07西洋文化史概説(1)-51



Similar documents
Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

発 覚 理 由 違 反 態 様 在 日 期 間 違 反 期 間 婚 姻 期 間 夫 婦 間 の 子 刑 事 処 分 等 1 出 頭 申 告 不 法 残 留 約 13 年 9 月 約 9 年 11 月 約 1 年 10 月 2 出 頭 申 告 不 法 入 国 約 4 年 2 月 約 4 年 2 月 約

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

目 標 を 達 成 するための 指 標 第 4 章 計 画 における 環 境 施 策 世 界 遺 産 への 登 録 早 期 登 録 の 実 現 史 跡 の 公 有 地 化 平 成 27 年 度 (2015 年 度 )までに 235,022.30m 2 施 策 の 体 系 1 歴 史 的 遺 産 とこ

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

平成16年度

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

弁護士報酬規定(抜粋)

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

役員退職手当規程

役員退職金支給規程

となるため 退 職 をし かつ 引 き 続 き 国 家 公 務 員 等 として 在 職 (その 者 が 更 に 引 き 続 き 当 該 国 家 公 務 員 以 外 の 他 の 国 等 の 機 関 に 係 る 国 家 公 務 員 等 として 在 職 した 場 合 を 含 む )した 後 引 き 続 い

02【発出】280328福島県警察職員男女共同参画推進行動計画(公表版)

スライド 1

(2) 勤 続 5 年 を 超 え 10 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の140 (3) 勤 続 10 年 を 超 え 20 年 までの 期 間 については 勤 続 期 間 1 年 につき 本 俸 月 額 の100 分 の180 (4)

市街化調整区域における地区計画の

●幼児教育振興法案

 

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

Taro-08国立大学法人宮崎大学授業

(2) 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 保 育 の 必 要 な 子 どものいる 家 庭 だけでなく 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 のために 利 用 者 支 援 事 業 や 地 域 子 育 て 支 援 事 業 な

    平成11年度余市町私立幼稚園就園奨励費補助金交付要綱

0605調査用紙(公民)

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

<4D F736F F D A94BD837D836C B4B92F62E646F6378>

Ⅰ 調 査 の 概 要 1 目 的 義 務 教 育 の 機 会 均 等 その 水 準 の 維 持 向 上 の 観 点 から 的 な 児 童 生 徒 の 学 力 や 学 習 状 況 を 把 握 分 析 し 教 育 施 策 の 成 果 課 題 を 検 証 し その 改 善 を 図 るもに 学 校 におけ

(2) 検 体 採 取 に 応 ずること (3) ドーピング 防 止 と 関 連 して 自 己 が 摂 取 し 使 用 するものに 責 任 をもつこと (4) 医 師 に 禁 止 物 質 及 び 禁 止 方 法 を 使 用 してはならないという 自 己 の 義 務 を 伝 え 自 己 に 施 される

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

(2) 広 島 国 際 学 院 大 学 ( 以 下 大 学 という ) (3) 広 島 国 際 学 院 大 学 自 動 車 短 期 大 学 部 ( 以 下 短 大 という ) (4) 広 島 国 際 学 院 高 等 学 校 ( 以 下 高 校 という ) ( 学 納 金 の 種 類 ) 第 3 条

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

●電力自由化推進法案

Microsoft Word - 制度の概要_ED.docx

性 行 為 とは 性 交 及 び 性 交 類 似 行 為 と 同 義 であり( 昭 和 40 年 7 月 12 日 新 潟 家 裁 長 岡 支 部 決 定 ) わいせつな 行 為 とは いたずらに 性 欲 を 刺 激 興 奮 せしめたり その 露 骨 な 表 現 によって 健 全 な 常 識 のある

< E8BE08F6D2082C682B DD2E786C7378>

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

別 紙 軽 費 老 人 ホームの 収 入 認 定 について 平 成 22 年 3 月 9 日 千 葉 県 健 康 福 祉 部 高 齢 者 福 祉 課 本 紙 は 平 成 18 年 1 月 24 日 老 発 第 号 厚 生 労 働 省 老 健 局 長 通 知 老 人 保 護 措 置 費

平 成 34 年 4 月 1 日 から 平 成 37 年 3 月 31 日 まで 64 歳 第 2 章 労 働 契 約 ( 再 雇 用 希 望 の 申 出 ) 第 3 条 再 雇 用 職 員 として 継 続 して 雇 用 されることを 希 望 する 者 は 定 年 退 職 日 の3か 月 前 まで

も く じ 1 税 源 移 譲 1 2 何 が 変 わったのか 改 正 の 3 つ の ポイント ポイント1 国 から 地 方 へ 3 兆 円 規 模 の 税 源 が 移 譲 される 2 ポイント2 個 人 住 民 税 の 税 率 構 造 が 一 律 10%に 変 わる 3 ポイント3 個 々の 納

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

課 税 ベ ー ス の 拡 大 等 : - 租 税 特 別 措 置 の 見 直 し ( 後 掲 ) - 減 価 償 却 の 見 直 し ( 建 物 附 属 設 備 構 築 物 の 償 却 方 法 を 定 額 法 に 一 本 化 ) - 欠 損 金 繰 越 控 除 の 更 な る 見 直 し ( 大

<4D F736F F D2091E F18CB48D C481698E7B90DD8F9590AC89DB816A2E646F63>

慶應義塾利益相反対処規程

Microsoft Word - 12 職員退職手当規程_H 改正_

安 芸 太 田 町 学 校 適 正 配 置 基 本 方 針 の 一 部 修 正 について 1 議 会 学 校 適 正 配 置 調 査 特 別 委 員 会 調 査 報 告 書 について 安 芸 太 田 町 教 育 委 員 会 が 平 成 25 年 10 月 30 日 に 決 定 した 安 芸 太 田

Microsoft PowerPoint - エントリー04_結婚TextVoice

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

Speed突破!Premium問題集 基本書サンプル

Microsoft PowerPoint - 【資料5】社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し(案)について

(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

1

18 国立高等専門学校機構

資 格 給 付 関 係 ( 問 1) 外 国 人 Aさん(76 歳 )は 在 留 期 間 が3ヶ 月 であることから 長 寿 医 療 の 被 保 険 者 ではない が 在 留 資 格 の 変 更 又 は 在 留 期 間 の 伸 長 により 長 寿 医 療 の 適 用 対 象 となる 場 合 には 国

いう )は 警 告 をしたときは 速 やかに その 内 容 及 び 日 時 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申 出 をした 者 に 通 知 しなければならないこととされ また 警 告 をし なかったときは 速 やかに その 旨 及 び 理 由 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

< F31322D325F81798ED0984A8E6D817A944E8BE08D8E959E814593BE>

らの 内 容 について 規 定 することとしております 今 回 お 示 しする 整 理 は 現 時 点 の 案 ですので あらかじめご 承 知 おき 下 さい 同 令 等 の 改 正 規 定 が 確 定 し 次 第 改 めてご 連 絡 をさせていただきます 記 1 軽 減 措 置 の 具 体 的 な

(3) 育 児 休 業 (この 号 の 規 定 に 該 当 したことにより 当 該 育 児 休 業 に 係 る 子 について 既 にし たものを 除 く )の 終 了 後 3 月 以 上 の 期 間 を 経 過 した 場 合 ( 当 該 育 児 休 業 をした 教 職 員 が 当 該 育 児 休 業

16 日本学生支援機構

養 老 保 険 の 減 額 払 済 保 険 への 変 更 1. 設 例 会 社 が 役 員 を 被 保 険 者 とし 死 亡 保 険 金 及 び 満 期 保 険 金 のいずれも 会 社 を 受 取 人 とする 養 老 保 険 に 加 入 してい る 場 合 を 解 説 します 資 金 繰 りの 都

<4D F736F F D C689D789B582B581698AAE90AC92CA926D816A2E646F63>

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

疑わしい取引の参考事例

平成24年度開設予定大学院等一覧(判定を「不可」とするもの)

Microsoft Word - 4 家計基準


1 育 児 休 業 代 替 任 期 付 職 員 ( 一 般 事 務 職 )とは 育 児 休 業 代 替 任 期 付 職 員 とは 一 般 の 職 員 が 育 児 休 業 を 取 得 した 際 に 代 替 職 員 とし て 勤 務 する 職 員 です 一 般 事 務 職 については 候 補 者 として

横浜市障害者ガイドヘルプ事業実施要綱

1 変更の許可等(都市計画法第35条の2)

当 が 支 払 われない 場 合 において 前 項 第 2 号 に 該 当 するときは 機 構 は 当 該 遺 族 に 対 し 第 2 項 に 規 定 する 事 情 を 勘 案 して 当 該 退 職 手 当 の 全 部 又 は 一 部 を 支 給 しないこととする 措 置 を 行 うことができる 5

の 購 入 費 又 は 賃 借 料 (2) 専 用 ポール 等 機 器 の 設 置 工 事 費 (3) ケーブル 設 置 工 事 費 (4) 防 犯 カメラの 設 置 を 示 す 看 板 等 の 設 置 費 (5) その 他 設 置 に 必 要 な 経 費 ( 補 助 金 の 額 ) 第 6 条 補

スライド 1

しかし 主 に 欧 州 の 一 部 の 回 答 者 は 受 託 責 任 について 資 源 配 分 の 意 思 決 定 の 有 用 性 とは 独 立 の 財 務 報 告 の 目 的 とすべきであると 回 答 した 本 ED に 対 する ASBJ のコメント レターにおける 意 見 経 営 者 の 受

(2) 特 別 障 害 給 付 金 国 民 年 金 に 任 意 加 入 していなかったことにより 障 害 基 礎 年 金 等 を 受 給 していない 障 がい 者 の 方 に 対 し 福 祉 的 措 置 として 給 付 金 の 支 給 を 行 う 制 度 です 支 給 対 象 者 平 成 3 年 3

別 紙

参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

公営住宅法施行令の一部を改正する政令―公営住宅法施行令例規整備*

PowerPoint プレゼンテーション

(3) その 他 市 長 が 必 要 と 認 める 書 類 ( 補 助 金 の 交 付 決 定 ) 第 6 条 市 長 は 前 条 の 申 請 書 を 受 理 したときは 速 やかにその 内 容 を 審 査 し 補 助 金 を 交 付 すべきものと 認 めたときは 規 則 第 7 条 に 規 定 す

する 婦 人 相 談 所 その 他 適 切 な 施 設 による 支 援 の 明 記 禁 止 命 令 等 をすることが できる 公 安 委 員 会 等 の 拡 大 等 の 措 置 が 講 じられたものである 第 2 改 正 法 の 概 要 1 電 子 メールを 送 信 する 行 為 の 規 制 ( 法

Microsoft Word - 都市計画法第34条第11号及び第12号

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

リング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 に 係 る 繰 延 税 金 資 産 について 回 収 可 能 性 がないも のとする 原 則 的 な 取 扱 いに 対 して スケジューリング 不 能 な 将 来 減 算 一 時 差 異 を 回 収 できることを 反 証 できる 場 合 に 原 則

Taro-07-1提言概要.jtd

障害福祉制度あらまし目次

3 薬 局 サービス 等 (1) 健 康 サポート 薬 局 である 旨 の 表 示 健 康 サポート 薬 局 である 旨 を 表 示 している 場 合 健 康 サポート 薬 局 とは かかりつけ 薬 剤 師 薬 局 としての 基 本 的 な 機 能 に 加 えて 積 極 的 な 健 康 サポート 機

労働時間と休日は、労働条件のもっとも基本的なものの一つです

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

Taro-役員退職手当規程(H27.10改正)HP版

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

shokuin-taisyoku

<4D F736F F D208C6F D F815B90A BC914F82CC91CE899E8FF38BB582C982C282A282C42E646F63>

Taro-別紙1 パブコメ質問意見とその回答

年 金 払 い 退 職 給 付 制 度 における 年 金 財 政 のイメージ 積 立 時 給 付 時 給 付 定 基 (1/2) で 年 金 を 基 準 利 率 で 付 利 給 付 定 基 ( 付 与 利 の ) 有 期 年 金 終 身 年 金 退 職 1 年 2 年 1 月 2 月 ( 終 了 )

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

Taro-学校だより学力調査号.jtd

Transcription:

第 十 三 講 聖 書 外 典 と 女 性 聖 人 テクラ 主 旨 : 古 代 末 期 における 古 代 的 規 範 の 崩 壊 男 性 からの 女 性 の 自 立 女 性 自 身 が 自 らの 語 りと 聖 人 聖 地 を 持 つ 女 性 の 世 界 の 広 いネットワークの 存 在 :エゲリアの 例 物 語 パターンの 規 則 性 (1) 男 性 原 理 ( 結 婚 性 交 )の 拒 否 男 性 ( 母 親 )の 怒 りを 招 く (2) 女 性 の 自 立 と 奇 跡 ( 雌 ライオンがテクラを 守 り 雷 と 人 食 い アザラシの 死 ) 研 究 史 (1)ヘレニズム ロマンスに 属 する (2) 民 間 伝 承 が 起 源 ヘレニズム ロマンスも 外 典 もともに 民 間 伝 承 に 話 の 種 を 得 ている その 背 景 にこのような 民 間 伝 承 を 支 え る 家 族 集 団 が 存 在 しており 女 性 の 語 りの 場 が 存 在 していた (3)キリスト 教 の 台 頭 は 古 代 社 会 を 変 貌 させてはいない 変 化 した のはレトリックと 解 釈 聞 く 者 としての ヒロイン の 存 在 足 立 さんの 結 論 古 代 社 会 は 変 化 していた 古 代 社 会 の 規 範 である 市 民 原 理 は 弛 緩 し 女 性 は 男 性 支 配 から 自 立 し 自 らの 世 界 を 形 成 するに 至 っていた 結 論 に 対 する 批 判 (1) 教 会 を 通 じて 男 性 原 理 市 民 的 規 範 の 貫 徹 が 図 られている こ の 古 代 的 原 理 の 崩 壊 と 女 性 原 理 と 非 古 代 的 規 範 の 確 立 を 何 によ って 証 明 するのか 証 明 されていない (2) 外 典 の 舞 台 になっている 東 地 中 海 世 界 では 問 題 にされている 時 代 においては 社 会 の 衰 退 都 市 の 衰 退 は 証 明 されていない 七 世 紀 に 入 るまで 古 代 文 明 を 支 えていた 都 市 は 社 会 的 にも 経 済 的 にも 繁 栄 していた (3)そもそもテクラが 生 きていた 時 代 はパウロと 同 時 代 の 一 世 紀 で あり 古 代 世 界 のまさしく 絶 頂 期 といってよい またテクラ 信 1

仰 は 一 世 紀 以 降 古 代 末 期 まで 継 承 されているということに なるので 古 代 末 期 という 時 代 設 定 に 適 合 しない これのどこ に 古 代 末 期 と 言 いうるのか (4) 外 典 のテーマは 男 性 に 対 する 反 抗 というよりも 性 を 罪 悪 視 しようとする 教 会 の 一 部 の 風 潮 を 反 映 したもの 去 勢 した 修 道 士 が 出 てくるのも 女 装 する 修 道 士 が 出 てくるのも 共 通 の 基 盤 がある そしてこのような 極 端 な 性 に 対 する 理 解 を 教 会 の 多 数 派 は 危 険 視 したのだ (5) 従 って テクラを 含 む 女 性 の 聖 人 や 巡 礼 者 の 物 語 は 女 性 が 語 り 継 いだというよりも 男 性 に 手 によって 書 き 留 められ 女 性 に 対 する 説 教 の 材 料 として 利 用 されたに 過 ぎない はじめに 初 めに の 冒 頭 は 非 常 に 論 理 的 な 構 成 になっている(134) 女 性 聖 人 テクラは 古 代 末 期 の 地 中 海 世 界 において 特 異 な 位 置 を 持 って いる 問 題 提 起 女 性 信 者 の 声 援 を 背 にして 彼 女 を 迫 害 する 男 性 の 差 し 向 ける 野 獣 と 戦 い 自 らに 洗 礼 を 授 ける 物 語 は 各 地 に 伝 えられた 問 題 の 中 味 3 世 紀 の 初 め 北 アフリカの 教 父 テルトゥリアヌスはこれを 女 性 に 洗 礼 と 説 教 を 授 ける 権 利 を 与 えるものとして 断 罪 したが 正 当 教 会 の 立 場 と 問 題 の 時 代 の 確 定 (3 世 紀 ) テクラ 信 仰 は 止 むことなく 拡 大 し 特 に 小 アジア セレウケイアの 彼 女 の 伝 えられる 墓 所 は 聖 地 化 し 地 中 海 各 地 から 巡 礼 を 集 めるに 至 った テクラ 信 仰 の 広 がりとその 中 心 地 続 いて 足 立 氏 のこれまでの 研 究 を 振 り 返 り 古 代 末 期 のセレウケイアにおけ るテクラ 信 仰 の 拡 大 と 発 展 には 古 代 末 期 同 時 代 における 女 性 たちの 積 極 的 な 関 与 が 背 景 にあった と 女 性 が 積 極 的 に 自 分 たちの 聖 人 テクラを 信 仰 す る 運 動 を 主 体 的 に 支 えていたことを 主 張 する 2

古 代 におけるテクラ 伝 説 の 意 義 : 女 性 たちがテクラの 聖 地 に 家 族 からの 逃 げ 場 を 求 めたり 相 互 教 育 を 行 っ ていた (134) 史 料 : パウロとテクラの 行 伝 ( 聖 書 外 典 :2 世 紀 )(135) ジェンダーの 視 点 から(135)= 最 近 の 歴 史 研 究 の 潮 流 の 一 つ 1.テクラ 行 伝 と 聖 書 外 典 のヒロインたち 行 伝 の 物 語 の 概 要 : 第 一 部 : 小 アジアのイコニオンの 裕 福 な 生 まれ(135) 許 婚 の 存 在 :タミュリス 使 徒 パウロの 出 現 パウロの 許 に 居 続 けになる 母 親 の 怒 り テクラを 火 あぶりに 雨 が 降 り 助 かる(136) 類 例 の 指 摘 : 聖 人 に 出 会 うことで 性 交 を 拒 否 夫 の 怒 りと 奇 跡 アグリッピナ ニカリア エウフェミア ドリス( ペテロ 行 伝 ) アンドロニコス ドゥルシアナ( ヨハネ 行 伝 ) マクシミラ( アンデレ 行 伝 ) 少 女 ミュグドニア( トマス 行 伝 ) 第 二 部 : 苦 難 と 奇 跡 : 同 性 の 女 性 の 支 援 アンティオキアで 野 獣 の 刑 女 性 たちの 抗 議 雌 ライオン 人 食 いアザラシ 処 刑 中 止 (137~138) パウロとの 再 会 と 各 地 を 回 り セレウケイアで 没 する(138) 従 来 の 行 伝 の 扱 い=パウロとの 関 連 で 扱 われ 第 二 部 は 軽 視 (138) 各 地 のレリーフはテクラに 迫 る 雄 雌 のライオンが 描 かれる=パウロとの 絡 み よりはテクラが 物 語 の 中 心 2.ヘレニズムのロマンス 化 民 間 伝 承 か (1)ヘレニズム ロマンスとの 類 似 性 エルウィン ロード エルンスト ドプシュ 3

外 典 はヘレニズムのロマンスに 属 し キリスト 教 側 が 巧 みにプロパガンダの ためにその 物 語 の 枠 を 利 用 (138) カリトンの カイレアスとカッリロエ (139) ほかに エフェソス 物 語 ダフニスとクロエ レウキッペとクレイトフ ォン エティオピア 物 語 など(139) いずれも 裕 福 で 美 しく 行 いも 正 しいカップルの 物 語 で 愛 し 合 ってい るのに 多 くの 困 難 から 離 れ 離 れになり 奴 隷 に 売 られるなどするが 最 後 に 再 び 結 ばれて 故 郷 に 戻 るという 話 (139) 恋 愛 を 信 仰 に 置 き 換 えている(139) ローザ=ゼーダーの 説 : ヘレニズムのロマンスも 聖 書 外 典 も ともに 共 通 する 民 間 伝 承 にヒントを 得 て 創 作 (140) 3.フェミニズムと 民 間 伝 承 1980 年 代 のフェミニズム スティーブン=デーヴィス: 教 会 に 保 護 を 求 めていた 寡 婦 たちの 中 でこれら の 物 語 が 生 み 出 された (140) デニス=マクドナルド: 女 性 の 語 りの 場 の 存 在 と 持 続 (141) 外 典 のラディカリズムを 抑 制 し ローマ 帝 国 の 支 配 秩 序 に 擦 り 寄 って 女 性 を 夫 や 家 庭 に 服 従 させ 出 産 と 育 児 を 女 の 仕 事 として 再 認 識 させるために 書 かれたのが 牧 会 書 簡 (141) バラス: 男 性 と 女 性 の 文 化 がはっきりと 分 かれている 所 では 男 性 が 女 性 を 排 除 した 物 語 を 作 るのと 同 様 女 性 だけの 間 で 語 られる 物 語 も 形 成 される (142) 4.ケイト=クーパーの 挑 戦 :ポスト 構 造 主 義 的 解 釈 の 試 み 90 年 代 の 見 直 し(143) デイヴィースやマクドナルドの 研 究 は 時 代 遅 れ(144) 古 代 に 私 的 領 域 と 公 的 領 域 などという 近 代 の 概 念 はなく 私 的 領 域 とは 別 の 形 での 公 的 領 域 であった (144) 近 代 の 画 像 の 過 去 への 投 影 というアナクロニズム(144) 4

結 婚 のモラルへ 傾 斜 する 心 性 は キリスト 教 徒 の 発 明 でなくて 既 に 帝 政 ローマの 最 初 の2 世 紀 に 出 現 していた (144) キリスト 教 の 台 頭 で 変 化 したのは 社 会 構 造 でなく レトリックと 解 釈 の 問 題 においてである (144) ヘレニズム ロマンスも 実 は 男 性 市 民 の 義 務 を 中 心 素 材 として 描 かれて いる 外 典 もこの 文 脈 で 読 むべきであり このローマの 市 民 的 義 務 の 思 想 に 対 決 を 挑 んで 自 らの 優 位 性 を 主 張 せんとする 教 会 の 意 図 が 感 じられ る (145) カイレアスとカッリロエ = 貞 潔 な 結 婚 とそれに 伴 う 出 産 と 子 孫 の 安 泰 外 典 ヒロイン= 市 民 倫 理 を 体 現 するカップルに 使 徒 が 割 り 込 んでくる (145) ヒロインの 役 割 = 聞 く 者 としての 役 割 使 徒 の 優 位 性 を 認 めるもの (145) ヘレニズムの 影 響 重 視 説 ; 民 間 伝 承 や 口 承 に 頼 らず 当 時 の 上 流 市 民 の 文 学 的 傾 向 を 文 字 から 読 んで 知 っており それに 意 図 的 な 攻 撃 をかけられる 人 々 すなわち 教 会 男 性 指 導 層 を 作 者 として 想 定 する それは 帝 政 後 期 において 参 事 会 身 分 にかわって 都 市 行 政 責 任 者 として 乗 り 出 そうとする 教 会 の 姿 勢 を 暗 示 (146) 外 典 の 読 み 手 或 いは 聞 き 手 としての 女 性 (146) 既 婚 女 性 が 結 婚 していた 殉 教 女 性 の 伝 記 を 模 範 として 薦 められていく (146) 教 会 指 導 者 の 狙 い: 過 度 に 影 響 を 及 ぼさない 従 順 というスタイルで 夫 を 神 に 導 くことで 自 らのアイデンティティを 高 めるよう 俗 人 女 性 を 勇 気 付 け ている (147) 5.クーパー 批 判 と 展 望 著 者 の 基 本 的 立 場 は 次 の 言 葉 に 集 約 される: クーパーの 精 巧 なレトリックに 幻 惑 されているだけではいけない (147) クーパー 説 への 疑 問 点 (1): 外 典 女 性 は 本 当 に 聞 き 手 に 留 まってい たのか (147) 5

外 典 行 伝 は 教 会 制 度 化 を 目 指 す 男 性 には 不 都 合 な 要 素 を 含 んでいた (148) クーパー 説 への 疑 問 点 (2): 書 き 手 が 男 性 であったとしても その 元 に なった 話 は 男 性 とは 限 らない(148~149) 著 者 の 結 論 : したがって 口 承 伝 承 と 女 性 のパフォーマンスにテクラ 信 仰 の 起 源 を 求 める 学 説 は 否 定 できない (149) スティーブン=デイヴィースの 新 著 : 考 古 学 調 査 テクラ 信 仰 の 持 続 と 女 性 の 主 体 的 な 関 与 を 再 確 認 (149) おわりに テクラ 行 伝 の 起 源 : 結 論 は 保 留 (149) 女 性 の 巡 礼 記 や 奇 跡 箪 それに 地 中 海 各 地 に 残 る 遺 物 などからは 使 徒 パウロの 伝 承 と 遭 遇 することで 生 み 出 された 外 典 行 伝 は 深 く 広 が るテクラ 信 仰 のごく 一 部 にしか 過 ぎない 女 性 が 作 り 上 げた 伝 承 の 系 譜 が 隠 されているかもしれない (150) 6