2012) 中 国 海 軍 はこのほど 旧 式 フリゲート Type 053H1 級 ( 江 滬 -I 級 )2 隻 をミャンマー 海 軍 に 供 与 した ミャンマー 海 軍 では UMS Mahar Bandoola(F-21) UMS Mahar Thiha Thura(F-23). と 命 名 されている 記 事 要 旨 : 中 国 海 軍 はこのほど 旧 式 フリゲート Type 053H1 級 ( 江 滬 -I 級 )2 隻 をミャンマー 海 軍 に 供 与 した Type 053H1 級 ( 基 準 排 水 量 1,702 トン)は 1981 年 から 1988 年 にかけて 上 海 の 滬 東 造 船 で 建 造 された ミャンマー 海 軍 では UMS Mahar Bandoola(F-21) UMS Mahar Thiha Thura(F-23).と 命 名 されている Type 053H1 級 は 1984 年 から 85 年 にかけてエジプト 海 軍 に 2 隻 1989 年 にバングラデシュ 海 軍 に 1 隻 が 供 与 されている 後 継 の Type 053H2 は 1991 年 から 92 年 にかけてタイ 海 軍 に 4 隻 供 与 されている 更 に 改 良 型 の Type 053H3 はパキスタン 海 軍 に 4 隻 供 与 され その 内 3 隻 が 中 国 で 建 造 され 残 りの 1 隻 が 現 在 パキスタンで 建 造 中 である 記 事 参 照 :Two Chinese Frigates for Myanmar http://articles.maritimepropulsion.com/article/two-chinese-frigates-for-myanmar-2 028.aspx 11

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) Type 053H1 frigate with Myanmar Navy hull numbers F21 and F23 Source: Defense Studies, March 10, 2012 3 月 19 日 インドネシアの 次 期 潜 水 艦 取 得 先 トルコが 再 浮 上 か (Hurriyet News, March 19, 2012) 19 日 付 けのトルコ 紙 Hurriyet News が 報 じるところによれば 韓 国 の 大 宇 造 船 海 洋 (DSME) は 2011 年 12 月 22 日 U209 潜 水 艦 3 隻 を 11 億 米 ドルで 建 造 する 契 約 をインドネシアとの 間 で 結 ん だが 契 約 価 格 が 低 すぎるとして 一 方 的 に 総 額 14 億 米 ドルに 増 額 したことから 同 国 の 次 期 潜 水 艦 として ドイツ トルコ 共 同 開 発 の U209 潜 水 艦 が 再 浮 上 するかもしれないという トルコ 調 達 庁 高 官 によれば ドイツ トルコ 共 同 企 業 体 は 2 月 7 日 インドネシアに 新 たなオファーを 提 示 し 現 在 返 事 待 ちという 記 事 要 旨 :19 日 付 けのトルコ 紙 Hurriyet News が 報 じるところによれば 韓 国 がインドネシア の 次 期 潜 水 艦 取 得 価 格 を 一 方 的 に 3 億 米 ドル 増 額 したことから 同 国 の 次 期 潜 水 艦 として ドイツ トルコ 共 同 開 発 の U209 潜 水 艦 が 再 浮 上 するかもしれないという それによれば 韓 国 の 大 宇 造 船 海 洋 (DSME)は 2011 年 12 月 22 日 U209 潜 水 艦 3 隻 を 11 億 米 ドルで 建 造 する 契 約 をインドネシア との 間 で 結 んだが DSME は 2 月 初 め 契 約 価 格 が 低 すぎるとして 一 方 的 に 14 億 米 ドルに 増 額 し た トルコ 調 達 庁 高 官 によれば ドイツ トルコ 共 同 企 業 体 は 2 月 7 日 インドネシアに 新 たなオフ ァーを 提 示 し 現 在 返 事 待 ちという インドネシアの 潜 水 艦 建 造 については DSME とドイツ ト ルコ 共 同 企 業 体 が 最 後 まで 競 り 合 い 最 終 的 に DSME が 勝 ったが その 後 で DSME が 契 約 価 格 を 一 方 的 に 引 き 上 げたわけである インドネシア 国 軍 のスハルトノ 司 令 官 (Adm. Agus Suhartono)は 2 月 にトルコを 訪 問 したが 訪 問 団 はトルコ 側 に U209 ではなく より 最 新 型 の U214 に 関 心 があ ると 語 った トルコは 2010 年 7 月 ドイツの HDW 社 との 間 で U214 潜 水 艦 6 隻 を 20 億 米 ドルで 共 同 生 産 する 契 約 を 締 結 している トルコは U209 の 建 造 に 関 して 第 3 国 と 交 渉 する 権 限 を HDW 社 から 得 ている 記 事 参 照 :S Korea s price hike in sub deal raises Turkish hopes http://www.hurriyetdailynews.com/s-koreas-price-hike-in-sub-deal-raises-turkish-ho pes.aspx?pageid=238&nid=16265&newscatid=344 12

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) 3 月 21~4 月 1 日 シンガポール インド 両 国 海 軍 年 次 合 同 演 習 実 施 (MINDF, Singapore, April 2, 2012) シンガポール インド 両 国 海 軍 は 21 日 ~4 月 1 日 の 間 ベンガル 湾 で 年 次 合 同 演 習 SIMBEX (Singapore-India Maritime Bilateral Exercise) 実 施 を 実 施 した SIMBEX は 両 国 海 軍 が 1994 年 から 実 施 している 年 次 演 習 で 今 回 が 19 回 目 である 記 事 要 旨 :シンガポール インド 両 国 海 軍 は 21 日 ~4 月 1 日 の 間 ベンガル 湾 で 年 次 合 同 演 習 SIMBEX(Singapore-India Maritime Bilateral Exercise) 実 施 を 実 施 した SIMBEX は 両 国 海 軍 が 1994 年 から 実 施 している 年 次 演 習 で 今 回 が 19 回 目 である 今 回 の 海 上 演 習 は アンダマン 海 とベンガル 湾 で 実 施 された シンガポール 海 軍 からはフリゲート ミサイル コルベット 各 1 隻 が インド 海 軍 からは 駆 逐 艦 コルベット 洋 上 給 油 艦 フリゲートおよび 潜 水 艦 各 1 隻 高 速 攻 撃 艇 2 隻 が 参 加 した また 両 国 海 軍 の 海 上 哨 戒 機 艦 載 ヘリも 参 加 した 記 事 参 照 :Singapore and Indian Navies conduct bilateral maritime exercise http://www.mindef.gov.sg/imindef/news_and_events/nr/2012/apr/01apr12_nr.html 3 月 27 日 米 豪 両 国 インド 洋 の 豪 領 ココス 諸 島 に 無 人 哨 戒 機 配 備 を 検 討 (The Washington Post, March 27, 2012) 27 日 付 の 米 紙 The Washington Post によれば 米 豪 両 国 は インド 洋 のオーストラリア 領 ココ ス 諸 島 に 高 々 度 無 人 偵 察 機 Global Hawk の 新 たな 拠 点 とする 可 能 性 を 含 め 両 国 の 軍 事 協 力 の 大 幅 な 拡 大 に 向 けた 協 議 を 進 めている 記 事 要 旨 :27 日 付 の 米 紙 The Washington Post によれば 米 豪 両 国 は インド 洋 のオーストラ リア 領 ココス 諸 島 (The Cocos Islands)に 高 々 度 無 人 偵 察 機 Global Hawk の 新 たな 拠 点 とする 可 能 性 を 含 め 両 国 の 軍 事 協 力 の 大 幅 な 拡 大 に 向 けた 協 議 を 進 めている 米 国 は インド 洋 の 英 領 ディ エゴガルシアに 海 空 統 合 基 地 を 持 つが 基 地 機 能 を 拡 充 するための 余 積 に 乏 しく また 2016 年 の 租 借 期 限 切 れ 以 降 が 不 確 定 であることから ココス 諸 島 が 注 目 を 集 めている 米 豪 両 国 の 当 局 者 は コ コス 諸 島 が 有 人 機 の 拠 点 としてだけではなく Global Hawk の 拠 点 としても 理 想 的 な 位 置 にある と 見 ている 米 海 軍 は 広 域 海 洋 偵 察 機 (The Broad Area Maritime Surveillance drone: BAMS)と して 知 られる Global Hawk の 新 たな 派 生 型 を 開 発 中 で 2015 年 の 実 戦 配 備 を 目 指 している ココス 諸 島 は 南 シナ 海 の 偵 察 を 行 う 上 でも 格 好 の 拠 点 となろう 記 事 参 照 :U.S., Australia to broaden military ties amid Pentagon pivot to SE Asia http://www.washingtonpost.com/world/national-security/us-to-expand-ties-with-austr alia-as-it-aims-to-shift-forces-closer-to-se-asia/2012/03/19/giqapsxlcs_story_1.html 13

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) The Cocos Islands(Source; http://www.cocoskeelingislands.com.au/) The Broad Area Maritime Surveillance drone(source: U.S. Naval Air Systems Command HP) 関 連 記 事 インドネシア 米 国 のココス 諸 島 への 無 人 機 配 備 計 画 に 抗 議 (Xinhua, March 29, 2012) インドネシアは 米 国 がココス 諸 島 への 無 人 機 配 備 を 計 画 していることに 対 して インドネシアの 主 権 を 侵 害 するものとする 抗 議 書 を 米 豪 両 国 政 府 に 対 して 送 付 した 記 事 要 旨 :インドネシアのスヤント(Djoko Suyanto) 調 整 相 は 29 日 の 記 者 会 見 で 米 国 がイン ドネシアのスマトラ 島 南 方 3,000 キロに 位 置 するココス 諸 島 への 無 人 機 配 備 を 計 画 していることに 対 して インドネシアの 主 権 を 侵 害 するものとする 抗 議 書 を 米 豪 両 国 政 府 に 対 して 送 付 したことを 明 ら かにした 記 事 参 照 :Indonesia sends protest note on US plan to build military surveillance base near territory http://news.xinhuanet.com/english/world/2012-03/29/c_131496686.htm 1.3 南 シナ 海 関 連 事 象 3 月 1 日 ベトナム 海 軍 3 隻 の 新 型 哨 戒 艦 就 役 (Vietnam Net, March 2, 2012) ベトナム 海 軍 は 1 日 3 隻 の 新 型 哨 戒 艦 を 就 役 させた 記 事 要 旨 :ベトナム 海 軍 は 1 日 3 隻 の 新 型 哨 戒 艦 を 就 役 させた 南 部 のタイ 湾 を 管 轄 する 第 5 管 区 司 令 部 には 2 隻 HQ-264 HQ-265 が 配 属 された 両 艦 は ロシア 製 Svetlyak 級 の 砲 艦 で 領 侵 阻 止 のための 哨 戒 任 務 から 敵 の 海 上 からの 僚 艦 や 陸 上 施 設 に 対 する 攻 撃 対 処 まで 多 様 な 任 務 を 遂 行 する 南 部 沿 岸 の 大 陸 棚 を 管 轄 する 第 2 管 区 には 最 新 の 国 産 艦 HQ-272 が 配 属 された 14

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) 記 事 参 照 :Vietnamese navy receives three modern ships http://english.vietnamnet.vn/en/politics/19472/vietnamese-navy-receives-three-mod ern-ships.html 国 産 艦 HQ-272 Source: Vietnam Net, March 2, 2012 3 月 5 日 中 国 海 洋 部 の 早 期 創 設 を 政 協 常 務 委 員 (Xinhua, March 5, 2012) 5 日 付 け 新 華 社 の 報 道 によれば 陳 明 義 中 国 人 民 政 治 協 商 会 議 常 務 委 員 ( 前 福 建 省 党 書 記 )はこ のほど 中 国 の 海 洋 法 令 執 行 能 力 を 強 化 し 海 洋 資 源 開 発 を 活 発 化 するために 海 洋 部 ( 省 ) の 早 期 創 設 を 政 府 に 提 案 した 記 事 要 旨 :5 日 付 け 新 華 社 の 報 道 によれば 陳 明 義 中 国 人 民 政 治 協 商 会 議 常 務 委 員 ( 前 福 建 省 党 書 記 )はこのほど 中 国 の 海 洋 法 令 執 行 能 力 を 強 化 し 海 洋 資 源 開 発 を 活 発 化 するために 海 洋 部 ( 省 ) の 早 期 創 設 を 政 府 に 提 案 した 陳 明 義 常 務 委 員 は 現 代 の 全 ての 大 国 は 海 洋 においても 十 分 強 力 であり 従 って 中 国 も 最 大 300 万 平 方 キロに 及 ぶ EEZ における 海 洋 利 権 を 護 り 開 発 を 促 進 するために 強 力 な 海 洋 国 家 になる 必 要 がある と 述 べている その 上 で 陳 常 務 委 員 は 経 済 軍 事 外 交 科 学 技 術 および 海 洋 法 令 執 行 の 各 部 門 からなる 中 央 機 関 の 創 設 を 提 案 している 記 事 参 照 :Call for establishment of Ministry of Oceans http://news.xinhuanet.com/english/china/2012-03/05/c_131447829.htm 関 連 記 事 中 国 国 家 沿 岸 警 備 隊 創 設 を 羅 援 少 将 (The Wall Street Journal, March 7, 2012) 中 国 軍 事 科 学 院 の 羅 援 少 将 は 南 シナ 海 における 領 有 権 主 張 を 裏 付 けるために 国 家 沿 岸 警 備 隊 の 創 設 島 嶼 への 駐 留 部 隊 の 増 強 更 には 漁 業 会 社 や 石 油 開 発 会 社 に 対 して 周 辺 海 域 における 商 業 活 動 の 活 発 化 を 提 案 した 記 事 要 旨 : 中 国 軍 事 科 学 院 の 羅 援 少 将 は 南 シナ 海 における 領 有 権 主 張 を 裏 付 けるために 国 家 沿 岸 警 備 隊 の 創 設 島 嶼 への 駐 留 部 隊 の 増 強 更 には 漁 業 会 社 や 石 油 開 発 会 社 に 対 して 周 辺 海 域 におけ る 商 業 活 動 の 活 発 化 を 提 案 した 羅 援 少 将 はまた 南 シナ 海 の 大 部 分 をカバーする 新 たな 管 轄 ゾーン の 設 定 も 求 めている 羅 援 少 将 は 軍 の 公 式 スポークスマンではないが 長 年 にわたって 政 府 の 公 式 立 場 より 強 固 な 主 張 をメディアに 公 表 してきた この 提 案 は 全 国 政 治 協 商 会 議 での 発 言 である 羅 援 少 将 のタカ 派 的 な 見 解 は 他 の 将 官 や 愛 国 的 な 世 論 の 支 持 を 得 ていると 見 られ しかも 7 日 付 けの 解 15

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) 放 軍 報 電 子 版 に 掲 載 されたことで 重 みを 増 した 専 門 家 は 軍 やネット 世 論 の 抵 抗 で 中 国 政 府 が 領 土 紛 争 で 妥 協 することが 次 第 に 困 難 になってきている と 見 ている 中 国 は 現 在 沿 岸 警 備 隊 を 持 っ ておらず 海 洋 問 題 を 少 なくとも 6 つの 機 関 が 担 当 している しかしながら この 2 年 間 国 土 資 源 部 国 家 海 洋 局 の 中 国 海 監 総 隊 ( 海 監 )が 急 速 に 拡 充 されている 記 事 参 照 :General Calls for New Coast Guard to Patrol South China Sea http://blogs.wsj.com/chinarealtime/2012/03/07/general-calls-for-new-coast-guard-topatrol-south-china-sea/ 1.4 外 交 国 際 関 係 3 月 13 日 韓 国 中 国 漁 民 の 不 法 操 業 対 処 拠 点 を 黄 海 の 島 に 建 設 (The Chosun Ilbo, March 14, 2012) 韓 国 の 国 土 海 洋 部 当 局 者 は 13 日 中 国 漁 民 の 不 法 操 業 に 海 洋 警 察 が 迅 速 に 対 処 できるようにする ため 仁 川 沖 合 180 キロにある 白 翎 島 と 南 西 の 木 浦 沖 合 90 キロの 黒 山 島 の 2 カ 所 に 前 進 拠 点 を 建 設 することを 明 らかにした 記 事 要 旨 : 韓 国 の 国 土 海 洋 部 当 局 者 は 13 日 我 々は 中 国 漁 民 の 不 法 操 業 に 海 洋 警 察 が 迅 速 に 対 処 できるようにするため 前 進 拠 点 を 建 設 することに 決 定 した と 語 った それによれば 建 設 され る 西 海 ( 黄 海 )の 前 進 拠 点 は 仁 川 沖 合 180 キロにある 白 翎 島 と 南 西 の 木 浦 沖 合 90 キロの 黒 山 島 の 2 カ 所 に 建 設 される これらの 拠 点 は 海 洋 警 察 の 施 設 となり 要 員 が 配 備 される 国 土 海 洋 部 当 局 者 は 現 在 中 国 漁 民 の 不 法 操 業 の 通 報 を 受 けて 海 洋 警 察 が 本 土 から 現 場 海 域 に 出 動 するまで 最 大 8 時 間 程 度 を 要 し 取 り 逃 がすことが 多 い 2 つの 島 に 前 進 拠 点 を 設 けることで 対 処 所 要 時 間 を 半 分 に 短 縮 できる と 語 っている これらの 拠 点 には 燃 料 補 給 所 とともに 海 洋 調 査 関 連 装 備 も 置 かれ 科 学 者 も 常 駐 する また 農 林 水 産 食 品 部 の 船 艇 も 配 備 される 2012 年 中 に 建 設 場 所 が 決 められ 2014 年 に 建 設 開 始 2018 年 の 完 成 が 見 込 まれている 記 事 参 照 :New Island Bases to Help Fight Against Illegal Chinese Fishing http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2012/03/14/2012031400913.html 関 連 記 事 韓 国 中 国 漁 民 の 不 法 操 業 監 視 にハイテク 巡 視 船 配 備 (The Korea Herald, March 7, 2012) 韓 国 の 農 林 水 産 食 品 部 は 7 日 韓 国 の 領 海 および EEZ 内 における 中 国 漁 民 の 不 法 操 業 を 効 果 的 に 監 視 できるハイテク 巡 視 船 の 就 役 式 典 を 釜 山 港 で 行 った この 巡 視 船 は 国 花 の 名 を 冠 した 1,258 トンのハイテク 装 備 の 無 窮 花 I (Mugunghwa I)で 現 有 巡 視 船 の 多 くが 装 備 していない 電 子 海 図 表 示 装 置 自 動 操 縦 装 置 暗 視 カメラを 備 え 最 高 時 速 17 ノットで 航 行 できる 記 事 要 旨 : 韓 国 の 農 林 水 産 食 品 部 は 7 日 韓 国 の 領 海 および EEZ 内 における 中 国 漁 民 の 不 法 操 業 を 効 果 的 に 監 視 できるハイテク 巡 視 船 の 就 役 式 典 を 釜 山 港 で 行 った この 巡 視 船 は 国 花 の 名 を 冠 した 1,258 トンのハイテク 装 備 の 無 窮 花 I (Mugunghwa I)で 2010 年 8 月 に 15 億 ウォンで 建 造 された この 巡 視 船 は 現 有 巡 視 船 の 多 くが 装 備 していない 電 子 海 図 表 示 装 置 自 動 操 縦 装 置 暗 視 カメラを 備 え 最 高 時 速 17 ノットだが 搭 載 している 救 命 ボートは 最 高 時 速 30 ノットで 航 行 で 16

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) きる 農 林 水 産 食 品 部 は 更 に 4 隻 の 次 世 代 巡 視 船 を 2015 年 までに 配 備 し 領 海 および EEZ 内 に おける 不 法 操 業 の 取 り 締 まりに 当 てる 韓 国 は 現 在 主 に 中 国 と 日 本 の 漁 業 取 り 締 まり 用 の 巡 視 船 を 34 隻 保 有 している 記 事 参 照 :High-tech patrol vessel deployed to counter illegal Chinese fishing http://www.koreatimes.co.kr/www/news/biz/2012/03/%20%20123_106417.html Korea s latest Coast Guard patrol ship, 無 窮 花 I (Mugunghwa I) 3 月 14 日 中 韓 両 国 の 海 洋 境 界 争 い 東 シナ 海 の 暗 礁 (The Wall Street Journal, March 14, 2012) 14 日 付 けの 米 紙 The Wall Street Journal は 東 シナ 海 の 暗 礁 を 巡 る 中 国 と 韓 国 の 海 洋 境 界 争 い を 報 じている 争 点 となっている 東 シナ 海 の 暗 礁 は 韓 国 名 離 於 島 中 国 名 を 蘇 岩 礁 と 言 い 海 面 下 4~5 メートルにある 中 韓 両 国 の EEZ は 重 複 しており 両 国 は 離 於 島 / 蘇 岩 礁 を 自 国 の EEZ 内 に あると 主 張 してきた 両 国 はこれまで 16 回 の 海 洋 境 界 画 定 交 渉 を 行 ってきたが 合 意 には 至 ってい ない 記 事 要 旨 :14 日 付 けの 米 紙 The Wall Street Journal は 東 シナ 海 の 暗 礁 を 巡 る 中 国 と 韓 国 の 海 洋 境 界 争 いを 報 じている 争 点 となっている 東 シナ 海 の 暗 礁 は 韓 国 名 離 於 島 中 国 名 を 蘇 岩 礁 と 言 い 海 面 下 4~5 メートルにある それによれば 事 の 発 端 は 中 国 の 劉 賜 貴 国 家 海 洋 局 長 によ る 3 月 初 めの 新 華 社 とのインタビューでの 発 言 である 劉 局 長 は 現 在 中 国 が 海 洋 監 視 船 と 航 空 機 で 常 時 哨 戒 している 海 域 は 全 て 中 国 の 管 轄 海 域 である と 述 べた 上 で 常 時 哨 戒 海 域 を 北 は 鴨 緑 江 河 口 から 東 は 沖 縄 トラフ そして 南 はジェームス 環 礁 ( 南 シナ 海 で 中 国 が 領 有 権 を 主 張 する 最 南 端 の 環 礁 台 湾 とマレーシアも 領 有 権 を 主 張 )までを 含 む 海 域 と 定 義 した これに 対 して 韓 国 の 李 明 博 大 統 領 は 12 日 離 於 島 は 韓 国 の 自 然 な 管 轄 海 域 にある とし この 問 題 は 離 於 島 が 海 面 下 4~5 メートルにあることから 領 土 紛 争 ではないが 韓 国 の EEZ 内 にある と 言 明 した また 韓 国 外 交 通 商 部 も 同 日 韓 国 駐 在 中 国 大 使 に 抗 議 した 国 連 海 洋 法 条 約 では EEZ の 境 界 確 定 は 関 係 当 事 国 の 交 渉 に 委 ねられている 中 韓 両 国 の EEZ は 重 複 しており 両 国 は 離 於 島 / 蘇 岩 礁 を 自 国 の EEZ 内 に あると 主 張 してきた 離 於 島 / 蘇 岩 礁 は 韓 国 本 土 から 最 短 で 約 90 カイリ 中 国 本 土 から 最 短 で 約 155 カイリの 位 置 にある 韓 国 は ここに 海 洋 調 査 基 地 を 建 設 している 両 国 はこれまで 16 回 の 海 洋 境 界 画 定 交 渉 を 行 ってきたが 合 意 には 至 っていない 一 方 中 国 外 務 省 報 道 官 は 12 日 蘇 巌 礁 / 離 於 島 は 領 有 権 紛 争 の 対 象 ではないが 中 韓 両 国 間 の 交 渉 によって 解 決 すべき 管 轄 権 を 巡 る 問 題 であり 解 決 に 至 るまでいずれの 側 もこの 海 域 で 一 方 的 行 動 をとるべきではない と 述 べた 17

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) 記 事 参 照 :China, South Korea in Row Over Submerged Rock http://blogs.wsj.com/korearealtime/2012/03/14/china-south-korea-in-row-over-subme rged-rock/ 韓 国 が 建 設 した 離 於 島 の 海 洋 総 合 科 学 基 地 出 典 : 聯 合 通 信 2006 年 9 月 14 日 備 考 : 離 於 島 / 蘇 岩 礁 は 海 面 下 4~5 メートルにあり 低 潮 線 は 領 海 の 幅 を 測 定 するための 基 線 と して 用 いることができる と 国 連 海 洋 法 条 約 第 13 条 第 1 項 に 規 定 される 干 潮 時 に 岩 頂 を 水 面 上 に 出 す 低 潮 高 地 (low-tide elevate)ではない 3 月 14 日 国 際 海 洋 法 裁 判 所 バングラデシュ ミャンマー 間 海 洋 境 界 画 定 紛 争 に 判 決 (RSIS Commentaries, No. 048, March 20, 2012) 国 際 海 洋 法 裁 判 所 (The International Tribunal for the Law of the Sea: ITLOS)は 14 日 ベン ガル 湾 のバングラデシュ ミャンマー 間 海 洋 境 界 画 定 紛 争 に 関 して 判 決 を 下 した この 海 洋 境 界 画 定 紛 争 に 関 する 初 めての ITLOS の 判 決 について シンガポールのシンクタンク The S. Rajaratnam School of International Studies(RSIS)の 顧 問 サム ベートマン(Sam Bateman) は 20 日 付 けの RSIS Commentaries に Solving Maritime Disputes: The Bangladesh-Myanmar Way と 題 する 論 説 を 寄 稿 し 両 国 間 の 紛 争 が 平 和 的 に 解 決 されたが この 判 決 は 必 ずしも 他 の 紛 争 解 決 の 先 例 とはならないと 指 摘 している 記 事 要 旨 :シンガポールのシンクタンク The S. Rajaratnam School of International Studies (RSIS)の 顧 問 サム ベートマン(Sam Bateman)は 20 日 付 けの RSIS Commentaries に Solving Maritime Disputes: The Bangladesh-Myanmar Way と 題 する 論 説 を 寄 稿 した 国 際 海 洋 法 裁 判 所 (The International Tribunal for the Law of the Sea: ITLOS)は 14 日 ベンガル 湾 のバングラデシ ュ ミャンマー 間 海 洋 境 界 画 定 紛 争 に 関 して 判 決 を 下 した この 海 洋 境 界 画 定 紛 争 に 関 する 初 め ての ITLOS の 判 決 について ベートマンは 両 国 間 の 紛 争 が 平 和 的 に 解 決 されたが この 判 決 は 必 ずしも 他 の 紛 争 解 決 の 先 例 とはならないとして 要 旨 以 下 の 諸 点 を 指 摘 している (1)ITLOS は 両 国 間 の 海 洋 境 界 として 調 整 された 等 距 離 線 を 決 定 した この 線 は 等 距 離 線 あるいは 中 間 線 よりも むしろバングラデシュに 有 利 なものとなった それでもまだ この 線 18

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) は 争 点 となった 海 域 の 半 分 以 上 を バングラデシュによりミャンマーに 帰 属 させること になった 海 洋 境 界 画 定 紛 争 ではよくあることだが ITLOS の 判 決 には 明 白 な 勝 者 も 敗 者 もいない バングラデシュのモニ 外 相 は 自 国 の 勝 利 と 主 張 した しかし 逆 に 言 え ば ミャンマーにとっても 勝 利 を 主 張 できるかもしれない 何 故 なら 判 決 では バング ラ 領 のセントマーティン 島 が EEZ と 大 陸 棚 の 境 界 画 定 に 何 ら 影 響 を 及 ぼさないとされ 争 点 となった 海 域 をより 多 く 確 保 したからである (2)バングラデシュとミャンマーの 紛 争 は ITLOS に 付 託 された 最 初 の 海 洋 境 界 画 定 紛 争 であっ た ITLOS がこの 判 決 に 至 った 多 くの 技 術 的 な 議 論 があった 海 洋 境 界 線 の 画 定 の 原 則 は より 複 雑 になってきている 地 理 的 要 素 や 等 距 離 概 念 に 加 えて 経 済 的 物 理 的 あるいは 社 会 的 な いわゆる 衡 平 原 則 も 考 慮 される しかし 衡 平 原 則 とは 何 かについて 受 け 入 れられた 定 義 はない (3)ITLOS 判 決 の 興 味 深 い 点 は 中 国 の 高 之 国 判 事 の 個 別 意 見 である 高 判 事 は 判 決 に 反 対 票 を 投 じているわけではないが 高 判 事 の 意 見 はおおよそ 東 シナ 海 と 南 シナ 海 における 海 洋 紛 争 における 中 国 の 立 場 と 軌 を 一 にしているからである 第 1 に 高 判 事 は 等 距 離 関 連 事 情 原 則 (the equidistance/relevant circumstances method)が ベンガル 湾 の 凹 面 状 の 地 形 を 考 慮 に 入 れておらず その 結 果 若 干 の 不 衡 平 が 生 じたことから 海 峡 境 界 画 定 方 法 としては 適 切 でない と 述 べた この 見 解 は 東 シナ 海 における 海 洋 境 界 を 画 定 するに 当 たっての 中 国 と 日 本 の 主 張 の 対 立 に 関 連 している 第 2 に 高 判 事 は セントマーティン 島 の 取 り 扱 いを 間 違 いとしている 高 判 事 は この 島 が 国 連 海 洋 法 条 約 (UNCLOS)に 規 定 する 島 の 性 格 を 満 たしており 従 って EEZ を 有 する と 主 張 している ここでも 高 判 事 は 中 国 が 南 シナ 海 で 領 有 権 を 主 張 するいくつかの 島 が UNCLOS の 規 定 する 完 全 な 島 であるとする 中 国 の 立 場 を 擁 護 しているようである しかし 他 の 領 有 権 主 張 国 はこうした 見 解 を 共 有 していない そして 第 3 に 高 判 事 は 判 決 が 大 陸 棚 の 限 界 と 海 洋 境 界 を 決 定 するに 当 たって 沿 岸 国 の 領 土 の 自 然 延 長 論 をとっていないことに 疑 問 を 呈 している 高 判 事 の 意 見 は 東 シナ 海 における 日 本 との 海 洋 境 界 紛 争 に 対 する 中 国 の 立 場 を 反 映 している (4)ITLOS の 判 決 は ベンガル 湾 における 主 要 な 紛 争 要 因 を 解 決 するもので 海 洋 境 界 を 巡 る 紛 争 が 政 治 的 意 志 によって 平 和 裏 に 解 決 し 得 ることを 示 した しかしながら この 判 決 は 海 洋 境 界 紛 争 を 争 って ITLOS に 持 ち 込 もうとする 動 きをもたらすことにはならないであろう 他 の 地 域 特 に 南 シナ 海 における 海 洋 境 界 画 定 を 巡 る 紛 争 は 国 際 的 な 仲 裁 に 委 ねることが 不 利 に 作 用 する 可 能 性 があるからである 紛 争 当 事 国 は 判 決 結 果 が 自 国 の 意 に 反 するかもしれな いという 理 由 だけで 国 際 的 な 仲 裁 に 委 ねること 躊 躇 するであろう 従 って ITLOS の 判 決 は 必 ずしも 他 の 海 洋 境 界 画 定 紛 争 の 先 例 になるわけではない 結 局 海 洋 境 界 画 定 紛 争 解 決 は 本 質 的 に 政 治 的 ものであり その 解 決 が 第 3 国 に 如 何 なる 影 響 も 及 ぼさなければ どんな 境 界 線 でも 2 国 間 で 合 意 できるものである 記 事 参 照 :Solving Maritime Disputes: The Bangladesh-Myanmar Way http://www.rsis.edu.sg/publications/perspective/rsis0482012.pdf 備 考 : 以 下 の 地 図 は 判 決 文 に 掲 載 された 地 図 の 一 部 である 19

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) 20

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) バングラデシュ ミャンマー 間 海 洋 境 界 線 判 決 文 http://www.itlos.org/fileadmin/itlos/documents/cases/case_no_16/1-c16_judgment_14_02_2012.pdf The separate opinion of Judge Zhiguo Gao from China http://www.itlos.org/fileadmin/itlos/documents/cases/case_no_16/9-c16.sep_op.gao.withmaps.ori g.e.pdf 1.5 海 運 造 船 港 湾 3 月 9 日 ハイブリッド 自 動 車 船 進 水 商 船 三 井 ( 商 船 三 井 プレスリリース 2012 年 3 月 9 日 ) 商 船 三 井 の 9 日 付 プレスリリースによれば 2009 年 に 国 土 交 通 省 の 船 舶 からの CO2 削 減 技 術 開 発 支 援 事 業 に 採 択 された 同 社 の 停 泊 中 ゼロエミッションを 目 指 したハイブリッド 自 動 車 船 は 9 日 Emerald Ace と 命 名 され 三 菱 重 工 神 戸 造 船 所 において 進 水 した 記 事 要 旨 : 商 船 三 井 の 9 日 付 プレスリリースによれば 2009 年 に 国 土 交 通 省 の 船 舶 からの CO2 削 減 技 術 開 発 支 援 事 業 に 採 択 された 同 社 の 停 泊 中 ゼロエミッションを 目 指 したハイブリッド 自 動 車 船 は 9 日 Emerald Ace と 命 名 され 三 菱 重 工 神 戸 造 船 所 において 進 水 した 該 船 は 今 後 開 発 したハイブリッドシステムを 使 った 試 運 転 を 経 て 2012 年 6 月 には 世 界 初 の 新 造 ハイブリッド 自 動 車 船 として 竣 工 することになっている 該 船 のハイブリッドシステムは 同 社 が 2009 年 9 月 に 発 表 した 次 世 代 船 シリーズ ISHIN-I 自 動 車 船 の 未 来 像 の 実 現 に 向 けたステップの 1 つである 該 船 に は 同 社 が 三 菱 重 工 パナソニックグループ エナジー 社 と 共 同 で 開 発 した 約 160kW の 太 陽 光 発 電 システムと 実 力 値 で 約 2.2MWh の 電 力 量 のリチウムイオン 電 池 を 組 み 合 わせた ハイブリッド 給 電 システムが 搭 載 される 従 来 の 発 電 システムでは 停 泊 中 の 船 内 の 電 力 供 給 にディーゼル 発 電 機 21

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) が 使 用 されたが 該 船 では 航 海 中 に 太 陽 光 発 電 システムで 発 電 した 電 力 をリチウムイオン 電 池 に 蓄 え その 電 力 を 使 用 することで 停 泊 中 にディーゼル 発 電 機 を 完 全 停 止 して 停 泊 中 ゼロエミッショ ン を 実 現 する 該 船 の 載 貨 台 数 は 6,400 台 ( 基 準 小 型 車 換 算 )である 記 事 参 照 :ハイブリッド 自 動 車 船 EMERALD ACE の 進 水 式 を 挙 行 ~ 停 泊 中 ゼロエミッション の 実 現 に 向 けて~ http://www.mol.co.jp/pr-j/2012/j-pr-1217.html ハイブリッド 自 動 車 船 Emerald Ace の 進 水 式 出 典 : 商 船 三 井 プレスリリース 2012 年 3 月 9 日 1.6 海 洋 資 源 エネルギー 海 洋 環 境 その 他 3 月 3 日 老 朽 艦 撃 沈 処 理 の 課 題 米 海 軍 (AP, March 3, 2012) 3 日 付 AP は 米 海 軍 の 老 朽 艦 撃 沈 処 理 が 海 洋 環 境 に 及 ぼす 影 響 について (1) 海 軍 は 撃 沈 処 理 を "Sinkex" 計 画 として 実 弾 射 撃 演 習 と 兵 器 の 攻 撃 効 果 を 実 見 する 重 要 な 国 家 安 全 保 障 上 の 任 務 と 位 置 づけてきた (2)しかし 海 軍 は 一 方 で 軍 事 訓 練 の 要 請 と 海 洋 環 境 への 配 慮 との 間 で 苦 慮 してき た と 報 じている 記 事 要 旨 :3 日 付 AP は 米 海 軍 の 老 朽 艦 撃 沈 処 理 における 環 境 への 影 響 について 要 旨 以 下 の 諸 点 を 指 摘 している (1) 空 母 USS America は 2005 年 バージニア 州 ノーホーク 沖 南 東 約 300 カイリの 海 底 にミサ イルと 爆 弾 で 撃 沈 処 理 された 海 軍 の 文 書 では 同 艦 には 1979 年 に 米 国 で 禁 止 された 化 学 剤 ポリ 塩 化 ビフェニール(PCB)が 500 ポンド 以 上 も 残 っていた 海 軍 はこの 12 年 間 109 隻 の 老 朽 艦 を カリホルニア ハワイ フロリダなどの 各 州 沖 合 で ミサイル 魚 雷 あるいは 爆 弾 で 撃 沈 処 理 してきた この 間 他 の 64 隻 の 老 朽 艦 が 米 国 内 6 カ 所 の 公 認 解 撤 施 設 でリサ イクルされた 海 軍 は 撃 沈 処 理 を"Sinkex" 計 画 として 実 弾 射 撃 演 習 と 兵 器 の 攻 撃 効 果 を 実 見 する 重 要 な 国 家 安 全 保 障 上 の 任 務 と 位 置 づけてきた (2)しかし 海 軍 は 一 方 で 軍 事 訓 練 の 要 請 と 海 洋 環 境 への 配 慮 との 間 で 苦 慮 してきた 環 境 保 護 庁 (EPA)と 海 軍 の 合 意 文 書 では 海 軍 は 撃 沈 処 理 艦 の 有 害 物 資 をどの 程 度 除 去 し どの 程 22

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) 度 残 留 していたかについて 文 書 で 報 告 することになっている AP の 調 査 では 2000 年 以 来 の 海 軍 の 報 告 文 書 では PCB とその 他 の 有 害 物 資 についての 見 積 は 不 完 全 で 矛 盾 したもの である 例 えば 海 軍 は 2008 年 ペルシャ 湾 にも 派 遣 された 排 水 量 約 7,000 トンの 駆 逐 艦 USS David R. Ray について PCB は 残 留 していない と 報 告 している しかし その 前 年 同 程 度 の 大 きさの 誘 導 ミサイル 巡 洋 艦 USS Jouett については PCB を 含 む 100 ポンド 以 上 の 有 害 物 資 が 残 っている と 報 告 している (3) 海 軍 は 撃 沈 処 理 艦 から 事 前 に 有 害 物 資 を 除 去 するためには 50 万 ~60 万 ドルの 費 用 がかか り 除 去 作 業 の 総 経 費 はこれよりはるかに 多 くなる 解 撤 業 者 によれば 海 軍 の 大 型 艦 のリサ イクル 経 費 は 通 常 数 千 万 ドルになるという 海 軍 の 定 義 では 除 去 作 業 は 全 ての 液 体 PCB 燃 料 水 銀 及 びその 他 の 汚 染 物 資 を 取 り 除 くことをいう (4) 海 軍 は 1990 年 代 に PCB の 廃 棄 を 禁 止 する 連 邦 法 に 抵 触 するとの 懸 念 から 2 年 間 にわたっ て"Sinkex" 計 画 の 中 断 を 余 儀 なくされたことがある この 時 には 多 くの 老 朽 艦 がバングラ デシュや 東 南 アジア 諸 国 の 解 撤 施 設 に 送 られた これらの 施 設 では 米 国 内 の 施 設 よりはるか に 安 い 経 費 で 解 撤 された しかし 米 政 府 は 1998 年 海 外 での 解 撤 を 禁 止 した EPA は 1999 年 "Sinkex" 計 画 を 連 邦 汚 染 防 止 法 の 適 用 外 とした 海 軍 は 沿 岸 から 少 なくとも 50 カイリ 離 れた 推 進 6,000 フィート 以 上 の 海 域 で"Sinkex" 計 画 を 再 開 した (5)"Sinkex" 計 画 は 海 洋 汚 染 の 懸 念 を 生 んでいる 2006 年 にフロリダ 州 ペンサコラ 沖 合 に 人 工 漁 礁 として 沈 められた 空 母 USS Oriskany の 近 くで 捕 れた 魚 から PCB が 検 出 されたことから 懸 念 を 高 めた フロリダ 州 の 年 次 モニタリング 調 査 では 最 初 の 2 年 間 は 州 の 安 全 基 準 50ppb EPA の 基 準 20ppb のいずれよりも 多 かった その 後 汚 染 レベルは 全 体 的 に 低 下 しているが 一 部 では 依 然 州 EPA の 基 準 を 超 えている 米 国 内 の 解 撤 業 者 は 雇 用 促 進 と 環 境 汚 染 の 両 面 からより 多 くの 艦 艇 を"Sinkex" 計 画 からリサイクルに 回 すべきと 主 張 している 記 事 参 照 :AP ENTERPRISE: Navy 'Sinkex' raises pollution fear http://www.google.com/hostednews/ap/article/aleqm5jlrt6vbnlp2dkwf77g2pvvx ske2w?docid=22325cbde666483e8c2a48cecdae3817 3 月 8 日 米 海 軍 藻 類 ブレンド 燃 料 による 実 働 艦 の 航 行 テストに 成 功 (The Naval Sea Systems Command, U.S. Navy, March 8, and UPI, March 14, 2012) 米 海 軍 は 2 日 誘 導 ミサイルフリゲート USS Ford(FFG 54)で 母 港 のワシントン 州 エバレッ トからサンディエゴまで 藻 類 と 海 軍 艦 艇 の 標 準 石 油 燃 料 F-76 とを 50 対 50 でブレンドした 燃 料 を 使 用 して 現 役 の 実 働 艦 による 初 めての 航 行 テストを 行 った 記 事 要 旨 : 米 海 軍 の The Naval Sea Systems Command が 8 日 に 明 らかにしたところによれば 誘 導 ミサイルフリゲート USS Ford(FFG 54)は 2 日 母 港 のワシントン 州 エバレットからサンデ ィエゴまで 藻 類 と 海 軍 艦 艇 の 標 準 石 油 燃 料 F-76 とを 50 対 50 でブレンドした 燃 料 2 万 5,000 ガロ ンを 同 艦 のガスタービン エンジンに 使 用 して 航 行 テストを 行 った 藻 類 ブレンド 燃 料 による USS Ford( 基 準 排 水 量 4,100 トン)の 航 行 テストは 現 役 の 実 働 艦 によるテストとしては 初 めてである ブレンド 燃 料 使 用 に 当 たっては 同 艦 のインフラや 燃 料 注 入 口 に 何 ら 改 修 を 施 さなかった また ブ レンド 燃 料 によるガスタービン エンジンの 運 用 性 能 は 標 準 石 油 燃 料 F-76 によるものに 匹 敵 でき るものであった 藻 類 による 燃 料 は 豊 富 な 海 洋 資 源 からの 再 生 可 能 エネルギーの 生 産 に 関 心 を 高 め 一 方 で 近 年 の 食 料 として 栽 培 された 穀 物 からのバイオ 燃 料 離 れを 促 す 方 向 への 期 待 を 高 めた 23

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) 記 事 参 照 :USS Ford(FFG 54)Conducts Operational Transit on Alternative Fuel Blend http://www.navsea.navy.mil/lists/newswires/dispform.aspx?id=21 U.S. Navy OKs test with algal fuel blend http://www.upi.com/business_news/security-industry/2012/03/14/us-navy-oks-tes t-with-algal-fuel-blend/upi-75901331724326/ USS Ford (FFG 54) Source: U.S. Navy USS Ford Official HP 24

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) 2. 情 報 分 析 ソマリアの 海 賊 が 世 界 経 済 に 与 えるインパクト 各 種 対 処 費 用 の 見 積 ~ 米 シンクタンク 報 告 書 から ~ 米 国 コロラド 州 のシンクタンク The One Earth Future Foundation によるプロジェクト Oceans Beyond Piracy は 2 月 8 日 ソマリアの 海 賊 が 世 界 経 済 に 与 えるインパクトに 関 する 報 告 書 The Economic Cost of Somali Piracy 2011 1 を 公 表 した( 以 下 報 告 書 ) それによると ソマリアの 海 賊 が 世 界 経 済 に 与 えるインパクトの 80%が 海 運 業 界 の 負 担 になっており 残 りの 20%が 各 国 政 府 の 海 賊 対 処 費 用 となっている 報 告 書 の 見 積 もりでは その 総 額 は 66 億 ~69 億 米 ドル( 金 額 は 推 定 単 位 は 米 ドル 以 下 同 じ)に 達 すると 見 られる 報 告 書 は ソマリアの 海 賊 が 世 界 経 済 に 与 えるインパ クトを 見 積 もるに 当 たって 9 つのコスト 要 因 を 取 り 上 げ 各 種 の 資 料 を 総 合 してそれらに 関 わる 費 用 を 見 積 もっている 以 下 各 要 因 の 費 用 見 積 りを 紹 介 する なお 関 連 諸 表 等 は 記 述 の 都 合 上 巻 末 に 掲 載 した 1.Ransoms: 1 億 5,962 万 ドル 報 告 書 によれば 2011 年 には 31 隻 の 解 放 に 当 たって 1 億 5,962 万 ドルの 身 代 金 が 支 払 われたが その 平 均 金 額 は 497 万 ドルで 2010 年 の 約 400 万 ドルより 増 大 している ( 表 1 参 照 )2011 年 のハ イジャック 成 功 率 は 13%で 2010 年 の 27%から 低 下 したが 海 賊 は 減 少 したハイジャック 船 の 解 放 によって 収 入 増 を 図 るため 身 代 金 そのものは 増 額 となった 最 も 高 額 の 身 代 金 は 2 月 9 日 にハイ ジャックされ 4 月 7 日 に 解 放 された ギリシャ 籍 船 で 同 国 船 社 所 有 の VLCC MV Irene SL (319,247DWT)に 対 するもので 1,350 万 ドルであった 因 みに これまでの 最 高 額 は 2010 年 4 月 4 日 にハイジャックされ 11 月 6 日 に 解 放 された 韓 国 の 船 社 が 運 航 するマーシャル 籍 船 の VLCC MV Sambo Dream(319,000DWT)で 950 万 ドルであった これら 2 隻 の VLCC は いずれも 原 油 を 満 載 していた なお 身 代 金 支 払 いから 人 質 となった 船 員 の 解 放 に 至 るまでの 平 均 期 間 は 6 カ 月 間 となっている 2.Insurance: 6 億 3,500 万 ドル (1) 報 告 書 によれば 戦 争 リスク(War Risk)と 拉 致 身 代 金 (Kidnap and Ransom: K&R)が 追 加 保 険 の 主 要 項 目 である 戦 争 リスク 海 域 ( war risk areas )を 航 行 する 船 舶 は 戦 争 リスク 追 加 保 険 料 を 要 求 される 戦 争 リスク 海 域 は ロンドンにある The Lloyds Market Association (LMA)Joint War Committee によって 決 められる 報 告 書 によれば 2111 年 1 月 現 在 戦 争 リスク 海 域 は インド 洋 の 相 当 部 分 アデン 湾 紅 海 およびオマーン 湾 をカバーしている 一 方 で 戦 争 リスク 追 加 保 険 料 は もし 該 船 が 民 間 武 装 警 備 員 を 雇 用 したり あるいは 船 内 に 安 全 1 The Economic Cost of Somali Piracy 2011 http://oceansbeyondpiracy.org/sites/default/files/economic_cost_of_piracy_2011.pdf See also, The Economic Cost of Somali Piracy 2010 http://oceansbeyondpiracy.org/sites/default/files/documents_old/the_economic_cost_of_piracy_f ull_report.pdf 25

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) 区 画 (citadel) 有 刺 鉄 線 や 音 響 装 置 などの 安 全 措 置 を 施 したりしていれば 追 加 保 険 料 を 減 額 された (2)K&R 保 険 料 は 乗 組 員 を 保 護 するためのものである 報 告 書 によれば これは 戦 争 リスク 追 加 保 険 料 に 対 する 有 効 な 追 加 保 険 で ハイジャックされた 場 合 広 報 関 係 解 放 交 渉 医 療 心 理 対 処 身 代 金 の 運 搬 および 人 質 家 族 の 渡 航 費 用 など 費 用 にしばしば 利 用 される (3) 報 告 書 は 海 賊 関 連 保 険 料 の 見 積 もりは 困 難 としながらも 戦 争 リスク 海 域 を 通 航 した 船 舶 の 隻 数 を 積 算 の 基 礎 としている 海 賊 対 処 マニュアル Best Management Practices Version 4 (BMP4) 2 は 海 賊 多 発 海 域 (High Risk Area: HRA)を 通 航 する 全 ての 船 舶 に EU 艦 隊 (EUNAVFOR)の Maritime Security Center Horn of Africa(MSCHOA)に 登 録 することを 求 めている 報 告 書 によれば 以 下 のように 通 航 隻 数 を 算 定 している MSCHOA が 2011 年 10 月 に 明 らかにした 2011 年 1 月 から 8 月 までの 通 航 隻 数 を 基 に 月 間 平 均 通 航 隻 数 を 2,830 隻 と 見 それを 基 に 年 間 通 航 隻 数 を 3 万 3,960 隻 と 見 積 もっている その 上 で BMP4 を 遵 守 して MSCHOA に 登 録 する 船 舶 数 を 全 通 航 隻 数 の 80%と 仮 定 して 2011 年 の 全 通 航 隻 数 を 4 万 2,450 隻 前 後 と 見 積 もっている (4) 報 告 書 は この 4 万 2,450 隻 を 積 算 基 礎 として 各 種 の 要 素 を 勘 案 した 上 で 戦 争 リスク 追 加 保 険 料 を 4 億 2,028 万 7,250 ドル K&R 保 険 料 を 2 億 1,462 万 ドルと 見 積 もっており 従 って 2011 年 に 支 払 われた 海 賊 関 連 保 険 料 は 総 額 6 億 3,500 万 ドル 前 後 と 推 定 している 3.The Cost of Security Equipment and Guards: 10 億 6,400 万 ~11 億 6,000 万 ドル (1)BMP4 は 海 賊 の 襲 撃 を 抑 止 し 防 衛 するために HRA を 航 行 する 船 舶 に 対 して 多 くの 安 全 措 置 を 取 ることを 求 めている 例 えば (a) 見 張 りの 強 化 (b) 船 橋 の 防 衛 とアクセスの 規 制 (c) 有 刺 鉄 線 (d) 水 噴 霧 および 泡 消 火 銃 (e) 襲 撃 回 避 航 行 の 操 船 訓 練 (f)cctv(closed Circuit TV) の 使 用 (g) 上 甲 板 照 明 (h) 警 報 (i) 安 全 区 画 (citadel) 安 全 集 合 ポイントの 設 置 などである Razor Wire 船 舶 の 安 全 措 置 Enhanced Bridge Protection Source: BMP4, p.30 (left), p.28 (right) 2 Refer to BMP4 on the Web site: http://www.cusnc.navy.mil/marlo/guidance/bmp4_web.pdf 26

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) Source: Spiegel Online, November 23, 2010 報 告 書 は 前 述 のように BMP4 を 遵 守 して MSCHOA に 登 録 する 船 舶 数 を 全 通 航 隻 数 の 80%と 仮 定 して 年 間 通 航 隻 数 を 3 万 3,960 隻 と 見 積 もり この 隻 数 を 下 にこれらの 安 全 措 置 の 費 用 を 見 積 もっている それによれば 5 億 3,360 万 9,653 ドル~6 億 2,924 万 8,653 ドルと 推 定 され ている (2)2011 年 には 海 賊 襲 撃 に 対 する 抑 止 措 置 として 船 主 側 が 民 間 の 武 装 警 備 要 員 を 雇 用 して HRA を 航 行 する 船 舶 に 乗 船 させる 事 例 が 増 えてきた 報 告 書 によれば 多 くの 旗 国 が 民 間 の 武 装 警 備 要 員 の 雇 用 を 認 めている また IMO ITF( 国 際 運 輸 労 働 者 連 盟 ) 更 にその 他 の 多 くの 海 運 団 体 も 雇 用 を 認 めている 雇 用 を 認 めている 旗 国 は キプロス デンマーク フィンランド ド イツ ギリシャ 香 港 インド イタリア オランダ ノルウェー スペイン 英 国 及 び 米 国 で ある 英 国 の 民 間 警 備 会 社 によれば 民 間 武 装 警 備 要 員 の 雇 用 は 有 効 な 抑 止 措 置 となっている 英 国 の 民 間 警 備 会 社 Protection Vessels International Ltd.(PVI)の 幹 部 が 2011 年 10 月 18 日 に 明 らかにしたところによれば PVI の 武 装 警 備 員 は 全 て 英 海 兵 隊 出 身 者 で 構 成 され その 平 均 雇 用 費 用 は 1 航 海 当 たり 5 万 ドルで 平 均 乗 船 期 間 は 8 日 間 である 過 去 3 年 半 の 間 に PVI の 武 装 警 備 員 が 乗 船 した 船 舶 は 30 回 海 賊 に 襲 撃 されたが 警 告 射 撃 だけで 死 者 や 負 傷 者 を 出 すこ となく 全 て 撃 退 したという (Bloomberg.com, October18, 2011) 民 間 武 装 警 備 要 員 の 雇 用 に 加 えて 一 部 の 国 では 自 国 の 軍 要 員 を 自 国 籍 船 に 添 乗 させている 国 もある 例 えば タイは 2011 年 7 月 から 11 月 末 までアデン 湾 に 派 遣 した 海 賊 対 処 艦 隊 から アデン 湾 を 航 行 する 自 国 籍 船 に 各 4 人 の 武 装 警 備 要 員 を 添 乗 させた また イタリアは 2011 年 8 月 法 律 を 改 正 し イタリア 海 軍 海 兵 要 員 の 6 人 のチームによる 商 船 への 添 乗 を 認 めた 現 在 60 人 がこの 任 務 に 指 名 されている 2012 年 2 月 15 日 夜 イタリア 籍 船 で 同 国 船 社 所 有 のタン カー MT Enrica Lexie(104,769DWT) 添 乗 のイタリア 海 軍 海 兵 要 員 南 インドのケララ 州 沖 でインド 漁 船 を 海 賊 船 と 間 違 えて 発 砲 し インド 人 漁 民 2 人 を 死 亡 させる 事 案 が 発 生 している 報 告 書 は 2011 年 に HRA を 通 航 する 船 舶 が 民 間 武 装 警 備 要 員 を 添 乗 させた 割 合 を 全 通 航 船 舶 の 約 25%と 見 積 もっている この 数 字 は 2011 年 1 年 間 の 平 均 で 報 告 書 は 2011 年 末 までに は 50% 近 い 割 合 に 達 したと 見 ている その 上 で 報 告 書 は 民 間 武 装 警 備 要 員 を 添 乗 させた 船 舶 を HRA 全 通 航 隻 数 4 万 2,450 隻 の 25% 1 万 612 隻 と 仮 定 し 1 航 海 当 たりの 民 間 武 装 警 備 要 員 費 用 を 平 均 5 万 ドルとして その 総 費 用 を 5 億 3,060 万 ドルと 見 積 もっている 27

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) 報 告 書 は この 費 用 に 加 えて 民 間 警 備 会 社 を 認 定 する 信 用 機 関 に 支 払 う 費 用 も 見 積 もってい る それによれば こうした 機 関 の 中 心 的 存 在 である The Security Association for the Maritime Industry(SAMI)の 加 盟 警 備 会 社 は 約 76 社 で 各 社 平 均 年 間 3,824 ドルを 支 払 っている 従 って この 経 費 は 年 間 29 万 624 ドルということになる (3) 以 上 から 報 告 書 は この 分 野 の 費 用 を 10 億 6,400 万 ~11 億 6,000 万 ドルと 推 定 している 4.Re-routing: 4 億 8,600 万 ドル~6 億 8,000 万 ドル (1) 報 告 書 によれば 海 賊 の 襲 撃 を 避 けるための 迂 回 ルートとして 幾 つかの 要 因 から 2011 年 には 喜 望 峰 周 りの 迂 回 ルートを 選 択 する 船 舶 は 大 幅 に 減 少 した まず 第 1 に 多 くの 船 社 が 民 間 武 装 警 備 要 員 を 雇 用 するようになった これまで 民 間 武 装 警 備 要 員 を 添 乗 させた 船 舶 のハイジャックは 成 功 していないと 見 られる 従 って 船 社 は 民 間 武 装 警 備 要 員 雇 用 費 用 の 方 が 喜 望 峰 周 りの 迂 回 ルートより 費 用 対 効 果 に 優 れていると 考 えてい るようである 第 2 に 海 賊 活 動 海 域 が 拡 大 するに 伴 って 戦 争 リスク 海 域 が 拡 大 されてきたことである 以 下 は 海 賊 の 活 動 海 域 の 拡 大 状 況 である ソマリアの 海 賊 による 襲 撃 海 域 の 拡 大 Source: Daily Mail, December 11, 2011 第 3 に スエズ 運 河 収 入 が 2011 年 に 過 去 最 高 になったことである このことは スエズ 運 河 を 迂 回 する 常 続 的 な 航 行 がないことを 示 唆 している エジプトのスエズ 運 河 庁 は 2011 年 8 月 に アラブ 諸 国 の 混 乱 にもかかわらず 2010/2011 年 年 度 の 運 河 収 入 が 過 去 最 高 の 50 億 5,000 万 ド ルに 達 した と 発 表 した 運 河 庁 によれば これは 対 前 年 度 比 12.7% 増 である 報 告 書 によれば 2011 年 の 迂 回 ルートの 特 徴 は 海 賊 の 活 動 海 域 を 超 えた 東 側 のインド 西 岸 沿 いのルートである シンガポールとオマーン 間 では 通 常 ルートよりほぼ 1 日 余 分 にかかるだ けである 28

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012. 3) (2) 報 告 書 は 迂 回 ルートに 伴 う 費 用 見 積 に 当 たって どの 程 度 の 船 舶 が 迂 回 ルートを 選 択 している かを 正 確 に 割 り 出 すのが 困 難 なことから タンカーとばら 積 船 の 2 つのタイプに 絞 って 推 測 して いる これらの 船 種 は 速 度 が 遅 く ( 満 載 時 の) 乾 舷 が 低 いためにハイジャックの 危 険 性 が 他 の 船 舶 より 大 きい また 一 部 のタンカーは 武 装 警 備 要 員 の 雇 用 を 躊 躇 する 傾 向 にある( 銃 撃 戦 になれば 積 荷 の 原 油 に 引 火 する 可 能 性 が 高 いため)ことも 襲 撃 を 受 けやすい 要 因 となって いる 報 告 書 はまず 2011 年 に HRA を 通 航 した 全 船 舶 の 隻 数 4 万 2,450 隻 の 内 タンカー 8,375 隻 ばら 積 船 6,626 隻 と 見 積 もっている (3)その 上 で これら 2 つのタイプの 船 舶 がどの 程 度 迂 回 ルートを 選 択 したかを 正 確 に 割 り 出 せない ので 報 告 書 は それぞれ 50%が 迂 回 ルートを 選 択 した 場 合 70%が 選 択 した 場 合 を 仮 定 して 迂 回 費 用 を 推 測 している それによれば 2 つのタイプのそれぞれ 50%が 迂 回 ルートを 選 択 した 場 合 その 費 用 は 4 億 8,600 万 ドル 70%の 場 合 6 億 8,000 万 ドルと 見 積 もられている 5.The Cost of Increased Speeds: 27 億 ドル (1) 報 告 書 によれば 現 在 まで 18 ノット 以 上 で 航 行 する 船 舶 は ハイジャックされたことはない そのため BMP4 は HRA を 通 過 するまで 全 速 または 少 なくとも 18 ノット 以 上 の 速 度 で 航 行 するよう 慫 慂 している もちろん 増 速 は 最 も 経 済 的 な 速 度 で 航 行 するよりも 高 速 なので 追 加 コストが 生 じる 多 くの 船 舶 は 海 賊 多 発 海 域 を 航 行 する 時 増 速 する 18 ノットあるいはそれ 以 上 の 速 度 で 航 行 する 船 舶 は これまでハイジャックされていない しかし 増 速 は 燃 料 消 費 を 高 め 特 にコン テナ 船 にとって 経 費 負 担 が 大 きい (2) 報 告 書 は 増 速 による 費 用 計 算 のために コンテナ 船 を 取 り 上 げている コンテナ 船 は 他 の 船 種 より 高 速 航 行 が 可 能 だが ここ 1~2 年 燃 料 経 費 節 減 のため 減 速 航 行 を 実 施 してきた 例 えば 世 界 最 大 のコンテナ 船 運 航 会 社 AP Moller-Maersk によれば 同 社 運 航 のコンテナ 船 は 2010 年 に super slow steaming といわれる 12 ノットで 航 行 するよう 指 示 され 2010 年 の 平 均 速 度 は 11.4 ノットであった 報 告 書 は 海 賊 の 危 険 がない 海 域 でのコンテナ 船 の 平 均 速 度 を 12 ノットと 仮 定 している その 上 で 報 告 書 は 以 下 の 仮 定 を 設 けて 増 速 に 伴 う 費 用 を 計 算 している (a)コンテナ 船 がインド 洋 の 南 部 北 部 を 航 行 する 場 合 ( 通 常 の 経 済 速 度 12 ノットから)13 ノットに 増 速 して 航 行 する (b)コンテナ 船 がソマリア 北 東 部 海 域 に 向 かう 時 とアデン 湾 を 通 航 する 時 には 18 ノットから 20 ノットで 航 行 する この 場 合 オマーンからイエメン パキスタンからイエメンの 2 つ の 航 路 を 想 定 している (c)hra を 航 行 するコンテナ 船 の 約 20%がインド 洋 を 航 行 せず アデン 湾 を 通 航 して 欧 州 と 結 ぶ 航 路 を 航 行 する 2011 年 に HRA を 通 航 したコンテナ 船 は 約 1 万 6,165 隻 で その 20% は 3,233 隻 となる (d) 残 りの 80% 1 万 2,932 隻 について その 航 路 の 約 50%(スリランカからパキスタンまで の 1,613 カイリ)を 13 ノットで 航 行 し 残 りの 50%(パキスタンからイエメンまでの 1,601 カイリ)を 18 ノットで 航 行 する (3) 報 告 書 は 以 上 の 仮 定 に 基 づいて HRA 通 航 時 の 増 速 に 伴 う 費 用 を 27 億 ドルと 見 積 もっている 29

海 洋 安 全 保 障 情 報 (2012.3) 6.The Cost to Labor: 1 億 9,506 万 ドル (1) 報 告 書 によれば 2011 年 にソマリアの 海 賊 に 人 質 となった 船 員 は 1,118 人 その 内 24 人 が 死 亡 している ITF( 国 際 運 輸 労 働 者 連 盟 )と 船 主 及 び 運 航 社 との 間 の 協 定 では 船 員 は HRA を 通 航 する 間 船 員 は 基 本 給 の 100%に 相 当 する 補 償 金 を 死 亡 したり 不 虞 になったりした 場 合 は 200%の 補 償 金 を 受 け 取 る また フィリピン 政 府 は 同 国 の 船 員 を 雇 用 する 全 ての 運 航 社 に 対 して HRA を 通 航 時 危 険 手 当 として 給 与 を 倍 増 することを 要 請 している フィリピン 人 船 員 は 全 船 員 の 25% 前 後 を 占 める (2) 報 告 書 は HRA 通 航 に 7 日 間 を 要 し 各 船 1 日 当 たり 平 均 約 2,100 ドルの 危 険 手 当 を 支 払 うと すれば 各 船 当 たり 1 万 4,700 ドルになる と 仮 定 している その 上 で もし HRA を 通 航 する 4 万 2,450 隻 の 全 船 員 が 危 険 手 当 を 受 け 取 るとすれば 単 純 計 算 で 約 6 億 2,400 万 ドルになる しかしながら 全 ての 船 主 がこうした 協 定 を 締 結 しているわけではなく 報 告 書 は HRA 通 航 船 舶 の 30%の 船 員 が 危 険 手 当 を 受 け 取 っていると 仮 定 して その 額 を 1 億 8,720 万 4,500 ドル と 見 積 もっている (3)ITF との 協 定 は 人 質 となった 船 員 に 対 する 200% 補 償 金 も 含 まれる 報 告 書 によれば 2010 年 にハイジャックされた 船 舶 の 内 28 隻 は 2011 年 の 一 時 期 あるいは 年 間 を 通 して 拘 束 され 更 に 25 隻 が 2011 年 にハイジャックされ 計 53 隻 が 拘 束 され 1,118 人 が 人 質 となった ハイジャッ ク 船 の 1 隻 当 たりの 船 員 の 数 は 平 均 20 人 で 2,100 ドルの 危 険 手 当 を 受 け 取 るとすれば 全 拘 束 期 間 を 平 均 6 カ 月 として その 総 額 は 3,910 万 ドルとなる しかしながら 危 険 手 当 を 全 てのフィ リピン 人 船 員 と ITF 協 定 対 象 船 員 に 限 定 すれば 2011 年 の 場 合 全 人 質 の 20%がフィリピン 人 船 員 53 隻 の 内 5 隻 が ITF 協 定 対 象 船 舶 であった 従 って その 総 額 は 787 万 ドルとなる (4) 以 上 から 報 告 書 は 2011 年 の 船 員 に 対 する 海 賊 関 連 の 手 当 金 を 1 億 9,506 万 ドルと 見 積 もっ ている 7.The Cost of Prosecutions and Imprisonment: 1,642 万 9,631 ドル (1) 報 告 書 によれば 最 近 数 年 間 で 20 カ 国 が 海 賊 容 疑 者 1,089 人 を 逮 捕 拘 束 あるいは 起 訴 した 表 2 は 各 国 別 の 内 訳 である 報 告 書 は 勾 留 と 裁 判 の 経 費 を 算 出 するために 経 済 発 展 レベル と 裁 判 経 費 を 勘 案 して アフリカ アジア 欧 州 日 本 及 び 北 米 の 4 グループに 分 けている (2) 報 告 書 は 国 連 その 他 からこの 分 野 の 経 費 を 支 援 されている ケニアの 143 人 とセイシェルの 64 人 の 計 207 人 を 除 いた 882 人 を 対 象 として 経 費 を 算 定 している それによれば 下 表 のよ うに 2011 年 のこの 分 野 の 経 費 は 1,642 万 9,631 ドルとなっている 地 域 未 決 勾 留 数 年 間 勾 留 費 起 訴 裁 判 中 裁 判 費 合 計 地 域 毎 総 経 費 ( 人 ) ( 人 ) アフリカ 624 455,520 25 5,950 461,470 アジア 158 53,427.70 151 1,173421 1,226,849 欧 州 日 本 72 3,469,464 28 1,873,956 5,343,420 北 米 28 791,952 28 8,605,940 9,397,892 総 計 882 232 16,429,631 Source: The Economic Cost of Somali Piracy 2011, p.24, Table 5 より 作 成 30