ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い



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実 務 対 応 報 告 第 17 号 ソフトウェア 取 引 の 収 益 の 会 計 処 理 に 関 する 実 務 上 の 取 扱 い 平 成 18 年 3 月 30 日 企 業 会 計 基 準 委 員 会 ソフトウェア 取 引 を 事 業 の 中 心 とした 情 報 サービス 産 業 においては 無 形 の 資 産 である ソフトウェアの 内 容 及 び 状 況 の 確 認 の 困 難 さや その 開 発 を 巡 る 技 術 環 境 の 高 度 化 及 び 多 様 化 を 背 景 として 近 時 いくつかの 不 適 切 な 会 計 処 理 が 指 摘 されている この 問 題 の 解 決 には 一 層 深 度 のある 会 計 監 査 の 実 施 だけでなく 収 益 の 認 識 及 び 測 定 に 関 する 会 計 処 理 基 準 の 明 確 化 も 必 要 ではないかという 意 見 が 多 い 当 委 員 会 では 情 報 サービス 産 業 におけるこのような 問 題 に 対 処 することを 目 的 とし 情 報 サービス 産 業 における 中 心 的 な 取 引 であるソフトウェア 取 引 の 収 益 の 会 計 処 理 につい て 現 行 の 会 計 基 準 等 を 踏 まえた 会 計 上 の 考 え 方 を 明 らかにするとともに 併 せて 実 務 上 の 留 意 事 項 について 整 理 することとした 本 実 務 対 応 報 告 は 第 101 回 企 業 会 計 基 準 委 員 会 に 出 席 した 委 員 13 名 全 員 の 賛 成 により 承 認 された 1 本 実 務 対 応 報 告 の 対 象 とするソフトウェア 取 引 の 範 囲 及 びその 特 質 (1) 本 実 務 対 応 報 告 の 対 象 とするソフトウェア 取 引 の 範 囲 本 実 務 対 応 報 告 は ソフトウェア 制 作 費 に 係 る 会 計 処 理 を 明 らかにした 研 究 開 発 費 等 に 係 る 会 計 基 準 ( 以 下 研 究 開 発 費 等 会 計 基 準 という )に 定 めるソフトウェア を 対 象 とするものとする ここでいうソフトウェアとは コンピュータを 機 能 させるよ うに 指 令 を 組 み 合 わせて 表 現 したプログラム 等 をいい( 研 究 開 発 費 等 会 計 基 準 一 2) その 範 囲 は 次 のとおりである( 日 本 公 認 会 計 士 協 会 会 計 制 度 委 員 会 報 告 第 12 号 研 究 開 発 費 及 びソフトウェアの 会 計 処 理 に 関 する 実 務 指 針 第 6 項 ) コンピュータに 一 定 の 仕 事 を 行 わせるためのプログラム システム 仕 様 書 フローチャート 等 の 関 連 文 書 さらに 本 実 務 対 応 報 告 の 対 象 とするソフトウェア 取 引 は 収 益 認 識 に 関 連 するもので あるため 研 究 開 発 費 等 会 計 基 準 に 定 めるソフトウェアの 取 引 のうち 販 売 を 目 的 とし て 開 発 される 次 の 2 つの 取 引 を 主 として 対 象 とする 1 市 場 販 売 目 的 のソフトウェア 取 引 不 特 定 多 数 のユーザー 向 けに 開 発 した 各 種 ソフトウェアの 販 売 やライセンス 販 売 (ラ イセンスの 使 用 を 許 諾 し 使 用 料 を 得 る 契 約 )をいう - 1 -

2 受 注 制 作 のソフトウェア 取 引 特 定 のユーザー 向 けにソフトウェアを 制 作 し 提 供 することをいう なお 請 負 契 約 委 任 契 約 システム エンジニアリング サービス(SES) 契 約 等 に 基 づくさまざまなソフトウェア 関 連 業 務 があるが 契 約 の 形 式 にかかわらず 例 えば 一 定 のプログラムを 作 成 することとしている 等 ソフトウェアとしての 一 定 の 機 能 を 有 する 成 果 物 1 が 給 付 の 対 象 となるような 取 引 については 本 実 務 対 応 報 告 の 対 象 となるソ フトウェア 取 引 の 範 囲 に 含 まれるものとする また 本 実 務 対 応 報 告 では ソフトウェア 取 引 に 関 連 する 各 種 サービスについても 触 れ ている (2) ソフトウェア 及 びその 取 引 の 特 質 ソフトウェア 及 びその 取 引 の 特 質 として 次 の 点 を 挙 げることができる 1 無 形 の 資 産 であること ソフトウェアは 無 形 の 資 産 であり 有 形 の 資 産 とは 異 なるため 特 に 外 部 からそ の 状 況 や 内 容 を 確 認 することは 難 しく 実 際 の 開 発 作 業 においても 企 画 設 計 から 完 成 に 至 るまで 実 質 的 に 当 事 者 間 でプロジェクトが 完 結 することが 多 いため その 当 事 者 以 外 は 実 在 性 や 開 発 状 況 を 確 認 することは 難 しい 2 技 術 革 新 により 取 引 が 多 様 化 高 度 化 していること ソフトウェアの 開 発 を 巡 る 技 術 環 境 の 著 しい 変 化 に 対 応 するため (ア) 取 引 が 多 様 化 し 複 数 の 要 素 のある 取 引 を 同 一 の 契 約 書 等 において 締 結 していることが 多 く また (イ) 取 引 が 高 度 化 し 企 業 (ベンダー)は 機 器 (ハードウェア)とともに 取 引 するこ となどを 通 じて 外 部 から 積 極 的 に 支 援 を 受 ける 傾 向 にあるため 一 次 的 な 段 階 に 止 ま らない 下 請 取 引 ( 多 段 階 請 負 構 造 )が 慣 行 化 している 本 実 務 対 応 報 告 では ソフトウェア 及 びその 取 引 の 特 質 に 照 らして 次 のような 会 計 上 の 論 点 を 取 り 扱 っている ソフトウェア 取 引 の 収 益 認 識 ソフトウェア 取 引 の 複 合 取 引 ソフトウェア 取 引 の 収 益 の 総 額 表 示 2 ソフトウェア 取 引 の 収 益 認 識 (1) ソフトウェア 取 引 における 収 益 認 識 の 考 え 方 成 果 物 を 提 供 する 取 引 における 収 益 認 識 は 一 般 的 には 一 連 の 営 業 過 程 において 販 売 が 完 了 した 段 階 すなわち 売 手 が 財 を 引 き 渡 し 現 金 や 金 銭 債 権 の 取 得 等 により 対 価 1 これには 例 えば 業 者 間 の 取 引 において 下 請 業 者 が 元 請 業 者 の 求 めに 応 じて 提 供 するソフ - 2 -

が 成 立 した 段 階 であるとされている 2 ソフトウェアの 特 質 として ソフトウェアが 無 形 の 資 産 であることによりその 状 況 や 内 容 確 認 の 困 難 さはあるものの その 収 益 の 認 識 に おいては 当 該 取 引 の 実 在 性 一 定 の 機 能 を 有 する 成 果 物 の 提 供 が 完 了 し その 見 返 り としての 対 価 が 成 立 することが 必 要 である 3 1 市 場 販 売 目 的 のソフトウェア 取 引 ソフトウェア 取 引 の 特 質 からその 内 容 の 確 認 が 難 しいという 中 でも 市 場 販 売 目 的 のソフトウェア 取 引 については 一 般 的 に 企 業 (ベンダー)の 側 でその 仕 様 (スペ ック)がすでに 確 定 しているため 納 品 が 完 了 した 時 点 で 実 質 的 に 成 果 物 の 提 供 が 完 了 している 4 なお ソフトウェア 取 引 においては その 成 果 物 を 直 接 最 終 顧 客 (エンド ユー ザー)に 販 売 するのではなく 手 数 料 収 入 のみを 得 ることを 目 的 とする 取 引 の 代 理 人 を 通 じて 販 売 する 取 引 もみられる このような 取 引 において 委 託 販 売 5 として 捉 えるこ とが 適 当 である 場 合 には 取 引 の 代 理 人 が 最 終 顧 客 (エンド ユーザー)に 対 して 納 品 を 完 了 した 時 点 で 一 連 の 営 業 過 程 における 販 売 が 完 了 することになる 2 受 注 制 作 のソフトウェア 取 引 一 方 受 注 制 作 のソフトウェア 取 引 については 基 本 的 にオーダーメイドによるもの であり その 仕 様 (スペック)は 確 定 していないため 通 常 顧 客 (ユーザー)の 側 で 契 約 内 容 に 応 じて 成 果 物 がその 一 定 の 機 能 を 有 することについての 確 認 が 行 われるこ とにより 成 果 物 の 提 供 が 完 了 すると 考 えられる したがって 契 約 上 の 取 引 相 手 との 間 で 取 り 決 めた 成 果 物 の 内 容 ( 例 えば 顧 客 との 間 の 取 引 において 単 に 制 作 するだけで なく 契 約 において 定 められた 機 能 を 有 する 状 態 にすること)に 応 じて 一 般 的 には 検 トウェアの 開 発 制 作 工 程 の 一 定 部 分 も 含 まれる 2 企 業 会 計 原 則 では 売 上 高 は 実 現 主 義 の 原 則 に 従 い 商 品 等 の 販 売 又 は 役 務 の 給 付 によって 実 現 したものに 限 る( 企 業 会 計 原 則 第 二 損 益 計 算 書 原 則 三 B)とされている また このよ うな 収 益 認 識 を 取 り 扱 ったものとして 例 えば 昭 和 27 年 6 月 に 経 済 安 定 本 部 企 業 会 計 基 準 審 議 会 から 公 表 された 税 法 と 企 業 会 計 原 則 との 調 整 に 関 する 意 見 書 ( 小 委 員 会 報 告 ) があるが そこでは 販 売 によって 獲 得 した 対 価 が 当 期 の 実 現 した 収 益 である 販 売 基 準 に 従 えば 一 会 計 期 間 の 収 益 は 財 貨 または 役 務 の 移 転 に 対 する 現 金 または 現 金 等 価 物 ( 手 形 売 掛 債 権 等 )そ の 他 の 資 産 の 取 得 による 対 価 の 成 立 によって 立 証 されたときにのみ 実 現 する ( 総 論 第 一 二 実 現 主 義 の 原 則 の 適 用 )とされている 3 収 益 認 識 されることとなる 場 合 でも 値 引 が 見 込 まれているときは 当 該 金 額 を 収 益 の 額 から 控 除 する 必 要 がある なお 企 業 会 計 原 則 注 解 注 18 にあるように 瑕 疵 補 修 等 費 用 の 発 生 の 可 能 性 が 高 く かつ その 金 額 を 過 去 の 実 績 等 によって 合 理 的 に 見 積 ることができる 場 合 には 引 当 計 上 を 行 う 等 適 切 に 費 用 計 上 する 必 要 がある 4 ライセンス 販 売 においては 顧 客 (ユーザー)が 使 用 することができる 状 態 となった 時 点 で 実 質 的 に 成 果 物 の 提 供 が 完 了 している 5 委 託 販 売 は 受 託 者 が 委 託 品 を 販 売 した 日 をもって 売 上 収 益 の 実 現 の 日 とするとされており 決 算 手 続 中 の 仕 切 精 算 書 ( 売 上 計 算 書 )の 到 達 等 により 決 算 日 までの 販 売 の 事 実 が 明 らかになっ たものについて 当 期 の 売 上 収 益 に 計 上 しなければならないとされている ただし 仕 切 精 算 書 が 販 売 のつど 送 付 されている 場 合 には 仕 切 精 算 書 の 到 達 日 をもって 売 上 収 益 の 実 現 の 日 とみなす ことができるとされている ( 企 業 会 計 原 則 注 解 注 6(1)) - 3 -

収 等 何 らかの 形 でその 成 果 物 の 提 供 の 完 了 を 確 認 することにより 収 益 を 認 識 すること になる 6 なお 買 戻 し 条 件 が 付 いている 場 合 や 事 後 に 大 きな 補 修 が 生 じることが 明 らかであ ることにより 成 果 物 の 提 供 の 完 了 について 問 題 が 生 じている 場 合 には 収 益 認 識 は 認 め られない (2) 収 益 を 認 識 するにあたっての 留 意 事 項 収 益 認 識 には ソフトウェア 取 引 の 実 在 性 一 定 の 機 能 を 有 する 成 果 物 の 提 供 の 完 了 及 びその 対 価 の 成 立 という 事 実 が 必 要 となるが 特 に 次 のようなケースについては 一 般 的 に それらの 事 実 の 存 在 について 疑 義 が 生 じる したがって このようなケースに おいて 収 益 を 認 識 するにあたっては 企 業 は それらの 事 実 の 存 在 を 確 認 し 客 観 的 に 説 明 ができるようにする 必 要 がある 7 1 成 果 物 の 提 供 の 完 了 の 前 提 となる 取 引 の 実 在 性 に 疑 義 があるケース 通 常 は 契 約 書 等 を 取 り 交 すべき 取 引 において 当 該 取 引 に 関 する 契 約 書 等 につき ドラフトしか 存 在 していない 本 来 の 顧 客 (ユーザー)との 間 で 契 約 書 等 を 取 り 交 すには 至 っておらず 第 三 者 で あるパートナー( 協 力 会 社 )との 間 で 契 約 書 等 を 取 り 交 すにとどまっている 2 成 果 物 の 提 供 の 完 了 に 疑 義 があるケース 通 常 は 検 収 により 成 果 物 提 供 の 完 了 を 確 認 するような 場 合 において 検 収 書 又 はこ れに 類 似 するものが 入 手 されていない 検 収 書 又 はこれに 類 似 するものを 入 手 しているにもかかわらず 入 金 予 定 日 を 経 過 しても 未 だに 入 金 がない 若 しくはソフトウェアの 主 要 な 機 能 に 関 するバグの 発 生 等 により 作 業 を 継 続 している 3 対 価 の 成 立 に 疑 義 があるケース 売 上 計 上 後 に 顧 客 (ユーザー)に 対 して 多 額 の 返 金 又 は 大 幅 な 値 引 が 見 込 まれてい る 若 しくは 類 似 の 取 引 で 過 去 においてそのようなケースが 多 く 発 生 している 6 ただし 長 期 の 未 完 成 請 負 工 事 等 については 合 理 的 に 収 益 を 見 積 り これを 当 期 の 損 益 計 算 に 計 上 することができる( 企 業 会 計 原 則 第 二 損 益 計 算 書 原 則 三 B)とされており 長 期 の 請 負 工 事 の 収 益 認 識 基 準 として 完 成 基 準 と 進 行 基 準 の 選 択 適 用 が 認 められている 受 注 制 作 のソ フトウェアについても その 制 作 費 は 請 負 工 事 の 会 計 処 理 に 準 じて 処 理 する( 研 究 開 発 費 等 会 計 基 準 四 1)とされていることから 完 成 基 準 と 進 行 基 準 の 選 択 適 用 が 可 能 と 解 されるが 現 在 進 行 基 準 の 適 用 事 例 は 少 ないこと 及 び 今 回 指 摘 されている 問 題 が 完 成 基 準 の 適 用 に 関 するも のであることから 本 実 務 対 応 報 告 では 進 行 基 準 については 取 り 扱 わず 完 成 基 準 を 適 用 する 場 合 の 収 益 認 識 の 考 え 方 を 示 している 7 これには 例 えば 作 業 の 完 了 についての 顧 客 (ユーザー)への 報 告 書 等 により 成 果 物 の 提 供 の 完 了 を 確 認 する 場 合 も 該 当 する - 4 -

(3) 分 割 検 収 における 収 益 認 識 に 関 しての 会 計 上 の 論 点 受 注 制 作 のソフトウェア 取 引 においては 1 つのソフトウェア 開 発 プロジェクトをいく つかの 作 業 ごとのフェーズに 分 けて 契 約 を 締 結 し 各 フェーズごとに 検 収 を 行 う 分 割 検 収 が 見 受 けられる ソフトウェア 開 発 のフェーズ 分 けには 例 えば 設 計 段 階 の 完 了 開 発 段 階 の 完 了 といった 時 系 列 的 な 分 割 と 購 買 システムの 完 了 経 理 システムの 完 了 といったシステムの 引 渡 しを 伴 う 物 的 な 分 割 のケースがある 特 に 収 益 認 識 との 関 係 においては 前 者 の 時 系 列 的 な 分 割 の 場 合 問 題 となることがある 2(1)ソフトウェア 取 引 における 収 益 認 識 の 考 え 方 にあるとおり 収 益 認 識 には 取 引 の 実 在 性 を 前 提 として 一 定 の 機 能 を 有 する 成 果 物 の 提 供 が 完 了 し その 見 返 りと しての 対 価 が 成 立 することが 必 要 である そのため 契 約 が 分 割 された 場 合 においても 一 般 的 には 最 終 的 なプログラムが 完 成 し その 機 能 が 確 認 されることにより 収 益 認 識 されることになるが 最 終 的 なプログラムの 完 成 前 であっても 例 えば 顧 客 (ユーザ ー)との 取 引 において 分 割 された 契 約 の 単 位 (フェーズ)の 内 容 が 一 定 の 機 能 を 有 す る 成 果 物 ( 顧 客 が 使 用 し 得 る 一 定 のプログラムや 設 計 書 等 の 関 連 文 書 も 顧 客 にとっては それ 自 体 で 使 用 する 価 値 のあるものと 考 えられる )の 提 供 であり かつ 顧 客 (ユー ザー)との 間 で 納 品 日 入 金 条 件 等 について 事 前 の 取 決 めがあり その 上 で 当 該 成 果 物 提 供 の 完 了 が 確 認 され その 見 返 りとしての 対 価 が 成 立 している 場 合 には 収 益 認 識 の 考 え 方 に 合 致 しているため 収 益 認 識 は 可 能 である したがって 例 えば 分 割 検 収 において 成 果 物 の 提 供 の 完 了 の 確 認 がなく 単 に 作 業 の 実 施 のみに 基 づく 場 合 や 入 金 条 件 のみに 関 連 しているだけでは 収 益 認 識 は 認 めら れない また 特 に 分 割 検 収 は 最 終 的 なプログラムの 完 成 前 であることから 各 フェーズ 完 了 後 において 売 上 金 額 の 事 後 的 な 修 正 が 行 われることがあるため 収 益 認 識 にあたっ ては 各 フェーズ 完 了 時 の 対 価 の 成 立 販 売 代 金 の 回 収 可 能 性 返 金 の 可 能 性 等 資 金 回 収 のリスクを 考 慮 する 必 要 がある 3 ソフトウェア 取 引 の 複 合 取 引 についての 会 計 上 の 考 え 方 財 であるソフトウェア 取 引 の 中 には サービスの 提 供 や 機 器 (ハードウェア)の 販 売 の ように 異 なる 種 類 の 取 引 を 同 一 の 契 約 書 等 で 締 結 している 複 合 取 引 がある こうした 複 合 取 引 においては 取 引 の 種 類 ごとに 収 益 認 識 時 点 が 異 なる 場 合 がある 例 えば 財 の 販 売 ( 販 売 時 に 収 益 認 識 )とサービスの 提 供 ( 提 供 期 間 にわたって 収 益 認 識 )が 1 つの 契 約 とされている 場 合 において 財 の 販 売 時 点 とサービス 提 供 時 点 が 異 なる にもかかわらず それらの 収 益 を 同 時 に 認 識 するときには 収 益 認 識 時 点 に 関 して 問 題 が 生 じるケースがある - 5 -

当 該 財 とサービスの 複 合 取 引 には 次 のような 取 引 がある 1 市 場 販 売 目 的 のソフトウェアとソフトウェア 関 連 サービスの 複 合 取 引 ソフトウェア 販 売 に 保 守 サービスやユーザー トレーニング サービスが 含 まれて いるケース ソフトウェア ライセンス 販 売 ( 使 用 許 諾 )にアップグレードの 実 施 が 含 まれてい るケース 2 受 注 制 作 のソフトウェアとソフトウェア 関 連 サービスの 複 合 取 引 システム 開 発 請 負 契 約 に 期 間 的 なシステム 利 用 や 保 守 サービスに 関 する 契 約 が 含 ま れているケース さらに 例 えば 財 である 機 器 (ハードウェア)とソフトウェアを 販 売 するケースのよ うに 財 と 財 の 販 売 が1つの 契 約 とされているが それらが 必 ずしも 有 機 的 一 体 として 機 能 しない 場 合 がある このような 場 合 において 各 々の 販 売 時 点 が 異 なっているにもかか わらず 一 方 の 財 の 販 売 時 に 他 方 の 財 の 収 益 を 同 時 に 認 識 するときには 収 益 認 識 時 点 に 関 して 問 題 が 生 じるケースがある このように 収 益 認 識 時 点 が 異 なる 複 数 の 取 引 が 1 つの 契 約 とされていても 管 理 上 の 適 切 な 区 分 に 基 づき 販 売 する 財 又 は 提 供 するサービスの 内 容 や 各 々の 金 額 の 内 訳 が 顧 客 (ユーザー)との 間 で 明 らかにされている 場 合 には 契 約 上 の 対 価 を 適 切 に 分 解 して 機 器 (ハードウェア)やソフトウェアといった 財 については 各 々の 成 果 物 の 提 供 が 完 了 した 時 点 8 で また サービスについては 提 供 期 間 にわたる 契 約 の 履 行 に 応 じて 収 益 認 識 を 行 う 9 なお 財 とサービスの 複 合 取 引 であっても 一 方 の 取 引 が 他 方 の 主 たる 取 引 に 付 随 して 提 供 される 場 合 10 には その 主 たる 取 引 の 収 益 認 識 時 点 に 一 体 として 会 計 処 理 することがで きる 11 4 ソフトウェア 取 引 の 収 益 の 総 額 表 示 についての 会 計 上 の 考 え 方 ソフトウェア 取 引 においては 技 術 革 新 による 取 引 の 多 様 化 や 高 度 化 に 伴 い 複 数 の 企 8 機 器 (ハードウェア)の 成 果 物 の 提 供 の 完 了 については 出 荷 基 準 の 適 用 が 含 まれ また その 据 付 調 整 作 業 はサービスとして 取 り 扱 われる 9 顧 客 (ユーザー)との 間 で 金 額 の 内 訳 が 明 らかにされていない 場 合 についても 管 理 上 の 適 切 な 区 分 に 基 づき 契 約 上 の 対 価 を 分 解 して 各 々の 販 売 時 点 において 収 益 認 識 することができるが こうした 複 合 取 引 における 収 益 認 識 時 点 についての 問 題 を 解 決 するには 管 理 上 の 適 切 な 区 分 に 基 づいて 契 約 を 締 結 する 等 いわゆる 一 式 契 約 が 締 結 されるような 取 引 慣 行 を 是 正 していく 方 向 で 検 討 を 行 うことも 重 要 である 10 例 えば すべての 顧 客 (ユーザー)に 均 一 に 提 供 されるような 無 償 の 保 守 サービスやユーザ ー トレーニング サービスは 一 般 的 に 主 たる 取 引 に 付 随 して 提 供 される 取 引 に 該 当 すると 考 えられる 11 この 場 合 ソフトウェアの 収 益 に 対 して 関 連 するサービス 費 用 を 必 要 に 応 じて 見 積 り 一 括 して 計 上 する - 6 -

業 を 介 する 取 引 が 見 受 けられるが このような 取 引 には 在 庫 リスクを 抱 えて 行 われる 取 引 だけでなく 物 理 的 にも 機 能 的 にも 付 加 価 値 の 増 加 を 伴 わず 会 社 の 帳 簿 上 通 過 するだ けの 取 引 も 存 在 する このような 複 数 の 企 業 を 介 する 情 報 サービス 産 業 におけるソフトウ ェア 関 連 取 引 において 委 託 販 売 で 手 数 料 収 入 のみを 得 ることを 目 的 とする 取 引 の 代 理 人 のように 一 連 の 営 業 過 程 における 仕 入 及 び 販 売 に 関 して 通 常 負 担 すべきさまざまなリス ク( 瑕 疵 担 保 在 庫 リスクや 信 用 リスクなど)を 負 っていない 場 合 には 収 益 の 総 額 表 示 は 適 切 でない 特 に 例 えば 次 のようなソフトウェア 関 連 取 引 については 販 売 者 は 一 般 的 に 通 常 負 担 すべきさまざまなリスクを 負 っていることが 明 らかでないと 考 えられ るため 収 益 の 総 額 表 示 を 行 うためには 当 該 リスクを 負 っていることを 示 すことが 必 要 となる 機 器 (ハードウェア)やパッケージ ソフトウェアなどの 完 成 度 の 高 いものにソフト ウェア 開 発 を 行 って 販 売 するケースにおいて ソフトウェア 開 発 の 占 める 割 合 が 小 さ いなど 付 加 価 値 がほとんど 加 えられていない 場 合 の 当 該 機 器 (ハードウェア)やパ ッケージ ソフトウェアに 関 する 取 引 受 注 制 作 ソフトウェアにおいて 第 三 者 であるパートナー( 協 力 会 社 )にそのプロジ ェクト 管 理 のすべてを 委 託 している 場 合 の 当 該 ソフトウェア 開 発 に 関 する 取 引 機 器 (ハードウェア)にソフトウェアを 組 み 込 んだ 製 品 やパッケージ ソフトウェア の 売 手 が 製 品 の 仕 様 (スペック)や 対 価 の 決 定 に 関 与 していない 場 合 の 当 該 機 器 (ハ ードウェア)やパッケージ ソフトウェアに 関 する 取 引 5 適 用 にあたっての 留 意 事 項 本 実 務 対 応 報 告 は ソフトウェア 取 引 の 収 益 の 会 計 処 理 について 現 行 の 会 計 基 準 等 を 踏 まえた 実 務 上 の 取 扱 いを 整 理 したものであるため その 会 計 上 の 考 え 方 については 基 本 的 にはすでに 適 用 されていると 考 えられる しかしながら 本 実 務 対 応 報 告 において 示 し た 内 容 の 充 足 を 客 観 的 に 示 すためには システムの 変 更 や 取 引 内 容 の 見 直 し 等 の 取 引 相 手 も 含 めた 多 大 な 対 応 を 要 すること 等 もあることから それらの 対 応 も 含 めた 本 実 務 対 応 報 告 の 適 用 は 平 成 19 年 4 月 1 日 以 後 開 始 する 事 業 年 度 から 行 うこととする ただし 平 成 19 年 3 月 31 日 以 前 に 開 始 する 事 業 年 度 から 適 用 することもできる なお 本 実 務 対 応 報 告 はソフトウェア 取 引 の 収 益 の 会 計 処 理 について 現 行 の 会 計 基 準 等 を 踏 まえた 実 務 上 の 取 扱 いを 整 理 したものであるため その 適 用 については 会 計 方 針 の 変 更 として 取 り 扱 わないことに 留 意 する 以 上 - 7 -