関 西 が 考 えるスマートグリッドについて A Smart Grid concept of the Kansai Electric Power 関 西 株 式 会 社 The Kansai Electric Power Co., INC. 月 山 將 Susumu TSUKIYAMA キーワード:スマートグリッド(Smart Grid) 太 陽 光 発 (solar power system) (surplus electricity) 周 波 数 調 整 (frequency control capability) 配 系 統 圧 上 昇 (distribution system voltage swell) 新 計 量 システム(AMR, AMI) 1. はじめに スマートグリッド は 非 常 に 幅 広 い 技 術 を 含 んだ 概 念 であり 共 通 の 定 義 があるわけではな い 実 際 各 国 は 系 統 にそれぞれ 独 自 の 課 題 を 抱 えており その 課 題 に 対 応 するものをスマー トグリッドと 位 置 付 けているため 各 国 が 目 指 すスマートグリッド 像 は 異 なっている 状 況 である よって まず 日 本 を 含 めた 各 国 がスマートグリッドに 取 り 組 む 事 情 を 説 明 し その 後 に 関 西 のスマートグリッドへの 取 組 状 況 について 紹 介 する 2. 各 国 のスマートグリッド 事 情 (1) 米 国 米 国 では 送 配 設 備 の 老 朽 化 が 進 展 し 設 備 更 新 や 高 度 化 が 遅 れた 結 果 停 が 多 く また ピ ーク 需 要 の 伸 びが 旺 盛 で 将 来 の 供 給 不 足 が 懸 念 されている 状 況 にある こうした 課 題 に IT を 活 用 した 系 統 の 監 視 制 御 の 自 動 化 や 需 要 の 抑 制 などの スマート 化 で 対 応 し 大 規 模 な 系 統 の 設 備 投 資 を 抑 制 しようというのが 米 国 のスマートグリッドの 狙 いと 考 えられている 併 せて 政 府 はグリーンニューディール 政 策 として 資 金 供 与 を 実 施 し 景 気 対 策 雇 用 対 策 も 視 野 に 入 れて いる (2) 欧 州 欧 州 では 各 国 の 系 統 が 複 雑 に 接 続 され 系 統 がメッシュ 化 している 一 般 的 にメッシ ュ 系 統 では 各 国 間 の 気 の 流 れを 調 整 することが 困 難 であるが これに 加 えて 近 年 出 変 動 が 大 きく 予 測 が 困 難 な 風 発 等 の 分 散 型 源 が 急 速 に 増 加 し 気 の 流 れの 調 整 は 更 に 困 難 になって おり 送 線 の 混 雑 も 頻 繁 に 発 生 している このような 状 況 の 下 2006 年 には 風 発 が 原 因 とな る 欧 州 全 域 にわたる 大 停 が 発 生 している これらを 契 機 に 分 散 型 源 の 調 整 等 を 行 う 技 術 とし てスマートグリッドが 期 待 されている (3) 日 本 日 本 では 欧 米 でのスマートグリッドの 議 論 に 触 発 される 形 で 導 入 が 議 論 され 始 めたが 日 本 の 供 給 信 頼 度 は 世 界 最 高 水 準 で 既 に IT を 活 用 した 系 統 の 監 視 制 御 の 自 動 化 は 整 備 が 完 了 しており また 省 エネの 進 展 や 少 子 高 齢 化 などの 影 響 で 需 要 のピークが 伸 びず 発 設 備 の 増 設 ニーズも 少 ないため 需 要 のピークを 抑 制 する 効 果 は 低 い 状 況 にあるなど 欧 米 とは 事 情 が 大 きく 異 なっている 一 方 で 日 本 は 国 の 政 策 として 太 陽 光 発 の 導 入 量 を 2020 年 まで に 現 状 の 20 倍 (2800 万 kw)にするという 大 きな 目 標 を 掲 げており 今 後 大 量 導 入 が 予 想 され る 太 陽 光 発 を 主 とした 再 生 可 能 エネルギーへの 対 応 が 大 きな 課 題 となっている このため 日 本 におけるスマートグリッドは 従 来 からの 集 中 型 源 と 送 系 統 との 一 体 運 用 に 加 え 情 報 通 信 技
術 の 活 用 により 太 陽 光 発 等 の 分 散 型 源 や 需 要 家 の 情 報 を 統 合 活 用 して 高 効 率 高 品 質 高 信 頼 度 の 供 給 システムの 実 現 を 目 指 すもの と 国 の 研 究 会 で 整 理 されている( 低 炭 素 供 給 システムに 関 する 研 究 会 報 告 書 ;H21 年 7 月 ) 尚 図 1 は 次 世 代 エネルギーシステムに 関 わる 国 際 標 準 化 に 関 する 研 究 会 において 示 された スマートグリッドの 概 念 図 である 図 1 スマートグリッド 概 念 図 ( 出 展 : 次 世 代 エネルギーシステムに 係 る 国 際 標 準 化 に 関 する 研 究 会 報 告 書 H22 年 1 月 ) 3. 日 本 型 スマートグリッド~ 太 陽 光 発 大 量 導 入 へ 課 題 と 対 応 ~ 系 統 から 見 た 太 陽 光 発 は 大 量 に 導 入 された 場 合 大 きく 分 類 して の 発 生 周 波 数 調 整 の 不 足 配 系 統 における 圧 上 昇 という 課 題 がある( 図 2) 原 因 課 題 日 射 の 分 だけ 発 大 量 に 導 入 される と 系 統 全 体 で が 発 生 出 変 動 出 (%) 日 高 エネルギーパーク 100 80 60 40 晴 晴 時 々 曇 雨 天 候 任 せで 出 変 動 大 き い 周 波 数 調 整 の 不 足 20 逆 潮 流 0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 刻 太 陽 光 パネル : 逆 潮 流 量 末 端 から 系 統 側 へ 逆 流 配 系 統 逆 流 の 圧 上 昇 発 量 図 2 太 陽 光 発 大 量 導 入 時 の 課 題 (1) の 発 生 と 対 策
太 陽 光 発 が 大 量 に 導 入 された 場 合 系 統 全 体 で が 発 生 するという 問 題 がある 具 体 的 には 需 要 の 少 ない 時 期 (GW や 土 日 )に ベース 供 給 ( 原 子 水 火 最 低 出 ) 等 と 太 陽 光 による 発 量 の 合 計 が 需 要 を 上 回 り 余 った 気 を 揚 水 発 所 に 貯 蔵 するが 昼 間 の 余 剰 が 数 日 間 続 くと 揚 水 発 所 に 蓄 えられる 容 量 ( 上 部 調 整 池 の 貯 水 容 量 )を 超 えてしまう 現 状 揚 水 発 所 は 平 日 の 昼 間 に 水 を 降 ろし て 発 し 平 日 と 休 日 の 夜 間 にポンプを 運 転 して 水 を 揚 げる ことで 週 間 運 用 を 実 施 している しかし 将 来 太 陽 光 発 が 大 量 に 導 入 さ れた 場 合 現 状 のように 平 日 昼 間 に 発 することが 困 難 となることはもちろん 平 日 昼 間 に 揚 水 を 行 う 必 要 が 生 じる 可 能 性 すらある そうなると 発 は 平 日 の 日 没 後 の 短 時 間 しか 出 来 なくなるた め 結 果 として 揚 水 発 所 の 上 部 貯 水 池 が 溢 れてしまう つまり この 問 題 は 数 日 単 位 で が 累 積 される 結 果 の 貯 蔵 能 が 一 杯 になることであり 一 日 のうちで 夜 間 の 需 要 を 昼 間 にシフトすることは 抜 本 的 対 策 にはならない なぜなら 夜 間 の 需 要 を 昼 間 にシフトすると 太 陽 光 の 発 量 の 多 い 昼 間 の 揚 水 動 量 は 確 かに 小 さくなるが その 分 夜 間 の 揚 水 動 量 は 逆 に 大 きくなるから 結 果 として 上 部 貯 水 池 が 溢 れてしまうことには 変 わりないためである このように 既 存 の 貯 水 容 量 にも 限 界 があり また 新 たな 揚 水 発 所 建 設 は 簡 単 ではないこと から 蓄 池 に を 貯 蔵 する 案 が 検 討 されている しかし 蓄 池 だけで 全 ての に 対 応 するには 莫 大 な 蓄 池 費 用 が 必 要 との 国 の 試 算 が 出 されていることから が 発 生 すると 考 えられる GW 等 の 特 異 日 や 土 日 の 限 られた 期 間 だけ 太 陽 光 発 の 出 自 体 を 抑 制 する 案 が 検 討 さ れており 出 抑 制 を 行 うことで 蓄 池 対 策 が 大 幅 に 低 減 できるという 試 算 も 出 されている (2) 周 波 数 調 整 の 不 足 と 対 策 太 陽 光 発 は 出 が 天 候 等 により 大 きく 変 動 するため 系 統 全 体 での 周 波 数 調 整 能 が 不 足 する おそれがある 太 陽 光 発 の 出 変 動 は 調 整 のある 源 ( 火 発 等 )の 出 増 減 で 調 整 をする ことになるが 太 陽 光 が 大 量 に 導 入 されると 変 動 分 が 拡 大 するからである このため 太 陽 光 発 の 大 量 導 入 に 対 応 し 瞬 時 瞬 時 の 需 給 調 整 を 確 保 するための 新 たなシステムを 検 討 する 必 要 が ある まず 技 術 開 発 のベースとなる 太 陽 光 出 データの 蓄 積 分 析 を 実 施 し それに 基 づき 太 陽 光 の 出 予 測 システムや 高 性 能 蓄 池 システムを 研 究 開 発 し それらを 系 統 全 体 の 需 給 コント ロールシステムに 織 り 込 んでいくことが 今 後 の 課 題 である 現 在 国 の 補 助 事 業 において 全 国 大 で 太 陽 光 発 の 出 変 動 の 実 態 を 把 握 する 目 的 で 全 国 320 箇 所 に 日 射 量 計 気 温 計 を 設 置 し デ ータの 蓄 積 分 析 を 開 始 している(このうち 111 箇 所 は 実 際 の 太 陽 光 発 の 出 データも 計 測 ) (3) 配 系 統 における 圧 上 昇 と 対 策 太 陽 光 発 の 発 量 が 家 庭 における 量 を 上 回 ると 系 統 側 に が 逆 流 し 配 線 の 圧 上 昇 の 原 因 となる このため 逆 潮 流 により 連 系 点 の 圧 が 適 正 値 (101±6V)を 逸 脱 しそうな 場 合 には 当 該 配 線 に 連 系 する 他 の 需 要 家 の 圧 を 適 正 に 維 持 するよう 発 装 置 に 備 わった 圧 調 整 機 能 により 自 動 的 に 発 が 抑 制 される 今 後 太 陽 光 発 の 増 加 に 伴 いこうした 圧 上 昇 の 発 生 が 増 えると 発 抑 制 の 頻 度 も 増 えると 考 えられ 太 陽 光 発 の 普 及 に 影 響 が 出 る 可 能 性 があ る 対 策 として 配 系 統 の 負 荷 監 視 や 圧 制 御 方 式 を 高 度 化 する 取 組 み( 配 自 動 化 システムの 高 度 化 )を 実 施 していく 4. 関 西 のスマートグリッドへの 取 組 (1) 関 西 のスマートグリッド( 定 義 ) 関 西 では 米 国 のスマートグリッドの 目 的 と 考 えられる ( 供 給 対 応 等 のため 本 来 必 要 な) 設 備 投 資 の 抑 制 低 炭 素 化 お 客 さま 利 便 性 向 上 のうち 最 初 の 項 目 は 我 が 国 に 当 てはまらな いのではないかと 考 えた 結 果 スマートグリッドの 目 的 を 低 炭 素 化 お 客 さま 利 便 性 向 上 に 絞 ることとした これを 踏 まえ 関 西 では 基 盤 となる 系 統 の 安 定 性 を 失 うことなく 低 炭
素 社 会 の 実 現 およびお 客 さま 利 便 性 向 上 を 目 的 に IT 蓄 池 などの 新 技 術 を 用 いて 高 効 率 高 品 質 高 信 頼 度 の 供 給 システムの 実 現 を 目 指 すもの をスマートグリッドと 位 置 づけ 積 極 的 に 検 討 を 進 めていくこととし 関 西 グループ 長 期 成 長 戦 略 2030(H22.3.26 発 表 )にて 発 表 し た (2) 関 西 の 取 組 状 況 関 西 は 図 3 に 示 すように 国 の 実 証 事 業 への 参 画 や 独 自 の 取 組 により スマートグリッド について 積 極 的 に 取 り 組 んでいる 以 下 当 社 の 主 な 取 組 について 概 要 を 紹 介 する 凡 例 当 社 取 組 実 証 事 業 見 える 化 気 ご 使 用 量 の お 知 らせ 照 会 サービス H21 年 7 月 より 試 行 開 始 H22 年 5 月 末 に 約 1 万 軒 10 負 荷 平 準 化 機 器 導 入 効 果 実 証 事 業 (スマートメーター 大 規 模 実 証 ) 東 京 関 西 (H21~23 年 度 ) 総 事 業 費 9 億 円 ( 補 助 金 :9/10) 宅 内 に 市 販 の 双 方 向 通 信 機 器 と 子 式 量 計 を 設 置 実 証 事 業 用 の 料 金 プログラムにより 省 エネルギー 負 荷 平 準 化 効 果 を 検 証 ( 東 京 関 西 合 計 で 900 軒 程 度 ) 1 新 計 量 システムの 試 験 導 入 H22 年 5 月 末 に 約 40 万 台 試 験 導 入 済 9 太 陽 光 発 の 実 線 路 測 定 による 配 系 統 への 影 響 評 価 8 H21 年 度 ~ 太 陽 光 発 が 局 所 的 に 集 中 設 置 された 配 線 での 測 定 ( 有 効 無 効 圧 日 射 量 ) 測 定 データを 分 析 することで 配 線 圧 への 影 響 を 評 価 対 策 を 検 討 配 線 における 圧 制 御 の 高 度 化 配 自 動 化 システムの 高 度 化 圧 状 態 を 監 視 するセンサーを 設 置 し 配 線 全 体 の 圧 情 報 等 を 把 握 するとともに 圧 調 器 整 を 設 置 することで 圧 を 適 正 な 状 態 に 制 御 7 蓄 池 を 用 いた 需 給 制 御 システムの 6 研 究 ( 石 津 川 変 所 ) H22~25 年 度 太 陽 光 大 量 導 入 に 対 応 した 需 給 制 御 システム 系 統 用 蓄 池 の 適 正 評 価 図 3 堺 第 7-3 区 太 陽 光 発 所 H23.10 竣 工 10MW 5 分 散 型 新 エネルギー 大 量 導 入 促 進 系 統 安 定 対 策 事 業 ( 太 陽 光 大 量 導 入 影 響 評 価 のための データ 測 定 出 予 測 ) 全 (H21~23 年 度 ) 4 総 事 業 費 18 億 円 ( 補 助 金 :1/2) 日 射 量 計 気 温 計 の 設 置 ( 全 国 320 箇 所 当 社 管 内 60 箇 所 ) 計 測 データを 活 用 した 太 陽 光 出 予 測 手 法 関 西 のスマートグリッドに 関 する 取 組 次 世 代 エネルギー 社 会 システム 実 証 事 業 京 都 府 が 当 選 実 証 事 業 期 間 =H22~26 年 度 けいはんな 地 域 での 実 証 2 次 世 代 送 配 系 統 最 適 制 御 技 術 実 証 事 業 (スマートグリッド 実 証 ) 3 9 (H22~24 年 度 ) 総 事 業 費 21 億 円 ( 補 助 金 :1/2) 太 陽 光 大 量 導 入 時 の 系 統 側 需 要 側 の 対 策 技 術 開 発 系 統 側 : 配 圧 変 動 抑 制 のための 制 御 技 術 機 器 開 発 (シミュレータ 検 証 赤 城 試 験 センターでの 機 器 の 実 証 等 ) 需 要 側 : 需 要 機 器 制 御 方 式 (PV 抑 制 家 EV HPの 制 御 等 ) 中 研 赤 城 試 験 センター( 群 馬 県 前 橋 市 ) 関 西 グループ 長 期 成 長 戦 略 2030より 1 負 荷 平 準 化 機 器 導 入 効 果 実 証 事 業 ( 経 済 産 業 省 資 源 エネルギー 庁 ) スマートメーターの 導 入 効 果 の 一 つとして 一 般 的 にデマンドレスポンスやデマンドサイドマ ネジメントが 言 われているが 実 際 には その 効 果 や 精 度 の 確 実 性 など 未 知 の 部 分 が 多 い この ため 一 般 家 庭 を 対 象 に 東 京 と 共 同 で 900 台 のスマートメーターを 設 置 設 置 対 象 家 庭 を 複 数 のグループに 分 け 料 金 プログラムや 機 器 制 御 技 術 を 活 用 した 需 要 側 管 理 (デマンドサイドマ ネジメント)による 省 エネ 負 荷 平 準 化 効 果 の 検 証 を 開 始 している (H21~H23 年 度 ) 2 次 世 代 エネルギー 社 会 システム 実 証 事 業 ( 経 済 産 業 省 商 務 情 報 局 ) この 実 証 事 業 は 低 炭 素 社 会 実 現 に 向 けて 再 生 可 能 エネルギーの 導 入 や それに 伴 う 系 統 安 定 化 対 策 を 進 めるとともに エネルギーに 加 え 地 域 の 交 通 システムや 都 市 計 画 者 行 動 な どを 複 合 的 に 組 み 合 わせた 実 証 事 業 (H22~26 年 度 )であり 全 国 21 地 域 の 公 募 の 中 から4 地 域 が 選 定 された そのうち 当 社 管 内 の 京 都 府 けいはんな の 実 証 事 業 において 当 社 は 家 庭 内 および 系 統 も 含 めたエネルギー 最 適 利 用 の 検 証 等 で 京 都 府 に 協 していく 予 定 である 3 次 世 代 送 配 系 統 最 適 制 御 技 術 実 証 事 業 ( 経 済 産 業 省 資 源 エネルギー 庁 ) 先 般 東 京 が 発 表 (H22.5.21)した 次 世 代 送 配 系 統 最 適 制 御 技 術 実 証 事 業 (H22~24 年 度 ) に 参 画 し 太 陽 光 発 の を 効 率 的 に 活 用 する 需 給 制 御 技 術 の 確 立 などに 取 組 んでい く 予 定 である
4 分 散 型 エネルギー 大 量 導 入 促 進 系 統 安 定 対 策 事 業 ( 経 済 産 業 省 資 源 エネルギー 庁 ) 前 述 のとおり 現 在 全 国 大 で 太 陽 光 発 の 出 変 動 の 実 態 を 把 握 する 目 的 で 全 国 320 箇 所 ( 当 社 管 内 では 合 計 60 箇 所 )に 日 射 量 計 気 温 計 を 設 置 し データの 蓄 積 分 析 を 開 始 している 今 後 は 太 陽 光 発 大 量 導 入 時 の 出 変 動 特 性 の 分 析 を 進 め 周 波 数 変 動 を 抑 制 するために 必 要 な 調 整 量 や 予 備 等 を 推 定 していく 予 定 である (H21~H23 年 度 ) 関 西 エリアに 合 計 60 箇 所 の 日 射 量 計 を 設 置 し 実 態 を 把 握 36 34 41 40 60 49 53 51 測 定 項 目 測 定 項 目 全 天 日 射 量 ( 水 平 面 ) 熱 型 日 射 計 (ISO9060first class) 測 定 周 期 1 秒 サンフ リンク 10 秒 平 均 値 32 21 39 54 37 48 43 42 50 52 気 温 時 刻 同 期 あり 33 31 35 27 20 37 2 6 7 38 22 4 18 1 29 5 45 3 12 17 30 46 13 14 8 10 11 44 26 15 23 24 47 16 25 9 ( 一 部 箇 所 ) 傾 斜 面 日 射 量 太 陽 光 発 出 ( 設 置 例 ) 能 開 発 センター 屋 上 19 56 55 58 57 59 図 4 関 西 管 内 での 日 射 量 データ 測 定 5 堺 第 7-3 区 太 陽 光 発 所 (メガソーラー) 大 阪 府 堺 市 の 臨 海 部 にて 10MW のメガ ソーラー 建 設 工 事 を H21 年 11 月 から 進 め ており H22 年 の 秋 に 部 分 運 開 (3MW) H23 年 秋 に 竣 工 する 予 定 となっている 今 後 メガソーラーの 建 設 面 や 運 用 面 での 課 題 の 検 証 や メガソーラーの 出 変 動 が 系 統 周 波 数 や 圧 に 与 える 影 響 や インバー ター 連 系 による 高 調 波 発 生 レベル 等 メガ ソーラーが 導 入 された 場 合 の 系 統 に 与 える 影 響 課 題 について 検 証 を 進 める 予 定 事 業 者 : 堺 市 および 関 西 が 共 同 実 施 普 及 啓 発 活 動 = 堺 市 建 設 運 営 = 関 西 設 置 場 所 : 大 阪 府 堺 市 西 区 築 港 新 町 4 丁 面 積 : 約 20ha 発 出 :10MW : 10MW(1.0 1.0 万 kwkw) 発 量 : 約 1,100 万 kwh/ 年 設 置 形 態 : 陸 上 設 置 運 開 予 定 : 一 部 運 開 平 成 22 年 11 月 予 定 全 部 運 開 平 成 23 年 10 月 予 定 である 図 5 堺 第 7-3 区 太 陽 光 発 所 ( 仮 称 ) 6 蓄 池 を 用 いた 需 給 制 御 システムの 研 究 ( 石 津 川 変 所 ) 太 陽 光 発 などの 新 エネルギーが 大 量 に 系 統 に 導 入 された 場 合 に 系 統 の 供 給 信 頼 度 を 確 保 するため 堺 第 7-3 区 太 陽 光 発 所 が 連 系 する 石 津 川 変 所 構 内 に 二 次 池 (ニッケル 水 素 池 100kWh)を 設 置 し 蓄 池 を 活 用 した 新 たな 需 給 制 御 システムの 研 究 を 行 う とともに 系 統 で 用 いる 蓄 池 の 適 正 評 価 および 寿 命 評 価 を H22 年 度 より 大 阪 湾 堺 第 7-3 区 太 陽 光 発 所 ( 仮 称 ) 大 阪 湾 開 始 する 予 定 である 図 6 蓄 池 を 用 いた 需 給 制 御 システムの 研 究 関 西 本 店 石 津 川 変 所 ニッケル 水 素 池 仕 様 スタック 数 定 格 圧 定 格 容 量 エネルギー 容 量 出 48 台 576V 177Ah 約 100kWh 250kW 石 津 川 変 所 での 蓄 池 連 系 イメージ 石 津 川 変 所 77kV 系 統 22kV 系 統 堺 第 7-3 区 太 陽 光 発 所 ( 仮 称 ) インバータを 連 系 した 需 給 制 御 システムとしての 出 変 圧 器 お 客 さま 6.6kV 系 統 お 客 さま 変 圧 器 制 御 装 置 インバータ ニッケル 水 素 池 ニッケル 水 素 池 スタック メガソーラの 出 変 動 等 に 合 わせて 蓄 池 に の 出 し 入 れを 指 示
7 配 線 における 圧 制 御 の 高 度 化 大 規 模 な 太 陽 光 発 の 連 系 申 し 込 み 等 に 対 し 配 線 への 影 響 度 を 事 前 評 価 するツールを 開 発 現 場 に 試 験 的 に 配 備 している 太 陽 光 発 の 連 系 箇 所 ごとに お 客 さまの 気 ご 使 用 パターンや 太 陽 光 発 の 出 パターンを 入 し 系 統 側 の 線 路 データから 配 線 上 の 圧 を 算 定 し 圧 の 上 昇 で 太 陽 光 発 の 抑 制 がかからないかなどをシミュレーションによりチェックすることが 出 来 る 現 在 試 験 運 用 中 であり 今 後 使 いやすさなど 更 なる 改 良 を 図 る 予 定 である また 当 社 は 既 に 導 入 している 配 自 動 化 システムの 高 度 化 も 検 討 している 配 自 動 化 シ ステムは 事 故 停 の 減 少 作 業 停 の 減 少 系 統 監 視 制 御 の 高 度 化 を 目 的 とし 営 業 所 から 通 信 網 を 介 して 配 系 統 の 監 視 制 御 切 替 えを 行 うシステムであるが 将 来 の 太 陽 光 発 の 大 量 導 入 を 想 定 した 設 計 とはなっていないため 今 後 圧 を 主 とした 品 質 の 監 視 制 御 に 関 する 機 能 の 強 化 を 検 討 する 予 定 である 具 体 的 には 太 陽 光 発 の データ(30 分 値 )と 気 象 デ ータによる 太 陽 光 発 の 出 予 測 や センサ 開 閉 器 等 による 配 系 統 全 体 の 圧 分 布 の 推 定 圧 調 整 装 置 の 遠 隔 監 視 などに 取 り 組 む 予 定 である 8 太 陽 光 発 の 実 路 測 定 による 配 系 統 への 影 響 評 価 配 線 における 圧 上 昇 の 対 策 を 検 討 するためには さらに 細 かいレベルでのデータ 蓄 積 が 必 要 となるため 当 社 管 内 の 太 陽 光 発 が 局 所 的 に 集 中 設 置 されたエリア(200 軒 の 家 庭 )に 測 定 器 を 設 置 し 秒 単 位 のデータ 蓄 積 を 昨 年 の 春 から 実 施 している 図 7 は 晴 れ 時 々 曇 りの 天 候 下 において 戸 別 100 軒 のかたまりで 測 定 した 太 陽 光 発 データの 例 であり 縦 軸 が 発 出 横 軸 が 時 間 ( 分 )を 示 している どちらも 分 以 下 の 細 かい 時 間 レベルで 刻 々と 変 動 している 様 子 が 分 かる これらの 得 られたデータを 配 線 で 圧 への 影 響 評 価 および 対 策 の 検 討 に 活 用 する 予 定 である (kw) 戸 別 の 測 定 データ H21.5.3 晴 時 々 曇 (kw) 100 軒 かたまりの 測 定 データ 30 分 30 分 (kw) 0.5 拡 大 (kw) 20 0 拡 大 0.0-20 -0.5-1.0 激 しい 変 動 -40-60 -80 激 しい 変 動 30 秒 -1.5 10:10 10:12 10:14 10:16 10:18 10:20-100 30 秒 -120 10:10 10:12 10:14 10:16 10:18 10:20 図 7 太 陽 光 発 出 の 測 定 データ 例 (H21.5.3 晴 時 々 曇 ) 9 新 計 量 システムの 試 験 導 入 新 計 量 システムは お 客 さまのご 家 庭 に 設 置 している 量 計 に 通 信 機 能 を 持 たせ 面 的 に 整 備 された 光 ファイバーなどを 活 用 して 計 量 業 務 を 営 業 所 から 遠 隔 で 実 施 するシステムであり H11 年 頃 から 約 10 年 の 研 究 開 発 期 間 を 経 て H20 年 度 から 試 験 導 入 を 開 始 した H22 年 5 月 末 時 点 で 約 40 万 台 の 新 型 メーターが 導 入 済 となっている 新 型 メーターは 通 信 計 量 負 荷 開 閉 の 3 つのユニットを 差 し 込 む 構 造 となっており 通 信 メ ディアの 変 更 に 柔 軟 に 対 応 が 可 能 効 率 的 かつ 安 全 に 計 器 の 取 替 えが 可 能 負 荷 開 閉 機 能 の 有 無
の 選 択 が 可 能 などのメリットがある メーターの 30 分 ごとの 計 量 値 はメーター 同 士 の 無 線 のバケツリレーにより 柱 上 の 集 約 装 置 に 送 られ そこから 営 業 所 などまでは 光 ファイバー 網 で 送 られる 一 方 無 線 が 比 較 的 届 きにくい 大 規 模 集 合 住 宅 の 場 合 には PLC 方 式 により 全 戸 から 集 約 装 置 までの 通 信 を 可 能 としている 集 約 装 置 テ ータのハゲツリレー 遠 隔 検 針 ユニット 式 メータ [ 通 信 ユニット] 交 換 でメディア 変 更 可 能 [ 計 量 ユニット] 使 用 量 を 計 量 営 業 所 光 ファイハ 網 など [ 負 荷 開 閉 ユニット] 供 給 を 入 り 切 り ( 必 要 時 に 取 付 ) 図 8 新 計 量 システムの 概 要 10 見 える 化 気 ご 使 用 量 のお 知 らせ 照 会 サービス 新 計 量 システムを 活 用 したお 客 さまサービスの 向 上 の 例 では 昨 年 7 月 からインターネットに よる 気 ご 使 用 量 のお 知 らせ 照 会 サービス を 試 行 開 始 している 当 サービスにご 加 入 いただ き さらに 新 計 量 システムが 導 入 されているお 客 さまには 1 時 間 単 位 の 気 使 用 量 をグラフで 表 示 し 見 える 化 によるお 客 さま 省 エネ 活 動 のサポートをしている 5. まとめ ( 関 西 のスマートグリッドの 将 来 ) これまで 述 べてきた 関 西 のスマートグリッドの 取 組 をまとめると 図 9 のようになる 出 が 不 安 定 な 太 陽 光 発 等 の 新 エネルギーを 系 統 に 取 り 込 み 安 定 的 な 気 に 変 えて お 客 さま にお 届 けするための 需 給 調 整 の 確 保 向 上 配 系 統 の 高 度 化 を 進 めていく また エネルギ ーの 見 える 化 などのお 客 さまサービスを 提 供 する さらに 今 回 は 説 明 を 省 略 したが 高 度 成 長 時 代 に 大 量 に 施 設 した 設 備 も 高 経 年 化 が 進 んでいるため それらの 適 切 な 更 新 維 持 もスマートグ リッドの 前 提 となるべき 重 要 な 取 り 組 みと 位 置 づけている 今 後 低 炭 素 社 会 への 流 れの 加 速 など これまでの 延 長 線 では 対 応 できないような 大 きな 変 化 が 予 想 されるが そのような 社 会 において いかにして 3 つの E(Environment: 地 球 環 境 Energy security:エネルギー 安 定 供 給 Economy: 経 済 性 )を 同 時 に 達 成 していくかが 重 要 な 課 題 となる 関 西 は 低 炭 素 社 会 のメインプレイヤーとして その 実 現 に 貢 献 していくとともに 引 き 続 き 安 全 安 定 供 給 をしっかりと 支 えながら 各 実 証 事 業 への 参 画 をと 通 じて エネルギー 分 野 におけ る 3 つの E の 実 現 に 積 極 的 に 取 り 組 んでいきたいと 考 えている 関 西 グループ 長 期 成 長 戦 略 2030 図 9 低 炭 素 社 会 の 実 現 とお 客 さまの 利 便 性 向 上 を 目 的 とした 供 給 システム