講 演 資 料 2 医 学 の 視 点 から 農 林 水 産 食 品 分 野 と の 連 携 や 医 食 の 連 携 による 新 たな 産 業 創 出 の 展 望 京 都 府 立 医 科 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 吉 川 敏 一
1. 超 高 齢 社 会 生 活 習 慣 病 の 増 加 増 大 する 国 民 医 療 費 により 危 機 的 状 況 を 迎 える 国 民 の 健 康 生 活 国 民 の 健 康 や 将 来 の 生 活 に 対 する 不 安 の 増 大 医 療 費 増 大 等 による 医 療 介 護 制 度 の 破 綻 社 会 保 障 システムの 崩 壊 人 口 減 少 が 始 まり 超 高 齢 飽 食 の 時 代 の 下 で 成 人 高 齢 社 会 や 生 活 習 慣 社 会 が 進 む 中 で 2025 年 に の 生 活 習 慣 病 またはその 病 の 蔓 延 により 医 療 費 は65 歳 以 上 が30%を 占 める 予 備 軍 が 年 々 増 加 等 の 国 民 の 社 会 的 負 担 は 増 大 区 分 別 人 口 の 推 移 生 産 年 齢 人 口 (15~64 歳 ) 老 年 人 口 (65 歳 以 上 ) 年 少 人 口 (0~15 歳 ) 12,777 万 人 11,522 万 人 9515 9,515 万 人 生 活 習 慣 病 有 病 者 の 状 況 ( 有 病 者 数 には 疑 われる 人 の 数 も 含 む 成 人 総 人 口 は1 億 400 万 人 ) 糖 尿 病 1870 万 人 高 血 圧 症 5490 万 人 脂 質 異 常 症 1410 万 人 ( 平 成 18 年 国 民 健 康 栄 養 調 査 より) 国 民 医 療 費 ( 平 成 17 年 度 ) 33.1 兆 円 生 活 習 慣 病 関 連 10.11 兆 円 糖 尿 病 2.0 兆 円 脳 血 管 疾 患 2.1 兆 円 虚 血 性 心 疾 患 0.8 兆 円 高 血 圧 性 疾 患 3.0 兆 円 悪 性 新 生 物 2.9 兆 円 (21 世 紀 の 健 康 社 会 ) 健 康 寿 命 と 平 均 寿 命 の 差 をなくし 健 康 に 生 活 労 働 し 医 療 費 が 削 減 できる 社 会 の 樹 立 を 目 指 す それ 以 外 にも 精 神 疾 患 者 自 殺 の 増 加 などストレス 社 会 となっており 予 防 医 学 的 に 有 効 な 機 能 性 を 有 する 食 品 を 利 用 したパーソナライズドニュートリションを 推 進 に より 健 康 を 維 持 向 上 させ 健 康 長 寿 社 会 の 確 立 を 目 指 す 1
2. 特 定 保 健 用 食 品 の 現 状 と 限 界 (892 品 目 ; 平 成 21 年 8 月 末 現 在 ) 許 可 されてた 表 示 の 内 容 の 分 類 1.お 腹 の 調 子 を 整 える ( オリゴ 糖 を 含 む) ( 乳 酸 菌 類 を 含 む) ( 食 物 繊 維 を 含 む)* ( 乳 清 発 酵 物 を 含 む) 2.コレステロールが 高 めの 方 に 適 する 3. 食 後 の 血 糖 値 の 上 昇 を 緩 やかにする 4. 血 圧 が 高 めの 方 に 適 する 5. 歯 の 健 康 維 持 に 役 立 つ 6. 食 後 の 血 中 中 性 脂 肪 が 上 昇 しにくい または 身 体 に 脂 肪 がつきにくい 7.カルシウム 等 の 吸 収 を 高 める 8. 骨 の 健 康 維 持 に 役 立 つ 9. 鉄 を 補 給 する 品 目 数 435 (106) ( 73) (250) ( 3) 98 79 113 70 59 14 22 3 限 定 された 条 件 での 効 果 であり エビデンスは 十 分 とは 言 い 難 い *; ; 糖 の 吸 収 を 緩 やかにするので 血 糖 値 の 気 になる 方 に 適 しています 等 の 表 示 は 3.に 分 類 厚 労 省 ( 消 費 者 庁?)は 免 疫 作 用 がん 抑 制 等 に 関 するものの 特 保 を 認 める 考 えはない 2
3. 食 品 の 機 能 性 研 究 で 必 要 となる 課 題 機 能 性 マーカー ヒトバイオマーカーの カ 開 発 と 分 析 法 の 標 準 化 / 機 能 性 評 価 のガイドライン ヒト 介 入 試 験 の 実 施 による 機 能 性 の 実 証 科 学 的 エビデンスが 明 らかとなった 高 機 能 デザイン 農 産 物 (AMF;Agromedical Foods)の 安 定 生 産 を 植 物 工 場 等 によ り 行 う 栽 培 システムの 開 発 機 能 性 マーカー バイオマーカーを 利 用 したセンサー 開 発 によ る 機 能 性 成 分 健 康 状 態 をモニタリングするシステムの 開 発 農 産 物 の 代 謝 調 節 (ストレス 緩 和 等 )など 多 面 的 機 能 の 解 明 全 ての 情 報 を 統 合 した 健 康 モニタリング ネットワークシステムによる 医 師 栄 養 士 開 発 者 と 利 用 者 が 意 思 疎 通 できる 医 療 現 場 ( 日 本 内 科 医 会 ) 研 究 機 関 大 学 エビデンスの 記 録 とデータの 統 合 解 析 のためのネットワーク DNA 情 報 バイオマーカー 診 断 結 果 食 生 活 調 査, 機 能 性 マーカー 栽 培 条 件 等 の 統 合 データベース 栄 養 ケアステーション ( 日 本 栄 養 士 会 ) 栄 養 ケアステ ション AMFを 利 用 した 食 生 活 指 導 (パーソナライ ズドニュートリション)を 進 める 家 庭 企 業 の 健 康 管 理 3
3-2. 健 康 長 寿 社 会 の 実 現 を 見 据 えた 農 と 医 の 協 創 による アグロメデイカルフーズ の 開 発 と 普 及 が 急 務 ナノテクノロジーの 利 用 DNAチップ 抗 体 チップの 集 積 化 によるバイオセンサー 開 発 と 健 康 状 態 のモニタリング 機 能 性 マーカーとバイオマーカー の 解 析 と 利 用 予 防 医 学 の 視 点 による 評 価 ヒト 介 入 試 験 を 含 めた 機 能 性 の エビデンスと 安 全 性 評 価 機 能 性 マーカーが 安 定 して 含 まれるAMFの 供 給 エビデンスの 記 録 とデータの 統 合 ヒトオミクス 解 析 による 解 析 のためのネットワーク 遺 伝 的 背 景 の 調 査 診 断 DNA 情 報 バイオマーカー 診 断 結 果 食 生 活 調 査, 機 能 性 マーカー 栽 培 条 件 等 の 統 合 データベース 医 療 現 場 ( 日 本 内 科 医 会 ) 栄 養 ケアステーション ( 日 本 栄 養 士 会 ) 家 庭 企 業 の 健 康 管 理 動 物 レ ベ ル の 評 価 ヒト 腸 内 フローラ 再 現 による 消 化 吸 収 評 価 の 標 準 化 成 育 促 進 室 地 上 春 夏 秋 冬 の 自 動 管 理 システム 果 実 成 熟 室 養 分 蓄 積 促 進 室 精 密 農 業 による 安 定 生 産 栽 培 プロセスの 標 準 化 と 精 密 管 理 と 支 援 システム 標 準 化 とマニュアル 化 機 能 性 マーカーの 分 析 法 標 準 化 を 進 め 機 能 成 分 を 農 業 現 場 でのモニタリング 試 験 管 レベルの 評 価 地 下 萌 芽 促 進 室 休 眠 管 理 室 休 眠 導 入 室 知 能 ロボットによる 営 農 支 援 農 業 現 場 のモニタリングとその 記 録 解 析 により 人 との 協 調 作 業 を 行 う 知 能 ロボットの 開 発 と 普 及 4
4. 食 品 の 機 能 性 はどのようにして 発 揮 されるのか? 7 機 能 性 の 発 揮 6 特 異 的 受 容 体 への 結 合 1 胃 液 による 分 解 膵 液 による 消 化 5 標 的 臓 器 への 分 布 2 腸 内 細 菌 による 分 解 3 腸 粘 膜 での 抱 合 4 肝 臓 における 分 解 代 謝 ホルモン 分 泌 などの 代 謝 調 節 や 神 経 活 動 の 計 測 なども 含 めた 体 系 的 な 解 析 が 必 要 5
5.アグロメディアカルイニシアチブ の 発 足 (2009.7)) 理 事 長 : 吉 川 敏 一 ( 京 都 府 立 医 大 ) コアメンバー: 門 脇 孝 ( 東 大 医 ) 金 子 周 一 ( 金 沢 大 医 ) 渋 澤 栄 ( 東 京 農 工 大 農 ) 日 野 明 寛 ( 食 総 研 ) 等 AMI 研 究 会 の 目 指 すもの 機 能 性 を 有 する 食 品 に 関 する 国 際 的 な 優 位 性 を 維 持 し AMFとその 生 産 システムの 普 及 と 輸 出 による 農 業 の 復 活 自 給 率 向 上 と21 世 紀 の 健 康 ( 医 学 的 に 疾 病 予 防 上 の 有 効 性 が 実 証 された 食 品 を 利 用 することで 健 康 を 維 持 向 上 させる)を 達 成 する 食 料 国 家 戦 略 を 牽 引 する 研 究 開 発 が 必 要 7 ( 健 康 産 業 流 通 新 聞 より) 6
6. 食 料 自 給 率 50%と 活 力 ある 農 山 漁 村 豊 かな 健 康 長 寿 社 会 の2020 年 達 成 までのステップ 2010 年 2013 年 2016 年 2020 年 植 物 工 場 デ 場 実 験 植 物 工 場 の 全 国 への 普 及 モデル 工 場 での 実 験 知 能 ロボット 植 物 工 場 内 での 実 験 モデル 地 域 での 実 証 全 国 への 普 及 アグロメディカル フーズの 生 産 と 予 防 医 学 的 評 価 植 物 工 場 内 での 栽 培 実 験 加 工 調 理 試 験 ヒト 介 入 試 験 による 実 証 モデル 地 域 での 作 物 選 定 実 証 栽 培 モデル 地 域 での 健 康 モニタリングネット ワークの 普 及 全 国 での 生 産 表 示 制 度 の 整 備 流 通 システムの 構 築 全 国 での 普 及 と 疫 学 的 調 査 機 能 性 マーカー とバイオマーカー 測 定 法 の 開 発 と 標 準 化 測 定 対 象 マーカーの 拡 大 と 利 用 ヒト 消 化 吸 収 代 謝 モデルの 開 発 人 工 腸 管 人 工 肝 臓 シス テムの 開 発 機 能 性 成 分 の 動 態 解 析 有 効 性 安 全 性 評 価 への 利 用 バイオセンサーによる 在 宅 健 康 モニタリング バイオセンサーの 開 発 モデル 地 域 での 実 証 全 国 への 普 及 7
7. 人 口 減 少 高 齢 化 社 会 に 対 応 した 革 新 的 な 農 業 技 術 生 産 方 法 を 駆 使 し 医 工 商 が 連 携 して 高 機 能 デザイン 農 産 物 アグロメデイカルフーズ による 革 命 8
用 語 説 明 機 能 性 マーカー: 農 産 物 食 品 が 有 するポリフェノ-ル オスモチン 難 消 化 性 デンプン 等 または 抗 酸 化 活 性 等 のように 生 体 に 対 する 調 節 機 能 を 定 量 的 に 把 握 するための 指 標 バイオマーカー: 生 活 習 慣 病 などの 疾 病 に 関 与 し 生 体 内 の 生 物 学 的 変 化 を 定 量 的 に 把 握 するための 指 標 となる 特 定 の 遺 伝 子 タンパク 質 代 謝 産 物 等 健 康 寿 命 : 健 康 上 の 理 由 で 日 常 生 活 に 影 響 が 出 ないで 暮 らすことのできる 年 数 のこと 計 算 式 はいろいろあるが 平 均 寿 命 から 疾 病 傷 害 や 環 境 的 要 因 から 産 出 される 障 害 調 整 生 存 年 数 を 引 いて 0 歳 の 健 康 余 命 として 現 されることが 多 い アグロメディカルフーズ: 科 学 的 エビデンスが 明 らかとなった 機 能 性 を 健 康 増 進 のために デザインされた 農 産 物 パーソナライズドニュートリション:その 人 の 最 も 適 した 健 康 を 維 持 向 上 させるために 健 康 診 断 結 果 等 を 元 に 客 観 的 な 健 康 状 態 を 把 握 し 対 象 者 に 必 要 と 思 われる 栄 養 ( 機 能 ) 成 分 を 摂 取 できるように 食 事 の 内 容 を 決 め バランスの 崩 れを 矯 正 しようとする 考 え 方 精 密 農 業 : 様 々な 計 測 データ( 土 壌 天 候 GP?S)や 農 家 のノウハウなどの 情 報 を 駆 使 し その 解 析 結 果 から 収 量 や 品 質 の 向 上 あるいは 環 境 負 荷 の 低 減 を 達 成 しようとする 農 場 管 理 手 法 を 用 い 農 家 の 作 業 サイクルモデルを 提 案 していく 農 業 のやり 方 知 能 ロボット: 農 業 現 場 の 情 報 をモニタリングし その 記 録 解 析 により 人 とのコミュニケー ションを 介 して 農 業 従 事 者 と 協 調 して 農 作 業 経 営 管 理 の 支 援 を 行 える 農 業 用 ロボット 人 工 消 化 管 モデル: 腸 内 フローラの 再 現 ファイバーカラム 等 の 利 用 によりヒト 消 化 管 を 再 現 したシステム すでに EUでは 開 発 利 用 され 始 めている 9