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人 々の 嗜 好 を 表 現 するために 選 好 関 係 という 概 念 を 導 入 する 例 えば ビール 杯 とソーセージ6 本 を 食 べるとき a 消 費 点 X = (,6 ) ビール 杯 とソーセージ5 本 を 食 べるとき b 消 費 点 X = (,5) ソーセージ (,6) (,5) 下 戸 君 はビールが 苦 手 である 彼 にとっては X a からの 満 足 感 が X b からの 満 足 感 より 大 きい b a 下 戸 君 は 消 費 点 X よりも 消 費 点 X を 選 好 するという 花 子 さんはビールが 大 好 きである a X からの 満 足 感 よりも X b からの 満 足 感 の 方 が 大 きい a 花 子 さんは 消 費 点 X よりも X b を 選 好 する 消 費 点 間 の 選 好 関 係 は 消 費 者 ごとに 異 なる ビール 学 君 の 消 費 行 動 を 考 える 場 合 は 学 君 の 嗜 好 を 前 提 に 花 子 さんの 消 費 行 動 を 考 える 場 合 は 花 子 さんの 嗜 好 を 前 提 にする 完 備 性 の 公 理 : 各 消 費 点 での 満 足 感 を 比 べることができる a b 消 費 点 X = (,5 ) での 満 足 感 と 消 費 点 X = (,5) での 満 足 感 を 比 べることができる 各 消 費 点 の 比 較 可 能 性 を 仮 定 する 各 消 費 点 が 比 較 可 能 であるとき 各 消 費 点 の 満 足 感 あるいは 効 用 を 測 ることができる すべての 消 費 点 に 効 用 の 大 きさを 対 応 づけることができる 消 費 点 に 対 して その 効 用 の 大 きさを 対 応 づける 関 数 = 効 用 関 数 という 効 用 関 数 を と 表 現 する 例 えば 消 費 点 に 対 応 する 効 用 は 消 費 点 に 対 応 する 効 用 は a X からの 効 用 が X b からの 効 用 より 大 きい 場 合 a X からの 効 用 と X b からの 効 用 が 同 じ 場 合

a X からの 効 用 が X b からの 効 用 より 小 さい 場 合 の3つのケースのいずれかに 分 けることができる a X からの 効 用 = X b a からの 効 用 のとき 消 費 計 画 X と X b は 無 差 別 であるという b a X =(,5)におけるビールの 消 費 量 > 消 費 計 画 X =(,5)におけるビールの 消 費 量 ビールが 好 きな 人 にとっては ビールの 消 費 量 が 多 いほど 効 用 は 大 きい X b は X a よりも 選 好 される 選 好 関 係 は 消 費 量 の 大 小 に 依 存 する 単 調 性 ( 不 飽 和 )の 公 理 : a b a b x x, x x < のとき 財 両 方 の 消 費 量 が 共 に 多 くなるとき もしくは どちらかの 財 の 消 費 量 が 多 くなり かつ 他 方 の 財 の 消 費 量 が 変 化 しないとき 効 用 は 増 加 する a X =(,3) X b =(,5)のとき の 方 がソーセージの 消 費 量 は 多 いので よりも が 選 好 される ソーセージ (,) ビール 単 調 性 ( 不 飽 和 律 )が 成 立 するモノ= 財 (goods)と 呼 ぶ 財 の 消 費 では 消 費 量 が 増 えれば 効 用 は 増 大 する 消 費 量 が 増 えると 効 用 が 低 下 するモノ= 負 の 財 (bads)と 呼 ぶ 例 えば 公 害 や 労 苦 は 負 の 財 推 移 律 の 公 理 : X b は X a よりも 選 好 され X c は よりも 選 好 されているとき X c は よりも 選 好 される 例 えば =(,3) =(,5) X c =(3,6)であるとき 不 飽 和 律 の 公 理 から が よりも 選 好 され X c が よりも 選 好 される c X は よりも 選 好 される 凸 性 の 公 理 : c 消 費 平 面 に 異 なる 点 と を 取 り その 点 を 結 ぶ 直 線 上 にある 消 費 計 画 X をとるとき 3

c X は および よりも 選 好 される 例 えば 二 つの 消 費 点 (,4)と(4,)を 消 費 点 (.5,.5)と 比 べたとき 後 者 の 効 用 の 方 が 大 きい 図.3を 参 照 せよ ビール 杯 とソーセージ4 本 を 消 費 するよりも ビールとソーセージをバラ ンスよく 消 費 するほうが 効 用 が 大 きくなることを 表 している ソーセージ (,4) (.5,.5) (4,) ビール 効 用 最 大 化 行 動 を 考 察 するにあたって 完 備 性 単 調 性 ( 不 飽 和 律 ) 3 推 移 律 4 凸 性 の 公 理 を 満 たすと 仮 定 する 明 示 されなかった 仮 定 : 消 費 量 はいくらでも 小 さく 分 割 することができる 無 差 別 曲 線 (indifference curve)= 互 いに 無 差 別 であるような 消 費 点 の 集 まり( 集 合 ) 消 費 点 X を 通 る 無 差 別 曲 線 : I ( X ) と 表 記 する 消 費 点 X を 通 る 無 差 別 曲 線 I ( X ) の 数 学 的 定 義 : 無 差 別 曲 線 I ( X ) 上 のすべての 消 費 点 の 効 用 = 消 費 点 X の 効 用 選 好 関 係 が 上 で 説 明 した4つの 公 理 を 満 たすとき 無 差 別 曲 線 は 非 常 に 素 直 な4つの 性 質 を 持 つことになる 第 一 の 性 質 : () 無 差 別 曲 線 は 右 下 がりである 4

ハンバーガー ( 証 明 ) X を 通 る 無 差 別 曲 線 I ( X ) は 右 上 がりであると 仮 定 する X の 右 上 方 に 位 置 し かつ 無 差 別 曲 線 上 にあるような 消 費 点 が 存 在 する 図.4を 見 よ 単 調 性 の 公 理 より X よりも が 選 好 される が 無 差 別 曲 線 I ( X ) 上 に 位 置 する 仮 定 と 矛 盾 する したがって 無 差 別 曲 線 は 右 下 がりでなけ ればならない おにぎり 第 の 性 質 : () 無 差 別 曲 線 は 互 いに 交 差 しない ( 証 明 ) 本 の 無 差 別 曲 線 がX o で 交 差 していると 仮 定 する これらの 無 差 別 曲 線 をそれぞれI ( X ) と Iʹ ( X ) とする 図.5のように 無 差 別 曲 線 I ( X ) 上 に を 無 差 別 曲 線 Iʹ ( X ) 上 に X b を 取 る X b を と の 右 上 方 にとることができる 推 移 律 の 公 理 から X b は 無 差 別 である 不 飽 和 律 より b X は よりも 選 好 される これは 矛 盾 である したがって 無 差 別 曲 線 は 交 差 しない ハンバーガー おにぎり 第 3の 性 質 :(3) 無 差 別 曲 線 は 原 点 に 対 して 凸 である 5

ハンバーガー おにぎり ( 証 明 )は 本 の 無 差 別 曲 線 上 に 異 なる 消 費 点 と X b をとる 図.6を 見 よ 凸 性 の 公 理 から と X b を 結 ぶ 直 線 上 のすべての 点 は と X b よりも 選 好 される したがって および X b と 無 差 別 な 消 費 点 は と X b を 結 ぶ 直 線 よりも 原 点 側 に 位 置 する と X b は 任 意 にとることができるので 無 差 別 曲 線 上 の 任 意 の 点 と 無 差 別 な 消 費 点 は こ の 点 を 結 ぶ 直 線 よりも 原 点 側 に 位 置 する よって 無 差 別 曲 線 は 原 点 に 対 して 凸 である 第 4の 性 質 : (4) 右 上 方 に 位 置 する 無 差 別 曲 線 上 の 消 費 点 ほど 効 用 が 大 きい ( 証 明 ) 単 調 性 の 公 理 から 明 らかである ハンバーガー パスタ ハンバーガーとフライドチキンの 消 費 量 がともに 多 くなれば 満 足 感 はより 高 くなる だからよ り 高 い 満 足 感 に 対 応 する 無 差 別 曲 線 はより 右 上 方 に 位 置 する 図.7を 見 よ 以 上 のことをまとめると 通 常 無 差 別 曲 線 は 以 下 のような 性 質 を 持 っている () 無 差 別 曲 線 は 右 下 がりである () 無 差 別 曲 線 は 互 いに 交 差 しない (3) 無 差 別 曲 線 は 原 点 に 凸 な 曲 線 となっている (4) 右 上 方 に 位 置 する 無 差 別 曲 線 ほどより 大 きな 効 用 に 対 応 する 6

第 財 :ハンバーガー 第 財 :フライドチキン 消 費 点 X = ( x, ) x 無 差 別 曲 線 に 沿 って ハンバーガーの 消 費 量 をΔx だけ 増 加 すると フライド チキンの 消 費 量 は Δx 変 化 する 消 費 点 A 点 からB 点 への 移 動 ハンバーガーの 消 費 量 = x + Δx ( Δx > ) フライドチキンの 消 費 量 = x + Δ ( Δx ) 無 差 別 曲 線 は 右 下 がりより x < フライドチキン A B ハンバーガー ハンバーガーの 消 費 を 追 加 的 に 単 位 増 加 させるとき 効 用 を 変 化 させないために 犠 牲 にされるフライドチキンの 量 =ハンバーガー( 第 財 )のフライドチキン( 第 財 )に 対 する 限 界 代 替 率 限 界 代 替 率 =フライドチキンの 量 で 表 現 したハンバーガー 単 位 の 価 値 ハンバーガーのフライドチキンに 対 する 限 界 代 替 率 MRS(marginal rate of substitution) Δx MRS = > Δx 厳 密 には 限 界 代 替 率 はΔx を 限 りなくゼロに 近 づけたときの 極 限 値 限 界 代 替 率 は 無 差 別 曲 線 の 接 線 の 傾 きの 絶 対 値 である dx MRS = dx ハンバーガーの 消 費 量 が 増 加 するにつれて 無 差 別 曲 線 の 接 線 の 傾 きは 小 さくなる 限 界 代 替 率 は 逓 減 する 限 界 代 替 率 逓 減 の 法 則 という 問 題 : () 右 足 用 の 靴 と 左 足 用 の 靴 からなる 消 費 平 面 に 無 差 別 曲 線 を 描 け () 紅 茶 とクッキーの 消 費 比 率 が 常 に 対 という 割 合 で 消 費 する 家 計 の 無 差 別 曲 線 を 描 け 7

. 効 用 関 数 と 限 界 効 用 第 財 (パン) 第 財 (パスタ) パンとパスタの 消 費 がともに 増 加 すれば 効 用 値 は 上 昇 する パスタの 消 費 量 を 一 定 例 えば に 固 定 したとき パンの 消 費 量 が 増 加 するならば 効 用 値 はどうなるであろうか? 単 調 性 の 公 理 から 効 用 値 は 単 調 に 増 加 する 図.にその 様 子 が 描 かれている 例 えば パンを 斤 とパスタを 皿 消 費 している パンをもう 斤 余 分 に 食 べると 効 用 が 増 大 する この 効 用 の 増 加 分 をパンの 限 界 効 用 (marginal utility: 略 称 MU )という パンの 消 費 量 が のとき 効 用 値 パンの 消 費 が からx + Δx に 変 化 したとき 効 用 値 u = u( x + Δx, x ) 効 用 値 の 増 大 分 効 用 値 u u x x Δu = u u u = u( x, x ) u(x,x ) パン パンの 限 界 効 用 MU u = Δ Δx Δx の 値 を 無 限 に 小 さくしたときの 極 限 値 MU u x x = (, ) x 厳 密 な 定 義 消 費 点 X o におけるパンの 限 界 効 用 = 効 用 関 数 の 消 費 点 X o での 接 線 の 傾 き 第 財 (パスタ)の 限 界 効 用 MU も 同 じように 定 義 される パンの 消 費 量 を 変 化 させないで パスタの 消 費 がΔx だけ 増 加 するときの 効 用 の 増 加 分 Δu = u( x, x + Δx ) u( x, x ) パスタの 限 界 効 用 =パンの 消 費 量 を 固 定 しておいて パスタを 追 加 的 にもう 皿 余 分 に 消 費 する ときの 効 用 の 増 加 分 u 限 界 効 用 MU = Δ Δx 注 意 :ある 消 費 点 と 他 の 消 費 点 とを 比 べてどちらが 選 好 されるかが 問 題 であるので 効 用 値 の 大 小 関 係 に 意 味 があるのであって 効 用 値 の 絶 対 的 な 値 そのものには 意 味 がない しかし 限 界 効 用 の 値 そのものには 意 味 がないが パンの 限 界 効 用 値 と 衣 服 の 限 界 効 用 値 との 間 の 大 小 関 係 には 8

経 済 的 な 意 味 がある 例 えば パンとパスタが 同 じ 価 格 で 追 加 的 に 単 位 を 購 入 する 資 金 があるとき パンの 限 界 効 用 値 がパスタの 限 界 効 用 値 よりも 大 きいならば パンを 購 入 しようとするだろう 限 界 代 替 率 は 限 界 効 用 と 無 関 係 であろうか 次 の 定 理 は 限 界 代 替 率 と 限 界 効 用 との 関 係 を 表 している MRS = 第 財 の 限 界 効 用 第 財 の 限 界 効 用 ( 証 明 ) 無 差 別 曲 線 上 でパンを Δx ( > ) 単 位 変 化 させると パスタは Δx ( < ) 単 位 変 化 する パン 単 位 を 増 加 させるときの 効 用 の 上 昇 分 はパスタの 限 界 効 用 =MU パスタを 単 位 を 増 加 させるときの 効 用 の 上 昇 分 はパンの 限 界 効 用 =MU パンが Δx ( > ) 単 位 変 化 するとき 効 用 の 変 化 分 = MU Δx パスタが Δx ( < ) 単 位 変 化 するとき 効 用 の 変 化 分 = MU Δx 無 差 別 曲 線 上 でワインとパンの 消 費 量 を 変 化 させているから 効 用 値 は 一 定 である MU Δx + MU Δx = Δx MU よって = Δx MU ( 証 明 終 ) 第 財 : そば 第 財 : うどん そばの 限 界 効 用 がうどんの 限 界 効 用 に 比 べて 大 きくなればなるほど そばのうどんに 対 する 限 界 代 替 率 は 大 きくなる 関 西 人 は 関 東 人 に 比 較 して そばよりもうどんをよく 食 べる 関 東 人 がそば 杯 と 交 換 しても 良 いとするうどんの 量 > 関 西 人 がそば 杯 と 交 換 しても 良 いとするうどんの 量 つまり そばのうどんに 対 する 限 界 代 替 率 は 関 西 人 よりも 関 東 人 の 方 が 大 きい うどん 関 西 人 関 東 人 そば 問 題 : 朝 食 にパン 食 を 食 べる 家 計 と ご 飯 を 食 べる 家 計 とを 比 較 してみよう パンの 限 界 効 用 と 9

ご 飯 の 限 界 効 用 との 比 率 は どちらの 家 計 の 方 が 大 きいか 議 論 せよ 3 / 3 問 題 : 効 用 関 数 が u ( x, x = x / x である 消 費 点 (,)における 第 財 と 第 財 の 限 界 効 ) 用 および 限 界 代 替 率 を 求 めなさい / 問 題 : 効 用 関 数 が u ( x, x = x / x である 消 費 点 (,4)における 第 財 と 第 財 の 限 界 効 ) 用 および 限 界 代 替 率 を 求 めなさい.3 予 算 制 約 式 第 財 :ハンバーガー 数 量 x 価 格 p 第 財 :カレー 数 量 x 価 格 p 花 子 さんは 週 間 に 使 える 昼 食 代 としてm 円 ( 例 えば 万 円 )を 用 意 している 週 間 に 食 べられるハンバーガーとカレーの 消 費 量 は p x + px m 予 算 制 約 式 という 予 算 制 約 式 ( 等 式 )のグラフは 右 下 がりの 直 線 予 算 ( 制 約 ) 線 この 直 線 上 のどのような 組 み 合 わせでも 購 入 することができる 予 算 ( 制 約 ) 線 の 傾 きは= p / p 横 軸 切 片 = m / p 縦 軸 切 片 = m / p 例 :P= 円 Q= 円 m= 円 のとき 予 算 制 約 式 は x + x = 予 算 制 約 線 と 縦 軸 横 軸 で 囲 まれた 領 域 を 実 行 可 能 な 消 費 領 域 という カレー 5 予 算 線 実 行 可 能 な 消 費 領 域 5 ハンバーガー 所 得 mが 拡 大 すると 予 算 線 は 右 方 向 に 平 行 移 動 する 実 行 可 能 な 消 費 領 域 が 拡 大 する 例 : 所 得 が4 円 に 増 加 予 算 制 約 式 x + x 4 =

カレー 7 5 実 行 可 能 な 消 費 領 域 の 拡 大 5 7 ハンバーガー ハンバーガー 価 格 が 上 昇 すると 予 算 線 の 傾 き(の 絶 対 値 )が 大 きくなる( 横 軸 切 片 が 縮 小 ) 価 格 の 上 昇 は 実 行 可 能 な 消 費 領 域 を 縮 小 する 例 :ハンバーガーの 価 格 が5 円 に 上 昇 予 算 制 約 式 x + x カレー 5 = 5 実 行 可 能 消 費 領 域 の 縮 小 4 5 ハンバーガー 問 題 :カレーの 価 格 がからに 下 落 するときには 実 行 可 能 な 消 費 領 域 はどのようになるで しょうか グラフを 描 いて 説 明 せよ.4 消 費 点 の 決 定 花 子 さんが 消 費 しようとするハンバーガーとカレーの 消 費 点 = 実 行 可 能 な 消 費 領 域 の 中 で 効 用 を 最 大 にする 点 実 行 可 能 な 消 費 領 域 の 中 で 効 用 を 最 大 にする 点 = 予 算 制 約 線 と 無 差 別 曲 線 が 接 する 点 A 点 Bで 消 費 するときの 効 用 < 点 Aでの 効 用

カレー 5 B 無 差 別 曲 線 A C 予 算 線 O ハンバーガー なぜなら 点 Bを 通 る 無 差 別 曲 線 は 点 Aを 通 る 無 差 別 曲 線 よりも 左 下 に 位 置 する 点 Cを 通 る 無 差 別 曲 線 は 点 Aを 通 る 無 差 別 曲 線 よりも 右 上 に 位 置 する 点 Cは 実 行 不 可 能 である 点 Aでは 無 差 別 曲 線 の 接 線 が 予 算 制 約 線 と 一 致 している 無 差 別 曲 線 の 接 線 の 傾 き= 第 財 と 第 財 との 価 格 比 無 差 別 曲 線 の 接 線 の 傾 き= 限 界 代 替 率 MRS よって 最 適 消 費 点 では 第 財 の 第 財 に 対 する 限 界 代 替 率 = 第 財 の 価 格 / 第 財 の 価 格 p MRS = p 点 Aは 予 算 線 上 にあるから 予 算 制 約 式 が 等 号 で 成 立 している p x p x = m + したがって 効 用 最 大 化 点 ( 最 適 消 費 点 )では 以 下 の 二 つの 条 件 が 同 時 に 成 立 している p MRS = p p x + p x = m これらの 条 件 を 満 たすような 消 費 計 画 ( x *, x * ) がハンバーガーとカレーの 最 適 な 消 費 計 画 ( 需 要 量 )である 消 費 量 は 財 の 価 格 p p と 所 得 mに 依 存 している 価 格 が 変 化 するか または 所 得 が 変 化 すれば 最 適 消 費 点 は 移 動 する 限 界 代 替 率 = 第 財 の 限 界 効 用 と 第 財 の 限 界 効 用 との 比 率 MU p MU MU = = MU p p p 左 辺 =ハンバーガーの 限 界 効 用 /ハンバーガーの 価 格 右 辺 =カレーの 限 界 効 用 /カレーの 価 格 左 辺 = 円 で 購 入 できるハンバーガーの 消 費 から 得 られる 効 用 の 増 加 分 右 辺 = 円 で 購 入 できるカレーの 消 費 から 得 られる 効 用 の 増 加 分 左 辺 > 右 辺 ならば

円 で 購 入 できるハンバーガーの 消 費 から 得 られる 効 用 の 増 加 分 > 円 で 購 入 できるカレーの 消 費 から 得 られる 効 用 の 増 加 分 円 分 のカレーの 代 わりにハンバーガーを 買 えば 効 用 が 増 加 する 効 用 を 増 加 させる 余 地 が 残 っている この 場 合 効 用 は 最 大 化 されていない 反 対 に 左 辺 が 右 辺 よりも 小 さいときにも 同 じ 論 理 によって 効 用 は 最 大 化 されていない よって 効 用 が 最 大 化 されるのは 左 辺 と 右 辺 が 等 しいときである 3 / 3 問 題 : 効 用 関 数 が u ( x, x = x / x である ハンバーガーの 価 格 が 円 フライドチキン ) の 価 格 が 円 所 得 が 円 である 最 適 消 費 点 を 求 め それを 図 示 しなさい / 問 題 : 効 用 関 数 が u ( x, x = x / x である ハンバーガーの 価 格 が 円 フライドチキン ) の 価 格 が 円 所 得 が 円 である 最 適 消 費 点 を 求 め それを 図 示 しなさい 所 得 や 価 格 が 変 化 するとき 消 費 点 はどのように 変 化 するでしょうか? ハンバーガーの 価 格 が 上 昇 して 例 えば 円 から5 円 になったとする 予 算 制 約 式 x + x 5 = 縦 軸 の 切 片 は 変 化 しない 横 軸 の 切 片 は4になる 直 線 の 傾 きが 急 になる カレーの 量 無 差 別 曲 線 ハンバーガー ハンバーガーの 価 格 の 上 昇 によって 需 要 量 が 低 下 価 格 の 変 化 に 応 じて 需 要 量 が 変 化 需 要 曲 線 が 導 出 される このときの 与 件 ( 他 の 事 情 )はカレーの 価 格 と 週 間 分 の 昼 食 代 3

ハンバーガーの 価 格 5 ハンバーガーの 需 要 曲 線 ハンバーガーの 数 量 市 場 に 参 加 する 消 費 者 個 人 の 需 要 量 をすべて 合 計 した 量 = 市 場 需 要 量 市 場 需 要 量 と 価 格 との 関 係 = 市 場 需 要 曲 線 市 場 需 要 曲 線 = 各 消 費 者 の 需 要 曲 線 をパスタ 平 に 足 し 合 わせたもの 他 の 事 情 が 変 化 すれば ハンバーガーの 需 要 曲 線 は 影 響 を 受 ける 例 えば 所 得 が 以 前 よりも 増 大 すれば すべての 価 格 パスタ 準 に 対 する 需 要 量 は 増 大 する ハンバーガーの 需 要 曲 線 は 右 方 向 に 移 動 する カレーの 価 格 が 上 昇 するとき ハンバーガーの 価 格 が 相 対 的 に 低 下 ハンバーガーの 消 費 量 が 増 加 するかもしれない ハンバーガーの 需 要 曲 線 は 右 方 向 に 移 動 する 3 / 3 問 題 : 効 用 関 数 が u ( x, x = x / x である 所 得 が 円 ハンバーガーの 価 格 が 円 ) で フライドチキンの 価 格 が 円 から5 円 に 上 昇 するとき 最 適 消 費 点 はどのように 変 化 する でしょうか それを 図 示 しなさい / 問 題 : 効 用 関 数 が u ( x, x = x / x である ハンバーガーの 価 格 が 円 フライドチキン ) 緒 価 格 が 円 で 所 得 が 円 から 円 に 増 加 するとき 最 適 消 費 点 はどのように 変 化 する でしょうか それを 図 示 しなさい.4 代 替 効 果 と 所 得 効 果 第 財 : 米 第 財 :パスタ 米 の 価 格 = p パスタの 価 格 = p 所 得 が m のとき 予 算 線 p x + px = m 消 費 点 =A 点 ( x, x ) 所 得 が 増 加 して m = m ( > m ) になるとき 予 算 線 p x + px = m 価 格 比 は 変 化 していないので 予 算 線 の 傾 きは 同 じ 予 算 線 は 右 上 方 に 平 行 移 動 その 結 果 購 買 可 能 な 消 費 領 域 が 拡 大 して 消 費 点 は 点 Bに 移 動 ( x, ) x 4

パスタ 所 得 消 費 曲 線 m /p m /p B A 45 m /p m /p 所 得 消 費 曲 線 のグラフ 米 所 得 ががさらに 増 加 して m となったとする 予 算 線 がさらに 右 上 方 に 平 行 移 動 消 費 点 は 新 しい 予 算 線 上 の 点 に 移 動 所 得 が 変 化 すると それに 伴 って 消 費 点 が 移 動 する この 消 費 点 の 移 動 の 軌 跡 = 所 得 消 費 曲 線 という 所 得 消 費 曲 線 をエンゲル 曲 線 に 分 解 エンゲル 曲 線 は 財 とも 右 上 がり: 所 得 が 増 加 すると 消 費 量 が 増 大 米 のエンゲル 曲 線 の 傾 きは45 度 よりも 小 さいが パスタのエンゲル 曲 線 の 傾 きは45 度 よりも 大 きい 米 は 必 需 品 である 所 得 が 上 昇 したからといって 消 費 が 急 激 に 拡 大 しない パスタは 奢 侈 品 である 所 得 の 変 化 に 敏 感 に 反 応 する 所 得 が% 上 昇 したとき 消 費 量 が 何 % 変 化 するかという 指 標 = 需 要 の 所 得 弾 力 性 という 必 需 品 の 所 得 弾 力 性 は 通 常 小 さく 嗜 好 品 の 所 得 弾 力 性 は 大 きい 米 の 消 費 量 パスタの 消 費 量 m m 所 得 m m 所 得 米 や 醤 油 のような 食 料 品 : 所 得 弾 力 性 は 小 さい 海 外 旅 行 やブランド 品 : 所 得 弾 力 性 は 大 きい 5

ある 財 への 支 出 額 を 所 得 で 割 った 値 =エンゲル 係 数 米 の 価 格 米 の 消 費 量 米 のエンゲル 係 数 = 総 支 出 額 所 得 弾 力 性 がよりも 大 きい 財 : 所 得 の 増 加 に 伴 って エンゲル 係 数 が 上 昇 所 得 弾 力 性 がよりも 小 さい 必 需 品 など: 所 得 の 増 加 に 伴 って エンゲル 係 数 は 低 下 所 得 弾 力 性 が 正 の 値 をとる 財 = 正 常 財 あるいは 上 級 財 という 所 得 が 増 加 するとき 消 費 量 が 減 少 するような 財 = 下 級 財 あるいは 劣 等 財 という 日 本 人 の 所 得 が 上 昇 するにつれて 米 消 費 のエンゲル 係 数 は 低 下 している パスタなどの 消 費 量 は 増 加 している 米 はパスタに 対 して 下 級 財 であるという 所 得 が 上 昇 するとき イタリア 料 理 の 消 費 額 は 増 加 するが 牛 丼 の 消 費 量 が 低 下 するならば イタリア 料 理 に 対 して 牛 丼 は 下 級 財 である 例 : 欧 米 への 海 外 旅 行 に 対 して 国 内 温 泉 旅 行 は 下 級 財 である 下 級 財 が 存 在 すれば 必 ず 他 の 財 は 上 級 財 である 例 : 冷 凍 食 品 とフランス 料 理 を 消 費 するとき 一 方 が 下 級 財 であれば 他 方 の 財 は 必 ず 正 常 財 代 替 効 果 と 所 得 効 果 価 格 が 変 化 するとき 消 費 量 がどのように 変 化 するのかを 考 察 する パン( 第 財 ) パスタ 第 財 ) 所 得 mとパスタの 価 格 p は 変 化 しないとする パンの 価 格 がp のとき 予 算 制 約 式 は 最 適 消 費 点 は 図 4.3の 点 A p x + p x = m p p パンの 価 格 が から に 低 下 したとしよう 予 算 線 の 横 軸 切 片 が 右 方 に 移 動 する 購 買 可 能 領 域 が 拡 大 し 消 費 点 は 点 Bになる p p さらにパンの 価 格 が から へと 低 下 する 消 費 点 は 点 Cに 移 動 する 6

水 m/p 価 格 消 費 曲 線 A B C m/p m/p m/p お 茶 図 4.3 価 格 消 費 曲 線 消 費 点 A,B,Cを 結 ぶ 曲 線 = 価 格 消 費 曲 線 という パンの 価 格 変 化 に 伴 う 消 費 点 の 移 動 の 軌 跡 パンの 価 格 が 下 落 するとき 消 費 点 が 点 Aから 点 Bに 移 動 し パンの 消 費 量 は 拡 大 し パスタの 消 費 量 は 減 少 する パンの 価 格 低 下 =パスタの 価 格 に 対 するパンの 価 格 の 比 率 (パンの 相 対 価 格 )が 低 下 予 算 線 の 勾 配 が 緩 やかになる パンの 相 対 価 格 が 低 下 すること=パンの 消 費 がパスタに 比 べて 割 安 になること 安 くなったパンの 消 費 を 拡 大 し 相 対 的 に 高 くなったパスタの 消 費 を 縮 小 する パスタの 消 費 をパンの 消 費 によって 代 替 する これを 代 替 効 果 という パンの 価 格 が 低 下 すること= 同 じ 所 得 で 以 前 よりも 多 くのパンが 購 入 できること 実 行 可 能 な 消 費 領 域 が 拡 大 する 実 質 所 得 が 上 昇 したような 効 果 をもたらす この 効 果 を 所 得 効 果 という 相 対 価 格 の 変 化 に 伴 う 消 費 量 の 変 化 = 代 替 効 果 + 実 質 所 得 の 変 化 による 消 費 量 の 変 化 = 所 得 効 果 パンの 価 格 の 変 化 による 消 費 量 の 変 化 = 代 替 効 果 + 所 得 効 果 数 式 表 現 したものがスルツキー 方 程 式 dx x x = ( ) u= const + ( ) x dp p m 例 では パンの 需 要 曲 線 は 右 下 がりになる 7

パンの 価 格 パンの 需 要 曲 線 パンの 消 費 量 しかし 需 要 曲 線 が 常 に 右 下 がりになることは 理 論 的 には 保 証 されない 理 論 上 需 要 曲 線 が 部 分 的 に 右 上 がりとなる 可 能 性 が 存 在 する 右 上 がりとなる 範 囲 では 価 格 の 上 昇 に 伴 って 消 費 量 が 増 加 する ギッフェン パラドックスという ギッフェン パラドックスを 示 す 財 をギッフェン 財 という ギッフェン パラドックスは 理 論 的 な 可 能 性 パスタ A C B 図 4.4 代 替 効 果 と 所 得 効 果 パン パンの 価 格 がp からp に 低 下 するとき 消 費 点 が 点 Aから 点 Bに 移 動 する パンの 消 費 量 は 拡 大 し パスタの 消 費 量 も 増 加 する 点 Aの 座 標 ( x, x ) 点 Bの 座 標 ( x, x ) 実 質 所 得 が 変 化 せずにパンの 相 対 価 格 だけが 変 化 したときの 効 果 : 実 質 所 得 を 効 用 パスタ 準 で 測 ることにすれば 実 質 所 得 が 変 化 しないという 条 件 = 相 対 価 格 変 化 後 の 消 費 点 が 点 Aを 通 る 無 差 別 曲 線 上 に 位 置 する 条 件 消 費 点 Cでは パンのパスタに 対 する 限 界 代 替 率 =パンの 相 対 価 格 8

無 差 別 曲 線 の 接 線 の 傾 き= 価 格 比 p / p s s 点 Cの 座 標 ( x, x ) 補 償 需 要 量 という 補 償 需 要 関 数 (ヒックス) マーシャル 点 Aから 点 Cへの 移 動 =パンの 相 対 価 格 の 低 下 による 代 替 効 果 の 大 きさ 代 替 効 果 の 大 きさは s s Δx = x x s s Δx = x x パンの 相 対 価 格 の 低 下 代 替 効 果 はパンの 消 費 量 を 拡 大 し パスタの 消 費 量 を 縮 小 無 差 別 曲 線 が 原 点 に 凸 である 限 り この 結 論 は 成 立 する 相 対 的 に 安 くなった 財 の 消 費 を 拡 大 し 相 対 的 に 高 くなった 財 の 消 費 を 減 少 させる 消 費 点 Cと 消 費 点 Bでの 相 対 価 格 は 同 じであるから 消 費 点 Cから 消 費 点 Bへの 移 動 = 所 得 の 変 化 による 効 果 所 得 効 果 所 得 効 果 の 大 きさは I s Δx = x x I Δx = x x s パン 価 格 の 低 下 は 購 買 可 能 領 域 を 拡 大 するので 実 質 所 得 を 増 大 させる 財 が 正 常 財 であれば 所 得 の 増 大 はその 財 の 消 費 量 を 増 大 させる パンとパスタが 正 常 財 であれば ともに 消 費 量 は 拡 大 する パンが 下 級 財 であるならば 所 得 増 大 はパンの 消 費 量 を 低 下 させる パン 価 格 の 低 下 に 伴 う 所 得 効 果 は パンの 消 費 量 を 低 下 させ パスタの 消 費 量 を 増 大 させる パンの 価 格 が 上 昇 したときには 実 質 所 得 が 減 少 する パンが 正 常 財 であれば 所 得 効 果 は パン 消 費 量 を 低 下 させるように 働 く もしパンが 下 級 財 であるならば 所 得 効 果 はパンの 消 費 量 を 増 大 させるように 働 く 財 がともに 正 常 財 であるとき:パンの 価 格 が 低 下 した 実 質 所 得 は 増 大 する 所 得 効 果 はパンとパスタの 消 費 量 を 共 に 増 加 させる 代 替 効 果 はパンの 消 費 を 増 大 させ パスタの 消 費 を 減 少 させる パン 価 格 の 低 下 による 消 費 量 の 総 変 化 = 代 替 効 果 と 所 得 効 果 の 和 パン 価 格 の 低 下 はパンの 消 費 量 を 増 大 させる パンの 需 要 曲 線 が 右 下 がりになる パン 価 格 の 低 下 はコーヒーの 消 費 量 を 減 少 させるか? パスタの 消 費 量 において 代 替 効 果 > 所 得 効 果 < パスタ 消 費 量 が 増 大 するかどうかは 一 般 的 には 不 確 定 パンが 下 級 財 であるとき:パンの 価 格 が 低 下 した 所 得 効 果 はパンの 消 費 量 を 低 下 させ パスタの 消 費 量 を 増 加 させる 代 替 効 果 はパンの 消 費 を 増 大 させ パスタの 消 費 を 減 少 させる パン 価 格 の 低 下 がパンの 消 費 量 を 増 加 させるのか 不 確 定 所 得 効 果 が 代 替 効 果 よりも 大 きければ パンの 消 費 量 は 減 少 需 要 曲 線 が 右 上 がりの 部 分 を 持 つ ギッフェン パラドックスが 生 じる 9

ギッフェン パラドックス: 下 級 財 であり 所 得 効 果 が 代 替 効 果 を 優 越 するときに 起 こる 財 モデルでは 一 方 の 財 価 格 の 上 昇 による 代 替 効 果 は 他 方 の 財 の 消 費 量 を 拡 大 させる 例 :うどんとそばのモデル うどんの 価 格 が 上 昇 するとき 代 替 効 果 は うどんの 需 要 量 を 縮 小 させ そばの 需 要 量 を 拡 大 するように 働 く 3 財 以 上 の 世 界 : ガソリンの 価 格 が 上 昇 するとき ガソリンを 燃 料 とする 自 動 車 の 需 要 量 は 減 少 する ある 財 の 価 格 が 上 昇 するとき 需 要 量 が 減 少 する 他 の 財 を 補 完 財 という ガソリンと 自 動 車 は 補 完 財 の 関 係 にある パンとバター カメラとフィルムなどは 補 完 財 の 例 ある 財 の 価 格 の 上 昇 が 他 の 財 の 需 要 量 を 拡 大 するようなとき 代 替 財 という 例 えば コーヒーと 紅 茶 石 油 と 石 炭 自 動 車 と 鉄 道 などである 代 替 財 の 関 係 にある 財 3 / 3 問 題 : 効 用 関 数 が u ( x, x = x / x である 所 得 が 円 であるとき 所 得 消 費 曲 線 を 求 ) め それを 図 示 しなさい / 問 題 : 効 用 関 数 が u ( x, x = x / x である 所 得 が 円 であるとき 価 格 消 費 曲 線 を 求 ) め それを 図 示 しなさい 問 題 : 家 計 の 効 用 関 数 がu( x, x ) = x x + x である 所 得 消 費 曲 線 を 求 めよ 問 題 : 効 用 関 数 がu( x, x ) = x x + x であるとき 価 格 消 費 曲 線 を 求 めよ 問 題 : 財 ( 紅 茶 とコーヒー)モデルにおいて コーヒーの 価 格 が 上 昇 するとき 紅 茶 とコーヒ ーの 消 費 量 がどのように 変 化 するか 代 替 効 果 と 所 得 効 果 に 基 づいて 議 論 しなさい

. 消 費 理 論 の 応 用. 貯 蓄 と 利 子 率 今 期 と 来 期 という 期 間 にわたる 消 費 パターン 経 済 には 種 類 の( 合 成 ) 消 費 財 だけが 存 在 し その 価 格 がである ( 今 期 から 来 期 にかけて 価 格 は 変 化 しない) 今 期 の 所 得 =Y 来 期 の 所 得 = Y 今 期 所 有 の 金 融 資 産 ( 例 えば 親 からの 遺 産 )= A 今 期 から 来 期 に 持 ち 越 す 金 融 資 産 = A 来 期 から 再 来 期 に 持 ち 越 す 金 融 資 産 = A 今 期 の 消 費 = C 来 期 の 消 費 = C 資 金 市 場 のける 利 子 率 =r 今 期 の 予 算 制 約 式 今 期 の 貯 蓄 S 来 期 の 予 算 制 約 式 C + A = Y + ( + r) A S = A = Y + ( + r) A C C + A = Y + ( + r) A A この 式 から を 消 去 すると C Y A C + = Y + + A + r + r + r 左 辺 = 期 間 にわたる 消 費 の 現 在 価 値 右 辺 の 第 項 と 第 項 の 和 = 所 得 の 現 在 価 値 第 3 項 と 第 4 項 の 和 は= 初 期 資 産 価 値 - 再 来 期 に 持 ち 越 す 資 産 価 値 の 現 在 価 値 右 辺 = 期 間 にわたって 使 用 できる 可 処 分 所 得 の 現 在 価 値 期 間 にわたって 使 用 できる 富 の 現 在 価 値 価 値 :Wで 表 記 する 予 算 制 約 式 の 横 軸 切 片 =W, 縦 軸 切 片 =W/(+r) 予 算 線 の 傾 き= ( + r) 来 期 の 消 費 Y A +r 予 算 線 Y W 今 期 消 費 図. 予 算 制 約 式 Aよりも 左 上 方 では S = Y C 貯 蓄 > >

Aより 右 下 方 では S = Y C 貯 蓄 < 借 入 れ < 期 間 にわたる 予 算 制 約 式 のもとで 効 用 が 最 大 になる 消 費 パターン( C, C ) を 選 択 する 効 用 は 今 期 の 消 費 と 来 期 の 消 費 の 増 加 関 数 であると 仮 定 : u C, C ) ( この 効 用 関 数 から 導 出 される 無 差 別 曲 線 は 通 常 の 仮 定 を 満 たすと 仮 定 つまり 無 差 別 曲 線 は 原 点 に 凸 であり 右 下 がり 来 期 の 消 費 無 差 別 曲 線 図. 無 差 別 曲 線 今 期 消 費 無 差 別 曲 線 の 傾 きの 大 きさ= MU = MRS MU 限 界 代 替 率 MRS = 現 在 消 費 を 単 位 増 加 するとき 犠 牲 される 将 来 消 費 の 量 限 界 代 替 率 MRS = 時 間 選 好 率 とよぶ ( 限 界 代 替 率 =+ 時 間 選 好 率 ) 時 間 選 好 率 が 高 い 家 計 ほど 現 在 より 将 来 をより 高 く 評 価 している 効 用 最 大 の 消 費 点 : 無 差 別 曲 線 と 予 算 制 約 式 が 接 する 点 接 点 A 消 費 点 では 無 差 別 曲 線 の 傾 き= 予 算 線 の 傾 き 無 差 別 曲 線 の 傾 き=+ 時 間 選 好 率 予 算 線 の 傾 き=+ 利 子 率 よって + 時 間 選 好 率 =+ 利 子 率 来 期 の 消 費 無 差 別 曲 線 C A +r 予 算 線 C W 今 期 消 費 図.3 消 費 と 貯 蓄 の 決 定

所 得 の 変 化 : 今 期 の 所 得 が 増 大 するとき 富 の 現 在 価 値 Wが 上 昇 する 予 算 線 は 富 の 増 加 分 だけ 右 方 向 に 平 行 移 動 無 差 別 曲 線 と 新 しい 予 算 制 約 式 との 接 点 は 点 Aよりも 右 上 に 位 置 する 今 期 の 消 費 と 来 期 の 消 費 は 共 に 増 大 する 来 期 所 得 が 変 化 せずに 来 期 消 費 が 増 加 している 貯 蓄 は 増 加 する 来 期 の 所 得 が 増 加 するとき 富 の 増 加 分 = 来 期 所 得 の 増 加 分 /(+ 利 子 率 ) 予 算 線 は 富 の 増 加 分 だけ 右 方 向 に 平 行 移 動 する 今 期 の 消 費 と 来 期 の 消 費 は 共 に 増 大 する 今 期 所 得 が 変 化 せずに 今 期 消 費 が 増 加 している 貯 蓄 は 減 少 する 来 期 の 消 費 無 差 別 曲 線 C A +r 予 算 線 C W 今 期 消 費 図.4 所 得 の 変 化 利 子 率 の 変 化 : 今 期 消 費 の 単 位 は 来 期 消 費 の(+r) 単 位 と 等 価 値 (+ 利 子 率 )= 今 期 消 費 の 来 期 消 費 に 対 する 相 対 価 格 利 子 率 r が 変 化 するとき 代 替 効 果 と 所 得 効 果 が 起 こる 利 子 率 が 変 化 するとき 予 算 線 は 初 期 賦 与 点 を 中 心 として 回 転 する 利 子 率 の 上 昇 予 算 線 を 時 計 方 向 に 回 転 させる 利 子 率 の 下 落 予 算 線 を 反 時 計 方 向 に 回 転 させる 利 子 率 がrから r 上 昇 したとする 今 期 消 費 と 来 期 消 費 の 間 に 代 替 効 果 を 引 き 起 こす 異 時 点 間 代 替 効 果 という 単 位 の 来 期 財 の 価 格 (の 現 在 価 値 )=/(+r) 利 子 率 の 上 昇 は 来 期 財 の 価 格 を 低 下 させる 言 い 換 えると 今 期 財 の 相 対 価 格 を 上 昇 させる 3

利 子 率 の 上 昇 は 予 算 制 約 式 の 傾 きを 急 勾 配 にする 代 替 効 果 だけを 考 えれば 消 費 点 は 左 上 方 に 移 動 する つまり 今 期 の 消 費 は 減 少 し 来 期 の 消 費 は 拡 大 する 来 期 の 消 費 W 今 期 消 費 図.5 異 時 点 間 代 替 効 果 利 子 率 の 上 昇 貯 蓄 からの 利 子 収 入 の 増 加 所 得 の 増 加 所 得 効 果 が 起 こる 貯 蓄 を 増 やさなくても 来 期 所 得 が 増 加 する それ 故 現 在 消 費 を 増 加 させても 来 期 消 費 を 増 加 させることが 可 能 貯 蓄 が 減 少 する 可 能 性 が 生 じる 利 子 率 の 上 昇 が 貯 蓄 を 増 加 させるかどうか? 代 替 効 果 と 所 得 効 果 の 相 対 的 な 大 小 関 係 に 依 存 する 代 替 効 果 が 所 得 効 果 よりも 大 きければ 今 期 消 費 は 減 少 貯 蓄 を 増 加 させる 要 約 すると 消 費 および 貯 蓄 は C = C ( r, Y, Y ) C = C ( r, Y, Y ) S = S( r, Y, Y ) 今 期 消 費 は 今 期 所 得 と 来 期 所 得 の 増 加 関 数 来 期 消 費 は 今 期 所 得 と 来 期 所 得 の 増 加 関 数 貯 蓄 は 今 期 所 得 の 増 加 関 数 来 期 所 得 の 減 少 関 数 利 子 率 rの 変 化 が 今 期 消 費 をどのように 変 化 させるかは 不 確 定.5. 5 例 : 効 用 関 数 がU = C C のとき 貯 蓄 を 利 子 率 と 所 得 の 関 数 で 表 現 しよう 例 題 : 青 年 期 の 所 得 が 億 円 で 老 年 期 には 所 得 がゼロであると 予 想 されている 利 子 率 が. u = C C 効 用 関 数 が である () 期 間 にわたる 予 算 制 約 式 を 求 め 図 示 しなさい () 青 年 期 と 老 年 期 における 消 費 量 を 求 め 図 示 しなさい このとき 貯 蓄 はいかほどか. 労 働 供 給 と 賃 金 率 レジャー 時 間 が 増 えれば 効 用 が 大 きくなる 効 用 関 数 はレジャー 時 間 の 増 加 関 数 4

消 費 が 増 えれば 効 用 が 大 きくなる 効 用 関 数 は 消 費 の 増 加 関 数 利 用 可 能 時 間 =4 時 間 / 日 レジャー 時 間 l = 利 用 可 能 時 間 (H)- 労 働 時 間 (L) l = H L 消 費 c ( 消 費 財 の 量 ) 効 用 関 数 U = U( c, l) 無 差 別 曲 線 U ( c, l) = U : 通 常 の 性 質 を 満 たすと 仮 定 消 費 無 差 別 曲 線 レジャー 図. 無 差 別 曲 線 右 下 がり 交 差 しない 原 点 に 対 して 凸 右 上 方 に 位 置 するほど 効 用 が 大 きい 無 差 別 曲 線 の 接 線 の 傾 き = レジャーの 消 費 に 対 する 限 界 代 替 率 レジャーを 追 加 的 に 時 間 増 加 させるときの 価 値 ( 消 費 財 の 数 量 で 測 った 大 きさ) 消 費 E レジャー 図. 労 働 供 給 の 決 定 労 働 所 得 を 用 いて 消 費 財 を 購 入 する 消 費 財 の 価 格 = p 賃 金 率 = w 予 算 制 約 式 pc = wl pc + wl = wh 予 算 線 の 傾 き= w / p 実 質 賃 金 率 賃 金 率 が 上 昇 すると 予 算 線 の 傾 きは 大 きくなる 消 費 財 の 価 格 が 上 昇 すると 予 算 線 の 傾 きは 小 さくなる 予 算 制 約 を 満 たしながら 効 用 を 最 大 にするレジャーと 消 費 の 組 合 せ 5

予 算 線 と 無 差 別 曲 線 との 接 点 E 点 レジャーの 消 費 に 対 する 限 界 代 替 率 = 実 質 賃 金 率 (w/p) レジャー 時 間 と 等 価 値 な 消 費 量 = 時 間 の 労 働 で 購 入 できる 消 費 財 の 数 量 (レジャー 時 間 の 増 加 = 労 働 時 間 時 間 の 減 少 ) 賃 金 率 が 上 昇 するとき レジャー 時 間 は 減 少 するでしょうか? 賃 金 率 w = のときの レジャー 時 間 l = 消 費 量 c = w 賃 金 率 が 上 昇 して w = w > w となったとき 予 算 線 は 時 計 方 向 に 回 転 する 消 費 l c レジャー 図.3 賃 金 率 の 上 昇 レジャーの 機 会 費 用 ( 賃 金 率 )の 上 昇 レジャーの 価 格 を 引 き 上 げる 代 替 効 果 により レジャーを 減 らして つまり 労 働 時 間 を 増 やして 消 費 を 増 大 さる 労 働 時 間 を 増 やさなくても 所 得 が 増 大 する: 所 得 効 果 が 起 こる レジャーを 増 やしても 以 前 よりも 高 い 消 費 が 可 能 となる レジャーが 増 加 し 労 働 時 間 は 減 少 する 代 替 効 果 が 所 得 効 果 よりも 大 きいとき 賃 金 率 の 上 昇 はレジャーを 減 少 させる 労 働 時 間 が 増 加 する 消 費 財 価 格 の 上 昇 はレジャー 時 間 にどのような 影 響 を 与 えるでしょうか? 消 費 財 価 格 が 上 昇 する 予 算 線 を 反 時 計 方 向 に 回 転 させる 消 費 財 価 格 の 上 昇 は 賃 金 率 の 減 少 と 同 一 の 効 果 をもたらす w 労 働 時 間 の 供 給 L = L( ) p 賃 金 率 が 相 対 的 に 低 いときには 代 替 効 果 が 所 得 効 果 よりも 大 きいと 言 われている 賃 金 率 が 相 対 的 に 高 いときには 所 得 効 果 の 方 が 代 替 効 果 を 凌 駕 すると 言 われている 後 方 屈 曲 的 な 曲 線 (backward bending) 6

実 質 賃 金 率 図.4 労 働 供 給 曲 線 労 働 時 間 3.3 所 得 税 と 間 接 税 食 料 と 衣 服 ( x, x) 市 場 価 格 p, ) ( p 平 均 的 国 民 の 所 得 m 予 算 制 約 式 px + px m 消 費 点 A ( x, x ) () 衣 服 に 物 品 税 を 課 す: 重 量 税 単 位 当 たりt( 円 ) 衣 服 の 支 払 い 価 格 = p + t = p ' 予 算 制 約 式 p x ( p + t x m 消 費 点 B ( x, x ) 税 収 =T = tx 衣 服 + ) A B 図 3. 間 接 税 食 料 () 間 接 税 と 同 額 を 所 得 税 として 課 す: 所 得 税 =T = tx 所 得 = m T = m tx 予 算 制 約 式 px + px m tx 必 ずB 点 を 通 る 消 費 点 C ( x, x ) 税 収 =T = tx C 点 での 効 用 > B 点 での 効 用 間 接 税 よりも 所 得 税 の 方 が 望 ましい 7