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國 井 秀 紀 1 はじめに 当 館 では 縄 文 時 代 に 使 用 された 鹿 角 製 釣 り 針 をつくる 実 技 講 座 をこれまでに5 回 実 施 して きた ( 註 1) 筆 者 は 平 成 24 年 度 の 講 座 を 担 当 し その 中 で 硬 い 鹿 の 角 の 加 工 に 大 変 時 間 が かかることを 感 じた また 講 座 では 参 加 者 の 半 分 以 上 を 占 めた 小 学 生 たちが 同 伴 した 両 親 に 手 伝 ってもらう 姿 が 多 く 見 受 けられた そのような 状 況 から 当 講 座 での 製 作 方 法 を 見 直 す 目 的 で 当 時 の 人 々がどのようにして 釣 り 針 を 製 作 していたかについて 考 えるようになった 今 回 は 縄 文 時 代 の 釣 り 針 製 作 に 関 連 する 資 料 調 査 を 行 い そこで 得 られた 情 報 を 基 に 行 っ た 実 験 から 当 時 の 製 作 について 検 討 する 2 講 座 での 釣 り 針 づくり 釣 り 針 づくりでは 材 料 となる 鹿 の 角 の 加 工 が 大 変 困 難 であるため 当 時 の 道 具 を 使 って 製 作 すると1 日 以 上 かかる このため 講 座 では 限 られた 時 間 内 に 釣 り 針 が 製 作 できるように 当 館 において 事 前 に 加 工 した 材 料 を 準 備 し 現 代 の 道 具 を 使 用 して 釣 り 針 製 作 を 行 った 製 作 には 写 真 1に 示 した 棒 状 ヤスリ(1 2)と 紙 やすり(4) それに 荒 目 の 砥 石 (3) の 道 具 を 使 用 した 材 料 は 写 真 2のように 糸 ノコで 鹿 角 の 幹 部 を 輪 切 り(A) 縦 分 割 (B) にした 後 グラインダーで 板 状 の 素 材 (C)に 削 り さらに 糸 ノコで 切 れ 込 みを 入 れた U 字 形 の 素 材 (D E)に 加 工 した ここまでは 職 員 が 事 前 に 準 備 した 参 加 者 は 丸 1 日 水 漬 けしたU 字 形 の 素 材 (E)を 使 い 荒 削 り 整 形 仕 上 げ の 順 ( 註 2)で 製 作 を 行 った 講 座 では U 字 形 の 素 材 に 鉛 筆 で 釣 り 針 の 形 を 下 書 きし 水 を 付 けながら 平 形 ヤスリ 及 び 砥 石 を 使 って 荒 削 り を 行 う この 作 業 が 製 作 の 大 半 を 占 める 次 の 整 形 では 内 面 加 工 に 半 丸 形 ヤスリ 外 面 加 工 に 平 形 ヤスリ 及 び 砥 石 で 釣 り 針 形 にする 最 終 段 階 の 仕 上 げ で は 水 に 付 けた 耐 水 性 紙 ヤスリ(240 番 )で 針 全 体 の 形 や 太 さを 調 整 し 糸 を 取 り 付 ける 部 分 1 平 形 ヤスリ 2 半 丸 形 ヤスリ A B 3 砥 石 4 耐 水 性 紙 ヤスリ (240 番 ) C D E F 写 真 1 講 座 で 使 用 する 道 具 写 真 2 講 座 の 準 備 で 作 成 した 材 料 と 完 成 品 - 55 -

に 半 丸 形 ヤスリで 刻 みを 入 れて 最 後 に 針 先 を 尖 らせて 完 成 となる 針 先 の 加 工 では 針 先 が 濡 れているとヤスリをかけても 先 端 が 尖 らない ( 註 3)ため 素 材 を 乾 燥 させた 後 水 を 使 わずに 紙 やすりで 先 端 を 尖 らせた 以 上 のような 釣 り 針 製 作 では 完 成 ( 写 真 2-F)するまでに 大 人 で1 時 間 30 分 小 学 生 の 高 学 年 で4 時 間 ほどかかった 参 加 者 写 真 3 製 作 の 様 子 ( 平 成 24 年 9 月 撮 影 ) からは 製 作 での 難 しさに 対 しての 感 想 があ ったものの 多 くの 方 は 製 作 に 苦 労 したぶん 完 成 時 の 達 成 感 が 大 きかったようである こ のようなことから 当 講 座 が 行 った 体 験 学 習 の 目 的 は 達 成 されたと 考 えられる 3 縄 文 時 代 の 釣 り 針 の 調 査 資 料 調 査 は 鹿 角 製 釣 り 針 の 製 作 工 程 が 分 かる 福 島 県 いわき 市 大 畑 貝 塚 ( 註 4)や 同 市 薄 磯 貝 塚 ( 註 5) 等 について 実 見 した ( 註 6) その 中 で 大 畑 貝 塚 の 製 作 工 程 ( 註 7)からは おおよそ 工 程 1 鹿 角 幹 部 の 切 断 工 程 2 幹 部 を 縦 割 り2 分 割 工 程 3 板 状 素 材 の 中 央 の 窪 み 及 び 穴 開 け 工 程 4U 字 形 釣 り 針 の 原 型 工 程 5 研 磨 整 形 完 成 のような 製 作 の 流 れが 分 かる ( 註 8) ここでは 釣 り 針 未 成 品 の 加 工 痕 から 推 測 される 製 作 方 法 についてまとめる (1) 製 作 工 程 に 見 られる 加 工 痕 と 推 測 される 工 具 ( 図 1) 工 程 1では 図 1-1のような 削 り や 同 図 2のような 擦 り 切 り による 切 断 方 法 が ある 1の 加 工 痕 は 加 工 面 が 平 坦 で 幅 が1cm 程 度 もので その 形 状 がノミで 削 った 状 態 に 似 ている このため 1の 加 工 痕 からは 厚 手 の 削 り によるものと 考 えられることから 磨 製 石 斧 が 2は 滑 らかな 加 工 痕 から 剥 片 が 使 用 されたものと 推 測 される なお 1では 加 工 痕 の 単 位 がハッキリするのに 対 し 2では 切 断 面 が 滑 らかなため 単 位 が 明 確 でない 工 程 2では 図 1-14 のような 厚 手 の 磨 製 石 斧 が 使 用 され ( 註 9) 図 1-2のように2 分 割 される また 分 割 面 には 講 座 で 使 用 した 砥 石 による 研 磨 痕 と 同 様 な 痕 跡 が 認 められる 工 程 3では 図 1-3 4のように 板 状 にした 素 材 の 中 央 に 窪 み 及 び 穴 が 開 けられる 素 材 の 穴 開 けには 4のように 薄 く 削 るものと 工 程 4の 図 1-5の 中 央 部 に 見 られるノミ 状 の 工 具 による 厚 手 の 削 り があると 考 えられる また 3のような 擦 り 切 り 痕 は 工 程 4につな がる 切 れ 込 み と 考 えられる このため 工 程 3で 行 われる 窪 み 及 び 穴 開 けと 擦 り 切 り には 剥 片 が 使 用 されたと 考 えられる 工 程 4では 図 1-5 6のように 素 材 の 片 側 に 切 れ 込 みを 入 れてU 字 形 釣 り 針 の 原 形 がつ くられる 5は 素 材 中 央 部 の 湾 曲 部 分 を 大 きくするために 厚 手 の 削 り が 行 われ 破 損 し た 資 料 と 考 えられる なお 大 畑 貝 塚 の 釣 り 針 未 製 品 では 5のような 資 料 が 最 も 多 く 出 土 し ているが このことは 加 工 時 に 強 い 力 をかけて 削 ったためと 考 えられる また 6に 見 られ

3 縄 文 時 代 の 釣 り 針 の 調 査 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 1 ~7 釣 り 針 未 製 品 8 釣 り 針 製 品 9 斧 状 鹿 角 製 品 ( 参 考 資 料 ) 10 ~ 14 磨 製 石 斧 ( 釣 り 針 製 作 に 関 連 する 参 考 資 料 11 ~ 13 は 局 部 磨 製 石 斧 ) 図 1 大 畑 貝 塚 出 土 の 鹿 角 製 品 石 斧 14 0 10cm

る 加 工 痕 は 同 図 1のものに 似 ているが その 単 位 は5~8mm 程 度 と1よりもやや 小 さい こ の 時 に 使 用 された 工 具 は 図 1-10 ~ 13 のような 小 型 で 薄 手 の 磨 製 石 斧 および 局 部 磨 製 石 斧 が 推 測 される なお 大 畑 貝 塚 では このような 磨 製 石 斧 の 出 土 量 が 多 く 注 目 される 工 程 5では 図 1-7のような 製 品 に 近 い 状 態 まで 研 磨 整 形 が 行 われる 釣 り 針 の 湾 曲 部 分 の 外 面 と 内 面 には 粗 い 研 磨 痕 が 残 る このような 加 工 痕 は 素 材 が 硬 い 状 態 のときに 見 られ るもので 湾 曲 部 分 の 外 面 が 砥 石 内 面 が 剥 片 および 小 型 の 砥 石 によるものと 推 測 される この 他 図 1-9は 釣 り 針 に 関 連 する 資 料 ではないが 加 工 痕 がハッキリと 残 る 参 考 資 料 である この 加 工 痕 からは 図 1-1と 同 様 にノミ 状 の 工 具 が 使 用 されたと 推 測 される (2) 加 工 痕 から 推 測 される 製 作 方 法 と 道 具 ( 表 1) 今 回 の 資 料 調 査 では 釣 り 針 未 製 品 の 加 工 痕 から 表 1に 示 した 厚 手 の 削 り 薄 手 の 削 り 擦 り 切 り 分 割 研 磨 の5 種 類 の 製 作 方 法 が 考 えられ 製 作 道 具 については 厚 手 の 削 り では 小 型 で 薄 手 の 磨 製 石 斧 及 び 局 部 磨 製 石 斧 薄 手 の 削 り では 剥 片 分 割 では 厚 手 の 磨 製 石 斧 研 磨 では 砥 石 が 使 用 されたと 考 えられる 表 1 大 畑 貝 塚 出 土 の 釣 り 針 製 作 工 程 時 の 加 工 方 法 4 釣 り 針 の 製 作 実 験 ここでは 前 述 した 工 程 1 3 4の 削 り と 工 程 2の 擦 り 切 り による 加 工 痕 の 状 態 加 工 時 間 等 を 検 証 するため 実 験 1~3までを 行 う (1) 実 験 について ( 表 2 写 真 4) 実 験 1では 図 1-1の 両 端 に 見 られる 加 工 痕 から 表 2に 示 した3 段 階 の 素 材 の 硬 さによ る 削 り の 加 工 痕 の 違 いを 確 認 した 素 材 には 2 分 割 した 幅 20 mm 角 質 の 厚 さ6mmのも のを 使 用 した 実 験 には 水 漬 けしないもの ( 実 験 1-1) 10 日 間 水 漬 けしもの ( 実 験 1-2) 10 日 間 水 漬 けした 後 に1 時 間 ゆでたもの ( 実 験 1-3)の3 種 類 を 使 用 した 加 工 具 には 痕 跡 の 形 状 や 状 態 から 図 1-10 ~ 13 のような 薄 手 で 小 型 の 磨 製 石 斧 及 び 局 部 磨 製 石 斧 などの 使 用 が 考 えられることから 磨 製 石 斧 に 近 い 工 具 として 彫 刻 刀 の 平 刀 を 使 用 した その 結 果 実 験 1-3では 図 1-1のようなハッキリとした 痕 跡 ではないが 僅 かに 加 工 痕 が 認 められた しかし 金 属 の 平 刀 を 使 用 しても 痕 跡 が 明 瞭 でないことから 当 時 の 製 作 では

4 釣 り 針 の 製 作 実 験 表 2 実 験 の 内 容 と 結 果 素 材 をかなり 柔 らかくして 加 工 していたと 考 えられる なお 実 験 1-1 2では 素 材 が 硬 いため 擦 り 切 り のような 滑 らかな 痕 跡 に 留 まった 実 験 2では 工 程 1の 擦 り 切 り による 切 断 を 行 った 素 材 には 2 分 割 した 幅 2 mm 角 質 の 厚 さ6mmのものを1 時 間 ゆでて 使 用 し 切 断 には 頁 岩 ( 註 10)の 剥 片 を 使 用 した その 結 果 切 断 面 は 滑 らかで 図 1-2と 同 様 なことから 擦 り 切 り には 剥 片 を 使 用 したと 考 えられる 実 験 3では 工 程 3の 板 状 素 材 の 穴 開 けを 行 った 素 材 には 水 漬 けしていない 厚 さ4mmの ものを 使 用 し 実 験 2と 同 様 の 頁 岩 の 剥 片 を 使 用 した 素 材 に 水 をつけながら 剥 片 を 縦 方 向 に 動 かし 時 々 素 材 を 回 転 させて 楕 円 状 の 窪 みをつくる 作 業 を 続 けることで 穴 を 開 けることがで きた その 結 果 実 験 3では 実 験 1-1 実 験 1-3 硬 い 素 材 を 使 って 図 1-4とほ ぼ 同 様 の 穴 を 開 けることができ たが 4に 多 く 認 められる 線 状 の 傷 がつかないことから 本 来 は 先 端 の 尖 った 工 具 が 使 用 され たと 考 えられる 実 験 2 実 験 3 写 真 4 実 験 による 加 工 痕 (2) 実 験 結 果 等 から 予 想 される 製 作 方 法 今 回 の 実 験 からは 鹿 角 の 水 漬 け 期 間 を 長 くすることで 素 材 が 柔 らかくなり さらに 鍋 ( 土 器 )でゆでることで より 柔 らかくなることが 明 らかになった また 素 材 が 柔 らかい 状 態 で 削 ると 加 工 痕 が 残 りやすいことも 分 かった このような 実 験 結 果 と 講 座 の 体 験 および 資 料 調 査 から 考 えられる 釣 り 針 製 作 は 以 下 の 通 り である すなわち 製 作 工 程 1 3 4( 図 1-1 3~6)の 段 階 までは 柔 らかくした 鹿 角 の 素 材 を 使 用 するが 釣 り 針 の 先 端 加 工 の 最 終 仕 上 げは 素 材 がある 程 度 硬 くなった 段 階 で 行 っていたと 考 えられる

5 おわりに はじめは 釣 り 針 製 作 に 関 する 些 細 な 疑 問 を 抱 いていたことが 製 作 に 関 する 資 料 調 査 や 実 験 を 行 うことで 釣 り 針 製 作 の 素 材 が 当 時 はかなり 柔 らかくして 使 用 していたという 思 わぬ 成 果 を 得 ることができた しかし 当 時 の 縄 文 人 が 素 材 をどのような 方 法 で そしてどの 程 度 まで 柔 らかくして 加 工 していたのかについて 確 認 できなかった 点 が 課 題 として 挙 げられる 今 回 の 釣 り 針 製 作 の 体 験 学 習 や 資 料 調 査 実 験 からは 多 くのことを 学 ぶことができた こ のような 経 験 や 成 果 を 今 後 の 釣 り 針 製 作 の 講 座 をはじめ 当 館 の 教 育 活 動 の 中 で 生 かしてい きたいと 考 えている < 註 > ( 註 1) 鹿 角 で 釣 り 針 をつくる 実 技 講 座 は 平 成 1 1 21 23 24 年 度 に 実 施 した 内 容 は まほろんH Pの 刊 行 物 (http://www.mahoron.fks.ed.jp/kankoubutu.htm) の まほろん 通 信 Vol.1 21 33 まほろん 活 動 記 録 (http://www.mahoron.fks.ed.jp/kiroku.htm) の2005 年 4 月 30 日 200 年 5 月 30 日 2011 年 月 23 25 日 2012 年 9 月 15 1 日 の 記 事 を 参 照 していただきたい ( 註 2) 福 島 県 いわき 市 大 畑 貝 塚 の 資 料 を 参 考 にした 製 作 工 程 である ( 註 3) 平 成 24 年 度 の 実 技 講 座 鹿 の 角 で 釣 り 針 をつくろう の 事 前 の 製 作 中 に 気 づいたことである ( 註 4)いわき 市 教 育 委 員 会 1 大 畑 貝 塚 調 査 報 告 ( 註 5)いわき 市 教 育 委 員 会 1 薄 磯 貝 塚 いわき 市 埋 蔵 文 化 財 調 査 報 告 第 1 冊 ( 註 6) 資 料 調 査 のため いわき 市 考 古 資 料 館 で 大 畑 貝 塚 薄 磯 貝 塚 寺 脇 貝 塚 出 土 の 釣 り 針 製 作 に 関 連 する 資 料 を 実 見 した 資 料 閲 覧 に 際 し 多 忙 な 中 を 対 応 いただいた 同 館 館 長 の 樫 村 友 延 氏 に 深 く 御 礼 申 し 上 げます ( 註 7) 大 畑 貝 塚 で 報 告 されている 釣 り 針 の7つの 製 作 工 程 については 前 掲 註 4 文 献 の3 3 0 頁 に 記 され ている ( 註 8) 前 掲 註 4 文 献 の 製 作 工 程 を 基 に 筆 者 が 便 宜 的 に 製 作 工 程 を1~5まで 示 したものである ( 註 9) 鹿 角 の 幹 部 の 分 割 については 楠 本 政 助 氏 の 論 考 ( 楠 本 政 助 1 3 製 作 用 法 実 験 縄 文 時 代 文 化 の 研 究 7 雄 山 閣 )を 参 考 にした ( 註 10) 筆 者 が 山 形 県 米 沢 市 広 幡 町 で 採 集 したものである 挿 図 出 典 図 1 註 6 文 献 より 転 載 加 筆 して 作 成 写 真 出 典 写 真 1 2 4 筆 者 撮 影 写 真 3 まほろんHPの まほろん 活 動 記 録 の2012 年 9 月 15 1 日 鹿 の 角 で 釣 り 針 をつくろう より 転 載 (http://www.mahoron.fks.ed.jp/taiken/12/shika_tuno2012.htm) - 0 0 -