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制 度 の 概 要 H 以 前 H 以 降 H 以 降 H 以 降 に よる 課 9.6% 7.2% 0.48% 0.2% % 0.48% 0.2% 4.3% 0.48% 0.2% 基 準 : 外 形 基 準

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海 外 駐 在 情 報 BTMU Focus, London Akiko Darvell 44-20-7577-1591 akiko.darvell@uk.mufg.jp March, 24, 2016 英 国 における 賃 貸 用 住 宅 融 資 の 増 加 とリスク < 要 旨 > 英 国 では 賃 貸 用 物 件 購 入 を 目 的 とした 住 宅 ローン 貸 付 (Buy-to-Let Mortgage 以 下 BTL 住 宅 ローン)が 増 加 している 自 宅 購 入 用 も 合 わせた 住 宅 ローン 貸 付 残 高 全 体 に 占 める BTL 住 宅 ローンの 割 合 は 2000 年 代 前 半 には 5%に 満 たなかったが 2015 年 には 16%まで 拡 大 した BTL 住 宅 ローン 増 加 の 背 景 には 住 宅 価 格 高 騰 等 を 背 景 とした 賃 貸 住 宅 需 要 の 増 加 賃 貸 住 宅 投 資 の 増 加 BTL 用 住 宅 ローンにおける 規 制 の 緩 さがある と 考 えられる 賃 貸 需 要 は 公 共 住 宅 数 の 減 少 住 宅 価 格 の 高 騰 自 宅 用 住 宅 ローン 貸 出 に おける 融 資 基 準 の 厳 格 化 等 を 背 景 に 増 加 傾 向 にあり 民 間 賃 貸 住 宅 の 住 宅 戸 数 全 体 に 占 める 割 合 は 2000 年 から 2013 年 にかけて 約 2 倍 に 拡 大 した 賃 貸 住 宅 投 資 の 増 加 も 押 し 上 げ 要 因 である 住 宅 の 供 給 不 足 による 慢 性 的 な 住 宅 需 給 逼 迫 で 空 き 室 リスクが 低 いことや ローン 金 利 の 低 下 などが 賃 貸 住 宅 投 資 を 押 し 上 げている BTL 住 宅 ローンについては 規 制 が 緩 く 審 査 基 準 等 が 自 宅 用 住 宅 ローンほど 厳 格 化 されていないことが 拡 大 を 助 長 しているとも 指 摘 される 自 宅 用 住 宅 ローン 事 業 は 2004 年 以 降 監 督 当 局 の 規 制 対 象 となり 融 資 審 査 の 厳 格 化 等 の 規 制 強 化 が 進 んできた 一 方 BTL 住 宅 ローンについては 規 制 対 象 から 除 外 され 審 査 基 準 等 のルールは 業 界 団 体 の 自 主 規 制 に 任 されている このような 状 況 下 BTL 住 宅 ローンの 不 良 債 権 化 リスクに 対 する 懸 念 が 高 ま っている このため 当 局 は 抑 制 策 の 実 施 や 監 督 強 化 に 動 き 出 している ただし 規 制 が 過 度 なものとなれば 賃 貸 住 宅 の 供 給 を 減 少 させ 慢 性 的 に 逼 迫 状 態 にある 住 宅 需 給 を 一 段 とタイト 化 させる 恐 れがある このため BTL 住 宅 ローンへの 規 制 だけでなく 住 宅 供 給 の 増 加 を 促 す 政 策 を 進 め 住 宅 市 場 全 体 の 不 均 衡 を 是 正 していくことが 求 められよう 1

はじめに 英 国 では 近 年 賃 貸 用 物 件 購 入 を 目 的 とした 住 宅 ローン 貸 付 (Buy-to-Let Mortgage 以 下 BTL 住 宅 ローン)が 増 加 している BTL 住 宅 ローン 新 規 貸 出 額 は 2002 年 の 130 億 ポンドから 2015 年 には 380 億 ポンドと 約 3 倍 に 拡 大 した 本 稿 では BTL 住 宅 ローン 増 加 の 現 状 と 背 景 を 確 認 するとともに そのリスクや 当 局 の 対 応 等 を 考 察 する 1. BTL 住 宅 ローンの 増 加 と 背 景 住 宅 ローン 融 資 業 者 の 業 界 団 体 である 英 国 住 宅 金 融 貸 付 組 合 (Council of Mortgage Lenders)によれば 英 国 では 1996 年 に 初 めて BTL 住 宅 ローン 商 品 の 販 売 が 開 始 された これ 以 前 は BTL に 特 化 した 商 品 は 存 在 せず 小 規 模 事 業 用 ローンが 利 用 されていた その 後 住 宅 ローン 全 体 に 占 める BTL 住 宅 ローンの 割 合 は 拡 大 が 続 き 2002 年 の 4%から 2015 年 には 16%に 増 加 した( 第 1 図 ) また 住 宅 ローンの 伸 びを 見 ると 自 宅 用 BTL 用 共 に 2008 年 の 金 融 危 機 前 後 から 大 幅 に 落 ち 込 んだが BTL 住 宅 ローンについては 2010 年 に 前 年 比 の 伸 びがプラスに 転 じ その 後 も 増 加 が 続 いている( 第 2 図 ) このような BTL 住 宅 ローン 増 加 の 背 景 として 1 賃 貸 住 宅 需 要 の 増 加 2 低 金 利 を 背 景 とした 賃 貸 住 宅 投 資 の 増 加 3BTL 住 宅 ローンにおける 規 制 の 緩 さ が 挙 げられる 第 1 図 : 住 宅 ローン 全 体 に 占 める BTL の 割 合 第 2 図 : 住 宅 ローンの 伸 び 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 (%) 4% 12% 16% 2002 2008 2015 80 60 40 20 0-20 -40-60 -80-100 ( 前 年 比 %) 自 宅 用 賃 貸 用 (BTL) 08 09 10 11 12 13 14 15 ( 資 料 )FPC 資 料 より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 ( 資 料 )Macrobond より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 (1) 民 間 賃 貸 需 要 の 増 加 英 国 の 住 宅 市 場 における 民 間 賃 貸 住 宅 の 規 模 をみると 住 宅 戸 数 全 体 に 占 め る 割 合 は 2000 年 の 9%から 2013 年 には 19%に 拡 大 している( 第 3 図 ) 民 間 賃 貸 物 件 に 対 する 需 要 増 加 の 背 景 は 公 共 住 宅 の 減 少 と 住 宅 価 格 の 高 騰 に 加 え 2

金 融 危 機 後 の 融 資 審 査 の 厳 格 化 等 である 公 共 住 宅 については 1980 年 代 にサ ッチャー 政 権 が 公 共 住 宅 投 資 の 大 幅 削 減 を 実 施 して 以 降 減 少 傾 向 が 続 き 金 融 危 機 後 の 財 政 緊 縮 で 減 少 に 拍 車 がかかった 公 共 住 宅 が 住 宅 戸 数 全 体 に 占 め る 割 合 は 2000 年 の 21%から 2013 年 には 18%に 縮 小 した 住 宅 価 格 の 高 騰 も 賃 貸 物 件 への 需 要 のシフトをもたらした 英 国 の 住 宅 価 格 は 2000 年 から 2007 年 まで 年 率 平 均 +13%のペースで 上 昇 し 住 宅 価 格 の 対 年 収 倍 率 は 2000 年 の 3.3 倍 から 2007 年 には 5.8 倍 まで 拡 大 した( 第 3 図 ) 金 融 危 機 後 については 住 宅 価 格 は 一 旦 下 落 し 対 年 収 倍 率 も 4 倍 程 度 まで 低 下 したが 民 間 賃 貸 物 件 に 対 する 需 要 の 拡 大 は 続 いた これは 金 融 危 機 後 の 信 用 収 縮 で 住 宅 ローンの 貸 出 基 準 の 厳 格 化 が 進 んだことで 住 宅 ローンが 組 みづらい 環 境 となったことによるところが 大 きい 例 えば 金 融 危 機 前 は 少 ない 頭 金 でも 比 較 的 容 易 に 住 宅 ローンを 組 むことができ 頭 金 ゼロの 住 宅 ロー ン 商 品 もあった ローン 総 額 の 対 住 宅 価 格 比 率 (Loan to Value Ratio: 以 下 LTV 比 率 頭 金 が 多 いほど LTV 比 率 は 低 くなる)をみると 2007 年 時 点 では LTV 比 率 75% 以 下 の 商 品 は 新 規 貸 出 全 体 の 5 割 弱 に 過 ぎなかった しかし 金 融 危 機 後 は LTV 比 率 が 75%を 下 回 る 住 宅 ローンの 割 合 は 約 7 割 前 後 に 上 昇 し 相 当 額 の 頭 金 を 用 意 しなければ 融 資 を 受 けることが 難 しい 状 況 となっている ( 第 4 図 ) 更 に 2013 年 以 降 の 住 宅 価 格 の 回 復 を 受 けて 住 宅 価 格 の 対 年 収 倍 率 は 再 度 上 昇 傾 向 となり 2015 年 には 5.9 倍 と 金 融 危 機 前 のピークを 上 回 った このような 状 況 が 住 宅 購 入 を 難 しくさせ 賃 貸 需 要 を 押 し 上 げている 第 3 図 : 民 間 賃 貸 住 宅 の 割 合 と 住 宅 価 格 の 対 年 収 倍 率 第 4 図 : 新 規 住 宅 ローン 全 体 に 占 める LTV 比 率 が 75% 以 下 の 商 品 の 割 合 7 ( 倍 ) (%) 20 80 (%) 6 5 住 宅 価 格 の 対 年 収 倍 率 18 16 14 70 60 4 3 民 間 賃 貸 住 宅 の 割 合 ( 右 軸 ) 8 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 ( 注 ) 全 住 宅 戸 数 に 占 める 民 間 賃 貸 住 宅 の 割 合 ( 資 料 ) 英 国 土 地 登 記 所 Halifax より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 12 10 50 40 07 08 09 10 11 12 13 14 15 ( 資 料 )BOE より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 3

(2) 賃 貸 住 宅 投 資 の 増 加 賃 貸 住 宅 の 供 給 側 つまり 家 主 側 の 投 資 需 要 の 増 加 も BTL 住 宅 ローン 拡 大 の 要 因 となっている その 背 景 としては まず 空 き 家 リスクの 低 さが 挙 げられ よう 英 国 は 前 述 の 公 共 住 宅 投 資 減 に 加 え 建 築 規 制 の 厳 しさ 金 融 危 機 後 の 民 間 住 宅 建 設 の 減 少 人 口 増 等 を 背 景 とした 慢 性 的 な 住 宅 不 足 により 空 き 家 率 1 が 3%と 他 の 欧 州 主 要 国 (ドイツ 9% フランス 17% スペイン 29%)に 比 べ 非 常 に 低 い 水 準 にある 空 き 家 リスクの 低 さは 家 主 にとっては 安 定 的 な 家 賃 収 入 が 望 めるということであり 賃 貸 投 資 の 魅 力 を 高 めている また 英 大 手 住 宅 サービスの LSL Properties によれば イングランド ウェールズ 地 域 の 平 均 的 な 賃 貸 住 宅 の 投 資 利 回 り 2 は 2015 年 12 月 で 4.9%となっている 2013 年 以 降 の 住 宅 価 格 上 昇 を 受 け 利 回 りは 2013 年 の 5.3%から 低 下 したもの の 同 時 に BTL 住 宅 ローン 金 利 も 低 下 しており 利 ざやは 確 保 されている( 第 5 図 ) 加 えて 住 宅 価 格 の 回 復 を 受 け 売 却 益 増 加 への 期 待 も 投 資 需 要 を 喚 起 していると 考 えられる なお 英 国 における 家 主 の 内 訳 を 見 ると 個 人 家 主 が 71%を 占 める うち 8 割 近 くが 保 有 部 件 数 1~4 物 件 と 小 規 模 経 営 であることを 鑑 みると 個 人 の 資 産 運 用 目 的 での 賃 貸 経 営 が 多 いという 状 況 が 窺 える( 第 6 図 ) 上 記 のような 住 宅 投 資 のメリットが 特 に 個 人 の 賃 貸 投 資 需 要 を 喚 起 し BTL 住 宅 ローンの 拡 大 を 押 し 上 げていると 推 察 される 7.0 6.5 6.0 5.5 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0 第 5 図 :ローン 金 利 と 賃 貸 投 資 利 回 り (%) 利 回 り 貸 出 金 利 (BTL 5 年 固 定 ) 貸 出 金 利 (BTL 2 年 固 定 ) 13 14 15 ( 注 ) 金 利 は 各 年 11 月 利 回 りは 各 年 12 月 の 数 値 ( 資 料 )Moneyfacts LSL Properties より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成 1 全 住 宅 戸 数 を 空 き 家 数 で 除 したもの 2 賃 貸 料 を 住 宅 価 格 で 除 したもの 第 6 図 : 賃 貸 住 宅 の 家 主 構 成 と 保 有 物 件 数 企 業 等 29% 家 主 構 成 個 人 71% 個 人 家 主 の 保 有 物 件 数 4 1 物 件 53% 2-4 物 件 24% 5-9 物 件 9% 10 物 件 以 上 14% ( 注 ) 賃 貸 住 宅 戸 数 全 体 に 占 める 割 合 2010 年 時 点 ( 資 料 )FPC より 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 経 済 調 査 室 作 成

(3) 規 制 環 境 また BTL 住 宅 ローンについては 規 制 が 緩 く 審 査 基 準 等 が 自 宅 用 住 宅 ロー ンほど 厳 格 化 されていないことが 拡 大 を 助 長 しているとも 指 摘 されている 住 宅 ローンに 対 する 規 制 は 2004 年 に 金 融 サービス 市 場 法 により 自 宅 用 と BTL 用 の 区 分 けがなされ 自 宅 用 については 規 制 対 象 業 務 に 指 定 された 区 分 けの 定 義 は 住 宅 面 積 の 40% 以 上 をローンの 借 り 手 もしくはその 家 族 が 使 用 す る 場 合 は 自 宅 用 とし これに 該 当 しない 場 合 は BTL として 規 制 対 象 業 務 からは 除 外 された これは 自 宅 用 住 宅 ローンの 借 り 手 は 一 般 消 費 者 であり 返 済 不 能 となった 場 合 は 居 住 場 所 を 失 うリスクがあることから 規 制 を 通 じて 適 切 な 消 費 者 保 護 を 行 っていく 必 要 があると 判 断 されたためである 現 行 の 規 制 状 況 を 見 ると 自 宅 用 住 宅 ローン 事 業 については 金 融 行 為 監 督 機 構 (FCA )の 住 宅 ローン 業 務 規 定 (Mortgage Conduct of Business MCOB) により アドバイスの 公 正 性 や 情 報 開 示 の 内 容 審 査 基 準 等 細 部 にわたって 規 定 されている また 2015 年 4 月 には マクロ 健 全 性 政 策 を 担 当 す る 金 融 安 定 政 策 委 員 会 (FPC)が 金 融 システム 安 定 化 のためリスクの 高 い 貸 出 を 制 限 する 必 要 があると 判 断 した 場 合 には 同 委 員 会 の 指 示 により 健 全 性 監 督 機 構 (PRA) 並 びに FCA が 自 宅 用 住 宅 ローン 貸 出 における LTV 比 率 と 借 入 額 の 対 収 入 倍 率 (Debt to Income Ratio: 以 下 DTI 倍 率 )に 制 限 を 設 けること を 可 能 にする 体 制 が 作 られるなど 規 制 監 督 体 制 の 強 化 も 行 われている 一 方 BTL 住 宅 ローン 事 業 は 規 制 対 象 業 務 ではないことから 細 かい 業 務 行 為 については 業 界 団 体 の 自 主 規 制 に 任 されている このような 状 況 から BTL 住 宅 ローンでは 審 査 基 準 が 十 分 に 厳 格 化 されておらず 同 ローンの 拡 大 に 伴 い 潜 在 的 なリスクが 高 まっていると 指 摘 されている 2. リスク 具 体 的 なリスクとしては 金 利 上 昇 と 住 宅 価 格 変 動 への 脆 弱 性 の 高 さに 起 因 する 不 良 債 権 化 リスクが 懸 念 されている 第 一 に 審 査 基 準 の 甘 さが 金 利 上 昇 に 対 する 脆 弱 性 を 高 めているといわれて いる 標 準 的 な BTL 住 宅 ローン 融 資 の 審 査 では 金 利 が 上 昇 した 場 合 に ロー ン 利 子 支 払 額 に 対 する 家 賃 収 入 比 率 (Interest Coverage Ratio 以 下 ICR)が 一 定 以 上 (1.25 倍 としている 金 融 機 関 が 多 い)になるかが 目 安 となっている しか し イングランド 銀 行 ( 中 央 銀 行 以 下 BOE)は この 1.25 倍 という ICR の 5

設 定 水 準 は 十 分 高 いとは 言 えず 不 良 債 権 化 リスクが 高 いと 指 摘 している 3 BOE によれば 金 利 が 3% 上 昇 した 場 合 BTL 貸 出 の 6 割 近 くにおいて 家 賃 収 入 が 利 子 支 払 額 の 1.25 倍 を 下 回 る 公 算 という 一 方 自 宅 用 住 宅 ローン 貸 出 では 3%の 金 利 上 昇 で 支 払 いが 困 難 になるケース(ローン 支 払 額 の 対 収 入 比 率 が 40%を 超 える)の 割 合 は 4%と 低 い 第 二 に 住 宅 価 格 下 落 への 脆 弱 性 の 高 さは BTL 住 宅 ローンの 主 流 が 利 息 支 払 のみを 行 う Interest-only タイプであることに 起 因 している Interest-only タ イプでの 最 終 的 な 元 本 返 済 には 住 宅 の 売 却 益 や 投 資 益 等 が 充 てられるケース が 多 いが 住 宅 価 格 が 下 落 すれば 元 本 返 済 が 困 難 となり 不 良 債 権 化 する 恐 れ がある このため 自 宅 用 住 宅 ローンでは 金 融 危 機 以 降 Interest-only 商 品 の 販 売 規 制 が 強 化 され 自 宅 用 住 宅 ローン 全 体 に 占 める 割 合 は 2007 年 の 40% 超 か ら 2015 年 には 7.2%まで 減 少 した 一 方 BTL 住 宅 ローン 全 体 に 占 める Interest-only タイプの 割 合 は 2015 年 で 84.3%と 非 常 に 多 い 状 態 が 続 いている 3. 当 局 の 対 応 このようなリスクに 対 応 するため 当 局 は 抑 制 策 の 実 施 や 監 督 強 化 に 動 き 出 している まず 政 府 による 賃 貸 投 資 需 要 の 抑 制 策 として 2016 年 4 月 から 賃 貸 用 住 宅 購 入 時 に 納 める 印 紙 税 率 が 引 き 上 げられる 現 行 の 印 紙 税 率 は 自 宅 用 賃 貸 用 共 に 同 率 であるが 新 制 度 では 賃 貸 用 については 自 宅 用 の 税 率 に 3% 上 乗 せし た 税 率 が 適 用 される 4 また 従 来 投 資 促 進 策 として BTL 住 宅 ローンにおける 利 息 支 払 額 の 一 定 割 合 を 家 賃 収 入 に 係 る 所 得 税 額 から 控 除 する 措 置 が 取 られて きたが 2017 年 以 降 この 税 制 優 遇 措 置 を 段 階 的 に 縮 小 していく 予 定 である 5 また 自 宅 用 住 宅 ローンと 同 様 に 必 要 と 判 断 される 場 合 には FPC を 通 じ て BTL 住 宅 ローン 貸 出 における DTI 倍 率 並 びに ICR に 規 制 を 設 ける 体 制 を 策 定 することが 提 言 されており 年 内 には 政 府 が 今 後 の 方 針 を 発 表 する 予 定 とな っている 3 Financial Stability Report, December 2015. http://www.bankofengland.co.uk/publications/pages/fsr/2015/dec.aspx 4 例 えば 住 宅 価 格 が 12 万 5 千 ポンド 以 下 の 物 件 にかかる 印 紙 税 率 は 自 宅 用 が 0% 賃 貸 用 は 3%となる 5 現 行 では 所 得 税 算 出 の 際 利 息 支 払 額 に 対 する 納 税 者 の 所 得 税 率 相 当 分 (20~45%)が 家 賃 収 入 から 控 除 される 家 賃 収 入 と 利 息 支 払 額 が 同 じでも 所 得 税 率 が 高 いほど 控 除 額 が 多 くなる 仕 組 みだが 2017 年 以 降 この 控 除 率 を 段 階 的 に 20%に 一 本 化 していく 6

おわりに BTL 住 宅 ローン 市 場 が 近 年 大 きく 拡 大 するにつれ それに 付 随 するリスクも 増 大 し 規 制 の 必 要 性 も 高 まってきたといえる しかし 規 制 が 過 度 なものと なれば 賃 貸 住 宅 の 供 給 を 減 少 させ 慢 性 的 に 逼 迫 状 態 にある 住 宅 需 給 を 一 段 とタイト 化 させる 恐 れがある このため BTL 住 宅 ローンへの 規 制 だけでなく 住 宅 供 給 の 増 加 を 促 す 政 策 を 進 め 住 宅 市 場 全 体 の 不 均 衡 を 是 正 していくこと が 求 められよう 以 上 (2016.3.24 ダーベル 暁 子 akiko.darvell@uk.mufg.jp) 7

当 資 料 は 情 報 提 供 のみを 目 的 として 作 成 されたものであり 金 融 商 品 の 売 買 や 投 資 など 何 らかの 行 動 を 勧 誘 するものではありません ご 利 用 に 関 しては すべてお 客 様 御 自 身 でご 判 断 下 さいます よう 宜 しくお 願 い 申 し 上 げます 当 資 料 は 信 頼 できると 思 われる 情 報 に 基 づいて 作 成 されていま すが 当 室 はその 正 確 性 を 保 証 するものではありません 内 容 は 予 告 なしに 変 更 することがありま すので 予 めご 了 承 下 さい また 当 資 料 は 著 作 物 であり 著 作 権 法 により 保 護 されております 全 文 または 一 部 を 転 載 する 場 合 は 出 所 を 明 記 してください 8