福 島 原 発 震 災 :SDP15 発 信 者 :NPO 安 全 工 学 研 究 所 加 部 隆 史 kabe@safetylabo.com プロメテウスの 火 原 子 力 利 用 と 核 廃 棄 物 処 理 に 関 する 考 察 1/5 プロメテウスの 火 とは 映 画 監 督 の 宮 崎 駿 氏 が 原 子 力 を プロメ テウスの 火 と 表 現 したとの 事 で ネット 上 でも この 言 葉 が 様 々に 論 じられている プロメテウスはギリシア 神 話 に 登 場 する 神 であり 人 間 に 火 を 授 けた 神 とされている プ ロメテウスの 話 は 神 話 であるが 現 実 には 人 間 は 火 を 扱 うことを 覚 えた その 経 緯 は 誰 も 知 らない だが 山 火 事 などの 自 然 の 中 から 火 が 有 効 であることを 知 り それを 使 い 始 めた のであろう 火 と 道 具 の 利 用 は 人 間 を 他 の 動 物 から 優 位 の 存 在 とした ほとんどの 動 物 は 火 を 恐 れる 人 間 は 火 の 力 によって 加 熱 調 理 を 知 ると 共 に その 火 を 襲 って 来 る 動 物 から 身 を 守 る 手 段 としても 用 いた この 世 界 の 創 造 主 多 くの 宗 教 では この 世 界 を 作 ったとされ る 創 造 主 すなわち 神 の 存 在 を 言 う キリスト 教 などではヘブライ 語 で YHWH の4 文 字 で 表 される 神 がその 創 造 主 であるとされている 仏 教 においても 真 言 密 教 では 大 日 如 来 (マ ハー ヴァイルシャナ タタギャタ)が 中 心 の 仏 とされている 京 都 東 山 七 条 にある 真 言 宗 総 本 山 智 積 院 の 金 堂 には 蓮 華 座 の 上 で 金 剛 印 を 結 んだ 大 日 如 来 が 本 尊 として 安 置 され ている だがその 姿 は 仮 象 (けしょう: 仮 の 姿 ) であり 実 象 は 目 に 見 えないのだとされてい る 空 ( 形 のないもの)と 色 ( 形 のあるもの)は 同 じだと 般 若 心 経 にも 書 かれている 同 じような 事 をアインシュタインも 言 った エネルギと 物 質 は 同 じであると 大 日 如 来 は 宇 宙 そのもの であり 宇 宙 法 身 であるとも 言 われる 多 くの 佐 田 守 弘 僧 職 者 は 仏 教 は 仏 教 物 理 学 が 本 質 なの だと 言 う 宇 宙 物 理 学 では 真 空 の 相 転 移 によるエ ネルギで 宇 宙 が 作 られたとしている 物 理 学 で 言 う 真 空 のエネルギと 仏 教 の 大 日 如 来 そして 他 の 宗 教 でも 言 う 創 造 主 は 同 じ 事 を 意 味 しているのではないかとさえ 思 いたくなる というか そう 考 えると 筆 者 には 理 解 しやす い 神 が 作 った4つの 火 ここではその 創 造 主 を 神 と 呼 ぶことにする 神 はこの 世 界 ( 宇 宙 )を 作 る 際 に4つの 火 を 知 っていた その4つの 火 とは 宇 宙 を 作 った 際 の4つの 力 と 関 係 している その 力 とは 重 力 電 磁 気 力 強 い 力 弱 い 力 である プロメテウスが 人 間 に 与 えた 火 は 燃 焼 と いう 化 学 変 化 の 火 であり 電 磁 気 力 と 弱 い 力 に 基 づく 火 であると 言 えよう この 火 こそが 本 来 の 意 味 でのプロメテウスの 火 である 神 はこの 宇 宙 を 作 る 際 に 星 に 火 を 灯 した その 火 は 核 融 合 の 火 であり 強 い 力 に 基 づく 火 である 強 い 力 を 解 き 放 つ 火 は もう1つあ った それは 核 分 裂 の 火 である だが 神 はこ の 火 を 使 わなかった おそらく 宇 宙 の 隅 々を 見 ても 核 融 合 で 光 る 星 はあっても 核 分 裂 で 光 っている 星 はないはずである 核 分 裂 は 神 さえもが 封 じた 火 だったのではなかろうか 4つ 目 の 火 は 神 が 物 質 を 葬 り 去 る 地 獄 の 業 火 である 物 質 が 落 ちて 行 くその 光 さえも 出 ることができないその 空 間 からは ギ~(G Ggg ) と 断 末 魔 の 叫 び 声 だけが 聞 こえて 来 る その 空 間 こそがブラックホールであり Gは 重 力 波 である ブラックホールは 飲 み 込 む 物 質 の 40%をエネルギに 変 える 核 エネ ルギさえも 及 ばない 高 効 率 のエンジンである
2/5 と 言 える さて 人 間 は 神 さえも 使 わなかった 核 分 裂 の 火 を 見 付 けてしまった 興 味 を 持 った 人 間 は それを 利 用 しようと 考 えた 子 供 が 父 親 のライターを 見 付 けて 面 白 半 分 に 遊 んでいる うちに 火 事 を 起 こしてしまった これを 子 供 の 火 遊 びと 言 う 火 を 使 うには 管 理 された 火 だけが 許 され 野 放 しにする 事 は 許 されない 核 エネルギを 使 おうとした 人 間 は それをきち んとした 管 理 の 元 で 使 えるだけの 自 信 があっ たのだろうか 子 供 の 火 遊 びとは 違 うのだと 言 えたのだろうか もちろん 火 が 消 えた 後 の 灰 の 始 末 も 含 めてである だが 原 子 力 エネルギは その 美 味 しそうに 見 える 所 だけを 食 べ 美 味 しくない 所 を 食 べ 残 したに 過 ぎないような 気 がしないでもない それは 安 全 性 の 検 証 と 廃 棄 物 の 処 理 の2つ の 点 からである 安 全 性 の 検 証 全 てのものに 絶 対 安 全 はない 考 え 得 る 危 険 源 を 全 て 摘 出 し 技 術 的 と 経 済 的 な 範 囲 であったとしても 残 留 リスクを 全 て 許 容 で きる 範 囲 にまで 低 減 することが 求 められる そ してそのリスク 低 減 策 が 正 しいことの 検 証 が 求 められる 果 たしてそれが 充 分 に 行 われた のかである 当 初 今 回 の 原 子 力 事 故 は 想 定 外 の 大 津 波 によるものだと 説 明 されて 来 た だが そ の 地 域 では 貞 観 地 震 による 被 害 の 記 録 があ り 想 定 外 ではないと 反 論 された また 津 波 被 害 以 前 に 地 震 そのものによって 緊 急 冷 却 装 置 が 破 壊 されていたのではとも 報 じられ た 1) 様 々な 説 明 が 後 手 に 回 り 事 実 を 隠 し ていたと 非 難 されても 言 い 訳 ができない 状 態 にさえなっている 廃 棄 物 処 理 の 問 題 原 子 力 利 用 から 切 り 離 せないのが 核 廃 棄 物 すなわち 使 用 済 み 核 燃 料 の 問 題 である 使 用 済 み 核 燃 料 には 半 減 期 が 長 い 放 射 性 物 質 が 含 まれており その 処 理 技 術 は 事 実 上 確 立 していない 日 本 での 使 用 済 み 核 燃 料 は 水 中 に 仮 保 管 されている 状 態 である NHK でも 放 映 された 映 画 地 中 深 く 永 遠 に ~ 核 廃 棄 物 10 万 年 の 危 機 ~ によれば フ ィンランドではオンカロと 呼 ばれる 核 廃 棄 物 の 永 久 処 理 施 設 を 作 っており 今 後 100 年 間 に 出 される 高 レベル 放 射 性 物 質 を 深 度 500m の 地 下 に 永 久 埋 設 するとのことである そしてそれは 今 から 10 万 年 封 印 する 必 要 が ある 場 所 となる その 時 に 人 類 が 存 在 するのかさえも 分 から ない 次 世 代 の 高 等 生 物 に 対 して 危 険 な 場 所 であると 警 告 することさえ 必 要 だと 論 じら れていた 神 さえ 封 じて 来 た 核 分 裂 エネルギ を 使 ってしまった 人 類 は その 様 な 負 の 遺 産 を 残 してしまったのである 地 球 の 歴 史 と 人 類 この 宇 宙 は 今 から 137 億 年 前 に 開 闢 し その 後 多 数 の 第 1 世 代 の 恒 星 が 作 られた その 恒 星 の 超 新 星 爆 発 で 作 られた 重 元 素 か らなる 星 間 物 質 が 集 まって 46 億 年 前 に 太 陽 系 として 地 球 が 誕 生 したとされている 地 球 誕 生 説 には 様 々な 説 があった 現 在 主 に 考 えられている 説 では 太 陽 を 作 った 残 りの 物 質 が 集 まって 惑 星 を 作 ったとされてい る 特 に 太 陽 近 傍 には 岩 石 質 の 物 質 が 多 く 集 まり 地 球 型 の 惑 星 を 作 った 塵 埃 が 集 ま って 微 惑 星 を 作 り 更 にそれらが 集 まって 火 星 サイズの 原 始 惑 星 となった 地 球 はこの 原 始 惑 星 が9つほど 衝 突 し 合 ってできたらしい と 考 えられている そして 最 後 はティアと 仮 称 される 原 始 惑 星 とのジャイアントインパクトが あって 月 が 作 られたとの 説 がある いずれにしてもその 当 時 の 地 球 はマグマ の 塊 であり 生 命 は 存 在 しない 生 命 の 誕 生 はおよそ 40 億 年 ほど 前 で 38 億 年 前 頃 に 細 菌 と 古 細 菌 が 誕 生 し 32 億 年 ほど 前 には 光 合 成 を 行 う 藍 藻 (シアノバクテリア)が 生 れ ていると 考 えられている
3/5 多 細 胞 生 物 が 登 場 したのは 今 から 8 億 年 程 前 と 考 えられている そして 5 億 年 程 前 のカンブリア 期 に 生 物 の 多 様 化 が 進 み 様 々な 生 物 が 誕 生 したとされている その 後 登 場 した 様 々な 高 等 生 物 も 度 重 なる 大 量 絶 滅 を 繰 り 返 している 化 石 として 残 る 恐 竜 でさえ 1 億 年 程 前 に 全 盛 時 代 を 迎 え 6 千 5 百 万 年 前 の 大 量 絶 滅 で 姿 を 消 している その 期 間 は 数 千 万 年 でしかない 生 物 は 進 歩 と 共 に 繁 栄 から 絶 滅 までの 期 間 が 短 くなっ ているのは 事 実 である その 後 登 場 したのが 哺 乳 類 であり 霊 長 類 が 栄 え 始 めたのもこの 頃 である 最 後 の 類 人 猿 は 2,500 万 年 前 であり 600 万 年 前 の 猿 人 の 登 場 がある そしてホモサピエンスの 登 場 はわずか 20 万 年 前 頃 であり それが 世 界 に 広 がったのは 10 万 年 ほど 前 と 考 えられ ている その 人 類 史 上 で 人 類 が 文 化 的 な 繁 栄 を 始 めたのは 今 から1 万 年 前 の 最 後 の 氷 河 期 とヨーロッパ 中 部 火 山 活 動 の 収 束 以 降 の ようである 要 するに 初 期 文 明 が 栄 え 始 めた のが 今 から 5 千 年 ほど 前 の 紀 元 前 3 千 年 頃 からである そして 原 子 力 の 発 見 は 100 年 に も 満 たない 様 々な 発 展 をもし 数 量 的 に 表 すとすれば それは 時 間 の 累 乗 といった 代 数 関 数 ではな く 指 数 関 数 的 に 進 んだと 考 えたくなる な ぜなら 様 々な 成 果 が 新 たな 技 術 と 成 果 をね ずみ 算 の 酔 うに 産 み 出 すからである 人 類 の 今 後 さて その 人 類 は 自 分 自 身 の 今 後 をどの 様 に 考 えているのか 前 述 のオンカロの 話 の 中 で 今 から 10 万 年 先 のことは 想 像 できな いと 皆 が 言 っている 恐 竜 でさえ 繁 栄 したの は 数 千 万 年 である 人 類 はそれ 程 の 繁 栄 を 続 けられると 信 じている 人 はどの 程 度 いるの だろうか 確 定 しているであろう 事 実 を 先 にいえば 太 陽 が 主 系 列 星 であるのは 以 前 は 100 億 年 現 在 では 109 億 年 であろうと 考 えられて いる すなわち 46 億 年 を 過 ぎている 太 陽 は 後 50~60 億 年 程 度 で 主 系 列 から 離 れ 赤 色 巨 星 へ 移 行 するとされている 大 質 量 星 のような 超 新 星 爆 発 はしないものの その 大 きさは 現 在 の 地 球 の 公 転 軌 道 に 達 すると 言 われている それ 以 前 に 質 量 減 少 によって 太 陽 系 の 惑 星 は 外 側 に 移 動 する 地 球 は 膨 張 した 太 陽 に 飲 み 込 まれないものの 焼 き 尽 さ れることは 必 定 であろう その 後 は 太 陽 は 白 色 矮 星 となり 最 後 には 冷 えた 星 となる 当 然 の 事 ながら 地 球 も 同 じ 運 命 をたどる それ 以 前 にも 地 球 上 では5 万 年 ほど 先 の 氷 河 期 の 到 来 なども 言 われることがある ある いは 小 天 体 の 衝 突 などによる 壊 滅 的 な 被 害 もないとは 言 えない その 他 様 々に 予 測 さ れている 事 象 もある だがそれ 以 上 に 懸 念 さ れることは 人 間 自 信 の 手 で 地 球 環 境 を 破 壊 するのではないかとの 懸 念 の 方 が 余 程 重 要 かも 知 れない 一 体 人 間 は 自 分 たちの 時 代 がいつまで 続 くと 考 えているのであろうか おそらく 100 年 程 度 は 今 の 時 代 が 続 くであろうし 続 かなけ れば 困 ると 思 っているはずである 要 するに 孫 子 の 代 までの 安 泰 を 願 っているであろう だがその 先 はどうであるのか 予 測 できる 人 は 少 ない 君 が 代 の 一 節 に 千 代 に 八 千 代 に が ある この 代 を 年 と 考 えれば 8 千 年 なのだ ろうか 今 昔 和 歌 集 が 原 点 なので 作 られたの は 平 安 時 代 である 日 本 文 明 の 発 祥 からそ の 当 時 が 約 千 年 それから 8 千 年 として お よそ1 万 年 が 永 久 を 意 味 する 八 千 代 なのかも 知 れないとも 思 える 鶴 は 千 年 亀 は 万 年 の 言 葉 があるが 億 年 の 概 念 ができたの は 宇 宙 科 学 が 発 達 した 最 近 の 事 ではなかろ うか そのような 目 で 見 ると オンカロを 封 印 する 10 万 年 は 人 類 の 想 像 を 超 えた 時 代 のような 気 がしないでもない
4/5 それ 以 外 の 核 廃 棄 物 の 処 理 方 法 永 久 埋 設 以 外 の 核 廃 棄 物 のはあり 得 るの か 深 海 への 投 棄 あるいは 宇 宙 空 間 への 投 棄 などのアイデアがあったらしい 実 際 原 子 力 利 用 が 始 った 頃 は 多 量 の 海 洋 投 棄 や 地 上 放 置 があったらしい 核 廃 棄 物 の 課 題 は プルトニウムを 始 めと して 半 減 期 が 長 い 放 射 性 物 質 が 残 ることで ある これらの 半 減 期 が 長 い 放 射 性 物 質 に 加 速 機 からの 粒 子 を 当 て 半 減 期 が 短 い 物 質 に 改 変 する 試 みがなされていない 訳 では ない だがそれに 対 する 技 術 的 な 可 能 性 と 経 済 的 な 可 能 性 を 含 めての 評 価 は まだ 確 立 してはいない 本 当 の 意 味 での 原 子 力 の 安 全 性 評 価 筆 者 は 原 子 力 反 対 者 ではない というより も 期 待 すべきエネルギ 源 ではないのかとさ え 思 って 来 た だが 原 子 力 技 術 が かくもひ 弱 なものであったとは 技 術 者 の 一 人 として 考 えてもいなかったのも 事 実 である リスクアセスメントにおけるリスクマトリックス において 可 能 性 は 極 めて 低 くても 万 一 の 際 に 甚 大 な 被 害 が 発 生 する 危 害 は 設 計 の 変 更 が 求 められる 一 般 的 なリスク 分 析 では 甚 大 な 被 害 とは 被 害 者 が 死 亡 する 危 害 を 意 味 することが 多 い 新 幹 線 の 高 速 走 行 中 の 大 地 震 による 軌 道 逸 脱 などが 起 きても 人 命 に 及 ばないような 設 計 を 考 えるなどがその 例 である だが 同 じ 大 地 震 であっても 原 子 力 施 設 が 破 壊 され 放 射 性 物 質 の 閉 じ 込 めが 不 可 能 になることは 限 られた 数 の 人 命 を 失 う 以 上 の 大 きな 危 害 ではないだろうか リスクアセスメントとリスク 低 減 活 動 を 行 って も リスクは 残 る それが 残 留 リスクである そ の 残 留 リスクが 確 率 で 論 じるリスクから 確 定 した 危 険 事 象 となった 場 合 少 なくとも 民 事 的 にはそれを 償 う 責 任 は 残 る そして 一 般 に はその 費 用 は 保 険 によってあがなわれること が 多 い だが 原 子 力 事 故 を 想 定 した 保 険 は 成 立 するとは 思 い 難 い 今 回 の 原 子 力 施 設 の 破 壊 による 被 害 総 額 はまだ 見 積 られていない 少 なくとも 数 兆 円 から10 兆 円 規 模 に 及 ぶであろうとは 思 わ れる その 被 害 額 を 残 留 リスクの 評 価 時 に 見 込 んでいたのであろうか 被 害 の 見 積 と 原 子 力 施 設 の 安 全 性 が 適 切 であったかどうかの 検 証 は おそらく 今 後 行 われることになるであろう 本 当 の 意 味 での 経 済 性 評 価 発 電 に 限 っていえば 原 子 力 発 電 のコスト は 5 円 /kwh 程 度 で 最 も 安 いと 言 われていた これが 原 子 力 推 進 の 根 拠 でもあった だがそ のコストはどこまで 含 められているのであろう か この 点 が 余 り 明 らかにされていない 正 しくコスト 評 価 するのであるなら 原 子 力 設 備 の 償 却 費 と 燃 料 ウランの 費 用 だけでは なく 今 回 のような 原 子 力 事 故 に 際 しての 対 策 費 用 も 見 込 んでなければならない 更 にこ れだけでは 足 りず 使 用 済 み 核 燃 料 の 処 分 費 用 廃 炉 となった 原 子 力 施 設 の 処 分 費 用 も 必 要 である 要 するにライフサイクルコスト で 評 価 しなければならない このあたりが 正 し く 経 済 性 評 価 されているのであろうか まず 燃 料 ウランについて 考 えてみれば ウ ラン 鉱 石 がそのまま 燃 料 として 利 用 できるわ けではなく 濃 縮 工 程 を 必 要 とする プルサ ーマル 計 画 における 再 処 理 でも 同 様 である 石 油 プラントよりもはるかに 複 雑 なプロセスと 多 量 のエネルギが 必 要 とされる 原 子 炉 などの 核 施 設 の 建 設 費 用 はどうで あろうか 今 回 の 津 波 などの 災 害 その 他 に 対 する 万 全 な 対 策 を 考 慮 するならば 現 在 の 設 備 よりも 更 に 重 厚 長 大 な 保 護 機 能 が 必 要 なのではないだろうか 経 済 性 を 重 視 する 余 り 想 定 被 害 を 小 さく 見 込 んでいたのではな いかと 思 わざるを 得 ない 点 が 多 すぎる 使 用 済 み 核 燃 料 の 適 切 な 処 分 方 法 に 関 しては 充 分 な 技 術 開 発 を 先 送 りにして 見 切
5/5 り 発 車 したかの 感 がある 埋 設 処 理 以 外 の 処 理 方 法 として 粒 子 線 を 照 射 することにより 半 減 期 が 短 い 放 射 性 物 質 に 改 変 する 可 能 性 が 考 えられていること は 既 に 述 べた だがこの 方 法 は 仮 に 技 術 的 に 成 立 したとしても 経 済 的 に 成 立 つのであ ろうか なぜなら 粒 子 加 速 機 はそれ 自 体 の 建 設 が 高 価 であり かつ 運 転 経 費 も 安 くはない そ の 運 転 経 費 の 主 たるものは 電 力 コストである 電 力 を 作 るために 使 った 廃 棄 物 の 処 理 に 莫 大 な 電 力 を 使 う 事 になる 目 先 のエネルギ 調 達 のために 使 った 核 物 質 の 処 理 に 得 た 以 上 のエネルギを 必 要 と するなら 経 済 的 には 見 合 わない これでは サラ 金 地 獄 と 同 じ 構 図 である 原 子 力 は 安 全 性 に 関 する 適 切 な 評 価 と 共 に 経 済 性 についても そのライフサイクル を 考 えての 評 価 がなされなければならないと 考 える 引 用 文 献 1) 朝 日 新 聞, 冷 却 配 管 地 震 で 破 損 か,2011 年 5 月 25 日 号,1 面 執 筆 者 佐 田 守 弘 一 般 社 団 法 人 日 本 機 械 学 会 代 表 社 員 産 業 化 学 機 械 と 安 全 部 門 食 の 安 全 委 員 会 委 員 長