税 務 訴 訟 資 料 第 263 号 -64( 順 号 12188) 名 古 屋 高 等 裁 判 所 平 成 年 ( ) 第 号 消 費 税 更 正 処 分 等 取 消 請 求 控 訴 事 件 国 側 当 事 者 国 ( 昭 和 税 務 署 長 ) 平 成 25 年 3 月 28 日 棄 却 上 告 上 告 受 理 申 立 ( 第 一 審 名 古 屋 地 方 裁 判 所 平 成 年 ( ) 第 号 平 成 24 年 10 月 25 日 判 決 本 資 料 262 号 -232 順 号 12082) 判 決 控 訴 人 (1 審 原 告 ) 代 表 者 取 締 役 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 補 佐 人 税 理 士 被 控 訴 人 (1 審 被 告 ) 代 表 者 法 務 大 臣 処 分 行 政 庁 指 定 代 理 人 A 有 限 会 社 甲 福 島 啓 氏 山 森 広 明 河 合 慎 太 岡 田 香 世 岩 崎 光 記 藤 川 誠 二 細 井 隆 好 国 谷 垣 禎 一 昭 和 税 務 署 長 田 原 秀 範 塚 元 修 平 岩 大 輔 松 田 清 志 小 西 宏 季 主 文 1 本 件 控 訴 を 棄 却 する 2 控 訴 費 用 は 控 訴 人 の 負 担 とする 事 実 及 び 理 由 第 1 当 事 者 の 求 めた 裁 判 1 控 訴 の 趣 旨 (1) 原 判 決 を 取 り 消 す (2) 処 分 行 政 庁 が 平 成 21 年 12 月 24 日 付 けでした 控 訴 人 の 平 成 17 年 12 月 1 日 から 平 成 18 年 11 月 30 日 までの 課 税 期 間 の 消 費 税 及 び 地 方 消 費 税 の 更 正 処 分 のうち 消 費 税 につ いて 修 正 申 告 書 に 記 載 した 還 付 金 の 額 に 相 当 する 税 額 107 万 8893 円 と 更 正 処 分 におけ る 還 付 金 の 額 に 相 当 する 税 額 71 万 7325 円 との 差 額 36 万 1568 円 に 相 当 する 部 分 及 び 地 方 消 費 税 について 修 正 申 告 書 に 記 載 した 還 付 金 の 額 に 相 当 する 税 額 26 万 9723 円 と 1
更 正 処 分 における 還 付 金 の 額 に 相 当 する 税 額 17 万 9331 円 との 差 額 9 万 0392 円 に 相 当 する 部 分 並 びに 過 少 申 告 加 算 税 賦 課 決 定 処 分 を 取 り 消 す (3) 処 分 行 政 庁 が 平 成 21 年 12 月 24 日 付 けでした 控 訴 人 の 平 成 18 年 12 月 1 日 から 平 成 19 年 11 月 30 日 までの 課 税 期 間 の 消 費 税 及 び 地 方 消 費 税 の 更 正 処 分 のうち 納 付 すべき 消 費 税 額 52 万 9800 円 を 超 える 部 分 及 び 納 付 すべき 地 方 消 費 税 額 13 万 2400 円 を 超 える 部 分 並 びに 過 少 申 告 加 算 税 賦 課 決 定 処 分 を 取 り 消 す (4) 訴 訟 費 用 は 第 1 2 審 とも 被 控 訴 人 の 負 担 とする 2 控 訴 の 趣 旨 に 対 する 答 弁 主 文 旨 第 2 事 案 の 概 要 ( 以 下 略 称 は 原 則 として 原 判 決 の 表 記 に 従 う ) 1(1) 不 動 産 業 者 である 控 訴 人 は 裁 判 所 が 実 施 する 不 動 産 競 売 ( 原 判 決 2 頁 18 行 目 )により 取 得 した 区 分 所 有 建 物 合 計 29 戸 ( 4 頁 13 行 目 の 本 件 各 マンション )に 関 して それ ぞれ 前 区 分 所 有 者 が 滞 納 していた 管 理 費 等 ( 4 頁 18 行 目 の 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 9 頁 5 行 目 から7 行 目 までのとおり 管 理 費 のほか 修 繕 積 立 金 駐 車 場 使 用 料 上 下 水 道 料 金 及 び 組 合 加 入 金 をいう )を 本 件 各 管 理 組 合 ( 4 頁 15 16 行 目 )に 支 払 った 上 で 本 件 各 課 税 期 間 ( 4 頁 22 行 目 1 平 成 17 年 12 月 1 日 から 平 成 18 年 11 月 30 日 まで 2 平 成 18 年 12 月 1 日 から 平 成 19 年 11 月 30 日 まで )における 消 費 税 等 ( 4 頁 23 行 目 )の 確 定 申 告 に 当 たり 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 を 消 費 税 法 30 条 1 項 の 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 の 額 に 算 入 し これに 対 する 消 費 税 額 相 当 分 ( 上 記 1の 課 税 期 間 につき43 万 310 4 円 2の 課 税 期 間 につき34 万 2409 円 )を 控 除 した 残 額 をもって 納 付 すべき 消 費 税 額 とする 確 定 申 告 を 法 定 申 告 期 限 内 にした その 後 控 訴 人 は 平 成 21 年 7 月 30 日 本 件 各 課 税 期 間 に 係 る 消 費 税 等 について 修 正 申 告 をした これに 対 して 昭 和 税 務 署 長 ( 処 分 行 政 庁 )は 年 12 月 24 日 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 を 消 費 税 法 30 条 1 項 の 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 の 額 に 算 入 することはできず 上 記 消 費 税 等 の 申 告 が 過 小 申 告 に 当 たるとして 消 費 税 等 の 更 正 処 分 ( 原 判 決 5 頁 13 行 目 の 本 件 各 更 正 処 分 ) 及 び 過 少 申 告 加 算 税 の 賦 課 決 定 処 分 ( 頁 14 行 目 の 本 件 各 賦 課 決 定 処 分 )を した 本 件 は 控 訴 人 が 本 件 各 更 正 処 分 及 び 本 件 各 賦 課 決 定 処 分 は 消 費 税 法 の 解 釈 を 誤 ったも のであると 主 張 して その 取 消 しを 求 める 事 案 である (2) 原 審 は 控 訴 人 が 支 払 った 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 は 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 該 当 せ ず これに 対 する 消 費 税 相 当 額 を 課 税 仕 入 れに 係 る 消 費 税 額 として 控 除 することは 認 めら れないから 本 件 各 更 正 処 分 及 び 本 件 各 賦 課 決 定 処 分 は 適 法 であると 判 断 して 請 求 をいずれ も 棄 却 したところ 控 訴 人 (1 審 原 告 )が これを 不 服 として 控 訴 した 2 消 費 税 法 の 定 め 前 提 事 実 被 控 訴 人 が 主 張 する 消 費 税 等 の 額 争 点 及 び 当 事 者 の 主 張 は 原 判 決 4 頁 14 行 目 の 代 金 を 納 付 して の 後 に 敷 地 利 用 権 と 共 に を 加 え 後 記 3において 当 審 における 控 訴 人 の 主 張 ( 原 審 での 主 張 を 敷 衍 する 部 分 を 含 む )を 4において 当 審 におけ る 被 控 訴 人 の 主 張 ( )をそれぞれ 付 加 するほかは 原 判 決 事 実 及 び 理 由 欄 の 第 2 事 案 の 概 要 2ないし5に 記 載 のとおりであるから これを 引 用 する 3 当 審 における 控 訴 人 の 主 張 原 審 における 被 控 訴 人 の 主 張 は 以 下 のとおり 誤 りであるところ 原 判 決 は 被 控 訴 人 の 主 張 2
を 鵜 呑 みにしており 独 自 の 判 断 理 由 は 見 当 たらないから その 判 断 が 誤 りであることは 明 らか である (1) 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 の 支 払 対 価 性 について ア 被 控 訴 人 は 消 費 税 法 28 条 1 項 の 課 税 標 準 の 定 義 中 の 対 価 として 収 受 し 又 は 収 益 すべき の 意 味 について その 文 理 上 その 譲 渡 に 係 る 当 事 者 間 で 授 受 し 又 は 授 受 する こととした 対 価 の 額 を 指 すものと 解 すべきと 主 張 する イ しかし 我 が 国 の 不 動 産 競 売 においては 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 を 物 件 明 細 書 に 明 示 したり 売 却 基 準 価 額 の 決 定 に 際 してそれを 控 除 したりするものの 競 売 代 金 に 含 めるこ とはせず 区 分 所 有 法 ( 原 判 決 6 頁 18 行 目 )7 条 8 条 により 買 受 人 は 裁 判 所 書 記 官 に 納 付 する 競 売 代 金 以 外 に 事 実 上 これを 負 担 せざるを 得 ない 上 その 金 額 は 明 らかであ るから 買 受 人 が 支 払 う 対 価 の 一 部 であることは 明 白 である 不 動 産 競 売 で 物 件 を 買 い 受 ける 場 合 の 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 とは 裁 判 所 書 記 官 に 納 付 した 競 売 代 金 に 限 られるとの 被 控 訴 人 の 解 釈 は そもそも 不 動 産 競 売 では 売 買 当 事 者 間 で 直 接 に 代 金 を 授 受 することはないので その 根 拠 が 薄 弱 であり 被 控 訴 人 の 主 張 する 文 理 解 釈 では 支 払 対 価 についての 正 解 を 導 くことはできない ウ 一 般 的 な 不 動 産 売 買 であれば 通 常 売 主 の 滞 納 管 理 費 等 は 売 買 代 金 に 組 み 込 まれて 買 主 が 支 払 い それが 買 主 にとって 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 該 当 することに 争 いはな い 消 費 税 の 課 税 に 関 しては 不 動 産 競 売 も 一 般 の 不 動 産 売 買 と 様 の 取 扱 いをすべきであり 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 は 売 買 代 金 の 一 部 とみるべきである エ 消 費 税 課 税 の 運 用 においても 前 所 有 者 が 負 担 した 固 定 資 産 税 等 のうち 新 所 有 者 が 売 買 代 金 とは 別 に 清 算 した 未 経 過 期 間 に 対 応 する 金 額 については 建 物 等 の 課 税 資 産 の 譲 渡 の 対 価 に 含 まれるとされていること( 消 費 税 法 基 本 通 達 10-1-6)からも 明 らかなように 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 とは 名 目 上 の 売 買 代 金 に 限 らない (2) マンション 管 理 費 等 の 性 格 について ア 被 控 訴 人 は 管 理 組 合 が 区 分 所 有 者 との 間 でなす 管 理 費 等 の 授 受 は 事 業 として 対 価 を 得 て 行 われる 資 産 の 譲 渡 及 び 貸 付 け 並 びに 役 務 の 提 供 ( 消 費 税 法 2 条 1 項 8 号 )に 該 当 し ないから そもそも 消 費 税 の 課 税 対 象 ではない 旨 主 張 する イ なるほど 管 理 組 合 と 区 分 所 有 者 との 関 係 では 管 理 費 等 のほとんどが 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 当 たらないとしても このうち 上 下 水 道 使 用 料 については 課 税 仕 入 れ ( 項 12 号 )に 該 当 する ウ また 不 動 産 競 売 の 買 受 人 と 管 理 組 合 との 関 係 では 事 情 が 異 なる すなわち 区 分 所 有 法 8 条 は 競 売 買 受 人 に 対 しても 前 区 分 所 有 者 が 滞 納 した 管 理 費 等 の 支 払 を 強 制 しているから 競 売 買 受 人 にとって 前 区 分 所 有 者 が 滞 納 した 管 理 費 等 の 支 払 は 先 取 特 権 の 負 担 のない 完 全 な 所 有 権 を 確 保 するための 必 要 経 費 であって 前 区 分 所 有 者 に 対 する 売 買 代 金 の 追 加 支 払 と 視 し 得 る (3) 支 払 先 と 支 払 対 価 性 について ア 被 控 訴 人 は 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 の 支 払 先 は 前 区 分 所 有 者 ではなく 本 件 各 管 理 組 合 で あるから 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 は 譲 渡 当 事 者 間 で 授 受 されたとはいえず 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 該 当 しない 旨 主 張 する 3
イ しかし 不 動 産 競 売 においては 買 受 代 金 ですら 前 所 有 者 との 間 で 直 接 授 受 するもので はないから 支 払 相 手 が 異 なることを 理 由 に 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 該 当 しないと するのは 悪 しき 形 式 主 義 の 現 われである 不 動 産 競 売 での 買 受 人 は 前 区 分 所 有 者 に 対 して 滞 納 管 理 費 等 の 求 償 権 を 取 得 するとして も それを 実 際 に 行 使 し 得 ることはほとんどなく 前 区 分 所 有 者 はその 利 益 を 得 たことにな るから 実 質 的 には 売 買 代 金 の 追 加 払 として 売 買 当 事 者 間 で 滞 納 管 理 費 等 相 当 額 が 授 受 さ れることに 変 わりがない ウ 法 人 税 の 分 野 においては 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 が 棚 卸 資 産 の 取 得 価 額 ( 法 人 税 法 施 行 令 32 条 1 項 )に 該 当 することは 異 論 がないところ それは 滞 納 管 理 費 等 を 支 払 った 新 所 有 者 が 前 区 分 所 有 者 に 対 して 形 式 的 には 求 償 権 を 取 得 するとしても 事 実 上 回 収 が 困 難 であり 実 質 的 には 不 動 産 競 売 代 金 の 追 加 支 払 であることを 税 務 当 局 も 認 めているからであ る 消 費 税 の 分 野 においても 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 を 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 当 た ると 解 するのが 整 合 的 である エ なお 不 動 産 競 売 により 区 分 所 有 権 を 買 い 受 けた 者 が 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 を 支 払 わずに 転 売 する 場 合 転 売 先 との 間 で 滞 納 管 理 費 等 を 転 売 先 の 負 担 とする 旨 合 意 して 滞 納 管 理 費 等 を 値 引 いた 額 を 売 買 代 金 と 定 めれば 結 果 的 に 買 受 人 が 納 付 すべき 消 費 税 額 は 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 を 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 加 えた 場 合 と 様 になる 競 売 による 買 受 け 後 に 滞 納 管 理 費 等 を 支 払 った 場 合 と 先 送 りした 場 合 とでこのような 差 異 が 生 じるのは 不 合 理 である 4 当 審 における 被 控 訴 人 の 主 張 前 記 3の 控 訴 人 の 主 張 は 原 審 における 主 張 の 繰 り 返 しであるか あるいは 原 判 決 を 正 解 する ことなく 控 訴 人 の 独 自 の 見 解 を 述 べるものであって いずれも 理 由 がないことは 明 らかである 具 体 的 な 反 論 は 以 下 のとおりである (1) 前 記 3(1)の 控 訴 人 の 主 張 について ア 控 訴 人 は 前 記 3(1)イのとおり 消 費 税 法 の 趣 旨 目 的 から 合 理 的 に 解 釈 すれば 不 動 産 競 売 で 物 件 を 買 い 受 ける 場 合 の 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 とは 競 売 で 落 札 した 際 に 裁 判 所 書 記 官 に 納 付 した 買 受 代 金 の 額 に 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 を 加 えたもの とみる 方 が 合 理 的 であると 主 張 するが そのような 解 釈 結 果 が 何 故 消 費 税 法 の 趣 旨 目 的 に 沿 ったものといえるのかの 説 明 がなく 全 く 説 得 力 を 持 たない 不 動 産 競 売 における 売 却 は 売 買 の 性 質 を 有 するものであり 私 法 上 の 売 買 における 売 買 代 金 に 相 当 するのは 買 受 代 金 であるから 消 費 税 の 課 税 標 準 となるのは 買 受 人 が 納 付 した 買 受 代 金 である イ 控 訴 人 は 前 記 3(1)ウのとおり 一 般 的 な 不 動 産 売 買 との 均 衡 を 主 張 する しかし 一 般 的 な 不 動 産 売 買 において 売 主 と 買 主 の 協 議 により 売 主 の 滞 納 管 理 費 等 相 当 額 を 売 買 代 金 に 含 ませることなく 売 買 が 行 われ その 後 買 主 が 管 理 組 合 の 請 求 に 基 づい て 売 主 の 滞 納 管 理 費 等 相 当 額 を 支 払 う 場 合 には その 滞 納 管 理 費 等 は 上 記 不 動 産 売 買 におけ る 当 事 者 間 で 授 受 することとした 対 価 ではない 不 動 産 競 売 は 上 記 のような 不 動 産 売 買 の 事 例 と 様 であり 不 動 産 取 得 後 に 買 受 人 が 支 払 った 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 が 当 事 者 間 で 授 受 することとした 対 価 ではないとい う 点 も 様 である 4
ウ 消 費 税 法 基 本 通 達 10-1-6の 趣 旨 は 固 定 資 産 税 等 の 未 経 過 期 間 に 対 応 する 金 額 は 仮 に 売 買 契 約 書 上 の 売 買 代 金 とは 別 に 支 払 われても 買 主 がその 分 の 税 負 担 なく 建 物 を 取 得 できる 対 価 として 売 買 当 事 者 間 で 授 受 されるから 課 税 資 産 の 譲 渡 の 対 価 の 額 に 含 まれると いうことができるというものである これに 対 して 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 は 買 受 人 から 管 理 組 合 に 対 して 支 払 われるものであるから 名 目 においても 実 質 においても 譲 渡 等 に 係 る 当 事 者 間 で 授 受 することとした 対 価 の 額 ではない このように 固 定 資 産 税 等 の 未 経 過 期 間 に 対 応 する 部 分 と 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 は 列 に 比 較 できるものではないから 前 記 3(1)エの 控 訴 人 の 主 張 は 失 当 である (2) 前 記 3(2)の 控 訴 人 の 主 張 について ア 控 訴 人 は 前 記 3(2)イのとおり 管 理 費 等 の 中 で 上 下 水 道 料 金 は 課 税 仕 入 れ に 該 当 する 旨 主 張 する しかし 分 譲 マンションの 区 分 所 有 者 が 管 理 組 合 に 支 払 う 管 理 費 等 の 中 に 共 用 部 分 の 維 持 管 理 等 のために 使 用 される 水 道 料 金 相 当 額 が 含 まれているとしても 管 理 組 合 による 水 道 の 使 用 と 区 分 所 有 者 による 水 道 料 金 相 当 額 の 支 払 との 間 に 対 価 関 係 を 観 念 することはで きず 消 費 税 法 2 条 12 号 の 資 産 の 譲 渡 に 当 たらないものとして 消 費 税 の 課 税 対 象 と はされないから 課 税 仕 入 れ には 該 当 しない イ 控 訴 人 は 前 記 3(2)ウのとおり 滞 納 管 理 費 等 の 支 払 は 代 金 の 追 加 支 払 と 視 できると 主 張 するが 分 譲 マンションの 区 分 所 有 者 が 管 理 組 合 に 対 して 対 価 関 係 なく 支 払 う 管 理 費 等 が 区 分 所 有 法 8 条 の 規 定 に 基 づく 連 帯 債 務 の 履 行 として 支 払 われる 場 合 には 対 価 関 係 を 見 出 すことができるとする 理 由 が 不 明 である 区 分 所 有 者 の 特 定 承 継 人 が 区 分 所 有 法 8 条 の 規 定 に 基 づき 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 を 支 払 う 場 合 にも 取 引 の 対 価 性 は 何 ら 認 められない (3) 前 記 3(3)の 控 訴 人 の 主 張 について ア 前 記 3(3)イの 控 訴 人 の 主 張 は 経 済 的 な 結 果 としては 売 買 代 金 が 当 事 者 間 で 授 受 され たのと 様 に 見 ることができるのであるから 法 的 にも 売 買 代 金 の 当 事 者 間 における 授 受 と して 扱 うべきである というに 等 しい しかしながら いかに 経 済 的 な 結 果 が 様 のものと 見 ることができるからといって 買 受 人 が 区 分 所 有 法 8 条 の 定 める 債 務 の 履 行 として 管 理 組 合 に 支 払 った 滞 納 管 理 費 等 を 不 動 産 競 売 における 買 受 代 金 であるとして 消 費 税 法 に 当 てはめることはできない イ 控 訴 人 は 前 記 3(3)ウのとおり 法 人 税 の 分 野 における 棚 卸 資 産 の 取 得 価 額 との 整 合 性 を 主 張 するが 法 人 税 法 における 考 え 方 を 消 費 税 法 の 分 野 にそのまま 持 ち 込 むことはで きない 第 3 当 裁 判 所 の 判 断 1 当 裁 判 所 も 原 判 決 と じく 控 訴 人 の 本 訴 請 求 はいずれも 理 由 がないと 判 断 する その 理 由 は 後 記 2において 原 判 決 を 補 正 し 3において 当 審 における 控 訴 人 の 主 張 ( 原 審 での 主 張 を 敷 衍 する 部 分 を 含 む )に 対 する 判 断 を 付 加 するほかは 原 判 決 事 実 及 び 理 由 欄 の 第 3 当 裁 判 所 の 判 断 1 2に 記 載 のとおりであるから これを 引 用 する 2 原 判 決 の 補 正 (1) 原 判 決 8 頁 25 行 目 から26 行 目 にかけての 課 税 仕 入 れの 相 手 方 との 間 で 授 受 される 取 引 の 対 価 をいうものであることは 明 らかである を 以 下 のとおり 改 める 5
課 税 仕 入 れの 目 的 を 達 成 するために 必 要 な 経 済 的 出 捐 をいい 必 ずしも 課 税 仕 入 れの 相 手 方 との 間 で 仕 入 れの 対 価 として 明 示 的 に 合 意 されたものには 限 られず 課 税 仕 入 れの 目 的 を 達 するために 必 要 である 限 り 当 該 課 税 仕 入 れの 相 手 方 が 第 三 者 に 対 して 負 う 債 務 を 消 滅 させ るための 弁 済 金 も 含 まれるのであり また それが 当 該 課 税 仕 入 れの 相 手 方 との 間 で 直 接 授 受 されなければならないものではないと 解 される この 点 につき 被 控 訴 人 は 消 費 税 法 2 8 条 1 項 の 文 理 解 釈 や 消 費 税 法 基 本 通 達 10-1-1を 根 拠 に 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 とは その 譲 渡 に 係 る 当 事 者 間 で 授 受 し 又 は 授 受 することとした 対 価 の 額 を 指 すと 主 張 する( 原 審 第 1 準 備 書 面 15 頁 以 下 )が 上 記 条 文 等 は 消 費 税 の 課 税 標 準 に 関 するもので あって 仕 入 税 額 控 除 に 関 する 消 費 税 法 30 条 所 定 の 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 の 意 味 がこれと 一 でなければならない 必 然 性 はない 上 このような 解 釈 を 採 れば 不 動 産 競 売 の 場 合 納 付 した 買 受 代 金 ですら 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 当 たることに 疑 問 が 生 ずる し( 買 受 代 金 は 直 接 には 裁 判 所 書 記 官 に 納 付 され 担 保 権 者 等 への 配 当 の 後 余 剰 があった 場 合 のみ 前 所 有 者 に 交 付 される ) 担 保 権 付 き 建 物 の 買 主 が 売 買 代 金 の 一 部 を 担 保 権 者 に 直 接 支 払 って( 第 三 者 弁 済 ) 当 該 担 保 権 を 消 滅 させることを 売 主 と 合 意 した 場 合 にも 完 全 な 所 有 権 を 取 得 するという 売 買 目 的 を 達 成 するために 必 要 な 支 出 が 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 当 たらないことになりかねない もっとも 流 通 の 各 段 階 で 課 税 するという 消 費 税 の 性 質 及 び 累 積 課 税 を 避 けるという 趣 旨 に 鑑 みれば 当 該 経 済 的 出 捐 が 課 税 仕 入 れの 相 手 方 の 第 三 者 に 対 する 債 務 の 弁 済 である 場 合 に 相 手 方 の 当 該 債 務 負 担 行 為 が 消 費 税 の 課 税 対 象 とならない 不 課 税 取 引 であるにもかか わらず 課 税 仕 入 れに 係 る 仕 入 税 額 控 除 を 認 めるべき 合 理 的 理 由 は 全 くなく そのような 債 務 の 弁 済 金 は 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 には 該 当 しないと 解 するのが 相 当 である (2) 9 頁 9 行 目 から23 行 目 までを 以 下 のとおり 改 める 確 かに 一 般 に 区 分 所 有 建 物 の 滞 納 管 理 費 等 については 区 分 所 有 法 8 条 によって 新 所 有 者 も 当 該 債 務 を 負 担 するから 新 所 有 者 としては 完 全 な 所 有 権 を 確 保 するという 目 的 を 達 成 するには 管 理 組 合 に 対 して 弁 済 することを 余 儀 なくされることは 否 定 できない しかしながら 区 分 所 有 建 物 の 管 理 費 等 については その 大 部 分 が 消 費 税 の 課 税 対 象 とな っていないことは 控 訴 人 の 自 認 するところであり ただ 上 下 水 道 料 金 については 区 分 所 有 者 がその 専 有 部 分 で 使 用 したものであっても 管 理 組 合 規 約 等 によって 管 理 費 等 として 扱 うことが 定 められている 場 合 には 例 外 的 に 消 費 税 が 含 まれていることがあり 得 るが これ の 管 理 費 等 全 体 に 占 める 割 合 は 極 めて 小 さいと 推 測 される そうすると 前 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 は 基 本 的 に 不 課 税 であるといえるので 本 件 にお いても 控 訴 人 が 本 件 各 管 理 組 合 に 支 払 った 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 を 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 とみることはできない 3 当 審 における 控 訴 人 の 主 張 に 対 する 判 断 (1) 取 引 の 対 価 性 に 関 する 主 張 ( 前 記 第 2の3(1))について ア 控 訴 人 は 前 記 第 2の3(1)イのとおり 不 動 産 競 売 で 区 分 所 有 建 物 を 買 い 受 けた 者 は 裁 判 所 書 記 官 に 納 付 する 買 受 代 金 以 外 に 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 を 事 実 上 負 担 せざる を 得 ないから かかる 滞 納 管 理 費 等 は 不 動 産 競 売 による 取 引 の 対 価 である 旨 主 張 する 確 かに 不 動 産 競 売 手 続 中 に 管 理 組 合 が 先 取 特 権 ( 区 分 所 有 法 7 条 1 項 )に 基 づいて 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 につき 配 当 要 求 し 配 当 を 受 けることがない 限 り 当 該 区 分 所 有 6
建 物 の 買 受 人 としては 区 分 所 有 法 8 条 に 従 い 当 該 滞 納 管 理 費 等 の 支 払 が 必 要 であったと いえる しかし 滞 納 管 理 費 等 については 基 本 的 に 消 費 税 が 含 まれていないので その 支 払 をも って 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 とみることができないのは 上 記 ( 補 正 後 の 原 判 決 9 頁 9 行 目 から23 行 目 まで)のとおりであるところ 控 訴 人 が 本 件 各 管 理 組 合 に 支 払 った 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 についても 消 費 税 が 含 まれていることを 認 めるに 足 りる 証 拠 はない したがって 控 訴 人 の 上 記 主 張 は 採 用 することができない イ 控 訴 人 は 前 記 第 2の3(1)ウのとおり 消 費 税 の 課 税 に 関 しては 一 般 的 な 不 動 産 売 買 により 物 件 を 買 い 受 ける 場 合 と 不 動 産 競 売 により 物 件 を 買 い 受 ける 場 合 とを 様 に 取 り 扱 うべきであり 一 般 的 な 不 動 産 売 買 では 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 は 売 買 代 金 の 一 部 と して 組 み 込 まれるから 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 も 本 件 各 マンション 買 受 けの 対 価 とみるべき である 旨 主 張 する しかし 滞 納 管 理 費 等 を 売 買 代 金 に 組 み 込 んだ 上 買 主 である 新 所 有 者 がその 中 から 滞 納 管 理 費 等 を 管 理 組 合 に 支 払 ったという 場 合 には 組 み 込 まれた 滞 納 管 理 費 等 相 当 部 分 につい ても 消 費 税 の 課 税 対 象 となって 消 費 税 が 上 乗 せされるのに 対 し 本 件 のように 滞 納 管 理 費 等 が 買 受 代 金 に 組 み 込 まれることなく 別 途 管 理 組 合 に 支 払 われた 場 合 には 消 費 税 が 上 乗 せされないので 両 者 を 一 視 すべきとの 上 記 主 張 は 採 用 できない ウ 控 訴 人 は 前 記 第 2の3(1)エのとおり 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 は 名 目 上 の 売 買 代 金 には 限 られず 消 費 税 法 基 本 通 達 も 前 所 有 者 が 負 担 した 固 定 資 産 税 等 のうち 未 経 過 期 間 に 対 応 する 部 分 について 実 質 的 な 売 買 代 金 性 を 認 めている 旨 主 張 する なるほど 未 経 過 期 間 に 対 応 する 固 定 資 産 税 等 を 新 所 有 者 が 売 買 代 金 とは 別 に 前 所 有 者 に 支 払 った 場 合 消 費 税 基 本 通 達 10-1-6は これを 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 とし て 認 めているところ 売 買 代 金 に 組 み 入 れられなかった 固 定 資 産 税 等 は 消 費 税 の 課 税 対 象 で はないから 上 記 基 本 通 達 は 消 費 税 の 累 積 課 税 を 避 けるという 仕 入 税 額 控 除 の 趣 旨 を 逸 脱 するものとの 印 象 を 免 れない しかし 通 達 は 基 本 的 に 行 政 内 部 における 事 務 指 針 の 性 格 を 有 するにすぎないから 上 記 基 本 通 達 を 理 由 に 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 についても 様 に 取 り 扱 われなければ 違 法 である とは 解 されず 控 訴 人 の 上 記 主 張 は 採 用 することができない (2) 課 税 仕 入 れ 該 当 性 に 関 する 主 張 ( 前 記 第 2の3(2))について ア 控 訴 人 は 前 記 第 2の3(2)イのとおり 管 理 費 等 のうち 上 下 水 道 料 金 は 課 税 仕 入 れ ( 消 費 税 法 2 条 1 項 12 号 )に 該 当 し 消 費 税 の 課 税 対 象 であるから 管 理 組 合 と 区 分 所 有 者 間 で 授 受 される 管 理 費 等 が 全 て 消 費 税 の 課 税 対 象 外 であるとまではいえない 旨 主 張 する しかし 被 控 訴 人 が 前 記 第 2の4(2)アで 主 張 するとおり 少 なくとも 共 用 部 分 の 維 持 管 理 等 のために 使 用 される 水 道 料 金 相 当 額 については 消 費 税 の 課 税 対 象 であるとは 認 めら れず 他 方 仮 に 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 の 中 に 専 有 部 分 で 使 用 される 水 道 料 金 相 当 額 がいか ほどか 含 まれているとしても 例 外 的 なものと 推 測 され 現 に 本 件 においてこのことを 示 す 的 確 な 証 拠 は 見 当 たらない したがって 控 訴 人 の 上 記 主 張 は 採 用 することができない イ 控 訴 人 は 前 記 第 2の3(2)ウのとおり 管 理 組 合 が 区 分 所 有 者 から 管 理 費 等 を 徴 収 する 場 合 には 事 業 性 が 認 められないとしても 不 動 産 競 売 の 買 受 人 が 区 分 所 有 法 8 条 の 規 定 に 基 7
づき 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 を 管 理 組 合 に 支 払 う 場 合 には 事 情 が 異 なる 旨 主 張 する しかし 被 控 訴 人 が 前 記 第 2の4(2)イで 主 張 するとおり 区 分 所 有 法 8 条 の 規 定 により 区 分 所 有 者 の 特 定 承 継 人 が 管 理 組 合 に 対 して 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 の 支 払 義 務 を 負 い 事 実 上 その 履 行 を 強 制 されることをもって 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 を 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 とみることはできない 控 訴 人 の 上 記 主 張 は 採 用 することができない (3) 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 の 支 払 先 に 関 する 主 張 ( 前 記 第 2の3(3))について ア 控 訴 人 は 前 記 第 2の3(3)イのとおり 不 動 産 競 売 においては 買 受 人 が 前 所 有 者 との 間 で 買 受 代 金 を 直 接 授 受 することはないから 控 訴 人 による 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 の 支 払 先 が 前 区 分 所 有 者 でないことは 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 が 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 該 当 す ることを 否 定 する 根 拠 とはなり 得 ない 旨 主 張 する 確 かに 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 を 支 払 先 が 課 税 仕 入 れの 相 手 方 であるものに 限 定 す るならば 不 都 合 を 生 じかねないことは 前 記 のとおりであるけれども 当 該 経 済 的 出 捐 が 課 税 仕 入 れの 相 手 方 の 第 三 者 に 対 する 債 務 の 弁 済 である 場 合 において 当 該 債 務 に 消 費 税 が 含 まれていないにもかかわらず 消 費 税 相 当 額 の 仕 入 税 額 控 除 を 認 めるのは 明 らかに 不 合 理 で あって この 観 点 から 本 件 各 滞 納 管 理 費 等 については 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 と 認 められないことは 第 3の3(1)で 説 示 したとおりである 控 訴 人 の 上 記 主 張 は 採 用 することができない イ 控 訴 人 は 前 記 第 2の3(3)ウのとおり 法 人 税 の 分 野 においては 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 が 棚 卸 資 産 の 取 得 価 額 ( 法 人 税 法 施 行 令 32 条 1 項 )に 含 まれることが 異 論 な く 認 められており これは 税 務 当 局 において 前 区 分 所 有 者 に 対 する 求 償 権 の 回 収 が 事 実 上 困 難 であることを 認 めたものであるから 消 費 税 の 分 野 においても 様 に 解 するべきである 旨 主 張 する しかし 法 人 税 の 分 野 において 新 所 有 者 が 滞 納 管 理 費 等 を 支 払 った 場 合 棚 卸 資 産 の 取 得 価 額 として 経 費 性 を 認 めるのは 法 人 税 法 施 行 令 32 条 1 項 1 号 イが 当 該 資 産 の 購 入 の 代 価 ( 引 取 運 賃 荷 役 費 運 送 保 険 料 購 入 手 数 料 関 税 ( 略 )その 他 当 該 資 産 の 購 入 のために 要 した 費 用 がある 場 合 には その 費 用 の 額 を 加 算 した 金 額 ) と 定 めているからで あり 他 方 消 費 税 の 分 野 で 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 と 認 められないのは それが 基 本 的 に 消 費 税 の 課 税 対 象 となっておらず 累 積 課 税 の 排 除 という 趣 旨 に 沿 わないからであり 両 者 は その 課 税 目 的 ないし 趣 旨 が 異 なり 法 令 上 も 別 個 に 定 められているのであるから 法 人 税 法 の 分 野 で 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 を 棚 卸 資 産 の 取 得 価 額 に 含 める 取 扱 いを しているからといって 消 費 税 法 の 分 野 でも 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 を 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 当 たると 解 さなければならないものではない 控 訴 人 の 上 記 主 張 は 採 用 することができない ウ 控 訴 人 は 前 記 第 2の3(3)エのとおり 不 動 産 競 売 により 区 分 所 有 権 を 買 い 受 けた 者 が 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 を 支 払 わずに 転 売 する 場 合 には 転 売 先 との 約 定 如 何 によって は 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 を 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 加 えるのと 様 の 結 果 となるから それ 以 外 の 場 合 に 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 加 えないとの 解 釈 は 不 合 理 である 旨 主 張 する しかし 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 が 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 含 まれるか 否 か 8
は 基 本 的 にはかかる 滞 納 管 理 費 等 の 負 担 等 の 売 買 条 件 によって 定 まるものであり 上 記 の とおり 買 受 人 が 転 売 先 との 間 で 取 り 交 わす 特 約 如 何 によって 前 区 分 所 有 者 の 滞 納 管 理 費 等 が 課 税 仕 入 れに 係 る 支 払 対 価 に 加 えられた 場 合 と 様 の 結 果 となることは 何 ら 不 合 理 ではないというべきである 控 訴 人 の 上 記 主 張 は 採 用 することができない 第 4 結 論 以 上 によれば 控 訴 人 の 本 訴 請 求 をいずれも 棄 却 した 原 判 決 は 結 論 において 相 当 であり 本 件 控 訴 は 理 由 がないから 主 文 のとおり 判 決 する 名 古 屋 高 等 裁 判 所 民 事 第 1 部 裁 判 長 裁 判 官 加 藤 幸 雄 裁 判 官 河 村 隆 司 裁 判 官 達 野 ゆき 9