目 次 発 行 にあたって 1 消 費 者 運 動 とサーベイランス 青 山 佾 4 家 計 にあらわれる 不 安 国 際 的 な 金 融 危 機 に 翻 弄 されて 天 野 晴 子 6 生 協 の 組 合 員 像 を 把 握 する 全 国 生 協 組 合 員 意 識 調 査 について 近 本 聡



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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

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市 の 人 口 密 度 は 5,000 人 を 超 え 図 4 人 口 密 度 ( 単 位 : 人 /k m2) に 次 いで 高 くなっている 0 5,000 10,000 15,000 首 都 圏 に 立 地 する 政 令 指 定 都 市 では 都 内 に 通 勤 通 学 する 人 口 が 多

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2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 級 の 給 料 月 額 最 高 号 級 の 給 料 月 額 1 級 ( 単 位 : ) 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 9 級 1 級 135,6 185,8 222,9 261,

18 国立高等専門学校機構

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

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別紙3

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2 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (26 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 静 岡 県 国 類 似 団 体 2 技 能 労 務 職 区 41.8 歳 42.6 歳 43.5

m07 北見工業大学 様式①


3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 135,6 243,7 2 級 185,8 37,8 3 級 4 級 222,9 354,7 ( 注 )

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

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(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) (H25.4.1) (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.7.1) (H25.4.1) (H25.7.1)

(2) 職 員 の 初 任 給 の 状 況 ( 平 成 17 年 4 月 1 日 現 在 ) 初 任 給 2 年 後 の 給 料 初 任 給 2 年 後 の 給 料 一 般 行 政 職 技 能 労 務 職 大 学 卒 171,1 151,5 19,2 164,7 17,7 184,4 中 学 卒 1

(5) 給 与 改 定 の 状 況 事 委 員 会 の 設 置 なし 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 A B A-B ( 改 定 率 ) 給 与 改 定 率 ( 参 考 ) 国 の 改 定 率 24 年 度 円 円 円 円 ( ) 改

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 135,6 243,7 185,8 222,9 261,9

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 ( 単 位 : 円 ) 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 413,

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

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後期高齢者医療制度

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一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 3 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 級 3 級 4 級 5 級 6 級 単 位 : ( ) 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 137, 163,7 4,9 31,4 71, 33,3 359,7 最 高 号 給 の 給 料 月 額

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私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等


(4) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている.

3 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 43.7 歳 32, , ,321

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頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

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全設健発第     号

職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 年 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 福 岡 県 技 能 労 務 職 歳 1,19,98 9,9 歳 8,

公表表紙

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

平成16年度

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 最 高 号 給 の 給 料 月 額 243,7 37,8 35

Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震

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定款

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

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技 能 労 務 職 平 均 年 齢 歳,7 平 均 給 料 月 額 歳 7,,8, 歳,9,57, 7,7 7,9 9,5 - (8,85) (5,) 類 似 団 体 5. 歳 9,8 9, 85, ( 注 ) 平 均 給 料 月 額 とは 平 成 5 年 月 日 現 在 における

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

16 日本学生支援機構

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ニュースリリース

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(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 (H20.4.1) 96.7 (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.4.1), (H25.4.1) 参 考 値 98.3 (H25.7.1) (H20.4.1) (H25.4

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 現 況 ( 平 成 22 1 号 給 の 給 料 月 額 137,9 188,9 226,7 266,4 294,3 最 高 号 給 の 給 料 月 額 247,9 314,9 362,8 399,9 415,1 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制

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3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

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(5) 給 与 改 定 の 状 況 該 当 なし ( 事 委 員 会 を 設 置 していないため) 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 ( 参 考 ) 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 給 与 改 定 率 国 の 改 定 率 A B AB ( 改 定 率 ) 年 度 ( )



は 共 有 名 義 )で 所 有 権 保 存 登 記 又 は 所 有 権 移 転 登 記 を された も の で あ る こと (3) 居 室 便 所 台 所 及 び 風 呂 を 備 え 居 住 の ために 使 用 す る 部 分 の 延 べ 床 面 積 が 5 0 平 方 メ ー ト ル 以 上

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(2) 就 業 規 則 の 状 況 就 業 規 則 は 90.0%の 事 業 所 が 整 備 している このうち 就 業 規 則 を 周 知 している 事 業 所 は 84.0%で 周 知 の 方 法 ( 複 数 回 答 )については 常 時 掲 示 または 備 え 付 け が 最 も 多 く 64

( 注 )1 ラスパイレス 指 数 とは 全 地 方 公 共 団 体 の 一 般 行 政 職 の 給 料 月 額 を 一 の 基 準 で 比 較 するため の 職 員 数 ( 構 成 )を 用 いて 学 歴 や 経 験 年 数 の 差 による 影 響 を 補 正 し の 行 政 職 俸 給 表 (

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 2 年 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものです ( 単 位 : ) 3 職 員 の 平 均 給 与 月

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

波佐見町の給与・定員管理等について

Transcription:

発 行 にあたって まちと 暮 らし 研 究 の 第 5 号 をお 届 けします この 号 は 東 京 のまちと 暮 らし と 題 して 研 究 所 が 取 り 組 んでいる 2 つの 分 野 の 調 査 研 究 活 動 の 内 容 をご 紹 介 しています 調 査 研 究 活 動 のひとつは 消 費 生 活 の 動 向 の 調 査 研 究 です 日 本 女 子 大 学 の 天 野 晴 子 准 教 授 に 座 長 をお 願 いして これまでの 研 究 会 では 各 々の 研 究 会 メンバーから 報 告 をいただいています この 号 では メンバーの 問 題 意 識 にそった 論 稿 を 掲 載 しています また 東 京 都 の 生 計 分 析 調 査 についてもヒ アリングを 行 いましたので その 要 旨 を 掲 載 させていただきました いまひとつの 調 査 研 究 活 動 は 都 内 の 基 礎 的 自 治 体 のデータ 収 集 と 解 析 です これは 自 治 体 ベンチマーク 検 討 会 と 銘 打 ち 早 稲 田 大 学 の 坪 郷 實 教 授 に 座 長 をお 願 いして 検 討 を 重 ねてきました すでに 昨 年 に 都 内 基 礎 自 治 体 データブック の 試 行 版 をまとめています この 号 では 2008 年 度 まで のデータを 活 用 して 検 討 会 メンバーがそれぞれのテーマについて データ から 何 が 読 み 取 れるかをまとめています ここで 抽 出 したテーマは 市 民 自 治 環 境 社 会 福 祉 市 民 サービス 都 市 基 盤 などです いずれも はでな 調 査 研 究 ではありませんが これらの 成 果 が 東 京 に 暮 らし さまざまな 活 動 する 人 びとにとっての 知 的 なインフラストラク チャーを 整 備 し 生 協 や NPO などの 諸 活 動 の 糧 になればと 願 っております どんな 内 容 でも 構 いません 読 者 からのご 意 見 を 期 待 します 名 和 三 次 保 財 団 法 人 消 費 生 活 研 究 所 理 事 長

目 次 発 行 にあたって 1 消 費 者 運 動 とサーベイランス 青 山 佾 4 家 計 にあらわれる 不 安 国 際 的 な 金 融 危 機 に 翻 弄 されて 天 野 晴 子 6 生 協 の 組 合 員 像 を 把 握 する 全 国 生 協 組 合 員 意 識 調 査 について 近 本 聡 子 12 web コミュニティから 見 える くらしの 中 での 商 品 の 使 われ 方 内 田 一 樹 19 東 京 都 の 生 計 分 析 調 査 について 林 奈 津 子 22 都 内 基 礎 自 治 体 データブック 活 用 法 編 集 部 30

東 京 の 自 治 の 現 状 基 礎 自 治 体 のデータを 読 む1 坪 郷 實 34 環 境 データと 都 市 特 性 基 礎 自 治 体 のデータを 読 む2 田 中 充 40 東 京 の 福 祉 医 療 基 礎 自 治 体 のデータを 読 む3 伊 藤 久 雄 53 市 民 サービス 都 市 基 盤 基 礎 自 治 体 のデータを 読 む4 西 田 穣 58 あなたの 自 治 体 はどこに? 1 都 内 基 礎 自 治 体 ベンチマーク 調 査 から 編 集 部 66 あなたの 自 治 体 はどこに? 2 都 内 基 礎 自 治 体 ベンチマーク 調 査 から 編 集 部 71 東 京 の 自 治 探 訪 5 1933 年 都 制 案 の 廃 案 と 都 制 促 進 運 動 の 展 開 林 和 孝 77 写 真 まちの 情 景 久 塚 真 央

消 費 者 運 動 とサーベイランス 青 山 佾 * 大 臣 を 歴 任 したあと 後 藤 新 平 (11 ページ 参 照 )は 1920 年 ( 大 正 9 年 ) 東 京 市 の 市 長 に 就 任 した 初 仕 事 は いわゆる 世 論 調 査 やアンケート 調 査 に 加 え 東 京 市 の 現 状 と 課 題 を 整 理 し 各 課 の 事 業 の 実 態 を 調 べ 総 合 調 整 を 行 い さらに 市 の 事 業 の 長 期 計 画 を 立 案 する 政 策 部 門 としての 調 査 課 の 設 置 だった 反 対 もあったが 後 藤 新 平 は たとえば 市 役 所 内 の 水 道 課 と 下 水 道 課 と 道 路 課 の 間 で 地 下 埋 設 物 について 設 計 上 の 交 渉 がなくバラバラ 行 政 だ と 主 張 し 調 査 課 の 設 置 を 強 行 した 調 査 課 の 主 な 仕 事 は 長 期 計 画 の 作 成 だった 当 時 の 東 京 は 急 速 な 工 業 化 に 都 市 整 備 が 追 いつかず 道 路 や 市 電 は 大 混 雑 学 校 や 病 院 福 祉 施 設 は 不 足 ごみ 処 理 や 下 水 は 人 口 増 加 に 追 いつかなかった これらを 10 年 余 の 歳 月 と 8 億 円 の 経 費 をかけて 整 備 しようというものである 当 時 の 東 京 市 の 年 間 予 算 が 1 億 円 余 だったから また 後 藤 新 平 の 大 風 呂 敷 が 始 まった と 言 われた しかし 後 藤 新 平 は 毎 年 度 の 予 算 だけで 仕 事 をするから 事 業 の 選 択 が 恣 意 的 になって 汚 職 が 発 生 する 長 期 計 画 を 市 民 に 公 表 して 公 平 に 進 めるべきだ と 主 張 した この 計 画 が 1923 年 ( 大 正 12 年 )の 関 東 大 震 災 において 震 災 復 興 計 画 として 生 きた 調 査 の 調 は ととのえる 査 は かんがえる の 意 味 だから 後 藤 新 平 の 調 査 課 はまさに 言 葉 の 意 味 からくる 本 来 の 調 査 機 能 を 発 揮 したわけである 調 査 は 英 語 ではサーベイ(survey)だが 一 歩 進 むとサーベイランス * あおやま やすし 明 治 大 学 大 学 院 教 授 作 家 元 東 京 都 副 知 事 当 研 究 所 顧 問 4

essay (surveillance)すなわち 政 策 監 視 となる 消 費 者 運 動 にとってはこのサー ベイランスが 重 要 であって これはおかしい 怪 しい 納 得 できない と 感 じたことについて 調 査 して 不 正 や 不 適 切 を 突 き 止 め 是 正 させる 機 能 が 期 待 される 消 費 者 運 動 は 市 場 はまったく 自 由 に 放 置 すると 各 プレーヤーが 利 己 的 に 走 り 不 正 が 発 生 しかねない という 問 題 意 識 をもっている だから 市 場 に 対 してサーベイランスが 必 要 となる 市 場 の 側 でもそれはわかって いて たとえば 株 式 市 場 等 に 対 しては 証 券 取 引 等 監 視 委 員 会 が 常 時 監 視 を 続 けている 消 費 者 運 動 団 体 はそのときどきに 問 題 となっていることについて 110 番 を 設 置 して 消 費 者 の 相 談 に 応 じることがあるが これには 啓 発 相 談 問 題 処 理 だけではなく サーベイランスという 意 味 もある だから 110 番 の 結 果 個 別 の 問 題 処 理 ができて 了 とするだけでなく その 結 果 を 公 表 して 新 たな 被 害 が 生 じないよう 社 会 を 啓 発 し 関 係 者 に 改 善 を 要 求 する 行 為 を 伴 う 日 常 的 に 各 地 の 消 費 者 センターから 集 められる 相 談 情 報 もサーベイラン スの 機 能 をもっている 相 談 内 容 の 種 別 の 傾 向 から 今 何 が 問 題 である かが 相 当 鮮 明 にわかる これらに 加 えて 問 題 が 顕 在 化 していなくとも これが 問 題 ではないか ということを 先 駆 的 に 調 べるのが 本 当 のサーベイランスであると 考 えるこ とができる 消 費 者 運 動 に 最 も 求 められているのはこの 機 能 ではないか 私 の 自 治 体 職 員 時 代 の 経 験 からすると 規 則 や 前 例 に 従 った 判 断 はまち がえることがあるが 自 分 の 生 活 実 感 から 内 心 に 問 うてみて こうするべ きだ と 思 った 判 断 はまちがえない 自 分 の 直 感 のほうが 頼 りになる 高 度 情 報 化 時 代 だからこそ インテリジェンス( 直 感 ひらめき ヒン ト)から 出 発 して それを 調 査 で 裏 付 ける 視 点 が 大 切 だと 思 う そういう 姿 勢 があって 初 めて 調 査 が 役 に 立 つ 私 たちは 遠 慮 しないで 生 活 実 感 を 主 張 し 合 うべきだ 行 政 の 調 査 だけでなく 消 費 生 活 研 究 所 のような 民 間 が 行 う 調 査 活 動 の 意 義 もそこにあると 思 う 5

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 家 計 にあらわれる 不 安 国 際 的 な 金 融 危 機 に 翻 弄 されて 天 野 晴 子 * 消 費 生 活 動 向 調 査 研 究 会 座 長 1. 国 際 的 な 金 融 危 機 に 翻 弄 された 家 計 2008 年 は 家 計 にとって 国 際 的 な 金 融 危 機 に 翻 弄 された 1 年 でも あった ひとつめは 世 界 的 な 投 機 マネーが 世 界 金 融 危 機 をもたらし 石 油 や 穀 物 等 食 糧 価 格 の 高 騰 を 招 いたことである 2008 年 の 平 均 消 費 者 物 価 指 数 の 動 向 ( 総 務 省 統 計 局 )からいくつか 抜 き 出 してみたい ガソリンは 4 月 の 揮 発 油 税 地 方 道 路 税 の 暫 定 税 率 失 効 による 一 時 的 な 下 落 ののち 急 上 昇 し 8 月 のガソリンの 消 費 者 物 価 指 数 は 147.9 を 記 録 した 翌 月 の 9 月 以 降 は 下 落 に 転 じ 12 月 には 94.2 となった 燃 油 価 格 の 高 騰 は 航 空 運 賃 の 値 上 げとなり 同 運 賃 は 前 年 比 で 7.0%の 上 昇 となった 食 料 については 小 麦 やトウモロコシなどの 穀 物 価 格 の 国 際 的 な 高 騰 カカオ 豆 や 乳 製 品 等 の 原 材 料 費 の 高 騰 原 油 価 格 の 高 騰 に よる 燃 料 費 包 装 資 材 輸 送 費 の 値 上 がりなどの 影 響 を 受 けて 幅 広 い 品 目 で 上 昇 した 前 年 比 で 上 昇 が 顕 著 なものをあげると スパゲッティ (27.8%) チーズ(25.3%) 即 席 めん(18.9%) マーガリン(16.5%) チョコレート(16.4%)をはじめ 穀 類 菓 子 類 調 理 食 品 外 食 な * あまの はるこ 日 本 女 子 大 学 家 政 学 部 家 政 経 済 学 科 准 教 授 生 活 経 済 学 会 理 事 日 本 消 費 者 教 育 学 会 理 事 ほか 著 書 : 生 活 時 間 と 生 活 福 祉 ( 共 編 2005 年 光 生 館 ) 男 女 共 同 参 画 統 計 データブック 2009 ( 共 著 ぎょうせい) 現 代 の 生 活 経 済 ( 共 著 2002 年 朝 倉 書 店 ) ほか 多 数 6

家 計 にあらわれる 不 安 どの 食 料 の 値 上 げが 家 計 を 直 撃 した ふたつめは アメリカのサブプライムローン 問 題 から 広 がった 世 界 的 金 融 危 機 が 非 正 規 労 働 者 の 解 雇 をはじめ 雇 用 全 体 を 脅 かす 事 態 に 及 んだことである 社 会 保 障 をはじめとするセーフティネットが 不 十 分 な 状 況 下 で 雇 用 の 不 安 定 化 と 収 入 不 安 は 家 計 を 萎 縮 させ 消 費 の 落 ち 込 みから 不 況 へという 負 のスパイラルを 断 ち 切 ることができなくなる こ れについては 次 項 で 詳 しくみていきたい 2.つのる 生 活 不 安 と 将 来 不 安 内 閣 府 国 民 生 活 に 関 する 世 論 調 査 (2008 年 6 月 )によると 日 常 生 活 での 悩 みや 不 安 を 感 じている 人 は 70.8%で その 内 容 は 老 後 の 生 活 設 計 について をあげた 人 がもっとも 多 く(57.7%) 次 いで 自 分 の 健 康 について (49.0%) 今 後 の 収 入 や 資 産 の 見 通 しについて (42.4%) 家 族 の 健 康 について (41.4%)と 続 く 前 回 調 査 (2007 年 7 月 )と 比 べると 老 後 の 生 活 設 計 について 今 後 の 収 入 や 資 産 の 見 通 しについて をあげる 人 の 割 合 が 上 昇 している 金 融 広 報 中 央 委 員 会 家 計 の 金 融 行 動 に 関 する 世 論 調 査 (2008 年 ) では 老 後 の 生 活 が 心 配 とする 人 の 割 合 は 2 人 以 上 世 帯 の 8 割 強 単 身 世 帯 の 9 割 弱 に 及 び その 理 由 として 十 分 な 貯 蓄 がないから と 年 金 や 保 険 が 十 分 でないから がそれぞれ 7 割 をこえる 高 い 割 合 となっ ている 日 本 銀 行 生 活 意 識 に 関 するアンケート 調 査 ( 第 37 回 ) (2009 年 3 月 ) によると 現 在 の 暮 らし 向 きについて 1 年 前 に 比 べて ゆとりがなく なってきた とする 人 は 61.7%で その 理 由 では 給 与 や 事 業 などの 収 入 が 減 ったから (63.7%) 物 価 が 上 がったから (46.3%)が 多 い 1 年 前 と 比 べて 生 活 費 や 教 育 費 などの 日 常 的 な 支 出 を 減 らしている 7

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 人 は 44.6% 趣 味 やレジャーなど 選 択 的 な 支 出 を 減 らしている 人 は 67.4% 今 後 1 年 間 支 出 を 減 らす とした 人 は 65.7%であった また 1 年 後 をみた 勤 労 者 の 勤 め 先 での 雇 用 処 遇 について 不 安 を か なり 感 じる 人 は 44.3% 少 し 感 じる 人 は 46.1%で かなり 感 じ る 人 の 割 合 は 前 々 回 調 査 (2008 年 9 月 40.1%) 前 回 調 査 ( 同 12 月 42.4%)に 続 けて 増 加 傾 向 がみられる 家 計 は 現 在 の 収 入 だけでなく 今 後 の 収 入 がどうなるかを 考 えなが ら 現 在 の 消 費 を 行 っている 消 費 低 迷 の 要 因 には 所 得 の 減 少 とともに 雇 用 生 活 将 来 のいずれにもつのる 不 安 という 要 素 があげられる 3. 家 計 にあらわれる 不 安 家 計 において 不 安 は 収 入 や 消 費 支 出 の 減 少 や 貯 蓄 と 結 び 付 けて 語 ら れるが それ 以 外 にも 注 目 される 項 目 がある 足 立 (2007)は 不 安 支 出 として 信 仰 祭 祀 費 と 損 害 保 険 料 をあげているが ここでは 特 に 後 者 に 注 目 したい 表 は 総 務 省 家 計 調 査 年 報 における 消 費 支 出 と 非 貯 蓄 型 保 険 料 等 の 推 移 を 示 したものである 非 貯 蓄 型 保 険 料 は 火 災 保 険 料 や 自 動 車 保 険 料 を 除 いた 掛 け 捨 て 型 の 民 間 保 険 料 で 消 費 支 出 を 構 成 す る 10 大 費 目 分 類 の その 他 の 消 費 支 出 に 含 まれる 品 目 である 傷 害 保 険 旅 行 保 険 ゴルファー 保 険 などが 該 当 し 金 額 的 には 民 間 医 療 保 険 ( 掛 け 捨 て 型 )がメインになっていると 目 される 支 出 金 額 ( 名 目 )をみると 消 費 支 出 は 1985 年 から 1995 年 ま で 1.2 倍 に 増 加 しているものの 以 後 はほぼ 漸 減 している 1985 年 と 2007 年 を 比 べると 1.1 倍 となる 表 には 消 費 支 出 を 構 成 する 10 大 費 目 のうち 構 成 割 合 が 高 い 食 料 と その 他 の 消 費 支 出 を 示 して あるが 両 者 とも 同 様 の 傾 向 がみられる 一 方 非 貯 蓄 型 保 険 料 は 8

家計にあらわれる不安 表 世帯当たり年間の品目別支出金額の推移 2 人以上の世帯 消費支出 世帯主の 年齢階級 1985 年 1990 年 1995 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 29 歳 30 39 歳 40 49 歳 50 59 歳 60 69 歳 70 歳 単位 円 食料 3,277,373 その他の消費支出 957,528 746,096 3,948,741 1,024,518 3,807,937 973,680 913,662 835,862 3,734,084 1,030,125 3,708,649 3,671,438 945,571 939,218 3,635,703 3,606,377 3,539,316 914,712 902,003 891,439 3,622,095 3,573,382 2,989,104 3,245,877 4,022,844 4,183,130 3,451,037 2,890,529 919,666 901,601 619,372 760,225 953,464 977,960 945,925 848,410 861,312 804,154 796,039 770,573 776,049 761,997 737,245 748,691 494,862 521,299 722,958 1,055,310 749,352 613,450 非貯蓄型 保険料 10,567 15,328 23,923 38,019 38,219 49,915 56,269 61,158 64,309 66,530 73,753 52,343 74,695 84,759 90,323 75,383 43,602 *1 1995 年以前は 農林漁家世帯を除く結果 *2 非貯蓄型保険料は 火災保険料 自動車保険料 自動車保 険料以外の輸送機器保険料 を除いた各種掛け捨て型の保険料 資料 総務省統計局 家計調査年報 より作成 1985 年の 10,567 円から上昇を続け 2007 年には 73,753 円と約 7 倍 に及んでおり 増加が著しいことがわかる 4 あおられる不安と広告 家計において きわだった支出増を続けている 非貯蓄型保険料 の 背景には 外資系保険会社をはじめさまざまなタイプの掛け捨て型民間 9

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 医 療 保 険 が 販 売 されるようになったことがあげられる 雇 用 問 題 医 療 費 等 の 負 担 や 社 会 保 障 への 不 信 等 の 影 響 を 受 け 増 大 する 生 活 不 安 を 抱 える 家 計 は 病 気 になると 多 額 の 医 療 費 がかかると 強 調 する 医 療 保 険 の 広 告 やテレビコマーシャルに 呼 応 するように 医 療 保 険 の 支 出 を 増 やし ていった 2007 年 の 新 聞 記 事 では 医 療 保 険 の 広 告 やテレビコマーシャルが 消 費 者 の 不 安 をあおりかねないとして 厚 生 労 働 省 が 保 険 会 社 に 対 して 改 善 指 導 に 乗 り 出 したことが 報 道 されている(2007 年 4 月 21 日 朝 日 新 聞 同 5 月 26 日 毎 日 新 聞 など) これは がんなどの 重 い 病 気 の 治 療 費 のうち 大 半 は 公 的 な 健 康 保 険 でまかなえることが 多 いが 多 額 の 自 己 負 担 が 必 要 だとの 誤 解 を 与 えかねないケースがあるため で 指 摘 された 外 資 系 生 命 保 険 会 社 のがん 保 険 の 新 聞 広 告 では がんの 平 均 入 院 日 数 と 1 日 当 たり 診 療 費 の 一 覧 を 載 せ 医 療 費 が 計 100 万 円 前 後 かかることを 示 唆 その 下 に 実 際 は 3 割 程 度 の 自 己 負 担 になる と 注 釈 をつけているため 30 万 円 ほどの 負 担 をまかなうのに 保 険 が 必 要 との 印 象 を 与 えていた ( 内 は 朝 日 新 聞 )という 一 定 額 以 上 の 医 療 費 を 支 払 った 場 合 に 払 い 戻 しを 受 けられる 高 額 療 養 制 度 の 説 明 が 一 切 なく この 制 度 を 使 えば 入 院 中 の 食 費 などを 除 き 自 己 負 担 は 9 万 円 弱 で 済 むようだが 消 費 者 にはわからない 国 際 的 にも 国 内 的 にも 経 済 社 会 の 荒 波 を 受 けてゆらぐ 家 計 は 抱 えた 不 安 をターゲットに 次 々と 開 発 される 金 融 商 品 にも 翻 弄 される 時 代 を 迎 えているようである 10

家計にあらわれる不安 引用文献 足立則夫 消費者不安の中身 消費者問題研究グループ めざそう消費者 の安全 安心社会 2007 年 天野晴子 家計 資産 国立女性教育会館 男女共同参画統計データブッ ク 2009 2009 年 ぎょうせい 金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査 平成 20 年 2008 年 総務省統計局 家計調査年報 家計収支編 平成 19 年 2008 年 総務省統計局 平成 20 年平均消費者物価指数の動向 2008 年 内閣府大臣官房政府広報室 国民生活に関する世論調査 2008 年 日本銀行 生活意識に関するアンケート調査 第 37 回 2009 年 3 月 まちづくりの用語集① 後藤新平 4 ページ 1 行目など ごとう しんぺい 1857 年 1929 年 明治 大正期にかけての官僚 政治家 内務大臣 東京市長などを歴任 関東大震災後 東京の都市復興計画を立案し たことで有名 計画の規模の大きさから 大風呂敷 とあだ名された 詳しく は郷 仙太郎著 小説 後藤新平 1997 年 学陽書房 を参照 11

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 生 協 の 組 合 員 像 を 把 握 する 全 国 生 協 組 合 員 意 識 調 査 について 近 本 聡 子 * 1 生 協 組 合 員 とはどのような 人 か 消 費 生 活 協 同 組 合 が 成 立 して 以 来 現 在 に 至 るまで 組 合 員 としてメン バーになる 人 ( 法 律 では 世 帯 )の 集 団 的 な 特 性 はかなり 変 化 してきてい るといえる これは デモグラフィックな 面 ( 世 代 構 成 など)で 数 値 的 に 変 化 しているためともいえるし 質 的 に 日 本 国 民 のくらしが 変 化 して いるためともいえる 日 本 の 場 合 は 女 性 のライフスタイルやライ フコースの 激 変 を 組 合 員 のくらしの 変 化 として 時 々 刻 々と 捉 えること ができ 筆 者 はその 点 に 一 番 関 心 を 持 っている 生 協 にも 様 々な 分 野 があるが 特 に 日 々の 生 活 物 資 を 調 達 すること を 目 的 としている 地 域 購 買 生 協 といわれる 分 野 の 生 協 は 組 合 員 の 買 い 物 行 動 をメインとする 消 費 行 動 が 事 業 を 左 右 する 重 大 なファクターであ り どのような 人 がどのような 生 活 をするために 何 を 買 っている ある いは 買 いたいと 思 っているのか というニーズを 予 測 しながら 事 業 体 と しても 持 続 する 必 要 がある 組 合 員 はどのような 人 か ということを 把 握 するためには 日 本 社 会 でいうと 国 勢 調 査 のような 組 合 員 属 性 調 査 が 必 要 であるが 日 本 の 全 国 的 な 統 計 資 料 は 現 在 のところ 日 本 生 協 連 * ちかもと さとこ ( 財 ) 生 協 総 合 研 究 所 研 究 員 都 留 文 科 大 学 社 会 学 科 非 常 勤 講 師 近 著 : 既 婚 女 性 は 食 生 活 のマネージャーであり 続 けるか 岩 波 書 店 世 界 2008 年 5 月 号 生 活 の 協 同 排 除 を 超 えてともに 生 きる 社 会 へ ( 共 著 2007 年 日 本 評 論 社 ) 12

生 協 の 組 合 員 像 を 把 握 する が 実 施 している 全 国 生 協 組 合 員 意 識 調 査 が 唯 一 のものである 近 年 は 地 域 生 協 や 連 合 会 でも 基 礎 調 査 を 実 施 しているところがある 生 協 はメンバーシップの 組 織 であるから メンバーの 属 性 が 簡 単 に 分 かって 事 業 も 有 利 であるといわれることがあるが メンバーのことが 把 握 されているというのは 大 いなる 幻 想 で 年 齢 などの 基 本 属 性 を 把 握 し ていない 生 協 のほうが 多 い 生 活 クラブ 生 協 では 20 年 以 上 前 から 属 性 把 握 による 分 析 をしているが 他 は あってもここ 10 年 加 入 者 という レベルのところがほとんどである 組 合 員 本 人 年 齢 と 子 どもの 有 無 や 末 子 年 齢 くらいは 同 意 を 得 て 情 報 を 収 集 する 必 要 があるだろう 2 日 本 社 会 や 女 性 の 変 化 とともに さて 前 述 の 全 国 生 協 組 合 員 意 識 調 査 は 1994 年 より 3 年 ごとに 実 施 されており 初 回 から 筆 者 も 参 画 させていただき その 後 も 継 続 調 査 と なり 得 るよう 緻 密 に 設 計 をしたものである 2009 年 も 実 施 年 に 当 たり 5 月 を 実 施 時 期 として 現 在 第 6 回 に 当 たる 調 査 が 進 行 中 である 特 徴 としては 組 合 員 数 上 位 30 の 地 域 購 買 生 協 を 対 象 生 協 として その 全 組 合 員 が 対 象 となるため 約 1300 万 人 ( 初 回 は 約 820 万 人 ) からのランダムサンプリングであること これは インターネット 調 査 やモニター 調 査 では 全 く 得 ることのできない 母 集 団 特 定 と 代 表 性 を 確 保 でき どのような 場 にも 出 せる 信 頼 性 の 高 いデータが 得 られることを 保 証 するものである また 30 生 協 で 全 国 の 地 域 がカバーできることも 特 徴 である ただし 大 都 市 圏 への 人 口 集 中 を 反 映 して 09 年 度 の 調 査 ではパルシステム 神 奈 川 ゆめコープが 対 象 になった 替 わりに 長 崎 県 のララコープが 対 象 外 となって より 大 都 市 に 集 中 したサンプル 構 成 に なった その 視 点 からみると マイノリティの 実 情 は 分 かりにくくなっ てきている 1) 13

まちと暮らし研究 No.5 東京のまちと暮らし 研究所の調査 研究活動から 1 高齢化が顕著 日本社会の人口高齢化に伴い 生協組合員の年齢構成も高齢化が進 行している 図 1 を参照 2006 年調査では 平均年齢は 51.4 歳で 1994 年に全国調査を開始して以来初めて 50 歳を超えた 年齢構成で は 40 代が 23 50 代が 27 で 合わせて半数を占め 70 歳以上は 10 となった これを受けて 2009 年調査の一般消費者調査 比較対 照群を形成 も年齢を引き上げ 20 歳以上 79 歳以下の人口比例抽出 となるよう設計している 2006 年調査の年齢中央値は 51 歳で 平均 値とほぼ同じである 20 歳代組合員は 社会的な未婚率の増加に伴い 激減している これは 未婚者は親と同居で自身が食生活マネジメント をしていないか 単身者であっても生協は利用しにくい ニーズに合わ ない状況であることが影響していると推測している 家族幻想が崩壊し つつあるなかで 家族 を基盤にしてきた 生活 協同は 変動せざ 図 1 年齢 経年比較 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2006年(N=4254) 3%7% 11% 2003年(N=4408) 3%8% 11% 2000年(N=4735) 4% 9% 1997年(N=4304) 6% 12% 1994年(N=3825) 8% 12% 12% 11% 12% 13% 13% 13% 15% 14% 13% 14% 15% 18% 14% 15% 11% 16% 16% 16% 30歳未満 30 34歳 35 39歳 40 44歳 50 54歳 55 59歳 60歳以上 無回答 26% 3% 51.4歳 23% 4% 49.5歳 2% 48.6歳 15% 2% 45.4歳 7% 13% 2% 44.8歳 11% 11% 19% 9% 11% 平均年齢 45 49歳 出所 2006 年度全国生協組合員意識調査報告書 日本生協連 1 生協総合研究所発行の 生活協同組合研究 2004 年 2 月号において田中秀樹氏も指摘 14

生協の組合員像を把握する るを得ないと考えている 調査手法が全く異なる調査ではあるが 生活問題研究所の実施してい た生協組合員調査によると 80 年代の生協組合員は 67.2%が 30 歳代 以下であった 2 このように 30 年で組合員の構成は激変しているので ある 年齢層が多様化したばかりではなく 次にみるように同じ世代で あっても働き方も多様化しており 組合員といっても一言ではなかなか 把握しにくい状況になってきている 性別構成はあまり変動がなく 2006 年も男性 5 に対し女性が 94 と圧倒的に多数を占めている この数値はむしろ日本における 日常の 買い物は女性 というジェンダー規範が非常に強固であることが推測で きる数値である 2 女性の就労状況は年齢差が顕著 日本の女性の労働力率を 有配偶 結婚して夫のいる人 か未婚かで みてみたものが 図 2 のグラフ 調査年次 04 年 である 有配偶の女 図 2 女性の労働力率 年齢階級 配偶関係別 100% 80% 60% 40% 20% 0% 90.7% 89.9% 85.9% 84.6% 77.8% 69.2% 70.4% 73.0% 68.4% 68.2% 62.4% 61.4% 68.9% 70.8% 59.6% 66.9% 66.2% 50.0% 49.4% 47.4% 57.3% 43.8% 55.0% 39.5% 39.7% 38.0% 17.0% 16.3% 12.9% 16.1% 12.8% 72.0% 74.0% 15 19 20 24 25 29 30 34 35 39 40 44 45 49 50 54 55 59 60 64 全体 未婚 65 有配偶 出所 総務省統計局 平成 18 年労働力調査 2 生協組合員のくらしと意識 1986 年 生活問題研究所 15

まちと暮らし研究 No.5 東京のまちと暮らし 研究所の調査 研究活動から 性の場合は出産年齢の集中する 20-30 代が低く 40 代後半が高いカマ ボコ型になっている 生協の女性組合員は 100 有配偶ではないものの 家族構成からみると 9 割が有配偶であり この図の有配偶女性と同様 の労働力率を描く 女性組合員の就業状況を年齢別に詳細にみたものが図 3 で 40 歳代 の労働力率は 7 割を超えている パートタイマーとして働く人の割合 もこの年齢層では高い 経年でみてみると日本の社会全体と同様に 30 代前半の労働力率が上がっており ①子どもが小さい時期から働く人が 増加しているか ②子どもを持たずに働き続けているか ③継続して働 き続けているか という可能性が考えられる 生協組合員の場合は①の 可能性が高く 職業復帰の時期が出産後早くなってきているのではない かと推測できるとともに フルタイム就労も微増なので③も増えてきて いると考えられる ただし フルタイム率は意外に横ばいで 全数ベー スでは 15-16 パーセントを 94 年からすべての年次で推移している 仕 事に出る組合員が増えた といってもフルタイムではなく パート労働 図 3 就業状況 0% 小 計 N 3897 20% 14% 20歳代 N 109 26% 30歳代 N 739 17% 4% 40歳代 N 937 20% 50歳代 N 1103 18% 60歳代 N 644 4% フルタイム 10% 5% 13% 4% 24% 52% 1% 0% 0% 1% 45% 36% 24% 100% 1% 14% 0% 33% 10% 27% 13% 32% 35% 39% 16% 無職または専業主婦 80% 8% 0% 0% 1% 1% 2% 1% 1% 3% 0% 4% 71% パート アルバイト 派遣 年収 114 万円以上 自営業主または家族従業者 女性組合員のみ 7% 60% 22% 6% 2% 9% 11% 2% 5% 70歳以上 N 365 1% 16 5% 40% パート アルバイト 派遣 年収 114 万円未満 年金生活者 その他 無回答 出所 2006 年度全国生協組合員意識調査報告書 日本生協連

生 協 の 組 合 員 像 を 把 握 する 表 1 生 協 利 用 業 態 ( 複 数 回 答 ) 人 数 ( 人 ) (%) 店 舗 個 人 配 送 共 同 購 入 共 済 その 他 無 回 答 合 計 4109 58.9 25.1 34.9 11.3 1.7 2.8 20 歳 代 117 55.6 40.2 23.9 4.3 - - 30 歳 代 760 48.7 32.5 37.8 11.1 2.0 2.2 40 歳 代 969 55.3 26.4 40.4 13.7 1.8 2.0 50 歳 代 1153 63.2 21.4 35.7 12.7 2.2 2.3 60 歳 代 682 68.0 21.0 29.5 11.0 1.3 4.0 70 歳 以 上 428 60.0 21.7 27.1 5.1 1.2 6.1 出 所 : 2006 年 度 全 国 生 協 組 合 員 意 識 調 査 報 告 書 日 本 生 協 連 の 従 事 者 が 増 加 していることを 押 える 必 要 があるだろう (3) 利 用 業 態 も 変 化 表 1 は 組 合 員 と 生 協 とのインターフェイスとなる 場 はどのように なっているのかをみるために 組 合 員 の 生 協 利 用 業 態 について 複 数 回 答 で 聞 いたものである 購 買 チャネルとしては 店 舗 が 59%と 多 数 派 地 域 でみると 北 海 道 東 北 での 店 舗 利 用 率 が 大 変 高 い デリバリータイプ では 個 配 利 用 者 が 25% 共 同 購 入 は 35% 全 体 の 73%は 1 つの 業 態 のみ 利 用 し 25%が 複 数 の 業 態 を 併 用 している 年 齢 別 にみると 店 舗 利 用 は 50 代 60 代 で 高 く 個 配 利 用 は 若 い 層 ほど 比 率 が 高 い 様 子 がはっきりと 表 れている( 表 1 参 照 ) 25%と 4 分 の 1 を 占 める 併 用 利 用 の 組 み 合 わせ 方 が 興 味 深 く 店 舗 の 多 い 少 ないという 地 域 差 や 個 配 を 利 用 しやすくしているかなど 生 協 ご との 仕 組 は 異 なるものの 店 舗 と 共 同 購 入 の 併 用 率 がそのうちの 5 割 店 舗 と 個 配 の 併 用 率 が 4 割 弱 という 状 況 であった 09 年 の 調 査 では 店 舗 と 個 配 の 併 用 率 のほうが 高 くなるかもしれない 17

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 3 基 本 にある 生 活 課 題 調 査 という 点 からみると 上 述 のような 大 変 基 礎 的 な 項 目 から 生 協 イ メージや 生 協 利 用 の 満 足 度 などまで 回 答 者 が 500 円 の 謝 礼 に 対 して ギリギリのコストパフォーマンスと 感 じるであろう A4 で 8 ページとい う 分 量 という 制 約 のなかで 様 々な 視 点 から 質 問 が 構 成 されている 09 年 度 の 調 査 では 冷 凍 ギョーザ 事 件 の 後 という 時 期 なだけに 生 協 イメージがどのようなポイントで 上 下 するのか また 一 般 消 費 者 調 査 ではその 点 でイメージがどうなったかを 直 接 問 いかけているので 結 果 が 待 たれる 組 合 員 の 生 活 課 題 は 日 常 の 食 事 を 安 全 な 食 べ 物 (できるだけ 安 く おいしく 便 利 に 気 分 に 合 ったもの)を 入 手 すること によってマネジメ ントすることであり 続 けてきたので 事 件 後 には 安 全 性 のリスク 基 準 も 個 人 によってさらに 多 様 化 していくであろう 安 全 性 についての 情 報 縮 減 機 能 ( 生 協 が 選 択 済 み= 個 別 商 品 ごとの 基 準 で 迷 わずにまとめて 商 品 を 選 択 できる 機 能 )を 生 協 は 強 化 する 必 要 があるだろうと 考 えている 18

web コミュニティから 見 える くらしの 中 での 商 品 の 使 われ 方 内 田 一 樹 * コープ モニターラボとは? 2007 年 7 月 に コープネット 事 業 連 合 のインターネットサイトに SNS( 会 員 限 定 コミュニティ) くらしる が 加 わりました ちょうど mixi(ミクシィ) が 流 行 っている 時 期 でした 生 協 の 共 同 購 入 が 班 から 個 配 へとシフトし くらし の 知 恵 の 交 流 ができにくくなってきて いた 中 で インターネットを 活 用 して 組 合 員 の 交 流 を 活 性 化 しようというのがそ の 目 的 でした 生 協 らしいお 料 理 やお 弁 当 子 育 てや 趣 味 についてのコミュニ ティができ 和 気 あいあいとした 雰 囲 気 の 楽 しい くらしる に 育 ちはじめ 半 年 で 参 加 者 は 2,000 人 を 超 えました そのころ 原 宿 にサンプル 配 布 専 門 の 店 舗 ができ 整 理 券 を 配 布 するほどの 盛 況 ぶりで 組 合 員 から コープ 商 品 のサン プル モニターはできないの? という 声 があがりました そこで 生 まれたのが コープ モニターラボ くらしる の 中 にコミュニティを 立 ち 上 げて モニ ターさんにサンプル 商 品 についてワイ ワイしゃべってもらうというものです 2008 年 の 5 月 に 参 加 者 を 募 集 したとこ ろ 3 日 間 で 2,000 名 を 超 える 応 募 があ り 商 品 が 当 たらない 人 もでてくるため 急 遽 3 日 間 で 募 集 をやめたくらいの 反 響 でした くらしの 知 恵 と つくる 知 恵 をつなげる コープ モニターラボ は サンプ ル 商 品 が 自 宅 に 届 くため 家 に 居 ながら 商 品 についてのコミュニケーションに 参 加 できる 企 画 です この 家 に 居 なが ら という 点 と コミュニケーションに 参 加 という 点 が 他 のサンプル 調 査 や 試 食 会 グループインタビューなどでは 出 てこない くらしの 知 恵 を 生 み 出 し ていくことにつながっています 自 宅 での 普 段 のくらしの 中 での 調 理 したり 家 族 と 食 べたり 使 用 した りした 実 感 がつかめ またモニター 同 士 の 交 流 により 様 々な 切 り 口 での 用 途 や 実 感 が 見 えてきたりします そしてこの 結 果 をもとに メーカーさん 生 協 の 商 品 * うちだ かずき 生 活 協 同 組 合 連 合 会 コープネット 事 業 連 合 商 品 業 務 管 理 部 部 長 グ ロービス 経 営 大 学 院 で 学 び マーケティングの 必 要 性 を 実 感 趣 味 はマラソンで 今 期 フ ル3 時 間 22 分 19

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 企 画 担 当 マーケティング 担 当 などが 集 まって 分 析 を 行 います メーカーさんからは 市 場 分 析 ターゲットやポジショニング 商 品 コンセプトなどの 情 報 が 出 さ れ それとモニターラボで 分 析 し た 実 際 のくらしの 中 での 用 途 や 実 感 との 比 較 がなされます こうして 商 品 の 新 たなインサイ ト( 生 活 者 の 行 動 や 嗜 好 の 核 にな る 心 理 )や 用 途 発 見 を 活 かしたプ ロモーションの 方 向 性 が 見 えてき たり 商 品 のリポジショニングや 改 善 次 の 商 品 開 発 へのヒントが 生 まれたりしてきます まさに くらしの 知 恵 と つくる 知 恵 がつながる 瞬 間 です 鉄 板 焼 ハンバーグが 14 万 個 国 産 原 材 料 を 使 った 冷 凍 食 品 へ の 要 望 が 強 まる 中 で 国 産 原 材 料 シリー ズ を 開 発 することになり 国 産 豚 鶏 牛 肉 を 使 った 鉄 板 焼 ハンバーグ のサ ンプルを 約 700 人 のモニターさんに 1 人 2 個 まで OK なので 1,231 個 お 届 け しました これから 開 発 される 商 品 に 自 分 たちの 声 が 活 かされるとあって モニ ターさんの 緊 張 感 も 書 き 込 みから 伝 わっ てきました まず 出 てきた 声 は 湯 煎 時 間 17 分 は 長 すぎる ガーリックソー スといいますが 全 然 感 じません ソー スの 量 が 多 すぎ ソースにとろみがな い など 否 定 的 意 見 が 続 出 しかし その 後 コミュニティでは 湯 煎 時 間 に 付 け 合 せを 準 備 ソースがたっぷりなの で 付 け 合 せの 野 菜 にからめたらおいし い! ガーリックが 強 くなくて 子 ども たちに 好 評 です など 様 々な 工 夫 や 用 途 が 出 されました こうした 声 をカタログ 紙 面 に 掲 載 した 結 果 販 売 実 績 は なんと 14 万 個 を 越 えました その 口 コミ 効 果 に 驚 くととも に 同 時 に 改 善 をすすめ この 4 月 に は 湯 煎 時 間 を 3 分 短 縮 し ソースにと ろみを 付 け 真 中 を 凹 ませてソースのか らみをよくした 改 善 品 を 発 売 しました 20

Web コミュニティから 見 えるくらしの 中 での 商 品 の 使 われ 方 いろんな 用 途 が 見 えてきた コープ 焼 おにぎりでは お 茶 漬 けに したら 具 のおかかと 外 側 の 醤 油 の 味 です ごく 美 味 しい 子 どもと 外 出 の 際 に 重 宝 してます お 菓 子 のように 糖 分 取 りす ぎや 食 べこぼしがないのでいい コー プふっくら 味 付 いなりあげでは 甘 めの 具 を 詰 めた 子 どもいなり と 茗 荷 を 入 れた 大 人 いなり が 作 れたり お 餅 を ワッフルメーカーで 焼 く モッフル が 話 題 になったりと 様 々な 家 庭 での 用 途 が 見 つかり プロモーションで 活 用 して います また ターゲットに 即 したプロモー ションについての 気 付 きもありました スパゲティの 乾 麺 と 冷 凍 レンジスパをモ ニターラボで 取 り 上 げたのですが 冷 凍 スパでは 家 族 で 食 べようとしたら 1 人 目 が 食 べ 終 わるころに 4 人 目 のチン ができた 4 人 分 をフライパンで 作 ろ うとして 失 敗 した などの 書 き 込 みがあ り 簡 便 さを 実 現 した 個 食 用 というコン セプトが 伝 わっていませんでした 一 方 で 乾 麺 の 場 合 は 麺 とソースを 茹 でる 鍋 が 必 要 で 1 人 分 を 作 るには 面 倒 ですが 家 族 3 4 人 分 を 作 るには 冷 凍 スパより も 合 理 的 です こうしたシーンやコンセ プトをカタログや POP で 伝 えられてい るかが 課 題 として 見 えてきました コープ モニターラボは まだはじまっ て 18 回 を 経 たところですが 毎 回 様 々 な くらしの 知 恵 が 発 見 されたり メー カーさんも 含 めた つくる 知 恵 との 交 流 で 新 たな 気 付 きがあります 2009 年 度 になってからは 先 の 原 宿 のサンプル 配 布 専 門 店 が 4 月 に 閉 鎖 になったのと は 対 照 的 に コープ モニターラボは 大 手 メーカーさんの 新 商 品 開 発 や 大 掛 か りなプロモーションへの 活 用 の 話 も 入 っ てきていて 今 後 が 楽 しみです 21

まちと暮らし研究 No.5 東京のまちと暮らし 研究所の調査 研究活動から 東京都の生計分析調査について 林 奈津子 * 2009 年 3 月 4 日に開催された研究会に 東京都の林経済統計課長をお招 きして家計関係の調査について報告していただいた 公的統計の概要 統計 法の改正などについての興味深い報告もあったが スペースの関係で 後段 の生計分析調査の部分を要約して掲載する 編集部 小売物価統計調査と家計調査 家計と物価の関係に関する公的統計の中心になっているのは 小売物 価統計調査と家計調査です 非常に重要な統計として 統計法に基づく 基幹統計に指定されており 国 総務省 が都道府県を経由して実施し ている調査です 小売物価統計調査では 国全体で約 28,000 店舗 都内では約 2,400 店舗で 実際に店頭の品物の価格を調査しています 調査員が都では約 70 名いて 毎月決まった店舗を回って決まった商品の価格を調べます 生鮮食料品については上旬 中旬 下旬の 3 旬で調査しています こ のデータは PDA という小さいコンピュータのようなものに直接入力 し それを電話回線で直接国に送ります 都の調査員が調べているので すが データは直接国に行き 国で集計した結果が都に返ってきます 国では 東京都区部を先行指数として全国で一番早く当月末に公表しま はやし なつこ 東京都総務局統計部経済統計課長 22

東 京 都 の 生 計 分 析 調 査 について すが そのデータが 東 京 都 に 返 ってきて 翌 月 に 東 京 都 で 詳 しいデータ を 加 えて 東 京 の 物 価 として 公 表 するという 形 になっています 家 計 調 査 は 全 国 で 9,000 世 帯 くらいに 家 計 簿 をつけてもらい 実 際 に 収 入 や 支 出 がどれだけあるか どういう 品 物 やサービスに 支 出 して いるかということを 細 かく 調 査 しています どういう 品 物 を 買 っている かというデータをもとに 物 価 を 調 べる 品 目 を 選 び 家 計 調 査 の 消 費 の 動 向 を 物 価 の 調 査 に 反 映 する あるいは 価 格 のウェイトづけ つまりあ らゆる 商 品 の 価 格 を 平 均 するのではなくて 実 際 に 家 庭 で 買 われている 量 に 応 じて 重 みづけをすることによって 物 価 の 指 数 化 をしています 家 計 調 査 は 家 計 簿 をつけていただくのが 基 本 になるのですが 買 った 品 物 すべてについて 家 計 簿 をきっちりつけていただいたり 家 族 構 成 や 収 入 などの 細 かい 情 報 を 書 いていただいたり 記 入 者 負 担 が 非 常 に 重 く これ 以 上 調 査 世 帯 や 品 目 を 増 やすのはなかなか 難 しい そこで 5 年 に 1 回 全 国 消 費 実 態 調 査 を 実 施 しています これは 世 帯 数 として は 約 6 万 という 数 を 3 か 月 間 調 べます 毎 月 やっている 家 計 調 査 では サンプル 数 的 にできない というものについては 全 国 消 費 実 態 調 査 を 使 います たとえば 格 差 を 示 すものとして 国 際 比 較 などにも 広 く 使 われている ジニ 係 数 は ふだんの 家 計 調 査 ではサンプル 数 が 少 なくて 出 せませんが 全 国 消 費 実 態 調 査 ではサンプル 数 が 多 いので 出 せます ジニ 係 数 は 完 全 に 格 差 がなくて 均 等 だと 0 で 1 に 近 づくほど 格 差 が 大 きくなる 日 本 は 0.3 くらいでしょうか 以 前 は 0.28 とかだったのが 前 回 ( 平 成 16 年 )は 0.31 くらいです 全 国 では 0.308 東 京 で 0.314 となっており 全 国 より 東 京 は 若 干 格 差 が 大 きいという 結 果 が 出 ています 今 年 の 秋 に また 全 国 消 費 実 態 調 査 がありますので そのときにどういう 数 値 が 出 て くるのかというのが 注 目 されています もうひとつ 技 術 革 新 が 激 しくて 価 値 が 大 きく 動 いてしまうような 商 品 などについては 家 計 消 費 状 況 調 査 という 別 の 調 査 があります そ 23

まちと暮らし研究 No.5 東京のまちと暮らし 研究所の調査 研究活動から れを使って IT 関連とか高額商品などを調べます そういう使い分け で家計については調べています 家計調査は家計簿から 家計調査では 6 か月 全国消費実態調査では 3 か月 家計簿をつけ ていただきます この家計簿はフォームが決まっていて 買ったものを そのまま全部書いていくという方式です これを集めた国の統計セン ターの職員が 目で見て 分類ごとの番号をつけて入力して集計します 本当に職人技です 家計簿をつける方は 自分の買った品物をそのまま素直に書いていけ ばいいので難しくはありませんが すべての品物を記入しなければなら ないので 非常に手間がかかります また 普通の家計簿は自分で収支 24

東 京 都 の 生 計 分 析 調 査 について の 目 的 別 に 区 分 したり いろいろ 工 夫 ができますが 家 計 調 査 の 家 計 簿 は 統 計 にしか 使 えません 家 計 調 査 に 協 力 していただくことが 難 しい のは 自 分 に 成 果 が 戻 ってこないので 参 加 する 人 にとって 余 りモチ ベーションが 上 がらないことにも 問 題 があるのかもしれません また 世 間 では 家 計 調 査 のデータには 偏 りがあるのではないか と 言 われてい ます つまり 収 入 面 では 家 計 簿 をつけて 表 に 出 してもいい 高 めの 人 が 入 る 職 業 的 には 公 務 員 が 多 いのではないかというようなことが 言 われ ていますが 国 の 担 当 の 方 に 聞 くと 公 務 員 は 世 間 の 公 務 員 の 比 率 と 比 べて 統 計 的 に 問 題 があるほど 多 くはないそうです いずれにしても この 家 計 簿 方 式 も 限 界 にきていると 感 じています 払 ったものだけではなくて 収 入 も 全 部 書 いてもらうので 個 人 情 報 と いう 意 味 では 余 り 書 きたくないという 人 も 増 えている また 今 は 家 計 の 個 計 化 と 言 われています 共 働 きの 家 では お 互 いに 責 任 を 持 って やっているということもあります あるいは 子 供 も 働 いているというこ ともあります そういったことで 1 人 の 人 が 世 帯 全 体 の 収 支 を 記 入 す る という 現 在 の 調 査 方 法 が 家 庭 の 実 態 に 合 わなくなっているのは 事 実 です 全 国 消 費 実 態 調 査 が 今 年 の 秋 に 行 われるので どのようにやるかとい う 研 究 会 が 国 で 開 かれて その 中 でもいろいろな 意 見 が 出 されました レシートをそのまま 出 してもらって それを 機 械 的 に 読 み 込 んで 分 類 で きないものか あるいは スーパーは 全 部 POS でやっているので スー パーと 連 携 したモニター 制 度 だったら POS のデータを 使 ってやるよう なことができるのではないか いろいろアイデアはあるのですが 5 万 6 万 という 規 模 を 確 保 しないと 分 析 がうまくいかないということもある ので なかなか 難 しいようです このほかに 家 計 や 消 費 の 関 係 の 調 査 は 民 間 も 含 めるといろいろなも のがあります 内 閣 府 では 暮 らし 向 きの 見 通 しなどに 関 する 消 費 者 の 意 識 や 耐 久 消 費 財 の 保 有 状 況 などを 調 べる 消 費 動 向 調 査 をやっていま 25

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から す 生 鮮 食 品 や 農 林 水 産 業 に 関 係 深 いものの 価 格 については 農 林 水 産 省 が 非 常 に 細 かい 調 査 をやっています 民 間 だと 供 給 側 から 見 たチェー ンストア 協 会 の 販 売 統 計 などもあります 東 京 都 生 計 分 析 調 査 のあらまし 生 計 分 析 調 査 が 今 の 形 になったのは 昭 和 47 年 です 当 時 の 消 費 者 物 価 がどうも 生 活 実 感 と 合 わないという 話 が 出 てくる 中 で 主 婦 の 実 感 に 合 ったデータがいるのではないかという 当 時 の 美 濃 部 知 事 の 指 示 で この 調 査 が 始 まりました これは 東 京 都 の 統 計 調 査 条 例 に 基 づく 指 定 統 計 です 国 の 家 計 調 査 は 全 国 のもの 大 都 市 中 都 市 小 都 市 という 分 類 の もの あるいは 地 方 別 の 分 類 のものといった 形 でデータの 公 表 をしてい ます 小 売 物 価 統 計 調 査 も 同 じ 公 表 のやり 方 です 東 京 都 区 部 は 単 独 で 公 表 されています 区 部 市 部 を 合 わせた 東 京 全 体 という 集 計 は 国 で はしていません 家 計 調 査 の 上 乗 せという 形 で 市 部 の 調 査 を 行 って 家 計 調 査 のデータと 合 わせて 東 京 都 全 体 として 集 計 分 析 する という のが 生 計 分 析 調 査 の 仕 組 みです 生 計 分 析 調 査 は 家 計 調 査 の 上 乗 せ 調 査 なので 基 本 的 には 調 査 方 法 は 家 計 調 査 と 同 じで 家 計 簿 をつけていただく 調 査 です 調 査 対 象 は 都 内 の 2 人 以 上 の 世 帯 で 世 帯 主 の 職 業 によって 勤 労 者 世 帯 とそれ 以 外 に 分 け それ 以 外 の 世 帯 は 無 職 世 帯 とその 他 という 区 分 になります 引 き 受 けていただいた 世 帯 には 6 か 月 間 家 計 簿 をつけていただいて 6 か 月 たったら 次 の 世 帯 と 交 代 ということになります サンプル 数 は 昭 和 47 年 に 家 計 調 査 と 合 わせて 996 世 帯 で 始 まったの ですが 平 成 15 年 からは 792 世 帯 になっています 標 本 誤 差 を 考 える と 全 体 を 見 る 分 析 だと 大 体 いい 数 字 が 出 ますが 細 かく 分 析 していく 26

東京都の生計分析調査について と たとえば年齢別とか子供の数で分けたり 細かくなっていけばい くほど サンプル数が減っていきます そういうときには全国消費実態 調査の結果とか いろいろなもので補う ということになります 調査結果については 毎月集計した 都民のくらしむき 月報を調査 月の 2 か月後の月末に出しています 月報はインターネットのみでの 公表です 1 年間をまとめた年報は 調査年の翌年の 5 月ごろにインター ネットと冊子で公表しており 冊子は図書館や大学などに送っています 平成 20 年分年報は平成 21 年 4 月 30 日に公表 調査の結果からいくつか 都民のくらしむき の月報や年報のデータからどういうことがわかる のでしょうか 東京の世帯の収支に時系列でどういう傾向があるのかと いうことがわかります 最近の動向としては 昨年は消費支出が減って います 参考 消費支出の対前年増加率の推移 全世帯 5 4 3 2 1 0-1 -2-3 -4-5 % 名目増加率 実質増加率 物価上昇率 平成11年 12 13 14 15 16 17 18 19 20 物価上昇率は 東京都区部消費者物価指数 持家の帰属家賃を除く総合 27

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 属 性 の 違 い 年 齢 家 族 構 成 収 入 などによって 消 費 にどういう 違 いがあるかということがわかります あるいは 季 節 によって あるい は 流 行 などによってどんな 違 いがあるかというものもわかります また 生 計 分 析 調 査 単 独 ではなくて たとえば 家 計 調 査 と 比 較 すると 東 京 都 と 全 国 を 比 べるとどうか ということもわかります 東 京 の 特 徴 として は 支 出 は 全 国 平 均 に 比 べると 1 割 くらい 多 い 中 でも 教 育 費 とか 住 居 費 にかかっているということがわかります 昨 年 は 物 価 の 上 昇 が 問 題 になったので 粉 物 や 話 題 の 食 品 の 小 売 物 価 の 上 昇 率 と 消 費 の 増 加 率 を 見 てみました たとえば 食 パンの 価 格 は 高 値 安 定 的 な 状 態 になっていて 消 費 の 方 は 減 少 傾 向 にあります 高 いの でちょっと 買 い 控 えているのかもしれません ところが スパゲティも かなり 高 値 で 推 移 しているのですが こちらは 消 費 が 増 えている この 間 ニュースでやっていたそうですが 円 高 の 影 響 で 輸 入 がすごく 増 えて いるそうです 小 売 物 価 統 計 調 査 では 価 格 を 調 べるときには 基 本 銘 柄 といって このメーカーのこの 品 目 を 調 べるという 指 定 があって スパ ゲティについては 国 産 メーカーの 300g のものが 基 本 銘 柄 です 今 店 頭 で 見 ると 輸 入 物 の 1kg とかが 安 く 出 ているので 東 京 の 人 はそう いうものを 買 っているのかもしれません 米 は 物 価 としては 安 定 しています 小 麦 粉 系 が 上 がっている 分 米 の 消 費 は 増 えるかと 思 ったのですが 余 り 増 えていません 10 月 に 米 の 消 費 量 がポンと 増 えているのは 新 米 のシーズンで 季 節 変 動 の 方 が 大 きく 出 たという 傾 向 になっています バナナを 見 ると 10 月 に 朝 バナ ナダイエットがテレビで 取 り 上 げられ そのときに 価 格 がポンと 上 がり ましたが 価 格 が 上 がっても 消 費 が 増 えている これは 価 格 の 動 きより 流 行 の 方 が 強 かったという 感 じです 国 の 家 計 調 査 だとサンプルも 多 いので 1 日 単 位 で 細 かく 分 析 もでき ます たとえば 餃 子 と 農 薬 の 話 が 出 たときには 即 日 餃 子 の 消 費 が 下 が るというデータも 出 ているそうです 28

東 京 都 の 生 計 分 析 調 査 について ホームページの 活 用 を 最 後 に このような 統 計 資 料 については 都 においても 国 においても あるいは 日 銀 などでも ホームページでかなり 細 かく 公 表 しています データをエクセル ファイルなどで 提 供 しているものもたくさんあるの で ご 利 用 いただければと 思 います 東 京 都 の 統 計 (http://www.toukei.metro.tokyo.jp/)のホームペー ジでは 国 の 統 計 の 東 京 都 分 とか 東 京 の 各 局 で 行 った 調 査 物 なども 含 めてさまざまなデータを 載 せています 国 では 統 計 について 政 府 の 総 合 窓 口 (http://e-stat.go.jp)を 作 っています このホームページから 入 っていただくと さまざまな 統 計 データが 利 用 できるほか 今 後 たとえば 国 勢 調 査 のような 調 査 にこのページから 回 答 ができるようにする 予 定 です 私 からのお 話 は 以 上 です 都 庁 の 14 階 には 統 計 資 料 室 も 設 置 してお り さまざまな 資 料 をご 覧 いただけますので こちらもご 活 用 いただけ ればと 思 います まちづくりの 用 語 集 2 二 次 医 療 圏 (56 ページ 下 から 6 行 目 など) 特 殊 な 高 度 医 療 をのぞき 入 院 までの 一 般 的 な 医 療 に 対 応 できるように 地 域 の 一 体 性 などを 踏 まえて 都 道 府 県 が 市 町 村 を 超 えて 設 定 する 圏 域 二 次 医 療 圏 ごとに 入 院 治 療 を 必 要 とする 重 症 患 者 に 対 応 する 二 次 救 急 医 療 機 関 が 整 備 さ れる 地 域 の 医 師 数 や 病 床 数 を 比 べる 際 の 単 位 ともなる 29

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 都 内 基 礎 自 治 体 データブック 活 用 法 編 集 部 消 費 生 活 研 究 所 では 昨 年 度 から 自 治 体 ベンチマーク 調 査 を 実 施 している これは 東 京 都 内 で まちづくり の 活 動 を 行 う 際 に 前 提 となる 基 礎 的 なデー タを 提 供 しようという 狙 いから 基 礎 自 治 体 の 様 々なデータを 調 査 収 集 したも のである 現 在 昨 年 度 の 調 査 のデータ をもとにした 2008 年 度 版 都 内 基 礎 自 治 体 データブック を 作 成 している 以 下 では このデータブックを 簡 単 に 紹 介 し その 活 用 法 を 考 えてみたい 1. 都 内 基 礎 自 治 体 データブック とは 都 内 基 礎 自 治 体 データブック は 都 内 の 基 礎 自 治 体 (23 区 および 多 摩 地 域 の 26 市 )の 様 々なデータを 掲 載 している 人 口 面 積 のような 基 礎 的 なものから 福 祉 や 環 境 教 育 など 現 在 の 東 京 が 抱 え る 課 題 に 関 するデータまでをも 取 り 上 げ る 幅 広 い 分 野 を 包 摂 している( 詳 細 に ついては 32 ページの 項 目 一 覧 を 参 照 ) なお 個 々の 分 野 については 政 治 環 境 福 祉 および 市 民 サービス 都 市 基 盤 の 各 テーマについて 本 特 集 のなかで 各 論 文 が 取 り 上 げているので そちらも ご 覧 いただきたい このデータブックの 特 徴 の 一 つは 23 の 特 別 区 と 多 摩 地 域 の 26 の 市 を 網 羅 しているという 点 にある 自 分 が 知 り たい 分 野 について 自 分 たちのまちの 状 況 を 他 のまちや 都 内 の 平 均 値 と 比 較 する ことができる それによって 自 分 たち のまちの 特 徴 や 不 足 しているところなど をより 良 く 知 ることができるだろう またこの 自 治 体 ベンチマーク 調 査 は 開 始 から 2 年 が 経 過 したに 過 ぎないけ れど このようなデータを 長 年 に 渡 って 蓄 積 して 行 くことによって 経 年 比 較 が 可 能 になってくる これによって 自 分 たち のまちが 長 期 的 に 見 てどのように 変 化 し ているのかを 見 ることができる 他 の 自 治 体 との 比 較 が 横 の 比 較 であるとすれ ば これは 縦 の 比 較 であるだろう さらに この 縦 の 比 較 と 横 の 比 較 を 組 み 合 わせることも 可 能 だ 例 えば 自 分 の まちと 似 たような 特 性 を 持 つ 別 のまちを 取 り 上 げ 二 つのまちが 長 期 的 にどのよ うな 変 化 を 遂 げたかを 見 てみる それに よって 二 つのまちのまちづくりの 長 期 的 な 方 向 性 の 違 いを 見 てとることができ るはずだ 2. 都 内 基 礎 自 治 体 データブック の 使 い 方 そこで このデータブックの 活 用 法 を 考 えてみたい まずは 私 たちひとりひ とりの 市 民 が どのような 場 面 でこの 30

都 内 基 礎 自 治 体 データブック 活 用 法 検 討 会 でデータを 整 理 する データブックを 活 用 することができるか を 考 えてみる 第 一 に 私 たちのコミュニティや 経 済 環 境 福 祉 などの 状 況 がどうなっている かを 知 ることができる それぞれの 分 野 における 自 分 たちのまちの 現 状 他 の まちとの 比 較 自 分 たちのまちをより 良 いものにして 行 くためには 何 が 欠 けて いるのか 等 々 この 都 内 基 礎 自 治 体 データブック はまさにそのような 情 報 の 宝 庫 になる 第 二 に 自 分 たちの 個 人 的 なライフス タイルを 改 めるきっかけになるかもしれ ない 自 分 の 住 むまちの 課 題 を 発 見 する ことによって 私 たちは それを 改 善 す るために 個 人 として 日 々の 生 活 のなかで 何 ができるかを 考 えるきっかけとなる 第 三 に データをもとに 自 分 たちの 自 治 体 の 政 策 や そこで 活 動 している 企 業 団 体 などの 活 動 状 況 をチェックする ことができる それをもとに さらなる 情 報 の 公 開 を 求 めたり 行 政 や 議 員 に 働 きかけを 行 ったりすることもできる さらに 私 たち 市 民 自 身 がまちづくり の 担 い 手 になる 際 手 がかりとなる 多 く の 情 報 がこのデータブックにはつまって いる 上 述 のように まちの 状 況 や 市 民 活 動 の 状 況 を 知 ることによって 私 たち は 自 分 たちのまちに 何 が 欠 けており こ れからのまちづくりに 何 が 必 要 かを 知 る 素 材 を 得 る NPO やボランティアグルー プが 自 分 たちの 活 動 を 評 価 し また 新 た な 活 動 計 画 をつくって 行 く 際 そのよう な 情 報 は 一 つの 重 要 な 指 針 となる もちろん このデータブックには 私 たち 市 民 が 使 う 以 外 にも 様 々な 使 い 方 が 考 えられる 例 えば 行 政 や 政 治 などにお ける 公 共 政 策 での 活 用 が 考 えられる 政 治 的 な 議 論 が このような 指 標 が 示 して くれる 長 期 的 かつ 全 体 を 見 渡 す 視 野 に 立 ったものとなることが 求 められるとこ ろだ 他 にメディアでの 活 用 も 考 えられるだ ろう 地 域 に 影 響 を 与 える 長 期 的 な 傾 向 や 私 たちが 地 域 を 良 くするために 何 が できるかをメディアが 把 握 することは 非 常 に 重 要 だ それは 私 たちひとりひと りに 有 益 な 情 報 がもたらされ 行 政 や 政 治 などへの 批 判 的 な 視 点 を 持 つことにも 役 立 つだろう さらに 教 育 の 場 での 活 用 も 考 えられ る 児 童 生 徒 が 自 分 たちの 住 む あ るいは 学 ぶまちがどのような 状 況 にある のかを 知 るということは 非 常 に 重 要 なこ 31

まちと暮らし研究 No.5 東京のまちと暮らし 研究所の調査 研究活動から とである 性化されるはずだ られる また それぞれの場面での活用 ている自治体間のランキングを示すもの その他にも様々な場面での活用が考え を市民が促すことによって それぞれの まちにおけるまちづくりの活動はより活 最後に このデータブックは掲載され ではない もちろん 他の自治体との比 較を行うことが有益なことは言うまでも 都内基礎自治体データブック 項目一覧 自治体ベンチマーク検討会 で作成 している 都内基礎自治体データブッ ク は 東京特別区と多摩地域の市を 対象とし 以下の各項目についての各 自治体のデータを掲載しています 面積 人口 面積 国調人口 住基人口 人口伸率 昼間人口 昼夜人口比率 年少人口 児童 生徒数 老年人口 高齢化率 世帯数 単身世帯 高齢単身世帯 高齢夫婦のみ世帯 福祉 被保護人員 保護率 地域包括支援セ ンター 痴呆性高齢者グループホーム 見守り 安否確認体制の有無 高齢 者対象のサロン活動 保育所 認証保 育所 一時保育 学童クラブ 児童館 保育所待機児童数 児童手当加算 子ども家庭支援センター ファミ リー サポート事業 ショートスティ 母子生活支援施設数 病院数 病床 数 人口 1 万人当たり病床数 医師 数 常勤医師数 人口 1 万人当り医 師数 基本健康診査受診率 救急医療 施設 診療所数 勤務医数 民生委員 福祉予算 32 環境 エネルギー ごみ排出量 ごみ増加率 ごみ 1 人 1 日当り排出量 リサイクル率 分別数 収集方法 有料化 制度 額など 二酸化窒素 NO2 浮遊粒子状物質 SPM ダイオキシン濃度 緑被率 みどり率 温室効果ガス排出量 太陽光 発電設置数 太陽光発電補助事業 保護 樹木その他の助成制度 PRTR 排出量 生活安全 防災 住宅耐震化診断助成金額 耐震化立替助 成金額 犯罪発生率 自主防災組織数 消防団員数 自殺死亡率 河川ハザード マップの有無 学校耐震化率 防災基本 条例の有無 新型インフルエンザ対策 交通事故発生件数 火災発生数 教育 社会 小学校 学級当り児童数 中学校 学級 当り生徒数 小学校 職員 1 人当り児 童数 中学校 職員 1 人当り生徒数 小学校不登校長期欠席者数 同児童数に 占める比率 中学校不登校長期欠席者 同生徒数に占める比率 公立図書館蔵書 数 人口 1 人当り蔵書数 人口 1 人当 り貸出数 図書館数

都 内 基 礎 自 治 体 データブック 活 用 法 ない しかし それぞれの 自 治 体 にはそ れぞれの 特 徴 があり ここでのデータの 多 少 がそのまま 何 らかの 優 劣 を 示 すもの ではない それぞれの 自 治 体 における 課 題 を 発 見 し 市 民 をはじめとする 様 々な 主 体 によるまちづくりの 活 動 に 役 立 てる ことができれば このデータブックが 目 指 すものが 実 現 されてくる ( 文 : 三 浦 一 浩 ) 財 政 一 般 会 計 総 額 決 算 歳 入 歳 出 額 / 標 準 財 政 規 模 / 主 要 税 目 の 状 況 / 人 口 1 人 当 り 住 民 税 収 / 歳 入 に 占 める 地 方 税 比 率 / 経 常 収 支 比 率 ( 過 去 5 年 )/ 財 政 力 指 数 ( 過 去 5 年 )/ 国 民 健 保 特 会 の 状 況 / 介 護 保 険 特 会 の 状 況 / 将 来 負 担 割 合 経 済 産 業 労 働 第 1 3 次 産 業 別 比 率 / 小 売 業 事 業 所 数 / 小 売 業 従 業 員 数 / 小 売 業 年 間 額 / 百 貨 店 スーパー/コンビニエンス 数 / 1 人 当 り 販 売 金 額 / 小 売 吸 引 度 指 数 / 経 営 面 積 別 農 家 戸 数 / 耕 作 面 積 / 耕 作 放 棄 地 面 積 ( 率 )/ 農 業 産 出 額 / 生 産 緑 地 面 積 / 工 業 出 荷 額 / 同 従 業 員 数 / 同 事 業 所 数 政 治 - 行 政 議 員 条 例 定 数 / 議 員 1 人 当 り 人 口 / 首 長 報 酬 / 議 員 報 酬 / 議 会 開 会 日 数 / 議 決 条 例 数 / 請 願 陳 情 提 出 件 数 / 請 願 陳 情 採 択 件 数 / 意 見 書 提 出 件 数 /スタッフ 数 ( 調 査 係 )/ 女 性 議 員 比 率 / 職 員 数 同 人 口 1 人 当 り/ 審 議 会 の 状 況 / 情 報 公 開 の 状 況 / 指 定 管 理 者 の 導 入 状 況 / PFI 実 施 件 数 / 人 件 費 / 賃 金 水 準 / 自 治 基 本 条 例 制 定 状 況 / 投 票 率 住 宅 区 市 町 村 住 宅 / 公 営 住 宅 戸 数 / 高 齢 者 向 け 住 宅 改 良 補 助 / 居 住 面 積 ( 最 低 水 準 以 下 の 比 率 ) 道 路 公 園 1 人 当 り 公 園 面 積 / 道 路 総 延 長 / 道 路 率 /バリアフリー 化 基 本 構 想 / 駐 車 場 / 駐 輪 場 駐 輪 数 / 放 置 自 転 車 撤 去 数 / 自 動 車 保 有 台 数 / 公 共 交 通 利 用 率 水 下 水 道 普 及 率 / 水 源 井 戸 数 / 水 系 の 水 質 / 水 消 費 量 / 水 面 率 消 費 者 行 政 消 費 者 相 談 / 消 費 者 関 係 予 算 コミュニティ NPO 数 / 市 民 活 動 支 援 政 策 プログラ ム/ 市 民 農 園 数 / 市 民 農 園 面 積 / 市 民 農 園 区 画 数 / 町 会 自 治 会 数 都 内 基 礎 自 治 体 データブック はご 希 望 の 方 に 送 料 実 費 でお 頒 けしています 冊 子 版 および CD - ROM 版 をご 用 意 しております ので 研 究 所 までご 連 絡 ください 33

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 東 京 の 自 治 の 現 状 基 礎 自 治 体 のデータを 読 む1 坪 郷 實 * 自 治 体 ベンチマーク 検 討 会 座 長 1 第 2 次 分 権 改 革 と 自 治 体 基 本 条 例 づくり 2000 年 の 第 1 次 分 権 改 革 により 国 と 自 治 体 の 関 係 は 主 従 上 下 関 係 から 対 等 協 力 関 係 に 転 換 した このことは 自 治 体 におけ る 政 策 の 実 施 は 自 治 体 議 会 で 条 例 を 制 定 して 行 うという 体 制 への 転 換 を 意 味 する この 時 財 源 の 再 配 分 は 行 われなかったが 現 在 自 治 体 が 担 っている 行 政 事 務 に 見 合 った 財 源 確 保 のために 国 と 自 治 体 の 財 源 の 配 分 を 従 来 の 6 対 4 から まず 5 対 5 にすることが 目 標 になっ ている 進 行 中 である 第 2 次 分 権 改 革 の 課 題 は 自 治 体 が 法 令 の 自 主 解 釈 権 をもち 政 策 制 度 の 企 画 立 案 権 を 行 使 する 体 制 への 転 換 である それには 自 治 行 政 権 自 治 立 法 権 自 治 財 政 権 が 伴 わねばならない しかし 自 治 体 への 法 令 などによる 規 制 や 縛 り( 義 務 づけ 枠 づけ ) は 依 然 として 多 く 自 治 体 の 側 でも 自 由 な 発 想 を 欠 いており 自 治 体 の 自 由 度 を 拡 大 することにより 条 例 制 定 権 の 拡 大 を 行 うことが 必 要 であ る こうした 国 レベルの 分 権 改 革 の 動 向 と 共 に 自 治 体 側 からの 自 治 体 の * つぼごう みのる 早 稲 田 大 学 社 会 科 学 総 合 学 術 院 教 授 著 書 : ドイツの 市 民 自 治 体 市 民 社 会 を 強 くする 方 法 (2007 年 生 活 社 ) 参 加 ガバナンス 社 会 と 組 織 の 運 営 革 新 ( 編 著 2006 年 日 本 評 論 社 ) 34

データから 見 た 東 京 の 自 治 再 構 築 への 動 きも 目 立 ってきている それは 自 治 体 レベルにおける 基 本 法 ( 自 治 体 の 憲 法 )として 自 治 体 基 本 条 例 自 治 体 議 会 基 本 条 例 を 制 定 する 動 きである 北 海 道 ニセコ 町 が 2000 年 12 月 に まちづ くり 基 本 条 例 (2001 年 4 月 施 行 2005 年 12 月 改 正 )を 初 めて 制 定 し その 後 全 国 で 自 治 基 本 条 例 や まちづくり 基 本 条 例 の 名 称 で 自 治 体 基 本 条 例 づくりが 展 開 され 約 120 の 自 治 体 ( 道 県 を 含 む 2009 年 4 月 )で 制 定 されている さらに 北 海 道 栗 山 町 で 2006 年 5 月 に 全 国 で 初 めて 議 会 基 本 条 例 が 制 定 されて 以 降 自 治 体 議 会 改 革 フォー ラ ム の 調 査 (2009 年 3 月 31 日 現 在 http://www.gikai-kaikaku. net/gikaikihonjourei-list.html)によれば 54 の 自 治 体 において 議 会 主 導 で 自 治 体 議 会 基 本 条 例 が 制 定 されている 関 連 して 全 国 市 議 会 議 長 会 は 市 議 会 の 活 動 に 関 する 実 態 調 査 市 議 会 議 員 定 数 報 酬 に 関 する 調 査 について 毎 年 ホームページ(http://www.si-gichokai.jp/ official/research/top/)で 公 表 を 行 っている( 最 新 は 2007 年 12 月 調 査 ) さて 東 京 都 内 では 5 区 4 市 で 自 治 基 本 条 例 ないし まち づくり 基 本 条 例 が 制 定 されている 自 治 体 議 会 基 本 条 例 の 制 定 はまだ ないが その 制 定 に 直 接 つながると 思 われる 動 きとしては 議 会 基 本 条 例 制 定 をめざす 議 会 改 革 特 別 委 員 会 を 設 置 している 1 市 と 1 市 1 区 で 議 会 改 革 の 委 員 会 が 設 置 されている なお 上 記 の 9 区 市 におけ る 自 治 基 本 条 例 ないし まちづくり 基 本 条 例 において 議 会 の 条 項 があるものは 4 区 3 市 のみである それぞれ 僅 かな 条 項 であり 議 会 への 市 民 参 加 を 明 記 しているのは 2 区 にとどまっている また 3 市 で 市 民 参 加 条 例 が 制 定 されている( 自 治 体 議 会 改 革 フォーラム ホームページを 参 照 ) 都 内 の 自 治 基 本 条 例 などの 制 定 状 況 ( 条 例 名 のリスト)は 都 内 基 礎 自 治 体 データブック(2008 年 版 ) に 掲 載 されている このデータブッ クは 自 治 体 の 再 構 築 のために 現 状 把 握 をするデータを 提 供 している 以 下 政 治 行 政 指 標 を 中 心 にその 特 徴 を 紹 介 しよう 35

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 2 自 治 体 の 再 構 築 のための 指 標 自 治 体 の 長 及 び 行 政 機 構 さらなる 分 権 改 革 は 自 治 体 の 再 構 築 を 必 要 とする 自 治 体 の 長 及 び 行 政 機 構 の 改 革 のために 現 状 を 把 握 する 指 標 として 都 内 基 礎 自 治 体 データブック は 職 員 数 職 員 一 人 当 たりの 人 口 附 属 機 関 及 び 委 員 数 (23 区 のみ) 情 報 開 示 件 数 開 示 状 況 指 定 管 理 者 数 指 定 管 理 率 PFI 実 施 件 数 人 件 費 の 比 率 ラスパイレス 指 数 (57 ページ 参 照 ) 自 治 基 本 条 例 などの 制 定 状 況 長 の 報 酬 直 近 の 長 の 選 挙 の 投 票 率 (2007 年 統 一 自 治 体 選 など)を 掲 載 している いくつかの 特 徴 的 なデータを 見 ておこう 職 員 一 人 当 たりの 人 口 ( 人 口 2006 年 1 月 1 日 職 員 数 2007 年 4 月 1 日 )は 23 区 において 6 区 41.3 96.9 7 区 100 120.3 6 区 128.2 145 3 区 155.6 166.2 1 区 224.8 である 26 市 では 2 市 94.7 95.9 10 市 123.1 148.3 12 市 150.4 173.5 2 市 179.3 189.5 である 職 員 数 は いずれの 区 市 も 減 員 が 行 われてい るが 自 治 体 の 人 口 や 面 積 によっても 違 いがあり 臨 時 職 員 嘱 託 など が 増 加 している 問 題 と 合 わせて 自 治 体 の 制 度 政 策 や 事 業 との 関 係 で 職 員 数 を 考 えていく 必 要 があろう 人 件 費 の 経 常 収 支 に 対 する 比 率 (2006 年 )は 23 区 では 22.9 33.7%であり 3 区 が 22.9 24.3% 10 区 が 26.9 29.7% 10 区 が 30.1 33.7%である 26 市 では 20.6 36.1%であり 4 市 が 20.6 25.0% 13 市 が 25.1 30.0% 8 市 が 30.8 33.2% 1 市 が 36.1% である ラスパイレス 指 数 (2007 年 4 月 1 日 )は 23 区 で 100.90 102.80 であり 26 市 で 98.50 104.70 である 情 報 公 開 に 関 して その 開 示 請 求 件 数 (2007 年 度 )は 自 治 体 によっ て 大 きく 違 う 1000 を 超 す 自 治 体 は 4 区 1 市 であり 500 1000 36

データから 見 た 東 京 の 自 治 は 3 区 100 500 は 13 区 8 市 100 以 下 は 3 区 17 市 で あ る 全 体 として 一 部 開 示 の 件 数 が 多 い 傾 向 がある 自 治 体 のアウトソーシング( 外 部 化 )の 一 指 標 として 指 定 管 理 者 の 対 象 となる 施 設 数 と 指 定 管 理 率 ( 東 京 自 治 研 センター 調 査 )があるが その 数 は 自 治 体 ごとに 大 きく 違 う 指 定 管 理 率 は 23 区 では 9 区 が 10% 以 下 9 区 が 10 20% 5 区 が 20 25%である 26 市 では 1 市 がゼロ 16 市 が 10% 以 下 3 市 が 10 20% 1 市 が 20 25% 2 市 が 25 30% 1 市 が 45.5% 1 市 が 98.0%である(1 市 不 明 ) 直 近 の 長 の 選 挙 の 投 票 率 は 23 区 で 25.75 51.29% 26 市 で 34.37 57.77%であり 50%を 超 えるのは 2 区 6 市 であり 40 50%は 13 区 14 市 である 議 会 選 挙 よりも それぞれの 区 市 におい てより 低 い 自 治 体 議 会 自 治 体 の 再 構 築 のもう 一 つの 焦 点 である 自 治 体 議 会 の 改 革 のために 現 状 を 把 握 する 指 標 群 がある 都 内 基 礎 自 治 体 データブック では 議 員 の 条 例 定 数 議 員 一 人 当 たり 人 口 議 員 報 酬 議 会 開 会 日 数 議 決 条 例 数 請 願 陳 情 件 数 その 採 択 件 数 意 見 書 提 出 数 議 会 事 務 局 条 例 定 数 女 性 議 員 の 人 数 と 割 合 直 近 の 議 会 選 挙 の 投 票 率 (2007 年 統 一 自 治 体 選 など)を 掲 載 している 自 治 体 議 会 議 員 の 条 例 定 数 は 3 区 を 除 き 法 定 上 限 数 を 下 回 ってい る 削 減 数 は 20 区 で 1 12 であり 26 市 で 4 16 である 10 万 人 以 下 の 市 において 8 12 を 削 減 している 例 もある これまでの 議 会 改 革 の 議 論 は 定 数 削 減 に 限 定 したものが 多 かったが これからは 討 議 の 広 場 としての 議 会 議 会 への 市 民 参 加 議 会 の 透 明 性 公 開 性 の 確 保 に 焦 点 を 合 わせた 議 会 改 革 が 重 要 である 後 述 のように 女 性 議 員 の 増 加 も 含 めて 多 様 な 職 業 や 年 齢 の 人 を 議 員 として 選 出 することを 考 え る 必 要 がある 37

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 議 会 開 会 日 数 (2007 年 )は 23 区 で 59 126 日 であり 100 日 を 超 えるのは7 区 80 98 日 は12 区 である 26 市 では64 117 日 であり 100 日 を 超 えるのは 9 市 81 98 日 は 15 市 である 請 願 陳 情 の 件 数 (2007 年 )は 23 区 で 16 1736 とバラつきがあり 26 市 で 5 137 である 数 が 少 ないところでは 採 択 率 の 高 い 市 があ るが 全 体 として 採 択 率 は 低 い 男 女 共 同 参 画 社 会 の 実 現 にむけて 女 性 議 員 の 割 合 審 議 会 委 員 会 などの 委 員 における 女 性 の 割 合 が 指 標 となっている 都 内 基 礎 自 治 体 データブック では 女 性 議 員 の 割 合 (2007 年 6 月 1 日 )を 指 標 とし てあげている 23 区 では 12.5 35.3%であり 20% 以 上 が 18 区 そのうち 3 分 の 1 以 上 の 33.3% 35.3%であるのは 3 区 のみである 26 市 では 10 38.5%であり 20% 以 上 が 17 市 そのうち 3 分 の 1 以 上 の 33.3% 38.5%であるのは 4 市 である 4 割 を 超 えるところは まだないが 東 京 都 の 女 性 議 員 の 割 合 は 全 国 においてトップである データブック では 市 民 活 動 に 関 する 指 標 として NPO 法 人 数 (2009 年 2 月 ) 市 民 活 動 支 援 政 策 プログラム 数 町 内 会 自 治 会 数 を 掲 載 している 23 区 においては 多 くの 区 で NPO 法 人 数 が 多 く 12 区 で 200 を 上 回 り(203 838) 8 区 は 106 179 3 区 は 56 81 である これには 多 くの 全 国 的 に 活 動 する NPO が 含 まれている 26 市 の NPO 法 人 数 は 181 144 と 100 を 超 える 2 市 があるが 10 市 は51 84 10 市 は20 46 4 市 は8 18である 法 人 数 に 開 きがあるが いずれの 自 治 体 においても NPO 法 人 が 広 がっているこ とをうかがわせる 最 初 に 述 べたように 自 治 体 の 再 構 築 への 動 きの 中 で 課 題 となるのは 自 治 体 議 会 が 討 議 の 広 場 になり 多 様 なかたちで 市 民 参 加 を 拡 大 し 市 民 提 案 議 員 提 案 市 長 提 案 で 自 治 体 の 地 域 個 性 に 沿 った 特 徴 的 な 政 策 条 例 を 制 定 して 地 域 の 新 たな 政 策 課 題 に 取 り 組 んでいくことである 38

まちの 情 景 東 京 の 春 写 真 : 久 塚 真 央

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 環 境 データと 都 市 特 性 基 礎 自 治 体 のデータを 読 む2 田 中 充 * 東 京 の 自 治 体 は どれほどの 環 境 負 荷 を 排 出 しているだろうか その 排 出 状 況 は 都 市 や 地 域 によってどれほど 異 なり それらのデータから 各 都 市 地 域 の 特 性 をどのように 読 み 取 ることができるだろうか 本 稿 は こうした 問 題 意 識 のもとに 地 域 のごみ 排 出 量 と 温 室 効 果 ガ ス 排 出 量 のデータを 用 いて 区 部 23 区 と 多 摩 地 域 26 市 の 地 域 特 性 を 分 析 する これらの 指 標 項 目 は 市 民 の 生 活 環 境 に 密 接 に 係 わる 環 境 負 荷 を 意 味 しており 地 域 の 多 様 な 都 市 活 動 ( 市 民 生 活 をはじめ 業 務 商 業 製 造 業 交 通 等 )に 伴 い 発 生 し 環 境 中 に 排 出 される 負 荷 の 程 度 を 表 わしている それは 地 域 及 び 地 球 の 自 然 環 境 に 様 々な 経 路 で 影 響 を 及 ぼし 環 境 状 態 の 変 化 を 招 く 要 因 であり 中 長 期 的 には 市 民 の 暮 らし や 都 市 活 動 に 重 大 な 支 障 をもたらすものである 環 境 指 標 は 何 を 表 わすか 最 初 に 人 間 活 動 という 影 響 要 因 と 環 境 状 態 の 変 化 との 相 互 関 係 の 意 味 を 明 らかにするために 環 境 指 標 のとらえ 方 を 整 理 しておこう 環 境 省 では 環 境 に 係 る 統 計 情 報 1) を 体 系 的 に 集 約 することを 目 的 に * たなか みつる 法 政 大 学 社 会 学 部 教 授 川 崎 市 環 境 局 等 を 経 て 現 職 中 央 環 境 審 議 会 臨 時 委 員 NPO 法 人 環 境 政 策 研 究 所 理 事 主 な 著 書 に 自 治 体 環 境 行 政 の 最 前 線 (2008 年 ぎょうせい) 環 境 自 治 体 づくりの 戦 略 (2002 年 ぎょうせい) 等 1) 環 境 省 は 環 境 に 関 する 統 計 情 報 を 環 境 統 計 集 として 2002 年 より 発 行 している 40

環境データからみた東京の自治体 経済協力開発機構 OECD の環境指標に関する検討結果 2 を踏まえ て PSR フレームで環境情報を整理している これは 人と環境との 幅広い関係について 問題の原因となる人間活動とその負荷 Pressure 人間活動の影響を受ける環境の状態 State これに対する対応 3 Response という 3 つの側面を設定して その関係を包括的にとらえ る手法である 図 1 図 1 環境負荷 状態 対策を示す PSR フレーム 情報 環境及び自然 資源の状態 人間活動 エネルギー 運輸 工業 農業 その他 環境負荷 大気 情報 水 資源 土壌 生物資源 環境への対応 意思決定 行動 経済及び 環境全体 行政 家庭 事業者 国際社会 部門別対応 意思決定 行動 出典 OECD Environmental Data 1995 引用 環境庁 環境白書 平成 8 年版 大蔵省印刷局 1996 例えば 負荷 とは 人間活動による自然資源を含む環境への負荷を 意味し 自然資源の利用や採取 例えば森林資源の伐採 とともに 汚 染物や化学物質等の排出によって環境負荷が発生する この環境負荷の 排出に伴い 地域及び地球の 環境の状態 は影響を受け 気象 地象 水圏 生態系等の広範な範囲で変動 変化が発生し その変化が人間に 好ましくない影響をもたらすときは 環境問題 となる また 対応 は 2 例えば経済協力開発機構 OECD Environmental Data 1995 など 3 OECD は PSR の枠組みを使用しているが 環境省 環境統計集 では人間活動と負荷 に関して Pressure ではなく 負荷等の駆動力 Driving Force と表現している 41

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 環 境 及 び 経 済 の 主 体 である 行 政 や 家 庭 事 業 者 が 担 う 広 義 の 対 策 政 策 であり 人 間 活 動 に 対 する 管 理 規 制 等 の 手 段 により 環 境 負 荷 の 排 出 抑 制 を 実 施 し また 直 接 的 に 自 然 環 境 に 働 きかけて( 例 えば 植 林 事 業 ) 環 境 の 保 全 を 図 ることも 行 われる こうした 枠 組 みに 照 らしてみると 環 境 指 標 が 意 味 するところは 一 つは 環 境 負 荷 の 排 出 廃 棄 の 状 況 を 示 すものがある 例 えば ごみ 排 出 量 や 二 酸 化 炭 素 排 出 量 は 人 の 活 動 に 伴 い 排 出 されている 地 域 及 び 地 球 環 境 への 負 荷 量 である また 環 境 の 状 態 や 質 を 表 示 する 指 標 もあり 大 気 汚 染 に 関 する 二 酸 化 窒 素 濃 度 やダイオキシン 濃 度 森 林 や 緑 地 の 存 在 量 を 示 す 緑 被 率 川 の 水 質 の 程 度 を 示 す 河 川 水 質 などが 挙 げられる 他 方 ごみの 分 別 数 や ごみ 有 料 化 太 陽 光 発 電 補 助 事 業 下 水 道 普 及 率 などは 対 策 の 実 施 状 況 や 内 容 の 程 度 を 表 わす ものであり 環 境 対 策 に 関 する 指 標 である こうした 観 点 に 基 づいて 本 プロジェクトで 取 りまとめた 環 境 関 連 の 指 標 の 位 置 づけを 体 系 化 すると 表 1 のように 整 理 することができる 表 1 環 境 指 標 の 位 置 づけ( 負 荷 状 態 対 策 ) 項 目 環 境 負 荷 P 環 境 状 態 S 環 境 対 策 R 二 酸 化 窒 素 濃 度 人 口 公 共 交 通 利 用 率 大 気 浮 遊 粒 子 状 物 質 交 通 量 自 動 車 保 有 台 数 ダイオキシン 濃 度 緑 被 率 緑 ( 開 発 面 積 ) 1 人 当 り 公 園 面 積 水 ( 下 水 道 未 整 備 率 ) 河 川 水 質 水 面 率 水 源 井 戸 数 廃 棄 物 ごみ 排 出 量 ( 最 終 処 分 量 ) 化 学 物 質 地 球 環 境 化 学 物 質 排 出 量 移 動 量 CO 2 排 出 量 ダイオキシン 濃 度 化 学 物 質 濃 度 ( 大 気 中 CO 2 濃 度 ) ( 地 球 平 均 気 温 ) 下 水 道 普 及 率 水 消 費 量 ごみ 分 別 数 リサイクル 率 ( 廃 棄 物 処 理 施 設 改 善 数 ) ( 自 然 エネルギー 普 及 ) 太 陽 光 発 電 普 及 率 太 陽 光 発 電 助 成 制 度 42

環境データからみた東京の自治体 ごみ排出量からみた区部と多摩地域の都市特性 東京の区部と多摩地域のごみ排出量データは 人口の大小や地域の 土地利用特性等によって大きく異なっている 表 2 と図 2 表 3 と図 3 に示すように自治体単位でみると 区部ではもっとも排出量が大きいの は世田谷区 人口 84 万人 の 25 万 8000t 年間 次いで練馬区 人 口 69 万人 の 20 万 9000t 大田区 人口 67 万人 の 19 万 7000t で あり 23 区合計では 278 万 t となっている また 多摩地域では八王 子市 人口 56 万人 の 19 万 t 町田市 41 万人 の 14 万 4000t の 順である 反対に排出量の少ない自治体は 区部では千代田区 人口 4 万 2000 人 の 2 万 9000t が最小であり 続いて中央区 人口 9 万 8000 人 の 5 万 2000t である 多摩地域では羽村市 人口 5 万 7000 人 の 2 万 t 清瀬市 人口 7 万 4000 人 の 2 万 2000t 福生市 人口 6 万 1000 人 の 2 万 2000t が排出量の少ない都市である 図 2 区部ごみ排出量 多い順 300000 250000 200000 ごみ排出量 t 150000 区部平均 120,978 t 100000 50000 千代田 中央 文京 荒川 台東 墨田 渋谷 目黒 港 豊島 中野 北 品川 新宿 葛飾 江東 杉並 板橋 江戸川 足立 大田 世田谷 練馬 0 43

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 表 2 区 部 のごみ 排 出 量 区 名 ごみ 排 出 量 (t)a 人 口 ( 人 ) B 区 域 面 積 (km2)c 1 人 1 日 当 り 排 出 量 (g)d 面 積 当 り 排 出 量 t/km2 E ごみ 分 別 数 千 代 田 28,671 41,778 11.64 1,880 2463.1 11 中 央 51,785 98,399 10.15 1,442 5102.0 9 港 86,746 185,861 20.34 1,279 4264.8 10 新 宿 114,691 305,716 18.23 1,028 6291.3 9 文 京 63,356 189,632 11.31 915 5601.8 13 台 東 71,761 165,186 10.08 1,190 7119.1 10 墨 田 80,409 231,173 13.75 953 5847.9 11 江 東 142,346 420,845 39.80 927 3576.5 10 品 川 110,889 346,357 22.72 877 4880.7 15 目 黒 84,697 264,064 14.70 879 5761.7 9 大 田 197,019 665,674 59.46 811 3313.5 12 世 田 谷 257,611 841,165 58.08 839 4435.5 9 渋 谷 82,709 203,334 15.11 1,114 5473.8 8 中 野 99,399 310,627 15.59 877 6375.8 11 杉 並 159,555 528,587 34.02 827 4690.0 11 豊 島 92,359 250,585 13.01 1,010 7099.1 14 北 105,565 330,412 20.59 875 5127.0 8 荒 川 64,314 191,207 10.20 922 6305.3 11 板 橋 161,165 523,083 32.17 844 5009.8 9 練 馬 209,296 692,339 48.16 828 4345.8 9 足 立 190,356 624,807 53.20 835 3578.1 11 葛 飾 133,736 424,878 34.84 862 3838.6 12 江 戸 川 194,050 653,944 49.86 813 3891.9 12 区 部 合 計 2,782,485 8,489,653 617.01 22,827 114,393.2 244 区 部 平 均 120,978 369,115 26.8 898 4509.6 10.6 ( 注 ) 1. ごみ 排 出 量 は 直 近 の 2006 年 度 数 値 を 人 口 データは 他 分 野 の 統 計 項 目 と 整 合 をとる ため 2005 年 度 数 値 を 使 用 した 2. 1 人 1 日 当 たり 排 出 量 (D)は D =(A 1000 1000) (B 365)で 算 出 単 位 は g/ 人 日 3. 面 積 当 たり 排 出 量 (E)は E = A C で 算 出 単 位 は t/km2 4. 区 部 平 均 は 23 区 の 平 均 値 である ただし 1 人 当 たり 排 出 量 は 区 部 の 合 計 ごみ 排 出 量 に 対 して 区 部 の 合 計 人 口 で 除 した 数 値 である 面 積 当 たり 排 出 量 も 同 様 に 合 計 排 出 量 を 全 体 面 積 で 除 した 出 典 : 東 京 都 区 市 町 村 清 掃 事 業 年 報 (2006 年 度 実 績 ) 44

環境データからみた東京の自治体 さて これらの自治体の排出状況をさらに詳しくみるために ごみ排 出の強さ 排出強度 として住民 1 人 1 日当たり排出量と区域面積当 たり排出量を比較する 住民 1 人 1 日当たり排出量は 区民 市民が 1 日生活する中で排出 するごみ量であり 国全体では 1 人 1 日当たり排出量 2006 年度実績 は 1115g4 である これに対して 都心区 千代田 中央 港等 では これを上回り 最大は千代田区の 1880g/ 人日となっている 表 4-1 いずれも 区内に多数の事業所やオフィス 繁華街の飲食店や集客施設 が立地し これから排出される事業系ごみが一般廃棄物として収集 処 理されるために これがごみ排出量にカウントされて大きな数値になっ たものである また 最小は大田区の 811g/ 人日であり 続いて江戸 川区 818g/ 人日となっている 表 4-2 一方 多摩地域では 最大は立川市 1104g/ 人日であり 次いで武蔵 野市 1060g/ 人日 昭島市 1007g/ 人日となっている また 最小は小 図 3 多摩地区ごみ排出量 多い順 ごみ排出量 t 多摩平均 51,915 t 羽村 清瀬 福生 武蔵村山 狛江 稲城 国立 東大和 あきる野 小金井 国分寺 東久留米 昭島 東村山 青梅 多摩 日野 武蔵野 小平 三鷹 西東京 立川 調布 府中 町田 八王子 200000 180000 160000 140000 120000 100000 80000 60000 40000 20000 0 4 環境省 一般廃棄物処理事業実態調査の結果 平成 18 年度実績 2008 年 6 月 3 日 公表 データ 45

まちと 暮 らし 研 究 No.5 東 京 のまちと 暮 らし 研 究 所 の 調 査 研 究 活 動 から 表 3 多 摩 地 区 のごみ 排 出 量 市 名 ごみ 排 出 量 (t)a 人 口 ( 人 ) B 区 域 面 積 (km2)c 1 人 1 日 当 り 排 出 量 (g)d 面 積 当 り 排 出 量 t/km2 E ごみ 分 別 数 八 王 子 190,059 560,012 186.31 930 1020.1 16 立 川 69,538 172,566 24.38 1,104 2852.3 17 武 蔵 野 53,220 137,525 10.73 1,060 4959.9 18 三 鷹 56,958 177,016 16.50 882 3452.0 17 青 梅 49,487 142,354 103.26 952 479.2 18 府 中 84,184 245,623 29.34 939 2869.3 13 昭 島 40,466 110,143 17.33 1,007 2335.0 18 調 布 71,756 216,119 21.53 910 3332.8 14 町 田 143,717 405,534 71.63 971 2006.4 18 小 金 井 31,993 114,112 11.33 768 2823.7 19 小 平 56,798 183,796 20.46 847 2776.1 17 日 野 53,036 176,538 27.53 823 1926.5 19 東 村 山 45,524 144,929 17.17 861 2651.4 20 国 分 寺 37,510 117,604 11.48 874 3267.4 18 国 立 25,264 72,667 8.15 953 3099.9 17 福 生 22,077 61,074 10.24 990 2156.0 13 狛 江 23,911 78,319 6.39 836 3741.9 20 東 大 和 27,065 79,353 13.54 934 1998.9 18 清 瀬 21,997 73,529 10.19 820 2158.7 12 東 久 留 米 37,795 115,330 12.92 898 2925.3 12 武 蔵 村 山 23,227 66,553 15.37 956 1511.2 24 多 摩 51,169 145,877 21.08 961 2427.4 18 稲 城 24,990 76,492 17.97 895 1390.7 21 羽 村 20,495 56,514 9.91 994 2068.1 18 あきる 野 28,326 79,587 73.34 975 386.2 18 西 東 京 59,238 189,735 15.85 855 3737.4 16 多 摩 合 計 1,349,800 3,998,901 783.9 23,994 64,353.7 449 多 摩 平 均 51,915 153804 30.2 923 2475.1 17.3 ( 注 ) 1. ごみ 排 出 量 は 直 近 の 2006 年 度 数 値 を 人 口 データは 他 分 野 の 統 計 項 目 と 整 合 をとるため 2005 年 度 数 値 を 使 用 した 2. 1 人 1 日 当 たり 排 出 量 (D)は D =(A 1000 1000) (B 365)で 算 出 単 位 は g/ 人 日 3. 面 積 当 たり 排 出 量 (E)は E = A C で 算 出 単 位 は t/km2 4. 多 摩 平 均 は 26 市 の 平 均 値 である ただし 1 人 当 たり 排 出 量 は 多 摩 地 域 合 計 のごみ 排 出 量 に 対 して 多 摩 の 合 計 人 口 で 除 した 数 値 である 面 積 当 たり 排 出 量 も 同 様 に 合 計 排 出 量 を 全 体 面 積 で 除 した 出 典 : 東 京 都 区 市 町 村 清 掃 事 業 年 報 (2006 年 度 実 績 ) 46

環 境 データからみた 東 京 の 自 治 体 表 4-1 1 人 1 日 当 たり 排 出 量 の 多 い 区 と 市 区 部 排 出 量 (g/ 人 日 ) 分 別 数 多 摩 地 域 排 出 量 (g/ 人 日 ) 分 別 数 千 代 田 1880 (11) 立 川 市 1104 (17) 中 央 1442 (9) 武 蔵 野 市 1060 (18) 港 1279 (10) 昭 島 市 1007 (18) 台 東 1190 (10) 羽 村 市 994 (18) 渋 谷 1114 (8) 福 生 市 990 (13) 表 4-2 1 人 1 日 当 たり 排 出 量 の 少 ない 区 と 市 ( 多 摩 地 域 ) 区 部 排 出 量 (g/ 人 日 ) 分 別 数 多 摩 地 域 排 出 量 (g/ 人 日 ) 分 別 数 大 田 811 (12) 小 金 井 市 768 (19) 江 戸 川 818 (12) 清 瀬 市 820 (12) 杉 並 827 (11) 日 野 市 823 (19) 練 馬 828 (9) 狛 江 市 836 (20) 足 立 835 (11) 小 平 市 847 (17) 金 井 市 768g/ 人 日 で 都 内 では 唯 一 800g を 下 回 り 次 に 清 瀬 市 820g/ 人 日 日 野 市 823g/ 人 日 と 続 いている 次 に 面 積 当 たりのごみ 排 出 量 をみると これは 区 域 面 積 が 比 較 的 小 さく その 一 方 地 域 内 で 活 発 な 都 市 活 動 が 営 まれている 自 治 体 で 大 きな 数 字 になる 傾 向 がみてとれる 区 部 では 台 東 区 ( 区 域 面 積 10.08km 2 で 区 部 では 最 小 )がもっとも 大 きく 1km 2 当 たり 7119t のごみが 排 出 されている これに 次 ぐのは 豊 島 区 7099t/km 2 で 以 下 中 野 区 6376t/ km 2 荒 川 区 6305t/km 2 新 宿 区 6291t/km 2 と 続 いている 反 対 に 面 積 当 たり 排 出 量 が 小 さいのは 千 代 田 区 2463t/km 2 大 田 区 3313t/ km 2 等 である 多 摩 地 域 では 武 蔵 野 市 ( 面 積 10.73km 2 )4960t/km 2 のほか 狛 江 市 3742t/km 2 や 西 東 京 市 3737t/km 2 三 鷹 市 3452t/km 2 が 大 きくなっ ている 武 蔵 野 市 は 1 人 1 日 当 たり 排 出 量 でも 多 摩 地 域 で 第 2 位 であり ごみ 排 出 強 度 が 大 きい 都 市 であることが 分 かる 一 方 狛 江 市 は 1 人 1 日 当 たり 排 出 量 では 少 ないが 市 域 面 積 6.39km 2 と 区 部 及 び 多 摩 地 47

まちと暮らし研究 No.5 東京のまちと暮らし 研究所の調査 研究活動から 域の中では最小であることから 面積当たり排出量が上位にランクされ ている 反対に ごみ排出量や人口に比して市域面積が広大なあきる野 市 386t/km2 青梅市 479t/km2 は面積当たり排出量が大幅に小さくなっ ている 温室効果ガス排出量からみた東京の自治体 温室効果ガス 国内ではその大部分を二酸化炭素が占める 排出量 は 都市の活動を把握するための有力な指標の一つであり とくに近年 の温暖化問題への関心の高まりとともに その排出実態が注目されて いる 温室効果ガスは 工場等の事業活動に加えて業務 商業 家庭 民生 交通部門から発生している 直近の国内の排出量データである 2007 年度の数値 5 では 産業 工場等 36.1 運輸 自動車 船 舶 等 19.1 業 務 そ の 他 商業 サービス 事業所等 18.1 家庭 13.8 エネ ルギー転換部門 発電所等 6.4 等となっている これ に対して 東京 区部と多摩 図4 東京 区部と多摩地域の 温室効果ガス排出量の内訳 交通貨物 (8.0%) 製造業 (10.9%) 交通旅客 (10.6%) 地域 の 合 計 で は 業 務 部 門がもっとも多く 40.8 を 占め 次いで家庭系 29.6 家庭 (29.6%) 業務 (40.8%) 交 通 旅 客 と 貨 物 18.6 と続き 製造業は 10.9 に とどまっている 図 4 5 環境省 2007 年度 平成 19 年度 の温室効果ガス排出量 確定値 2009 年 4 月 30 日公表 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=11091 48

環境データからみた東京の自治体 こうした排出状況に関して 自治体ごとにみていくと 各自治体の都 市特性や活動特性が明確にみてとれる 区部 図 5 では 区域面積は 小さいが活発な業務や商業活動が展開される都心の千代田 中央 港の 各区では 業務系排出量が圧倒的に大きく 全体排出量の 80 程度を 占めている こうした業務系が相当部分を占める 業務 商業区 とし ての傾向は 新宿 渋谷 台東 品川 豊島等の区でもみられる これ 図5 区部の温室効果ガス排出量 0 千代田区 中央区 港区 新宿区 文京区 台東区 墨田区 江東区 品川区 目黒区 500 1000 1500 2000 2500 千トンCO2 製造業 業務 家庭 交通旅客 交通貨物 大田区 世田谷区 渋谷区 中野区 杉並区 豊島区 北区 荒川区 板橋区 練馬区 足立区 葛飾区 江戸川区 49

まちと暮らし研究 No.5 東京のまちと暮らし 研究所の調査 研究活動から に対し 世田谷区をはじめ練馬 足立 江戸川 杉並 板橋等では 家 庭系が多くを占める 住宅区 となっている この温室効果ガス排出量 の性格と1人当たりごみ排出量の関係を分析すると 両者の間には相関 関係があることがわかる 温室効果ガス排出量が業務区としての性格を 持つ千代田 中央 港 台東 新宿等では 相対的に 1 人当たりごみ 排出量が大きくなっている 反面 温室効果ガス排出量が住宅区として 図 6 多摩地域の温室効果ガス排出量 0 八王子市 立川市 武蔵野市 三鷹市 青梅市 府中市 昭島市 調布市 町田市 小金井市 小平市 日野市 東村山市 国分寺市 国立市 福生市 狛江市 東大和市 清瀬市 東久留米市 武蔵村山市 多摩市 稲城市 羽村市 あきる野市 西東京市 50 100 200 300 400 500 600 700 千トンCO2 製造業 業務 家庭 交通旅客 交通貨物

環境データからみた東京の自治体 の性格を持つ世田谷 練馬 足立 江戸川 杉並等では 1 人当たりご み排出量が小さい なお 区部の中では比較的 製造業からの温室効果 ガス排出量が大きいのは板橋区 大田区であり 工業が盛んな区として の特性を示している 多摩地域 図 6 では 全般的な傾向として家庭系排出量が卓越して おり 住宅都市としての広がりを表わしている しかし 中には立川 武蔵野 多摩のように相対的に業務 商業系の排出量が大きな都市があ り また府中 青梅 羽村のように製造業の割合が大きい都市もみられる また 区部と多摩地域における温室効果ガス排出量とごみ排出量の関 係を把握するために 両者の間の相関係数を算出すると 表 5 に示す 結果が得られる これから 東京の自治体のごみ排出量は その地域か らの家庭系の温室効果ガス排出量と大変密接な関係 同じ排出傾向 を 持ち その両者の相関係数は極めて高いことが明らかとなる 図 7 は 区部のごみ排出量と温室効果ガス排出量 合計排出量 家庭系排出量 図 7 23 区のごみ排出量と温室効果ガス排出量 合計 家庭 3000 家庭 温室効果ガス排出量 千トン 合計 2500 家庭線形近似 相関係数 r=0.482 2000 合計線形近似 1500 1000 C0 2 相関係数 r=0.989 500 0 0 50 100 150 200 250 300 ごみ排出量 千トン 51

まちと暮らし研究 No.5 東京のまちと暮らし 研究所の調査 研究活動から 表5 ごみ排出量と温室効果ガスの関係 区分 区部の相関係数 多摩 26 市の相関係数 ごみ排出量と ごみ排出量と 温室効果ガス 総計 家庭系温室効果ガス 0.482 0.974 0.989 0.993 データをみたものであり 地域からの温室効果ガスのうち家庭系排出量 はごみ排出量と非常に高い相関関係を示している おわりに 東京の自治体と一言でいっても 環境面からみた区部と多摩地域の特 質は大きく異なっている 活発に営まれる業務活動が集積して大量の環 境負荷が排出される千代田 中央のような都心区から 自然豊かな森林 や山地を抱える羽村や青梅 八王子まで 地域特性に根ざした多面的な 環境特性が広がっている 環境指標は こうした様々な社会経済活動や自然条件に即して現れる 地域の環境面に係る課題や特徴を把握し分析する上で 有用性の高い ツールといってよい 地域特性とより適合した適切な環境対策を立案 推進するに際して 環境指標に基づく地域環境の評価と分析は必須の要 件となる 本稿では 紙幅の都合でごみ排出量と温室効果ガス排出量に限って分 析したが むろん他の環境項目でも分析 考察が可能である 環境指標 を活用した さらなる地域環境政策の前進が望まれる 52