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●幼児教育振興法案

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

18 国立高等専門学校機構

調査結果の概要

01.活性化計画(上大久保)

1 リーダーシップと 意 思 決 定 1-1 事 業 所 が 目 指 していることの 実 現 に 向 けて 一 丸 となっている 評 価 項 目 事 業 所 が 目 指 していること( 理 念 基 本 方 針 )を 明 確 化 周 知 している 1. 事 業 所 が 目 指 していること

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

02【発出】280328福島県警察職員男女共同参画推進行動計画(公表版)

34 県 立 鶴 岡 工 業 高 等 校 ( 全 日 制 ) 工 業 科 ( 機 械 科 電 気 電 子 科 情 報 通 信 科 建 築 科 環 境 化 科 ) 次 のいずれかに 該 当 する 1 文 化 的 活 動 や 体 育 的 活 動 において 地 区 大 会 を 経 て 県 大 会 に 出

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推 進 項 目 15 人 材 育 成 の 強 化 重 要 A 番 号 取 組 事 業 名 151 職 員 の 専 門 性 向 上 作 成 日 H 更 新 日 H 担 当 部 署 32 総 務 部 人 事 課 責 任 者 吉 田 克 夫 担 当 者 人 事 人 材 育 成 担

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新 行 財 政 改 革 推 進 大 綱 実 施 計 画 個 票 取 組 施 策 国 や 研 究 機 関 への 派 遣 研 修 による 資 質 向 上 の 推 進 鳥 インフルエンザ 等 新 たな 感 染 症 等 に 対 する 検 査 技 術 の 習 得 など 職 員 の 専 門

愛知淑徳学園 規程集

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

1 子 ども 子 育 て 支 援 会 議 議 事 一 覧 平 成 25 年 11 月 28 日 ( 木 ) 第 1 回 子 ども 子 育 て 支 援 会 議 1 会 長 副 会 長 の 選 出 について 2 会 議 の 運 営 について 3 子 ども 子 育 て 支 援 新 制 度 の 概 要 につ

3 体 制 整 備 等 (1) 全 ての 特 定 事 業 主 が 共 同 して 取 組 むものとする () 総 務 部 人 事 管 理 室 人 事 課 を 計 画 推 進 の 主 管 課 とし 全 ての 市 職 員 により 推 進 する (3) 実 施 状 況 を 把 握 し 計 画 期 間 中 で

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Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

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ジョブ・カード様式

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

役員の異動に関するお知らせ

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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

第 8 条 本 協 議 会 における 研 修 は 以 下 のとおりとする (1) 座 学 研 修 農 業 講 座 や 先 進 農 家 視 察 など 農 業 経 営 基 礎 講 座 やその 他 担 い 手 のための 研 修 会 等 への 参 加 など 年 24 回 程 度 とする (2) 実 務 研

スライド 1

類 ( 番 号 を 記 載 ) 施 設 名 事 所 名 所 在 事 開 始 年 月 日 事 規 模 ( 定 員 ) 公 益 事 必 要 な 者 に 対 し 相 談 情 報 提 供 助 言 行 政 や 福 祉 保 健 医 療 サービス 事 者 等 との 連 絡 調 整 を 行 う 等 の 事 必 要

公表表紙

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納品労働者アンケート結果_0331納品版

就 学 前 教 育 保 育 の 実 施 状 況 ( 平 成 23 年 度 ) 3 歳 以 上 児 の 多 く(4 歳 以 上 児 はほとんど)が 保 育 所 又 は 幼 稚 園 に 入 所 3 歳 未 満 児 (0~2 歳 児 )で 保 育 所 に 入 所 している 割 合 は 約 2 割 就 学

m07 北見工業大学 様式①

厚 生 年 金 は 退 職 後 の 所 得 保 障 を 行 う 制 度 であり 制 度 発 足 時 は 在 職 中 は 年 金 を 支 給 しないこととされていた しかしながら 高 齢 者 は 低 賃 金 の 場 合 が 多 いと いう 実 態 に 鑑 み 在 職 者 にも 支 給 される 特 別

1.はじめに わが 国 での 急 速 な 少 子 化 の 進 行 等 を 踏 まえ 次 代 の 社 会 を 担 う 子 どもが 健 やかに 生 まれ 育 成 される 環 境 の 整 備 を 目 的 とした 次 世 代 育 成 支 援 対 策 推 進 法 が 平 成 15 年 7 月 に 制 定 され

私 達 が 調 査 手 法 を 研 究 した 背 景 リクルートワークス 研 究 所 ワーキングパーソン 調 査 (2000 年 ~ 隔 年 実 施 ) 首 都 圏 在 住 の18~59 歳 で 働 く 個 人 6,500 人 ( )を 対 象 に 就 業 実 態 意 識 を 調 査 調 査 実 施

第3節 重点的な取り組み

別 添 1 女 性 国 家 公 務 員 の 登 用 状 況 資 料 1 指 定 職 に 占 める 女 性 の 割 合 は3.0%( 平 成 27 年 11 月 1 日 現 在 ) ( 前 年 9 月 1 日 現 在 から0.2ポイント 増 ) 本 省 課 室 長 相 当 職 以 上 に 占 める 女

第1章 財務諸表

類 ( 番 号 を 記 載 ) 施 設 名 事 所 名 所 在 事 開 始 年 月 日 事 規 模 ( 定 員 ) 公 益 事 1 必 要 な 者 に 対 し 相 談 情 報 提 供 助 言 行 政 や 福 祉 保 健 医 療 サービス 事 者 等 との 連 絡 調 整 を 行 う 等 の 事 必

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2 1.ヒアリング 対 象 (1) 対 象 範 囲 分 類 年 金 医 療 保 険 雇 用 保 険 税 備 考 厚 生 年 金 の 資 格 喪 失 国 民 年 金 の 加 入 老 齢 給 付 裁 定 請 求 など 健 康 保 険 の 資 格 喪 失 国 民 健 康 保 険 の 加 入 健 康 保 険

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

2 その 年 中 の 特 定 支 出 の 額 ( 前 払 をした 特 定 支 出 ) 問 資 格 取 得 費 に 該 当 する 専 門 学 校 (2 年 制 )の 授 業 料 等 の 支 出 をしましたが この 特 定 支 出 については その 支 出 した 年 分 の 特 定 支 出 の 額 の

第2分野 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革

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世 羅 町 立 世 羅 中 学 校 下 森 憲 治 神 田 明 埜 上 千 幸 金 子 哲 菅 隆 幸 土 生 秀 子 前 由 紀 恵 世 羅 町 立 世 羅 西 中 学 校 佐 伯 邦 章 藤 原 康 治 宮 岡 英 明 湯 浅 裕 子 川 﨑 とも 子 (3) 研 究 テーマ 生 徒 の 思 考

130117_『高齢社会をむかえた東京23区の将来 人口と建物の関係から見て

有 料 老 ホーム ( ) ( 主 として 要 介 護 状 態 にある を 入 居 させるも のに 限 る ) 第 29 条 ( 届 出 等 ) 第 二 十 九 条 有 料 老 ホーム( 老 を 入 居 させ 入 浴 排 せつ 若 しくは 食 事 の 介 護 食 事 の 提 供 又 はその 他 の

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性別

[ 組 合 員 期 間 等 の 特 例 ] 組 合 員 期 間 等 については 年 齢 職 種 などにより 過 去 の 制 度 からの 経 過 措 置 が 設 けられ ており 被 用 者 年 制 度 の 加 入 期 間 ( 各 共 済 組 合 の 組 合 員 期 間 など)については 生 年 月 日

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学校安全の推進に関する計画の取組事例

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資 料 ( 出 典 平 成 25 年 度 学 生 便 覧 P.93)

16 日本学生支援機構


2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 法 人 の 長 A 18,248 11,166 4, ,066 6,42

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定 員 現 員 1 1 氏 名 職 業 任 期 柏 原 雅 史 広 福 寺 住 職 H2.4.1 ~ H 親 族 等 特 殊 関 係 者 の の 親 資 格 親 族 他 の 社 会 族 社 会 福 祉 地 域 の 福 地 域 の 代 施 設 長 利 用 者 の 施 設 整 備 又 は

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平成22年度 指導者・指導士養成検定事業計画書

4 教 科 に 関 する 調 査 結 果 の 概 況 校 種 学 年 小 学 校 2 年 生 3 年 生 4 年 生 5 年 生 6 年 生 教 科 平 均 到 達 度 目 標 値 差 達 成 率 国 語 77.8% 68.9% 8.9% 79.3% 算 数 92.0% 76.7% 15.3% 94

官報掲載【セット版】

就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

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●労働基準法等の一部を改正する法律案

自己評価書様式

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資料2-2 定時制課程・通信制課程高等学校の現状

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東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 による 未 曾 有 の 被 害 に 対 しては 日 本 の 力 を 集 めて 早 急 に 復 旧 復 興 に 取 りかからなければなりません そ の 際 は 被 災 地 を 原 形 復 旧 するのではなく 新 たな 地 域 社 会 の 再 生 を 目 指 し

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国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

公 益 事 類 ( 番 号 を 記 載 ) 12 施 設 名 事 所 名 介 護 老 人 保 健 施 設 アヴニール 入 間 市 宮 寺 二 本 木 区 域 包 括 支 援 センター 所 在 埼 玉 県 入 間 市 大 字 二 本 木 埼 玉 県 入 間 市 宮 寺 入

1. 実 施 内 容 (1) 研 修 体 制 の 概 要 2 大 阪 府 教 育 庁 大 阪 府 教 育 センター 進 捗 管 理 研 修 の 委 託 進 捗 管 理 連 携 協 力 進 捗 報 告 民 間 業 者 ( 外 部 機 関 ) 市 町 村 教 育 委 員 会 府 立 高 等 学 校 研

Q IFRSの特徴について教えてください

( 新 ) 医 療 提 供 の 機 能 分 化 に 向 けたICT 医 療 連 携 導 入 支 援 事 業 費 事 業 の 目 的 医 療 政 策 課 予 算 額 58,011 千 円 医 療 分 野 において あじさいネットを 活 用 したICT したICT 導 入 により により 医 療 機 能

市街化区域と市街化調整区域との区分

2 前 項 前 段 の 規 定 にかかわらず 年 俸 制 教 職 員 から 申 し 出 があった 場 合 においては 労 使 協 定 に 基 づき その 者 に 対 する 給 与 の 全 額 又 は 一 部 を 年 俸 制 教 職 員 が 希 望 する 金 融 機 関 等 の 本 人 名 義 の 口

Transcription:

修 士 論 文 ( 要 旨 ) 2013 年 1 月 中 年 期 におけるキャリア デザインが 高 齢 期 の 就 業 に 及 ぼす 影 響 指 導 杉 澤 秀 博 教 授 老 年 学 研 究 科 老 年 学 専 攻 210J6013 冨 樫 正 義

目 次 ページ Ⅰ.はじめに 1 1. 定 年 後 の 転 職 再 就 職 の 必 要 性 1 2.キャリア デザインの 必 要 性 1 3. 定 年 前 のキャリア デザインに 関 する 研 究 の 到 達 点 と 課 題 2 4. 研 究 の 目 的 2 Ⅱ. 研 究 方 法 2 1. 調 査 対 象 2 2. 調 査 方 法 3 3. 分 析 方 法 3 4. 倫 理 上 の 配 慮 4 Ⅲ. 結 果 4 1.ストーリーライン 4 2. 仕 事 に 対 する 欲 求 が 強 く 貪 欲 に 知 識 技 能 を 求 めてきた 5 3. 直 面 した 問 題 に 対 して 常 に 前 向 きに 取 り 組 み 最 善 を 尽 くしてきた 6 4. 新 たな 生 きがいを 求 めている 6 5. 仕 事 の 縁 で 仕 事 を 得 ている 7 Ⅳ. 考 察 8 謝 辞 9 参 考 文 献 図 1 資 料

Ⅰ.はじめに 1. 定 年 後 の 転 職 再 就 職 の 必 要 性 超 高 齢 社 会 へと 突 入 した 日 本 において 高 齢 者 の 労 働 意 欲 の 高 さは 国 際 的 にも 有 名 である しかし 日 本 の 企 業 の 82%が 60 歳 定 年 制 を 採 用 しており 企 業 で 働 く 雇 用 者 の 多 くは 60 歳 で 定 年 を 迎 える 一 方 定 年 退 職 者 の 退 職 後 の 就 業 希 望 形 態 をみると 正 社 員 での 就 業 を 希 望 す る 者 の 割 合 が 最 も 多 いが 希 望 通 りの 就 業 形 態 での 勤 務 は 難 しい 状 況 である そして これか ら 定 年 を 向 かえる 50~60 歳 の 男 性 も 同 様 に 定 年 後 に 雇 用 者 としての 就 業 を 希 望 する 者 が 多 くいることは 容 易 に 考 えられる しかし 全 ての 希 望 者 が 継 続 雇 用 されるわけではない 実 際 に 希 望 者 全 員 が 65 歳 以 上 まで 働 ける 企 業 の 割 合 は 48.8%となっている つまり 転 職 再 就 職 という 新 しい 道 を 選 択 する 必 要 も 大 いに 考 えられるのである では 就 業 希 望 者 が 望 みど おり 就 業 するには 定 年 退 職 前 にどのような 準 備 が 必 要 であろうか 本 研 究 では 特 に 定 年 退 職 前 におけるキャリア デザインに 着 目 してみたい 2.キャリア デザインの 必 要 性 職 業 を 通 して 個 人 の 生 涯 にわたる 人 間 成 長 を 目 指 した 自 己 啓 発 をキャリアと 定 義 し 定 年 退 職 後 も 就 労 を 希 望 し かつ 仕 事 にやりがいや 生 き 甲 斐 を 求 める 人 の 場 合 定 年 前 からこの 実 現 に 向 けた 自 己 啓 発 などのキャリア デザインが 必 要 と 考 える 3. 研 究 の 目 的 定 年 退 職 後 に 再 就 職 を 実 現 した 男 性 被 雇 用 者 を 対 象 に 再 就 職 に 至 るまでのプロセスを 特 に 定 年 退 職 前 のキャリア デザインとの 関 連 で 質 的 に 分 析 する Ⅱ. 研 究 方 法 1. 調 査 対 象 現 役 時 代 にホワイトカラーとして 勤 務 していた 男 性 で 定 年 退 職 後 に 再 就 職 を 果 たした 経 験 のある 64 歳 から 78 歳 の 男 性 5 名 であった 対 象 者 の 抽 出 は 筆 者 の 個 人 的 なネットワークを 通 じた 機 縁 法 によって 行 った 2. 調 査 方 法 調 査 方 法 は 質 的 調 査 であり 半 構 造 化 された 質 問 紙 を 用 いた 個 別 面 接 法 で 実 施 した 質 問 は どのようなプロセスで 職 業 キャリアを 積 んできたか = 職 業 キャリアのプロセス 50 代 で 将 来 のビジョンはあったか = 中 年 期 でのキャリア デザインの 有 無 定 年 退 職 間 際 に 退 職 後 のビジョンはあったか = 定 年 退 職 間 際 のキャリア デザインの 有 無 の 3 点 を 中 心 とした 3. 分 析 方 法 修 正 版 グランデッド セオリー アプローチに 基 づいて 分 析 した 分 析 テーマは ホワイト カラーの 男 性 定 年 退 職 者 が 再 就 職 に 至 るプロセスと 定 年 退 職 前 のキャリア デザインの 実 施 と その 有 効 性 とし 分 析 焦 点 者 は ホワイトカラーとして 勤 務 していた 男 性 で 定 年 退 職 後 に 再 就 職 を 果 たした 者 と 設 定 した Ⅲ. 結 果 仕 事 に 対 する 欲 求 が 強 く 貪 欲 に 知 識 技 能 を 求 めてきた 直 面 した 問 題 に 対 して 常 に 1

前 向 きに 取 り 組 み 最 善 を 尽 くしてきた 新 たな 生 きがいを 求 めている 人 物 金 に 恵 ま れている の4つのカテゴリーが 抽 出 された 仕 事 に 対 する 欲 求 が 強 く 貪 欲 に 知 識 技 能 を 求 めてきた は [ 現 役 時 代 に 培 った 技 能 資 格 が 再 就 職 に 役 立 っている][ 現 役 時 代 の 仕 事 に 関 する 資 格 を 取 得 している または 技 能 を 伸 ばす 努 力 を 継 続 的 に 行 ってきた][ 仕 事 への 意 欲 を 継 続 して 持 ち 続 けている] の3つの 概 念 から 直 面 した 問 題 に 対 して 常 に 前 向 きに 取 り 組 み 最 善 を 尽 くしてきた は [いかなる 仕 事 に 対 しても 置 かれた 状 況 下 で 最 善 を 尽 くしている][ 今 の 仕 事 に 集 中 し 定 年 退 職 後 の 明 確 なビジョンは 無 かった]の 2 つの 概 念 から 生 成 された 新 た な 生 きがいを 求 めている は [ 定 年 退 職 後 も 社 会 活 動 への 参 加 を 求 めている][ 新 たな 環 境 で 仕 事 をしたい] の 2 つの 概 念 から 仕 事 の 縁 で 仕 事 を 得 ている は [ 現 役 時 代 の 仕 事 の 縁 が 再 就 職 のきっかけとなっている] の 概 念 から 生 成 された ここから 仕 事 に 対 する 欲 求 が 強 く 貪 欲 に 知 識 技 能 を 求 めてきた と 直 面 した 問 題 に 対 して 常 に 前 向 きに 取 り 組 み 最 善 を 尽 くしてきた が 再 就 職 に 直 接 影 響 しているとともに 新 たな 生 きがいを 求 めている と 仕 事 の 縁 で 仕 事 を 得 ている を 介 して 再 就 職 に 影 響 していたことが 分 かる Ⅳ. 考 察 定 年 退 職 後 に 再 就 職 を 成 功 させるには 仕 事 に 対 する 欲 求 が 強 く 貪 欲 に 知 識 技 能 を 求 め てきた より 現 役 時 代 の 仕 事 に 関 係 する 資 格 や 技 能 を 身 につけ さらにその 資 格 技 能 を 再 就 職 に 役 立 てていることが 分 かった そして 直 面 した 問 題 に 対 して 常 に 前 向 きに 取 り 組 み 最 善 を 尽 くしてきた より 長 い 職 業 人 生 で 直 面 した 苦 難 や 困 難 に 対 して 正 面 から 向 き 合 って いることが 再 就 職 を 達 成 できた 精 神 的 な 支 柱 であることも 明 らかになった 他 方 で 対 象 者 は 中 年 期 において 定 年 退 職 後 の 職 業 について 明 確 なキャリア デザインをもっていなかった つまり 本 研 究 で 着 目 したキャリア デザインについては 再 就 職 を 達 成 した 人 の 再 就 職 の 達 成 要 因 として 大 きな 比 重 を 占 めていなかったことになる では キャリア デザインは 不 要 で あろうか [ 現 役 時 代 に 仕 事 に 関 する 資 格 を 取 得 している または 技 能 を 伸 ばす 努 力 を 継 続 的 に 行 ってきた]などの 概 念 に 見 られるように 変 化 の 激 しい 現 在 においては 継 続 した 学 習 が 次 の 職 業 に 繋 がっているのである つまり 目 の 前 の 仕 事 に 役 立 てることを 目 的 とした 自 身 のブラッ シュアップを 継 続 的 に 行 うことが 次 の 新 たな 職 業 に 繋 がっているのである そのためにも 現 在 の 仕 事 が 理 想 的 ではなくても そこで 最 善 を 尽 くして 周 囲 に 信 頼 されるように 仕 事 をする 必 要 がある そのことが[ 現 役 時 代 の 仕 事 の 縁 が 再 就 職 のきっかけとなっている]に 繋 がっている さらに 新 たな 生 きがいを 求 めている に 見 られるように 毎 日 の 生 活 に 刺 激 を 求 めたり さらなる 仕 事 の 面 白 みを 追 求 したい と 能 動 的 な 仕 事 への 姿 勢 も 再 就 職 に 重 要 であることが 示 唆 された 最 後 に 仕 事 の 縁 で 仕 事 を 得 ている に 示 されたように 再 就 職 を 成 功 させる 要 因 には 仕 事 上 でのネットワークが 重 要 であることも 示 唆 された 本 研 究 の 限 界 課 題 について 対 象 者 が 限 定 的 であり 結 果 の 普 遍 化 には 慎 重 である 必 要 が ある その 他 コホートによる 違 いについても 検 証 する 必 要 がある 対 象 者 の 年 齢 が 60 代 前 半 から 70 代 後 半 と 幅 があり 現 役 時 代 または 定 年 退 職 時 の 経 済 状 況 が 異 なっている 年 代 別 で の 調 査 を 行 うならば 本 研 究 とは 異 なる 知 見 が 得 られるかもしれない 2

参 考 文 献 1) 柴 田 博, 長 田 久 雄, 杉 澤 秀 博 偏 老 年 学 要 論 老 いを 理 解 する 建 帛 社 2007 年. 2) 古 谷 野 亘, 安 藤 孝 敏 編 著 新 社 会 老 年 学 シニアライフのゆくえ 株 式 会 社 ワールドプ ランニング 2003 年. 3) 杉 澤 秀 博, 柴 田 博 偏 著 生 涯 現 役 の 危 機 平 成 不 況 下 における 中 高 年 の 心 理 株 式 会 社 ワールドプランニング 2003 年 4) 川 喜 多 喬 50 代 のライフデザインとキャリアデザイン 都 市 団 塊 世 代 を 中 心 に Hosei University Repository 2005 年. 5) 松 本 恵 高 齢 者 の 就 労 意 欲 に 関 わる 要 因 生 活 意 識 との 関 係 性 についての 考 察 Works Review 2006 vol.1 リクルートワークス 研 究 所 研 究 報 告 2006 年. 6) 大 内 尉 義, 秋 山 弘 子 編 集 代 表, 折 茂 肇 編 集 顧 問 新 老 年 学 第 3 版 東 京 大 学 出 版 会 2010 年. 7) 前 田 信 彦 高 齢 期 における 多 様 な 働 き 方 とアンペイド ワークへの 評 価 - 男 性 定 年 退 職 者 の 分 析 - 国 立 女 性 教 育 会 館 研 究 紀 要 vol.7 2007 年. 8) 柴 田 博 8 割 以 上 の 老 人 は 自 立 している! ビジネス 社 2002 年. 9) 清 家 篤 編 著 生 涯 現 役 時 代 の 雇 用 政 策 日 本 評 論 社 2001 年. 10) 伊 東 光 晴, 河 合 隼 雄, 副 田 義 也, 鶴 見 俊 輔, 日 野 原 重 明 編 集 委 員 老 いと 社 会 システム 岩 波 書 店 1987 年. 11) 川 喜 多 喬 著 人 材 育 成 とキャリアデザイン 支 援 - 人 材 マネジメントの 基 礎 哲 学 - 労 働 新 聞 社 2009 年. 12) 川 喜 多 喬 人 材 育 成 論 入 門 法 政 大 学 出 版 局 2004 年. 13) 阿 部 正 浩, 黒 澤 昌 子, 戸 田 淳 仁 資 格 と 一 般 教 育 訓 練 の 有 効 性 -その 転 職 成 功 に 与 える 効 果 経 済 産 業 研 究 所 ディスカッション ペーパー 2004 年. 14) 佐 藤 厚 職 業 キャリアと 高 齢 期 の 就 労 見 通 し 団 塊 の 世 代 を 中 心 に Hosei University Repository 2010 年. 15) 高 木 朋 代 高 齢 者 の 就 業 と 引 退 自 己 選 別 はなぜ 始 動 されるのか 日 本 労 働 研 究 雑 誌 2009 年. 16) 高 木 朋 代 高 年 齢 者 と 転 職 : 成 功 者 のキャリア 特 性 分 析 敬 愛 大 学 研 究 論 集 2007 年. 17) 戎 野 淑 子 高 齢 者 雇 用 の 成 立 条 件 と 雇 用 機 会 の 創 出 日 本 労 働 研 究 雑 誌 2003 年. 18) 木 下 康 仁 グラウンデッド セオリー アプローチ 弘 文 堂 1999 年. 19) 木 下 康 仁 グラウンデッド セオリー アプローチの 実 践 弘 文 堂 2001 年. 20) 木 下 康 仁 ライブ 講 義 M-GTA- 実 践 的 質 的 研 究 法 修 正 版 グラウンデッド セオリー アプ ローチのすべて 弘 文 堂 2007 年. 21) 西 村 芳 貢 サラリーマンの 職 業 的 引 退 に 伴 う 心 理 的 問 題 の 克 服 のプロセス 研 究 桜 美 林 大 学 大 学 院 老 年 学 専 攻 修 士 論 文 2009 年.