長 岡 工 業 高 等 専 門 学 校 におけるグローバル 教 育 -メキシコ 版 高 専 との 連 携 - Global Education in National Institute of Technology, Nagaoka College: Networking with Mexican Technical College 長 岡 工 業 高 等 専 門 学 校 国 際 交 流 推 進 センター 長 教 授 中 村 奨 NAKAMURA Susumu (Director/Professor, International Affairs Center, NIT, Nagaoka College) キーワード: 高 専 メキシコ グローバル 化 1.はじめに 高 等 専 門 学 校 ( 以 下 高 専 と 呼 ぶ)は 中 学 校 卒 業 後 の 学 生 を 第 1 学 年 に 受 け 入 れ 後 期 中 等 教 育 を 取 り 込 んだ 5 年 一 貫 の 効 率 的 な 教 育 プログラムによって 高 度 な 専 門 知 識 を 身 に 付 けた 実 践 的 技 術 者 を 養 成 し 世 に 送 り 出 してきた 卒 業 生 の 活 躍 は 社 会 の 要 請 に 十 分 に 応 え 高 専 のユニークな 技 術 教 育 システムは 高 い 評 価 を 得 て 現 在 に 至 っている 一 方 今 日 急 速 に 進 展 する 産 業 のグローバル 化 に 伴 い 技 術 者 教 育 においても 国 際 性 の 涵 養 が 強 く 求 められている 本 レポートでは グローバル 教 育 に 関 する 長 岡 高 専 のこれまでの 取 り 組 みと 今 年 度 から 始 めたメキ シコ 版 高 専 との 連 携 事 業 について 述 べる 2. 地 球 ラボの 開 設 長 岡 高 専 では 国 際 性 の 涵 養 を 新 たな 社 会 的 ニーズと 捉 え 学 生 が 国 際 人 として 大 きく 成 長 する 基 盤 を 養 うための 支 援 環 境 をキャンパス 内 に 整 備 するとともに 新 たな 国 際 理 解 プログラムを 開 発 し 提 供 することを 目 的 として 平 成 20 年 1 月 に 活 動 拠 点 となる 地 球 ラボ を 開 設 した 1 ここでは 留 学 生 と 日 本 人 学 生 との 日 常 的 な 交 流 を 最 大 限 に 引 き 出 し 双 方 にとって 効 果 的 な 国 際 理 解 環 境 を 創 出 す ることを 目 指 している 長 岡 高 専 は 全 国 の 高 専 の 中 で 最 も 多 くの 留 学 生 を 受 け 入 れている 学 校 の 一 8
つである 昭 和 60 年 から 留 学 生 の 受 け 入 れを 開 始 し 平 成 27 年 3 月 までに 120 名 の 卒 業 生 を 送 り 出 している これまでに マレーシア 中 国 モンゴル ベトナム インドネシア バングラデシュ イラン ガボン 等 からの 留 学 生 の 受 け 入 れ 実 績 がある 主 な 留 学 生 は 日 本 政 府 ( 文 部 科 学 省 ) 奨 学 金 留 学 生 ( 国 費 外 国 人 留 学 生 )とマレーシア 政 府 派 遣 留 学 生 である また 長 岡 高 専 では 平 成 17 年 から 全 国 の 高 専 に 先 駆 けて 私 費 外 国 人 留 学 生 の 受 け 入 れを 行 っており 現 在 7 名 の 私 費 ベトナム 人 留 学 生 が 長 岡 高 専 で 学 んでいる 留 学 生 の 勉 学 意 欲 は 高 く また 日 本 理 解 の 活 動 なども 積 極 的 である このような 留 学 生 を 支 援 の 受 け 手 から 学 生 全 体 の 国 際 性 を 育 成 する 担 い 手 として 位 置 付 け 活 躍 させる 点 が 地 球 ラボの 特 徴 の 一 つである これにより 高 専 低 学 年 からの 国 際 性 涵 養 教 育 を 充 実 し 留 学 生 日 本 人 学 生 双 方 向 の 活 動 による 国 際 理 解 の 環 境 がキャンパス 内 に 醸 成 され 定 着 することを 期 待 している また 長 岡 高 専 で は 一 般 選 択 科 目 として 国 際 関 係 学 演 習 を 開 講 している この 演 習 では 留 学 生 と 日 本 人 学 生 が 協 力 してグループ 学 習 を 行 い その 成 果 を 新 潟 市 の 朱 鷺 メッセで 開 催 される 新 潟 県 国 際 交 流 協 会 主 催 の 国 際 理 解 教 育 プレゼンテーションコンテストで 発 表 しており 毎 年 優 秀 な 成 績 を 収 めている 本 演 習 を 通 じて 留 学 生 と 日 本 人 学 生 が 互 いの 異 文 化 を 理 解 することで グローバルなコミュニケーション 能 力 を 身 に 付 けることを 期 待 している 地 球 ラボ 開 所 式 国 際 理 解 教 育 プレゼンテーション 平 和 のために 私 たちがすべきいくつかの 事 3. 国 際 交 流 推 進 センター 長 岡 高 専 の 国 際 交 流 推 進 センターは 海 外 教 育 機 関 との 協 定 と 交 流 日 本 人 学 生 の 留 学 支 援 や 海 外 学 生 派 遣 研 修 事 業 の 企 画 留 学 生 への 支 援 等 を 主 な 役 割 として 平 成 21 年 4 月 に 設 置 された 学 内 外 での 異 文 化 コミュニケーション 環 境 を 学 生 に 広 く 提 供 して 国 際 交 流 を 推 進 している 学 内 には 国 際 交 流 活 動 の 場 として 前 述 した 地 球 ラボ 室 が 設 置 されており センターと 連 携 しながら 異 文 化 理 解 や 国 際 交 流 のためのプログラム 開 発 を 行 っている また 独 立 行 政 法 人 国 際 協 力 機 構 (JICA) 新 潟 県 9
長 岡 市 国 際 交 流 課 長 岡 高 専 技 術 協 力 会 や 長 岡 高 専 の 現 職 退 職 教 職 員 によるボランティア 組 織 であ る 雪 つばきの 会 ロータリークラブの 下 部 組 織 でもあるインターアクト 部 等 との 地 域 連 携 及 び 共 同 企 画 による 国 際 交 流 活 動 も 支 援 している 長 岡 高 専 の 国 際 的 なネットワークへの 参 加 としては ISATE 国 際 会 議 (The International Symposium on Advances in Technology Education) や ISTS( International Symposium on Technology for Sustainability)が 挙 げられる これらは 独 立 行 政 法 人 国 立 高 等 専 門 学 校 機 構 ( 高 専 機 構 )の 主 催 で 開 かれる 国 際 会 議 である 前 者 は 高 専 教 員 を 対 象 とした 国 際 教 育 会 議 であり 後 者 は 高 専 学 生 ( 主 と して 専 攻 科 生 )に 対 して 英 語 による 研 究 成 果 を 発 表 する 機 会 を 提 供 し 英 語 コミュニケーション 能 力 の 向 上 と 国 際 感 覚 の 涵 養 に 貢 献 することを 目 的 に 平 成 23 年 度 から 実 施 している 学 生 主 体 の 国 際 シン ポジウムである ISTS には 長 岡 高 専 の 学 生 が 毎 年 参 加 している ISATE2015 は 昨 年 長 岡 高 専 が 幹 事 校 となり 長 岡 市 で 開 催 した シンガポールの 5 つのポリテクのほかメキシコ 香 港 タイ モン ゴル フィリピンそしてフィンランドの 大 学 等 か らの 参 加 者 があり 継 続 的 な 交 流 が 続 いている 参 加 者 数 でいえば 海 外 から 64 名 国 内 から 107 名 の 参 加 があった ISATE2015 バンケット 4. 派 遣 受 入 れプログラムの 実 施 長 岡 高 専 は 中 国 の 広 東 東 軟 学 院 ベトナムのハノイコミュニティカレッジ タイの 泰 日 工 業 大 学 マレーシアの ADTEC Melaka メキシコのグアナファト 大 学 そしてモンゴルのモンゴル 工 業 技 術 大 学 と 学 術 交 流 協 定 を 締 結 している 泰 日 工 業 大 学 とは 年 度 内 双 方 向 の 学 生 交 流 を 行 っており 派 遣 と 受 入 れの 両 プログラムを 実 施 している この 双 方 向 形 式 での 学 生 交 流 国 際 交 流 を 他 の 協 定 機 関 にも 広 げ つつある 教 員 受 入 れプログラムとして 平 成 27 年 5 月 には ADTEC Melaka から 8 名 の 教 員 を 同 年 9 月 にはモンゴル 工 業 技 術 大 学 から 3 名 の 教 員 を 受 け 入 れ それぞれ 1 カ 月 にわたるロボット 作 製 技 術 の 研 修 を 実 施 した 具 体 的 には 前 半 の 2 週 間 はソリッドワークスを 利 用 した 3 次 元 CAD と 3 次 元 プリンターの 講 習 後 半 の 2 週 間 は LEGO ロボットと TETRIX を 利 用 したセンサー 技 術 とプログラミン グの 講 習 を 実 施 した また 国 立 研 究 開 発 法 人 科 学 技 術 振 興 機 構 の 平 成 27 年 度 日 本 アジア 青 少 年 サ イエンス 交 流 事 業 (さくらサイエンスプラン)の 支 援 を 受 けて モンゴルにある 3 つの 高 専 ( 私 立 モン ゴル 高 専 国 立 モンゴル 科 学 技 術 大 学 付 属 高 専 私 立 新 モンゴル 高 専 )から 9 名 の 学 生 と 1 名 の 引 率 教 員 を 平 成 28 年 2 月 下 旬 から 10 日 間 に 渡 って 受 入 れた 本 受 入 れプログラムでは 長 岡 高 専 生 とモ 10
ンゴルの 高 専 生 の 混 成 チームを 5 班 作 り 市 販 のロボットキット Lego Mindstorms EV3 で 組 み 立 てた ロボットで World Robot Olympiad Japan のルールに 基 づいて 課 題 をクリアしたポイントと 完 了 ま での 時 間 により 順 位 を 決 定 するライントレース 競 技 会 を 実 施 した ここでは 技 術 的 課 題 をクリアし ていく 過 程 で エンジニアを 目 指 す 同 世 代 の 若 者 に 対 して 交 流 の 場 を 提 供 し 両 国 の 学 生 の 科 学 技 術 に 対 する 理 解 を 深 めさせることを 主 な 目 的 としている 学 生 の 派 遣 プログラムとして 平 成 17 年 度 より 学 生 海 外 派 遣 研 修 を 実 施 している これまでは 中 国 マレーシア タイ ベトナム シンガポールなどのアジアの 高 等 教 育 機 関 に 学 生 を 派 遣 してき た 今 年 度 はアジアの 高 等 教 育 機 関 に 加 え 長 岡 技 術 科 学 大 学 との 連 携 により 実 現 したメキシコのグ アナファト 大 学 高 専 コースにも 学 生 を 派 遣 している また 平 成 26 年 度 からは 長 岡 技 術 科 学 大 学 の 実 務 訓 練 と 連 動 する 形 で タイでの 3 カ 月 間 の 長 期 インターンシップを 実 現 している この 長 期 インタ ーンシップでは 初 めの 1 カ 月 間 は 泰 日 工 業 大 学 で 語 学 研 修 を 受 け 残 り 2 カ 月 間 をバンコク 近 郊 の 日 系 企 業 KYB Steering 社 で 実 習 する 内 容 となっている ADTEC Melaka 教 員 研 修 モンゴル 工 業 技 術 大 学 教 員 研 修 さくらサイエンスプランでのスキー 体 験 KYB Steering 社 での 企 業 実 習 11
以 上 のように 長 岡 高 専 は 早 くから 多 くの 留 学 生 を 受 入 れ 留 学 生 と 日 本 人 学 生 の 交 流 を 通 じた 異 文 化 理 解 国 際 感 覚 の 醸 成 に 努 めてきた 特 にここ 数 年 は 海 外 の 教 育 機 関 に 多 くの 学 生 を 派 遣 する とともに 海 外 長 期 インターンシップを 開 始 し 海 外 の 協 定 校 と 活 発 かつ 実 質 的 な 交 流 連 携 を 行 っ ている 参 考 までに 平 成 27 年 度 の 長 岡 高 専 の 国 際 交 流 に 対 する 取 り 組 みを 以 下 に 示 す 平 成 27 年 4 月 台 湾 の 3 つの 高 校 から 生 徒 80 名 来 校 本 校 の 学 生 と 交 流 (Interact Club) 5 月 ADTEC Melaka( 協 定 校 )の 教 員 8 名 が 1 カ 月 間 本 校 で 研 修 モンゴル 工 業 技 術 大 学 客 員 教 授 モンゴル 高 専 理 事 長 が 来 校 し 交 流 協 定 締 結 6 月 泰 日 工 業 大 学 ( 協 定 校 )の 学 生 15 名 が 7 日 間 本 校 の 学 生 と 交 流 モンゴル 科 学 技 術 大 学 総 長 他 計 4 名 来 校 7 月 モンゴル 科 学 技 術 財 団 副 理 事 長 モンゴル 教 育 文 化 科 学 省 戦 略 政 策 予 算 局 長 モンゴル 国 立 大 学 学 長 モンゴル 科 学 技 術 大 学 総 長 モンゴル 国 立 教 育 大 学 国 際 部 長 他 計 8 名 来 校 8 月 マレーシアの ADTEC Melaka へ 学 生 15 名 の 派 遣 タイの 泰 日 工 業 大 学 へ 学 生 16 名 の 派 遣 9 月 幹 事 校 として ISATE2015 を 長 岡 市 で 開 催 ( 海 外 64 名 国 内 107 名 の 参 加 者 ) モンゴル 工 業 技 術 大 学 ( 協 定 校 )の 教 員 3 名 が 1 カ 月 間 本 校 で 研 修 モンゴル 工 業 技 術 大 学 総 長 の 来 校 9 月 ~11 月 3 カ 月 間 の 海 外 インターンシップ( 泰 日 工 業 大 学 と KYB Steering 社 )の 実 施 平 成 28 年 2 月 モンゴル 高 専 モンゴル 科 学 技 術 大 学 付 属 高 専 新 モンゴル 高 専 の 学 生 9 名 が 7 日 間 本 校 の 学 生 と 交 流 (さくらサイエンスプラン) 3 月 メキシコのグアナファト 大 学 ( 協 定 校 ) 高 専 コースへ 学 生 13 名 の 派 遣 5.メキシコ 版 高 専 との 連 携 メキシコで 初 めてとなる 高 等 専 門 学 校 の 設 立 については 近 年 グアナファト 地 域 に 自 動 車 産 業 を 中 心 とする 日 本 企 業 の 進 出 が 進 み 日 系 企 業 を 支 援 する 技 術 者 のニーズが 高 まったことから 長 岡 技 術 科 学 大 学 と 以 前 より 緊 密 な 交 流 を 行 っていたグアナファト 大 学 とが 連 携 して 準 備 を 進 めてきた 平 成 27 年 8 月 12 日 メキシコのグアナファト 大 学 本 部 講 堂 において 500 名 以 上 の 出 席 者 が 集 まる 中 メキシコで 初 めてとなる 高 等 専 門 学 校 (Mexican Technical College)の 開 校 式 が 開 催 された 2 開 校 式 には グアナファト 州 マルケス 知 事 グアナファト 大 学 カブレラ 総 長 マルタ 大 学 附 属 高 校 総 長 連 邦 政 府 中 高 等 教 育 省 次 官 最 高 裁 判 事 等 メキシコ 国 政 府 関 係 者 清 水 駐 メキシコ 日 本 国 大 使 館 公 12
使 井 筒 日 本 学 術 振 興 会 サンフランシスコセンター 長 長 岡 技 術 科 学 大 学 新 原 学 長 及 び 長 岡 高 専 渡 邉 校 長 福 島 高 専 中 村 校 長 茨 城 高 専 日 下 部 校 長 小 山 高 専 大 久 保 校 長 らが 参 加 した このメキシコ 版 高 専 は 高 校 教 育 と 大 学 学 部 教 育 の 組 み 合 わせから 成 り 立 っている 具 体 的 には グ アナファト 大 学 のもつ 10 数 の 付 属 高 校 の 中 から 選 ばれた 2 校 が 前 半 の 3 年 間 の 教 育 を 担 当 し 後 半 の 2 年 はグアナファト 大 学 の 学 部 が 担 当 するというも グアナファト 大 学 高 専 コースの 開 校 式 のである 専 門 の 技 術 分 野 は 機 械 工 学 と 材 料 科 学 応 用 化 学 で 基 本 的 なカリキュラムは 長 岡 高 専 等 のカリキュラムを 参 考 に 作 成 された 特 徴 的 な 点 は 5 年 間 一 貫 して 日 本 語 と 英 語 が 必 修 で あることであり これは 日 系 企 業 でのインターンシップや 先 端 科 学 技 術 の 修 得 に 日 本 語 と 英 語 が 不 可 欠 であるとの 考 えによるものである 第 一 期 生 として 材 料 科 学 応 用 化 学 分 野 に 16 名 機 械 工 学 分 野 に 34 名 が 入 学 し そのうちからさらに 選 考 されて 10 名 の 学 生 が 3 年 次 から 4 年 次 にかけて 日 本 の 高 専 で 1 年 間 教 育 を 受 けるプログラムとなっている 教 育 の 効 率 化 を 日 本 から 支 援 するため 長 岡 技 術 科 学 大 学 が 導 入 したネットワーク 会 議 システムを 有 効 に 利 用 したビデオならびにテレビ 講 義 がプログラムに 組 み 込 まれている 長 岡 技 術 科 学 大 学 のこれまでの 取 り 組 みが 評 価 され 文 部 科 学 省 の 平 成 27 年 度 の 大 学 の 世 界 展 開 力 強 化 事 業 において 長 岡 技 術 科 学 大 学 が 申 請 した NAFTA 生 産 拠 点 メキシコとの 協 働 による 15 歳 に 始 まる 技 術 者 教 育 モデルの 世 界 展 開 が 採 択 された 3 この 世 界 展 開 力 強 化 事 業 は 国 際 的 に 活 躍 で きるグローバル 人 材 の 育 成 と 大 学 教 育 のグローバル 展 開 力 の 強 化 を 目 指 し 高 等 教 育 の 質 の 保 証 を 図 りながら 日 本 人 学 生 の 海 外 留 学 と 外 国 人 学 生 の 戦 略 的 受 入 を 行 うアジア 米 国 欧 州 等 の 大 学 との 国 際 教 育 連 携 の 取 組 を 支 援 することを 目 的 としている この NAFTA 生 産 拠 点 メキシコとの 協 働 によ る 15 歳 に 始 まる 技 術 者 教 育 モデルの 世 界 展 開 プログラムでは 長 岡 技 術 科 学 大 学 と 連 携 大 学 3 大 学 (グアナファト 大 学 モンテレイ 大 学 およびヌエボレオン 大 学 ) グアナファト 大 学 高 専 コースと 日 本 の 4 高 専 ( 長 岡 高 専 鶴 岡 高 専 茨 城 高 専 及 び 小 山 高 専 )という 二 階 層 からなる 協 働 によって 高 専 - 技 大 型 の 技 術 者 教 育 モデルを 日 墨 両 国 の 学 生 が 双 方 向 に 往 来 しながら グローバルな 視 野 と 問 題 解 決 能 力 を 獲 得 することを 可 能 にする 新 たな 国 際 協 働 プログラムへと 確 立 させることを 目 的 としてい る 高 専 - 技 大 型 教 育 システムの 重 要 な 要 素 は 密 接 な 産 学 連 携 にあり インターンシップを 通 じて 産 業 界 の 直 面 する 課 題 解 決 に 直 接 参 加 する 経 験 を 与 えることは 特 に 重 要 な 要 素 である この 点 で グ ローバルなものづくりネットワークの 最 先 端 に 位 置 するメキシコを 舞 台 とした 教 育 プログラムは こ れを 最 も 効 果 的 に 実 現 する 環 境 を 提 供 するものであると 考 える 13
このプログラムでは 具 体 的 に 以 下 の 事 業 を 実 施 する 4 1 日 本 からメキシコへ: 産 学 が 連 携 した 海 外 実 務 訓 練 長 期 インターンシップの 拡 充 支 援 本 構 想 では 長 岡 技 術 科 学 大 学 生 に 対 するメキシコでの 実 務 訓 練 先 拡 充 を 図 るとともに 新 たに 高 専 生 のための 長 期 インターンシップ 先 を 開 拓 する 教 員 数 が 限 られている 高 専 では 派 遣 先 開 拓 や 派 遣 学 生 の 安 全 確 保 を 含 めたフォローアップには 限 界 があり 長 岡 技 術 科 学 大 学 の 実 務 訓 練 と 連 動 する 形 で 長 岡 技 術 科 学 大 学 の 現 地 常 勤 コーディネーターも 活 用 しつつ 複 数 の 高 専 が 共 同 して 取 り 組 むこ との 意 義 は 大 きいと 考 える また 高 専 生 に 対 してグアナファト 大 学 高 専 コースにおける 実 験 実 習 等 にティーチング アシスタント(TA)として 参 加 する 機 会 を 提 供 する インターンシップを 通 じた メキシコ 社 会 や 企 業 での 生 活 TA を 通 じた 同 世 代 のメキシコ 人 学 生 との 交 流 は 異 文 化 理 解 言 語 習 得 グローバルな 視 野 での 発 想 力 涵 養 の 各 方 面 で 大 きな 効 果 があると 期 待 される また グアナファ ト 大 学 高 専 コースの 実 験 実 習 支 援 のため 高 専 教 員 をメキシコに 派 遣 することも 予 定 している 2 メキシコから 日 本 へ: 産 学 が 連 携 した 国 内 実 務 訓 練 長 期 インターンシップの 拡 充 支 援 グアナファト 大 学 高 専 コース 学 生 を 長 岡 技 術 科 学 大 学 の 協 力 の 下 連 携 4 高 専 に 受 入 れる 予 定 で ある また メキシコ 側 3 大 学 の 学 生 を 企 業 インターンシップに 受 入 れる 日 本 企 業 でのインターン シップの 機 会 は メキシコで 技 術 者 を 志 す 若 者 にとって 極 めて 魅 力 的 なものとなるはずであり また 15 歳 という 早 期 から 日 本 語 や 日 本 文 化 に 触 れることは 日 本 のものづくりの 考 え 方 を 深 く 理 解 する 上 で 重 要 であると 考 える 3 双 方 向 :ツイニング プログラム ダブルディグリー プログラムの 充 実 大 学 院 リサーチインターンシップの 創 設 動 機 づけ 教 育 の 充 実 単 位 互 換 の 拡 大 履 修 時 期 の 弾 力 化 等 により 学 部 生 大 学 院 生 の 相 互 交 流 派 遣 の 拡 充 を 図 る ツイニング プログラムを 通 じて 受 け 入 れるメキシコ 人 学 生 は 日 本 人 学 生 と 同 様 5 カ 月 間 の 実 務 訓 練 に 派 遣 される 4 高 専 - 技 大 型 の 技 術 者 協 働 教 育 モデルの 確 立 及 びその 形 式 知 としての 体 系 化 教 材 の 開 発 以 上 1~3を 通 じて 確 立 された 教 育 モデルを 更 に 移 転 可 能 な 形 式 知 として 確 立 するため 実 験 実 習 インターンシップを 含 めたカリキュラム 構 成 単 位 互 換 学 年 歴 の 調 整 学 生 参 加 の 仕 組 み 作 り のノウハウなどについて 体 系 化 と 文 書 化 を 行 い 併 せて これを 具 体 化 した 教 材 としてまとめる 6.まとめ 本 稿 を 執 筆 しているこの 時 点 (3 月 5 日 )で 13 名 の 長 岡 高 専 生 と 2 名 の 教 員 が グアナファト 大 学 高 専 コースを 訪 問 している 派 遣 学 生 13 名 の 募 集 人 数 に 対 して 46 名 の 応 募 があり メキシコに 対 する 本 校 学 生 の 関 心 の 高 さが 伺 われる グアナファト 滞 在 中 は 長 岡 高 専 生 とグアナファト 高 専 生 の 混 成 グループによる 文 化 習 慣 歴 史 生 活 などの 違 いを フィールドワークでお 互 いに 調 査 し 確 認 するプログラムが 予 定 されている この 派 遣 に 当 たって 長 岡 高 専 生 には メキシコに 出 発 する 前 から 14
Email や Facebook 等 でグアナファトの 学 生 と 連 絡 を 取 りあうよう 指 導 していた 学 生 に 同 行 している 教 員 の 報 告 によると 学 生 は 現 地 到 着 後 すぐに 意 気 投 合 してお 互 いの 情 報 交 換 を 行 っていたとのこ とである この 交 流 でどんな 成 果 が 生 まれ 今 後 それがどのように 展 開 して 行 くのかとても 楽 しみで ある 長 岡 高 専 では これまで 述 べてきた 派 遣 受 入 れ 双 方 の 取 り 組 みを 通 して 本 学 の 教 育 理 念 である すぐれたコミュニケーション 能 力 と 国 際 的 視 野 をもち 多 様 な 価 値 観 を 理 解 できる 技 術 者 の 育 成 に 努 めていきたいと 考 えている 最 後 に 平 成 27 年 度 に 実 施 したタイへの 学 生 短 期 派 遣 研 修 タイでの 3 カ 月 のインターンシップ については 日 本 学 生 支 援 機 構 の 海 外 留 学 支 援 制 度 を 受 けて 実 施 した そして 平 成 28 年 度 に 予 定 して いるタイ マレーシア モンゴル メキシコへの 学 生 短 期 派 遣 研 修 も 同 支 援 制 度 を 受 けて 現 在 派 遣 計 画 を 進 めていることを 報 告 するとともに 日 本 学 生 支 援 機 構 の 支 援 に 対 して 感 謝 の 意 を 表 する グアナファト 高 専 生 たちとの 記 念 撮 影 グアナファトの 町 並 み 参 考 文 献 1. 文 部 科 学 省 平 成 19 年 度 新 たな 社 会 ニーズに 対 応 した 学 生 支 援 プログラム 採 択 事 業 長 岡 高 専 地 球 ラボ によるキャンパスの 国 際 化 - 小 さな 高 専 で 広 い 視 野 を 持 った 国 際 人 に 成 長 するた めの 学 生 支 援 プログラム - 最 終 報 告 書 長 岡 工 業 高 等 専 門 学 校 2. 長 岡 技 術 科 学 大 学 ホームページ http://www.nagaokaut.ac.jp/j/news/150824.html 3. 日 本 学 術 振 興 会 ウェブサイト 平 成 27 年 度 大 学 の 世 界 展 開 力 教 化 事 業 申 請 採 択 状 況 一 覧 http://www.jsps.go.jp/j-tenkairyoku/data/shinsa/h27/j_h27_tenkai_kekka.pdf 4. 日 本 学 術 振 興 会 ウェブサイト 平 成 27 年 度 大 学 の 世 界 展 開 力 教 化 事 業 計 画 調 書 http://www.jsps.go.jp/j-tenkairyoku/data/shinsa/h27/h27tenkai_chousho_l6.pdf 15