20年度隊友会要望書(案―1)

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平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について


2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

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m07 北見工業大学 様式①

●電力自由化推進法案

スライド 1

●幼児教育振興法案

根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

18 国立高等専門学校機構

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

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弁護士報酬規定(抜粋)

した 開 示 決 定 等 に 当 たっては, 法 11 条 を 適 用 して, 平 成 23 年 5 月 13 日 まで 開 示 決 定 等 の 期 限 を 延 長 し, 同 年 4 月 11 日 付 け 防 官 文 第 号 により,1 枚 目 を 一 部 開 示 した そして, 同 年

公表表紙

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16 日本学生支援機構

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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災害時の賃貸住宅居住者の居住の安定確保について

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

波佐見町の給与・定員管理等について

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- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

Taro-01 議案概要.jtd

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文化政策情報システムの運用等

 

岡山県警察用航空機の運用等に関する訓令

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

定款  変更

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

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(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

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学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

●労働基準法等の一部を改正する法律案

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Taro-29職員退職手当支給規程

0439 研究開発推進事業(防衛省所管計上)250614

定款

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 法 人 の 長 A 18,248 11,166 4, ,066 6,42

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

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別紙3

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

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国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 (H20.4.1) 96.7 (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.4.1), (H25.4.1) 参 考 値 98.3 (H25.7.1) (H20.4.1) (H25.4

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社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

の 提 供 状 況 等 を 総 合 的 に 勘 案 し 土 地 及 び 家 屋 に 係 る 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 減 額 せずに 平 成 24 年 度 分 の 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 課 税 することが 適 当 と 市 町 村 長 が 認 め

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職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (5 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 区 類 団 府 分 似 体 平 均 年 齢

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

財団法人○○会における最初の評議員の選任方法(案)

職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 () 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 ( 年 4 月 日 現 在 ) 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 44. 歳 6,4, 歳,44 4,7 7,6 4. 歳 7,

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41



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27-045人事規程270401

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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Transcription:

平 成 25 年 度 政 策 提 言 書 公 益 社 団 法 人 隊 友 会

目 次 ( 提 言 項 目 ) ( 頁 ) はじめに 1 1 憲 法 の 改 正 2 (1) 国 を 防 衛 する 実 力 組 織 を 軍 として 憲 法 に 明 記 (2) 軍 ( 刑 ) 法 や 軍 事 裁 判 所 などの 軍 事 司 法 制 度 の 整 備 2 日 米 共 同 防 衛 国 際 共 同 行 動 の 実 効 性 の 確 保 5 (1) 集 団 的 自 衛 権 行 使 の 容 認 (2) 国 際 平 和 協 力 活 動 に 関 する 一 般 法 の 制 定 及 び 武 器 使 用 権 限 の 見 直 し 3 防 衛 体 制 の 強 化 7 (1) 発 展 的 防 衛 省 改 革 の 推 進 (2) 更 なる 実 効 性 ある 有 事 法 制 への 見 直 し (3) 着 実 な 弾 道 ミサイルの 脅 威 への 対 応 (4) 着 実 な 防 衛 力 整 備 と 防 衛 産 業 の 維 持 育 成 (5) 領 域 警 備 任 務 の 付 与 (6) 島 嶼 部 における 防 衛 態 勢 の 強 化 (7) 任 務 の 多 様 化 国 際 化 等 に 対 応 する 人 的 防 衛 力 の 確 保 及 び 駐 屯 地 基 地 の 維 持 4 自 衛 隊 員 の 処 遇 改 善 等 12 (1) 隊 員 の 再 就 職 に 関 する 施 策 の 推 進 (2) 隊 員 の 任 務 職 務 の 特 性 を 適 正 に 評 価 し 得 る 給 与 制 度 (3) 隊 員 の 即 応 性 確 保 を 第 一 義 とした 宿 舎 整 備 (4) 隊 員 の 使 命 感 を 醸 成 し 得 る 礼 遇 の 付 与 (5) 予 備 自 衛 官 等 の 制 度 の 充 実 おわりに 17

平 成 25 年 度 政 策 提 言 書 公 益 社 団 法 人 隊 友 会 はじめに 隊 友 会 会 員 一 同 わが 国 周 辺 海 空 域 の 警 戒 監 視 や 災 害 派 遣 等 並 びにソマリア 沖 アデン 湾 及 び 南 スーダン 等 国 内 外 で 活 動 中 の 部 隊 隊 員 の 皆 様 のご 活 躍 を 祈 念 するとともに 任 務 の 完 遂 と 無 事 の 帰 還 を 心 から 願 うものです 隊 友 会 は 昭 和 35 年 に 発 足 して 以 来 53 年 目 を 迎 え この 間 国 民 と 自 衛 隊 とのかけ 橋 として 各 種 の 事 業 及 び 活 動 を 推 進 してきました その 一 環 として 昭 和 47 年 以 降 毎 年 の 情 勢 を 踏 まえて 防 衛 に 関 する 事 項 について 様 々な 観 点 から 要 望 を 行 ってきたところです その 内 容 は 安 全 保 障 問 題 は 国 家 存 立 の 基 本 であり 特 に 国 防 に 関 する 基 本 政 策 は 中 長 期 的 な 展 望 に 立 脚 するべきものと 考 えて 憲 法 に 関 するものから 防 衛 政 策 防 衛 力 整 備 自 衛 隊 員 の 処 遇 等 に 関 することまで 広 範 なものとなっています これは わが 国 が 国 際 社 会 において 国 力 に 相 応 した 責 任 を 果 たすことが 不 可 欠 な 情 勢 にあるとの 認 識 に 立 ち 現 職 自 衛 隊 員 が 透 徹 した 使 命 観 のもとに 後 顧 の 憂 いなく 高 い 誇 りと 自 信 を 持 って 国 内 外 の 各 種 任 務 遂 行 に 専 念 できる よう その 環 境 の 改 善 整 備 に 貢 献 することが 隊 友 会 の 役 割 と 確 信 するからで す 本 年 は 以 下 の4 項 目 の 政 策 について 提 言 します - 1 -

1 憲 法 の 改 正 隊 友 会 は わが 国 の 国 力 に 応 じた 責 任 と 役 割 に 対 する 国 際 社 会 の 期 待 が 高 まる 中 憲 法 上 国 を 防 衛 するための 実 力 組 織 を 明 記 し その 地 位 役 割 を 明 らかにすること を 目 指 して 全 国 署 名 活 動 を 行 い 78 万 余 の 賛 同 者 を 得 て 平 成 18 年 6 月 衆 参 両 議 院 に 請 願 しました 以 下 署 名 活 動 の 目 標 であった 国 を 防 衛 する 実 力 組 織 の 保 持 並 びにその 地 位 及 び 役 割 の 憲 法 への 明 記 と 国 防 組 織 にとって 重 要 な 軍 事 司 法 制 度 の 整 備 について 述 べます (1) 国 を 防 衛 する 実 力 組 織 を 軍 として 憲 法 に 明 記 国 家 の 最 も 基 本 的 な 役 割 は 国 際 社 会 における 国 家 の 存 立 を 全 うするこ とにあり 各 国 はそのための 最 終 的 な 手 段 として 実 力 組 織 を 保 持 し 多 く の 国 が 憲 法 等 にその 保 持 を 明 記 し あるいはその 編 成 等 の 権 限 について 規 定 しております わが 国 においては 昭 和 25 年 朝 鮮 戦 争 勃 発 を 契 機 として 国 内 の 治 安 を 維 持 することを 任 務 とする 警 察 予 備 隊 が 所 謂 ポツダム 政 令 である 警 察 予 備 隊 令 により 創 設 されました その 際 警 察 予 備 隊 は 違 憲 であるとする 訴 訟 が 起 こされましたが 実 力 組 織 の 保 持 を 憲 法 に 規 定 すべきであるとの 意 見 は 議 論 の 俎 上 にも 載 りませんでした その 後 警 備 隊 保 安 隊 次 いで 陸 海 空 自 衛 隊 へと 名 称 は 変 わりましたが 今 日 に 至 るまで 自 衛 隊 のような 自 衛 のための 任 務 を 有 し かつその 目 的 のため 必 要 相 当 な 範 囲 の 実 力 部 隊 を 設 けることは 何 ら 憲 法 に 違 反 するものではない ( 昭 和 29 年 12 月 22 日 衆 議 院 予 算 委 員 会 における 大 村 防 衛 庁 長 官 答 弁 )とする 解 釈 により 違 憲 論 を 排 してきました そのような 中 で わが 国 は 半 世 紀 余 に 亘 り 国 の 防 衛 の 中 核 として 自 衛 隊 を 整 備 し その 充 実 を 図 ってきました また 隊 員 は 営 々と 真 摯 に 隊 務 に 励 み 能 力 向 上 に 努 めてきました 既 にその 実 力 は 内 外 で 共 に 認 められるところとなっています 国 内 においては 安 全 保 障 体 制 や 自 衛 隊 に 対 する 国 民 の 理 解 が 着 実 に 進 み 平 成 19 年 には 防 衛 庁 が 防 衛 省 となりました 内 閣 府 の 世 論 調 査 にお いても 自 衛 隊 防 衛 問 題 への 関 心 が 継 続 的 に 高 まっており 昨 年 の 調 査 結 果 では 約 7 割 が 自 衛 隊 に 関 心 がある と 回 答 しています しかしながら 自 衛 隊 には 組 織 階 級 呼 称 装 備 品 の 性 能 等 に 対 する 軍 事 的 合 理 性 に 叶 わ ない 抑 制 武 器 使 用 要 件 を 刑 法 の 違 法 性 阻 却 事 由 に 求 めているかのような 規 定 ぶり 更 には 侵 略 事 態 の 規 模 や 態 様 に 応 ずる 合 理 的 な 部 隊 行 動 を 阻 害 しかねない 要 因 等 の 問 題 が 残 存 しており また 自 衛 隊 は 憲 法 に 違 反 する と 非 難 を 浴 びたこともありました これらは 憲 法 由 来 のものと 指 摘 せざる - 2 -

を 得 ません 一 方 国 外 からは わが 国 の 国 力 の 充 実 に 伴 い その 地 位 と 責 任 に 相 応 し い 貢 献 を 期 待 され 特 に 人 的 な 協 力 活 動 が 強 く 求 められるようになりまし た このような 状 況 において わが 国 としても 国 際 平 和 のためにより 積 極 的 な 役 割 を 果 たすため 国 連 が 実 施 する 平 和 維 持 活 動 (PKO)に 対 する 人 的 物 的 支 援 を 開 始 しました 自 衛 隊 はわが 国 を 代 表 して 人 的 協 力 のため の 諸 活 動 に 取 り 組 み 多 大 な 成 果 を 収 めるとともに 国 内 外 から 高 い 評 価 を 得 てきました その 後 自 衛 隊 法 の 改 正 により 国 際 社 会 の 平 和 及 び 安 全 の 維 持 に 資 する 活 動 は 所 謂 本 来 任 務 と 規 定 されるに 至 っています 現 在 は 政 情 不 安 が 懸 念 された 南 スーダン PKO とソマリア 沖 アデン 湾 の 海 賊 対 処 にも 参 加 して 成 果 を 挙 げております しかしながら 派 遣 部 隊 の 武 器 使 用 に 係 る 規 定 は 修 正 がなされてきたとは 言 え 海 外 における 武 力 行 使 との 関 係 で 依 然 として 厳 しい 制 約 を 課 しており 例 えば 協 力 して 任 務 を 遂 行 する 他 国 の 部 隊 との 共 同 訓 練 さえ 出 来 ない 状 況 にあり 重 大 な 問 題 を 内 包 しております また 自 衛 隊 は 平 成 3 年 ペルシャ 湾 での 機 雷 掃 海 作 業 を 嚆 矢 として 海 外 での 活 動 の 幅 を 拡 大 し イラク 人 道 復 興 支 援 におけるクウェートやソマリ ア 沖 アデン 湾 海 賊 対 処 におけるジブチのように 独 自 に 海 外 に 根 拠 地 を 設 営 して 活 動 するまでになりました その 際 わが 国 は 派 遣 先 国 との 間 で 自 衛 隊 等 の 地 位 に 関 する 協 定 等 を 結 んでおり その 内 容 は 諸 外 国 の 軍 隊 の 地 位 に 関 する 協 定 と 同 等 のものとなっております これは 自 衛 隊 が 軍 と 見 做 されている 一 つの 証 左 ですが 他 方 国 内 的 には 軍 ではないとされ 国 内 外 で 説 明 を 使 い 分 けているような 不 安 定 な 地 位 にあり 国 際 社 会 から 疑 念 を 抱 かれる 可 能 性 があります 今 後 の 海 外 での 活 動 に 支 障 をきたさな いためにも 憲 法 上 の 地 位 の 確 定 が 必 須 です 憲 法 公 布 から67 年 を 経 過 し 国 民 の 憲 法 に 対 する 認 識 は 大 きく 変 化 し てきました 昨 年 実 施 された 各 種 世 論 調 査 では 憲 法 を 改 正 し 自 衛 隊 の 存 在 を 明 記 すべき とする 意 見 が 概 ね 過 半 数 に 至 っており 憲 法 第 9 条 の 改 正 という 個 別 の 質 問 に 対 しても その 幅 はあるものの 賛 成 と 反 対 が 拮 抗 する 状 況 になってきています また 衆 参 両 議 院 の 憲 法 調 査 会 の 数 年 にわたる 活 動 成 果 の 報 告 並 びに 政 党 マスコミ 及 び 有 識 者 らによる 新 憲 法 草 案 等 の 提 示 提 言 など 改 正 に 向 けた 歩 みは 着 実 な 進 展 を 見 せており 既 に 憲 法 の 改 正 手 続 きを 規 定 する 国 民 投 票 法 も 平 成 19 年 に 成 立 しています また 自 由 民 主 党 が 昨 年 4 月 に 提 示 した 憲 法 改 正 草 案 にも 憲 法 第 9 条 の 改 正 が 盛 り 込 まれています このような 国 内 外 情 勢 等 に 鑑 み 憲 法 第 9 条 第 2 項 の 陸 海 空 軍 その 他 - 3 -

の 戦 力 はこれを 保 持 しない 国 の 交 戦 権 はこれを 認 めない との 規 定 は 早 期 に 改 正 されるべきであり 国 を 防 衛 するための 実 力 組 織 の 存 在 を 軍 ( 国 防 軍 等 )として 憲 法 に 明 記 し その 地 位 役 割 を 明 らかにするよう 強 く 提 言 します これにより 戦 後 日 本 の 国 の 根 幹 に 関 わる 憲 法 上 の 綻 びを 正 し 国 際 化 が 一 段 と 進 んだ 新 たな 時 代 におけるわが 国 の 在 るべき 姿 になるものと 確 信 します (2) 軍 ( 刑 ) 法 や 軍 事 裁 判 所 などの 軍 事 司 法 制 度 の 整 備 現 在 の 自 衛 隊 に 関 する 司 法 制 度 は 実 力 組 織 ( 軍 )の 行 動 規 範 は 一 般 社 会 と 異 なるという 点 を 考 慮 したものとなっていません この 司 法 制 度 下 では 各 種 出 動 時 等 において 自 衛 隊 の 行 動 を 律 することに 多 くの 困 難 を 生 ずるこ とになります 実 力 組 織 ( 軍 )の 行 動 に 係 る 刑 法 には 隊 員 は 命 の 危 険 を 顧 みず 任 務 にあた り 指 揮 官 は 時 として 部 下 に 死 を 賭 しての 任 務 遂 行 を 求 めるという 軍 事 組 織 の 特 殊 性 が 十 分 考 慮 されていなければなりません 加 えて 裁 判 の 実 施 に 当 たっては 組 織 任 務 の 特 性 による 秘 密 保 全 の 確 保 作 戦 行 動 に 及 ぼす 影 響 への 配 慮 軍 紀 の 堅 持 等 のための 迅 速 性 の 確 保 等 が 要 求 されます 先 ず 軍 ( 刑 ) 法 の 観 点 では 現 行 の 刑 法 及 び 自 衛 隊 法 における 武 力 紛 争 中 の 違 法 行 為 に 関 する 規 定 は 他 国 の 軍 ( 刑 ) 法 等 に 比 較 し 漠 然 としており 刑 罰 規 定 も 緩 やかです 軍 ( 刑 ) 法 は 指 揮 官 が 裁 判 に 深 く 関 与 することか ら 懲 戒 処 分 の 延 長 の 側 面 も 有 しており 戦 闘 集 団 の 規 律 を 維 持 するための 手 段 として 罪 刑 法 定 主 義 の 観 点 からも 網 羅 性 があり 且 つ 妥 当 な 刑 罰 規 定 を 有 する 法 体 系 でなければなりません また 武 力 攻 撃 事 態 においては 国 家 的 法 益 保 護 のため 個 人 的 法 益 には 一 定 の 制 約 を 課 すこととなるような 法 整 備 についても 更 に 検 討 されるべきでしょう また 裁 判 制 度 については 軍 ( 刑 ) 法 を 執 行 する 機 関 として 先 にあげ た 具 備 すべき 要 件 を 勘 案 しつつ 特 別 裁 判 所 たる 軍 事 裁 判 所 を 設 置 すべきで す 更 に 前 項 で 述 べた 海 外 派 遣 における 派 遣 国 との 地 位 協 定 にあっても 他 の 多 くの 国 と 同 様 に 軍 ( 刑 ) 法 としての 独 自 の 刑 法 を 有 し 現 地 での 法 執 行 が できる 態 勢 をとることにより 軍 事 組 織 に 相 応 しい 地 位 を 確 保 し 隊 員 を 任 務 にまい 進 させることができます 加 えて 既 に 自 衛 隊 は 捕 虜 の 取 り 扱 いを 担 うこととされており また 有 事 法 制 の 中 で 策 定 された 戦 時 禁 制 品 の 取 り 扱 いも 所 掌 することが 予 期 され ますが それらは 軍 事 専 門 的 知 識 に 基 づき 判 断 処 置 することが 望 ましく 軍 事 裁 判 所 の 付 帯 的 な 業 務 として 検 討 に 値 します - 4 -

従 って 各 種 出 動 時 等 における 実 力 組 織 の 構 成 員 ( 軍 人 )の 行 動 を 厳 格 に 律 する 軍 ( 刑 ) 法 を 制 定 するとともに その 裁 判 を 所 掌 する 軍 事 裁 判 所 の 設 置 を 憲 法 に 規 定 すること その 際 同 時 に 部 隊 及 びその 構 成 員 の 義 務 責 任 に 相 応 しい 栄 誉 と 処 遇 に 関 する 諸 規 程 を 整 備 することを 強 く 提 言 します 2 日 米 共 同 防 衛 国 際 共 同 行 動 の 実 効 性 の 確 保 国 際 社 会 は 伝 統 的 な 国 家 間 紛 争 に 加 え 地 域 紛 争 やテロリズムなどの 頻 発 大 量 破 壊 兵 器 やこれを 運 搬 するための 弾 道 ミサイルの 拡 散 といった 様 々 な 課 題 に 直 面 しています このような 安 全 保 障 環 境 の 下 で 将 来 に 亘 ってわが 国 の 安 全 を 確 実 なものに するためには 自 らが 効 果 的 な 防 衛 力 を 保 持 していくことはもちろんですが 加 えて 日 米 同 盟 の 実 効 性 を 高 めていくとともに 国 際 社 会 の 平 和 と 安 全 のための 共 同 行 動 に 貢 献 していくことが 不 可 欠 です 以 下 日 米 同 盟 の 実 効 性 を 高 めていく 上 で 避 けては 通 れない 集 団 的 自 衛 権 行 使 の 問 題 と 国 際 平 和 協 力 活 動 に 自 衛 隊 を 活 用 する 際 に 障 害 となっている 法 的 な 問 題 について 述 べます (1) 集 団 的 自 衛 権 行 使 の 容 認 集 団 的 自 衛 権 に 関 する 政 府 の 解 釈 は わが 国 が 国 際 法 上 集 団 的 自 衛 権 を 有 していることは 主 権 国 家 である 以 上 当 然 であるが 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 は 憲 法 第 9 条 の 下 において 許 容 されている 自 衛 権 行 使 の 範 囲 を 超 える ものであり 憲 法 上 許 されない ( 昭 和 56 年 政 府 答 弁 書 ) というものであ り わが 国 の 集 団 的 自 衛 権 は 権 利 はあるが 行 使 できない 現 状 にありま す 例 えば 米 国 に 向 かうかもしれない 弾 道 ミサイルの 迎 撃 や 公 海 上 で 共 同 訓 練 中 に 攻 撃 を 受 けた 米 艦 船 の 防 護 の 問 題 は それがかなわず もし 米 艦 艇 が 沈 没 したり 弾 道 ミサイルによって 米 本 土 に 甚 大 な 被 害 が 出 るという 事 態 になれば わが 国 安 全 保 障 の 重 要 な 柱 である 日 米 同 盟 が 根 幹 から 揺 るが されることになりかねません また 日 本 周 辺 有 事 のために 活 動 する 米 艦 等 への 攻 撃 排 除 や 同 盟 国 である 米 国 を 攻 撃 した 国 に 武 器 等 を 供 与 しよう とする 船 舶 に 対 する 臨 検 などの 事 例 も 指 摘 されています 特 に 弾 道 ミサイル 防 衛 システムは 日 米 間 の 緊 密 な 連 携 を 前 提 に 成 り 立 っ ており 複 数 飛 来 するミサイルからわが 国 に 向 かうものだけを 打 ち 落 とすな どということは 事 実 上 不 可 能 であるとともに 本 来 同 システムの 目 的 である 抑 止 力 を 著 しく 低 下 させてしまいます 核 ミサイル 登 場 以 前 にできた 法 制 度 や 解 釈 を 無 理 矢 理 現 状 に 合 わせよう とするやり 方 は 既 に 限 界 にきており アジアの 平 和 と 繁 栄 の 基 盤 ともなっ - 5 -

ている 日 米 同 盟 の 実 効 性 を 損 なわないよう 政 府 解 釈 の 変 更 もしくは 新 たな 法 律 の 制 定 などにより 集 団 的 自 衛 権 行 使 について 容 認 することが 必 要 です 昨 年 7 月 政 府 の 国 家 戦 略 会 議 が 集 団 的 自 衛 権 について 保 有 している が 行 使 できない としている 政 府 の 憲 法 解 釈 を 見 直 すよう 求 める 報 告 書 を 提 出 し 本 年 2 月 からは 安 全 保 障 の 法 的 基 盤 の 再 構 築 に 関 する 懇 談 会 において 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 容 認 を 含 めたわが 国 の 安 全 保 障 政 策 の 根 幹 に 関 る 問 題 が 議 論 され 始 めました このような 議 論 を 経 て 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 が 容 認 され 現 在 見 直 し 作 業 が 行 われております 防 衛 計 画 の 大 綱 や 日 米 防 衛 ガイドライン 更 には 日 米 安 保 条 約 にまで 反 映 されることを 期 待 し ます (2) 国 際 平 和 協 力 活 動 に 関 する 一 般 法 の 制 定 及 び 武 器 使 用 権 限 の 見 直 し これまで 国 際 平 和 協 力 活 動 に 自 衛 隊 を 派 遣 する 際 にはその 都 度 対 象 と 期 限 を 限 った 特 措 法 を 制 定 して 対 応 してきましたが この 手 法 は 成 立 までの 時 間 的 な 損 失 や 政 治 状 況 の 影 響 を 受 けやすいことに 加 えて 情 勢 変 化 に 伴 う 修 正 にも 同 様 の 法 的 手 続 きが 必 要 となり タイムリーな 活 動 を 行 うとい う 観 点 からは 明 らかに 問 題 があります 平 成 19 年 1 月 には 国 際 平 和 協 力 活 動 が 自 衛 隊 の 本 来 任 務 として 位 置 付 けられ 自 衛 隊 が 国 際 平 和 協 力 活 動 に 参 加 する 機 会 は 今 後 ますます 増 加 す るものと 考 えられます 国 際 社 会 の 要 求 に 適 切 に 応 えていくため 自 衛 隊 の 海 外 派 遣 の 要 件 等 を 定 める 一 般 法 所 謂 恒 久 法 の 制 定 に 向 けた 議 論 の 進 展 を 期 待 します 自 衛 隊 の 派 遣 と 活 動 の 基 準 に 関 する 一 般 法 の 制 定 に 当 たっては わが 国 としての 国 際 平 和 協 力 活 動 への 取 り 組 み 方 全 体 を 構 築 してその 理 念 と 活 動 内 容 を 定 め その 中 で 自 衛 隊 がどこまでの 役 割 を 果 たしていくのかについ て 議 論 を 展 開 されるよう 望 みます 武 器 使 用 権 限 については イラク 特 措 法 では 正 当 防 衛 又 は 緊 急 避 難 に 該 当 する 場 合 のみ 危 害 射 撃 が 可 能 とされましたが 共 に 活 動 している 他 国 の 軍 隊 等 を 防 衛 するための 武 器 使 用 は 認 められず また 国 連 平 和 維 持 活 動 の 武 器 使 用 基 準 にある 任 務 遂 行 を 妨 害 する 行 為 を 実 力 で 排 除 するための 武 器 使 用 についても 認 められませんでした 平 成 21 年 3 月 からはソマリア 沖 アデン 湾 における 海 賊 対 処 のため 海 上 自 衛 隊 の 護 衛 艦 部 隊 が 派 遣 され 更 に5 月 には 海 上 自 衛 隊 P3 C 哨 戒 機 部 隊 及 び 基 地 警 備 のため 陸 上 自 衛 隊 中 央 即 応 集 団 の 隊 員 がジブチに 派 遣 されました その 後 もハイチや 南 スーダン PKO への 派 遣 等 自 衛 隊 の 海 外 における 活 動 は 地 域 的 にも 役 割 的 にも 拡 大 する 方 向 にあります 今 後 治 安 維 持 警 護 あるいは 船 舶 検 査 等 を 実 施 することになれば これまでの - 6 -

自 己 等 の 生 命 身 体 を 守 るということに 加 えて 防 衛 対 象 者 の 拡 大 や 任 務 遂 行 のために 必 要 な 武 器 使 用 権 限 の 容 認 についても 検 討 を 深 化 させなけれ ばなりません 国 際 の 平 和 と 安 全 の 維 持 という 共 通 目 的 をもって 他 国 の 軍 隊 と 共 同 行 動 を 行 う 場 合 には 国 際 的 な 法 規 と 慣 例 に 準 じたグローバル スタンダード に 沿 った 軍 の 行 動 基 準 と 合 致 させることが 必 要 不 可 欠 です それにより 一 層 効 果 的 な 任 務 遂 行 が 期 待 でき また 国 際 的 な 信 頼 が 高 まるものと 確 信 します 国 際 平 和 協 力 活 動 に 派 遣 された 自 衛 官 が 迷 うことなく 自 信 と 誇 りを 持 って 任 務 に 邁 進 できるよう 武 器 使 用 権 限 を 見 直 されることを 強 く 提 言 します 3 防 衛 体 制 の 強 化 わが 国 を 取 り 巻 く 安 全 保 障 環 境 は 近 年 その 厳 しさを 増 大 しつつありま す 北 朝 鮮 による 核 弾 道 ミサイルの 開 発 の 推 進 中 国 ロシア 等 の 周 辺 国 における 軍 事 力 の 近 代 化 及 び 軍 事 活 動 の 活 発 化 特 に 度 重 なる 中 国 による 尖 閣 諸 島 の 領 海 領 空 侵 犯 はわが 国 の 安 全 保 障 にとって 極 めて 重 大 な 問 題 です 一 方 安 倍 内 閣 による 防 衛 計 画 の 大 綱 及 び 中 期 防 衛 力 整 備 計 画 の 見 直 しがな されていますが このような 環 境 下 各 種 事 態 への 実 効 的 な 対 応 と 一 層 の 即 応 性 の 向 上 が 求 められています このような 状 況 を 踏 まえ 以 下 防 衛 体 制 の 強 化 に 関 する 主 要 な 事 項 について 述 べます (1) 発 展 的 防 衛 省 改 革 の 推 進 防 衛 省 自 衛 隊 は 平 成 19 年 防 衛 省 に 移 行 し 統 合 運 用 体 制 を 充 実 し 国 内 外 のさまざまな 緊 急 事 態 に 迅 速 的 確 に 対 応 してきました 国 内 における 災 害 派 遣 活 動 実 績 としては 平 成 19 年 7 月 の 中 越 沖 地 震 災 害 派 遣 を 皮 切 りに 一 昨 年 3 月 の 東 日 本 大 震 災 においては 10 万 人 体 制 で 臨 んだ 一 大 統 合 部 隊 の 運 用 でした 国 外 における 派 遣 活 動 実 績 としては イラク 特 措 法 に 基 づく 陸 自 の 医 療 給 水 復 旧 活 動 及 び 海 空 自 の 輸 送 支 援 現 在 も 継 続 中 である 海 賊 対 処 法 に 基 づくソマリア 沖 アデン 湾 における 海 自 主 体 の 警 戒 監 視 護 衛 活 動 等 がありいずれも 国 内 外 から 高 い 評 価 を 得 てきました 本 年 1 月 17 間 年 続 いたUNDOF 活 動 が 終 了 した 一 方 で アフリカPKOセンターへの 講 師 派 遣 等 による 活 動 形 態 の 拡 大 が 図 られています また 昨 年 12 月 及 び 本 年 2 月 の 北 朝 鮮 弾 道 ミサイル 対 処 においては 密 接 に 米 軍 との 連 携 を 図 るとともに 海 空 部 隊 が 日 本 海 及 び 南 西 諸 島 に 展 開 し 対 応 態 勢 を 確 立 しました これらの 実 績 を 踏 まえ 機 能 的 効 率 的 共 同 統 合 運 用 要 領 について 検 討 を 深 化 させる 必 要 があると 思 います 更 に 近 年 国 内 外 の 官 庁 及 び 有 力 企 業 等 へのサイバー 攻 撃 が 多 発 し - 7 -

安 全 保 障 上 の 大 きな 問 題 となってきました 防 衛 省 としてもその 脅 威 を 認 識 し サイバー 防 護 隊 等 の 新 編 を 図 っているところですが 新 編 部 隊 が 早 急 にその 機 能 が 十 分 発 揮 できる 体 制 整 備 の 推 進 を 提 言 します 加 えて 国 内 外 の 関 係 機 関 との 連 携 人 材 の 育 成 運 用 基 盤 の 充 実 等 防 衛 省 のみな らず 政 府 全 体 として 平 時 有 事 にかかわらず 効 率 的 効 果 的 危 機 管 理 体 制 の 構 築 が 必 要 であり このような 観 点 のもと 防 衛 省 自 衛 隊 としてあ らゆる 事 態 に 対 応 できるよう 組 織 制 度 等 の 体 制 整 備 を 推 進 するよう 強 く 提 言 します (2) 更 なる 実 効 性 ある 有 事 法 制 への 見 直 し 長 年 の 懸 案 であった 有 事 法 制 が 武 力 攻 撃 事 態 対 処 法 及 び 国 民 保 護 法 など 一 連 の 法 律 として 制 定 され 法 的 基 盤 はより 実 効 性 の あるものへ 進 展 しましたが これらの 有 事 法 制 では 国 家 緊 急 事 態 に おいて 国 民 は 基 本 的 人 権 を 損 なわない 範 囲 で 政 府 の 定 めた 施 策 に 協 力 する との 規 定 になっています 災 害 対 策 基 本 法 における 救 援 活 動 の 援 助 は 国 民 の 責 務 と なっており ましてや 国 家 緊 急 事 態 においては 国 民 の 協 力 以 上 の 強 制 力 を 持 たせることが 必 要 であり 一 時 的 にせよ 経 済 産 業 交 通 食 料 医 療 エネルギー 等 に 関 して 国 の 統 制 力 を 強 化 できる 法 的 整 備 が 必 要 と 思 います また 一 昨 年 の 東 日 本 大 震 災 北 朝 鮮 弾 道 ミサイル 対 処 の 教 訓 から 武 力 事 態 対 処 法 や 国 民 保 護 法 などの 個 別 法 を 統 括 する 緊 急 事 態 に 関 する 議 論 が 活 発 化 しています そのため 国 家 緊 急 事 態 に 対 応 する 法 的 整 備 等 更 なる 実 効 性 ある 有 事 法 制 への 見 直 しを 強 く 提 言 します (3) 着 実 な 弾 道 ミサイルの 脅 威 への 対 応 北 朝 鮮 の 高 性 能 弾 道 ミサイルの 保 有 は わが 国 にとって 極 めて 大 き な 脅 威 であり 迅 速 的 確 な 対 応 が 喫 緊 の 課 題 です 現 行 においては 米 軍 と 連 携 し 米 国 の 早 期 警 戒 衛 星 等 からの 情 報 に 基 づき 共 同 統 合 体 制 により 対 処 しているところですが 情 報 の 獲 得 については 米 国 に 大 きく 依 存 しているのが 現 状 です 防 衛 省 においては 宇 宙 基 本 法 に 基 づき 情 報 収 集 警 戒 監 視 等 のC4ISR 機 能 の 向 上 に 努 めていますが 現 在 わが 国 の 保 有 す る 情 報 収 集 衛 星 は 災 害 情 報 等 の 収 集 を 目 的 とした 汎 用 衛 星 であり 軍 事 衛 星 に 比 較 して 分 解 能 は 数 分 の 1 程 度 です ミサイル 発 射 等 の 情 報 を 迅 速 に 把 握 するには 限 界 があり 軍 事 情 報 を 独 自 に 収 集 できる 体 制 の 整 備 が 喫 緊 の 課 題 です 体 制 整 備 にあたっては 厳 しい 防 衛 予 算 の 中 で 防 衛 省 が 独 自 で 保 - 8 -

有 することは 現 実 問 題 として 大 変 困 難 な 状 況 であり 政 府 全 体 として 整 備 し 防 衛 省 としては 運 用 主 体 として 維 持 管 理 情 報 収 集 分 析 で きる 体 制 の 整 備 が 必 要 です 現 在 政 府 において 検 討 されている 日 本 版 NSC 及 び 関 係 省 庁 との 連 携 も 含 めて 組 織 運 用 要 領 等 について 検 討 する 事 を 提 言 します 他 方 迎 撃 態 勢 は 米 軍 と 連 携 し 万 全 の 態 勢 構 築 に 努 めているところ ですが 多 数 の 弾 道 ミサイルが 発 射 された 場 合 は 対 応 に 限 界 があり 甚 大 な 被 害 の 可 能 性 も 排 除 できません このため 確 実 な 対 処 抑 止 の 観 点 から 敵 基 地 攻 撃 能 力 の 付 与 が 必 要 です 昭 和 31 年 当 時 の 統 一 見 解 における 弾 道 ミサイルの 基 地 等 の 攻 撃 が 可 能 になるような 措 置 例 えば 航 空 機 による 航 空 攻 撃 長 射 程 巡 航 ミサイル 等 の 保 有 等 につい て 論 議 の 継 続 を 強 く 提 言 します (4) 着 実 な 防 衛 力 の 整 備 と 防 衛 産 業 の 維 持 育 成 わが 国 周 辺 における 各 国 の 軍 事 関 係 費 の 増 大 は 大 変 顕 著 です 特 に 中 国 における 軍 事 費 の 伸 びは 公 表 ベースで 毎 年 2 桁 であり こ の10 年 間 で 約 4 倍 なっておりわが 国 の 防 衛 費 の2 倍 ですが このペ ースで 行 くと10 年 後 には その 差 が5 倍 になるとも 言 われています また 公 表 されたもの 以 外 にも 別 枠 での 武 器 購 入 費 等 があり 実 質 的 には 公 表 値 の2~3 倍 と 言 われています 一 方 わが 国 の 防 衛 関 係 費 は 安 倍 政 権 が 策 定 した 平 成 25 年 度 予 算 おいては 対 前 年 度 比 0.8%の 増 加 があったものの それ 以 前 にお いては10 年 間 連 続 で 削 減 されて 来 ました このため 装 備 品 の 延 命 処 置 後 方 経 費 増 大 に 伴 う 新 規 装 備 品 の 調 達 の 圧 迫 調 達 単 価 の 高 騰 と 数 量 の 削 減 等 防 衛 力 の 整 備 に 重 大 な 影 響 を 及 ぼしています 国 家 の 安 全 保 障 は 国 家 存 立 の 柱 であり 防 衛 力 整 備 はそれを 支 える 最 重 要 施 策 です 周 辺 の 状 況 変 化 に 迅 速 的 確 に 対 応 し 武 力 攻 撃 事 態 対 処 に 万 全 を 期 する 着 実 な 防 衛 力 整 備 が 推 進 されることを 強 く 提 言 しま す 防 衛 力 整 備 には 防 衛 産 業 の 維 持 育 成 が 不 可 欠 です 防 衛 産 業 は 戦 車 は 千 社 といわれるごとく 裾 の 広 い 独 自 先 端 技 術 の 集 大 成 であ り 一 度 消 失 すると 復 元 には 多 くの 時 間 と 経 費 が 必 要 です 近 年 の 厳 しい 予 算 の 継 続 により 平 成 15 年 度 以 降 防 衛 事 業 から 撤 退 した 企 業 は 100 社 を 超 え 防 衛 技 術 産 業 基 盤 の 維 持 が 困 難 になることが 憂 慮 されます このような 環 境 の 中 で 防 衛 省 は 本 年 3 月 防 衛 生 産 技 術 基 盤 の 維 持 強 化 についてその 方 向 性 をまとめましたが 今 後 それに 基 づく 技 術 戦 略 の 確 立 に 向 け 議 論 を 深 化 するよう 提 言 します - 9 -

また 防 衛 産 業 の 維 持 育 成 は 喫 緊 の 課 題 です 装 備 品 の 開 発 運 用 維 持 管 理 のサイクルを 考 慮 すると 基 本 的 には 装 備 品 は 国 産 が 望 ましく 民 生 分 野 への 波 及 効 果 も 期 待 できることから 防 衛 産 業 育 成 施 策 を 着 実 に 実 施 することを 提 言 します 国 産 を 行 う 際 報 告 書 の 中 で 選 択 と 集 中 が 述 べられていますが 装 備 品 の 特 性 例 えば 国 土 への 適 合 性 の 必 要 性 の 大 小 有 事 の 復 元 性 及 び 代 替 の 可 否 先 進 的 技 術 保 持 の 必 要 性 コスト 等 あらゆる 要 素 を 勘 案 した 総 合 的 議 論 が 必 要 です このため わが 国 得 意 の 先 端 技 術 を 駆 使 した 開 発 例 えば 誘 導 武 器 の 精 密 誘 導 技 術 戦 車 火 砲 等 の 火 器 弾 薬 技 術 レーダ 通 信 機 器 指 揮 システム 等 のICT 及 びロボッ ト 等 の 研 究 開 発 が 重 要 です 一 方 共 同 開 発 の 推 進 は 技 術 コスト 面 だけでなく 日 米 共 同 防 衛 及 び 国 際 共 同 行 動 における 後 方 分 野 の 実 効 性 の 確 保 にも 大 きく 貢 献 するものです 特 に 巨 額 の 開 発 費 を 必 要 とする 航 空 機 の 開 発 は 共 同 開 発 が 主 流 であり 安 倍 政 権 においても 武 器 輸 出 三 原 則 の 緩 和 欧 米 諸 国 との 共 同 開 発 の 拡 大 に 前 向 きです わが 国 独 自 の 先 端 技 術 例 えば 炭 素 繊 維 等 素 材 技 術 複 合 材 成 型 術 等 の 維 持 向 上 及 び 安 定 的 な 装 備 品 の 供 給 コストの 節 減 等 が 図 られるよう 共 同 開 発 の 推 進 と 具 体 的 施 策 の 策 定 を 強 く 提 言 します (5) 領 域 警 備 任 務 の 付 与 平 成 13 年 自 衛 隊 法 が 改 正 され 大 規 模 なテロ 脅 威 に 備 えた 国 内 の 自 衛 隊 施 設 や 在 日 米 軍 施 設 区 域 における 警 護 出 動 任 務 と 治 安 出 動 下 令 前 の 情 報 収 集 任 務 が 付 加 されました しかし 不 審 船 武 装 工 作 員 等 による 日 本 の 領 域 に 対 する 不 法 行 動 に 直 面 した 際 当 初 からその 脅 威 の 実 体 を 見 極 めるのは 困 難 です 現 体 制 では 警 察 や 海 上 保 安 庁 が 当 初 主 体 的 に 対 応 し それと 連 携 し 事 態 の 拡 大 に 伴 い 海 上 警 備 行 動 治 安 出 動 による 自 衛 隊 の 対 応 が 求 められて います 昨 年 8 月 海 上 保 安 庁 関 連 の 領 海 警 備 強 化 法 案 が 成 立 しましたが 尖 閣 諸 島 における 中 国 の 活 動 が 今 以 上 にエスカレーションした 場 合 には 海 上 保 安 庁 のみでは 対 応 に 限 界 があり 警 察 や 海 上 保 安 庁 等 の 関 係 機 関 との 連 携 を 一 層 密 にして 事 態 の 拡 大 を 事 前 に 抑 止 するとともに 拡 大 に 伴 い 警 察 権 の 行 使 から 準 有 事 的 事 態 次 いで 防 衛 出 動 事 態 へと 切 れ 目 なく 移 行 できる 方 策 が 重 要 です これに 併 せて 事 態 発 生 の 当 初 から 防 衛 力 を 適 切 に 運 用 で きるよう 所 要 の 武 器 使 用 権 限 緊 急 通 行 権 や 施 設 の 構 築 物 資 の 収 用 等 の 準 軍 事 的 な 対 応 を 可 能 とする 領 域 警 備 任 務 を 自 衛 隊 に 付 与 することを 提 言 します - 10 -

(6) 島 嶼 部 における 防 衛 態 勢 の 強 化 中 国 は 1992 年 に 独 自 の 領 海 法 を 公 布 して 日 本 の 領 土 である 尖 閣 諸 島 を 自 国 の 領 土 として 宣 言 し 日 中 中 間 線 付 近 での 天 然 ガス 採 掘 など 海 底 資 源 開 発 を 行 うとともに 自 国 の 海 洋 権 益 を 守 るための 防 衛 線 ( 第 一 列 島 防 衛 線 )を 日 本 本 土 から 南 西 諸 島 に 設 定 し 中 国 海 軍 による 活 動 を 活 発 化 さ せています 本 年 5 月 米 国 防 省 が 公 表 した 中 国 の 軍 事 安 全 保 障 に 関 する 報 告 書 によるとA2AD( 接 近 阻 止 領 域 拒 否 ) 戦 略 に 基 づき 空 母 の 装 備 化 ステルス 戦 闘 機 の 導 入 対 艦 弾 道 ミサイルの 装 備 化 等 近 代 化 を 進 めて おり 最 近 では 尖 閣 諸 島 南 沙 西 沙 諸 島 における 海 空 軍 主 体 の 活 発 な 活 動 と 相 まって 状 況 の 不 透 明 さと 事 態 の 急 変 が 懸 念 されています 島 嶼 部 防 衛 においては 米 軍 との 密 接 な 連 携 とともに 防 衛 計 画 の 大 綱 で 議 論 されているように 高 高 度 対 空 型 無 人 機 の 導 入 による 警 戒 監 視 能 力 の 向 上 機 動 展 開 能 力 の 向 上 水 陸 両 用 機 能 の 確 保 及 び 強 化 警 戒 監 視 部 隊 等 の 配 備 民 間 輸 送 力 の 確 保 等 の 施 策 を 着 実 に 推 進 するとともに 所 要 の 火 力 の 保 持 も 含 めた 着 実 な 防 衛 力 整 備 必 要 な 情 報 の 共 有 化 及 び 統 合 訓 練 の 充 実 等 による 統 合 運 用 機 能 の 向 上 を 強 く 提 言 します (7) 任 務 の 多 様 化 国 際 化 等 に 対 応 する 人 的 防 衛 力 の 確 保 及 び 駐 屯 地 基 地 の 維 持 平 成 24 年 度 予 算 に 至 る10 年 間 防 衛 関 係 費 は 連 続 して 削 減 され 防 衛 力 の 規 模 が 縮 減 される 中 で 自 衛 隊 は 任 務 の 多 様 化 国 際 化 に 対 応 すべく 一 層 の 合 理 化 効 率 化 を 図 って 来 ましたが 人 員 装 備 に 大 きな 負 担 がかかっているのも 事 実 です 特 に 平 成 19 年 省 移 行 に 伴 う 自 衛 隊 法 改 正 に 伴 い 周 辺 事 態 と 国 際 社 会 の 平 和 と 安 全 のための 活 動 が 本 来 任 務 に 加 えられたにもかかわらず 人 的 措 置 がなされてい ないばかりか 平 成 19 年 度 予 算 と 平 成 23 年 度 予 算 における 年 間 平 均 人 員 を 比 較 すると 7,000 名 以 上 の 減 員 となっています 一 部 後 方 分 野 の 部 外 委 託 も 進 んではいるものの 第 一 線 においては 人 員 充 足 も 限 界 に 近 い 状 態 といっても 過 言 ではありません 平 成 25 年 度 予 算 においては 約 300 名 の 増 員 が 認 められましたが 領 土 領 海 を 巡 る 警 戒 監 視 任 務 の 強 化 弾 道 ミサイルへの 対 応 態 勢 の 継 続 国 内 外 災 害 派 遣 活 動 等 への 迅 速 な 対 応 国 際 平 和 協 力 活 動 等 の 常 態 化 など 様 々 な 事 態 に 対 する 迅 速 的 確 な 対 応 が 求 められる 現 在 まだまだ 不 十 分 であり 本 来 任 務 増 大 に 伴 う 人 的 措 置 として 少 なくとも 平 成 19 年 度 程 度 の 勢 力 の 確 保 は 必 要 です 一 刻 も 早 くこのような 状 態 を 解 消 するた め 第 一 線 の 充 足 向 上 を 強 く 提 言 します 更 に 人 的 基 盤 を 安 定 的 に 維 持 し 国 内 における 災 害 派 遣 や 不 測 事 - 11 -

態 に 有 効 に 対 処 するために 現 在 の 駐 屯 地 基 地 を 維 持 することは 極 めて 重 要 であり また 全 国 各 地 からも 地 域 社 会 の 発 展 と 住 民 との 連 帯 性 確 保 のため 欠 かせない 存 在 との 意 見 書 が 数 多 く 提 出 されていま す 一 昨 年 3 月 の 東 日 本 大 震 災 における 災 害 派 遣 での 自 衛 隊 の 活 躍 や 国 民 の 期 待 の 様 子 を 見 ても 被 災 地 各 地 域 に 存 在 する 駐 屯 地 基 地 の 有 効 性 は 高 く 評 価 されていると 考 えられます また 地 方 市 町 村 の 財 政 援 助 や 地 域 の 活 性 化 の 観 点 からも 駐 屯 地 基 地 の 存 在 は 重 要 な 側 面 でもあり 駐 屯 地 基 地 がしっかりと 維 持 されるよう 提 言 します 4 自 衛 隊 員 の 処 遇 改 善 等 東 日 本 大 震 災 における 現 役 隊 員 招 集 された 予 備 自 衛 官 等 の 真 摯 な 活 動 は 多 くの 国 民 に 感 銘 を 与 えました しかしながら 自 衛 隊 員 の 処 遇 は 一 般 職 国 家 公 務 員 との 横 並 びで 逆 に 低 下 しているのが 現 状 です 防 衛 省 において 自 衛 隊 員 等 の 人 事 上 の 問 題 を 包 括 的 に 検 討 した 成 果 は 平 成 18 年 9 月 に 防 衛 庁 長 官 を 委 員 長 として 設 置 された 防 衛 力 の 人 的 側 面 についての 抜 本 的 改 革 に 関 する 検 討 会 が 平 成 19 年 6 月 にまとめた 報 告 書 ですが 隊 友 会 とし ては 当 該 報 告 書 の 内 容 に 賛 同 し 今 後 は 更 にその 具 体 的 検 討 を 深 化 し その 報 告 に 基 づく 着 実 な 施 策 化 を 強 く 期 待 するところです 以 下 当 該 報 告 書 の 具 体 化 を 推 進 するため 5 点 について 述 べます (1) 隊 員 の 再 就 職 に 関 する 施 策 の 推 進 55 歳 前 後 の 若 年 で 定 年 を 迎 える 自 衛 官 は 退 職 後 から 年 金 生 活 に 入 る 年 齢 までの 間 の 生 活 を 維 持 するため 再 就 職 が 死 活 的 に 重 要 な 問 題 です 一 方 国 内 経 済 は 景 気 回 復 及 び 雇 用 情 勢 の 改 善 が 足 踏 み 状 態 にあること から 自 衛 隊 退 職 者 にとっては 依 然 として 厳 しい 雇 用 環 境 となっていま す 平 成 21 年 9 月 29 日 の 閣 議 において 公 務 員 の 天 下 りに 対 する 国 民 の 厳 しい 批 判 にこたえ 官 による 就 職 斡 旋 は 実 施 しないことが 決 定 されまし た 更 に 平 成 23 年 6 月 に 国 会 に 提 出 された 国 家 公 務 員 法 等 の 一 部 を 改 正 する 案 によると 国 家 公 務 員 の 再 就 職 については 平 成 20 年 12 月 に 発 足 した 官 民 人 材 交 流 センター が 廃 止 され 職 員 の 再 就 職 や 官 民 人 材 交 流 を 支 援 する 制 度 改 革 がなされようとしていますが この 制 度 の 適 用 を 受 ける 退 職 予 定 自 衛 隊 員 の 優 れた 識 能 を 引 き 続 き 社 会 で 活 用 できるような 制 度 設 計 を 切 に 望 むものです また その 改 正 案 によると 防 衛 大 臣 は 若 年 定 年 等 隊 員 の 離 職 に 際 して の 離 職 後 の 就 職 の 援 助 を 行 う こととされ 毎 年 数 千 名 に 上 る 自 衛 官 特 有 の 若 年 定 年 制 及 び 任 期 制 自 衛 官 の 再 就 職 については 自 衛 隊 の 精 強 性 を 確 - 12 -

保 するとの 観 点 から 各 自 衛 隊 等 の 就 職 援 護 協 力 の 下 で 退 職 予 定 隊 員 に 対 する 無 料 職 業 紹 介 所 である 一 般 財 団 法 人 自 衛 隊 援 護 協 会 を 通 じて 再 就 職 する 従 来 の 枠 組 みを 維 持 することが 防 衛 大 臣 通 達 により 認 められました 厳 しい 雇 用 情 勢 の 中 で 若 年 定 年 及 び 任 期 満 了 等 により 退 職 する 自 衛 官 が 安 定 して 再 就 職 ができる 様 に 自 衛 隊 援 護 協 会 の 更 なる 活 用 を 図 る 等 再 就 職 の 援 護 体 制 を 一 層 充 実 させ 退 職 予 定 隊 員 の 期 待 に 応 えられるもの となるようご 尽 力 いただきますことを 提 言 します また 国 家 の 安 全 保 障 や 地 域 社 会 等 の 防 災 危 機 管 理 態 勢 の 向 上 に 退 職 自 衛 官 を 有 効 活 用 し 得 るよう 必 要 な 法 令 について 整 備 することを 提 言 しま す (2) 隊 員 の 任 務 職 務 の 特 性 を 適 正 に 評 価 し 得 る 給 与 制 度 特 別 職 国 家 公 務 員 である 自 衛 隊 員 は 警 察 予 備 隊 創 設 時 に 警 察 に 準 じ た 給 与 制 度 を 導 入 し 以 後 基 本 的 には 当 時 の 考 え 方 を 踏 襲 して 現 在 に 至 っ ていると 認 識 しております このため 給 与 制 度 の 改 善 については 一 般 職 の 給 与 制 度 の 変 遷 に 応 じて 制 度 を 変 更 するとともに 給 与 水 準 については 人 事 院 勧 告 を 準 用 して 給 与 改 正 を 実 施 してきました 特 に 自 衛 官 の 特 殊 性 を 評 価 した 俸 給 構 造 や 各 種 手 当 て 等 の 独 自 の 給 与 制 度 は 人 事 院 勧 告 では 取 り 扱 われないため やむを 得 ず 総 務 省 及 び 財 務 省 に 対 し 概 算 要 求 を 行 い 改 善 してきました 代 償 機 関 を 経 ずに 要 求 してもなかなか 認 められず 改 善 の 進 捗 は 遅 々として 進 まずと 言 うのが 現 状 と 認 識 しております 自 衛 隊 員 の 任 務 職 務 の 特 性 を 適 正 に 評 価 した 給 与 制 度 を 構 築 するため には 自 衛 隊 員 独 自 の 給 与 制 度 を 創 る 必 要 があると 強 く 提 言 します 特 に 現 行 の 自 衛 官 俸 給 表 は 職 務 内 容 の 比 較 的 類 似 する 行 政 職 俸 給 表 ( 一 )と 公 安 職 俸 給 表 ( 一 )を 基 準 として 決 定 されています しかしなが ら 自 衛 官 の 階 級 が17 区 分 あることから 各 階 級 の 職 階 差 に 見 合 う 適 切 な 給 与 格 差 を 設 定 することができず 特 に 幹 部 と 准 尉 曹 の 役 割 の 相 違 を 俸 給 上 明 確 にすることができないなどの 切 実 な 諸 問 題 が 内 在 しています 平 成 19 年 にまとめられた 報 告 書 に 基 づく 大 きな 前 進 を 担 保 し 更 に 一 般 職 の 俸 給 表 等 を 基 準 としない 自 衛 官 独 自 の 給 与 制 度 を 新 設 するた めには その 合 理 性 等 について 国 民 の 理 解 を 促 進 するため 一 般 職 国 家 公 務 員 給 与 についての 勧 告 によることなく 客 観 的 な 立 場 からの 見 解 を 述 べる 恒 常 的 な 代 償 機 能 の 整 備 が 求 められます 平 成 23 年 6 月 に 国 家 公 務 員 制 度 改 革 関 連 4 法 案 が 国 会 に 提 出 されましたが 自 衛 官 の 職 務 の 特 性 に 鑑 み いかなる 困 難 な 状 況 下 においても 崇 高 な 使 命 感 をもって 誇 り 高 く 任 務 遂 行 に 邁 進 する 基 盤 を 付 与 するため 給 与 制 度 に 関 する 代 償 機 能 を 一 般 職 に - 13 -

対 する 制 度 から 独 立 して 担 保 するよう より 本 質 的 な 課 題 として 報 告 書 関 連 施 策 の 具 体 化 と 並 行 して 検 討 されることを 提 言 します (3) 隊 員 の 即 応 性 確 保 を 第 一 義 とした 宿 舎 整 備 これまで 防 衛 省 自 衛 隊 の 宿 舎 は 国 家 公 務 員 宿 舎 法 に 基 づき 隊 員 の 職 務 能 率 の 向 上 を 図 ることを 目 的 として 整 備 してきたものと 認 識 しておりま す しかしながら 昨 今 の 安 全 保 障 環 境 の 変 化 や 大 規 模 災 害 の 発 生 の 高 まりか ら 自 衛 隊 の 宿 舎 整 備 は 即 応 性 の 更 なる 向 上 に 寄 与 すべきと 強 く 提 言 し ます また 平 成 23 年 に 財 務 省 が 公 表 した 国 家 公 務 員 宿 舎 削 減 計 画 に 明 記 された 宿 舎 使 用 料 の 引 き 上 げは 自 衛 隊 の 即 応 性 確 保 に 多 大 な 影 響 を 及 ぼすと 強 く 懸 念 しております この 計 画 において 宿 舎 使 用 料 は 宿 舎 に 係 わる 歳 出 に 概 ね 見 合 う 歳 入 を 得 る 水 準 まで 引 き 上 げを 行 うとされており 概 ね 現 行 の2 倍 程 度 になると 見 積 もられております このため 多 くの 隊 員 が 最 低 限 の 生 活 水 準 を 維 持 するため 基 地 駐 屯 地 近 傍 の 宿 舎 から 遠 方 の 安 価 な 賃 貸 住 宅 へ 転 居 することが 予 想 されることから 緊 急 時 の 参 集 が 遅 延 する 恐 れがあります また 国 家 から 指 定 場 所 に 居 住 することが 義 務 付 け られている 特 別 職 でありながら それに 対 する 十 分 な 基 盤 が 付 与 されない ことに 対 し 隊 員 の 国 家 への 忠 誠 心 使 命 感 士 気 は 少 なからず 低 下 する のではないでしょうか そこで 今 後 の 宿 舎 整 備 については 基 地 駐 屯 地 近 傍 に 集 約 して 整 備 し 緊 急 参 集 の 迅 速 化 容 易 化 を 図 るとともに 緊 急 参 集 要 員 は 宿 舎 料 を 無 料 にする 等 の 適 切 な 宿 舎 使 用 料 の 設 定 により 厳 しい 任 務 に 邁 進 する 隊 員 に 対 し 国 家 として 任 務 遂 行 の 基 盤 を 付 与 されるよう 提 言 します (4) 隊 員 の 使 命 感 を 醸 成 し 得 る 礼 遇 の 付 与 防 衛 行 動 の 特 殊 性 から 若 年 定 年 制 を 導 入 せざるを 得 ない 自 衛 官 の 定 年 は 一 般 的 に55 歳 前 後 であり 叙 勲 の 対 象 となる 通 算 在 職 年 数 も 60 歳 まで 勤 務 する 一 般 職 公 務 員 と 比 較 して 短 いものとなります 叙 勲 には 在 職 年 数 も 関 係 するといわれており 結 果 的 に 国 家 国 民 の 安 全 のため 身 命 を 賭 し 危 険 を 顧 みないで 任 務 に 従 事 するといった 過 酷 な 職 務 の 特 性 にも 拘 わらず 自 衛 官 の 叙 勲 は 低 い 等 級 に 格 付 けされるとともに 対 象 者 数 も 抑 制 されてきました 国 の 防 衛 という 崇 高 な 使 命 を 担 う 自 衛 官 の 職 責 に 相 応 しい 叙 勲 とするた め より 上 位 の 等 級 に 位 置 付 けするとともに 長 期 間 にわたる 国 家 に 対 す - 14 -

る 献 身 に 国 が 敬 意 を 払 って 報 いるため 叙 勲 対 象 者 を 拡 大 することを 強 く 提 言 します 特 に 自 衛 官 が 各 種 出 動 派 遣 等 及 び 国 際 平 和 協 力 活 動 機 雷 不 発 弾 等 処 理 などの 業 務 に 自 らの 危 険 を 顧 みることなく 従 事 し その 職 に 殉 じ た 場 合 はもとより 特 に 顕 著 な 功 績 を 挙 げた 場 合 の 緊 急 叙 勲 について 明 確 に 定 め 国 家 として 速 やかに 栄 誉 を 授 与 されるよう 提 言 します また 現 在 防 衛 記 念 章 が 制 定 されておりますが この 記 念 章 は 諸 外 国 の 軍 隊 では 略 綬 とされている 物 に 酷 似 しており メダル 等 のいわゆる 勲 章 が 無 い 為 外 国 軍 人 から 奇 異 の 目 で 見 られております 是 非 現 在 の 記 念 章 にメダル 等 を 制 度 化 することを 強 く 提 言 します また 付 随 的 任 務 から 本 来 任 務 化 した 国 際 平 和 協 力 活 動 において 経 験 したことのない 文 化 風 習 や 気 候 風 土 の 環 境 下 で 現 地 の 人 々と 交 わりつ つ また 決 して 気 を 抜 くことのできない 大 変 厳 しい 治 安 情 勢 下 国 を 代 表 して 安 全 確 実 に 任 務 を 遂 行 するためには 何 よりも 派 遣 隊 員 が 透 徹 し た 使 命 感 と 日 本 の 代 表 者 たる 高 い 誇 りを 持 つことが 必 須 です このため 国 際 平 和 協 力 活 動 等 に 従 事 した 者 に 対 し 勲 章 褒 章 に 準 ずる 栄 誉 として 国 家 が 授 与 する 栄 章 ( 所 謂 従 軍 記 章 ) 制 度 を 新 設 されるよう 提 言 し ます 一 方 平 成 15 年 秋 から 危 険 業 務 従 事 者 の 叙 勲 制 度 が 施 行 され 多 くの 退 職 自 衛 官 が 受 章 し 退 職 自 衛 官 はもとより 現 職 自 衛 官 の 大 きな 誇 り 歓 びとするところです しかしながら 当 該 受 章 の 栄 に 浴 していない 制 度 開 始 前 の 退 職 者 が 残 されています 多 くの 者 が 今 日 の 自 衛 隊 を 育 て 上 げた 功 労 者 であり 彼 等 の 永 年 の 功 績 に 対 し 高 齢 者 叙 勲 の 対 象 とされるとと もに 等 しく 危 険 業 務 従 事 者 叙 勲 を 授 章 されるよう 柔 軟 な 制 度 の 運 用 を 強 く 提 言 します また 報 告 書 において 統 合 幕 僚 長 等 の 高 位 の 自 衛 官 を 認 証 官 とする か 否 かの 問 題 については それらが 現 在 認 証 官 となっている 職 種 に 当 ては まらないと 考 えることから 今 後 自 衛 隊 の 位 置 付 けを 含 め これらの 職 の 認 証 の 在 り 方 について 検 討 していくべきものと 記 載 されていますが 検 討 の 進 捗 を 切 に 期 待 するものです 特 に 平 成 18 年 3 月 に 統 合 幕 僚 監 部 が 発 足 し 3 自 衛 隊 の 統 合 運 用 の 長 として 統 合 幕 僚 長 の 職 責 が 一 段 と 高 まり 自 衛 隊 の 運 用 に 関 しては 統 合 幕 僚 長 が3 自 衛 隊 を 代 表 して 軍 事 的 見 地 から 一 元 的 に 防 衛 大 臣 を 補 佐 することとなり また 運 用 に 関 する 大 臣 の 指 揮 は 統 合 幕 僚 長 を 通 じて 行 い その 命 令 は 統 合 幕 僚 長 が 執 行 することとなりま した この 重 要 な 職 務 を 担 う 統 合 幕 僚 長 を その 職 責 に 相 応 しい 認 証 官 と して 位 置 付 けされるよう 強 く 提 言 いたします - 15 -

(5) 予 備 自 衛 官 等 の 制 度 の 充 実 予 備 自 衛 官 制 度 は 昭 和 29 年 自 衛 隊 の 発 足 と 同 時 に 導 入 され その 後 即 応 予 備 自 衛 官 及 び 予 備 自 衛 官 補 の 各 制 度 が 発 足 し 有 事 等 における 自 衛 官 所 要 数 を 急 速 かつ 計 画 的 に 確 保 するとともに 防 衛 予 算 の 効 率 的 運 用 及 び 防 衛 基 盤 の 育 成 拡 大 を 狙 いとしており 自 衛 隊 のみならず 世 界 各 国 で 重 視 されている 予 備 役 制 度 です 東 日 本 大 震 災 においては 即 応 予 備 自 衛 官 及 び 予 備 自 衛 官 が 制 度 発 足 以 来 初 めて 招 集 され 大 いに 活 躍 をしました しかし 予 備 自 衛 官 手 当 については 昭 和 62 年 に 改 定 されて 以 来 20 年 余 も 据 え 置 かれたままとなっています その 増 額 については 訓 練 招 集 時 予 備 自 衛 官 を 支 援 する 県 隊 友 会 等 から 第 一 線 の 声 として 強 い 要 望 が 寄 せら れており 早 期 改 善 を 強 く 提 言 します また 予 備 自 衛 官 等 の 制 度 を 円 滑 に 運 用 するためには 彼 等 を 雇 用 する 企 業 側 の 理 解 と 協 力 が 不 可 欠 であり 国 として 雇 用 企 業 の 法 人 税 の 税 率 軽 減 をするなど 予 備 自 衛 官 等 の 雇 用 企 業 に 対 する 補 償 措 置 を 検 討 されますよう 併 せて 提 言 します 平 成 9 年 度 に 導 入 された 即 応 予 備 自 衛 官 制 度 は 陸 上 自 衛 隊 の 人 (マ ンパワー) を 確 保 するために 大 変 重 要 な 施 策 ですが 自 営 業 を 営 む 即 応 予 備 自 衛 官 に 対 しては 即 応 予 備 自 衛 官 を 雇 用 する 企 業 に 対 し 支 給 されてい る 雇 用 企 業 給 付 金 の 制 度 の 適 用 が 認 められていません 自 営 業 を 営 む 即 応 予 備 自 衛 官 も 年 間 30 日 の 訓 練 招 集 期 間 中 当 然 その 事 業 所 得 の 損 失 が あることを 鑑 みて この 損 失 に 見 合 うような 補 填 措 置 制 度 を 盛 り 込 むよう 提 言 します 予 備 自 衛 官 補 の 導 入 により 今 まで 自 衛 隊 としては 手 薄 な 正 面 にも 数 多 くの 優 れた 人 材 が 入 隊 するようになりました 最 近 の 国 際 協 力 活 動 におい ては 今 まで 以 上 に 世 界 各 地 に 自 衛 隊 が 派 遣 される 可 能 性 が 出 てきました 従 って 予 備 自 衛 官 補 の 技 能 区 分 の 拡 大 特 に 語 学 職 域 の 種 別 の 拡 大 を 提 言 します また 予 備 自 衛 官 や 予 備 自 衛 官 補 の 装 具 は 現 在 現 職 自 衛 官 の 使 用 した 古 品 が 使 用 されており 予 備 自 衛 官 や 予 備 自 衛 官 補 の 士 気 に 影 響 を 与 えています 彼 等 にも 新 しい 装 具 が 充 当 されるようお 願 いします - 16 -

おわりに 長 年 の 悲 願 である 国 を 防 衛 する 実 力 組 織 を 軍 として 憲 法 に 明 記 を 始 めと し 集 団 的 自 衛 権 行 使 の 容 認 国 際 平 和 協 力 活 動 に 関 する 一 般 法 の 制 定 防 衛 体 制 の 強 化 及 び 自 衛 隊 員 の 処 遇 改 善 等 について 政 策 提 言 をしました 現 職 自 衛 隊 員 が わが 国 周 辺 海 空 域 の 警 戒 監 視 や 災 害 派 遣 等 並 びに 南 スーダ ンにおけるPKO 及 びソマリア 沖 アデン 湾 での 海 賊 対 処 等 国 内 外 で 着 実 に 任 務 を 遂 行 するとともに 本 格 的 な 侵 略 事 態 や 新 たな 脅 威 等 多 様 な 事 態 に 対 し 実 効 性 ある 対 応 をとるべく 訓 練 に 日 々 精 進 されていることに 隊 友 会 会 員 一 同 深 甚 なる 敬 意 と 深 い 感 謝 の 意 を 表 するところです これらの 諸 任 務 に 加 え 特 に 国 難 ともいうべき 東 日 本 大 震 災 に 際 して 救 難 復 興 活 動 に 黙 々と 真 摯 に 立 ち 向 かう 隊 員 一 人 一 人 の 姿 は 改 めて 国 民 の 自 衛 隊 に 対 する 信 頼 感 を 深 めたものと 信 じます 自 衛 隊 員 が 隊 員 としての 矜 持 を 高 く 保 ち 且 つ 揺 るぎなき 自 信 を 持 って 国 や 国 民 の 平 和 と 安 全 のために 身 を 挺 することが 可 能 となる 防 衛 環 境 の 改 善 のた め この 隊 友 会 の 政 策 提 言 が 少 しでも 貢 献 できることを 心 から 切 に 望 むもので す 公 益 法 人 改 革 に 伴 い 社 団 法 人 隊 友 会 は 一 昨 年 3 月 25 日 公 益 社 団 法 人 の 認 定 を 受 け4 月 1 日 から 公 益 社 団 法 人 隊 友 会 として 新 たに 事 業 を 開 始 しました 認 定 直 後 の 一 昨 年 4 月 から 数 ヶ 月 にわたり 公 益 社 団 法 人 隊 友 会 として 東 日 本 大 震 災 で 被 災 した 東 北 各 地 で 防 災 ボランティア 活 動 を 実 施 しました その 活 動 は 部 内 外 から 高 く 評 価 され 新 しく 生 まれ 変 わろうとする 隊 友 会 として 大 いに 意 を 強 くしたところです 隊 友 会 は 引 き 続 き 国 民 と 自 衛 隊 とのかけ 橋 たらんとすることを 自 任 し これまでできなかった 分 野 でも 公 益 目 的 事 業 を 拡 大 し 国 民 の 保 護 及 び 防 災 へ の 協 力 殉 職 自 衛 隊 員 戦 没 者 の 慰 霊 顕 彰 地 域 社 会 の 健 全 な 発 展 への 貢 献 更 には 各 自 衛 隊 が 隊 友 会 に 期 待 する 支 援 活 動 について 充 実 を 図 る 所 存 です こ のため 各 部 隊 等 との 連 携 を 日 頃 から 密 にし 賛 助 会 員 でもある 現 職 自 衛 隊 員 と 価 値 観 を 共 有 するなど 一 体 感 を 醸 成 することを 重 視 するとともに 地 方 行 政 機 関 を 始 め 関 係 諸 団 体 や 地 域 住 民 と 密 に 連 携 し 諸 活 動 を 行 っています また 国 際 平 和 協 力 活 動 の 海 外 派 遣 や 国 内 災 害 派 遣 等 により 隊 員 が 長 期 間 部 隊 を 不 在 にする 場 合 などの 家 族 支 援 態 勢 強 化 についても 要 請 があれば 積 極 的 に 参 画 し たいと 考 えています - 17 -

今 後 とも 公 益 目 的 事 業 に 対 する 格 段 のご 支 援 ご 協 力 をお 願 い 申 し 上 げますと ともに 各 種 活 動 に 直 結 する 会 勢 の 拡 大 について 特 にご 配 慮 いただき 退 職 隊 員 の 正 会 員 への 入 会 促 進 のため 一 層 のご 支 援 を 期 待 する 次 第 です 最 後 になりますが 国 の 繁 栄 と 国 民 の 幸 福 は 国 の 安 全 が 確 保 されて 初 めて 享 受 できるものであり そのためには 国 民 一 人 一 人 が 国 を 愛 し 国 を 守 る 気 概 を 持 つことが 最 も 重 要 なことと 考 えます 最 近 立 て 続 けに 生 起 した 尖 閣 諸 島 竹 島 及 び 北 方 領 土 における 外 交 安 全 保 障 上 の 懸 案 は 国 民 一 般 に 広 く 国 家 と 国 防 の 重 要 性 を 再 認 識 させる 結 果 となり 愛 国 心 を 涵 養 する 絶 好 の 機 会 である と 期 待 しています そのために 隊 友 会 は 引 き 続 き 防 衛 省 自 衛 隊 で 長 年 に わたって 積 み 上 げた 知 見 や 技 能 を 活 かし 国 民 に 対 する 防 衛 意 識 の 普 及 高 揚 や 自 衛 隊 の 諸 業 務 活 動 に 対 する 各 種 協 力 等 に 尽 力 し 国 民 と 自 衛 隊 とのかけ 橋 として 国 家 国 民 の 安 泰 に 寄 与 してまいる 所 存 です 防 衛 大 臣 を 始 め 自 衛 隊 員 各 位 が 今 後 益 々ご 活 躍 ご 発 展 され 更 に 深 く 国 民 の 負 託 と 期 待 に 応 えられま すよう 隊 友 会 会 員 一 同 心 から 祈 念 いたします 今 後 とも 隊 友 会 に 対 するご 支 援 ご 協 力 を 賜 りますようお 願 い 申 し 上 げ 政 策 提 言 の 結 びとします 平 成 25 年 11 月 19 日 - 18 -