平成28年度版 税金の本 第4章 相続と税金 第6節 相続発生後の留意点 (PDF)



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1 相 発 生 後 にやるべきこと POINT 1 相 発 生 後 には 税 務 申 告 だけでなく 生 活 に 関 連 する 諸 手 など やるべきこ とが 数 多 くあります 2 期 限 に 注 意 して 手 きを 進 める 必 要 があります 174 第 4 章 相 と 税 金

1 相 発 生 後 にやるべきこと 第 6 節 1 相 発 生 直 後 に 行 う 手 き( 遺 言 書 の 確 認 ) 遺 言 書 の 有 無 により 相 発 生 後 の 手 きが 異 なるため まず 遺 言 書 の 有 無 を 確 認 します 遺 言 書 が 公 正 証 書 遺 言 以 外 の 場 合 最 初 に 家 庭 裁 判 所 の 検 認 手 を 受 ける 必 要 があ ります 2 相 財 産 の 把 握 被 相 人 の 財 産 を 洗 い 出 し 財 産 の 全 体 像 を 把 握 します 金 銭 で 価 値 を 見 積 もることができる 財 産 は すべて 相 税 の 対 象 です 例 えば 現 預 金 だけでなく 土 地 借 地 権 建 物 ( 登 記 の 有 無 にかかわらず) 自 動 車 家 財 死 亡 保 険 金 ( 被 相 人 = 被 保 険 者 = 保 険 料 負 担 者 である 契 約 )なども 相 税 の 対 象 となります 相 発 生 後 の 諸 手 きは 大 変 で その 時 になって 初 めて 手 きに 必 要 な 書 類 などを 探 すの では 相 人 の 負 担 が 大 きくなります いざという 時 に 相 人 が 困 らない 様 に 財 産 の 所 在 貸 金 庫 の 存 在 ( 場 所 )は 前 もって 明 らかにしておくといった 工 夫 が 必 要 でしょう また 税 金 の 世 界 は 名 義 ではなく 実 態 に 着 目 します 子 ども 名 義 や 孫 名 義 の 預 金 であ っても 実 際 の 所 有 者 が 被 相 人 である 場 合 には 被 相 人 の 相 財 産 として 相 税 の 対 象 となるので 注 意 が 必 要 です 第 4 章 相 と 税 金 3 相 発 生 から3ヶ 月 以 内 に 行 う 手 き( 相 放 棄 限 定 承 認 の 申 述 ) 相 放 棄 または 限 定 承 認 をしようとする 相 人 は 相 発 生 から3ヶ 月 以 内 に 家 庭 裁 判 所 に 一 定 の 書 類 を 提 出 する 必 要 があります 相 放 棄 限 定 承 認 : P.186 4 相 発 生 から4ヶ 月 以 内 に 行 う 手 き( 所 得 税 の 準 確 定 申 告 ) 相 人 は 原 則 として 相 発 生 から4ヶ 月 以 内 に 被 相 人 のその 年 1 月 1 日 から 亡 くなった 日 までの 所 得 について 確 定 申 告 を 行 い 所 得 税 を 納 付 する 必 要 があります 準 確 定 申 告 : P.186 175

1 相 発 生 後 にやるべきこと 第 6 節 5 の 確 定 遺 言 書 がない 場 合 相 人 全 員 で の 協 議 を 行 い 合 意 が 形 成 された 場 合 には 遺 産 分 割 協 議 書 を 作 成 します 遺 言 書 がある 場 合 原 則 として その 遺 言 書 どおりに 遺 産 を 相 します を 円 滑 に 進 めるために 相 税 の 申 告 期 限 までに が 確 定 していない 場 合 には 小 規 模 宅 地 等 の 特 例 お よび 配 偶 者 の 税 額 軽 減 の 特 例 などの 適 用 を 受 けられず 高 めの 相 税 をいったん 納 付 す ることになります P.162 したがって 相 税 を 申 告 する 際 には の 話 し 合 いにかける 時 間 を 十 分 に 確 保 できるよう 早 めに 手 きを 開 始 することが 大 切 です また 相 人 が 多 いこと 等 により 被 相 人 の 生 前 に 協 議 が 長 期 化 することが 予 想 される 場 合 には 被 相 人 があらかじめ 遺 言 書 を 作 成 しておいたり 生 命 保 険 を 活 用 して 財 産 の 受 取 人 を 指 定 しておくことが 有 効 です 相 税 の 納 税 を 意 識 した を 例 えば 父 ( 被 相 人 ) 所 有 の 土 地 に 長 女 の 自 宅 があるケース 長 女 ( 結 婚 して 専 業 主 婦 )が 父 の 相 に 際 し 他 のものはいらないから 自 分 の 自 宅 が 建 っている 敷 地 だけは 欲 しい と 主 張 したとします 他 の 相 人 も 納 得 し 協 議 書 を 作 成 しましたが 長 女 は 自 分 の 自 宅 敷 地 を 相 するにあたり 相 税 を 払 う 必 要 があること 自 分 には 十 分 な 預 金 も 収 入 もないので 相 税 を 払 えないことを 後 になって 知 りました この 場 合 長 女 の 夫 が 代 わりに 相 税 を 納 付 すると 夫 から 長 女 に 贈 与 があったものとして 贈 与 税 がかかることもあります の 際 には あれが 欲 しい これが 欲 しい だけで 決 めるのではなく 相 税 の 納 付 も 含 めて 総 合 的 に 検 討 することが 大 切 です 長 女 ファミリーの 自 宅 長 女 の 夫 所 有 父 ( 被 相 人 ) 所 有 176 第 4 章 相 と 税 金

1 相 発 生 後 にやるべきこと 第 6 節 6 相 発 生 から10ヶ 月 以 内 に 行 う 手 き( 相 税 の 申 告 納 付 ) 相 税 の 課 税 価 格 が 相 税 の 基 礎 控 除 額 を 超 える 場 合 には 相 または 遺 贈 により 財 産 を 取 得 した 者 が 相 発 生 から10ヶ 月 以 内 に 被 相 人 の 住 所 地 を 所 轄 する 税 務 署 に 相 税 申 告 書 を 提 出 し 相 税 を 納 付 する 必 要 があります 10ヶ 月 以 内 に 相 税 の 申 告 納 付 を 行 わないと 無 申 告 加 算 税 や 延 滞 税 といったペナルティ ーがかかりますので 早 めに 計 画 的 に 相 税 の 申 告 納 付 の 手 きを 進 めることが 大 切 です 相 税 の 課 税 価 格 相 税 の 基 礎 控 除 額 : P.144 7 その 他 生 活 関 連 手 きなど 上 記 税 務 手 のほか 相 発 生 後 は 死 亡 届 の 提 出 から 始 まり 健 康 保 険 介 護 保 険 公 的 年 金 等 社 会 保 険 に 関 する 手 き その 他 公 共 料 金 の 名 義 変 更 などの 様 々な 手 きが 必 要 で す また 被 相 人 の 預 貯 金 有 価 証 券 などを 相 人 が 引 き 継 ぐ 手 きもあります これらの 手 きには 期 限 が 設 けられていたり 必 要 書 類 や 必 要 な 印 鑑 手 方 法 が 異 なる など 複 雑 で 時 間 と 労 力 を 要 します 第 4 章 相 と 税 金 8 税 務 調 査 相 税 を 申 告 した 後 税 務 調 査 が 行 われる 場 合 があります 税 務 調 査 は 相 税 を 申 告 してから1 2 年 後 にやってくるケースが 多 いので 相 税 を 申 告 し た 際 の 関 係 書 類 は 大 切 に 保 管 しておいてください また 税 務 調 査 では 生 前 贈 与 や 不 動 産 売 買 などのお 金 の 動 きについて 確 認 をされること もありますので 説 明 できるよう 記 録 証 拠 を 残 しておくことも 大 切 です 177

2 配 偶 者 が 相 するとよい 財 産 ( 配 偶 者 の 税 額 軽 減 の 活 用 ) POINT 配 偶 者 が 相 する 財 産 は 配 偶 者 の 希 望 や 二 次 相 を 考 慮 して 決 めることが 大 切 です 1 一 次 相 と 二 次 相 の 関 係 一 次 相 で 配 偶 者 が 相 した 財 産 は 二 次 相 において 配 偶 者 の 固 有 財 産 に 合 算 されて 相 税 の 対 象 となります したがって 配 偶 者 が 相 する 財 産 は 何 が 良 いか 配 偶 者 自 身 が 多 額 の 固 有 資 産 を 有 して いる 場 合 はどの 位 財 産 を 相 したら 良 いかなどについて 税 金 面 から 検 討 すること そして 何 より 配 偶 者 の 希 望 を 考 えて 総 合 的 に 検 討 することが 大 切 です [ 一 次 相 ] [ 二 次 相 ] 配 偶 者 の 税 額 軽 減 相 財 産 相 発 生 既 に 死 亡 相 財 産 子 配 偶 者 子 相 発 生 配 偶 者 子 の 相 財 産 一 次 相 時 に 配 偶 者 が 相 した 財 産 + 配 偶 者 固 有 財 産 ( ) 2 配 偶 者 の 税 額 軽 減 配 偶 者 が 相 した 財 産 ( 課 税 価 格 )のうち 下 記 のいずれか 大 きい 額 までは 配 偶 者 の 税 額 軽 減 により 相 税 が 課 税 されません 1 配 偶 者 の 法 定 相 分 相 当 額 21 億 6,000 万 円 3 二 次 相 税 対 策 から 見 た 一 次 相 で 配 偶 者 が 相 するとよい 財 産 一 次 相 発 生 後 期 間 の 経 過 とともに 相 税 評 価 額 が 下 がる 財 産 ( 自 宅 建 物 など)や 二 次 相 発 生 までに 相 税 対 策 をしやすい 財 産 ( 生 前 贈 与 しやすい 現 金 など)を 配 偶 者 が 相 する ことが 二 次 相 税 対 策 となります 4 配 偶 者 はどのくらい 財 産 を 相 すべきか 配 偶 者 自 身 が 多 額 の 固 有 資 産 を 有 している 場 合 には 一 次 相 二 次 相 合 計 で 考 えると 配 偶 者 が 財 産 を 法 定 相 分 まで 相 しない 方 が 税 金 面 で 有 利 になるケースもあります 178 第 4 章 相 と 税 金

第 6 節 ケーススタディ 一 次 相 と 二 次 相 ( 配 偶 者 の 固 有 財 産 が 多 額 なケース) 前 提 1 一 次 相 における 課 税 価 格 は6 億 円 配 偶 者 の 固 有 財 産 額 は2 億 円 2 法 定 相 人 : 配 偶 者 と 子 ども2 人 の 計 3 人 3 配 偶 者 が 相 した 財 産 固 有 財 産 は 消 費 等 せず 評 価 額 も 変 わらない ケース1 一 次 相 で 配 偶 者 が 法 定 相 分 まで 財 産 を 相 する 場 合 第 4 章 相 と 税 金 一 次 相 での 税 負 担 は 少 なくなりますが 二 次 相 での 税 負 担 が 多 くなります ケース2 一 次 相 で 配 偶 者 が 一 切 財 産 を 相 しない 場 合 一 次 相 での 税 負 担 は 多 くなりますが 二 次 相 での 税 負 担 が 少 なくなります このケースでは 一 次 相 で 配 偶 者 が 法 定 相 分 まで 財 産 を 相 する 場 合 に 比 べて 一 次 相 で 配 偶 者 が 財 産 を 相 しない または 相 分 を 減 らすことで 一 次 二 次 相 合 計 の 税 負 担 が 少 なくなります 配 偶 者 は 生 活 に 必 要 な 資 金 を 消 費 していきますので それらも 考 慮 する 必 要 があります 179

3 相 税 の 納 付 と 納 付 後 の 資 産 構 成 : 金 銭 一 括 納 付 か 延 納 か 物 納 か POINT 1 相 税 の 納 付 方 法 は 相 人 ごとに 判 断 するので 各 人 の 事 情 を 考 慮 して 検 討 す べきです 2 や 相 税 の 納 付 方 法 の 選 択 は 相 税 納 付 後 における 資 産 構 成 がどう なるかを 念 頭 に 置 きながら 検 討 することが 重 要 です 1 相 税 の 金 銭 一 括 納 付 による 資 産 構 成 の 偏 り 相 税 は 金 銭 一 括 納 付 が 原 則 ですが 延 納 や 物 納 といった 選 択 肢 もあります 事 前 に 納 付 方 法 をよく 検 討 せず ひとまず 現 金 全 てをかき 集 めて 相 税 を 納 付 した 結 果 残 った 資 産 がほとんど 土 地 であった というケースも 見 受 けられます 相 税 納 付 後 の 資 産 構 成 まで 考 慮 して 納 付 方 法 を 検 討 することが 重 要 です 2 納 付 方 法 の 検 討 納 付 方 法 は 相 人 ごとに 判 断 するので 各 人 が 相 した 財 産 により それぞれ 納 付 方 法 を 検 討 する 必 要 があります 例 えば 不 動 産 ばかり 相 し 相 税 が 多 額 である 場 合 は 不 動 産 を 一 部 売 却 して 金 銭 一 括 納 付 をするか 延 納 物 納 かという 選 択 になります 相 税 納 税 のために いずれは 不 動 産 を 処 分 しなければいけないケースでは 生 前 に 売 却 するか 相 発 生 後 に 売 却 するか の 検 討 も 必 要 です その 際 不 動 産 の 売 却 可 能 性 売 却 予 想 額 売 却 利 益 ( 売 却 損 )に 関 する 所 得 税 の 取 扱 い 年 々 課 される 固 定 資 産 税 なども 含 めて 多 方 面 から 検 討 しましょう 相 発 生 前 に 将 来 の 相 税 納 付 後 の 資 産 構 成 を 予 測 し 各 相 人 の 事 情 を 充 分 に 考 慮 し て 納 付 方 法 を 検 討 しておくことが 大 切 です 延 納 物 納 : P.164 180 第 4 章 相 と 税 金

第 6 節 ケーススタディ 金 融 資 産 を 手 許 に 残 して 不 要 な 土 地 を 物 納 する 前 提 1 相 人 : 配 偶 者 と 子 どもの2 人 2 相 財 産 : 現 金 上 場 株 式 手 放 してもよい 土 地 3 相 人 は 現 金 を 持 っていない 第 4 章 相 と 税 金 子 どもが 現 金 を 相 した 場 合 その 現 金 で 相 税 を 納 付 することになります 結 果 子 ども の 手 許 に 残 るのは 手 放 してもよい 土 地 となります 子 どもが 上 場 株 式 と 手 放 してもよい 土 地 を 相 した 場 合 現 金 納 付 が 困 難 であると 認 められ かつ 手 放 してもよい 土 地 が 物 納 適 格 財 産 の 要 件 を 満 たすならば この 不 要 な 土 地 を 物 納 に 充 てることができます 結 果 子 どもの 手 許 には 上 場 株 式 という 金 融 資 産 が 残 りま す また 配 偶 者 が 相 した 現 金 を 生 前 贈 与 で 子 どもに 渡 していくことにより より 多 くの 金 融 資 産 を 子 どもの 手 許 に 残 すことができます 土 地 の 物 納 を 考 える 場 合 は その 土 地 が 物 納 要 件 を 満 たすか( 隣 地 との 境 界 線 は 確 定 して いるかなど) 事 前 のチェック 準 備 が 必 要 です 181

4 相 発 生 後 の 手 き POINT 相 発 生 後 には 死 亡 届 の 提 出 などの 基 本 手 相 税 申 告 などの 税 務 手 そ の 他 公 共 料 金 の 名 義 変 更 などの 生 活 関 連 手 といった 様 々な 手 きが 必 要 です 財 産 を 引 き 継 ぐ 手 区 分 手 期 限 窓 口 基 本 手 基 本 事 項 財 産 動 産 など 死 亡 届 の 提 出 7 日 以 内 区 市 役 所 など 死 体 火 ( 埋 ) 葬 許 可 申 請 7 日 以 内 区 市 役 所 など 世 帯 主 の 変 更 14 日 以 内 区 市 役 所 など 国 民 健 康 保 険 ( 健 康 保 険 ) 保 険 証 の 返 却 14 日 以 内 (5 日 以 内 ) 区 市 役 所 など( 勤 務 先 ) 国 民 健 康 保 険 の 加 入 ( 勤 務 先 の 健 康 保 険 などの 資 格 喪 失 をした 方 ) 14 日 以 内 区 市 役 所 など 相 人 の 確 定 ( 戸 籍 謄 本 の 取 寄 せなど) すみやかに 本 籍 地 の 区 市 役 所 など 預 貯 金 の 調 査 すみやかに 銀 行 など 不 動 産 の 調 査 すみやかに 法 務 局 など 遺 言 書 の 検 認 開 封 すみやかに 家 庭 裁 判 所 協 議 すみやかに 相 人 全 員 預 貯 金 の 解 約 銀 行 など 有 価 証 券 ( 株 式 投 資 信 託 債 券 )の 名 義 変 更 売 却 不 動 産 の 相 登 記 証 券 会 社 など 法 務 局 貸 金 庫 の 開 扉 解 約 すみやかに 銀 行 など 自 動 車 の 名 義 変 更 自 動 車 保 険 の 解 約 名 義 変 更 会 員 権 の 名 義 変 更 運 輸 支 局 または 自 動 車 検 査 登 録 事 務 所 保 険 会 社 住 宅 ローン 団 体 信 用 生 命 保 険 金 の 請 求 3 年 以 内 銀 行 など ゴルフ 場 リゾートクラブなど 182 第 4 章 相 と 税 金

4 相 発 生 後 の 手 き 第 6 節 受 け 取 る 手 生 活 関 連 区 分 手 期 限 窓 口 保 険 死 亡 保 険 金 の 請 求 3 年 以 内 ( ) 保 険 会 社 入 院 保 険 金 の 請 求 3 年 以 内 ( ) 保 険 会 社 生 命 保 険 損 害 保 険 の 契 約 者 の 変 更 保 険 会 社 遺 族 年 金 の 請 求 5 年 以 内 年 金 事 務 所 など 社 会 未 支 給 年 金 の 請 求 5 年 以 内 年 金 事 務 所 など 保 険 高 額 療 養 費 の 請 求 2 年 以 内 区 市 役 所 など/ 健 保 組 合 など 埋 葬 料 ( 葬 祭 費 )の 請 求 2 年 以 内 区 市 役 所 など/ 健 保 組 合 など 勤 務 先 死 亡 退 職 金 の 受 取 り すみやかに 勤 務 先 引 き 継 ぐ 手 やめる 手 税 金 電 気 ガス 水 道 などの 公 共 料 金 の 名 義 変 更 引 落 し 口 座 変 更 すみやかに 各 会 社 の 所 轄 営 業 所 など 賃 貸 住 宅 の 名 義 変 更 すみやかに 不 動 産 会 社 家 主 公 団 など 電 話 の 名 義 変 更 加 入 権 承 継 すみやかに 契 約 している 電 話 会 社 の 窓 口 インターネットプロバイダの 名 義 変 更 解 約 すみやかに プロバイダ 各 社 その 他 料 金 引 落 し 口 座 の 変 更 解 約 すみやかに 銀 行 など クレジットカードの 解 約 すみやかに カード 会 社 各 種 会 員 の 退 会 手 すみやかに 所 属 会 パスポートの 返 却 すみやかに 旅 券 事 務 所 運 転 免 許 証 の 返 却 すみやかに 警 察 署 所 得 税 の 準 確 定 申 告 4ヶ 月 以 内 税 務 署 相 税 の 申 告 10ヶ 月 以 内 税 務 署 第 4 章 相 と 税 金 ( ) 保 険 会 社 により 異 なります これらの 様 々な 手 きには 期 限 が 設 けられていたり 必 要 書 類 や 手 方 法 が 異 なるなど 複 雑 で 時 間 と 労 力 を 要 します 183

5 相 税 の 税 務 調 査 POINT 1 相 税 の 税 務 調 査 は 意 図 的 に 財 産 を 隠 すなどの 悪 質 な 場 合 だけでなく 一 般 の 家 庭 も 対 象 となります 2 税 務 調 査 でトラブルとならないために 財 産 の 名 義 人 と 所 有 者 を 一 致 させておく こと 生 前 贈 与 の 証 拠 を 残 しておくことなどが 大 切 です 1 税 務 調 査 が 行 われる 可 能 性 について 一 般 的 には 以 下 のような 場 合 に 税 務 調 査 が 行 われます 1 相 財 産 額 が 高 額 な 場 合 2 相 財 産 のなかに 土 地 や 自 社 株 などの 評 価 が 難 しいものや 財 産 の 把 握 が 難 しいも のがある 場 合 3 被 相 人 の 生 前 の 収 入 に 比 して 相 財 産 が 少 額 な 場 合 4 相 人 等 の 収 入 に 比 してその 人 の 名 義 財 産 ( 金 融 資 産 )が 多 額 な 場 合 2 税 務 調 査 で 問 題 となりやすい 事 項 一 般 の 家 庭 で 最 も 多 い 調 査 項 目 は 家 族 名 義 の 預 金 等 です 家 族 の 名 義 となっている 預 金 等 であっても 実 際 には 被 相 人 がその 所 有 者 であるもの は 被 相 人 の 財 産 であるとされ 相 税 の 対 象 となります 3 税 務 調 査 でトラブルとならないためにやるべきこと 例 えば 生 前 贈 与 で 子 どもや 孫 に 財 産 を 渡 す 場 合 は 次 のことに 留 意 することが 大 切 です 1 贈 与 の 事 実 を 子 どもや 孫 にしっかりと 説 明 する( 贈 与 者 と 受 贈 者 の 意 思 確 認 ) 2 子 どもや 孫 名 義 の 通 帳 は 子 どもや 孫 自 身 が 管 理 所 有 する 3 将 来 説 明 できるように 贈 与 の 証 拠 を 残 す 4 贈 与 税 がかかる 場 合 は 受 贈 者 が 贈 与 税 の 申 告 納 付 を 行 う など 184 第 4 章 相 と 税 金

5 相 税 の 税 務 調 査 第 6 節 4 統 計 資 料 国 税 庁 が 公 表 している 相 税 調 査 に 関 する 実 績 は 以 下 のとおりです (a) 相 税 の 調 査 事 績 項 目 事 務 年 度 平 成 26 事 務 年 度 1 実 地 調 査 件 数 12,406 件 2 申 告 漏 れ 等 の 非 違 件 数 10,151 件 3 非 違 割 合 (2/1) 81.8% 4 重 加 算 税 賦 課 件 数 1,258 件 5 重 加 算 税 賦 課 割 合 (4/2) 12.4% 6 申 告 漏 れ 課 税 価 格 3,296 億 円 7 6のうち 重 加 算 税 賦 課 対 象 433 億 円 8 実 地 調 査 1 件 当 たり 申 告 漏 れ 課 税 価 格 (6/1) 2,657 万 円 第 4 章 相 と 税 金 申 告 漏 れ 課 税 価 格 は 申 告 漏 れ 相 財 産 額 ( 相 時 精 算 課 税 適 用 財 産 を 含 む )から 被 相 人 の 債 務 葬 式 費 用 の 額 ( 調 査 によ る 増 減 分 )を 控 除 し 相 開 始 前 3 年 以 内 の 被 相 人 から 法 定 相 人 等 への 生 前 贈 与 財 産 額 ( 調 査 による 増 減 分 )を 加 えたものです ( 出 典 : 国 税 庁 平 成 26 事 務 年 度 における 相 税 の 調 査 の 状 況 について より 抜 粋 ) 平 成 26 事 務 年 度 の 相 税 の 税 務 調 査 件 数 (12,406 件 )のうち 申 告 漏 れ 等 の 件 数 は 10,151 件 ( 約 81.8%)であり そのうち 重 加 算 税 ( 悪 質 な 申 告 漏 れ)が 課 された 件 数 は1,258 件 ( 約 12.4%)です つまり 申 告 漏 れを 指 摘 されたケースの 大 部 分 は 意 図 的 な 財 産 隠 しな どの 悪 質 なものではなく 税 務 署 側 と 納 税 者 側 との 相 財 産 における 認 識 の 相 違 があったも のと 考 えられます また 金 融 資 産 について 申 告 漏 れの 指 摘 が 多 いのは 被 相 人 名 義 の 金 融 資 産 について 申 告 漏 れがあったというよりも 家 族 名 義 の 金 融 資 産 について 申 告 漏 れの 指 摘 を 受 けること が 多 いためと 考 えられます 185

第 6 節 用 語 説 明 1 相 放 棄 相 放 棄 とは プラスの 財 産 も 債 務 などのマイナスの 財 産 も 一 切 引 き 継 がない 手 きで 被 相 人 のプラスの 財 産 より 債 務 が 明 らかに 多 い 場 合 に 有 効 です 手 きは 相 人 各 人 で 個 別 に 行 うことができます 2 限 定 承 認 限 定 承 認 とは プラスの 財 産 の 範 囲 内 で 債 務 などのマイナスの 財 産 を 引 き 継 ぐ 手 きで プラスの 財 産 とマイナスの 財 産 を 比 べ どちらが 多 いか 分 からないような 場 合 に 有 効 です ただし 限 定 承 認 をした 場 合 には 不 動 産 などを 時 価 で 売 却 したと 仮 定 して 売 却 利 益 に 対 する 所 得 税 等 を 納 付 する 必 要 がありますので 限 定 承 認 するか 否 か 慎 重 な 検 討 が 必 要 です 限 定 承 認 は 相 人 各 人 で 個 別 に 手 きをすることはできず 相 人 全 員 で 手 きを 行 う 必 要 があります 3 準 確 定 申 告 準 確 定 申 告 とは 相 人 等 が 被 相 人 の 下 記 1 2の 所 得 について 行 う 確 定 申 告 のこと です 相 発 生 から4ヶ 月 以 内 に 申 告 納 付 する 必 要 があります 1 死 亡 した 年 分 の 所 得 (その 年 1 月 1 日 から 死 亡 日 までの 間 の 所 得 ) 2 確 定 申 告 をしなければならない 被 相 人 が 1 月 1 日 から 確 定 申 告 期 限 ( 原 則 とし て3 月 15 日 )までの 間 に 確 定 申 告 書 を 提 出 しないで 死 亡 した 場 合 は 死 亡 した 年 の 前 年 分 の 所 得 186 第 4 章 相 と 税 金