臨床重要課題「バセドウ病悪性眼球突出症の診断基準と治療指針」 （第1次案）

臨 床 重 要 課 題 バセドウ 病 悪 性 眼 球 突 出 症 ( 甲 状 腺 眼 症 )の 診 断 基 準 と 治 療 指 針 ( 第 1 次 案 ) 2007 年 度 に 日 本 甲 状 腺 学 会 日 本 内 分 泌 学 会 厚 生 労 働 省 の ホルモン 受 容 機 構 異 常 に 関 す る 調 査 研 究 班 の 臨 床 重 要 議 題 に バセドウ 病 悪 性 眼 球 突 出 症 の 診 断 基 準 と 治 療 指 針 の 作 成 が 指 定 され 公 募 による 委 員 会 にて 検 討 を 重 ねてきました その 結 果 下 記 のように magnetic resonance imaging (MRI)を 組 み 入 れた 眼 症 の 診 断 基 準 と 治 療 指 針 を 提 案 いたします バセドウ 病 悪 性 眼 球 突 出 症 の 診 断 基 準 と 治 療 指 針 作 成 委 員 会 < 委 員 長 > 廣 松 雄 治 久 留 米 大 学 内 分 泌 代 謝 内 科 < 内 科 系 委 員 > 磯 崎 収 宇 佐 俊 郎 窪 田 純 久 谷 淳 一 三 宅 育 代 村 上 司 森 弘 毅 吉 村 弘 < 眼 科 系 委 員 > 安 積 淳 井 上 立 州 井 上 洋 一 柿 崎 裕 彦 手 島 靖 夫 笠 岡 政 孝 三 村 治 < 放 射 線 科 委 員 > 野 口 靖 志 東 京 女 子 医 科 大 学 第 2 内 科 長 崎 大 学 病 院 第 1 内 科 隈 病 院 久 留 米 大 学 内 分 泌 代 謝 内 科 戸 畑 共 立 病 院 野 口 病 院 JR 仙 台 病 院 健 康 管 理 センター 伊 藤 病 院 神 戸 大 学 医 学 部 眼 科 オリンピア 眼 科 病 院 オリンピア 眼 科 病 院 愛 知 医 科 大 学 眼 科 久 留 米 大 学 眼 科 久 留 米 大 学 眼 科 兵 庫 医 科 大 学 眼 科 野 口 病 院 < 事 務 局 > 久 留 米 大 学 医 学 部 内 科 学 講 座 内 分 泌 代 謝 内 科 部 門 廣 松 雄 治 0942-31-7563 Fax 0942-35-8943 E-mail: yuji@med.kurume-u.ac.jp

甲 状 腺 眼 症 の 定 義 と 分 類 眼 症 の 定 義 甲 状 腺 眼 症 はバセドウ 病 や 稀 に 橋 本 病 に 伴 ってみられる 眼 窩 組 織 * の 自 己 免 疫 性 炎 症 性 疾 患 である その 結 果 多 彩 な 症 状 を 呈 し 重 症 例 では 複 視 や 視 力 障 害 をきたし * quality of life (QOL)が 著 しく 損 なわれる 眼 瞼 や 涙 腺 球 後 軟 部 組 織 の 外 眼 筋 や 脂 肪 組 織 などをさす 除 外 規 定 眼 窩 内 の 炎 症 ( 特 発 性 眼 窩 炎 IgG4 関 連 疾 患 など) 偽 腫 瘍 肉 芽 腫 腫 瘍 悪 性 リ ンパ 腫 MALToma pyocele mucocele 頸 動 脈 - 海 綿 静 脈 洞 瘻 などの2 次 性 眼 球 突 出 が 否 定 されること 参 考 名 称 本 症 の 発 症 は 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 とほぼ 同 時 期 が 多 いが 甲 状 腺 機 能 異 常 を 伴 わな いこともある したがって 本 症 の 診 断 時 にはバセドウ 病 や 橋 本 病 などの 自 己 免 疫 性 甲 状 腺 疾 患 の 存 在 を 証 明 しえない 場 合 がある ( 大 部 分 の 症 例 はバセドウ 病 または 橋 本 病 であるがその 合 併 が 明 らかでない 症 例 もあり 注 意 を 要 する ) 甲 状 腺 眼 症 バセドウ 病 眼 症 悪 性 眼 球 突 出 症 Graves ophthalmopathy(go) Graves orbitopathy (GO) Thyroid-associated ophthalmopathy (TAO) Thyroid eye disease (TED) Dysthyroid ophthalmopathy (DO) Dysthyroid orbitopathy (DO)など 種 々の 名 称 で 呼 ばれているが 同 義 と 考 えてよい 委 員 会 自 体 の 名 称 は バセドウ 病 悪 性 眼 球 突 出 症 となっていますが 眼 症 が 先 行 す る 場 合 や 自 己 免 疫 性 甲 状 腺 疾 患 の 合 併 が 明 らかでない 症 例 があることから 本 疾 患 の 名 称 を 甲 状 腺 眼 症 に 統 一 する 分 類 良 性 眼 症 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 に 伴 う 交 感 神 経 の 過 緊 張 の 結 果 Müller 筋 が 異 常 収 縮 して 上 眼 瞼 後 退 を 来 たしたもの 上 眼 瞼 後 退 の 約 3 割 を 占 める 甲 状 腺 眼 症 (バセドウ 病 眼 症 悪 性 眼 球 突 出 症 ) 遺 伝 因 子 や 環 境 因 子 などを 背 景 に TSH 受 容 体 や 外 眼 筋 抗 原 などを 自 己 抗 原 とする 自 己 免 疫 機 序 により 外 眼 筋 や 球 後 組 織 に 炎 症 をきたし 発 症 したもの 附 ) 悪 性 眼 球 突 出 症 20 世 紀 の 初 めのまだ 医 療 環 境 の 悪 かった 頃 には 眼 球 突 出 による 兎 眼 性 眼 障 害 は 角 膜 の 感 染 から 眼 内 炎 を 起 こし 上 行 性 に 感 染 が 進 展 し 眼 窩 蜂 窩 織 炎 頭 蓋 内 感 染 を 来 たして 多 くの 患 者 が 死 亡 していたことから バセドウ 病 眼 症 は 悪 性 眼 球 突 出 症 と 呼 ばれていた このなかで 角 膜 潰 瘍 壊 死 穿 孔 又 は 視 力 低 下 や 視 野 欠 損 を 呈 するに 至 ったものを 重 症 悪 性 眼 球 突 出 症 と 定 義 されていた( 今 回 の 重 症 度 分 類 では 最 重 症 に あたる) euthyroid Graves' disease と hypothyroid Graves' disease 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 の 既 往 がなく 眼 症 発 症 時 に 甲 状 腺 機 能 が 正 常 または 低 下 症 を 示 すものを それぞれ euthyroid Graves disease hypothyroid Graves disease とよぶ いずれも TRAbまたは TSAbが 陽 性 のことが 多 いが 陰 性 のこともある

Occult thyroid eye disease 自 己 免 疫 性 甲 状 腺 疾 患 ( 主 にバセドウ 病 ) 患 者 において 一 見 眼 症 状 や 眼 症 候 がな いようにみえるが MRI 等 で 眼 窩 内 を 検 索 すると 炎 症 所 見 や 外 眼 筋 の 肥 厚 など 甲 状 腺 眼 症 に 特 徴 的 な 所 見 がみられる 状 態 をいう (ただし 同 様 の 所 見 は 眼 窩 内 の 血 流 障 害 を 伴 う 疾 患 でもみられるのでこれらを 除 外 する 必 要 がある ) 甲 状 腺 眼 症 の 管 理 眼 症 の 発 症 は 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 の 発 症 とほぼ 同 時 期 のことが 多 いが 甲 状 腺 機 能 異 常 と 無 関 係 に 発 症 することもあるので 一 般 眼 科 医 や 内 科 医 を 受 診 する 機 会 も 多 い そこでまず 眼 症 の 専 門 医 への 紹 介 の 基 準 を 示 す 図 1 甲 状 腺 眼 症 の 管 理 チャート(1) 定 義 と 分 類 甲 状 腺 中 毒 症 状 一 般 内 科 医 紹 介 の 基 準 専 門 の 内 科 医 甲 状 腺 専 門 医 重 症 度 活 動 性 QOL MRI パルス 療 法 放 射 線 療 法 眼 科 手 術 療 法 新 しい 治 療 法 患 者 紹 介 連 携 評 価 治 療 一 般 眼 科 医 専 門 の 眼 科 医 眼 症 の 専 門 医 標 準 化 共 通 カルテ 効 果 判 定 基 準 目 の 症 状 禁 煙 甲 状 腺 機 能 の 正 常 化 ( 機 能 低 下 症 を 避 ける) 連 携 放 射 線 科 医 多 施 設 共 同 研 究 EBM

一 般 医 のための 甲 状 腺 眼 症 専 門 機 関 への 紹 介 基 準 1) 至 急 紹 介 すべき 症 例 症 状 急 激 な 視 力 低 下 色 覚 異 常 急 激 な 眼 球 突 出 所 見 角 膜 混 濁 眼 瞼 を 閉 じても 角 膜 が 見 える( 兎 眼 ) 視 神 経 乳 頭 の 浮 腫 2) 緊 急 でないが 紹 介 すべき 症 例 症 状 眼 の 過 剰 な 違 和 感 (1 週 間 以 上 の 加 療 で 改 善 しない 場 合 ) 眼 の 中 または 奥 の 痛 み (1-2 ヶ 月 持 続 または 悪 化 する 場 合 ) 羞 明 (1-2 ヶ 月 持 続 または 悪 化 する 場 合 ) 眼 瞼 の 発 赤 腫 脹 (1-2 ヶ 月 持 続 または 悪 化 する 場 合 ) 眼 球 突 出 眼 の 所 見 の 変 化 に 対 する 不 安 感 複 視 所 見 その 他 眼 瞼 後 退 眼 瞼 または 結 膜 の 発 赤 や 浮 腫 眼 球 運 動 障 害 や 明 らかな 斜 視 複 視 を 避 けるための 頭 位 の 傾 斜 片 眼 性 euthyroid Graves disease hypothyroid Graves disease 眼 症 の 専 門 医 療 機 関 での 診 療 甲 状 腺 専 門 医 眼 科 専 門 医 放 射 線 科 医 の 連 携 の 確 立 が 重 要 である 日 本 では 甲 状 腺 専 門 医 と 眼 科 専 門 医 は 別 々の 施 設 で 働 いていることが 多 く しっかりと 連 携 をとって 診 療 にあたることが 大 切 である 専 門 医 療 施 設 のリスト: 工 事 中

眼 症 の 重 症 度 活 動 性 QOL の 評 価 眼 症 の 重 症 度 と 活 動 性 の 自 然 経 過 は 時 間 的 にズレがみられるので どの 時 期 に 治 療 するかで 治 療 効 果 は 大 きく 異 なる したがって 治 療 法 の 選 択 や 治 療 のタイミングに 大 きく 影 響 する 1) 甲 状 腺 眼 症 の 重 症 度 の 評 価 治 療 との 関 連 より 3 段 階 に 分 類 する 1 最 重 症 の( 失 明 の 危 険 性 がある) 眼 症 : 重 症 悪 性 眼 球 突 出 症 甲 状 腺 性 視 神 経 症 (DON) 及 び/または 角 膜 の 潰 瘍 穿 孔 壊 死 早 急 な 治 療 介 入 が 必 要 2 中 等 症 から 重 症 の 眼 症 : 失 明 の 危 険 性 はないが 視 機 能 障 害 眼 症 状 により QOL の 低 下 がみられ 治 療 を 考 慮 すべき 症 例 以 下 の 症 状 のうち 1 つないしそれ 以 上 を 呈 する 2mm 以 上 の 眼 瞼 後 退 ( 眼 裂 開 大 >10mm) 中 等 度 ないし 高 度 の 軟 部 組 織 所 見 ( 顔 貌 の 変 化 をきたす 程 度 ) 18mm 以 上 の 眼 球 突 出 周 辺 視 や 正 面 視 での 複 視 ( 恒 常 的 な 複 視 ) 活 動 性 があれば 免 疫 抑 制 療 法 非 活 動 性 であれば 機 能 回 復 手 術 3 軽 症 の 眼 症 : 視 機 能 障 害 眼 症 による 日 常 生 活 への 障 害 がわずかであり 免 疫 抑 制 療 法 や 手 術 療 法 の 治 療 によるリスクがベネフィットを 上 回 ると 考 えられる 場 合 2mm 未 満 の 軽 度 眼 瞼 後 退 ( 眼 裂 開 大 8~10mm) 軽 度 の 軟 部 組 織 所 見 15~18mm 未 満 の 眼 球 突 出 MRI を 推 奨 経 過 観 察 または 病 態 に 応 じた 治 療 表 1 眼 症 の 重 症 度 分 類 なし 軽 症 中 等 症 重 症 最 重 症 眼 裂 開 大 <8mm 8~10mm 10~12mm 12mm 以 上 眼 瞼 腫 脹 なし 軽 度 中 等 度 高 度 結 膜 所 見 なし うっ 血 充 血 浮 腫 上 方 輪 部 角 結 膜 炎 上 強 膜 血 管 怒 張 眼 球 突 出 <15mm 15~18mm 18~21mm 21mm 以 上 外 眼 筋 所 見 なし なし~ 間 欠 性 複 視 周 辺 視 での 複 視 第 1 眼 位 で 複 視 角 膜 所 見 なし 所 見 なし 兎 眼 性 浸 潤 ~ 角 膜 全 体 に 及 ぶ 浸 潤 潰 瘍 穿 孔 壊 死 視 神 経 網 膜 所 見 なし 所 見 なし 所 見 なし 所 見 なし 視 神 経 症

2) 甲 状 腺 眼 症 の 活 動 性 の 評 価 Clinical activity score (CAS): 後 眼 窩 の 自 発 痛 や 違 和 感 上 方 視 下 方 視 時 の 痛 み 眼 瞼 の 発 赤 眼 瞼 の 腫 脹 結 膜 の 充 血 結 膜 の 浮 腫 涙 丘 の 発 赤 腫 脹 European Group on Graves Orbitopathy (EUGOGO)は 眼 症 の 活 動 性 の 評 価 を 7 点 満 点 で 評 価 ( 上 記 の 項 目 を 各 1 点 として 合 計 点 で 評 価 ) CAS 3 以 上 は 活 動 性 の 眼 症 としてい る * 日 本 人 では CAS 1~2 点 でもMRIを 撮 ると 炎 症 所 見 を 認 める 場 合 がある 3 ヶ 月 間 に 進 行 する 眼 球 突 出 (>2 mm) 3 ヶ 月 間 に 進 行 する 眼 球 運 動 障 害 (>8 ) 3 ヶ 月 間 に 進 行 する 視 力 障 害 (>1 Snellen line) オリジナルの Mourits の 論 文 では 上 記 3 項 目 を 含 めて 10 点 満 点 で 評 価 している 前 回 の 評 価 があれば 10 点 満 点 での 評 価 を American Thyroid Association (ATA)も 推 奨 している 日 内 変 動 ( 朝 方 に 強 い) 高 度 な 眼 瞼 の 腫 脹 高 度 な 結 膜 浮 腫 International Thyroid Eye Disease Study group (ITEDS)では 上 記 の 3 項 目 を 追 加 して 10 点 満 点 (EUGOGO の CAS 7 点 + 3 点 )で Inflammatory Index として 評 価 している

3) 甲 状 腺 眼 症 の quality of life (QOL) 視 機 能 に 関 する 質 問 1 点 2 点 3 点 1. 自 転 車 運 転 しない ひどく 制 限 少 し 制 限 制 限 なし 2. 車 の 運 転 運 転 しない ひどく 制 限 少 し 制 限 制 限 なし 3. 家 事 ひどく 制 限 少 し 制 限 制 限 なし 4. 戸 外 の 散 歩 ひどく 制 限 少 し 制 限 制 限 なし 5. 読 書 ひどく 制 限 少 し 制 限 制 限 なし 6.テレビ 鑑 賞 ひどく 制 限 少 し 制 限 制 限 なし 7. 趣 味 娯 楽 ひどく 制 限 少 し 制 限 制 限 なし 8.したいことができない とても 少 し いいえ 社 会 心 理 面 に 関 する 質 問 9. 顔 貌 の 変 化 とても 少 し いいえ 10. 街 路 でジロジロ 観 られる とても 少 し いいえ 11. 他 人 が 不 快 に 振 舞 う とても 少 し いいえ 12. 自 信 の 喪 失 とても 少 し いいえ 13. 社 会 的 に 孤 立 とても 少 し いいえ 14. 友 達 が 出 来 にくい とても 少 し いいえ 15. 写 真 に 写 りたくない とても 少 し いいえ 16. 顔 貌 の 変 化 を 隠 したい とても 少 し いいえ 計 算 方 法 :それぞれの 項 目 (1~8)(9~16)について {( 合 計 点 - 評 価 項 目 数 )/ 評 価 項 目 数 x2}x 100= % (0~100%で 表 す) 点 数 が 高 いほど QOL は 高 い

4) MRIによる 眼 症 の 病 態 活 動 性 の 評 価 わが 国 では MRI が 普 及 しており 眼 症 の 病 態 の 把 握 や 免 疫 抑 制 療 法 の 効 果 予 測 に 有 用 である 専 門 の 医 療 施 設 では 放 射 線 科 の 協 力 を 得 て MRI をとることを 推 奨 する T1 強 調 画 像 : 眼 瞼 の 状 態 眼 球 突 出 度 後 眼 窩 容 積 外 眼 筋 腫 大 度 などを 定 量 的 に 評 価 する 視 神 経 症 の 診 断 にも 有 用 である T2 強 調 画 像 : 外 眼 筋 T2 緩 和 時 間 延 長 ( 信 号 強 度 の 増 強 )の 有 無 を 観 察 する T2 緩 和 時 間 の 測 定 が 可 能 であれば 更 に 病 態 把 握 の 参 考 となる 信 号 強 度 比 (Signal intensity ratio)はt2 強 調 画 像 やSTIR 画 像 で 用 いることが 可 能 である 手 法 としては 各 外 眼 筋 の 信 号 強 度 / 大 脳 白 質 の 信 号 強 度 で 除 して 比 で 表 したものを 用 いる 方 法 が 報 告 されている 外 眼 筋 の 炎 症 の 活 動 性 が 高 い 場 合 には T2 緩 和 時 間 の 延 長 や 信 号 強 度 比 高 値 となる し かし 他 の 病 態 でも 同 様 の 所 見 がみられることがあるため 慎 重 に 判 断 する 撮 像 法 T1 強 調 画 像 に 加 えて T2 強 調 画 像 または STIR 画 像 を 撮 像 する T2 緩 和 時 間 や STIR 信 号 強 度 は 炎 症 ( 活 動 性 )の 指 標 となる 水 平 断 冠 状 断 矢 状 断 で 撮 像 する T1 強 調 画 像 水 平 断 冠 状 断 矢 状 断

眼 球 突 出 外 眼 筋 の 腫 大 度 後 眼 窩 容 積

T2 緩 和 時 間 と STIR 信 号 強 度 比

診 療 録 の 共 通 化 多 施 設 共 同 研 究 の 推 進 のためにも 診 療 録 の 共 通 化 が 望 まれる ID 名 前 甲 状 腺 眼 症 初 診 時 カルテ 初 診 日 20 / / 診 察 医 1 甲 状 腺 疾 患 病 歴 バセドウ 病 ( 亢 進 ) 橋 本 病 ( 機 能 正 常 低 下 症 ) その 他 の 甲 状 腺 疾 患 ( ) なし 甲 状 腺 疾 患 推 定 発 症 時 期 / / 甲 状 腺 疾 患 診 断 日 / / 初 発 再 発 現 在 の 甲 状 腺 機 能 FT3 pg/ml; FT4 ng/dl; TSH mu/l 甲 状 腺 疾 患 治 療 歴 なし 治 療 中 既 治 療 現 在 の 治 療 TRAb ( 第 1 世 代 ) % a. 抗 甲 状 腺 剤 (MMI, PTU, KI ) なし あり MMI mg/d TSAb % b. 131 I ( / / ) なし あり PTU mg/d htrab, TRAb (IIIrd) IU/L c. 甲 状 腺 切 除 ( / / ) なし あり KI 錠 TgAb U/ml d. 甲 状 腺 ホルモン 剤 なし あり LT4 µg/d TPOAb U/ml 2 合 併 症 なし 前 脛 骨 部 粘 液 水 腫 妊 娠 ( 第 週 ) acropachy 既 往 歴 薬 物 治 療 歴 なし アミオダロン 炭 酸 リチウム GnRHアナログ 糖 尿 病 (1 型 /2 型 ) IFN ソマトスタチン 抗 体 製 剤 自 己 免 疫 疾 患 ( ) 3 喫 煙 歴 喫 煙 ( 本 / 日 年 間 ) 現 在 の 喫 煙 量 本 / 日 高 血 圧 前 喫 煙 ( 喫 煙 歴 あり) ( 本 / 日 年 間 ) 禁 煙 の 時 期 年 月 出 産 後 1 年 以 内 受 動 喫 煙 頸 部 悪 性 腫 瘍 ( ) 非 喫 煙 ( 手 術 化 学 療 法 放 射 線 照 射 Gy) 4 甲 状 腺 疾 患 の 家 族 歴 なし バセドウ 病 橋 本 病 その 他 ( ) ウイルス 肝 炎 ( ) 5 眼 症 の 病 歴 眼 症 の 推 定 発 症 時 期 / / 眼 症 発 症 時 の 甲 状 腺 機 能 亢 進 正 常 低 下 1. 角 膜 保 護 薬 点 眼 軟 膏 治 療 なし あり 糖 尿 病 網 膜 症 2. 局 所 ステロイド 投 与 なし あり 高 血 圧 性 網 膜 症 3. 全 身 ステロイド 投 与 なし あり 投 与 中 過 去 に 投 与 歴 あり 最 終 投 与 から: か 月 4. 放 射 線 治 療 なし あり 照 射 の 時 期 / / ( )Gy 5. 外 科 的 治 療 なし あり 眼 窩 減 圧 術 / / 眼 瞼 手 術 / / 外 眼 筋 手 術 / / その 他 / / 6.その 他 の 治 療 なし あり Inflammatory index 継 続 中 中 止 /10 6 眼 症 の 現 在 の 状 態 ( 最 近 一 ヶ 月 の 症 状 ) 右 眼 いつから 左 眼 いつから CAS score 点 1. 眼 球 後 部 や 眼 球 の 痛 み なし あり( ) なし あり( ) 2. 注 視 時 の 痛 み, 違 和 感 なし あり( ) なし あり( ) 3. 異 物 感 なし あり( ) なし あり( ) 4. 流 涙 なし あり( ) なし あり( ) 5. 羞 明 なし あり( ) なし あり( ) 6. 霧 視 ( 眼 症 による) なし あり( ) なし あり( ) 7. 複 視 Gorman Score なし 間 欠 性 不 定 ( 注 視 時 ) 絶 えず 続 く プリズムレンズ 装 着 8. 日 内 変 動 なし あり( ) なし あり( ) 7 眼 科 検 査 右 左 視 力 (. ) (. ) 3ヵ 月 間 で1 段 階 色 覚 なし あり なし あり 以 上 の 視 力 低 下 8 視 神 経 乳 頭 評 価 眼 症 なし 萎 縮 腫 脹 眼 症 なし 萎 縮 腫 脹 ( 視 神 経 症 ) 9 軟 部 組 織 軽 症 中 等 症 ~ 重 症 軽 症 中 等 症 ~ 重 症 眼 瞼 腫 脹 上 なし あり 高 度 なし あり 高 度 高 度 下 なし あり 高 度 なし あり 高 度 眼 瞼 発 赤 なし あり なし あり 結 膜 充 血 なし あり なし あり 結 膜 浮 腫 なし あり 高 度 なし あり 高 度 高 度 涙 丘 発 赤 腫 脹 なし あり なし あり 10 眼 瞼 位 置 瞼 裂 幅 mm mm 上 眼 瞼 後 退 ( 輪 部 より+/-) mm 軽 高 ( 2mm) mm 軽 高 ( 2mm) 下 眼 瞼 後 退 ( 輪 部 より+/-) mm mm 兎 眼 なし あり なし あり 11 眼 球 突 出 ( 距 離 mm) mm 高 ( 3mm) mm 高 ( 3mm) 3ヶ 月 間 で2mmの 12 角 膜 正 常 上 皮 障 害 潰 瘍 正 常 上 皮 障 害 潰 瘍 眼 球 突 出 の 増 悪 13 眼 圧 mmhg / 上 方 視 mmhg mmhg / 上 方 視 mmhg 14 眼 球 運 動 障 害 単 一 型 複 合 型 単 一 型 複 合 型 3ヶ 月 間 で8 度 以 上 眼 球 運 動 眼 位 頭 位 異 常 なし あり ヘスチャート なし あり の 眼 球 運 動 制 限 15 糖 尿 病 網 膜 症 最 重 症 視 神 経 症 角 膜 障 害 高 血 圧 性 網 膜 症 中 等 症 ~ 重 症 MRI 未 済 ( ) 軽 症 16 NOSPECS N 1 2 3 4 5 6 備 考 17 次 回 再 来 日 / / 視 力 眼 圧 散 瞳 ( 右 左 ) 眼 突 ヘスチャート MRI 予 定 ( / / )

ID 名 前 甲 状 腺 眼 症 経 過 カルテ 診 察 日 201 / / 1 甲 状 腺 機 能 亢 進 正 常 低 下 甲 状 腺 治 療 なし 抗 甲 状 腺 剤 (MMI mg/ 日 PTU mg/ 日 KI mg/ 日 ) 放 射 線 ヨード 後 甲 状 腺 切 除 後 LT4 µg/ 日 FT3(pg/ml) TRAb (I) (%) FT4(ng/dl) TSAb (%) TSH(mU/L) htrab (IU/L) TPOAb (U/ml) TRAb (IIIrd) (IU/L) TgAb (U/ml) TSI (ng/ml) Tg (ng/ml) Inflammatory index: /10 2 甲 状 腺 眼 症 の 現 在 の 状 態 ( 最 近 一 ヶ 月 の 症 状 ) 右 眼 左 眼 CAS score: /7 1. 眼 球 後 部 や 眼 球 の 痛 み なし あり なし あり 2. 注 視 時 の 痛 み 違 和 感 なし あり なし あり 3. 異 物 感 なし あり なし あり 4. 流 涙 なし あり なし あり 5. 羞 明 なし あり なし あり 6. 霧 視 ( 眼 症 による) なし あり なし あり 7. 複 視 Gorman Score なし 間 欠 性 不 定 ( 注 視 時 ) 絶 えず 続 く プリズムレンズ 装 着 8. 日 内 変 動 なし あり 眼 科 検 査 右 左 same/better/worse 3 軟 部 組 織 軽 症 中 等 症 ~ 重 症 軽 症 中 等 症 ~ 重 症 s/b/w 上 眼 瞼 腫 脹 なし あり 高 度 なし あり 高 度 高 度 下 眼 瞼 腫 脹 なし あり 高 度 なし あり 高 度 眼 瞼 発 赤 なし あり なし あり 結 膜 充 血 なし あり なし あり 結 膜 浮 腫 なし あり 高 度 なし あり 高 度 高 度 涙 丘 発 赤 腫 脹 なし あり なし あり 4 眼 瞼 位 置 progress: 瞼 裂 幅 mm mm s/b/w 上 眼 瞼 後 退 ( 輪 部 より+/-) mm 軽 高 mm 軽 高 ( 2mm) 下 眼 瞼 後 退 ( 輪 部 より+/-) mm ( 2mm) mm 兎 眼 な し あ り な し あ り 5 眼 球 突 出 ( 距 離 mm) mm 高 ( 3mm) mm 高 ( 3mm) 6 角 膜 正 常 上 皮 障 害 潰 瘍 正 常 上 皮 障 害 潰 瘍 s/b/w 7 眼 圧 straight mmhg / up mmhg straight mmhg / up mmhg 3ヶ 月 間 で2mmの 眼 球 突 出 の 増 悪 progress: s/b/w 8 眼 球 運 動 障 害 単 一 型 複 合 型 単 一 型 複 合 型 眼 球 運 動 眼 位 頭 位 異 常 なし あり ヘスチャート なし あり 9 矯 正 視 力 (. ) (. ) RAPD なし あり なし あり 視 神 経 乳 頭 評 価 眼 症 なし 萎 縮 腫 脹 眼 症 なし 萎 縮 腫 脹 3ヶ 月 間 で8 度 以 上 の 眼 球 運 動 制 限 progress: s/b/w 3ヵ 月 間 で1 段 階 以 上 の 視 力 低 下 progress: s/b/w 軽 症 中 等 症 ~ 重 症 最 重 症 ( 視 神 経 症 角 膜 障 害 ) NOSPECS N 1 2 3 4 5 6 13 眼 症 以 外 の 眼 病 変 なし あり 処 方 Dr. 14 次 回 再 来 日 / / 視 力 眼 圧 散 瞳 ( 右 左 ) 眼 突 ヘスチャート MRI 予 約 ( / / )

甲 状 腺 眼 症 MRI 報 告 書 患 者 ID 名 前 診 察 医 MRI ID 治 療 前 後 ヶ 月 20 / / 右 T1 STIR STIR T2 左 T1 STIR STIR T2 筋 腫 大 SIR 均 一 性 T2 緩 和 筋 腫 大 SIR 均 一 性 T2 緩 和 ー±+ 均 一 不 均 一 時 間 ー±+ 均 一 不 均 一 時 間 上 眼 瞼 挙 筋 均 不 上 眼 瞼 挙 筋 均 不 上 直 筋 均 不 上 直 筋 均 不 下 直 筋 均 不 下 直 筋 均 不 内 直 筋 均 不 内 直 筋 均 不 外 直 筋 均 不 外 直 筋 均 不 上 斜 筋 均 不 上 斜 筋 均 不 下 斜 筋 均 不 下 斜 筋 均 不 側 頭 筋 大 脳 白 質 側 頭 筋 大 脳 白 質 活 動 性 な し あ り 活 動 性 な し あ り 脂 肪 組 織 の 増 大 な し あ り 脂 肪 組 織 の 増 大 な し あ り 涙 腺 腫 大 な し あ り 涙 腺 腫 大 な し あ り 濾 斗 部 狭 窄 な し あ り 濾 斗 部 狭 窄 な し あ り 矢 状 断 冠 状 断 矢 状 断 冠 状 断 上 眼 瞼 脂 肪 組 織 下 眼 瞼 脂 肪 組 織 次 回 検 査 予 定 後

眼 症 の 治 療 指 針 全 例 禁 煙 を 勧 める 甲 状 腺 機 能 の 正 常 化 をはかる 重 症 度 活 動 性 QOLを 評 価 し 病 態 に 応 じた 治 療 法 を 選 択 する 最 重 症 例 は 眼 症 の 治 療 を 優 先 する 中 等 症 ~ 重 症 例 は 活 動 性 があれ ば 免 疫 抑 制 療 法 や 放 射 線 照 射 療 法 非 活 動 性 であれば 眼 科 的 な 機 能 回 復 手 術 の 適 応 となる 軽 症 例 では 経 過 観 察 可 能 であればMRIを 施 行 し 病 態 に 応 じた 適 切 な 治 療 を 行 う 甲 状 腺 眼 症 の 管 理 チャート(2) 自 己 免 疫 性 甲 状 腺 疾 患 (バセドウ 病 橋 本 病 ) 患 者 NOSPECS 分 類 Class 0 経 過 観 察 Occult thyroid eye disease 専 門 医 療 機 関 甲 状 腺 眼 症 全 患 者 NOSPECS 分 類 Class I~VI Euthyroidにすること ( 低 下 症 を 避 ける) 禁 煙 を 勧 める 専 門 の 医 療 機 関 へ 紹 介 する 眼 科 診 察 CAS QOL 軽 症 中 等 症 ~ 重 症 最 重 症 ( 視 神 経 症 ) MRI MRI MRI 経 過 観 察 局 所 療 法 悪 化 進 展 活 動 性 あり 非 活 動 性 静 脈 内 グルココルチコイド 投 与 頻 回 の 視 力 測 定 フリッカー 値 測 定 上 眼 瞼 の 炎 症 外 眼 筋 球 後 の 炎 症 改 善 がみられない 場 合 (2 週 間 ) 不 変 非 活 動 性 トリアムシノロン ボツリヌス 毒 素 局 所 投 与 静 脈 内 グルココルチコイド 投 与 (± 放 射 線 ) 難 治 例 機 能 回 復 手 術 ( 必 要 に 応 じて) 免 疫 抑 制 剤 眼 窩 減 圧 術 不 変 非 活 動 性 機 能 回 復 手 術 ( 必 要 に 応 じて) 直 ちに 眼 窩 減 圧 術 まだ 活 動 性 あり 不 変 非 活 動 性 静 脈 内 グルコ コルチコイド 投 与 機 能 回 復 (± 放 射 線 ) 手 術 A. 全 例 禁 煙 を 勧 める B. 眼 症 患 者 における 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 の 治 療 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 の 改 善 手 段 として 抗 甲 状 腺 剤 による 治 療 131 I 内 用 療 法 手 術 療 法 があるが どの 治 療 法 が 最 も 優 れているか 日 本 人 でも 131 I 内 用 療 法 後 に 眼 症 の 悪 化 がみられるのか その 場 合 ステロイド 薬 の 予 防 投 与 は 必 要 かなどに 関 して 日 本 人 での エビデンスは 確 立 していない 現 時 点 では 活 動 性 の 眼 症 患 者 には 131 I 内 用 療 法 は 選 択 しない やむを 得 ず 選 択 する 場 合 は 予 防 的 にステロイド 薬 の 内 服 を 行 う 活 動 性 がなければ 131 I 内 用 療 法 を 選 択 し てもよい しかしハイリスク 患 者 ( 甲 状 腺 ホルモン 高 値 抗 TSH 受 容 体 抗 体 高 値 喫 煙 者 )にはステロイド 薬 の 予 防 投 与 を 考 慮 する いずれの 治 療 法 を 選 択 しても 機 能 低 下 症 を 避 ける

C. 眼 症 の 治 療 方 針 1) 最 重 症 例 の 治 療 至 急 ステロイド パルス 療 法 を 開 始 する 頻 回 の 眼 科 診 察 ( 視 力 測 定 やフリッカー 値 などの 測 定 )を 行 い 2 週 間 で 改 善 が 認 められない 場 合 は 眼 窩 減 圧 術 を 考 慮 する 視 神 経 症 の 回 復 に 伴 い 複 視 が 出 現 してくるが 活 動 性 があればパルス 療 法 と 放 射 線 外 照 射 の 併 用 を 行 う 残 存 する 機 能 障 害 に 対 しては 非 活 動 期 に 眼 科 機 能 回 復 手 術 を 行 う 2) 中 等 症 ~ 重 症 例 活 動 期 の 治 療 中 等 症 ~ 重 症 例 は 活 動 性 があれば 免 疫 抑 制 療 法 や 放 射 線 照 射 療 法 非 活 動 性 であ れば 眼 科 的 な 機 能 回 復 手 術 の 適 応 となる 活 動 性 がある 場 合 推 奨 される 治 療 は 1パルス 療 法 と 放 射 線 外 照 射 の 併 用 療 法 ( 有 効 率 が 併 用 療 法 の 方 が それぞれの 単 独 療 法 より 高 い) 2パルス 療 法 単 独 ( 外 照 射 治 療 が 行 えない 場 合 : 年 齢 施 設 の 問 題 ) 3 放 射 線 外 照 射 単 独 (パルス 療 法 が 行 え ない 場 合 : 既 往 歴 の 問 題 全 身 状 態 の 問 題 )の 順 番 である 外 照 射 単 独 療 法 のみでも 治 療 効 果 は 認 められるが 治 療 中 の 一 過 性 の 症 状 悪 化 も 考 えられるため 可 能 であれ ばステロイドの 内 服 の 併 用 が 推 奨 される 再 発 例 や 難 治 例 には パルス 療 法 と 放 射 線 外 照 射 の 併 用 療 法 に 加 えて その 他 の 免 疫 抑 制 剤 や 眼 窩 減 圧 術 の 適 応 を 検 討 する 活 動 期 眼 症 の 活 動 性 重 症 度 と 治 療 法 の 選 択 免 疫 抑 制 療 法 活 動 性 重 症 度 重 症 度 Outcome 治 療 効 果 (+) Outcome 治 療 効 果 (-)

1.パルス 療 法 わが 国 では 古 典 的 なパルス 療 法 (メチルプレドニゾロン1g/ 日 3 日 間 連 続 投 与 を1 クールとして 通 常 3 クール)を 行 っている 施 設 が 多 い 入 院 施 行 が 原 則 適 応 : 最 重 症 例 ( 視 神 経 症 )と 活 動 性 の 中 等 症 ~ 重 症 の 眼 症 患 者 方 法 : 古 典 的 なパルス 療 法 (1:メチルプレドニゾロン1g/ 日 3 日 間 連 続 投 与 を1クール として 通 常 3 クール)とメチルプレドニゾロンの 総 量 を8g 未 満 とする 方 法 (234)が ある 有 効 率 :77% 副 作 用 : 消 化 性 潰 瘍 糖 尿 病 ( 耐 糖 能 異 常 ) 感 染 症 ( 結 核 ) 骨 粗 鬆 症 の 悪 化 劇 症 肝 炎 心 停 止 精 神 症 状 などの 重 篤 な 副 作 用 をきたすことがあるので 治 療 前 に 十 分 に 説 明 し 同 意 書 を 得 ておくとともに 治 療 中 治 療 後 も 観 察 を 行 う 治 療 前 検 査 : 血 液 像 肝 機 能 腎 機 能 脂 質 血 糖 HbA1c 75gOGTT 感 染 症 免 疫 検 査 (ツ 反 HBs 抗 原 HBs 抗 体 HBc 抗 体 HCV 抗 体 麻 疹 HZV HSV 風 疹 抗 体 な ど) 胸 部 X 線 心 電 図 骨 密 度 胃 内 視 鏡 検 査 などを 行 う パルス 療 法 1 ( 古 典 的 )パルス 療 法 1g/ 日 3 日 間 3クール 入 院 施 行 2 1w ミニパルス 療 法 0.5g/ 日 3 日 間 3クール 入 院 施 行 1w 3 Marcocciらの 方 法 15mg/kg 7.5mg/kg 2w 4 Kahalyらの 方 法 外 来 アメニティーで 施 行 0.5 g x 6 週 間 0.25 g x 6 週 間 1w 肝 不 全 について 古 典 的 なパルス 療 法 では 0.8 %に 肝 不 全 0.3%に 死 亡 例 がみられたことから EUGOGO では 総 量 8g 未 満 の 投 与 を 推 奨 している 肝 障 害 の 原 因 としてはウイルス 性 肝 炎 自 己 免 疫 性 肝 炎 の 誘 発 ステロイド 薬 の 直 接 作 用 などが 考 えられているが 原 因 や 誘 因 が 明 らかでない 場 合 もある 本 委 員 会 での 検 討 では 経 静 脈 的 ステロイド 薬 の 大 量 投 与 を 施 行 した 眼 症 患 者 480 例 中 19 例 (4%)に AST または ALT>100 の 肝 障 害 がみられたが 重 篤 な 肝 障 害 や 肝 障 害 による 死 亡 例 はみられなかった 母 数 が 少 なく 安 全 性 が 確 認 できたとはいいがたいの で 委 員 会 では 引 き 続 きメチルプレドニゾロンの 総 投 与 量 については 検 討 を 行 っている 現 時 点 では EUGOGO の 推 奨 する 8g 未 満 がよいと 考 えられる 最 重 症 例 や 難 治 例 で 総 投 与 量 が 8gを 越 える 場 合 は 肝 不 全 に 注 意 が 必 要 である 予 め HBs 抗 原 HBc 抗 体 HBs 抗 体 をチェックする いずれかが 陽 性 であれば HBV-DNA 定 量 を 行 う HBV キャリアーや HBV 感 染 既 往 者 では HBV の 再 活 性 化 をきた し 重 症 肝 炎 を 発 症 するリスクが 高 いので 核 酸 アナログ 薬 の 予 防 投 与 について 肝 臓 専

門 医 にコンサルトする パルス 療 法 終 了 後 に 発 症 することもあるのでパルス 療 法 終 了 後 6 ヶ 月 間 は 肝 機 能 の 検 査 を 行 う 8g 未 満 でも HBV の 再 活 性 化 による 重 篤 な 肝 障 害 は 起 こり 得 るので 注 意 が 必 要 である 経 口 ステロイド 薬 による 後 療 法 : 有 効 例 にはプレドニゾロン 0.4~0.5mg/kg/ 日 で 開 始 され 3~6 ヶ 月 間 の 漸 減 投 与 が 多 い 2. 眼 窩 部 放 射 線 外 照 射 療 法 適 応 : 活 動 期 の 眼 症 35 歳 以 上 方 法 : 左 右 2 門 より 1 回 1.5~2.0 Gy 10 回 で 計 15~20 Gy 照 射 を 2 週 間 で 行 うのが 一 般 的 である 再 照 射 を 行 う 場 合 は 合 計 で 30 Gy とする 累 積 線 量 が 10 Gy でも 有 効 であり 忍 容 性 が 高 いとの 報 告 もある 有 効 率 : 単 独 療 法 の 有 効 率 は 59%(RCT では 44%)で 効 果 の 発 現 は 緩 徐 である 眼 瞼 浮 腫 外 眼 筋 腫 大 視 神 経 症 に 対 して 効 果 が 期 待 できるが 眼 球 突 出 に 対 する 効 果 は 低 い 副 作 用 : 炎 症 の 増 悪 白 内 障 網 膜 症 の 進 行 局 所 の 脱 毛 などがある 頭 頸 部 腫 瘍 の 発 生 は 稀 である 治 療 前 に 十 分 に 説 明 し 文 書 で 同 意 を 得 る 禁 忌 : 網 膜 症 ( 糖 尿 病 網 膜 症 や 重 症 高 血 圧 の 患 者 には 行 わない ) 3.パルス 療 法 と 放 射 線 外 照 射 療 法 の 併 用 パルス 療 法 と 放 射 線 外 照 射 療 法 の 併 用 は 有 効 率 88%とそれぞれの 単 独 療 法 より 高 いの で 放 射 線 外 照 射 が 可 能 な 施 設 では 併 用 療 法 が 推 奨 される パルス 療 法 単 独 で 行 った 場 合 でも パルス 療 法 後 の 活 動 性 が 高 い 場 合 は 放 射 線 外 照 射 が 追 加 されることも 多 い 4. 炎 症 が 再 燃 再 発 した 場 合 の 対 処 法 : プレドニゾロン 漸 減 療 法 中 の 再 燃 が 多 いが プレドニゾロンの 増 量 ミニパルス 療 法 の 追 加 週 1 回 パルス 療 法 の 追 加 などを 考 慮 する 難 治 例 にはその 他 の 免 疫 抑 制 剤 や 眼 窩 減 圧 術 の 適 応 を 検 討 する 副 作 用 の 出 現 に 注 意 が 必 要 である

3) 中 等 症 ~ 重 症 例 非 活 動 期 の 治 療 視 機 能 の 回 復 と 整 容 性 を 目 的 に 手 術 療 法 が 行 われている 眼 窩 減 圧 術 外 眼 筋 手 術 眼 瞼 手 術 など どの 治 療 法 を 選 択 するかは 個 々の 症 例 で 検 討 すべきである 4) 軽 症 例 の 治 療 EUGOGOは 経 過 観 察 を 推 奨 しているが MRIの 普 及 している 日 本 においてはMRI による 眼 症 の 評 価 を 行 い 眼 症 の 病 態 を 把 握 する そして 病 態 に 応 じた 治 療 法 を 選 択 する トリアムシノロンアセトニドの 局 所 注 射 やボツリヌス A 毒 素 の 局 所 注 射 やビマトプロス ト 点 眼 ヒアルロン 酸 点 眼 などの 局 所 治 療 などを 考 慮 する 5) 新 しい 治 療 法 の 導 入 欧 米 では 重 症 例 に 対 するソマトスタチン 誘 導 体 や Rituximab(リツキサン)などの 分 子 標 的 薬 や 軽 症 例 に 対 するセレニウムなどの 治 療 薬 の 有 用 性 が 報 告 されている わが 国 でもこれらの 新 しい 薬 の 導 入 への 取 り 組 みや 開 発 が 望 まれる 治 療 効 果 判 定 基 準 の 標 準 化 主 観 的 指 標 GO-QOL 視 機 能 社 会 心 理 面 客 観 的 指 標 CAS 2 ポイント O 眼 瞼 ( 眼 裂 開 大 ) 2mm S 軟 部 組 織 眼 瞼 腫 脹 発 赤 結 膜 浮 腫 充 血 の 1 グレード 以 上 P 眼 球 突 出 2mm E 複 視 1 グレード 以 上 眼 球 運 動 少 なくとも 1 方 向 で8 以 上 S 視 力 視 力 視 野 眼 底 検 査 などで 明 らかな 改 善 MRI 眼 瞼 上 下 眼 瞼 の 腫 脹 脂 肪 沈 着 後 眼 窩 脂 肪 組 織 後 眼 窩 の 容 積 眼 球 突 出 度 外 眼 筋 腫 大 度 T2 緩 和 時 間 STIR 脂 肪 抑 制 T2 強 調 画 像 : 信 号 強 度 比 と 均 一 性 涙 腺 腫 大 度 * 施 設 により 撮 像 条 件 を 設 定 する

多 施 設 共 同 研 究 によるエビデンスの 蓄 積 と 新 しい 治 療 法 の 確 立 今 回 作 製 した 眼 症 の 診 断 基 準 と 治 療 指 針 を 眼 症 の 専 門 医 療 機 関 だけでなく 一 般 臨 床 医 内 分 泌 専 門 医 眼 科 専 門 医 にも 広 く 使 用 していただき 日 本 人 における 眼 症 の 特 徴 診 断 治 療 上 の 問 題 点 の 解 決 に 向 けて 今 後 多 施 設 共 同 研 究 を 推 進 し 日 本 人 でのエビデンスの 集 積 を 図 る 必 要 がある 以 上 委 員 会 で 検 討 を 重 ねてきました バセドウ 病 悪 性 眼 球 突 出 症 の 診 断 基 準 と 治 療 指 針 を 紹 介 いたしました 眼 症 の 診 断 と 治 療 に 関 しましては まだまだ 未 解 決 の 問 題 が 多 く 引 き 続 き 検 討 してゆく 所 存 です 会 員 の 皆 様 の 忌 憚 のないご 意 見 を 賜 れば 幸 いです バセドウ 病 悪 性 眼 球 突 出 症 の 診 断 基 準 と 治 療 指 針 の 作 成 委 員 会 < 事 務 局 > 久 留 米 大 学 医 学 部 内 科 学 講 座 内 分 泌 代 謝 内 科 部 門 廣 松 雄 治 0942-31-7563 Fax 0942-35-8943 E-mail: yuji@med.kurume-u.ac.jp