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ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

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(別紙3)保険会社向けの総合的な監督指針の一部を改正する(案)

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 級 の 給 料 月 額 最 高 号 級 の 給 料 月 額 1 級 ( 単 位 : ) 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 9 級 1 級 135,6 185,8 222,9 261,

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定款

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

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平 均 賃 金 を 支 払 わなければならない この 予 告 日 数 は 平 均 賃 金 を 支 払 った 日 数 分 短 縮 される( 労 基 法 20 条 ) 3 試 用 期 間 中 の 労 働 者 であっても 14 日 を 超 えて 雇 用 された 場 合 は 上 記 2の 予 告 の 手 続

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5 民 間 事 業 者 における 取 扱 いについて( 概 要 資 料 P.17~19) 6 法 人 番 号 について( 概 要 資 料 P.4) (3) 社 会 保 障 税 番 号 制 度 のスケジュールについて( 概 要 資 料 P.20) 1 平 成 27 年 10 月 から( 施 行 日 は

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Transcription:

8 第 8 部 林 業 における 労 働 安 全 と フォレスターの 役 割

第 8 部 林 業 における 労 働 安 全 とフォレスターの 役 割 第 1 章 フォレスターに 求 められる 役 割 林 業 における 労 働 災 害 の 発 生 状 況 は 中 長 期 的 にみると 減 少 傾 向 にあるものの 他 産 業 に 比 べる と 発 生 率 が 高 い 水 準 で 推 移 しており また 災 害 の 程 度 も 死 亡 災 害 などの 重 大 災 害 の 割 合 が 多 い 状 況 にあります さらに 近 年 の 長 引 く 木 材 価 格 の 低 迷 の 中 で 木 材 生 産 による 利 益 を 上 げるため 伐 出 コストの 低 減 や 労 働 生 産 性 を 求 めるあまり 過 度 な 労 働 による 事 故 の 危 険 性 が 増 大 しかねない 状 況 にあります 労 働 安 全 に 関 する 法 令 上 の 指 導 監 督 権 限 は 都 道 府 県 労 働 局 や 労 働 基 準 監 督 署 にありますが フォ レスターは 長 期 的 視 点 に 立 った 地 域 の 森 づくりを 計 画 し 的 確 に 指 導 できる 技 術 者 であり その 役 割 には 林 業 における 安 全 な 職 場 環 境 の 構 築 の 支 援 も 含 んでいるといえます 今 後 搬 出 間 伐 等 木 材 生 産 の 増 加 が 見 込 まれる 中 林 業 労 働 災 害 防 止 のため フォレスターは 安 全 作 業 の 基 本 的 事 項 等 が 適 切 に 実 施 されていない 場 合 森 林 経 営 計 画 を 作 成 する 森 林 施 業 プラン ナーおよびその 計 画 に 基 づき 現 場 で 森 林 整 備 を 担 う 現 場 管 理 責 任 者 (フォレストリーダー)など に 対 して 指 導 助 言 を 行 うことが 求 められます その 際 フォレスターは 以 下 の 各 局 面 等 において 関 係 者 に なぜ 安 全 作 業 ができないのか とい う 考 え 方 から どうすれば 安 全 作 業 ができるのか という 発 想 の 転 換 を 求 めていくことが 必 要 です 1 林 業 労 働 災 害 の 現 状 林 業 における 労 働 災 害 死 亡 者 数 の 割 合 は ここ10 年 ( 平 成 14(2002) 年 から 平 成 23(2011) 年 まで) をみると 伐 木 作 業 によるものが 一 番 多 く 全 体 の56%(276 件 )と 過 半 数 を 超 えています そのうち かかり 木 処 理 が34%(94 件 )で 全 体 からみても19%と 高 い 割 合 となっています( 表 8-1) かかり 木 の 処 理 に 当 たっては かかり 木 の 処 理 の 作 業 における 労 働 災 害 防 止 のためのガイドラ インについて ( 平 成 14 年 3 月 28 日 厚 生 労 働 省 安 全 課 長 通 知 )において かかり 木 処 理 作 業 につい ての 基 本 的 な 考 え 方 事 業 者 等 の 責 務 および 事 業 者 が 講 ずべき 措 置 について 通 知 されています 特 に かかり 木 処 理 の 安 全 な 作 業 方 法 を 決 定 し 適 切 な 機 械 器 具 等 を 使 用 することが 重 要 です なお かかり 木 処 理 作 業 における 禁 止 事 項 として 1かかられている 木 の 伐 倒 2 他 の 立 木 の 投 げ 倒 し( 浴 びせ 倒 し) 3かかっている 木 の 元 玉 切 り 4かかっている 木 の 肩 担 ぎ 5かかり 木 の 枝 切 りが 定 められており 絶 対 に 行 ってはいけない 作 業 であることを 現 場 で 指 導 助 言 することが 必 要 です 2 経 営 トップに 対 する 指 導 助 言 労 働 者 の 安 全 と 健 康 を 確 保 するためには 労 働 安 全 衛 生 関 係 法 令 に 基 づく 措 置 の 徹 底 を 図 ること はもとより 事 業 者 による 創 意 工 夫 を 凝 らした 自 主 的 取 組 を 推 進 することが 極 めて 重 要 です 一 方 事 業 者 の 中 には 安 全 衛 生 に 関 する 自 主 的 取 組 の 実 施 には 労 力 とコストを 要 するこ とから 企 業 経 営 と 相 反 するものであると 認 識 している 者 も 存 在 します しかしながら 安 全 は 企 業 が 果 たすべき 社 会 的 責 任 の 中 でも 最 も 優 先 されるべき 事 項 で あるとともに 安 全 を 徹 底 することは 森 林 作 業 から 無 理 や 無 駄 をなくすことになり 結 果 的 に 生 192

第 1 章 フォレスターに 求 められる 役 割 表 8-1 林 業 における 作 業 別 死 亡 災 害 累 計 10 年 間 ( 平 成 14 年 から 平 成 23 年 まで) 件 数 % 伐 木 作 業 276 56 件 数 % 自 己 伐 倒 162 33 他 人 伐 倒 73 15 件 数 % かかり 木 処 理 79 16 隣 接 木 に 接 触 13 3 倒 れる 方 向 が 変 わる 22 4 倒 れる 時 期 が 早 く 4 1 待 避 の 誤 り 11 2 その 他 33 7 かかり 木 処 理 15 3 隣 接 木 に 接 触 0 0 倒 れる 方 向 が 変 わる 23 5 倒 れる 時 期 が 早 く 2 0 待 避 の 誤 り 23 5 その 他 10 2 件 数 % その 他 41 8 ものの 飛 来 落 下 16 3 歩 行 中 5 1 その 他 20 4 伐 木 造 材 308 62 枝 払 い 14 3 取 扱 い 中 の 材 工 具 7 1 他 人 の 造 材 2 0 ものの 飛 来 落 下 3 1 その 他 2 0 林 業 493 100.0 集 運 材 88 18 造 材 作 業 32 6 架 線 集 材 45 9 車 両 その 他 35 7 玉 切 り 15 3 取 扱 い 中 の 材 工 具 4 1 他 人 の 造 材 2 0 ものの 飛 来 落 下 3 1 その 他 6 1 造 材 その 他 3 1 皮 はぎ 0 0 運 材 索 道 1 0 組 み 立 て 中 7 1 解 体 中 1 0 運 転 中 - 巻 上 げ 下 げ 11 2 運 転 中 - 走 行 中 5 1 点 検 修 理 中 3 1 荷 拵 え 荷 積 み 降 ろし 11 2 その 他 7 1 修 羅 0 0 木 寄 せ 7 1 トラクタ 等 12 2 林 内 作 業 車 14 3 その 他 9 2 第 8 部 林 業 に お け る 労 働 安 全 と フ ォ レ ス タ ー の 役 割 はい 積 み 0 0 はい 積 み 0 0 輸 送 10 2 走 行 中 3 1 荷 積 み 降 ろし 中 7 1 造 林 40 8 地 ごしらえ 6 1 下 刈 23 5 その 他 11 2 検 尺 0 0 林 業 土 木 13 3 その 他 47 10 その 他 34 7 車 両 等 16 3 徒 歩 通 行 中 4 1 天 災 0 0 その 他 14 3 資 料 : 林 業 木 材 製 造 業 労 働 災 害 防 止 協 会 HP 193

第 8 部 林 業 における 労 働 安 全 とフォレスターの 役 割 表 8-2 林 業 関 係 で 必 要 な 主 な 免 許 教 育 講 習 等 一 覧 区 分 免 許 ( 法 第 72 条 ) 技 能 講 習 ( 法 第 76 条 第 1 項 ) 安 全 衛 生 特 別 教 育 ( 法 第 59 条 第 3 項 ) 講 習 または 教 育 時 間 学 科 実 技 関 係 通 達 等 林 業 架 線 作 業 主 任 者 免 許 50 50 則 第 62 条 昭 47 告 示 96 免 許 規 程 昭 46.4.15 基 発 321 はい 作 業 主 任 者 技 能 講 習 12 法 別 表 第 18 号 15 号 ( 第 76 条 関 係 ) 昭 47 告 示 106 はい 講 習 規 程 小 型 移 動 式 クレーン 運 転 技 能 講 習 (1トン 以 上 5トン 未 満 ) 不 整 地 運 搬 車 運 転 技 能 講 習 (1トン 以 上 ) 玉 掛 け 技 能 講 習 (1トン 以 上 ) 車 両 系 建 設 機 械 ( 整 地 運 搬 積 込 み 用 及 び 掘 削 用 ) 運 転 技 能 講 習 伐 木 等 機 械 の 運 転 の 業 務 6 6 走 行 集 材 機 械 の 運 転 の 業 務 6 6 機 械 集 材 装 置 の 運 転 の 業 務 6 8 簡 易 架 線 集 材 装 置 等 の 運 転 の 業 務 6 8 法 別 表 第 18 号 27 号 ( 第 76 条 関 係 ) 13 7 平 6 告 示 92 クレーン 講 習 規 程 11 24 法 別 表 第 18 号 34 号 ( 第 76 条 関 係 ) 平 2 告 示 66 不 整 地 講 習 規 程 法 別 表 第 18 号 36 号 ( 第 76 条 関 係 ) 11 5 昭 47 告 示 119 玉 掛 け 講 習 規 程 13 25 法 別 表 第 18 号 31( 第 76 条 関 係 ) 昭 47 告 示 112 建 設 機 械 講 習 規 程 則 第 36 条 6 の 2 昭 47 告 示 92 号 教 育 規 程 8 条 の 2 則 第 36 条 6 の 3 昭 47 告 示 92 号 教 育 規 程 8 条 の 3 則 第 36 ~ 39 条 昭 47 告 示 92 教 育 規 程 9 条 則 第 36 条 7 の 2 昭 47 告 示 92 号 教 育 規 程 9 条 の 2 伐 木 等 業 務 -8 号 ( 大 径 木 偏 心 木 等 ) 8 8 則 第 36 ~ 39 条 8 号 の2(チェーンソーによる) 7 6 昭 47 告 示 92 教 育 規 程 10 条 10 条 の 2 能 力 向 上 教 育 ( 法 第 19 条 の2) 安 全 衛 生 教 育 ( 法 第 60 条 の2) その 他 通 達 小 型 車 両 系 建 設 機 械 運 転 業 務 (3トン 未 満 ) 移 動 式 クレーン 運 転 業 務 (1トン 未 満 ) 移 動 式 クレーン 等 玉 掛 業 務 (1トン 未 満 ) 7 6 9 4 5 4 安 全 衛 生 推 進 者 能 力 向 上 教 育 ( 林 業 ) 7 林 業 架 線 作 業 主 任 者 能 力 向 上 教 育 6 機 械 集 材 装 置 運 転 業 務 従 事 者 安 全 衛 生 教 育 5 チェーンソーを 用 いて 行 う 伐 木 等 業 務 従 事 者 安 全 衛 生 教 育 チェーンソー 以 外 の 振 動 工 具 取 扱 作 業 者 安 全 衛 生 教 育 6 則 第 36 ~ 39 条 昭 47 告 示 92 教 育 規 程 11 条 クレーン 則 第 67 条 昭 47 告 示 118 クレーン 教 育 規 程 2 条 クレーン 則 222 条 昭 47 告 示 118 クレーン 教 育 規 程 5 条 則 第 24 条 能 力 向 上 教 育 指 針 ( 公 示 1 ~ 5 号 ) 平 11.11.2 基 発 636 号 則 第 24 条 能 力 向 上 教 育 指 針 ( 公 示 1 ~ 5 号 ) 平 4.3.17 基 発 第 125 号 則 第 40 条 の 2 安 全 衛 生 教 育 指 針 ( 公 示 1 ~ 4 号 ) 平 4.9.17 基 発 518 号 則 第 40 条 の 2 安 全 衛 生 教 育 指 針 ( 公 示 1 ~ 4 号 ) 平 4.4.23 基 発 260 号 4 昭 58.5.20 基 発 258 号 造 林 作 業 指 揮 者 等 安 全 衛 生 教 育 6.5 昭 60.3.18 基 発 141 号 刈 払 機 取 扱 作 業 者 安 全 衛 生 教 育 5 1 平 12.2.16 基 発 66 号 トラクター 等 による 集 材 作 業 の 指 揮 者 等 に 対 する 安 全 教 育 林 内 作 業 車 を 使 用 する 集 材 作 業 に 従 事 する 者 に 対 する 安 全 教 育 5.5 昭 62.9.25 基 発 572 号 6 平 3.11.11 基 発 646 号 林 材 業 リスクアセスメント 実 務 研 修 平 12.9.14 基 発 577 号 注 ) 法 : 労 働 安 全 衛 生 法 則 : 労 働 安 全 衛 生 規 則 告 示 : 厚 生 労 働 省 告 示 基 発 : 労 働 基 準 局 長 通 達 194

第 1 章 フォレスターに 求 められる 役 割 産 性 を 高 めることにつながります 安 全 をおろそかにし 一 度 災 害 を 発 生 させた 場 合 には 企 業 経 営 に 重 大 な 支 障 をきたすことがあることを 経 営 トップと 直 接 対 話 し 安 全 は 事 業 継 続 の ための 必 要 不 可 欠 な 投 資 であることを 理 解 させることが 必 要 です( 表 8-2) 3 森 林 経 営 計 画 の 作 成 段 階 での 森 林 施 業 プランナー 等 に 対 する 指 導 助 言 森 林 経 営 計 画 作 成 段 階 では 森 林 施 業 プランナー 等 が 作 成 した 森 林 経 営 計 画 の 内 容 について 労 働 安 全 の 観 点 から 指 導 助 言 します 例 えば 森 林 経 営 計 画 に 記 載 されている 森 林 作 業 道 の 規 格 ( 幅 員 や 縦 断 勾 配 )が 地 形 や 地 質 に 応 じて 決 められた 道 の 規 格 として 合 致 し 安 全 に 作 業 できる 林 業 機 械 が 選 択 されているかチェックし ます( 参 考 図 書 路 網 作 設 オペレーター 養 成 事 業 研 修 教 材 2010 森 林 作 業 道 づくり P20 傾 斜 に 応 じた 作 業 システムと 幅 員 参 照 ) また 走 行 速 度 が 遅 い 林 内 作 業 車 (フォワーダ)を 保 有 している 林 業 事 業 体 が 山 土 場 から 森 林 作 業 道 の 終 点 まで1km 以 上 もある 森 林 作 業 道 を 計 画 している 場 合 では 作 業 効 率 が 上 がらないばか りか 生 産 性 を 高 めようとするあまり 現 場 で 過 積 載 が 行 われかねません 仮 に 森 林 施 業 プランナー が 急 勾 配 の 森 林 作 業 道 を 計 画 しているのであれば そのように 計 画 せざるを 得 ないその 原 因 を 究 明 し その 課 題 解 決 にアドバイスする 役 目 をフォレスターは 持 っているのです つまり 安 全 な 作 業 が 確 保 できるよう 森 林 作 業 道 の 規 格 や 構 造 線 形 の 見 直 しを 指 導 助 言 する など 計 画 段 階 において 的 確 にチェックすることがフォレスターとしての 重 要 な 役 割 です この 場 合 地 形 や 地 質 土 質 さらには 環 境 に 対 する 影 響 も 見 極 めて 森 林 作 業 道 の 指 導 助 言 を 行 うことも 重 要 なポイントとなります 4 森 林 経 営 計 画 の 実 行 監 理 段 階 での 経 営 トップ 等 に 対 する 指 導 助 言 森 林 経 営 計 画 の 実 行 監 理 段 階 では フォレスターは 市 町 村 からの 技 術 支 援 の 要 請 に 基 づき 市 町 村 職 員 とともに 森 林 経 営 計 画 どおり 現 場 が 適 切 に 実 施 されているかどうか 現 場 や 事 業 体 を 巡 回 指 導 します この 際 林 業 労 働 災 害 の 防 止 に 向 け 現 場 では 現 場 技 能 者 が 危 険 作 業 をしていないか また 事 業 体 の 安 全 管 理 体 制 などに 対 しても 助 言 する 役 目 がフォレスターに 求 められています 近 年 の 調 査 研 究 ( 山 田 容 三 林 業 事 業 体 の 労 働 安 全 衛 生 活 動 と 労 働 災 害 )から 以 下 の 活 動 が 労 働 災 害 の 発 生 を 予 防 する 効 果 として 挙 げられています 危 険 予 知 活 動 (KY 活 動 ) 危 険 箇 所 への 注 意 標 識 の 設 置 指 差 し 呼 称 リスクアセスメント 安 全 表 彰 制 度 ヒヤリハットなどの 定 期 的 な 実 施 安 全 作 業 のマニュアル 化 事 業 体 独 自 の 安 全 基 準 の 作 成 過 去 の 経 験 をマニュアルに 生 かすこと 安 全 活 動 内 容 の 定 期 的 見 直 しや 作 業 安 全 教 育 訓 練 の 定 期 的 見 直 し 安 全 管 理 方 針 の 明 文 化 このうち 経 営 トップ 向 けに 対 してはリスクアセスメント 安 全 表 彰 制 度 危 険 予 知 訓 練 などの 定 期 的 な 実 施 安 全 作 業 のマニュアル 化 事 業 体 独 自 の 安 全 基 準 の 作 成 安 全 活 動 内 容 や 作 業 安 全 第 8 部 林 業 に お け る 労 働 安 全 と フ ォ レ ス タ ー の 役 割 195

第 8 部 林 業 における 労 働 安 全 とフォレスターの 役 割 教 育 訓 練 の 定 期 的 な 見 直 し 安 全 管 理 方 針 を 明 文 化 すること 事 業 者 責 任 で 防 護 着 衣 安 全 装 備 の 配 備 をするよう 適 宜 指 導 助 言 することが 必 要 です また 現 場 あるいは 作 業 班 ごとに 安 全 担 当 者 を 設 置 しているかを 確 認 し 設 置 していない 場 合 は 経 営 者 に 指 導 することも 必 要 です 一 方 現 場 レベルでは フォレスターが 現 場 を 巡 回 した 際 に 危 険 予 知 活 動 を 含 めたツールボック スミーティング 1) を 毎 朝 行 っているか(その 内 容 についても 確 認 ) 危 険 箇 所 には 注 意 標 識 が 設 置 されているか また 現 場 技 能 者 が 指 差 し 呼 称 を 行 っているか こうした 活 動 がなされていない 場 合 には 経 営 トップ 等 に 対 し こうした 活 動 が 労 働 災 害 防 止 に 効 果 があることを 理 解 させること が 大 切 です また 現 場 技 能 者 が 法 令 に 基 づいた 作 業 を 実 施 しているか 確 認 することはもとより 日 ごろ 現 場 技 能 者 との 会 話 を 通 じ 危 険 予 知 についての 心 構 えを 聴 くことも 大 切 です さらに 彼 らとの 会 話 の 中 から 林 業 機 械 の 安 全 上 の 改 善 点 など 聞 き 取 って 機 械 メーカーに 意 見 することも 重 要 です とりわけ 危 険 作 業 が 伴 う 林 業 の 現 場 危 険 を 冒 して 労 働 生 産 性 向 上 やコスト 低 減 はあり 得 ない 一 に 安 全 二 に 環 境 三 に 生 産 性 を 心 に 刻 み 安 全 管 理 の 率 先 垂 範 者 として 現 場 巡 回 の 時 はフォ レスター 自 ら 防 護 服 を 身 に 纏 うなど 安 全 意 識 の 高 揚 に 取 り 組 むことが 必 要 です 林 業 労 働 災 害 を 防 止 するためにも フォレスターの 役 割 は 極 めて 重 要 です 5 リスクアセスメントの 推 進 今 後 の 森 林 整 備 においては これまで 以 上 に 計 画 的 かつ 効 率 的 な 作 業 の 実 施 が 求 められるため 想 定 される 作 業 ごとに 作 業 に 潜 む 危 険 の 芽 を 摘 み 取 ることが 重 要 になります このため 作 業 計 画 の 作 成 に 当 たっては 労 働 安 全 衛 生 関 係 法 令 に 基 づく 措 置 の 徹 底 はもとより 整 備 対 象 となる 森 林 について 最 もよく 知 る 事 業 者 自 らが 現 場 技 能 者 の 参 加 の 下 リスクアセス メント を 実 施 することが 重 要 です フォレスターは 上 記 の 趣 旨 を 事 業 者 に 十 分 に 理 解 させるとともに 作 業 計 画 の 作 成 に 当 たって リスクアセスメントの 積 極 的 な 実 施 を 指 導 することも 重 要 な 役 割 です また 林 業 の 事 業 体 は 一 般 に 小 規 模 なものが 多 く 事 業 者 自 らが 作 業 ごとのリスクの 評 価 を 実 施 することができない 場 合 も 多 いため リスクアセスメントの 実 施 に 当 たっては 既 存 のマニュアル を 活 用 する 等 により 労 働 災 害 防 止 上 効 果 があるものとなるよう フォレスターは 必 要 な 指 導 を 行 うことが 大 切 です 6 労 働 基 準 行 政 との 連 携 上 記 の 取 り 組 みとともに フォレスターは 都 道 府 県 労 働 局 や 労 働 基 準 監 督 署 労 働 災 害 防 止 団 体 等 と 連 携 の 上 集 団 指 導 等 の 合 同 開 催 や 安 全 パトロールの 共 同 実 施 など 効 率 的 効 果 的 な 指 導 を 実 施 することも 必 要 です 1)ツールボックスミーティングとは 作 業 開 始 前 の 時 間 を 使 って 道 具 箱 (ツールボックス) のそばに 集 まった 仕 事 仲 間 が 安 全 作 業 について 話 し 合 い(ミーティング)をするというア メリカの 風 習 を 取 り 入 れた 現 場 で 行 う 安 全 作 業 の1つの 方 法 で 安 全 常 会 職 場 安 全 会 議 などとも 呼 ばれ その 内 容 は その 日 の 作 業 内 容 進 め 方 と 安 全 の 関 係 特 に 危 険 な 箇 所 の 明 示 とその 対 策 同 じ 場 所 で 同 時 に 他 の 作 業 が 行 われる 場 合 の 注 意 事 項 等 です 196

第 1 章 フォレスターに 求 められる 役 割 第 2 章 労 働 安 全 法 令 等 について 1 労 働 安 全 衛 生 法 と 安 全 衛 生 管 理 体 制 林 業 労 働 災 害 を 防 止 するために 各 種 の 法 律 規 則 が 定 められていますが その 体 系 は 労 働 安 全 衛 生 法 を 中 心 に これを 実 施 するために 必 要 な 細 部 規 則 は 労 働 安 全 衛 生 規 則 に 定 めています 労 働 安 全 衛 生 法 は 労 働 災 害 防 止 のための 危 害 防 止 基 準 の 確 立 責 任 体 制 の 明 確 化 自 主 的 活 動 の 促 進 の 措 置 により 職 場 における 労 働 者 の 安 全 と 健 康 を 確 保 するとともに 快 適 な 職 場 環 境 の 形 成 を 促 進 することを 目 的 とする 法 律 であり 我 が 国 における 労 働 災 害 防 止 対 策 の 基 本 となる 法 律 です 事 業 者 は 労 働 安 全 衛 生 法 で 定 める 労 働 災 害 の 防 止 のための 最 低 基 準 を 遵 守 することはもちろん ですが 快 適 な 職 場 環 境 の 実 現 と 労 働 条 件 の 改 善 を 通 じて 労 働 者 の 安 全 と 健 康 を 確 保 するように しなければならず 危 険 な 作 業 をさせた 場 合 は 罰 則 を 受 けることになります 一 方 労 働 者 は 労 働 災 害 を 防 止 するため 必 要 な 事 項 を 守 るほか 事 業 者 その 他 の 関 係 者 が 実 施 する 労 働 災 害 の 防 止 に 関 する 措 置 に 協 力 するよう 努 めなければならないとされています 安 全 衛 生 管 理 体 制 とは 事 業 者 が 労 働 災 害 防 止 活 動 を 行 うために 必 要 な 体 制 であり 以 下 のよう なものの 選 任 設 置 が 必 要 とされています 安 全 衛 生 推 進 者 ( 労 働 者 数 10 人 以 上 50 人 未 満 の 場 合 ) 安 全 管 理 者 衛 生 管 理 者 ( 労 働 者 数 50 人 以 上 ) 総 括 安 全 衛 生 管 理 者 ( 労 働 者 数 100 人 以 上 の 事 業 所 ) 2 林 業 労 働 災 害 防 止 の 取 り 組 み 労 働 災 害 防 止 計 画 は 労 働 災 害 防 止 のための 主 要 な 対 策 等 について 厚 生 労 働 大 臣 が 定 める 計 画 で 現 在 は 平 成 25(2013) 年 度 から29(2017) 年 度 までの 第 12 次 労 働 災 害 防 止 計 画 が 定 めら れています( 平 成 25 年 3 月 8 日 公 示 ) 計 画 の 目 標 として 誰 もが 安 心 して 健 康 に 働 くことができる 社 会 の 究 極 的 な 目 標 である 労 働 災 害 をゼロにすること の 実 現 に 向 け 以 下 の 目 標 を 計 画 期 間 中 に 達 成 することを 目 指 し 1 死 亡 災 害 の 撲 滅 を 目 指 して 平 成 24 年 と 比 較 して 平 成 29 年 までに 労 働 災 害 による 死 亡 者 の 数 を15% 以 上 減 少 させること 2 平 成 24 年 と 比 較 して 平 成 29 年 までに 労 働 災 害 による 休 業 4 日 以 上 の 死 傷 者 の 数 を15% 以 上 減 少 させること とされています なお 林 業 の 労 働 災 害 の 動 向 としては 死 傷 災 害 の 年 千 人 率 が 全 産 業 平 均 の10 倍 を 超 える 高 い 発 生 率 また 死 亡 災 害 については 伐 木 作 業 中 に 発 生 したものが 半 数 以 上 注 ) 年 千 人 率 :1,000 人 当 たり1 年 間 に 発 生 する 労 働 災 害 による 死 傷 者 数 また 林 業 における 労 働 災 害 防 止 対 策 としては 第 8 部 林 業 に お け る 労 働 安 全 と フ ォ レ ス タ ー の 役 割 197

第 8 部 林 業 における 労 働 安 全 とフォレスターの 役 割 危 険 性 または 有 害 性 等 の 調 査 等 (リスクアセスメント)の 普 及 啓 発 死 亡 災 害 が 多 発 している かかり 木 の 処 理 作 業 等 の 安 全 対 策 の 措 置 高 性 能 林 業 機 械 等 の 大 型 林 業 機 械 について 安 全 対 策 の 周 知 徹 底 があげられます 労 働 災 害 防 止 は 労 働 関 係 機 関 と 連 携 して 計 画 的 な 取 り 組 みを 実 施 していくことが 必 要 で フォ レスターは 労 働 災 害 の 実 態 を 十 分 に 熟 知 して その 役 割 を 果 たしていくことが 必 要 です 3 林 業 における 安 全 作 業 実 施 の 基 本 的 事 項 以 下 の 事 項 は 労 働 安 全 衛 生 規 則 などに 定 められたものを 林 野 庁 において 整 理 したものです 1 安 全 管 理 体 制 の 整 備 と 安 全 活 動 の 活 性 化 事 業 体 の 安 全 管 理 は 事 業 主 がリーダーシップを 発 揮 して 安 全 管 理 者 安 全 衛 生 推 進 者 作 業 主 任 者 等 と 連 携 し 緊 急 連 絡 体 制 の 整 備 周 知 等 計 画 的 継 続 的 な 活 動 の 実 施 2 作 業 着 手 段 階 における 安 全 についての 検 討 と 実 施 作 業 手 法 の 検 討 見 直 し 改 善 点 の 洗 い 出 し 安 全 教 育 の 実 施 リスクアセスメントの 実 施 3 安 全 な 職 場 環 境 の 整 備 作 業 に 必 要 な 機 械 器 具 等 の 点 検 整 備 安 全 表 示 や 作 業 計 画 表 の 提 示 など 安 全 作 業 のための 職 場 環 境 整 備 4 安 全 な 服 装 や 装 備 の 徹 底 保 護 帽 の 着 用 チェーンソー 等 使 用 時 には 耳 あて 防 護 面 ソーチェーンが 当 たっても 身 体 を 保 護 する 靴 や 防 護 衣 の 着 用 5 ミーティングの 実 施 作 業 主 任 者 等 を 中 心 として 作 業 開 始 前 に 作 業 配 置 方 法 注 意 事 項 等 打 ち 合 わせ 作 業 実 施 前 には 危 険 予 知 活 動 (KY 活 動 )の 実 施 作 業 終 了 後 も 進 捗 状 況 やヒヤリハット 等 の 報 告 共 有 6 整 理 整 頓 および 健 康 管 理 安 全 の 基 本 の 整 理 整 頓 集 材 箇 所 土 場 の 整 理 機 械 の 保 守 点 検 作 業 開 始 時 等 に 体 をほぐす 体 操 の 実 施 198

第2章 労働安全法令等について ⑦ 合図 指差し呼称の習慣化 作業の合図などについて十分な打ち合わせと 指差し呼称による安全の確認 ⑧ 悪天候時の作業禁止 強風 10 分間の平均風速が毎秒 10 m以上 大雨 1回の降雨量が 50 以上 大雪 1回の降雪 量が 25 以上 等の悪天候が予想される場合は作業を中止 ⑨ ハチ刺され災害の防止 夏場の林業作業で留意すべきものにハチ刺されがあります 刺すハチの中で怖いのはスズメバチ とアシナガバチです 特にスズメバチは攻撃性も強く刺された場合危険な状態に陥ることもあり 注意が必要です 日本では 野外で作業する林業従事者はもとより 一般の人々も含めて全国で毎 年 20 人強の方がハチ刺されで亡くなっています このため あらかじめハチアレルギーの検査または診察を受け 重篤なアレルギー反応を起こす おそれのある場合には 自動注射器を携行するなどの対応が必要です ⑩ 車両系木材伐出機械等に係る安全対策 装置 架線集材機械 タワーヤーダ等 の運転業務から生じる危険を防止するため 防護柵等の設 置や これらの運転業務に従事する者に対して特別教育を行うことが義務づけられました チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン 平成 27 年12月に上記ガイドラインが策定されました チェーンソー作業における労働災害防止 対策の一層の推進が求められています 内容 保護具等 防護衣 衣服 手袋 安全靴 保護帽 保護網 保護眼鏡 防音保護具 チェーンソーの取扱い方法等 チェーンソーの選定 チェーンソーの始動方法 チェーンソーの取 扱いに当たっての基本的な姿勢 チェーンソー作業時の立入禁止 伐木作業 作業に必要な安全衛生教育 作業前の準備 作業に伴う立入禁止区域及び退避等 基 本的伐倒作業 追いづる切り かかり木 造材作業 造材作業に伴う基本的な安全確保対策 枝払い作業 玉切作業 199 第8部 林業における労働安全とフォレスターの役割 事業者は 伐木等機械 フェラバンチャ等 走行集材機械 フォワーダ等 並びに簡易架線集材

第 8 部 林 業 における 労 働 安 全 とフォレスターの 役 割 第 3 章 リスクアセスメントの 推 進 災 害 という 結 果 だけでなく 災 害 の 原 因 である 危 険 に 目 を 向 けることが 大 切 です 危 険 をよみ 災 害 の 芽 をつむ ための 効 果 的 な 手 法 がリスクアセスメントです リスクアセスメントのねらいは 作 業 現 場 で 労 働 災 害 が 発 生 しそうなところを 前 もって 全 般 的 に 洗 い 出 し 事 前 にどれくらい 危 険 かを 体 系 的 に 評 価 し その 評 価 の 大 きさに 従 ってきちんと 対 策 を 実 施 することで 作 業 がどれくらい 危 険 か(リスク)を 分 析 算 定 し 事 前 に 評 価 (アセスメント)することです リスクアセスメント の 重 要 なポイントは 危 険 要 因 の 洗 い 出 しです 危 険 予 知 活 動 (KY 活 動 )を 通 じて 磨 かれたリス ク 感 覚 がリスクアセスメントに 活 きてきます 平 成 17(2005) 年 の 労 働 安 全 衛 生 法 の 改 正 で 事 業 者 は 危 険 性 等 の 調 査 を 行 い その 結 果 に 基 づいて 必 要 な 措 置 を 講 じるよう 努 めなければならない と 規 定 され 現 在 では 多 くの 事 業 体 で 実 践 されています 林 業 事 業 体 の 登 録 評 価 の 仕 組 みについて 林 野 庁 では 平 成 21 年 12 月 25 日 に 公 表 した 森 林 林 業 再 生 プラン の 具 体 的 な 施 策 の 検 討 を 行 った 森 林 林 業 の 再 生 に 向 けた 改 革 の 姿 を 平 成 22 年 11 月 30 日 に 取 りまとめました この 中 で 1 林 業 事 業 体 間 の 競 争 を 通 じた 森 林 整 備 の 品 質 や 効 率 的 な 事 業 実 施 の 確 保 2 登 録 情 報 の 公 表 により 事 業 実 行 者 の 選 択 結 果 理 由 の 透 明 性 を 確 保 し 森 林 所 有 者 等 の 信 頼 性 を 確 保 する ことを 目 的 として 事 業 発 注 者 が 林 業 事 業 体 の 登 録 情 報 をもとに 客 観 的 でわかりやすい 基 準 によっ て 事 業 実 行 者 を 選 択 できる 仕 組 みの 導 入 が 求 められました さらに 森 林 林 業 再 生 プラン を 反 映 した 森 林 林 業 基 本 計 画 が 平 成 23 年 7 月 26 日 に 閣 議 決 定 され 林 業 事 業 体 を 登 録 評 価 する 仕 組 みの 導 入 を 推 進 する ことが 明 示 されました これらを 踏 まえ 都 道 府 県 が 地 域 の 実 情 に 応 じた 取 り 組 みが 行 えるよう 関 係 通 知 を 都 道 府 県 知 事 あてに 発 出 し 現 在 都 道 府 県 において 林 業 事 業 体 の 登 録 評 価 の 仕 組 みの 導 入 に 向 けた 取 り 組 みが 進 められています 各 通 知 は 都 道 府 県 において 林 業 事 業 体 の 登 録 評 価 の 仕 組 み 導 入 に 取 り 組 む 際 の 参 考 となるも のです 実 際 の 取 り 組 みについては 都 道 府 県 が 地 域 の 実 情 に 応 じて 実 施 することになるため 登 録 情 報 の 内 容 等 が 異 なる 場 合 がありますが 林 業 事 業 体 に 関 する 情 報 の 登 録 項 目 については 雇 用 管 理 に 関 する 項 目 や 都 道 府 県 知 事 が 定 める 情 報 として 安 全 対 策 の 取 組 状 況 が 例 示 されており 林 業 事 業 体 の 安 全 意 識 の 向 上 の 観 点 からも 都 道 府 県 における 今 後 の 取 り 組 みが 期 待 されます 林 野 庁 HP http://www.rinya.maff.go.jp/j/routai/roudou/tourokuhyouka.html 200