第 23 回 愛 媛 県 臨 床 細 胞 学 会 総 会 ならびに 学 術 集 会 日 時 : 平 成 27 年 1 月 25 日 ( 日 ) 9:30~ 会 場 : 愛 媛 県 立 中 央 病 院 講 堂 Ⅰ 開 会 の 辞 ( 9:30 ~ 9:35 ) - プログラム - Ⅱ シンポジウム ( 9:35 ~ 11:35 ) テーマ 各 施 設 における 術 中 迅 速 細 胞 診 の 現 状 および 症 例 提 示 コーディネーター: 松 影 昭 一, 中 川 健 司 1) 脳 腫 瘍 の 術 中 迅 速 診 断 の 現 状 市 立 宇 和 島 病 院 診 療 部 臨 床 検 査 科, 同 病 理 診 断 科 1) 1) 1) 菅 恭 弘, 中 川 健 司, 伊 井 喜 美 代, 中 西 護, 松 影 昭 一 2) 肺 腫 瘤 の 術 中 迅 速 細 胞 診 松 山 赤 十 字 病 院 病 理 診 断 科 部, 同 呼 吸 器 外 科 1) 1) 1) 1) 1) 1) 1) 窪 田 裕 美, 門 屋 孝 志, 吉 田 彩 乃, 坂 本 真 吾, 本 吉 知 里, 三 好 陽 子, 古 本 好 江, 1) 1) 高 石 治 彦, 飛 田 陽, 大 城 由 美, 伊 藤 謙 作 3) 胸 水 胸 腔 洗 浄 液 の 術 中 迅 速 細 胞 診 松 山 赤 十 字 病 院 病 理 診 断 科 部, 同 呼 吸 器 外 科 1) 1) 1) 1) 1) 1) 1) 門 屋 孝 志, 窪 田 裕 美, 吉 田 彩 乃, 坂 本 真 吾, 本 吉 知 里, 三 好 陽 子, 古 本 好 江, 1) 1) 高 石 治 彦, 飛 田 陽, 大 城 由 美, 伊 藤 謙 作 4) 消 化 管 腹 腔 洗 浄 液 の 術 中 迅 速 細 胞 診 愛 媛 県 立 中 央 病 院 兵 頭 直 樹, 森 田 渚, 加 藤 真 紀 子, 高 石 裕 子, 篠 崎 理 恵, 井 上 信 行, 木 下 幸 正, 高 石 修, 木 藤 克 己, 杉 田 敦 郎, 前 田 智 治 5) 婦 人 科 領 域 における 腹 腔 洗 浄 細 胞 診 3) 四 国 がんセンター 臨 床 検 査 科, 同 婦 人 科, 同 病 理 科 1) 1) 1) 1) 1) 1) 1) 田 中 慎 一, 佐 藤 正 和, 松 田 奈 美, 小 嶋 健 太, 蜂 須 賀 幸, 田 母 神 佐 智 子, 有 江 啓 二, 2) 2) 2) 2) 2) 2) 3) 楠 本 真 也, 山 本 弥 寿 子, 大 亀 真 一, 白 山 裕 子, 竹 原 和 宏, 野 河 孝 充, 高 畑 浩 之, 1) 3) 西 村 理 恵 子, 寺 本 典 弘 総 合 討 論
Ⅲ 昼 休 み ( 11:35 ~ 12:45 ) Ⅳ 特 別 講 演 (12:45 ~ 13:45 ) 座 長 : 前 田 智 治 乳 腺 細 胞 診 の 現 状 とこれから 久 留 米 大 学 医 学 部 附 属 医 療 センター 臨 床 検 査 室 病 理 診 断 科 山 口 倫 Ⅴ 一 般 演 題 ( 14:00 ~ 15:00 ) 座 長 : 杉 田 敦 郎 1) 女 性 尿 道 に 発 生 した 明 細 胞 腺 癌 の1 例 四 国 がんセンター 臨 床 検 査 科, 同 病 理 診 断 科 1) 1) 1) 1) 1) 3) 1) 蜂 須 賀 幸, 佐 藤 正 和, 松 田 奈 美, 小 嶋 健 太, 田 中 慎 一, 田 母 神 佐 智 子, 有 江 啓 二, 2) 高 畑 浩 之, 西 村 理 恵 子, 寺 本 典 弘 2) 尿 中 前 立 腺 癌 細 胞 の 核 小 体 所 見 の 画 像 解 析 核 小 体 の 大 きさと 核 小 体 / 核 比 について 四 国 がんセンター 臨 床 検 査 科, 同 病 理 科 1) 1) 1) 1) 1) 1) 松 田 奈 美, 佐 藤 正 和, 田 中 慎 一, 小 嶋 健 太, 蜂 須 賀 幸, 田 母 神 佐 智 子, 有 江 啓 2) 1) 二, 高 畑 浩 之, 寺 本 典 弘, 西 村 理 恵 子 3) 子 宮 頸 部 大 細 胞 神 経 内 分 泌 癌 の 細 胞 像 の 検 討 3) 四 国 がんセンター 婦 人 科, 同 病 理 科, 同 臨 床 検 査 科 1) 1) 1) 1) 1) 3) 3) 楠 本 真 也, 大 亀 真 一, 山 本 弥 寿 子, 白 山 裕 子, 竹 原 和 宏, 松 田 奈 美, 小 嶋 健 太, 3) 3) 3) 3) 3) 2) 3) 蜂 須 賀 幸, 田 中 慎 一, 田 母 神 佐 智 子, 佐 藤 正 和, 有 江 啓 二, 高 畑 浩 之, 西 村 理 恵 子, 2) 1) 寺 本 典 弘, 野 河 孝 充 4)LBC(ThinPrep 法 ) 標 本 作 製 時 の 精 度 管 理 - 標 本 の 再 作 製 を 中 心 に- 愛 媛 県 総 合 保 健 協 会, 奥 島 病 院 1) 1) 1) 1) 1) 1) 尾 﨑 翔 子, 武 井 彩, 藤 田 泰 吏, 高 橋 若 菜, 金 子 真 由 美, 深 田 千 尋, 佐 伯 1) 健 二, 池 谷 東 彦, 日 浦 昌 道 5) 乳 腺 細 胞 診 従 来 法 と 液 状 細 胞 診 の 比 較 愛 媛 県 立 中 央 病 院 前 田 智 治, 森 田 渚, 加 藤 真 紀 子, 高 石 裕 子, 篠 崎 理 恵, 兵 頭 直 樹, 井 上 信 行, 木 下 幸 正, 高 石 修, 木 藤 克 己, 杉 田 敦 郎 一 般 演 題 は 発 表 8 分, 討 論 4 分 です.PC-プロジェクトを 1 台 用 意 しております. Ⅵ 平 成 27 年 (26 年 度 ) 愛 媛 県 臨 床 細 胞 学 会 総 会 ( 15:00 ~ 15:30 )
一 般 演 題 1) 女 性 尿 道 に 発 生 した 明 細 胞 腺 癌 の1 例 四 国 がんセンター 臨 床 検 査 科, 同 病 理 診 断 科 蜂 須 賀 幸 1), 佐 藤 正 和 1), 松 田 奈 美 1), 小 嶋 健 太 1), 田 中 慎 一 1), 田 母 神 佐 智 子 1), 有 江 啓 二 1), 高 畑 浩 之 2), 西 村 理 恵 子, 寺 本 典 弘 はじめに 尿 道 に 発 生 する 悪 性 腫 瘍 は 比 較 的 稀 で, 大 部 分 は 扁 平 上 皮 癌 である. 尿 道 腺 癌 は, 大 部 分 が 女 性 の 尿 道 憩 室 由 来 明 細 胞 腺 癌 である. 稀 だが, 特 徴 的 な 細 胞 像 臨 床 像 を 持 ち, 診 断 価 値 が 高 い. 尿 道 原 発 の 明 細 胞 腺 癌 を 経 験 したので,そ の 細 胞 像 を 中 心 に 報 告 する. 症 例 60 歳 代 女 性. 子 宮 頸 癌 の 既 往 歴 あり. 膀 胱 炎, 過 活 動 膀 胱 の 治 療 中, 排 尿 障 害, 肉 眼 的 血 尿 のためにうけた 膀 胱 鏡 検 査 で 尿 道 腫 瘍 を 指 摘 された. 尿 細 胞 診 で は 明 細 胞 腺 癌 が 疑 われた.それに 対 し, 当 院 で 経 尿 道 的 尿 道 腫 瘍 切 除 術, 続 いて 膀 胱 尿 道 全 摘 + 回 腸 導 管 術 が 施 行 された. 尿 細 胞 所 見 クロマチンが 増 量 し 明 瞭 な 核 小 体 を 有 する 異 型 核 と 泡 沫 状 淡 明 な 胞 体 を 有 する 異 型 上 皮 が 小 乳 頭 様 集 塊 状 や 散 在 性 に 認 められた. 背 景 には 基 底 膜 物 質 が 認 められた. 組 織 所 見 淡 明 な 胞 体 と 核 小 体 明 瞭 な 異 型 核 を 有 する 細 胞 がtubulocystic~low papillaryな 構 造 をとって 増 生 する 典 型 的 な 明 細 胞 腺 癌 であった. 膀 胱 頚 部 尿 道 中 部 膣 周 囲 に 進 展 していた. 結 語 本 症 例 の 細 胞 像 は, 反 応 性 尿 細 管 上 皮 細 胞 や 腺 様 分 化 を 伴 った 尿 路 上 皮 癌 細 胞 との 鑑 別 が 必 要 である. 反 応 性 尿 細 管 上 皮 細 胞 の 細 胞 集 塊 とは 強 い 細 胞 異 型 を 有 する 点 で, 尿 路 上 皮 癌 細 胞 とは 基 底 膜 物 質 や 明 瞭 な 核 小 体 などで 鑑 別 が 可 能 であ る. 尿 道 原 発 の 明 細 胞 腺 癌 に 遭 遇 する 機 会 は 少 ないが, 特 徴 的 な 細 胞 像 により, 尿 道 を 好 発 とする 明 細 胞 腺 癌 を 推 定 できれば, 早 期 に 正 診 に 至 ることが 可 能 だと 思 わ れる. 一 般 演 題 2) 尿 中 前 立 腺 癌 細 胞 の 核 小 体 所 見 の 画 像 解 析 核 小 体 の 大 き さと 核 小 体 / 核 比 について 四 国 がんセンター 臨 床 検 査 科 1), 同 病 理 診 断 科 2) 松 田 奈 美 1), 佐 藤 正 和 1), 田 中 慎 一 1), 小 嶋 健 太 1), 蜂 須 賀 幸 1), 田 母 神 佐 智 子 1), 有 江 啓 二 1), 高 畑 浩 之 2), 寺 本 典 弘 2) 1), 西 村 理 恵 子 はじめに 前 立 腺 癌 は 尿 道 から 離 れた 外 腺 から 発 生 することが 多 く, 尿 中 に 癌 細 胞 が 出 現 する 頻 度 は 低 い.しかし, 膀 胱 壁 へ 浸 潤 した 場 合 には 尿 中 に 癌 細 胞 を 認 め ることがある. 一 般 的 に 前 立 腺 癌 細 胞 は 大 型 で 著 明 な 核 小 体 を 有 するが, 膀 胱 原 発 尿 路 上 皮 癌 症 例 でも 核 小 体 の 目 立 つ 異 型 細 胞 を 認 めるため,これらの 鑑 別 に 苦 慮 す ることがある.そこで, 核 小 体 所 見 により 前 立 腺 癌 細 胞 と 尿 路 上 皮 癌 細 胞 の 鑑 別 が 可 能 かどうかを 検 討 した. 方 法 過 去 2 年 間 の 前 立 腺 癌 膀 胱 内 浸 潤 症 例 8 例 ( 前 立 腺 癌 群 )と, 膀 胱 原 発 尿 路 上 皮 癌 尿 細 胞 診 材 料 で 明 瞭 な 核 小 体 を 認 めた 症 例 ( 核 小 体 の 目 立 つ 尿 路 上 皮 癌 群 ) について,1 症 例 50 個 の 腫 瘍 細 胞 の 核 小 体 と 核 面 積 を 計 測 し, 円 相 当 径 ( 直 径 )に 換 算, 核 小 体 / 核 比 (N/N 比 )を 算 出 した. 計 測 にはニコン 製 画 像 解 析 ソフト (NIS-erements), 統 計 解 析 にはMann-WhitneyのU 検 定 を 用 いた. 結 果 前 立 腺 癌 群 は 全 例 で 明 瞭 な 核 小 体 を 認 め,その 核 小 体 面 積 は 中 央 値 2.7μ m,n/n 比 は 中 央 値 33.8%であり, 核 小 体 の 目 立 つ 尿 路 上 皮 癌 群 に 比 べて 有 意 に 大 き かった(p<0.0001). 考 察 尿 細 胞 診 において 尿 中 異 型 細 胞 の 核 小 体 の 大 きさに 注 目 すれば 前 立 腺 癌 を 見 つけるきっかけになる.しかし, 尿 路 上 皮 癌 細 胞 の 中 には 前 立 腺 癌 細 胞 と 同 程 度 の 大 きさの 核 小 体 を 有 するものがあり,これらの 鑑 別 にはN/N 比 が 重 要 であった ( 特 にN/N 比 30% 以 上 ). まとめ 尿 細 胞 診 材 料 における 前 立 腺 癌 細 胞 と 尿 路 上 皮 癌 細 胞 の 鑑 別 には,N/N 比 が 有 用 であった.
一 般 演 題 3) 子 宮 頸 部 大 細 胞 神 経 内 分 泌 癌 の 細 胞 像 の 検 討 四 国 がんセンター 婦 人 科 1), 同 病 理 科 2) 3), 同 臨 床 検 査 科 楠 本 真 也 1), 大 亀 真 一 1), 山 本 弥 寿 子 1), 白 山 裕 子 1), 竹 原 和 宏 1), 松 田 奈 美 3), 小 嶋 健 太 3), 蜂 須 賀 幸 3), 田 中 慎 一 3), 田 母 神 佐 智 子 3), 佐 藤 正 和 3), 江 啓 二 3), 高 畑 浩 之 2), 西 村 理 恵 子 3), 寺 本 典 弘 2) 1), 野 河 孝 充 はじめに 子 宮 頸 部 大 細 胞 神 経 内 分 泌 癌 ( 以 下 LCNEC)は 子 宮 頸 癌 の1% 以 下 とさ れる 稀 な 疾 患 であり, 細 胞 像 についての 検 討 は 少 なく 細 胞 診 判 定 は 困 難 である. LCNECの 細 胞 診 従 来 法 1 例 とLBC 法 1 例 の 細 胞 像 を 比 較 検 討 した. 症 例 1 66 歳, 帯 下 異 常 と 腰 痛, 体 重 減 少 を 主 訴 に 受 診 した. 細 胞 診 ( 従 来 法 ) では, 核 線 を 伴 う 壊 死 性 背 景 にN/C 比 が 高 く, 裸 核 状 も 呈 する 腫 瘍 細 胞 が 孤 立 散 在 性 ~ 小 集 塊 状 に 出 現 し, 索 状 配 列 もみられた. 大 小 不 同 な 類 ~ 楕 円 形 の 大 型 核 を 認 め,クロマチンは 粗 顆 粒 状 であった. 細 胞 質 内 にはライトグリーン 好 性 球 状 物 質 を 認 めた. 症 例 2 60 歳, 不 正 性 器 出 血 を 主 訴 に 受 診 した. 細 胞 診 (LBC 法 )では, 背 景 に 核 線 や 壊 死 物 質 は 認 められなかった.クロマチンが 粗 顆 粒 状 に 増 量 した 大 型 核 をもつ 腫 瘍 細 胞 が, 軽 度 の 重 積 を 伴 い 集 塊 状 に 出 現 していた. 細 胞 質 はライトグリーン 好 性 で 顆 粒 状,レース 状 であった. まとめ LBC 法 では 背 景 などに 違 いがみられるが,クロマチンを 含 めた 核 の 所 見 や 細 胞 質 の 性 状, 細 胞 質 内 球 状 物 質 などの 細 胞 像 を 理 解 することでLCNECを 推 定 す ることは 可 能 であると 考 える. 一 般 演 題 4) LBC(ThinPrep 法 ) 標 本 作 製 時 の 精 度 管 理 - 標 本 の 再 作 製 を 中 心 に- 愛 媛 県 総 合 保 健 協 会, 奥 島 病 院 尾 﨑 翔 子 1), 武 井 彩 1), 藤 田 泰 吏 1), 高 橋 若 菜 1), 金 子 真 由 美 1), 深 田 千 尋 1), 佐 伯 健 二 1), 池 谷 東 彦, 日 浦 昌 道 はじめに 当 協 会 は, 平 成 25 年 度 からLBC(ThinPrep 法 )を 導 入, 子 宮 頸 がん 検 診 を 実 施 している. 適 切 な 標 本 を 作 製 し, 精 度 向 上 を 図 るため, 必 要 に 応 じて 標 本 の 再 作 製 を 行 っている. 今 回, 再 作 製 前 後 における 標 本 の 検 討 結 果 について 報 告 す る. 方 法 平 成 26 年 5 月 から10 月 の 間 にThinPrep 法 にて38,282 例 を 実 施,このうち54 例 ( 約 0.14%)について 標 本 の 再 作 製 を 行 った. 再 作 製 依 頼 時, 検 体 の 性 状, 年 齢, 月 経 に 関 する 情 報 を 明 記 した 依 頼 書 を 確 認 し,CytoLyt 処 理 の 有 無, 出 現 細 胞 量 の 変 化, 質 的 な 細 胞 判 読 などを 含 めた 観 察 状 態 の 改 善 について 記 載 した. 今 回 こ れらの 記 載 情 報 に 関 して 評 価 を 行 った. 結 果 再 作 製 検 体 54 例 の 検 体 内 訳 は,1 血 性 検 体 は14 例 (25.9%)で 再 作 製 にて 10 例 (71.4%)に 改 善 を 認 めた.2 粘 液 検 体 は15 例 (27.7%)であり, 再 作 製 によって 10 例 (66.6%)に 改 善 がみられた.3 出 現 細 胞 が 少 数 であった34 例 中, 血 性 検 体 5 例, 粘 液 検 体 6 例 に 大 幅 な 改 善 を 認 めたが,4 例 については 再 作 製 による 効 果 はみら れなかった.4 異 型 細 胞 が 出 現 していた14 例 において, 再 作 製 によって7 例 に 質 的 または 量 的 に 細 胞 所 見 の 有 益 な 情 報 が 得 られた.また, 血 性 検 体 1 例, 粘 液 検 体 1 例 のいずれも 効 果 が 認 められた. まとめ LBC(ThinPrep 法 )の 利 点 として, 再 作 製 時 に 標 本,ボトル 内 を 十 分 に 観 察 し, 血 液, 粘 液 性 状 に 配 慮 した 的 確 な 処 理 を 行 うことによって, 量 的, 質 的 に 良 好 な 出 現 細 胞 が 得 られる 頻 度 が 高 い. 追 加 情 報 を 得 るための 適 切 な 標 本 作 製 は 細 胞 診 の 精 度 管 理 に 大 いに 寄 与 できると 考 えられた.
一 般 演 題 5) 乳 腺 細 胞 診 従 来 法 と 液 状 細 胞 診 の 比 較 愛 媛 県 立 中 央 病 院 前 田 智 治, 森 田 渚, 加 藤 真 紀 子, 高 石 裕 子, 篠 崎 理 恵, 兵 頭 直 樹, 井 上 信 行, 木 下 幸 正, 高 石 修, 木 藤 克 己, 杉 田 敦 郎 はじめに 乳 腺 細 胞 診 従 来 法 と 液 状 細 胞 診 (Liquid Based Cytology, 以 下 LBC) の 比 較 を 行 ったので 報 告 する. 対 象 と 方 法 10 年 7 月 ~14 年 5 月 の 乳 腺 穿 刺 細 胞 診 (1000 件 )について,すりあわせ で 従 来 法 標 本 を 作 成 後, 注 射 筒 をLBC 固 定 液 で 洗 浄 するスプリットサンプル 法 でLBC 法 標 本 を 作 成 し, 従 来 法 とLBC 法 は 別 個 に 細 胞 診 判 定 した. 両 者 の 細 胞 診 判 定 の 差, 相 関 を 検 討 した.また, 従 来 法 とLBC 法 の 細 胞 像 を 比 較 検 討 した. 必 要 に 応 じ てLBC-p63 免 疫 染 色 を 施 行 し 良 性 悪 性 の 鑑 別 に 有 用 かどうかも 検 討 した. 結 果 1000 件 中, 検 体 不 適 正 は 従 来 法 178 件,LBC 法 396 件 で,LBC 法 で 検 体 不 適 正 が 多 いのは, 従 来 法 作 成 後 の 材 料 の 為 であると 考 えられた. 従 来 法,LBC 法 ともに 検 体 適 正 で, 組 織 が 確 定 した 症 例 は309 件 ( 悪 性 279 件, 良 性 30 件 )であった.LBC 法 は 従 来 法 と 比 較 し, 良 性 病 変 を 悪 性 に, 悪 性 病 変 を 良 性 に 誤 判 定 した 数 が 多 く, 両 者 の 相 関 ではLBC 法 はやや 低 めに 判 定 していた. 細 胞 像 に 関 して,LBC 法 では 核 は やや 濃 縮 収 縮 ぎみであるが, 核 形 不 整 は 保 持 された. 大 集 塊 は 少 なくなり, 悪 性 病 変 では 孤 立 散 在 性 細 胞 が 多 くなった. 壊 死 背 景 は 存 在 するが, 壊 死 が 軽 度 の 場 合 は 分 りづらかった.LBC-p63 免 疫 染 色 で 筋 上 皮 は 明 瞭 に 染 色 され, 悪 性 ではp63 陽 性 細 胞 クラスターが 有 意 に 少 なかった. まとめ 従 来 法 とLBC 法 の 細 胞 像 に 大 きな 差 異 はなかったが,LBC 法 は 従 来 法 より ややUnderdiagnosis 傾 向 があった.LBC-p63 免 疫 染 色 は 良 性 悪 性 の 鑑 別 に 有 用 と 考 えられた.
シンポジウム まえがき テーマ 各 施 設 における 術 中 迅 速 細 胞 診 の 現 状 および 症 例 提 示 コーディネーター: 松 影 昭 一 中 川 健 司 術 中 迅 速 細 胞 診 は 文 字 通 り, 術 中 に 行 われる 迅 速 細 胞 診 で, 病 変 の 有 無 や 組 織 型 の 推 定 ( 迅 速 組 織 診 の 補 助 的 な 役 割 も 含 む), 腫 瘍 の 進 行 度 を 判 定 する 上 で 重 要 な 役 割 を 果 た しています. 現 在, 各 施 設 では, 脳 組 織, 肺, 胸 水, 腹 水 ( 消 化 管 および 女 性 生 殖 器 系 )などの 迅 速 細 胞 診 が 行 われており, 手 術 をする 上 で 必 要 かつ 有 用 な 情 報 を 臨 床 医 に 提 供 しています.そこで, 今 回 のシンポジウムでは, 実 際 に 術 中 迅 速 細 胞 診 を 行 ってい る 各 施 設 における 迅 速 細 胞 診 の 取 り 組 みを, 演 者 にご 発 表 いただく 予 定 です.また, 各 部 位 の 術 中 迅 速 細 胞 診 の 代 表 的 あるいは 貴 重 な 症 例 を 提 示 していただき, 術 中 迅 速 細 胞 診 の 細 胞 像 について 理 解 を 深 めたいと 思 っています. シンポジウム1) 脳 腫 瘍 の 術 中 迅 速 診 断 の 現 状 市 立 宇 和 島 病 院 診 療 部 臨 床 検 査 科, 同 病 理 診 断 科 菅 恭 弘 1), 中 川 健 司 1), 伊 井 喜 美 代 1), 中 西 護 1), 松 影 昭 一 脳 神 経 領 域 における 術 中 迅 速 診 断 は, 腫 瘍 の 種 類, 切 除 範 囲 の 決 定 や 術 後 の 治 療 方 針 などを 決 めるうえで 重 要 な 役 割 を 持 っている.この 術 中 迅 速 診 断 は, 凍 結 切 片 作 製 による 方 法 が 一 般 的 に 行 われている.しかし, 脳 腫 瘍 の 術 中 に 提 出 される 組 織 は 微 小 であることが 多 く,またアーチファクト 等 の 影 響 で 診 断 するには 標 本 として 十 分 でないことが 多 い.そのため, 術 中 迅 速 診 断 の 際 に 補 助 的 な 方 法 として 細 胞 診 の 併 用 が 試 みられている. 当 院 では2003 年 より 術 中 迅 速 細 胞 診 診 断 の 併 用 を 取 り 入 れており,このうち2012 年 1 月 から2014 年 10 月 までの 約 3 年 間 に 術 中 迅 速 診 断 を 行 った38 例 について 見 直 し 検 討 を 行 った. 最 終 組 織 診 断 の 内 訳 は,meningioma 12 例,glioma 腫 瘍 8 例,metastatic carcinoma 6 例,schwannoma 4 例,pituitary adenoma 4 例, 腫 瘍 所 見 なし( 血 腫 など) 4 例 で, 迅 速 診 断 との 一 致 率 は86.8%であった. 標 本 作 製 方 法 は, 術 中 迅 速 診 断 用 に 提 出 された 組 織 の 一 部 を1mm 程 度 に 切 り 取 り, 捺 印 圧 挫 標 本 を 作 製 しPapanicolaou 染 色 を 行 った. 残 りの 組 織 は,アセトンを 使 用 した 凍 結 切 片 を 作 製 してH E 染 色 を 行 った.また,パラフィン 包 埋 の 永 久 標 本 も 作 製 した. 今 回 のシンポジウムでは 典 型 的 な 脳 腫 瘍 の 組 織 像 および 細 胞 像 を 提 示 す る. 術 中 迅 速 診 断 の 補 助 診 断 として 細 胞 診 を 併 用 することが,より 正 確 な 診 断 のた めに 有 用 であり, 今 後, 他 の 診 断 困 難 な 領 域 にも 応 用 を 行 っていきたい. 2)
シンポジウム2) 肺 腫 瘤 の 術 中 迅 速 細 胞 診 松 山 赤 十 字 病 院 病 理 診 断 科 部, 同 呼 吸 器 外 科 窪 田 裕 美 1), 門 屋 孝 志 1), 吉 田 彩 乃 1), 坂 本 真 吾 1), 本 吉 知 里 1), 三 好 陽 子 1), 古 本 好 江 1), 高 石 治 彦 1), 飛 田 陽 1), 大 城 由 美, 伊 藤 謙 作 当 院 では 肺 腫 瘤 の 術 中 迅 速 細 胞 診 として, 術 前 に 良 悪 の 確 診 に 至 らなかった 症 例 の 術 中 穿 刺 吸 引 細 胞 診 を 行 っている. 目 的 としては1) 良 性 悪 性 の 確 定,2) 組 織 型 の 推 定,3) 原 発 か 転 移 かの 鑑 別 などが 挙 げられる. 通 常 は 迅 速 組 織 診 が 優 先 的 に 施 行 されるが, 部 分 切 除 術 が 困 難 な 症 例 や, 部 分 切 除 術 に 時 間 がかかりそうな 症 例 ( 高 度 癒 着 など)に 施 行 されている. 今 回 は2011 年 1 月 から2014 年 10 月 に 施 行 された43 例 を 検 討 した. 採 取 された 検 体 は 吹 き 付 け 法 や 合 わせ 法,またBDサイトリッチレッド TM 保 存 液 での 注 射 器 洗 浄 による LBC 法 で 標 本 作 製 し,パパニコロウ 染 色 とDiff-Quik TM 染 色 にて 判 定 診 断 をした. 結 果 は 陽 性 ( 悪 性, 悪 性 疑 い)33 例, 陰 性 4 例, 鑑 別 困 難 5 例, 検 体 不 適 正 1 例 であ り, 偽 陰 性 1 例 が 生 じた.( 感 度 86.8%, 特 異 度 75%, 正 診 率 85.7%) 鑑 別 困 難 と した 症 例 は4 例 が 肺 腺 癌,1 例 が 結 核 症 と 術 後 組 織 診 で 診 断 された.また, 陽 性 例 に おける 組 織 型 一 致 率 は 腺 癌 18/20(90%), 扁 平 上 皮 癌 5/7(71.4%),LCNEC0/2 (0%), 転 移 性 肺 腫 瘍 2/4(50%)であった. 当 院 の 課 題 は 比 較 的 細 胞 異 型 の 弱 い 肺 腺 癌 と 転 移 性 肺 腫 瘍 の 診 断 精 度 向 上 にあると 考 えたが, 時 間 的 制 約 やプレッ シャーのもとでは 細 胞 診 のみでの 判 定 には 限 界 を 感 じる 症 例 も 少 なからずある. 術 前 に 臨 床 情 報 や 画 像 診 断 などを 得 ておくことや 臨 床 医 とのコミュニケーションが 重 要 と 考 える. シンポジウムでは 術 中 診 断 困 難 であった 肺 腺 癌, 転 移 性 肺 腫 瘍, 結 核 症 などを 提 示 する. シンポジウム3) 胸 水 胸 腔 洗 浄 液 の 術 中 迅 速 細 胞 診 松 山 赤 十 字 病 院 病 理 診 断 科 部, 同 呼 吸 器 外 科 門 屋 孝 志 1), 窪 田 裕 美 1), 吉 田 彩 乃 1), 坂 本 真 吾 1), 本 吉 知 里 1), 三 好 陽 子 1), 古 本 好 江 1), 高 石 治 彦 1), 飛 田 陽 1), 大 城 由 美, 伊 藤 謙 作 胸 水 や 胸 腔 洗 浄 液 の 術 中 迅 速 細 胞 診 では, 悪 性 細 胞 の 検 出 が 目 的 であり, 完 全 切 除 の 可 否 の 判 断 のため 重 要 である. 当 院 呼 吸 器 センターでは 悪 性 を 認 めた 場 合 は 縮 小 手 術 に 変 更 し, 術 中 に 胸 腔 内 抗 癌 剤 投 与 を 行 っている. 今 回 は2011 年 1 月 から2014 年 10 月 に 施 行 された34 例 を 検 討 した. 採 取 された 検 体 は 引 きガラス 法 およびBDサイトリッチレッド TM によるLBC 法 で 標 本 作 製 し,パパニコロ ウ 染 色 とDiff-Quik TM 染 色 にて 判 定 診 断 をした. 診 断 結 果 は 陽 性 5 例, 陰 性 26 例, 鑑 別 困 難 3 例 であった. 陽 性 症 例 の 内 3 例 に 胸 膜 播 種,2 例 に 胸 膜 浸 潤 を 認 めた. 組 織 型 は 腺 癌 4 例, 混 合 型 小 細 胞 癌 ( 小 細 胞 癌 + 腺 癌 )1 例 であり, 全 例 に 胸 腔 内 抗 癌 剤 注 入 療 法 が 施 行 された. 鑑 別 困 難 とした 症 例 は1 例 が 異 型 細 胞 が 少 数 であ り, 他 2 例 は 腺 癌 と 反 応 性 中 皮 との 鑑 別 が 困 難 であったが, 術 後 に 免 疫 染 色 を 追 加 検 討 した 結 果, 反 応 性 中 皮 と 判 定 した.シンポジウムでは 腺 癌 と 混 合 型 小 細 胞 癌 な どを 提 示 する. 術 中 迅 速 細 胞 診 では 診 断 精 度 だけでなく, 標 本 作 製 技 量 が 診 断 に 大 きく 影 響 す る. 短 時 間 でいかにアーチファクトのない, 剥 離 の 少 ない 標 本 を 作 製 するかが 重 要 なポイントである.BDサイトリッチレッド TM を 使 用 したLBC 法 は, 溶 血 作 用 を 有 して いる 固 定 液 での 処 理 や 荷 電 を 利 用 した 重 力 沈 降 法 により, 腫 瘍 細 胞 を 良 好 な 状 態 で 保 持 し,かつ 効 率 的 に 集 細 胞 ができる 点 で 優 れている. 当 院 でも2010 年 から 活 用 し ており, 運 用 方 法 と 有 用 性 を 紹 介 する.
シンポジウム4) 消 化 管 腹 腔 洗 浄 液 の 術 中 迅 速 細 胞 診 愛 媛 県 立 中 央 病 院 兵 頭 直 樹, 森 田 渚, 加 藤 真 紀 子, 高 石 裕 子, 篠 崎 理 恵, 井 上 信 行, 木 下 幸 正, 高 石 修, 木 藤 克 己, 杉 田 敦 郎, 前 田 智 治 術 中 迅 速 診 断 は, 従 来 より 凍 結 組 織 薄 切 標 本 による 組 織 診 断 として 行 われており, その 方 法 や 有 用 性 についてはすでに 確 立 されたものとなっている. 近 年, 細 胞 診 断 においても 同 様 に, 組 織 を 凍 結 する 過 程 で 生 成 される 氷 結 晶 の 影 響 を 受 けないこと や, 薄 切 標 本 の 作 製 が 困 難 な 微 少 材 料 や 液 状 材 料 にも 応 用 可 能 な 利 点 があるため, 術 中 迅 速 細 胞 診 断 は 術 中 迅 速 組 織 診 断 の 補 助 的 診 断 方 法 にとどまらず, 相 補 的 診 断 方 法 として 施 行 され,その 重 要 性 が 広 く 認 識 されている.さらに,2010 年 4 月 の 診 療 報 酬 改 定 では, 第 13 部 病 理 診 断 の 項 目 として, 術 中 迅 速 細 胞 診 (1 手 術 につき) 450 点 が 新 規 収 載 され, 細 胞 診 断 料 の 対 象 にもなっている. 当 院 では2007 年 4 月 以 降, 子 宮 頸 部 材 料 に 対 して 液 状 細 胞 診 Liquid-based cytology 法 ( 以 下 LBC 法 )を 導 入 しており, 現 在 では 術 中 迅 速 細 胞 診 標 本 の 作 製 に も,これまでの 引 きガラス 法 (Wedge 法 )やすり 合 わせ 法 などからLBC 法 に 変 更 し, その 方 法 はBD SurePathTM 法 ( 日 本 ベクトン デイッキンソン 社 )の 用 手 法 で 実 施 し ている. そこで 今 回, 当 院 の 術 中 迅 速 細 胞 診 の 実 施 状 況 を 提 示 し, 標 本 作 成 方 法 の 技 術 的 な 事 項 を 紹 介 し, 合 わせてこれまでに 経 験 した 症 例 を 報 告 する. シンポジウム5) 婦 人 科 領 域 における 腹 腔 洗 浄 細 胞 診 四 国 がんセンター 臨 床 検 査 科,, 同 婦 人 科 3) 同 病 理 科 田 中 慎 一 1), 佐 藤 正 和 1), 松 田 奈 美 1), 小 嶋 健 太 1), 蜂 須 賀 幸 1), 田 母 神 佐 智 子 1), 有 江 啓 二 1), 楠 本 真 也 2), 山 本 弥 寿 子 2), 大 亀 真 一 2), 白 山 裕 子 2), 竹 原 和 宏 2), 野 河 孝 充 2), 高 畑 浩 之 3), 西 村 理 恵 子 1) 3), 寺 本 典 弘 婦 人 科 領 域 における 術 中 細 胞 診 は, 進 行 期 分 類 に 重 要 であり 術 後 の 治 療 法 の 決 定 や 予 後 推 定 にかかわる. 子 宮 体 癌 における 予 後 因 子 としての 重 要 性 は 諸 説 が 有 り, FIGO(2008) 以 降, 進 行 期 分 類 ⅢA 期 から 腹 腔 洗 浄 細 胞 診 の 結 果 は 除 外 された.しか し, 全 症 例 に 腹 腔 洗 浄 細 胞 診 結 果 の 記 録 が 義 務 付 けられている. 2011~14 年 11 月 現 在 における 当 院 の 術 中 洗 浄 細 胞 診 検 体 は2201 例 であり, 婦 人 科 領 域 は559 例 である. 婦 人 科 領 域 の 術 中 洗 浄 細 胞 診 陽 性 率 は11%( 子 宮 体 癌 25 例, 卵 巣 癌 25 例, 腹 膜 癌 6 例, 転 移 癌 3, 計 59 例 )であった. 腹 腔 洗 浄 細 胞 診 陽 性 となる 要 因 として 癌 の 直 接 浸 潤 や 腹 膜 転 移 以 外 に, 子 宮 体 癌 の 場 合 には 経 卵 管 的 遊 出 がある. 経 卵 管 的 遊 出 は, 悪 性 腫 瘍 の 進 展 経 路 であるのみ ではなく, 非 腫 瘍 性 内 膜 細 胞 が 腹 腔 に 現 れる 原 因 となる. 当 院 の 子 宮 体 癌 手 術 症 例 において, 卵 巣 転 移 (-), 腹 膜 播 腫 (-), 進 行 期 分 類 pt1~2 症 例 における 術 中 洗 浄 細 胞 診 陽 性 は12 例 であった. 当 院 では, 疑 わしい 症 例 に 対 し 免 疫 染 色 (ER, CD10, Ber-EP4, MOC31)を 行 ってい る. 臨 床 的, 組 織 学 的 に 腹 膜 播 腫 (-)と 判 定 された 症 例 でもBer-EP4(+), MOC31(+) 症 例 が60%(9/15)あった.これらは 経 卵 管 的 に 遊 出 した 悪 性 細 胞 または 良 性 内 膜 細 胞,もしくは 内 膜 症 に 由 来 の 細 胞 と 思 われる.これらを 鑑 別 するためには 細 胞 像 と 免 疫 染 色 を 合 わせて 判 定 する 必 要 がある. 当 日 は 症 例 提 示 と 共 に, 経 卵 管 的 に 遊 出 した 細 胞 と 播 腫 巣 由 来 の 細 胞 の 形 態 学 的 鑑 別 点 について 報 告 する.
特 別 講 演 乳 腺 細 胞 診 の 現 状 とこれから 久 留 米 大 学 医 学 部 附 属 医 療 センター 臨 床 検 査 室 病 理 診 断 科 山 口 倫 乳 腺 細 胞 診 数 が 減 少 していると 言 われて 久 しい.この 理 由 のひとつとして 針 生 検 が 普 及 し, 得 られる 検 体 材 料 でホルモン 受 容 体 や HER2 の 蛋 白 遺 伝 子 の 発 現 を 見 るようになったことが 挙 げられる.さらに 乳 腺 領 域 の 臨 床 の 現 場 において 細 胞 診 は 鑑 別 困 難 率 が 高 いと 思 われがちであり, 信 頼 度 も 低 下 して いる 印 象 を 受 ける.このような 状 況 の 中, 乳 腺 専 門 病 院 では 乳 腺 穿 刺 吸 引 細 胞 診 の 機 会 が 極 めて 少 なくなったが, 一 般 病 院 での 乳 腺 細 胞 診 数 はさほど 減 少 しておらず, 現 在 でも 多 数 例 を 経 験 する 診 断 者 も 少 なくないと 思 われる. 2010 年 から 2012 年 に, 日 本 臨 床 細 胞 学 会 において 本 邦 の 乳 腺 穿 刺 吸 引 細 胞 診 の 精 度 に 関 するワーキンググループ (WG) が 設 置 された. 私 は 委 員 として 診 断 成 績 精 度 の 検 討 に 携 わる 機 会 を 得 た.その 結 果, 本 邦 の 乳 腺 穿 刺 吸 引 細 胞 診 の 精 度 は 外 国 のデータと 比 較 しても 高 く, 十 分 に 信 頼 性 のある 検 査 と 考 えられた. 一 方 で 誤 陽 性 や 誤 陰 性 も 少 なからず 存 在 し,100%を 保 証 される ものではなかった.こうした 事 実 を 法 曹 界 や 国 民 に 開 示 することは, 日 々 診 断 する 立 場 である 病 理 医 や 細 胞 検 査 士 の 皆 様 にも 有 用 であったと 考 えている. 本 邦 のラージスケールの 検 討 より 得 られた 知 見 についてお 話 ししたい. また 乳 腺 分 野 は 日 進 月 歩 で 変 化 している. 時 代 の 流 れとして, 細 胞 診 を 含 めた 病 理 診 断 も 求 められる 形 が 変 わっていくと 思 われる. 通 常 の 診 断 法 とし ての 乳 腺 細 胞 診 から 今 後 の 役 割 についても 簡 単 に 述 べてみたい.