経 営 者 が 最 低 限 知 っておきたい! 寄 附 金 課 税 の 税 務
はじめに 税 務 調 査 でよくトラブルになる 項 目 の 一 つに 寄 附 金 があります 寄 附 金 と 言 えば 一 般 的 に は 災 害 に 対 する 支 援 などを 意 味 しますので 社 会 にとって 良 いこととされます しかし 会 社 が 支 出 する 寄 附 金 を 無 制 限 に 経 費 として 認 めてしまうと 安 易 な 節 税 になるという 考 え 方 から 法 人 税 においては 経 費 とされる 寄 附 金 の 金 額 に 限 度 額 が 設 けられるなど さまざまな 制 限 が 設 けら れています 結 果 寄 附 金 については 国 税 とトラブルになることが 非 常 に 多 いのです とりわけ 寄 附 金 は 低 廉 譲 渡 について 大 きな 問 題 になります 低 廉 譲 渡 とは 時 価 よりも 低 い 金 額 で 売 買 を 行 うようなことを 意 味 しますが 低 廉 譲 渡 があった 場 合 には 原 則 として 時 価 と 取 引 金 額 の 差 額 が 寄 附 金 になるとされています このため 税 務 調 査 では 低 廉 譲 渡 に 該 当 しないか 取 引 金 額 についてチェックされます 中 でも 経 営 者 が 自 由 に 取 引 金 額 を 決 められるグループ 会 社 間 の 取 引 に 対 しては 低 廉 譲 渡 に ついて 厳 しいチェックがなされます 取 引 金 額 が 時 価 と 同 額 であるか その 判 断 は 非 常 に 難 しい ですが グループ 会 社 との 取 引 金 額 は 税 務 調 査 で 確 実 にチェックされますので 国 税 に 反 論 でき るよう あらかじめ 寄 附 金 のルールを 理 解 し 必 要 な 資 料 を 揃 えておく 必 要 があります 本 テキストは 税 務 調 査 で 大 きな 問 題 となる 寄 附 金 について 最 低 限 必 要 な 知 識 をまとめたも のです 寄 附 金 課 税 は 複 雑 でグレーな 部 分 が 大 きいですが 最 低 限 の 知 識 は 本 テキストで 十 分 に 学 べますので 本 テキストを 読 んでいただくとともに 税 理 士 などの 専 門 家 とも 相 談 しながら 国 税 から 特 に 狙 われるグループ 会 社 との 取 引 などについて 見 直 してみてください 本 テキストが 皆 様 のビジネスにとってわずかなりともお 役 に 立 つのであれば これに 勝 る 喜 びはありません 目 次 Ⅰ 寄 附 金 課 税 の 基 礎 知 識 Ⅱ その 他 の 留 意 点 注 意 点 本 小 冊 子 は 平 成 27 年 10 月 1 日 現 在 の 法 令 等 に 基 づいて 作 成 されております 今 後 の 税 制 改 正 等 により 本 小 冊 子 の 内 容 等 の 全 部 または 一 部 につき 変 更 があり 得 ますので ご 注 意 ください
Ⅰ 寄 附 金 課 税 の 基 礎 知 識 Q1 < 寄 附 金 課 税 の 全 体 像 > 法 人 税 の 税 務 調 査 では 寄 附 金 課 税 が 問 題 になるということですが なぜ 問 題 になるの でしょうか? A1 < 経 費 の 制 限 と 低 廉 譲 渡 の 問 題 > 税 務 上 の 寄 附 金 は 見 返 りのない 費 用 を 意 味 するとされています 見 返 りがないため 経 費 と 言 い 難 い 面 があることから 寄 附 金 については 経 費 とされる 金 額 が 制 限 されま す その 他 時 価 で 取 引 をしていなければ 寄 附 金 課 税 の 対 象 となる 低 廉 譲 渡 の 問 題 が 生 じる 場 合 もあります 社 会 貢 献 活 動 を 目 的 に 会 社 は 国 や 地 方 公 共 団 体 などに 寄 附 を 行 うこともありますが 法 人 税 においては 会 社 が 支 出 した 寄 附 金 について 無 制 限 に 経 費 にはならず 経 費 とされる 金 額 に 制 限 が 設 けられています 法 人 税 において 寄 附 金 は 対 価 性 のない 費 用 と 言 われます 寄 附 金 を 支 出 しても 確 実 な 見 返 りが 期 待 できないことから このように 言 われますが 確 実 な 見 返 りが 期 待 できない 以 上 経 費 とされる 金 額 を 制 限 するというのが 寄 附 金 課 税 の 考 え 方 です ところで 法 律 上 寄 附 金 とは 以 下 の( 図 1)のような 費 用 を 意 味 するとされています 一 般 的 に 寄 附 金 と 言 えば 赤 い 羽 根 募 金 などをイメージすると 思 いますが 法 人 税 の 寄 附 金 は 範 囲 が 広 く 固 定 資 産 をタダで 贈 与 したり タダでサービスを 提 供 したりした 場 合 にも 寄 附 金 に 該 当 するとされています とりわけ 注 意 したいのが 低 廉 譲 渡 と 言 われるものです これは 時 価 よりも 低 い 取 引 金 額 で 資 産 を 売 買 したり サービスを 提 供 したりすることをいいます このような 場 合 にも その 時 価 と 取 引 金 額 の 差 額 について 寄 附 金 課 税 が 行 われることがあります 税 務 上 取 引 は 時 価 で 行 う 必 要 があると 言 われますが その 理 由 はこの 低 廉 譲 渡 から 来 ています 低 廉 譲 渡 について 詳 細 は(Q3)をご 参 照 下 さい ( 図 1) 法 人 税 の 寄 附 金 の 範 囲
金 銭 や 他 の 資 産 の 贈 与 ( 固 定 資 産 を 贈 与 すること 等 ) 無 償 による 経 済 的 利 益 の 供 与 (タダでサービスを 提 供 すること 等 ) 左 のうち 下 記 以 外 が 寄 附 金 資 産 の 低 廉 譲 渡 ( 一 定 の 時 価 よりも 安 い 販 売 等 ) 低 廉 の 経 済 的 利 益 の 供 与 ( 一 定 の 時 価 よりも 安 いサービス 提 供 等 ) < 寄 附 金 から 除 かれるもの> 広 告 宣 伝 費 見 本 品 費 接 待 交 際 費 福 利 厚 生 費 etc Q2 < 経 費 とならない 寄 附 金 の 額 > 寄 附 金 は 経 費 とされる 金 額 が 制 限 されるということですが 具 体 的 にはどのような 取 扱 いになっているのでしょうか A2 <3 種 類 に 区 分 してそれぞれ 計 算 > 経 費 とされる 寄 附 金 の 限 度 額 は 寄 附 金 を 指 定 寄 附 金 等 特 定 公 益 増 進 法 人 に 対 する 寄 附 金 一 般 の 寄 附 金 の3つの 種 類 に 区 分 し その 区 分 に 応 じて 計 算 されます 税 務 上 寄 附 金 は 経 費 とされる 金 額 が 制 限 されますが 経 費 とされる 金 額 の 限 度 額 は 以 下 の ( 図 2)の 通 り 寄 附 金 を 指 定 寄 附 金 等 特 定 公 益 増 進 法 人 に 対 する 寄 附 金 一 般 の 寄 附 金 の3つ に 区 分 した 上 で それぞれの 区 分 に 応 じて 計 算 されます ( 図 2) 税 務 上 の 寄 附 金 の 種 類 種 類 具 体 例 指 定 寄 附 金 等 国 や 地 方 公 共 団 体 に 対 する 寄 附 金 日 本 赤 十 字 社 に 対 する 寄 附 金 で 財 務 大 臣 の 承 認 を 受 けたもの その 他 財 務 大 臣 が 指 定 した 所 定 の 寄 附 金 etc 特 定 公 益 増 進 法 人 に 日 本 赤 十 字 社 に 対 する 寄 附 金 で 経 常 経 費 に 充 てられるもの 社 会 福 祉 法 対 する 寄 附 金 人 に 対 する 寄 附 金 公 益 社 団 法 人 などに 対 する 寄 附 金 etc 一 般 の 寄 附 金 政 治 団 体 や 政 党 に 対 する 寄 附 金 宗 教 法 人 や 神 社 などに 対 する 寄 附 金
町 内 会 などに 対 する 寄 附 金 etc 参 考 までですが 経 費 とされる 金 額 は 以 下 の( 図 3)の 通 り 計 算 されます ( 図 3) 寄 附 金 の 損 金 算 入 限 度 額 種 類 経 費 とされる 金 額 指 定 寄 附 金 等 全 額 特 定 公 益 増 進 法 人 に ( 特 定 公 益 増 進 法 人 の 資 本 基 準 額 ( 1)+ 特 定 公 益 増 進 法 人 の 対 する 寄 附 金 ( 3) 所 得 基 準 額 ( 2)) 1/2 一 般 の 寄 附 金 ( 資 本 基 準 額 ( 4)+ 所 得 基 準 額 ( 5)) 1/4 ( 1) 資 本 金 等 の 額 当 期 の 事 業 年 度 の 月 数 /12 3.75/1000 ( 2) 所 得 の 金 額 6.25/100 ( 3) 経 費 にならない 金 額 は 一 般 の 寄 附 金 として 取 り 扱 われます ( 4) 資 本 金 等 の 額 当 期 の 事 業 年 度 の 月 数 /12 2.5/1000 ( 5) 所 得 の 金 額 2.5/100 指 定 寄 附 金 等 など 公 益 的 な 寄 附 金 については 社 会 にとって 必 要 なものですので 経 費 とさ れる 金 額 が 大 きく 計 算 されることになっています 寄 附 をする 法 人 のホームページを 見 ますと 指 定 寄 附 金 等 や 特 定 公 益 増 進 法 人 に 対 する 寄 附 金 等 に 該 当 する 場 合 には 原 則 としてその 旨 が 書 かれています このため 寄 附 金 の 支 出 をする 場 合 には あらかじめ 確 認 して 下 さい Q3 < 低 廉 譲 渡 > 寄 附 金 課 税 については 低 廉 譲 渡 が 問 題 になるということですが 低 廉 譲 渡 とは 具 体 的 にはどのようなものなのでしょうか A3 < 時 価 よりも 低 い 金 額 の 取 引 で 実 質 的 に 贈 与 と 見 られるもの> 低 廉 譲 渡 とは 時 価 よりも 低 い 金 額 で 資 産 を 譲 渡 することなどをいいます 低 廉 譲 渡 に 該 当 する 場 合 原 則 として 時 価 と 取 引 金 額 との 差 額 について 寄 附 金 課 税 が 行 われ ます ただし 合 理 性 があって 時 価 よりも 低 い 金 額 で 取 引 するような 場 合 には 実 質 的 に 贈 与 したと 見 られませんので 寄 附 金 課 税 はありません 税 務 上 低 廉 譲 渡 とは 時 価 に 満 たない 金 額 で 資 産 を 譲 渡 することなどをいいます 例 えば 本 来 は 100 円 で 売 れるものを 80 円 で 売 った 場 合 には 低 廉 譲 渡 に 該 当 します 低 廉 譲 渡 を 行 っ た 場 合 時 価 と 取 引 金 額 の 差 額 について 寄 附 金 課 税 される 場 合 があります
先 の 例 でいえば 実 際 の 取 引 金 額 である 80 円 ではなく 時 価 である 100 円 で 取 引 をしたとみ なされた 上 で その 差 額 の 20 円 について 寄 附 金 課 税 がなされることがあります( 図 4 参 照 ) 寄 附 金 課 税 されると 経 費 とされる 金 額 が 制 限 されますので 法 人 税 が 追 徴 課 税 されることがあ ります ( 図 4) 低 廉 譲 渡 の 課 税 関 係 時 価 で 取 引 したと みなされる 時 価 100 差 額 20 取 引 金 額 80 寄 附 金 とみなされ る 場 合 がある ところで 他 人 との 取 引 であれば 一 般 的 には 時 価 で 取 引 をしますので 低 廉 譲 渡 はあまり 問 題 になりません しかし 取 引 金 額 を 自 由 に 決 められるグループ 会 社 間 の 取 引 であれば 取 引 金 額 が 時 価 と 言 えるのか 税 務 調 査 では 厳 しくチェックされます このため グループ 会 社 との 取 引 がある 場 合 には 税 理 士 などの 専 門 家 に 相 談 の 上 低 廉 譲 渡 の 問 題 がないか チェックしても らう 必 要 があります なお 時 価 に 満 たない 金 額 で 取 引 をしても それだけで 低 廉 譲 渡 の 問 題 が 生 じ 時 価 と 取 引 金 額 との 差 額 を 寄 附 金 と 見 られることはありません 低 廉 譲 渡 について 寄 附 金 課 税 される 場 合 には 以 下 の( 図 5)の2つの 要 件 が 必 要 になります ( 図 5) 寄 附 金 課 税 される 低 廉 譲 渡 の 要 件
時 価 よりも 低 い 金 額 で 取 引 すること... 実 質 的 に時 価 と 取 引 金 額 の 差 額 分 を... 贈 与 した と 認 められること 2つそろって 初 めて 低 廉 譲 渡 取 引 先 に 早 く 契 約 をしてもらうため 多 少 ディスカウントして 商 品 を 売 る ということは 多 く あります このような 値 引 きは 合 理 性 があるものですから お 金 を 贈 与 したわけではありません このように 合 理 的 な 理 由 があって 時 価 よりも 低 い 金 額 で 取 引 した 場 合 には 実 質 的 に 時 価 との 差 額 分 を 贈 与 したと 見 ることはできませんので 寄 附 金 課 税 の 対 象 にはなりません 時 価 よりも 低 い 金 額 で 取 引 するという 要 件 は 別 にして 実 質 的 に 贈 与 したという 要 件 について は 税 務 署 の 調 査 官 でも 忘 れることが 多 いです このため 合 理 的 な 理 由 があって 時 価 よりも 低 い 金 額 で 取 引 する 場 合 には その 理 由 について 調 査 官 に 説 明 できるよう 資 料 を 用 意 しておく 必 要 があります Q4 < 時 価 の 意 義 > グループ 会 社 に 土 地 を 譲 渡 しますので 低 廉 譲 渡 にならないよう 時 価 で 取 引 をしたい と 思 いますが 時 価 はどのように 計 算 すればいいでしょうか? A4 < 明 確 な 基 準 はなく ケースバイケースで 判 断 する> 時 価 について 明 確 な 基 準 はなく ケースバイケースで 判 断 せざるを 得 ません 取 引 金 額 をどのようにして 決 めたかなど 記 録 を 残 しておくことが 大 切 になります 税 務 上 は 低 廉 譲 渡 の 問 題 がありますので 取 引 は 時 価 で 行 う 必 要 があるとされています しか し 時 価 とは 通 常 取 引 される 金 額 を 意 味 するとされており 確 実 な 基 準 はありません このため 時 価 はケースバイケースで 判 断 せざるを 得 ません あくまでも 参 考 ですが 資 産 の 譲 渡 に 関 しては 以 下 の( 図 6)のような 金 額 を 時 価 として 見 ることが 実 務 上 は 多 いです
( 図 6) 資 産 の 譲 渡 における 時 価 の 一 例 資 産 の 種 類 想 定 される 時 価 近 隣 の 売 買 事 例 を 基 に 計 算 した 金 額 土 地 公 示 価 格 や 相 続 税 評 価 額 を 基 に 計 算 した 金 額 不 動 産 鑑 定 士 等 の 鑑 定 評 価 額 相 続 税 評 価 額 や 固 定 資 産 税 評 価 額 を 基 に 計 算 した 金 額 建 物 取 引 時 点 の 帳 簿 価 額 不 動 産 鑑 定 士 等 の 鑑 定 評 価 額 機 械 などの 減 価 償 却 資 産 取 引 時 点 の 帳 簿 価 額 有 価 証 券 ( 上 場 ) 証 券 取 引 所 の 市 場 価 格 純 資 産 価 額 を 基 に 計 算 した 金 額 有 価 証 券 ( 非 上 場 ) 相 続 税 評 価 額 を 基 に 計 算 した 金 額 ただし これらはあくまでも 例 示 ですので これらの 金 額 を 時 価 としても 税 務 署 から 問 題 視 されることがありますし これらの 金 額 以 外 の 金 額 でも 時 価 として 問 題 がないと 判 断 されるこ ともあります このように 時 価 については 確 実 なことは 言 い 難 いですが 例 えば 不 動 産 を 売 るのであれば 近 隣 の 不 動 産 業 者 に 相 場 を 聞 いて 記 録 を 残 すなど 取 引 金 額 を 決 めた 経 緯 について 資 料 を 残 して おく 必 要 があります Q5 < 交 際 費 と 寄 附 金 の 違 い> 取 引 先 に 不 幸 があったため 香 典 を1 万 円 ほど 支 給 しました これは 交 際 費 で 問 題 ないでしょうか 資 産 の 贈 与 は 寄 附 金 になるということですので 確 認 させてくだ さい A5 < 取 引 先 に 対 するものは 原 則 交 際 費 > 取 引 先 に 支 出 する 香 典 などの 費 用 は ビジネスに 必 要 なものですので 原 則 として 寄 附 金 にはならず 交 際 費 となります 実 務 上 寄 附 金 と 交 際 費 の 区 分 がよく 問 題 になります 法 人 税 で 問 題 になる 交 際 費 は 交 際 費 接 待 費 機 密 費 その 他 の 費 用 で 法 人 が その 得 意 先 仕 入 先 その 他 事 業 に 関 係 のある 者 等 に 対 する 接 待 供 応 慰 安 贈 答 その 他 これらに 類 する
行 為 のために 支 出 するものをいう とされています 贈 与 とよく 似 た 贈 答 が 交 際 費 に 含 まれま すので 資 産 の 贈 与 として 寄 附 金 になるか 贈 答 として 交 際 費 になるか 実 務 上 問 題 になります 両 者 の 区 分 ですが 原 則 として 支 出 先 がビジネスに 直 接 関 係 がある 者 か 否 かで 判 断 すれば 足 ります このため 事 業 に 直 接 関 係 があるとは 言 い 難 い 社 会 事 業 団 体 政 治 団 体 に 対 する 拠 出 金 神 社 の 祭 礼 等 の 寄 贈 金 などは 原 則 として 交 際 費 にはならず 寄 附 金 に 該 当 します 一 方 で 取 引 先 に 対 する 香 典 は ビジネスに 直 接 関 係 のある 者 に 対 するものですから 原 則 と して 交 際 費 になります Q6 < 個 人 が 負 担 すべき 寄 附 金 > 社 長 の 母 校 から 寄 附 を 求 められましたので 会 社 から 寄 附 金 を 支 出 し 法 人 の 経 費 と して 寄 附 金 の 計 算 も 行 いました しかし 今 回 行 われた 税 務 調 査 で この 寄 附 金 は 社 長 個 人 が 負 担 すべきものなので 役 員 賞 与 に 該 当 し 全 額 経 費 になりません と 言 われました 税 務 署 の 指 導 は 正 しいのでしょうか? A6 < 役 員 賞 与 として 課 税 される 場 合 がある> 社 長 個 人 が 負 担 すべき 寄 附 金 を 法 人 で 支 払 ったのであれば 社 長 個 人 に 法 人 が 役 員 賞 与 を 支 払 い 社 長 が 個 人 で 寄 附 をしたとされ 法 人 の 経 費 にはなりません 社 長 個 人 が 負 担 すべきものかどうか 判 断 が 難 しいですが 寄 附 をした 経 緯 などに 照 らして 判 断 する 必 要 があります 社 長 の 個 人 的 な 関 係 から 社 長 の 母 校 などに 会 社 で 寄 附 を 行 うことがあります 会 社 が 負 担 す べき 寄 附 金 であれば 問 題 はありませんが 会 社 に 直 接 関 係 がなく 社 長 が 個 人 で 負 担 すべきもの と 判 断 される 場 合 があります 仮 に 個 人 が 負 担 すべき 寄 附 金 であれば 法 人 は 寄 附 をする 必 要 はありませんので 法 人 が 社 長 個 人 に 役 員 賞 与 を 支 払 い 社 長 がその 役 員 賞 与 をもとに 個 人 で 寄 附 をしたと 判 断 されることに なります こうなると 寄 附 金 の 支 出 額 は 社 長 への 役 員 賞 与 として 法 人 税 の 経 費 にならず かつ 役 員 賞 与 に 対 する 源 泉 所 得 税 も 追 加 で 納 めなければなりません 寄 附 金 は 見 返 りがない 費 用 ですので 個 人 が 負 担 すべきものかどうか 判 断 に 迷 うことが 非 常 に 多 いです 確 実 なことは 言 い 難 いですが 寄 附 をした 経 緯 が 社 長 や 役 員 の 個 人 的 な 関 係 に 基 づ くものであれば 役 員 賞 与 とされるリスクがあるため 注 意 する 必 要 があります
Ⅱ その 他 の 留 意 点 Q7 < 貸 倒 損 失 と 寄 附 金 > 子 会 社 が 債 務 超 過 に 陥 ったため 子 会 社 に 対 する 貸 付 金 1 億 円 につき 債 権 放 棄 をしま した 債 権 放 棄 をしましたので 当 期 の 決 算 において 貸 倒 損 失 として 全 額 経 費 とし て 落 とそうと 思 っています しかし 当 社 の 顧 問 税 理 士 からこの 債 権 放 棄 は 子 会 社 に 対 する 寄 附 金 に 該 当 し その 貸 倒 損 失 は 税 務 署 から 否 認 される 可 能 性 が 大 きいと 聞 きました 子 会 社 に 対 する 債 権 放 棄 が 寄 附 金 とされないためのポイントについて 教 えてくだ さい A7 < 債 権 放 棄 せざるを 得 ない 合 理 的 理 由 の 有 無 > 子 会 社 などの 事 業 関 係 者 に 対 する 債 権 放 棄 については 親 会 社 などの 安 易 な 節 税 につ ながりやすいこともあり 税 務 署 はかなり 厳 しいチェックを 行 っています 放 棄 した 債 権 について 回 収 可 能 性 があると 判 断 されれば 原 則 としては 子 会 社 に 対 する 利 益 供 与 として 寄 附 金 に 該 当 します 債 権 放 棄 を 行 わざるを 得 なかった という 相 当 の 理 由 を 用 意 する 必 要 があります 法 人 税 は 貸 倒 損 失 の 要 件 が 厳 しいため 貸 倒 損 失 を 計 上 できるかどうか 実 務 ではよく 問 題 に なります 実 務 上 は 貸 倒 損 失 が 認 められる 以 下 の( 図 7)の 書 面 による 債 権 放 棄 等 を 行 った 上 で 貸 倒 損 失 を 計 上 することが 多 いと 言 われます ( 図 7) 書 面 による 債 権 放 棄 等 の 要 件 書 面 による 通 知 内 容 証 明 等 が 望 ましい 書 面 による 債 務 免 除 債 務 者 の 債 務 超 過 が 相 当 期 間 継 続 3~5 年 程 度 が 一 般 的 ( ) ( ) 債 権 が 回 収 不 能 か 否 かを 判 断 するための 期 間 であり 例 外 も 認 められます 原 則 として グループ 会 社 に 対 する 債 権 についても この 書 面 による 債 権 放 棄 を 行 った 上 で
貸 倒 損 失 を 計 上 できます しかし グループ 会 社 に 対 する 債 権 の 貸 倒 れは 親 会 社 などの 安 易 な 節 税 につながる 可 能 性 があるため 厳 しいチェックが 税 務 署 から 行 われることが 通 例 です 仮 に 債 権 放 棄 をした 債 権 について 回 収 可 能 性 がある と 判 断 されれば 原 則 としてそのグループ 会 社 に 対 して 無 償 による 利 益 供 与 を 行 ったとして 寄 附 金 課 税 がなされます 子 会 社 などのグループ 会 社 に 対 する 債 権 放 棄 が 寄 附 金 に 該 当 するかどうか その 判 断 は 非 常 に 難 しいですが 業 績 不 振 のグループ 会 社 に 対 する 金 銭 債 権 については ( 図 8)の 要 件 を 満 たす 場 合 寄 附 金 には 該 当 せず 貸 倒 損 失 とできる という 取 扱 いが 設 けられています ( 図 8) 子 会 社 等 に 対 する 債 権 放 棄 等 が 寄 附 金 とならない 要 件 より 大 きい 損 失 を 回 避 するため やむを 得 ず 行 う 等 の 相 当 の 理 由 があること 寄 附 金 課 税 なし 合 理 的 再 建 計 画 に 基 づくものである 等 債 権 放 棄 を したことについて 相 当 の 理 由 が 認 められること 債 務 超 過 に 陥 った 子 会 社 を 救 済 することは 親 会 社 の 責 務 でもありますので 上 記 の 要 件 を 満 たすような 合 理 的 な 債 権 放 棄 については 寄 附 金 課 税 はされません 相 当 の 理 由 があると 認 めら れるかどうかの 判 断 が 難 しいですが 実 務 上 は( 図 9)のようなポイントから 判 断 することが 多 いと 言 われます ( 図 9) 相 当 の 理 由 の 判 断 項 目 の 一 例 1 経 営 危 機 に 陥 っているか( 倒 産 の 危 機 にあるか) 倒 産 の 危 機 に 至 らないまでも 経 営 成 績 が 悪 いなど 放 置 した 場 合 には 今 後 より 大 きな 損 失 を 蒙 ることが 明 らかであるか 2 債 権 放 棄 等 を 行 う 相 当 な 理 由 があるか 3 債 権 放 棄 等 する 金 額 は 合 理 的 であるか etc... 相 当 の 理 由 があるため 債 権 放 棄 等 をせざるを 得 なかった この 証 明 ができるかがポイントにな りますので 子 会 社 などに 対 して 債 権 放 棄 を 行 う 場 合 には 事 業 関 係 者 の 財 務 資 料 や 今 後 の 経 営 予 測 などの 検 討 資 料 を 整 理 しておく 必 要 があります
Q8 <グループ 会 社 間 の 寄 附 > 顧 問 税 理 士 から グループ 会 社 間 の 寄 附 金 の 取 扱 いが 改 正 されたため グループ 会 社 間 でお 金 を 動 かしやすくなったと 聞 きましたが 具 体 的 にはどのような 取 り 扱 い となっているのでしょうか A8 < 所 定 の 100% 法 人 間 は 無 税 となる> 法 人 間 で 寄 附 を 行 えば 原 則 として 支 出 する 法 人 では 寄 附 金 の 一 部 しか 経 費 になら ず 受 領 する 法 人 では 寄 附 金 の 全 額 が 利 益 になりますので グループ 会 社 間 で 資 金 を 融 通 することは 難 しいと 言 われています ただし 所 定 の 要 件 を 満 たす 100% 法 人 間 の 寄 附 については 支 出 する 法 人 ではその 全 額 が 経 費 にならないものの 受 領 する 法 人 でもその 全 額 が 利 益 になりませんので 法 人 税 の 負 担 がなくなります.... 法 人 が 別 の 法 人 に 寄 附 をする 場 合 原 則 として 寄 附 金 を 支 出 する 法 人 については 一 部 しか経.. 費 にならず 受 領 する 法 人 については 全 額 が 利 益 として 課 税 されます( 図 10 参 照 ) このため 寄 附 金 課 税 の 対 象 になる グループ 会 社 間 で 資 金 を 融 通 することは 難 しいと 言 われています ( 図 10) 法 人 間 の 寄 附 金 の 課 税 関 係 < 支 出 する 法 人 > 100 の 寄 附 < 受 領 する 法 人 > 支 出 した 100 の 一 部 のみ 経 費 になる 受 領 した 100 の 全 額 が 利 益 となる ただし 持 株 会 社 などの 法 人 を 頂 点 とする 100%のグループ 会 社 間 の 寄 附 金 については 以 下 の( 図 11)のような 取 扱 いとなります すなわち 寄 附 金 を 支 出 する 法 人 ではその 全 額 が 経 費 に なりませんが 受 領 する 法 人 でもその 全 額 が 利 益 になりませんので 結 果 として 法 人 税 の 負 担 な く 他 のグループ 会 社 に 資 金 を 融 通 することができます なお この 制 度 については 複 雑 な 部 分 が 多 くありますので 税 理 士 などの 専 門 家 ともよく 相 談 の 上 慎 重 に 検 討 してください
( 図 11) 法 人 を 頂 点 とする 100%グループ 法 人 間 の 寄 附 金 の 課 税 関 係 < 頂 点 となる 法 人 > 100% 100% < 支 出 する 法 人 > 100 の 寄 附 < 受 領 する 法 人 > 支 出 した 100 の 全 額 が 経 費 にならない 受 領 した 100 の 全 額 が 利 益 にならない Q9 < 出 向 と 寄 附 金 課 税 > 当 社 は 取 引 先 のA 社 からの 依 頼 により A 社 の 従 業 員 Bを 出 向 により 受 け 入 れてい ます 従 業 員 Bに 対 する 給 与 は 出 向 元 であるA 社 が 負 担 し 出 向 先 である 当 社 はA 社 に 給 与 負 担 金 を 支 払 っています この 出 向 について 顧 問 税 理 士 から 給 与 負 担 金 の 金 額 によっては 寄 附 金 課 税 され る 可 能 性 があると 説 明 されましたが 具 体 的 な 取 扱 いを 教 えて 下 さい A9 < 給 与 負 担 金 の 金 額 等 を 検 討 する 必 要 がある> 税 務 上 出 向 者 の 給 与 は 出 向 者 が 実 際 に 働 くことになる 出 向 先 法 人 で 負 担 すべきと いう 考 え 方 があります このため 出 向 先 法 人 の 給 与 負 担 金 の 金 額 などによっては 出 向 元 法 人 にお 金 を 贈 与 したとして 寄 附 金 課 税 がなされる 場 合 があります ある 従 業 員 を 他 社 に 出 向 させる 場 合 その 従 業 員 ( 出 向 者 )の 給 与 は 実 際 に 働 く 出 向 先 の 会 社 ( 出 向 先 法 人 )が 負 担 するのではなく 出 向 をさせる 会 社 ( 出 向 元 法 人 )が 負 担 することもあり ます しかし 税 務 上 は 出 向 者 は 給 与 を 貰 う 出 向 元 法 人 ではなく 出 向 先 法 人 で 働 くことにな りますので 原 則 として 出 向 者 が 働 くことになる 出 向 先 法 人 で 給 与 を 負 担 すべきとされます 仮 に 出 向 先 法 人 において 出 向 者 の 給 与 相 当 額 を 負 担 しなければ 出 向 先 法 人 は 出 向 者 からタ ダで 働 いてもらったという 利 益 を 受 けることになりますので 出 向 先 法 人 に 対 し 寄 附 金 課 税 がな
される 場 合 があるとされています この 点 を 踏 まえ 実 務 においては 出 向 先 法 人 は 出 向 元 法 人 に 出 向 者 に 係 る 給 与 負 担 金 を 支 払 うことが 通 例 です( 図 12 参 照 ) ( 図 12) 出 向 と 給 与 負 担 金 出 向 先 法 人 給 与 負 担 金 出 向 元 法 人 労 務 提 供 雇 用 契 約 給 与 等 出 向 者 ただし 出 向 先 法 人 が 給 与 負 担 金 を 負 担 していても 出 向 先 法 人 が 負 担 する 給 与 負 担 金 の 金 額 と 出 向 元 法 人 が 負 担 する 出 向 者 の 給 与 の 金 額 によっては 以 下 の 通 り 寄 附 金 課 税 の 問 題 が 生 じ る 場 合 があります 1 出 向 元 法 人 における 出 向 者 への 給 与 額 > 出 向 先 法 人 の 給 与 負 担 金 給 与 較 差 を 補 てんするために 出 向 元 法 人 が 給 与 負 担 金 よりも 多 く 給 与 を 支 払 う 場 合 など 合 理 的 な 理 由 がある 場 合 を 除 いて 原 則 として 税 務 上 その 差 額 部 分 は 出 向 元 法 人 において 寄 附 金 課 税 の 対 象 とされます 2 出 向 元 法 人 における 出 向 者 への 給 与 額 < 出 向 先 法 人 の 給 与 負 担 金 出 向 者 に 特 殊 能 力 があるため 技 術 指 導 料 を 含 めて 給 与 負 担 金 を 支 払 う 場 合 など 出 向 先 法 人 が 出 向 元 法 人 の 給 与 より 大 きな 金 額 の 給 与 負 担 金 を 支 払 う 合 理 的 な 理 由 がある 場 合 を 除 き 原 則 として 税 務 上 その 差 額 部 分 は 出 向 先 法 人 において 寄 附 金 課 税 の 対 象 とされます 合 理 的 な 理 由 があるかどうかなど 判 断 が 難 しい 場 合 がありますので 出 向 がある 場 合 には 税 理 士 などの 専 門 家 とも 相 談 しながら 寄 附 金 課 税 の 問 題 が 生 じるかどうか 慎 重 に 検 討 する 必 要 があります