4. 手 術 により 期 待 される 効 果 手 術 は 直 腸 癌 に 対 する 治 療 として 最 も 確 実 な 方 法 とされていますが これに よりすべての 直 腸 癌 が 治 癒 するわけではありません 肉 眼 的 にすべての 癌 が 取 り 除 けた 場 合 でも 目 には 見 えない



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Transcription:

直 腸 癌 の 手 術 ( 肛 門 温 存 )に 対 する 説 明 書 1. 直 腸 癌 とは 直 腸 癌 は 粘 膜 より 発 生 し 徐 々に 大 きくなり 進 行 していきます 進 行 の 形 式 には 1 直 腸 壁 を 壊 し 徐 々に 深 く 浸 潤 して( 壁 浸 潤 ) さらに 進 行 すると 腸 壁 を 貫 いて 他 の 臓 器 へ 直 接 浸 潤 する 形 式 ( 直 接 浸 潤 ) 2リンパ 管 を 経 由 して 転 移 し ていくリンパ 節 転 移 3 血 流 に 乗 り 他 の 遠 隔 臓 器 へ 転 移 していく 血 行 性 転 移 4 腹 腔 内 に 直 接 癌 細 胞 がこぼれて 拡 がっていく 腹 膜 播 種 性 転 移 などがあります 2. 手 術 の 必 要 性 手 術 は 直 腸 癌 に 対 する 治 療 として 最 も 確 実 な 方 法 とされています 3. 手 術 の 内 容 直 腸 低 位 前 方 切 除 術 全 身 麻 酔 (+ 硬 膜 外 麻 酔 )の 下 に 手 術 を 行 います 腹 部 に5カ 所 穴 を 開 け て 癌 を 含 む 20-30cm 程 の 大 腸 ( 直 腸 および S 状 結 腸 )を 切 除 します 同 時 に 病 巣 周 辺 のリンパ 節 を 摘 出 します(リンパ 節 郭 清 ) 腸 管 切 除 後 は 腸 の 断 端 同 士 を 器 械 でつなぎ 合 わせます( 吻 合 ) 後 に 述 べるよう 腸 管 の 吻 合 には 縫 合 丌 全 という 合 併 症 が 起 こることがあります この 合 併 症 の 頻 度 は 吻 合 部 が 肛 門 に 近 くなるほど 高 くなり この 予 防 を 目 的 とし 一 時 的 な 人 工 肛 門 を 造 設 することがあります この 場 合 には 吻 合 部 が 完 全 に 安 定 した 後 に 人 工 肛 門 を 除 去 する 手 術 を 改 めて 行 います 術 前 の 診 断 では 肛 門 を 温 存 できる 可 能 性 が 高 いと 考 えますが 術 中 の 所 見 で 充 分 に 癌 を 取 り 除 くためには 肛 門 の 切 除 が 避 けられないと 判 断 した 場 合 に は 永 久 的 な 人 工 肛 門 の 造 設 を 伴 う 直 腸 切 断 術 に 変 更 することがあります 手 術 時 間 はおよそ5から6 時 間 程 度 ですが 癌 の 進 行 度 癒 着 の 有 無 ( 手 術 既 往 の 有 無 ) 体 格 などにより 変 わります

4. 手 術 により 期 待 される 効 果 手 術 は 直 腸 癌 に 対 する 治 療 として 最 も 確 実 な 方 法 とされていますが これに よりすべての 直 腸 癌 が 治 癒 するわけではありません 肉 眼 的 にすべての 癌 が 取 り 除 けた 場 合 でも 目 には 見 えないレベルで 既 に 血 の 中 や 遠 隔 臓 器 に 癌 が 飛 ん でおり 結 果 として 再 発 を 生 じることがあります 手 術 により 期 待 される 癌 の 治 癒 率 ( 生 存 率 )は 癌 の 進 行 度 や 悪 性 度 によって 大 きく 異 なります 肉 眼 的 に 癌 をすべて 切 除 できた 場 合 リンパ 節 転 移 がなければ 5 年 生 存 率 は 約 80-90% リンパ 節 転 移 があった 場 合 は 約 60-70%と 言 われています また 癌 の 中 にもい くつかの 種 類 があり 悪 性 度 の 高 い 種 類 のものでは 生 存 率 が 大 きく 下 がります 悪 性 度 や 進 行 度 は 手 術 で 切 除 した 癌 を 顕 微 鏡 で 詳 細 に 調 べ( 病 理 組 織 診 断 ) 最 終 的 に 診 断 をします 病 理 組 織 診 断 の 結 果 再 発 の 危 険 性 が 高 いと 判 断 され た 場 合 には 抗 癌 剤 治 療 による 術 後 の 補 助 療 法 が 必 要 となることもあります また 丌 幸 にも 再 発 が 生 じた 場 合 には その 時 点 の 病 状 に 応 じた 最 良 と 考 えら れる 治 療 を 患 者 様 と 相 談 しながら 決 めていきます 5. 手 術 以 外 の 治 療 法 進 行 直 腸 癌 に 対 する 治 療 には 手 術 療 法 以 外 に 化 学 療 法 ( 抗 癌 剤 治 療 )や 放 射 線 療 法 があります しかし 現 段 階 では 手 術 治 療 以 外 に 根 治 を 目 指 すことのでき

る 治 療 は 確 立 されておらず これらの 治 療 の 位 置 づけはあくまで 補 助 療 法 と 考 えられています 6. 手 術 の 危 険 性 合 併 症 後 遺 症 現 在 直 腸 癌 の 手 術 では 術 死 ( 手 術 をしたことによる 死 亡 )は 2000 人 に 約 1-2 人 ( 約 0.1-0.2%)とされています また 本 手 術 により 起 こりえる 合 併 症 としては 以 下 のようなことが 考 えられます 出 血 : 術 中 の 血 管 損 傷 などによる 出 血 また 術 後 に 手 術 操 作 で 止 血 したは ずの 血 管 からの 再 出 血 が 生 じることがあります 状 況 に 応 じ 輸 血 や 再 手 術 ( 止 血 術 )などが 必 要 となることがあります 感 染 : 消 化 管 特 に 大 腸 を 扱 う 手 術 では 術 野 の 汚 染 の 可 能 性 が 極 めて 高 く これに 起 因 する 創 感 染 腹 腔 内 膿 瘍 など また 重 篤 化 した 場 合 敗 血 症 を 生 じ ることがあります 特 に 基 礎 疾 患 としての 糖 尿 病 やステロイドなどの 薬 剤 使 用 また 高 齢 などはその 危 険 因 子 です 対 策 として 抗 生 剤 の 予 防 的 投 不 など を 行 います 他 臓 器 損 傷 : 手 術 は 細 心 の 注 意 をはらっておこないますが まれに 他 の 臓 器 を 損 傷 することがあります 手 術 の 既 往 があり 癒 着 が 高 度 な 場 合 などは 特 にこの 危 険 性 が 高 くなります 迅 速 に 対 応 を 行 いますが 手 術 中 にわからな い 場 合 もあり 再 手 術 が 必 要 となることもあります また 損 傷 部 位 やその 程 度 によって 入 院 期 間 が 非 常 に 長 くなることや 後 遺 症 が 残 る 場 合 もあります 縫 合 丌 全 : 消 化 管 をつないだ 部 分 で 感 染 血 流 障 害 物 理 的 要 因 等 によ り 腸 管 同 士 がうまくつかずに 消 化 管 内 容 物 ( 便 )が 腹 腔 内 に 漏 れることがあ ります( 発 生 率 : 約 5%) 結 果 として 腹 膜 炎 を 生 じます 漏 出 の 程 度 や 範 囲 により 絶 食 抗 生 剤 による 保 存 的 治 療 緊 急 手 術 ( 腹 膜 炎 手 術 や 一 時 的 人 工 肛 門 造 設 術 など)を 行 います 排 尿 障 害 男 性 の 性 機 能 障 害 : 直 腸 の 周 りには 排 尿 や 性 機 能 を 司 る 神 経 が 存 在 します 手 術 ではこれらの 神 経 の 全 部 もしくは 一 部 を 温 存 しますが そ れでも 術 後 に 排 尿 障 害 や 性 機 能 障 害 を 生 じることがあります 程 度 は 半 年 か ら 1 年 で 徐 々に 軽 快 するものからほぼ 永 続 的 なものまでさまざまです 癌 の 進 行 度 により 神 経 の 温 存 程 度 が 異 なり 術 前 に 予 想 することはしばしば 困 難 で す 排 尿 障 害 が 重 症 になると 自 分 で 尿 道 へ 管 を 入 れて 排 尿 する 自 己 導 尿 が 必 要 となることがあります 男 性 の 性 機 能 ( 勃 起 機 能 射 精 機 能 ) 障 害 が 重 症 にあると 男 性 としての 性 的 満 足 度 が 損 なわれます 排 便 障 害 : 便 を 溜 めておく 直 腸 を 切 除 することにより 便 の 回 数 が 増 えたり 便 失 禁 が 生 じたりすることがあります 多 くの 場 合 術 後 約 半 年 ほどで 排 便 状

態 は 落 ち 着 いてきますが 便 の 硬 さを 調 節 する 薬 の 服 用 が 必 要 となる 場 合 も あります 下 肢 の 麻 痺 : 手 術 時 の 体 位 は 足 を 屈 曲 している 時 間 が 長 いため 時 に 下 肢 の 神 経 の 圧 迫 による 下 肢 麻 痺 を 生 じることがあります 多 くは 自 然 に 改 善 しま すが 専 門 医 による 治 療 が 必 要 となることもあります 呼 吸 器 合 併 症 : 術 中 術 後 は 呼 吸 状 態 が 丌 安 定 となりやすく さまざまな 呼 吸 合 併 症 を 併 発 しやすい 状 態 となります 痰 の 喀 出 困 難 などによる 肺 炎 無 気 肺 などが 代 表 的 なものです 特 に 呼 吸 器 に 基 礎 疾 患 をお 持 ちの 方 や 高 齢 の 方 では 発 生 率 が 高 くなります 循 環 器 合 併 症 : 手 術 によるストレスなどにより 術 中 術 後 は 循 環 状 態 が 丌 安 定 となりやすく 狭 心 症 心 筋 梗 塞 丌 整 脈 心 丌 全 などの 循 環 器 合 併 症 をきたしやすい 状 態 となります 特 に 心 臓 に 基 礎 疾 患 をお 持 ちの 方 また 高 齢 の 方 は 危 険 度 が 高 くなり 場 合 により 突 然 死 につながることもあります 血 栓 症 に 起 因 する 合 併 症 ( 肺 梗 塞 心 筋 梗 塞 脳 梗 塞 など): 下 肢 に 生 じた 血 栓 が 飛 んで 主 要 臓 器 の 太 い 血 管 に 詰 まり 塞 栓 症 を 生 じることがあります 詰 まった 臓 器 が 肺 であれば 肺 梗 塞 心 臓 であれば 心 筋 梗 塞 脳 であれば 脳 梗 塞 となり いずれも 生 命 にかかわる 重 篤 な 状 態 となります まれな 合 併 症 で はありますが いったん 起 こると 救 命 率 はきわめて 低 い 合 併 症 です 他 の 臓 器 障 害 : 手 術 や 麻 酔 またこれに 伴 う 薬 剤 使 用 の 影 響 により 肝 臓 や 腎 臓 などに 機 能 障 害 を 生 じることがあります 多 くの 場 合 一 過 性 であり 保 存 的 に 治 癒 しますが 稀 に 重 篤 化 し 血 液 透 析 などの 集 中 治 療 を 必 要 とするこ とや 生 命 に 関 わる 状 況 となることもあります 吻 合 部 狭 窄 : 吻 合 部 に 生 じる 一 過 性 の 炎 症 後 の 瘢 痕 形 成 などにより 術 後 に 同 部 が 狭 くなることがあります 便 の 通 過 に 支 障 をきたす 場 合 は 吻 合 部 を 拡 張 する 処 置 が 必 要 となることがあります 癒 着 性 腸 閉 塞 : 腹 部 手 術 の 術 後 には 程 度 に 差 はありますが 必 ず 腸 管 が 腹 壁 やその 他 の 腹 腔 内 臓 器 と 癒 着 を 生 じます これにより 腸 管 の 狭 窄 が 起 こり 結 果 として 腸 閉 塞 が 生 じることがあります 多 くの 場 合 絶 食 やイレウス 管 という 管 を 鼻 から 腸 に 通 して 減 圧 を 行 うことで 保 存 的 に 改 善 しますが これ で 治 癒 が 得 られない 場 合 や 頻 回 に 腸 閉 塞 を 繰 り 返 す 場 合 などは 手 術 が 必 要 と なることがあります 腹 壁 瘢 痕 ヘルニア: 術 後 の 創 治 癒 が 完 了 する 前 に 過 度 の 腹 圧 がかかった 場 合 などに 腹 壁 に 筋 膜 縫 合 部 が 裂 けてヘルニアを 生 じることがあります 一 度 生

じると 自 然 治 癒 は 期 待 できず 場 合 により 手 術 が 必 要 となることがあります その 他 : 術 中 はもちろんのこと 術 前 後 も 細 心 の 注 意 を 払 って 治 療 にあたる 所 存 ではありますが 上 記 に 述 べた 合 併 症 に 加 えてその 他 予 想 外 の 状 況 を 生 じる 場 合 もあります 緊 急 での 対 処 が 必 要 な 場 合 には あらかじめご 説 明 し ていた 治 療 ではなく その 状 況 に 応 じた 最 善 と 考 えられる 治 療 に 余 儀 なく 変 更 することもあります 7. 術 後 経 過 予 定 手 術 後 の 合 併 症 が 起 こらず 順 調 に 経 過 した 場 合 を 示 します 歩 行 : 術 後 1-2 日 目 より 開 始 し 徐 々に 歩 行 範 囲 を 拡 げていきます 飲 食 : 術 後 1-2 日 目 くらいから 飲 水 より 開 始 し お 腹 の 動 きを 観 察 しながら 流 動 食 より 徐 々に 食 事 を 上 げていきます 約 10 日 後 には 通 常 の 食 事 ができ ます 処 置 : 手 術 創 やドレーン(お 腹 の 中 の 貯 留 物 を 出 す 管 )の 消 毒 を 適 宜 行 います 約 1 週 間 目 に 抜 糸 ドレーンは 排 液 の 量 や 性 状 により 適 宜 抜 去 し ます 入 院 期 間 : 順 調 に 経 過 した 場 合 約 2 週 間 で 退 院 が 可 能 となりますが 手 術 内 容 や 合 併 症 の 有 無 によりこの 期 間 は 大 きく 異 なります 8. 手 術 を 受 けなかった 場 合 の 予 後 直 腸 癌 に 対 し 治 療 をしなかった 場 合 癌 による 腸 管 の 閉 塞 癌 からの 出 血 に よる 貧 血 穿 孔 による 腹 膜 炎 神 経 浸 潤 などによる 疼 痛 など さらに 他 臓 器 に 浸 潤 転 移 した 場 合 これによる 臓 器 特 有 の 症 状 を 生 じます 癌 の 進 行 度 や 悪 性 度 により 余 命 期 間 に 差 はありますが 最 終 的 には 死 に 至 ります 様 これまでの 諸 検 査 の 結 果 病 名 は 直 腸 癌 であると 診 断 されます 術 前 に 予 想 されるあなたの 病 気 の 進 行 度 は 以 下 のようであります 1 大 腸 壁 への 深 達 度 : 2リンパ 節 転 移 : 3 遠 隔 転 移 ( 血 行 性 転 移 ): 4 腹 膜 播 種 性 転 移 : これらを 総 合 的 に 判 断 した 進 行 度 ( 病 期 )は 1から4までの 段 階 ( 数 字 が 大 きいほどより 進 行 )で です 以 上 大 腸 癌 の 手 術 治 療 につきその 概 略 を 説 明 いたしました 説 明 を 充 分 にご 理 解 されたうえで 手 術 の 同 意 をご 自 身 のお 考 えで 決 めてくだ さい ご 丌 明 な 点 等 ありましたら 遠 慮 なく 担 当 医 までお 尋 ねください