童 話 の 真 実 ~ 悲 しい 現 実 そして 現 実 を 乗 り 越 える 夢 ~ 3 年 B 組 34 番 山 田 紗 衣
1.はじめに 私 が 童 話 を 調 べようと 思 ったきっかけは2つある 1つ 目 は 童 話 が 世 界 中 に また 古 くからずっと 語 り 継 がれてきたことには 何 か 理 由 があるのだろうと 思 い 気 になった からだ 2つ 目 は 童 話 には それぞれにどんな 意 味 や 教 訓 が 込 められているか 知 りたく なったからだ また それらを 調 べている 間 に 日 本 の 童 話 と 外 国 の 童 話 (グリム 童 話 など)とでは ストーリーや 話 の 終 わり 方 などに 大 きな 違 いがあると 気 づいた そこで それについても 調 べることにした 私 は 童 話 には 今 につながるような 教 訓 が 込 められているから 世 界 中 に また ず っと 語 り 継 がれてきたのだと 思 う また 日 本 の 童 話 には 悲 しい 終 りがあるけど 外 国 の 童 話 (グリム 童 話 など)には ハッピーエンドばかりなのではないかと 考 える 2. 研 究 方 法 結 果 私 は おもに 書 籍 を 参 考 にして 研 究 を 進 めることにした また 童 話 には おもにグリ ム 童 話 や ペローによる 童 話 を 用 いることにした (1) グリム 童 話 とは グリム 童 話 とは 兄 ヤーコプ グリムと 弟 ヴィルヘルム グリム(いわゆるグリ ム 兄 弟 )によって 収 集 された 童 話 集 のことである 収 集 の 目 的 は ドイツの 古 い 神 話 や 民 間 信 仰 を 記 録 することであった しかし 語 り 口 にあまり 飾 り 気 がない 話 の 選 択 や 表 現 が 子 ども 向 きではない などの 批 判 をうけて 性 にまつわる 事 柄 や あまりにも 残 酷 だと 非 難 された 話 は 削 除 された そうした 書 きかえや 書 き 加 えをくりかえし 今 の 形 とな っている 童 話 集 第 一 巻 が 発 表 されたのは 1812 年 のクリスマスで 1857 年 に 発 表 された 第 七 巻 の 内 容 を 翻 訳 したものが 今 の 日 本 に 伝 わっているといわれている (2) メルヘンとは 童 話 やおとぎ 話 の 形 態 をメルヘンという 印 刷 技 術 もテレビもなかった 時 代 メルヘン は 民 衆 の 大 きな 娯 楽 だった そして 戦 争 や 飢 餓 などの 災 厄 の 時 代 にも メルヘンは 人 の 心 を 和 ませた メルヘンは 声 の 文 化 だったので 物 語 として 文 章 化 すると 少 し 内 容 が 変 わってしまう しかし グリム 兄 弟 は できるだけ 話 の 内 容 を 変 えず あくまで 忠 実 に
文 章 化 しようとした また グリム 兄 弟 は 読 者 の 想 像 をふくらませるため あえて 簡 単 な 言 葉 で 書 いた 昔 々あるところに という 書 き 出 しがその 代 表 的 な 例 である メル ヘンは 時 場 所 が 不 明 なうえに 人 物 名 も 不 明 になっている シンデレラ は 灰 かぶ り という 嫌 がらせでつけられたあだ 名 であるし ヘンデルとグレーテル は 太 郎 と 花 子 に 等 しい 時 場 所 名 前 を 明 らかにしないことで どの 時 代 どの 国 どの 人 にも 妥 当 する 普 遍 性 を 有 するといえる メルヘンの 原 則 はほかにもある まず 現 実 では 不 可 能 な 夢 が 魔 法 の 力 でかなうということや ハッピーエンドで 終 わるということだ それ らに 共 通 して 言 えることは 過 酷 な 現 実 を 乗 り 越 えたいという 民 衆 の 夢 がつまっていると いうことだ つまり メルヘンは 夢 だったのだ また メルヘンは その 時 代 の 民 衆 の 集 団 記 憶 でもある それらがみられる 話 として ヘンデルとグレーテル と 赤 ずきん を 例 にあげてみる ヘンデルとグレーテルからみえる 集 団 記 憶 ヘンデルとグレーテル 一 家 を 襲 ったのは おそらく 飢 餓 で また ヘンデルとグレーテ ルは 子 捨 て に 遭 ったことから 19 世 紀 ごろの 作 品 ではないかといわれている 飢 餓 時 代 の 集 団 記 憶 と その 現 実 を 乗 り 越 える 夢 である お 菓 子 の 家 とが 表 れているといわれ ている 赤 ずきんからみえる 集 団 記 憶 赤 ずきんがかかれたのは 封 建 時 代 のフランスで 貴 族 に 侮 辱 されることが 珍 しくなか った 無 名 の 娘 たちの 悲 しい 集 団 記 憶 が 表 れているといわれている 男 をみたらオオカミだ と 思 え! という 教 訓 が 込 められた 作 品 である 赤 ずきんは 元 々ペロー 童 話 集 というも のに 収 められていて 主 人 公 は 赤 いずきんをかぶっておらず さらに 狼 に 食 べられて 終 わるバッドエンドだった そこで グリム 兄 弟 は ハッピーエンド というメルヘンの 原 則 に 従 い 狼 と 七 匹 の 子 やぎ のラストをまねて 最 後 を 書 きかえたといわれている (3) グリム 童 話 から 教 わるヨーロッパの 宗 教 観 念 ~シンデレラを 例 に~
私 たちの 知 っているシンデレラは ペローによる サンドリヨン が 元 のディズニー 映 画 であり グリム 童 話 とは 話 が 少 し 異 なることがわかった まず シンデレラがさせられ たのは 掃 除 ではなく 豆 の 選 り 分 けだった 舞 踏 会 は 3 回 行 われ 1 日 目 は 家 から 眺 める だけで 2 日 目 は 王 子 との 初 対 面 を 果 たし 3 日 目 は 靴 を 落 としてしまい という 流 れと なっている ちなみに シンデレラの 靴 が 脱 げたのは 王 子 が シンデレラに 早 く 帰 って ほしくなかったため 床 にタールを 塗 ったからである また 魔 法 使 いは 出 てこず シン デレラの 実 の 母 の 墓 の 木 がその 代 わりの 役 目 を 果 たしている 木 を 揺 らして 願 うと ドレ スなどが 出 てくるのである また ガラスの 靴 は 金 の 靴 であった さらに 上 のお 姉 さん と 二 番 目 のお 姉 さんが それぞれ 靴 にむりやり 足 を 入 れるため かかとと 指 先 を 切 り 落 とすというくだりが 書 かれていた ~ 木 に 助 けられたシンデレラ~ 魔 法 使 いではなく 木 に 助 けられたシンデレラ それは 自 然 は 魔 力 を 持 ち 人 間 を 助 けてくれる という 自 然 信 仰 の 表 れである また その 風 習 は ヨーロッパをはじめ 日 本 にもみられる 自 然 の 持 つ 魔 力 を 自 分 の 中 に 移 入 しようとして 動 植 物 の 皮 を 身 にま とい 豊 作 を 願 う 祭 りはよくあり 日 本 でナマハゲなどが 有 名 である また ヨーロッパ では 冬 追 い 夏 招 き という 農 耕 儀 礼 が 行 われる 冬 追 い 夏 招 き とは 作 物 が 枯 れる 冬 を 追 い 払 い 作 物 が 育 つ 夏 を 招 くという 意 味 を 持 っていて 鬼 は 外 福 は 内 のニ ュアンスによく 似 ている シンデレラは 実 の 母 が 生 きていた 時 の 幸 せ 継 母 や 姉 たちに よるいじめという 不 幸 王 子 との 結 婚 という 幸 せを 味 わっている その 幸 せ 不 幸 幸 せ という 流 れは 夏 冬 夏 を 表 しているという 説 もある ~ 私 達 の 知 るシンデレラへと~ カトリックの 人 々は 自 然 との 関 係 を 大 切 にしていたが プロテスタントの 人 々は 自 然 を 敵 視 していた 近 代 化 により 宮 廷 では 動 植 物 が 魔 力 を 持 っていると 信 じる 人 は 減 る 一 方 だった ペローの サンドリヨン では 木 が 魔 法 使 いになっていたのは 宮 廷 用 に 書 かれたためである 今 となっては 農 耕 儀 礼 的 性 格 は 完 全 に 消 え 歴 史 的 背 景 を 持 た ないただの 夢 物 語 となってしまった ~ 白 雪 姫 を 例 に~
白 雪 姫 には キリスト 教 的 罪 がたくさんかくされている それは 妃 の 行 動 に 表 れている 妃 は, 鏡 に 世 界 で 一 番 美 しいのは 誰 か? と 尋 ねる このように 一 番 は 誰 か と 考 え ること 自 体 が 自 惚 れであり キリスト 教 ではそれは 罪 に 値 するのだ そして 白 雪 姫 が 一 番 美 しいと 知 った 妃 は 嫉 妬 や 憎 悪 という 罪 を 犯 し 白 雪 姫 を( 実 際 には 殺 していないの だけれど) 猟 師 に 殺 させるという 人 殺 し そして 猟 師 が 代 わりに 持 ってきた 猪 の 肺 や 肝 を 食 べるという 妃 の 中 での 人 食 いをした 人 食 いとは キリスト 教 での 最 大 の 罪 であった そんな 罪 で 汚 れた 妃 の 世 界 とはうってかわり 小 人 や 白 雪 姫 たちの 世 界 は 清 らかで 人 間 的 な 温 かさのある 平 和 なものである そんな 世 界 と 妃 を 取 り 巻 く 世 界 つまり 現 代 社 会 とを 対 比 しているのである (4) 日 本 とヨーロッパの 動 物 の 違 い 動 物 をモチーフとした 童 話 は 多 い ヨーロッパの 童 話 として 蛙 の 王 さま 日 本 の 童 話 として つるの 恩 返 し を 例 にする 蛙 の 王 さまでは 王 子 が 動 物 に 姿 を 変 えさせられる 変 える のではなく 変 えさせ られる とかかれているのには 訳 がある キリスト 教 の 影 響 により 人 間 中 心 主 義 の 考 え が 広 まり 人 間 と 動 物 は 別 世 界 の 生 き 物 つまり 動 物 の 方 が 人 間 より 劣 っていると 考 え られていた だから 姿 が 動 物 になることは 不 幸 だったのだ 日 本 では つるの 恩 返 し のように 動 物 が 人 間 に 変 身 するという 話 が 好 まれた 日 本 人 は 人 間 に 比 べて 動 物 の 方 が 恩 を 忘 れず 気 高 いと 考 えている 傾 向 があり 動 物 となかよ く 暮 らしたいという 願 いを 持 っているといわれている ヨーロッパでいうペットは 飼 い 主 のしもべであるが 日 本 でいうペットは 仲 間 であり 家 族 である また 人 間 世 界 に 近 づ いてくる 動 物 は 人 間 が 変 身 させられた 姿 だ という 固 定 観 念 は 欧 米 人 の 中 にいまだに 深 く 根 づいている 3. 考 察 ~まとめ~ *グリム 童 話 はグリム 兄 弟 によって 収 集 された 童 話 集 *メルヘンの 原 則 簡 単 な 言 葉 時 場 所 名 前 は 不 明 夢 が 魔 法 の 力 で 叶 う
ハッピーエンドで 終 わる * 童 話 には 当 時 の またその 地 域 の 民 衆 の 集 団 記 憶 がこめられている * 童 話 には 当 時 の またその 地 域 の 宗 教 観 念 がこめられている * 童 話 には 当 時 の またその 地 域 の 価 値 観 がこめられている ( 例 :ヨーロッパと 日 本 での 動 物 の 認 識 の 違 い) 私 は 1つの 童 話 が 世 界 中 に 広 まっていったのだと 思 っていたけど それぞれの 国 や 地 域 で 似 たような 違 う 童 話 が 生 まれていたのだと 知 った また その 童 話 がかかれた 時 代 背 景 や その 時 の 宗 教 や 人 々の 価 値 観 が 分 かるから 今 まで 語 り 継 がれてきたのだと 考 え る また 今 につながる 教 訓 というより その 時 代 の 人 々が 描 いた 夢 が 現 れているのだと 考 える さらに 国 や 地 域 で 物 語 の 作 風 に 変 化 が 出 ていることを 発 見 した 今 回 の 研 究 で 童 話 は 子 ども 向 きだ ということでどこか 軽 視 していたその 考 えが 一 転 し 昔 の 人 々 の 考 えや 生 活 が 覗 ける 素 晴 らしいものだと 分 かった 4,おわりに ~ 感 想 ~ 本 当 にたくさんの 発 見 があり 面 白 かった 初 め 調 べようと 思 っていたテーマから ど んどん 調 べたいことが 増 えていったのが 楽 しかった 童 話 なんて 子 供 っぽい と 思 ってい る 人 たちに その 考 えを 改 めてもらうため 私 が 今 回 の 研 究 で 発 見 したことを 知 ってもら いたいと 思 う 今 回 は シンデレラ 白 雪 姫 赤 ずきん ヘンデルとグレーテル 蛙 の 王 さま つるの 恩 返 しをもとに 調 べていったが 童 話 は もっとたくさん 世 界 中 にある 他 の 童 話 についても 深 く 味 わって その 童 話 が 作 られた 時 代 や 地 域 の 人 々の 思 いに 触 れて みたい 5, 参 考 文 献 *グリム 童 話 の 世 界 ヨーロッパの 深 層 へ 著 者 高 橋 義 人 岩 波 書 店 (2006 年 10 月 20 日 発 行 ) *ベスト セレクション 初 版 グリム 童 話 集 編 訳 吉 原 高 志 吉 原 素 子 白 水 社 (1998 年 12 月 5 日 発 行 )