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研 究 成 果 報 告 書 ( 研 究 要 旨 ) 研 究 課 題 名 主 任 研 究 者 名 内 分 泌 かく 乱 作 用 が 疑 われる 化 合 物 の 実 験 動 物 を 用 いた 低 用 量 影 響 評 価 法 の 開 発 ( 研 究 期 間 : 平 成 20 年 度 ~ 平 成 22 年 度 ) 所 属 :( 財 ) 残 留 農 薬 研 究 所 毒 性 部 氏 名 : 青 山 博 昭 ( 研 究 課 題 番 号 :0901) 様 々な 動 物 実 験 に 用 いられるげっ 歯 類 (ラット 等 )に 給 与 する 飼 料 には マメ 科 植 物 由 来 のタンパク 成 分 として ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)が 豊 富 に 含 まれている ポリフェノール 類 は 何 ら かの 機 序 でラット 等 の 生 殖 や 児 動 物 の 発 達 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 があるが その 詳 細 は 解 明 されていな い 本 研 究 では,ポリフェノール 類 を 含 まない 合 成 飼 料 (AIN-93G)を 自 家 調 製 してラットおよびマウス に 給 与 し,それらの 動 物 がポリフェノール 類 を 豊 富 に 含 む 通 常 飼 料 (MF)を 給 与 した 動 物 と 同 等 の 繁 殖 能 力 を 維 持 できるか 検 討 した また マウスの 実 験 においては, 種 々の 繁 殖 指 標 に 観 察 されたAIN-93G 飼 料 給 与 群 とMF 飼 料 給 与 群 との 差 がポリフェノール 類 含 有 の 有 無 によるものか 否 かを 検 討 するため, AIN-93G 飼 料 に300ppmの 濃 度 で 大 豆 イソフラボンを 添 加 した 飼 料 を 給 与 する 群 を 設 けて, 同 様 の 繁 殖 指 標 を 観 察 した 一 連 の 実 験 では ラットおよびマウスのいずれにおいてもAIN-93G 給 与 群 の 動 物 がほぼ 正 常 に 繁 殖 す ることが 観 察 され,これらの 動 物 を 用 いた 生 殖 発 生 毒 性 試 験 がポリフェノール 類 を 除 去 した 条 件 下 で 実 施 可 能 であることが 実 証 された 一 方,AIN-93G 飼 料 に 大 豆 イソフラボンを 添 加 した 群 の 動 物 に 観 察 された 雌 離 乳 児 の 子 宮 重 量 の 増 加 や 性 成 熟 の 早 期 化 あるいは 雄 離 乳 児 の 性 成 熟 の 遅 延 や 性 成 熟 後 の 精 嚢 および 前 立 腺 重 量 の 低 下 といった 変 化 は, 市 販 のMF 飼 料 を 給 与 した 群 の 動 物 に 観 察 された 変 化 とほぼ 完 全 に 一 致 した これらの 結 果 から,ポリフェノール 類 を 豊 富 に 含 む 通 常 の 市 販 飼 料 にはそれらに 起 因 す るエストロゲン 活 性 があり, 通 常 の 動 物 実 験 では,これまで 無 処 置 と 信 じられていた 対 照 群 の 動 物 にも, 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 がエストロゲン 受 容 体 を 介 して 動 物 の 表 現 型 が 変 化 する 程 度 に 影 響 を 及 ぼしていることが 強 く 示 唆 される 1

事 後 評 価 研 究 成 果 報 告 書 ( 本 体 ) 研 究 課 題 名 主 任 研 究 者 名 内 分 泌 かく 乱 作 用 が 疑 われる 化 合 物 の 実 験 動 物 を 用 いた 低 用 量 影 響 評 価 法 の 開 発 ( 研 究 期 間 : 平 成 20 年 度 ~ 平 成 22 年 度 ) 所 属 :( 財 ) 残 留 農 薬 研 究 所 毒 性 部 氏 名 : 青 山 博 昭 ( 研 究 課 題 番 号 :0901) Ⅰ 研 究 の 全 体 計 画 1 研 究 期 間 平 成 21 年 ~22 年 (2 年 間 ) 2 研 究 目 的 毒 性 試 験 を 含 む 様 々な 動 物 実 験 に 用 いられるラットやマウスなどのげっ 歯 類 の 実 験 動 物 は 雑 食 性 であり,それらの 動 物 に 給 与 する 基 礎 飼 料 には,マメ 科 植 物 (ダイズ,アルファルファなど) 由 来 のタンパク 成 分 として,エストロゲン 活 性 を 持 つポリフェノール 類 (いわゆる 植 物 エストロゲン) が 豊 富 に 含 まれる ポリフェノール 類 は, 単 なるタンパク 源 として 摂 取 した 動 物 に 利 用 されるだけ でなく, 生 理 活 性 物 質 として 何 らかの 機 序 でラットやマウスの 生 殖 や 児 動 物 の 発 達 に 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 があるものの,その 詳 細 は 未 だ 解 明 されていない ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 豊 富 に 含 む 飼 料 は, 主 としてエストロゲン 様 作 用 に 基 づく 内 分 泌 かく 乱 作 用 が 疑 われる 様 々な 化 合 物 の 毒 性 をラットやマウスを 用 いて 調 べる 実 験 におい ても, 対 照 群 を 含 むすべての 動 物 に 基 礎 飼 料 として 給 与 されている このため,これまで 無 処 置 と 考 えられてきた 対 照 群 の 動 物 にも, 給 与 した 飼 料 に 由 来 するポリフェノール 類 がエストロゲン 受 容 体 を 介 して 何 らかの 作 用 を 及 ぼしていた 可 能 性 は 否 定 できない したがって,このような 条 件 の 下 に 実 施 された 動 物 実 験 では, 調 べた 化 合 物 の 強 いエストロゲン 様 作 用 は 検 出 できたとしても, 弱 い エストロゲン 様 作 用 が 見 落 とされたり,これらの 化 合 物 の 低 用 量 影 響 を 調 べる 動 物 実 験 においては 逆 に 基 礎 飼 料 に 由 来 するポリフェノール 類 のエストロゲン 様 作 用 が 投 与 した 化 合 物 の 低 用 量 影 響 と 誤 認 されたりしたのではないかと 懸 念 される 我 々は, 少 なくともエストロゲン 様 作 用 に 基 づく 内 分 泌 かく 乱 作 用 が 疑 われる 化 合 物 の 低 用 量 影 響 を 調 べる 動 物 実 験 は, 飼 料 に 由 来 するポリフェノー ル 類 ( 植 物 エストロゲン)の 影 響 が 排 除 されたことを 保 証 した 上 で 実 施 されるべきであると 考 えて いる しかし, 先 に 述 べた 如 く,これらの 成 分 は 生 理 活 性 物 質 として 機 能 を 発 揮 する 可 能 性 がある ため,それらを 含 有 しない 飼 料 を 与 えた 動 物 には 何 らかの 生 殖 異 常 が 引 き 起 こされる 恐 れもあって, 現 状 では 迂 闊 に 基 礎 飼 料 からポリフェノール 類 を 除 去 するよう 推 奨 することも 困 難 である 本 研 究 では,タンパク 源 として 植 物 エストロゲンを 含 むマメ 科 植 物 の 代 わりにカゼインを 配 合 し た 実 験 動 物 用 飼 料 を 自 家 調 製 してラットおよびマウスに 給 与 し,それらの 動 物 が 植 物 エストロゲン を 豊 富 に 含 む 通 常 飼 料 を 給 与 した 動 物 と 同 等 の 繁 殖 能 力 を 維 持 できるか 否 かを, 複 数 世 代 にわたっ て 詳 細 に 検 討 する 本 研 究 でポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 有 しない 飼 料 を 給 与 して も 動 物 の 繁 殖 に 異 常 が 生 じないことが 確 認 されれば, 内 分 泌 かく 乱 作 用 が 疑 われる 化 合 物 の 低 用 量 影 響 を 厳 密 に 調 べる 動 物 試 験 法 として, 植 物 エストロゲンを 除 去 した 飼 料 を 用 いる 生 殖 試 験 法 を 提 案 することが 可 能 となる 一 方, 植 物 エストロゲンがラットやマウスなどの 実 験 動 物 の 生 殖 や 児 動 物 の 発 達 に 何 らかの 貢 献 をすることが 実 証 された 場 合 は, 可 能 な 限 りそれらの 詳 細 を 明 らかにして, 内 分 泌 かく 乱 作 用 が 疑 われる 化 合 物 の 低 用 量 影 響 に 関 する 議 論 の 基 礎 となるデータを 提 供 する 2

3 研 究 内 容 及 び 方 法 等 (1) 研 究 内 容 及 び 方 法 1) 研 究 項 目 名 1: 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がラットの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 1 個 別 課 題 名 ア: 親 世 代 の 動 物 の 成 長 と 繁 殖 能 力 に 関 する 指 標 の 解 析 ブリーダーから 購 入 した 若 齢 の 近 交 系 ラット(WKY/NCrj)に,ポリフェノール 類 ( 植 物 エ ストロゲン)を 含 まない 合 成 飼 料 または 通 常 の 飼 料 を 給 与 して 10 週 間 育 成 したに 後 に 交 配 し, F1 世 代 の 児 動 物 を 得 る 各 群 の 動 物 数 は, 雌 雄 それぞれ 24 匹 とする この 間 に, 動 物 の 体 重, 体 重 増 加 量 および 摂 餌 量 を 測 定 して, 親 動 物 の 成 長 を 観 察 する また, 交 尾 後 の 親 動 物 について 児 動 物 を 離 乳 するまで 観 察 を 継 続 し, 雌 雄 の 動 物 の 交 尾 率, 妊 娠 率, 出 産 率 および 妊 娠 期 間 を 算 出 すると 共 に, 出 産 児 の 数 を 数 える F1 哺 育 児 を 離 乳 した 後 の 親 動 物 について は, 剖 検 により 内 部 生 殖 器 官 ( 雄 については 精 巣, 精 巣 上 体, 精 嚢 および 前 立 腺 ; 雌 につい ては 卵 巣 および 子 宮 )を 検 査 し,それらの 器 官 を 含 む 主 要 な 臓 器 の 重 量 を 測 定 する また, 子 宮 を 観 察 して 着 床 数 を 調 べると 共 に, 雄 については 精 巣 上 体 尾 から 採 取 した 精 子 の 運 動 性, 形 態 および 数 を 評 価 する また, 必 要 があれば 精 巣 における 精 子 頭 部 数 も 評 価 する 2 個 別 課 題 名 イ:F1 世 代 の 動 物 の 生 後 発 達, 性 成 熟 および 成 長 後 の 繁 殖 能 力 に 関 する 指 標 の 解 析 出 生 した F1 世 代 の 児 動 物 について, 出 生 日 における 生 存 率 および 性 比 と, 哺 育 4 日,7 日, 14 日 および 21 日 ( 離 乳 日 )における 生 存 率 を 求 め, 体 重 を 測 定 する 離 乳 児 のうち, 原 則 として 各 腹 雌 雄 1 匹 ずつを 選 抜 し,F1 世 代 の 親 動 物 として 親 世 代 の 動 物 と 同 様 に 飼 育 し,F2 世 代 の 哺 育 児 を 得 る この 間, 親 世 代 の 動 物 と 同 様 の 項 目 を 観 察 すると 共 に, 性 成 熟 ( 雌 に おいては 膣 開 口 日 齢 と 開 口 時 体 重, 雄 においては 陰 茎 包 皮 分 離 完 了 日 齢 と 完 了 時 体 重 を 観 察 または 測 定 する)を 観 察 する F1 世 代 の 親 動 物 として 選 抜 されなかった 離 乳 児 については, 離 乳 後 に 剖 検 して 肉 眼 所 見 を 記 録 する さらに, 原 則 として 各 腹 雌 雄 1 匹 ずつについては, 脳, 胸 腺, 脾 臓 および 子 宮 ( 雌 のみ)の 重 量 を 測 定 する F2 世 代 の 児 動 物 については,F1 世 代 の 児 動 物 と 同 様 の 項 目 について, 性 成 熟 が 完 了 するまで 観 察 を 継 続 する 3 個 別 課 題 名 ウ: 生 殖 器 官 の 病 理 組 織 学 的 観 察 F2 世 代 の 児 動 物 ( 離 乳 児 )が 性 成 熟 を 完 了 した 時 点 で 動 物 実 験 を 終 了 する 親 動 物 と 児 動 物 について, 給 与 した 飼 料 により 重 量 が 異 なったり, 何 らかの 変 化 がみられたりした 生 殖 器 官 や 主 な 臓 器 について, 必 要 に 応 じて 病 理 組 織 学 的 に 検 査 する 2) 研 究 項 目 名 2: 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がマウスの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 追 加 解 析 と, 低 ポリフェノール 飼 料 の 有 用 性 の 検 討 1 個 別 課 題 名 エ: 親 世 代 の 動 物 の 成 長 と 繁 殖 能 力 に 関 する 指 標 の 解 析 名 古 屋 大 学 で 実 施 した 実 験 により,C3H/HeN マウスにポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲ ン)を 含 まない 合 成 飼 料 (AIN-93G)を 給 与 して 繁 殖 させると, 少 なくともコンベンショナル 環 境 ( 非 SPF 環 境 ) 下 では, 哺 育 児 の 過 半 数 が 生 後 4 日 以 内 に 死 亡 することが 示 唆 された このような 異 常 が 生 じた 原 因 として,(1)ポリフェノール 類 の 不 足,(2)AIN-93G 飼 料 と MF 飼 料 の 間 で 異 なるポリフェノール 類 以 外 の 成 分 の 影 響,(3)これらの 違 いと 非 SPF 環 境 との 相 互 作 用,などが 推 測 されたが, 現 在 のところ,その 原 因 は 明 らかでない そこで, 残 留 農 薬 研 究 所 においてもブリーダーから 近 交 系 マウス(C3H/HeN)を 購 入 し,AIN-93G または 通 常 の 飼 料 (MF)を 給 与 して 6 週 間 育 成 したに 後 に 交 配 して, 得 られる F1 世 代 の 児 動 物 の 哺 育 期 3

間 中 における 生 存 率 を SPF 環 境 下 で 確 認 する また,AIN-93G に 大 豆 イソフラボンを 300ppm の 濃 度 で 添 加 した 群 を 設 け, 大 豆 イソフラボンの 添 加 により 哺 育 児 の 生 存 率 が 改 善 するか 否 かを 調 べる さらに,AIN-93G のような 合 成 飼 料 とは 違 って 天 然 由 来 成 分 を 原 料 としながら, ポリフェノール 類 の 含 有 量 が 極 めて 低 くなるよう 調 製 された NIH-07PLD 飼 料 を 給 与 する 群 と, NIH-07PLD 飼 料 に 大 豆 イソフラボンを 300ppm の 濃 度 で 添 加 する 群 も 設 定 して,マウスの 繁 殖 障 害 と 飼 料 組 成 との 関 係 を 検 討 する 各 群 の 動 物 数 は, 雌 雄 それぞれ 15 匹 とする 実 験 では, 動 物 の 体 重, 体 重 増 加 量 および 摂 餌 量 を 測 定 して, 親 動 物 の 成 長 を 観 察 する また, 交 尾 後 の 親 動 物 について 児 動 物 を 離 乳 するまで 観 察 を 継 続 し, 雌 雄 の 動 物 の 交 尾 率, 妊 娠 率, 出 産 率 および 妊 娠 期 間 を 算 出 すると 共 に, 出 産 児 の 数 を 数 える F1 哺 育 児 を 離 乳 した 後 の 親 動 物 については, 剖 検 により 内 部 生 殖 器 官 ( 雄 については 精 巣, 精 巣 上 体, 精 嚢 および 前 立 腺 ; 雌 については 卵 巣 および 子 宮 )を 検 査 し,それらの 器 官 を 含 む 主 要 な 臓 器 の 重 量 を 測 定 する また, 子 宮 を 観 察 して 着 床 数 を 調 べると 共 に, 雄 については 精 巣 上 体 尾 から 採 取 した 精 子 の 運 動 性, 形 態 および 数 を 評 価 する また, 必 要 があれば 精 巣 における 精 子 頭 部 数 も 評 価 する 2 個 別 課 題 名 オ:F1 世 代 の 動 物 の 生 後 発 達 および 性 成 熟 に 関 する 指 標 の 解 析 出 生 した F1 世 代 の 児 動 物 について, 出 生 日 における 生 存 率 および 性 比 と, 哺 育 4 日,7 日, 14 日 および 21 日 ( 離 乳 日 )における 生 存 率 を 求 め, 体 重 を 測 定 する 離 乳 児 のうち, 原 則 として 各 腹 雌 雄 1 匹 ずつを 選 抜 し, 性 成 熟 ( 雌 においては 膣 開 口 日 齢 と 開 口 時 体 重, 雄 にお いては 陰 茎 包 皮 分 離 完 了 日 齢 と 完 了 時 体 重 を 観 察 または 測 定 する)を 観 察 する F1 世 代 の 親 動 物 として 選 抜 されなかった 離 乳 児 については, 離 乳 後 に 剖 検 して 肉 眼 所 見 を 記 録 する さ らに, 原 則 として 各 腹 雌 雄 1 匹 ずつについては, 脳, 胸 腺, 脾 臓 および 子 宮 ( 雌 のみ)の 重 量 を 測 定 する 3) 研 究 項 目 名 3: 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がマウスの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 1 個 別 課 題 名 エ: 親 世 代 の 動 物 の 成 長 と 繁 殖 能 力 に 関 する 指 標 の 解 析 当 初 計 画 : ブリーダーから 購 入 した 若 齢 の 近 交 系 マウス(C3H/HeNSlc)に,ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 合 成 飼 料 または 通 常 の 飼 料 を 給 与 して 6 週 間 育 成 したに 後 に 交 配 し,F1 世 代 の 児 動 物 を 得 る 各 群 の 動 物 数 は,1 試 行 当 り 雌 雄 それぞれ 9 匹 とする この 間 に, 動 物 の 体 重, 体 重 増 加 量,および 摂 餌 量 を 測 定 して, 親 動 物 の 成 長 を 観 察 する また, 交 尾 後 の 親 動 物 について 児 動 物 を 離 乳 するまで 観 察 を 継 続 し, 雌 雄 の 動 物 の 交 尾 率, 妊 娠 率, 出 産 率 および 妊 娠 期 間 を 算 出 すると 共 に, 出 産 児 の 数 を 数 える F1 哺 育 児 を 離 乳 した 後 の 親 動 物 については, 剖 検 により 内 部 生 殖 器 官 ( 雄 については 精 巣, 精 巣 上 体, 精 嚢 および 前 立 腺 ; 雌 については 卵 巣 および 子 宮 )を 検 査 し,それらの 器 官 を 含 む 主 要 な 臓 器 の 重 量 を 測 定 する また, 子 宮 を 観 察 して 着 床 数 を 調 べると 共 に, 必 要 に 応 じて 精 巣 に おける 精 子 頭 部 数 を 評 価 する 追 加 実 験 1: 6 週 齢 の 近 交 系 マウス(C3H/HeNSlc)を 用 いて 実 験 を 行 った AIN93G 群 ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 合 成 飼 料 (AIN93G 飼 料 )を 雄 9 匹, 雌 9 匹 に 自 由 摂 取 させる (AIN93G+イソフラボン) 群 AIN93G 飼 料 にイソフラボンを 添 加 したものを, 雄 9 匹, 雌 9 匹 に 自 由 摂 取 させる MF 群 ポリフェノール 類 を 含 む 通 常 の 繁 殖 用 飼 料 (MF,オリエンタル 酵 母 ( 株 )) 4

を 雄 9 匹, 雌 9 匹 に 自 由 摂 取 させる 追 加 実 験 2: 6 週 齢 の 近 交 系 マウス(C3H/HeNCrj)を 用 いて 実 験 を 行 った AIN93G 群 ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 合 成 飼 料 (AIN93G 飼 料 )を 雄 15 匹, 雌 15 匹 に 自 由 摂 取 させる MF 群 ポリフェノール 類 を 含 む 通 常 の 繁 殖 用 飼 料 (MF,オリエンタル 酵 母 ( 株 )) を 雄 15 匹, 雌 15 匹 に 自 由 摂 取 させる 両 実 験 において, 雌 雄 マウスを 6 週 間 飼 育 する この 間 に, 動 物 の 体 重, 体 重 増 加 量, および 摂 餌 量 を 測 定 する この 後 に 交 配 し,F1 世 代 の 児 動 物 を 得 る 雌 雄 の 動 物 の 交 尾 率, 妊 娠 率, 出 産 率, 妊 娠 期 間, 出 産 児 数 を 算 出 する F1 児 動 物 を 離 乳 した 後 の 親 動 物 については, 生 殖 器 官 ( 雄 については 精 巣, 精 嚢 および 前 立 腺 ; 雌 については 卵 巣 およ び 子 宮 )を 検 査 し,それらの 臓 器 の 重 量 を 測 定 する 子 宮 については 着 床 数 を 調 べる 2 個 別 課 題 名 オ:F1 世 代 の 動 物 の 生 後 発 達, 性 成 熟 および 成 長 後 の 繁 殖 能 力 に 関 する 指 標 の 解 析 当 初 計 画 : 出 生 した F1 世 代 の 児 動 物 について, 哺 育 0 日,4 日,7 日,14 日 および 21 日 ( 離 日 ) における 生 存 率 を 求 め, 体 重 を 測 定 する 離 乳 児 のうち, 原 則 として 各 腹 雌 雄 1 匹 ずつ を 選 抜 し,F1 世 代 の 親 動 物 として 親 世 代 の 動 物 と 同 様 に 飼 育 し,F2 世 代 の 哺 育 児 を 得 る この 間, 親 世 代 の 動 物 と 同 様 の 項 目 を 観 察 すると 共 に, 雌 の 性 成 熟 ( 膣 開 口 日 齢 と 開 口 時 体 重 を 観 察 または 測 定 する)を 観 察 する F1 世 代 の 親 動 物 として 選 抜 されなかった 離 乳 児 については, 離 乳 後 に 剖 検 して 肉 眼 所 見 を 記 録 する さらに, 必 要 に 応 じて, 各 腹 雌 雄 1 匹 ずつについては, 脳, 胸 腺, 脾 臓 および 子 宮 ( 雌 のみ)の 重 量 を 測 定 する F2 世 代 の 児 動 物 については,F1 世 代 の 児 動 物 と 同 様 の 項 目 について, 性 成 熟 が 完 了 するま で 観 察 を 継 続 する 追 加 実 験 : 出 生 した F1 世 代 の 児 動 物 について, 哺 育 0 日,4 日,7 日,14 日 および 21 日 ( 離 乳 日 )における 生 存 率 を 求 め, 体 重 を 測 定 する 離 乳 児 のうち, 雌 は 性 成 熟 ( 膣 開 口 日 齢 と 開 口 時 体 重 を 観 察 または 測 定 する)を 観 察 する 各 腹 雌 雄 各 腹 雌 雄 1 匹 ずつについて は 6 週 齢 時 に, 雄 の 精 巣 と 精 嚢 の 重 量, 雌 の 子 宮 と 卵 巣 の 重 量 を 測 定 する 4 倫 理 面 への 配 慮 について すべての 動 物 実 験 は, 動 物 の 愛 護 及 び 管 理 に 関 する 法 律 ( 昭 和 48 年 法 律 第 105 号 ), 実 験 動 物 の 飼 養 及 び 保 管 等 に 関 する 基 準 ( 昭 和 55 年 3 月 27 日 総 理 府 告 知 第 6 号 ), 動 物 実 験 に 関 する 指 針 ( 日 本 実 験 動 物 学 会, 昭 和 62 年 5 月 22 日 ),および 近 年 の 動 物 愛 護 に 係 る 国 際 的 な 規 制 動 向 等 を 踏 ま え, 動 物 の 愛 護 等 の 法 に 準 拠 して 実 施 する 5

Ⅱ 平 成 21 年 度 研 究 成 果 報 告 1 当 該 年 度 の 研 究 目 標 まず,ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 飼 料 の 組 成 を 決 定 して 合 成 飼 料 を 調 製 し, 分 析 により 植 物 エストロゲンの 混 入 がないことを 確 認 する ついで, 残 留 農 薬 研 究 所 では 近 交 系 ラット(WKY/NCrj), 名 古 屋 大 学 では 近 交 系 マウス(C3H/HeNCrj)を 用 いた 動 物 実 験 を 開 始 し,ラ ットを 用 いた 実 験 においては F1 世 代 の 離 乳 児 を 得 て 次 世 代 動 物 の 育 成 開 始 まで,マウスを 用 いた 実 験 においては 第 1 クール( 雌 雄 各 9 匹 / 群 )の 実 験 で F2 世 代 の 離 乳 児 を 得 るまで 動 物 実 験 を 進 め, 得 られたデータを 解 析 する 2 平 成 21 年 度 の 主 な 研 究 成 果 (1) 研 究 項 目 ごとの 研 究 成 果 の 概 要 1) 研 究 項 目 名 : 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がラットの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 個 別 課 題 名 : 親 世 代 の 動 物 の 成 長 と 繁 殖 能 力 に 関 する 指 標 の 解 析 ( 担 当 : 青 山 博 昭, 北 條 仁, 高 橋 研, 佐 藤 旭 ) ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 合 成 飼 料 (AIN-93G)を 自 家 調 製 してラッ トに 給 与 し,それらの 動 物 がポリフェノール 類 を 豊 富 に 含 む 通 常 飼 料 (MF)を 給 与 した 動 物 と 同 等 の 繁 殖 能 力 を 維 持 できるか 否 かを 検 討 した 調 製 した AIN-93G 飼 料 は, 分 析 によりポリフェノ ール 類 の 混 入 がないことが 確 認 された ラットを 用 いた 実 験 では,AIN-93G 飼 料 を 給 与 した 群 に おいてもほぼ 十 分 な 数 の F1 離 乳 児 が 得 られ, 少 なくとも 植 物 エストロゲンを 除 去 した 飼 料 を 用 いた 1 世 代 繁 殖 試 験 は 実 施 可 能 なことが 示 された しかし,AIN-93G 給 与 群 では 哺 育 初 期 におけ る 哺 育 児 の 生 存 率 と 体 重 が 僅 かながら 有 意 に 低 下 し, 雄 親 動 物 の 精 嚢 および 前 立 腺 重 量 が 有 意 に 増 加 した これらの 結 果 から, 通 常 の 動 物 実 験 では 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 がエストロ ゲン 受 容 体 を 介 して 何 らかの 作 用 を 及 ぼしていることが 示 唆 された 個 別 課 題 名 :F1 世 代 の 動 物 の 生 後 発 達, 性 成 熟 および 成 長 後 の 繁 殖 能 力 に 関 する 指 標 の 解 析 ( 担 当 : 青 山 博 昭, 北 條 仁, 高 橋 研, 佐 藤 旭 ) 出 生 した F1 哺 育 児 の 観 察 では, 上 述 の 如 く,AIN-93G 給 与 群 では 哺 育 0 日 における 哺 育 児 の 生 存 率 が MF 給 与 群 より 有 意 に 低 く, 統 計 学 的 な 有 意 差 を 伴 わないものの,この 傾 向 は 哺 育 4 日 に も 認 められた また,AIN-93G 給 与 群 では 哺 育 児 の 体 重 が 雌 雄 とも 哺 育 0 日 から 7 日 まで MF 群 の 値 より 低 く,その 差 は 雄 哺 育 児 の 哺 育 7 日 における 値 を 除 いていずれも 統 計 学 的 に 有 意 であった さらに,AIN-93G 給 与 群 では,MF 群 と 比 較 して 雌 離 乳 児 の 子 宮 重 量 が 有 意 に 低 く, 雌 離 乳 児 の 膣 開 口 は 有 意 に 遅 延 し, 雄 離 乳 児 の 包 皮 分 離 完 了 は 有 意 に 早 期 化 した これらの 結 果 は, 親 動 物 に 観 察 された 変 化 と 同 様 に,MF 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 のエストロゲン 受 容 体 を 介 した 作 用 (エストロゲン 様 作 用 または 抗 エストロゲン 作 用 )によりもたらされたものであることが 示 唆 された 2) 研 究 項 目 名 : 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がマウスの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 個 別 課 題 名 : 親 世 代 の 動 物 の 成 長 と 繁 殖 能 力 に 関 する 指 標 の 解 析 ( 担 当 : 堀 尾 文 彦, 村 井 篤 嗣, 小 林 美 里 ) ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 飼 料 として,マウス ラット 用 の 精 製 飼 料 として 世 界 的 な 標 準 となっている AIN-93G(J.Nutr.,123,1939-1951(1993))を 選 択 し,その 6

調 製 を 行 い, 実 際 に 分 析 を 行 なってポリフェノール 類 が 検 出 されないことを 確 認 した したが って, 本 研 究 の 目 的 を 達 成 するために 好 適 な 飼 料 を 選 択 することができたものと 考 えられる 一 方,ポリフェノール 類 を 含 有 する 飼 料 としては, 毒 性 試 験 や 栄 養 学 研 究 で 繁 用 されている 混 合 型 の 通 常 飼 料 である MF(オリエンタル 酵 母 ( 株 ))を 選 択 した 分 析 の 結 果,ポリフェノール 類 を 少 なくとも 400 ppm 以 上 含 有 することが 明 らかとなった 交 尾 までのマウスの 体 重 増 加 量 は AIN-93G 摂 取 群 のほうがやや 勝 っていた MF 摂 取 群 では, 親 世 代 の 繁 殖 能 力 ( 交 尾 率, 妊 娠 率, 出 産 率, 妊 娠 期 間, 出 産 児 数 )は 正 常 な 範 囲 の 値 であった また,AIN-93G 摂 取 群 の 親 世 代 の 繁 殖 能 力 は,MF 摂 取 群 とほぼ 同 等 であった 個 別 課 題 名 :F1 世 代 の 動 物 の 生 後 発 達, 性 成 熟 および 成 長 後 の 繁 殖 能 力 に 関 する 指 標 の 解 析 ( 担 当 : 堀 尾 文 彦, 村 井 篤 嗣, 小 林 美 里 ) 上 述 の 如 く, 親 世 代 の 動 物 の 繁 殖 能 力 に 関 しては AIN-93G 群 と MF 摂 取 群 はほぼ 同 等 と 考 えら れたが, 児 の 生 存 率 には 両 群 で 著 明 な 差 が 認 められた すなわち,MF 群 では 出 生 児 の 約 94%が 離 乳 まで 生 存 したが,AIN-93G 群 では 出 生 児 の 約 94%が 生 後 4 日 以 内 に 死 亡 した 現 時 点 では, 生 存 率 の 低 下 は 親 の 哺 育 放 棄 に 起 因 すると 推 察 している また,MF 群 の 母 動 物 が 正 常 に 児 を 哺 育 できたことは, 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 のエストロゲン 様 作 用 (または 抗 エストロ ゲン 作 用 )と 何 らかの 関 連 がある 可 能 性 が 示 唆 される AIN-93G 群 では F2 世 代 を 作 出 するため に 十 分 な 数 の 離 乳 児 が 得 られなかったため, 当 初 の 実 験 計 画 を 変 更 した すなわち, 今 回 と 同 様 に 親 世 代 の 動 物 に 組 成 の 異 なる 飼 料 を 給 与 する 実 験 を 平 成 21 年 12 月 から 再 度 開 始 して, 哺 育 期 間 中 における F1 哺 育 児 の 生 存 率 に AIN-93G 群 と MF 群 の 間 の 著 明 な 差 が 再 現 するか 否 かを 確 認 している この 実 験 においては,MF 群 と AIN-93G 群 に 加 え,AIN-93G に 大 豆 イソフラボン ( 植 物 エストロゲン)を 添 加 した 飼 料 を 給 与 する 新 たな 群 も 加 えて 実 験 を 行 っている (2) 全 体 の 研 究 成 果 1) 全 体 の 研 究 成 果 の 要 旨 ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 合 成 飼 料 を 自 家 調 製 してラットおよびマウ スに 給 与 し,それらの 動 物 がポリフェノール 類 を 豊 富 に 含 む 通 常 飼 料 を 給 与 した 動 物 と 同 等 の 繁 殖 能 力 を 維 持 できるか 否 かを 検 討 した 調 製 した 合 成 飼 料 は, 分 析 によりポリフェノール 類 の 混 入 がないことが 確 認 された ラットを 用 いた 実 験 ではほぼ 十 分 な 数 の F1 離 乳 児 が 得 られ,ポリ フェノール 類 を 含 まない 飼 料 を 給 与 しても 1 世 代 繁 殖 試 験 は 実 施 可 能 なことが 示 された しかし, 合 成 飼 料 給 与 群 では, 哺 育 児 の 生 存 率 と 体 重 の 低 下, 離 乳 児 の 子 宮 重 量 の 低 下, 雌 離 乳 児 の 性 成 熟 の 遅 延, 雄 離 乳 児 の 性 成 熟 の 早 期 化 および 雄 親 動 物 の 精 嚢 および 前 立 腺 重 量 の 増 加 が 観 察 され, 通 常 の 動 物 実 験 では 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 がエストロゲン 受 容 体 を 介 して 何 らかの 作 用 を 及 ぼしていることが 示 唆 された 一 方,C3H マウスを 用 いた 実 験 では 合 成 飼 料 給 与 群 で 90% 以 上 の 出 産 児 が 生 後 4 日 以 内 に 死 亡 し, 少 なくともこの 系 統 のマウスの 繁 殖 には, 飼 料 中 のポリ フェノール 類 が 必 須 である 可 能 性 が 示 唆 された 2) 研 究 成 果 2-1) 合 成 飼 料 の 組 成 の 検 討, 標 準 飼 料 の 選 定 および 飼 料 分 析 動 物 実 験 開 始 に 先 立 って,ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 合 成 飼 料 の 組 成 を, 今 後 の 内 分 泌 かく 乱 物 質 研 究 における 標 準 飼 料 とし 得 ることを 考 慮 して, 米 国 国 立 栄 養 研 究 所 (American Institute of Nutrition)が 公 表 したマウスおよびラットを 用 いた 栄 養 学 研 究 のための 標 準 飼 料 (AIN-93G)の 組 成 (Table 1)に 合 わせることとし,オリエンタル 酵 母 株 式 会 社 に 依 頼 して 必 要 量 の 合 成 飼 料 を 調 製 した また, 比 較 対 照 とする 通 常 飼 料 を, 毒 性 研 7

究 のための 動 物 実 験 に 広 く 用 いられている 実 験 動 物 用 飼 料 MF(オリエンタル 酵 母 株 式 会 社 )と し, 同 社 より 必 要 量 を 購 入 した これらの 飼 料 について 含 有 するポリフェノール 類 を 分 析 したところ, 合 成 した AIN-93G 飼 料 には 植 物 エストロゲンの 混 入 がないことを 確 認 できた(Table 2) 一 方, 同 時 に 購 入 した 通 常 の MF 飼 料 には,グリシチン,ゲニスチンおよびダイゼインがそれぞれ 30,230 および 180ppm の 濃 度 で 検 出 され, 通 常 飼 料 に 含 まれる 植 物 エストロゲンの 総 量 は 440ppm であった したがっ て, 今 回 の 実 験 で MF 飼 料 給 与 群 ( 以 下 MF 群 と 記 載 する)のラットが 摂 取 する 総 植 物 エス トロゲン 量 は, 体 重 300g の 動 物 が 1 日 当 たり 18g の 飼 料 を 摂 取 すると 仮 定 して 算 術 的 に 求 めた 場 合,26.4mg/kg 体 重 / 日 と 見 積 もられた Table 1. AIN-93G 飼 料 の 組 成 成 分 含 量 (%) ミルクカゼイン 20.0000 L-シスチン 0.3000 コーンスターチ 39.7486 コーンスターチ 13.2000 シュークロース 10.0000 大 豆 油 7.0000 セルロースパウダー 5.0000 AIN93G ミネラル 3.5000 AIN93 ビタミン 1.0000 重 酒 石 酸 コリン 0.2500 第 3 ブチルヒドロキノン 0.0014 合 計 100.0000 Table 2. MF および AIN-93G 飼 料 に 含 まれる 植 物 エストロゲン 含 量 の 分 析 結 果 飼 料 中 の 検 出 濃 度 (ppm) 分 析 項 目 MF AIN-93G クメステロール ND ND グリシチン 30 ND グリシテイン ND ND ゲニスチン 230 ND ゲニステイン ND ND ダイジン ND ND ダイゼイン 180 ND バイオカニン A ND ND フォルモノネチン ND ND ND: 検 出 限 界 値 (10ppm) 以 下 2-2) 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がラットの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 ( 詳 細 なデータは, 分 担 研 究 者 報 告 書 を 参 照 されたい) 本 課 題 については 動 物 実 験 がほぼ 予 定 通 り 進 行 し,2010 年 1 月 末 現 在,F1 世 代 の 離 乳 児 の 中 から 選 抜 した 次 世 代 動 物 を 育 成 途 中 にある そこで,この 中 間 報 告 書 では, 親 動 物 (P 世 代 の 雌 雄 )の 成 長 と 繁 殖 に 関 する 観 察 結 果 と,F1 世 代 の 動 物 の 性 成 熟 が 完 了 するまでの 期 間 に 8

得 られた 結 果 を 取 りまとめて 報 告 する 雌 雄 の 親 動 物 の 体 重 は, 実 験 期 間 を 通 じて AIN-93G 給 与 群 ( 以 下 AIN 群 と 記 載 する)の 値 が MF 群 の 値 を 上 回 った また, 体 重 増 加 量 をみると, 雄 では 試 験 期 間 を 通 じて AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 より 有 意 に 高 く, 雌 においては, 交 配 前 育 成 期 間 と 妊 娠 期 間 中 の 体 重 増 加 量 は AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 を 有 意 に 上 回 り, 哺 育 期 間 中 には 有 意 に 下 回 った これらの 動 物 の 摂 餌 量 をみると, 雄 ではいずれの 時 期 においても AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 よ り 低 く, 多 くの 場 合 その 差 は 統 計 学 的 に 有 意 であった 雌 については, 交 配 前 育 成 期 間 中 は 両 群 に 有 意 な 差 はみられず, 妊 娠 0 日 から 14 日 にかけては AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 より 有 意 に 高 く, 哺 育 0 日 から 14 日 にかけては 逆 に AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 より 有 意 に 低 かった こ れらの 結 果 は, 少 なくとも 雄 に 対 しては AIN 合 成 飼 料 の 栄 養 価 が 極 めて 高 いことを 示 唆 する ものであった これらの 動 物 を 10 週 間 育 成 した 後 に 交 配 したところ, 正 常 な 発 情 周 期 を 示 した 雌 の 頻 度, 雌 雄 の 動 物 の 交 尾 率, 受 胎 率, 出 産 率, 妊 娠 期 間, 産 児 数 および 出 産 児 の 性 比 といった 指 標 には,AIN 群 と MF 群 の 間 で 統 計 学 的 に 有 意 な 差 は 観 察 されなかった(Table 3) 着 床 数 につ いては AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 より 有 意 に 高 かったが, 両 群 の 平 均 出 産 児 数 はほぼ 同 じであっ たことから,この 差 は 偶 発 的 な 変 動 と 解 釈 された したがって, 少 なくともラットにおいて は,ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 飼 料 を 給 与 しても, 親 動 物 の 妊 娠 お よび 出 産 に 障 害 は 生 じないことが 示 唆 された 一 方, 哺 育 児 生 存 率 については 群 間 に 差 が 認 められ,AIN 群 における 哺 育 0 日 ( 出 産 日 )の 生 存 率 が MF 群 より 有 意 に 低 く, 統 計 学 的 な 有 意 性 は 伴 わないものの, 哺 育 4 日 における 生 存 率 も MF 群 の 値 よりやや 低 かった(Table 3) また,AIN 群 では 哺 育 児 の 体 重 が 雌 雄 とも 哺 育 0 日 から 7 日 まで MF 群 の 値 より 低 く,その 差 は 雄 哺 育 児 の 哺 育 7 日 における 値 を 除 いていずれも 統 計 学 的 に 有 意 であった 哺 育 4 日 以 降 における 哺 育 児 の 生 存 率 には,AIN 群 と MF 群 の 間 で 有 意 な 差 はみられなかった また,AIN 群 における 雌 雄 の 哺 育 児 の 体 重 は 哺 育 14 日 ごろまでに MF 群 の 値 とほぼ 等 しくなり, 哺 育 21 日 ( 離 乳 日 )における 値 はむしろ MF 群 の 値 を 有 意 に 上 回 った これらの 結 果 から,ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 飼 料 (AIN-93G)を 給 与 された 雌 の 哺 育 能 力 がやや 低 下 し, 出 産 直 後 から 1 週 間 程 度 の 間, 哺 育 児 に 十 分 な 量 の 母 乳 を 与 えなかった 可 能 性 が 示 唆 される しかし,AIN 群 の 母 動 物 に 観 察 された 哺 育 能 力 の 僅 かな 低 下 がどのような 機 序 で 引 き 起 こされたかについては, 現 在 のところ 明 らかでない 9

Table 3. 親 世 代 (P 世 代 ) 動 物 の 繁 殖 に 関 する 指 標 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 / 検 査 項 目 MF ( 対 照 ) AIN-93G 正 常 発 情 周 期 の 雌 の 頻 度 (%) 24/24 (100.0) 22/23 (95.7) 雄 の 交 尾 率 (%) 24/24 (100.0) 23/23(100.0) 雌 の 交 尾 率 (%) 24/24 (100.0) 23/23(100.0) 受 胎 率 (%) 24/24 (100.0) 23/23(100.0) 出 産 率 (%) 24/24 (100.0) 23/23(100.0) 妊 娠 期 間 ( 日 ) 22.0±0.0 22.0±0.2 着 床 数 13.8±0.9 15.2±2.1 産 児 数 11.0±2.2 10.9±1.6 性 比 ( 雄 児 数 / 総 産 児 数 ) 0.471 0.491 児 の 生 存 率 ( 哺 育 0 日 ) 99.3±2.4 95.4±9.5 児 の 生 存 率 ( 哺 育 4 日 ) 95.9±5.9 91.3±9.9 児 の 生 存 率 ( 哺 育 7 日 ) 97.8±6.2 99.5±2.6 児 の 生 存 率 ( 哺 育 14 日 ) 96.8±6.8 98.4±4.3 児 の 生 存 率 ( 哺 育 21 日 ) 96.8±6.8 98.4±4.3 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 F1 児 動 物 を 離 乳 した 後, 親 動 物 を 剖 検 して 生 殖 器 官 の 重 量 を 測 定 した その 結 果, 精 巣 お よび 精 巣 上 体 の 絶 対 重 量 には 群 間 に 差 は 認 められなかったものの, 精 嚢 と 前 立 腺 の 絶 対 重 量 は AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 を 有 意 に 上 回 り, 精 嚢 については 体 重 比 に 換 算 してもその 差 が 統 計 学 的 に 有 意 であった(Table 4) また, 前 立 腺 についても, 体 重 比 で 比 較 しても AIN 群 の 値 は MF 群 の 値 よりやや 高 かった これらの 結 果 については, 飼 料 からポリフェノール 類 を 除 去 し たこと( 飼 料 に 由 来 するエストロゲン 様 作 用 の 低 下 )との 関 連 が 示 唆 される 一 方, 雌 親 動 物 の 卵 巣 および 子 宮 の 重 量 については, 絶 対 値 をみるといずれも AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 より 高 かったものの, 体 重 比 に 換 算 するとそれらはほぼ 同 じであった したがって,AIN 群 にみられ た 絶 対 重 量 の 増 加 は,この 群 における 雌 の 体 重 が MF 群 の 値 より 有 意 に 高 かったことに 起 因 す る 変 動 と 判 断 された 10

Table 4. 親 世 代 (P 世 代 )における 雄 親 動 物 の 生 殖 器 官 重 量 (mg) 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 MF ( 対 照 ) AIN-93G 精 巣 ( 絶 対 重 量, mg) 2838±111 2851±120 精 巣 上 体 ( 絶 対 重 量, mg) 1116±44 1118±42 精 嚢 ( 絶 対 重 量, mg) 1756±95 1950±87 前 立 腺 ( 絶 対 重 量, mg) 512±71 568±62 精 巣 ( 体 重 比, %) 0.681±0.038 0.659±0.031 精 巣 上 体 ( 体 重 比, %) 0.267±0.013 0.258±0.011 精 嚢 ( 体 重 比, %) 0.421±0.029 0.451±0.026 前 立 腺 ( 体 重 比, %) 0.123±0.016 0.131±0.015 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 雄 動 物 の 精 子 検 査 では, 精 子 運 動 率, 精 巣 上 体 尾 当 りの 精 子 数 および 精 巣 上 体 尾 の 重 量 で 補 正 した 精 子 数 のいずれにも, 群 間 に 有 意 な 差 は 認 められなかった 離 乳 した F1 哺 育 児 について, 脳, 脾 臓, 胸 腺 および 子 宮 ( 雌 離 乳 児 のみ)の 重 量 を 測 定 し たところ, 雌 雄 のいずれにおいても,AIN 群 における 脾 臓 および 胸 腺 の 絶 対 重 量 と 体 重 比 が MF 群 の 値 より 有 意 に 高 かった(Table 5 および 6) また, 子 宮 については,AIN 群 における 絶 対 重 量 と 体 重 比 の 両 者 が MF 群 の 値 より 有 意 に 低 かった(Table 6) これらの 変 化 は,い ずれも 飼 料 の 組 成 が 異 なることに 起 因 した 変 化 と 考 えられた また, 少 なくとも AIN 群 の 子 宮 重 量 が MF 群 の 値 より 有 意 に 低 かったことについては,MF 飼 料 に 含 まれていたポリフェノ ール 類 のエストロゲン 様 作 用 によることが 示 唆 された AIN 群 の 脳 重 量 にみられた 体 重 比 の 低 下 は,この 群 の 離 乳 児 の 体 重 が MF 群 の 値 よりやや 高 かったことに 関 連 した 変 動 であると 考 えられた 次 世 代 (F1 世 代 )の 親 動 物 として 選 抜 された F1 離 乳 児 の 性 成 熟 を 観 察 したところ,AIN 群 では 雄 の 性 成 熟 ( 包 皮 分 離 完 了 日 齢 )が 有 意 に 早 まり, 雌 の 性 成 熟 ( 膣 開 口 日 齢 )は 有 意 に 遅 延 した(Table 7) これらの 結 果 は,いずれも MF 飼 料 に 含 まれているポリフェノール 類 のエストロゲン 様 作 用 に 起 因 した 変 化 と 考 えられた 11

Table 5. F1 雄 離 乳 児 の 臓 器 重 量 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 MF ( 対 照 ) AIN-93G 体 重 (g) 60±8 65±7 脳 ( 絶 対 重 量, mg) 1517±66 1535±56 脾 臓 ( 絶 対 重 量, mg) 215±37 264±26 胸 腺 ( 絶 対 重 量, mg) 170±26 204±20 脳 ( 体 重 比, %) 2.57±0.27 2.38±0.21 脾 臓 ( 体 重 比, %) 0.360±0.047 0.409±0.039 胸 腺 ( 体 重 比, %) 0.284±0.021 0.315±0.022 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 Table 6. F1 雌 離 乳 児 の 臓 器 重 量 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 MF ( 対 照 ) AIN-93G 体 重 (g) 56±6 60±6 脳 ( 絶 対 重 量, mg) 1466±49 1482±55 脾 臓 ( 絶 対 重 量, mg) 197±39 232±22 胸 腺 ( 絶 対 重 量, mg) 170±21 192±24 子 宮 ( 絶 対 重 量, mg) 62.7±12.5 49.8±8.7 脳 ( 体 重 比, %) 2.64±0.23 2.50±0.19 脾 臓 ( 体 重 比, %) 0.350±0.049 0.392±0.047 胸 腺 ( 体 重 比, %) 0.304±0.027 0.322±0.027 子 宮 ( 体 重 比, %) 0.1121±0.0204 0.0834±0.0116 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 Table 7. F1 離 乳 児 の 性 成 熟 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 MF ( 対 照 ) AIN-93G 雄 の 包 皮 分 離 完 了 日 齢 ( 日 ) 47.1±1.9 43.4±0.8 完 了 時 体 重 (g) 158±9 145±8 雌 の 膣 開 口 完 了 日 齢 ( 日 ) 32.5±2.4 34.0±1.4 完 了 時 体 重 (g) 81±11 87±5 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 12

2-3) 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がマウスの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 AIN-93Gは, 米 国 国 立 栄 養 研 究 所 が 1993 年 に 提 唱 した(J.Nutr.,123,1939-1951(1993)), 栄 養 学 実 験 においてラット マウスの 成 長 と 繁 殖 に 好 適 な 飼 料 である 同 様 の 目 的 で 同 研 究 所 が 1976 年 に 提 唱 した AIN-76 飼 料 とともに, 動 物 実 験 において 国 際 的 に 最 も 繁 用 されてい る 精 製 飼 料 である カゼインをタンパク 源 としており,その 組 成 は Table 1 に 示 した 通 りで ある MF 飼 料 と AIN-93G 飼 料 の 粗 組 成 を,Table 8 に 示 す Table 8. MF および AIN-93G 飼 料 の 組 成 成 分 MF AIN-93G 含 量 (%) 含 量 (%) 水 分 8.3 9.7 粗 タンパク 質 23.1 17.4 粗 脂 肪 4.8 7.1 粗 灰 分 5.7 2.7 粗 繊 維 2.7 2.4 可 溶 性 無 窒 素 物 55.4 60.7 合 計 100.0 100.0 これら 2 種 類 の 飼 料 について 含 有 するポリフェノール 類 を 分 析 した 結 果,AIN-93G 飼 料 には 植 物 エストロゲンの 混 入 がないことを 確 認 できた(Table 2 参 照 ) 一 方,MF 飼 料 に は, 前 述 の 如 く,グリシチン,ゲニスチンおよびダイゼインがそれぞれ 30,230 および 180ppm の 濃 度 で 検 出 された したがって,MF 飼 料 に 含 まれる 植 物 エストロゲンの 総 量 は 440ppm と 計 算 され, 今 回 の 実 験 で MF 飼 料 群 の 動 物 が 摂 取 する 総 植 物 エストロゲン 量 は, 体 重 25g のマウスが 1 日 当 たり 2.5g の 飼 料 を 摂 取 すると 仮 定 して 算 術 的 に 求 めた 場 合, 44mg/kg 体 重 / 日 となった 交 配 を 開 始 するまでの 6 週 間 における 両 群 のマウスの 体 重 増 加 量 は, 雌 雄 ともに,わず かに AIN 群 の 方 が 高 値 であった Table 9に, 妊 娠 率, 妊 娠 期 間, 出 産 数 および 児 の 性 比 を 示 す 妊 娠 率 は,MF 群 が 77.8%, AIN 群 が 100%であったが, 今 回 の 実 験 では 1 群 当 りの 親 動 物 数 が 9 匹 と 少 ないため, 次 回 の 結 果 と 合 わせて 群 間 の 差 の 有 無 を 判 断 すべきと 考 えられる 一 方, 妊 娠 期 間, 出 産 し た 親 あたりの 出 産 児 数 および 出 生 児 の 性 比 については, 群 間 に 差 は 認 められなかった Table 9. 親 世 代 の 動 物 の 妊 娠 率, 妊 娠 期 間, 出 産 数 および 児 の 性 比 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 MF AIN-93G こ 妊 娠 率 (%)( 括 弧 内 は 個 体 数 ) 77.8(7/9) 100.0(9/9) れ 妊 娠 期 間 ( 日 ) 19.0 19.4 ら 出 産 児 数 ( 匹 / 親 ) 8.1 6.7 の 性 比 ( 雄 児 数 / 総 産 児 数 ) 0.41 0.50 結 果 から, C3H/HeN マウスは 雌 雄 ともに AIN 飼 料 に 対 して 適 応 性 が 高 く,この 飼 料 を 摂 取 し た 雌 雄 の 成 長 は MF 飼 料 群 のそれに 匹 敵 するものであることが 明 らかとなった したがっ て,AIN 飼 料 の 選 択 は, 本 研 究 の 目 的 にかなったものと 判 断 した 13

親 世 代 の 繁 殖 能 力 については, 妊 娠 率, 妊 娠 期 間, 出 産 数 および 出 生 児 の 性 比 といった 指 標 に 群 間 で 有 意 な 差 は 認 められず, 少 なくとも 妊 娠 の 成 立 と 維 持 および 出 産 には 飼 料 成 分 の 差 に 起 因 する 変 化 は 生 じないことが 示 された 哺 育 期 間 中 おける F1 哺 育 児 の 生 存 率 を,Table 10 に 示 す MF 群 では, 哺 育 児 の 出 生 か ら 哺 育 1 日 目 までの 生 存 率 は 98.2%, 哺 育 1 日 から 4 日 までの 間 の 生 存 率 は 96.4%と 良 好 であった この 群 では, 出 生 から 哺 育 4 日 までの 生 存 率 が 約 94%となり, 以 後 哺 育 21 日 ( 離 乳 日 )まで 哺 育 児 の 死 亡 は 観 察 されなかった 離 乳 児 の 合 計 は,7 腹 に 由 来 する 54 匹 であった 一 方,AIN 群 では, 哺 育 1 日 の 生 存 率 ( 出 生 から 生 後 1 日 目 まで)が 55.0%と 著 明 に 低 く, 哺 育 1 日 から 4 日 までの 生 存 率 は,12.1%とさらに 低 下 した このため, 出 生 から 哺 育 4 日 までの 生 存 率 は 約 6%と 極 めて 低 い 値 であった 哺 育 21 日 ( 離 乳 )まで 生 存 し た 児 哺 育 児 は,1 腹 由 来 の 4 匹 のみであった 今 回 の 実 験 では,AIN 群 で F1 世 代 の 親 動 物 として 育 成 するために 十 分 な 数 の 離 乳 児 が 得 られなかった( 生 存 している 児 は 1 腹 由 来 の 4 匹 のみ)ため, 当 初 の 実 験 計 画 を 変 更 し て,F1 哺 育 児 の 離 乳 後 に 実 験 を 終 了 することとした 親 世 代 の 動 物 は 21 週 齢 で 屠 殺 解 剖 し, 生 殖 器 官 ( 雄 については 精 巣, 精 嚢 および 前 立 腺 ; 雌 については 卵 巣 および 子 宮 ) を 検 査 した 後 にそれらの 臓 器 の 重 量 を 測 定 した 子 宮 については, 着 床 数 を 調 べた Table 10. 哺 育 期 間 中 おける F1 哺 育 児 の 生 存 率 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 / 検 査 項 目 MF AIN-93G 出 産 児 数 ( 匹 / 親 ) 8.1 6.7 性 比 ( 雄 児 数 / 総 産 児 数 ) 0.41 0.50 児 の 生 存 率 ( 哺 育 0 日 ) 98.2 55.0 児 の 生 存 率 ( 哺 育 4 日 ) 96.4 12.1 児 の 生 存 率 ( 哺 育 7 日 ) 100.0 100.0 児 の 生 存 率 ( 哺 育 14 日 ) 100.0 100.0 児 の 生 存 率 ( 哺 育 21 日 ) 100.0 100.0 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 上 述 の 如 く,マウスの 実 験 においては MF 群 における 親 動 物 の 繁 殖 と 児 動 物 の 生 後 発 達 に 何 ら 異 常 はみられなかったものの,AIN 群 における F1 哺 育 児 の 生 存 率 が 著 しく 低 下 すると いう 予 期 せぬ 結 果 が 得 られた 我 々は,マウスでは MF 飼 料 に 豊 富 に 含 まれるポリフェノー ル 類 ( 植 物 エストロゲン)が 何 らかの 機 序 で 母 動 物 に 作 用 し, 哺 育 行 動 を 調 節 しているこ とを 示 唆 するものと 考 えている すなわち,AIN 飼 料 はポリフェノール 類 ( 植 物 エストロ ゲン)を 含 んでいないため, 母 動 物 の 正 常 な 哺 育 行 動 が 阻 害 された 結 果, 哺 育 児 の 生 存 率 が 著 しく 低 下 したと 推 定 している そこで,この 仮 説 を 検 証 するため, 当 初 の 予 定 を 変 更 して, 追 加 試 験 に 着 手 した 追 加 試 験 では,その 目 的 を(1) 今 回 の 実 験 結 果 (AIN 群 における F1 哺 育 児 の 生 存 率 の 著 しい 低 下 )の 再 現 性 を 確 証 すること,および(2)AIN 飼 料 に 植 物 エストロゲンを 添 加 す ることにより,F1 哺 育 児 の 生 存 率 が 改 善 されるかを 証 明 すること,の 2 点 とした また, この 目 的 に 沿 って, 以 下 の 3 実 験 群 を 設 定 した MF 群 MF 飼 料 を 前 回 の 実 験 と 同 様 に 給 与 する 群 14

AIN93G 群 AIN 飼 料 を 前 回 の 実 験 と 同 様 に 給 与 する 群 AIN93G+イソフラボン 群 AIN 飼 料 に 大 豆 イソフラボン( 植 物 エストロゲン)を 300ppm 添 加 した 飼 料 を 給 与 する 群 (イソフラボン 濃 度 は,MF 飼 料 に 存 在 するイソフラボン 濃 度 に ほぼ 匹 敵 する) 平 成 21 年 12 月 に 3 群 構 成 で 新 たな 追 加 実 験 を 開 始 し, 現 在 に 至 っている また,この 実 験 の 結 果 は, 平 成 22 年 3 月 末 までに 得 られる 予 定 である (3) 考 察 及 び 結 論 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がラットおよびマウスの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 を 検 討 したところ, 今 年 度 の 研 究 成 果 として, 以 下 の 点 が 明 らかとなった ラットにおいては,AIN 群 における 雌 の F1 離 乳 児 の 子 宮 重 量 が MF 群 の 値 より 有 意 に 低 く, 膣 開 口 が 有 意 に 遅 延 した このことは,MF 群 の F1 雌 離 乳 児 の 子 宮 重 量 が AIN 群 の 値 より 有 意 に 高 く, 膣 開 口 が 有 意 に 早 期 化 したと 言 い 換 えることができる これらの 変 化 ( 子 宮 重 量 の 増 加 およ び 膣 開 口 の 早 期 化 )は,いずれもがエストロゲンの 投 与 によって 引 き 起 こされる 典 型 的 な 変 化 で あること,および AIN 飼 料 にはポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)が 含 まれていないが MF 飼 料 にはこの 成 分 が 豊 富 に 含 まれていることから, 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 のエストロ ゲン 様 作 用 を 反 映 したものと 考 えられた 換 言 すれば,これまで 通 常 の 動 物 実 験 で 無 処 置 と 信 じ られてきた 対 照 群 の 動 物 には, 給 与 された 飼 料 に 由 来 するポリフェノール 類 のエストロゲン 様 作 用 に 基 づく 変 化 が 現 れていた 可 能 性 が 高 いにもかかわらず,それらの 実 験 では 比 較 のための 適 切 な 対 照 群 ( 外 来 性 エストロゲン 様 作 用 物 質 の 摂 取 を 完 全 に 遮 断 された 動 物 群 )が 設 定 されていな かったため,ほとんどの 研 究 者 がその 存 在 に 気 づかなかったものと 推 測 される さらに,ラットにおいては,AIN 群 の 雄 親 動 物 の 精 嚢 および 前 立 腺 の 重 量 が MF 群 の 値 より 有 意 に 高 く, 雄 の F1 離 乳 児 の 性 成 熟 ( 包 皮 分 離 )が 有 意 に 早 期 化 した 雄 ラットにエストロゲン 様 作 用 物 質 を 投 与 すると, 生 殖 器 官 の 重 量 低 下 や 性 成 熟 の 遅 延 が 誘 発 されることが 指 摘 されてい ることを 考 慮 すると, 今 回 の 実 験 で 観 察 されたこれらの 変 化 は,MF 飼 料 を 給 与 された 雄 動 物 には エストロゲン 様 作 用 が 及 んだものの,AIN 飼 料 を 給 与 された 雄 動 物 は 飼 料 に 由 来 するポリフェノ ール 類 のエストロゲン 様 作 用 から 解 放 されたために 顕 在 化 したものと 解 釈 される AIN 群 の 動 物 では, 哺 育 初 期 における F1 哺 育 児 の 生 存 率 がラットおよびマウスのいずれの 動 物 種 においても 有 意 に 低 下 し, 特 にマウスの 実 験 では, 十 分 な 数 の F1 世 代 を 得 られないために 実 験 を 終 了 せざるを 得 ないほど 顕 著 な 影 響 が 認 められた また,これらの 動 物 を 観 察 する 限 り, 哺 育 児 生 存 率 の 低 下 は, 母 動 物 の 哺 育 行 動 が 不 十 分 であったり, 哺 育 放 棄 する 個 体 の 頻 度 が 高 く なったりしたために 引 き 起 こされたものと 推 察 された しかし,これらの 異 常 がポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)の 摂 取 が 遮 断 されたことに 起 因 するのか,あるいは 通 常 飼 料 (MF)に 含 まれるポリフェノール 類 以 外 の 何 らかの 成 分 が 不 足 したために 生 じたものであるかは, 現 時 点 で 不 明 である そこで,マウスを 用 いた 研 究 においては 計 画 の 一 部 を 変 更 し,AIN 群 と MF 群 の 他 に AIN 飼 料 に 大 豆 イソフラボン( 大 豆 由 来 のポリフェノール 類 )を 添 加 した 群 を 加 えた 3 群 構 成 の 実 験 を 追 加 して, 哺 育 児 生 存 率 の 低 下 が 飼 料 からポリフェノール 類 を 除 去 したことにより 生 じた ものであるか 否 かを 確 認 している 以 上 の 結 果 から,ラットを 用 いた 実 験 においては, 通 常 飼 料 給 与 群 と 比 較 した 場 合 に 哺 育 児 生 存 率 の 僅 かな 低 下 や 性 成 熟 日 齢 の 早 期 化 または 遅 延 が 認 められるものの, 少 なくともポリフェノ ール 類 ( 植 物 エストロゲン)の 摂 取 をほぼ 完 全 に 遮 断 しても 1 世 代 繁 殖 毒 性 試 験 は 実 施 可 能 であ ることが 実 証 された 一 方,マウスを 用 いた 実 験 については, 少 なくとも C3H マウスを 用 いてこ のような 実 験 条 件 ( 植 物 エストロゲンの 摂 取 を 遮 断 した 実 験 系 )で 繁 殖 毒 性 試 験 を 実 施 すること は 不 可 能 であることが 示 唆 された 次 年 度 は,ラットの 実 験 を 継 続 して F1 世 代 の 動 物 の 繁 殖 能 15

力 を 観 察 すると 共 に,マウスの AIN 群 でみられた 哺 育 児 生 存 率 の 著 しい 低 下 に 着 目 した 上 で 研 究 計 画 を 一 部 追 加 して,(1) 母 親 の 哺 育 放 棄 を 含 む 哺 育 不 全 はポリフェノール 類 の 欠 乏 によるもの か 否 か,(2)もしもポリフェノール 類 の 欠 乏 により 哺 育 不 全 が 引 き 起 こされるのであれば,それ はエストロゲン 受 容 体 を 介 した 作 用 か 否 か,および(3)そのような 異 常 が C3H 系 統 に 特 有 のも のであるかマウス 一 般 の 性 質 であるか,を 明 らかにする 必 要 があると 考 えられる 16

Ⅲ 平 成 22 年 度 研 究 成 果 報 告 1 当 該 年 度 の 具 体 的 目 標 ラットを 用 いた 研 究 ( 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がラットの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 )はほぼ 当 初 の 計 画 通 りに 進 行 しているので,F1 動 物 の 飼 育 を 継 続 して 繁 殖 させ,F2 哺 育 児 の 成 長 と 性 成 熟 を 観 察 する また, 動 物 実 験 終 了 後 は,ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン) 摂 取 の 有 無 によると 思 われる 変 化 のみられた 生 殖 器 官 を 病 理 組 織 学 的 に 検 査 する マウスを 用 いた 研 究 ( 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がマウスの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 )においては,ポリフェノール 類 の 摂 取 を 遮 断 することにより, 十 分 な 数 の F1 世 代 を 得 られないために 実 験 を 終 了 せざるを 得 ないほど 顕 著 な 影 響 が 認 められた また,これ らの 動 物 を 観 察 する 限 り, 哺 育 児 生 存 率 の 低 下 は, 母 動 物 の 哺 育 行 動 が 不 十 分 であったり, 哺 育 放 棄 する 個 体 の 頻 度 が 高 くなったりしたために 引 き 起 こされたものと 推 察 された しかし,これらの 異 常 がポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)の 摂 取 が 遮 断 されたことに 起 因 するのか,あるいは 通 常 飼 料 (MF)に 含 まれるポリフェノール 類 以 外 の 何 らかの 成 分 が 不 足 したために 生 じたものであ るかを 明 らかにするには, 今 後 の 追 加 実 験 が 必 要 である そこで, 研 究 計 画 の 一 部 を 変 更 して,AIN 群 と MF 群 の 他 に AIN 飼 料 に 大 豆 イソフラボン( 大 豆 由 来 のポリフェノール 類 )を 添 加 した 群 を 加 えた 3 群 構 成 の 実 験 を 追 加 して, 哺 育 児 生 存 率 の 低 下 が 飼 料 からポリフェノール 類 を 除 去 したこと により 生 じたものであるか 否 かを 確 認 している 平 成 21 年 度 はさらに 研 究 を 進 め,このような 現 象 (ポリフェノール 類 の 摂 取 を 遮 断 すると 母 動 物 の 哺 育 能 力 が 著 しく 低 下 する 現 象 )が 他 系 統 のマ ウスにも 出 現 するものか 否 かを 検 証 すると 共 に,その 作 用 機 序 を 検 討 する 2 平 成 22 年 度 の 主 な 研 究 成 果 (1) 研 究 項 目 ごとの 研 究 成 果 の 概 要 1) 研 究 項 目 名 : 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がラットの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 個 別 研 究 課 題 名 :ラットを 用 いた 研 究 における F1 世 代 の 動 物 の 生 後 発 達, 性 成 熟 および 成 長 後 の 繁 殖 能 力 に 関 する 指 標 の 解 析 ( 担 当 : 青 山 博 昭, 北 條 仁, 高 橋 研, 佐 藤 旭 ) 前 年 度 は F1 世 代 の 動 物 の 性 成 熟 まで 観 察 が 進 んだので, 引 き 続 きこれらの 動 物 を 育 成 し, 親 世 代 の 動 物 と 同 様 に 交 配 して,F2 世 代 の 児 動 物 を 得 た さらに, 得 られた F2 世 代 の 児 動 物 ( 孫 世 代 )の 性 成 熟 を 観 察 した その 結 果,F1 世 代 においても 親 世 代 と 同 様 に AIN-93G 給 与 群 における 雌 雄 の 交 尾 率 および 雌 の 妊 娠 率 と 出 産 率 に 異 常 はみられなかったことから, 植 物 エストロゲンを 除 去 した 飼 料 を 用 いても 2 世 代 繁 殖 試 験 を 実 施 することが 可 能 であることが 実 証 された 一 方,AIN-93G 給 与 群 と MF 給 与 群 の 間 で 種 々の 繁 殖 指 標 を 比 較 すると,F1 世 代 においても 親 世 代 と 同 様 の 差 が 観 察 された すなわち,AIN-93G 給 与 群 では 雌 動 物 の 着 床 数 が いずれの 世 代 でも MF 給 与 群 より 有 意 に 多 く,F1 世 代 では 出 産 児 数 も 有 意 に 増 加 した また, AIN-93G 給 与 群 における F1 雄 親 動 物 の 前 立 腺 と 精 嚢 凝 固 腺 の 重 量 は MF 群 の 値 より 有 意 に 高 く,F2 雄 離 乳 児 の 性 成 熟 も 有 意 に 早 期 化 した さらに,F2 雌 離 乳 児 では AIN-93G 給 与 群 の 子 宮 重 量 が MF 給 与 群 の 値 より 有 意 に 低 く, 性 成 熟 もやや 遅 延 した ラットを 用 いた 実 験 で MF 給 与 群 と AIN-93G 給 与 群 との 間 で 2 世 代 にわたって 共 通 して 観 察 されたこれらの 差 は,いず れも 典 型 的 なエストロゲン 様 作 用 物 質 を 投 与 した 動 物 と 無 処 置 の 動 物 との 間 にみられる 差 と 一 致 することから, 恐 らく MF 飼 料 が 含 有 するポリフェノール 類 に 由 来 するエストロゲン 活 性 により 引 き 起 こされたものであると 考 えられる また, 通 常 の 動 物 実 験 では,これまで 無 処 置 と 信 じられていた 対 照 群 の 動 物 にも, 市 販 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 がエストロゲ ン 受 容 体 を 介 して 動 物 の 表 現 型 が 変 化 する 程 度 に 影 響 を 及 ぼしていることが 示 唆 される 17

個 別 研 究 課 題 名 : 生 殖 器 官 の 病 理 組 織 学 的 観 察 ( 担 当 : 中 島 信 明, 吉 田 敏 則, 高 橋 尚 史 ) F1 雄 親 動 物 の 前 立 腺 を 病 理 学 的 に 検 査 したところ, 肉 眼 所 見 として 側 部 に 顆 粒 状 の 変 化 が 観 察 された 組 織 学 的 検 査 では,AIN 群 の 全 例 で 腺 腔 内 に 脱 落 した 上 皮 細 胞 や 変 性 した 好 中 球 を 主 体 とした 炎 症 性 細 胞 が 充 満 している 像 が 確 認 され, 前 立 腺 炎 と 診 断 された 雌 の 卵 巣 に ついては,F1 雌 親 動 物 を 対 象 に 病 理 組 織 学 的 検 査 を 実 施 したが,いずれの 動 物 にも 異 常 は 認 められなかった 雌 離 乳 児 の 子 宮 についても,F1 離 乳 児 の 子 宮 を 病 理 組 織 学 的 に 検 査 したが, いずれの 群 においても, 粘 膜 上 皮 細 胞, 子 宮 腺, 間 質 細 胞 等 に 著 変 は 認 められなかった 2) 研 究 項 目 名 : 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がマウスの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 追 加 解 析 と, 低 ポリフェノール 飼 料 の 有 用 性 の 検 討 個 別 研 究 課 題 名 : 親 世 代 の 動 物 の 成 長 と 繁 殖 能 力 に 関 する 指 標 の 解 析 ( 担 当 : 青 山 博 昭, 北 條 仁, 高 橋 研, 佐 藤 旭, 浦 川 千 鶴 ) 前 年 度 ( 平 成 21 年 度 )に 名 古 屋 大 学 で 実 施 した 実 験 により,C3H/HeN マウスにポリフェノ ール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 合 成 飼 料 (AIN-93G)を 給 与 して 繁 殖 させると, 少 な くともコンベンショナル 環 境 ( 非 SPF 環 境 ) 下 では, 哺 育 児 の 過 半 数 が 生 後 4 日 以 内 に 死 亡 することが 示 唆 された このような 異 常 が 生 じた 原 因 として,(1)ポリフェノール 類 の 不 足, (2)AIN-93G 飼 料 と MF 飼 料 の 間 で 異 なるポリフェノール 類 以 外 の 成 分 の 影 響,(3)これらの 違 いと 非 SPF 環 境 との 相 互 作 用,などが 推 測 されたが, 現 在 のところその 原 因 を 明 らかにす ることはできなかった そこで, 残 留 農 薬 研 究 所 においてもブリーダーから 近 交 系 マウス (C3H/HeN)を 購 入 し,SPF 環 境 下 で 同 様 の 実 験 を 実 施 して 得 られるデータを 名 古 屋 大 学 のデ ータと 比 較 した 実 験 では,ブリーダー( 日 本 チャールスリバー)から 購 入 した 近 交 系 マウス(C3H/HeN)を, SPF 環 境 下 で AIN-93G 飼 料 (AIN 群 )または AIN-93G に 大 豆 イソフラボンを 300ppm の 濃 度 で 添 加 した 飼 料 (ISO 群 )を 給 与 して 6 週 間 育 成 したに 後 に 交 配 し, 自 然 分 娩 させて F1 児 を 得 た さらに,これらの F1 哺 育 児 の 哺 育 期 間 中 における 生 存 率, 離 乳 後 の 性 成 熟 および 成 熟 後 の 生 殖 器 官 を 観 察 した また, 同 時 に 通 常 の MF 飼 料 を 給 与 する 群 (MF 群 )も 設 定 して, 得 ら れたデータを 比 較 した その 結 果, 雌 雄 の 動 物 の 交 尾 率, 妊 娠 率, 出 産 率, 妊 娠 期 間, 着 床 数 および 出 産 児 数 といっ た 指 標 には,AIN 群,ISO 群 および MF 群 の 間 で 有 意 な 差 は 観 察 されなかった 個 別 研 究 課 題 名 :F1 世 代 の 動 物 の 生 後 発 達 および 性 成 熟 に 関 する 指 標 の 解 析 ( 担 当 : 青 山 博 昭, 北 條 仁, 高 橋 研, 佐 藤 旭, 浦 川 千 鶴 ) AIN 群 における 哺 育 児 の 生 存 率 はやや 低 く,すべての 哺 育 児 が 死 亡 した 腹 が, 哺 育 0 日 と 哺 育 7 日 に 1 腹 ずつ 観 察 された ISO 群 における 哺 育 児 の 生 存 率 も AIN 群 とほぼ 同 じであり, 哺 育 7 日 までに 2 腹 ですべての 哺 育 児 が 死 亡 した 一 方,MF 群 では 哺 育 児 の 生 存 率 がこれらの 群 より 高 く, 統 計 学 的 な 有 意 差 を 伴 わないものの,それらの 値 はいずれの 時 期 においても AIN 群 および ISO 群 の 値 を 上 回 った AIN 群 と ISO 群 における 哺 育 児 生 存 率 がいずれもやや 低 く, 哺 育 児 生 存 率 に 関 しては 2 種 類 の 大 豆 イソフラボン(ゲニステインとダイゼイン)を 添 加 した 効 果 が 認 められなかったことから,これらの 結 果 は,MF 飼 料 に 含 まれていた 大 豆 イソフラボン 以 外 の 何 らかの 栄 養 成 分 か,あるいは MF 飼 料 に 含 まれていたゲニステインおよびダイゼイン 以 外 の 植 物 エストロゲンが, 哺 育 児 の 生 存 性 を 高 めることを 示 唆 するものと 思 われる しかし, AIN 群 においても 哺 育 0 日 における 新 生 児 の 生 存 率 は 80%を 越 えており, 哺 育 児 の 離 乳 率 も 約 80%であったことから, 少 なくとも SPF 環 境 下 であれば, 植 物 エストロゲンの 影 響 を 除 去 した 18

条 件 でマウスを 用 いた 生 殖 発 生 毒 性 試 験 が 実 施 可 能 であると 判 断 された AIN 群 と ISO 群 の 間 で F1 離 乳 児 の 性 成 熟 を 比 較 すると,イソフラボンを 添 加 することによ り 雄 の 性 成 熟 はやや 遅 延 し, 雌 の 性 成 熟 は 有 意 に 早 期 化 することが 明 らかとなった また,MF 群 においても F1 雄 離 乳 児 の 性 成 熟 が AIN 群 と 比 較 して 有 意 に 遅 延 し,F1 雌 離 乳 児 の 腟 開 口 日 齢 は AIN 群 とほぼ 同 じだったものの, 腟 開 口 時 の 体 重 が AIN 群 より 有 意 に 低 かった 雌 離 乳 児 を 6 週 齢 で, 雄 離 乳 児 を 8 週 齢 でそれぞれ 剖 検 して 生 殖 器 官 の 重 量 を 測 定 した 結 果, ISO 群 では 雄 の 精 嚢 凝 固 腺 および 前 立 腺 の 重 量 が AIN 群 より 有 意 に 低 く, 雌 の 子 宮 重 量 が AIN 群 より 有 意 に 高 かった また, 体 重 が 大 きく 異 なるために 直 接 の 比 較 がやや 困 難 なものの, 精 嚢 凝 固 腺 と 子 宮 の 重 量 については,MF 群 にも ISO 群 と 同 様 の 傾 向 が 認 められた 今 回 の 実 験 で F1 個 体 の 性 成 熟 や 生 殖 器 官 重 量 に 観 察 された AIN 群 と ISO 群 の 間 の 差 は,AIN 群 と MF 群 の 間 の 差 にほぼ 一 致 するものであったばかりでなく,ラットの 実 験 で AIN 群 と MF 群 との 間 に 観 察 された 差 とも 良 く 一 致 した したがって,ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン) を 豊 富 に 含 む 通 常 の 市 販 飼 料 にはそれらに 起 因 するエストロゲン 活 性 があり, 通 常 の 動 物 実 験 では,これまで 無 処 置 と 信 じられていた 対 照 群 の 動 物 にも, 市 販 飼 料 に 含 まれるポリフェノー ル 類 がエストロゲン 受 容 体 を 介 して 動 物 の 表 現 型 が 変 化 する 程 度 に 影 響 を 及 ぼしていること が 示 唆 される 3) 研 究 項 目 名 : 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がマウスの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 追 加 解 析 と, 低 ポリフェノール 飼 料 の 有 用 性 の 検 討 個 別 研 究 課 題 名 : 親 世 代 の 動 物 の 成 長 と 繁 殖 能 力 に 関 する 指 標 の 解 析 ( 担 当 : 堀 尾 文 彦, 村 井 篤 嗣, 小 林 美 里 ) 実 験 1 においては,MF 飼 料 を 分 析 の 結 果,ポリフェノール 類 は 少 なくとも 700 ppm 以 上 含 有 されていることが 明 らかとなった 交 尾 までのマウスの 体 重 増 加 は AIN93G 群 のほうがやや 大 きかった MF 群 では, 親 世 代 の 繁 殖 能 力 ( 交 尾 率, 妊 娠 率, 出 産 率, 妊 娠 期 間, 出 産 児 数 ) は 正 常 な 範 囲 の 値 であった そして,AIN93G 群 と(AIN93G+イソフラボン) 群 の 親 世 代 の 繁 殖 能 力 は MF 群 と 同 等 であった 個 別 研 究 課 題 名 :F1 世 代 の 児 動 物 の 生 後 発 達, 性 成 熟 に 関 する 指 標 の 解 析 ( 担 当 : 堀 尾 文 彦, 村 井 篤 嗣, 小 林 美 里 ) 実 験 1においては, 生 後 7 日 までの 児 動 物 の 生 存 率 が MF 群 で 約 40%という 低 い 値 であり, さらに AIN-93G 群 では 6%,(AIN-93G+イソフラボン) 群 では 0%であった このような 低 値 は 前 年 度 の 実 験 においては 見 られていない これらの 低 値 をもたらした 原 因 として, 親 動 物 の 飼 育 環 境 に 問 題 があると 考 え, 飼 育 環 境 の 改 善 を 加 えて 実 験 2を 行 なうこととした その 結 果, 実 験 2においては 生 後 7 日 までの 児 動 物 の 生 存 率 は MF 群 が 94%,AIN-93G 群 が 67%であり, 正 常 な 範 囲 内 にあった この 結 果 より, 植 物 エストロゲンを 含 まない 精 製 飼 料 である AIN-93G を 摂 取 した 場 合 にもマウスの 正 常 な 繁 殖 能 が 維 持 されており, 飼 料 中 の 微 量 な 植 物 エストロゲ ンの 繁 殖 能 への 影 響 を 正 確 に 評 価 できる 実 験 系 が 確 立 できたと 考 えられた さらに,MF 群 に 比 べて AIN-93G 群 での 生 存 率 がわずかに 低 下 する 傾 向 があることについては,AIN-93G 群 が 植 物 エストロゲンを 含 有 しないために 引 き 起 こされていることを 推 測 させる 興 味 ある 結 果 であっ た 19

(2) 全 体 の 研 究 成 果 1) 全 体 の 研 究 成 果 の 要 旨 ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 合 成 飼 料 (AIN-93G)を 自 家 調 製 してラ ットおよびマウスに 給 与 し,それらの 動 物 がポリフェノール 類 を 豊 富 に 含 む 通 常 飼 料 (MF)を 給 与 した 動 物 と 同 等 の 繁 殖 能 力 を 維 持 できるか 否 かを 検 討 した また,マウスの 実 験 において は, 種 々の 繁 殖 指 標 に 観 察 された AIN-93G 飼 料 給 与 群 と MF 飼 料 給 与 群 との 差 がポリフェノー ル 類 含 有 の 有 無 によるものか 否 かを 検 討 するため,AIN-93G 飼 料 に 300ppm の 濃 度 で 大 豆 イソフ ラボンを 添 加 した 飼 料 を 給 与 する 群 を 設 けて, 同 様 の 繁 殖 指 標 を 観 察 した 今 年 度 の 実 験 では,F1 世 代 のラットおよび 親 世 代 のマウスのいずれにおいても AIN-93G 給 与 群 の 動 物 がほぼ 正 常 に 繁 殖 することが 観 察 され,これらの 動 物 を 用 いた 生 殖 発 生 毒 性 試 験 が ポリフェノール 類 を 除 去 した 条 件 下 で 実 施 可 能 であることが 実 証 された 一 方,AIN-93G 飼 料 に 大 豆 イソフラボンを 添 加 した 群 の 動 物 に 観 察 された 雌 離 乳 児 の 子 宮 重 量 の 増 加 や 性 成 熟 の 早 期 化 あるいは 雄 離 乳 児 の 性 成 熟 の 遅 延 や 性 成 熟 後 の 精 嚢 および 前 立 腺 重 量 の 低 下 といった 変 化 は, 市 販 の MF 飼 料 を 給 与 した 群 の 動 物 に 観 察 された 変 化 とほぼ 完 全 に 一 致 した これら の 結 果 から,ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 豊 富 に 含 む 通 常 の 市 販 飼 料 にはそれら に 起 因 するエストロゲン 活 性 があり, 通 常 の 動 物 実 験 では,これまで 無 処 置 と 信 じられていた 対 照 群 の 動 物 にも, 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 がエストロゲン 受 容 体 を 介 して 動 物 の 表 現 型 が 変 化 する 程 度 に 影 響 を 及 ぼしていることが 強 く 示 唆 される 2) 研 究 成 果 2-1) 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がラットの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 ( 詳 細 なデータは, 分 担 研 究 者 報 告 書 を 参 照 されたい) F1 世 代 の 動 物 には 親 世 代 と 異 なるバッチの 飼 料 を 給 与 したため,これらの 飼 料 が 含 有 する ポリフェノール 類 を 分 析 した 分 析 の 結 果, 新 たに 調 製 した AIN-93G 飼 料 には 定 量 限 界 値 (10ppm)を 僅 かに 上 まわる(11ppm)ダイジンの 混 入 が 認 められたが,ほぼ 無 視 し 得 る 範 囲 の 濃 度 であると 判 断 した(Table 11) 一 方, 同 時 に 購 入 した 通 常 の MF 飼 料 には,グリシチン, ゲニスチン,ダイジンおよびダイゼインがそれぞれ 42,359,287 および 50ppm の 濃 度 で 検 出 され, 通 常 飼 料 に 含 まれる 植 物 エストロゲンの 総 量 は 738ppm であった したがって, 今 回 の 実 験 で MF 飼 料 給 与 群 ( 以 下 MF 群 と 記 載 する)のラットが 摂 取 する 総 植 物 エストロゲン 量 は, 体 重 300g の 動 物 が 1 日 当 たり 18g の 飼 料 を 摂 取 すると 仮 定 して 算 術 的 に 求 めた 場 合, 44.3mg/kg 体 重 / 日 と 見 積 もられた 20

Table 11. MF および AIN-93G 飼 料 に 含 まれる 植 物 エストロゲン 含 量 の 分 析 結 果 飼 料 中 の 検 出 濃 度 (ppm) 分 析 項 目 MF AIN-93G クメステロール ND ND グリシチン 42 ND グリシテイン ND ND ゲニスチン 359 ND ゲニステイン ND ND ダイジン 287 11 ダイゼイン 50 ND バイオカニン A ND ND フォルモノネチン ND ND ND: 検 出 限 界 値 (10ppm) 以 下 雌 雄 の 親 動 物 の 体 重 は, 親 世 代 同 様 にほぼ F1 世 代 を 通 じて AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 を 上 回 った これらの 動 物 の 摂 餌 量 をみると, 雄 では 投 与 初 期 には AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 より 低 く, 中 期 には 逆 に AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 を 上 回 ったが, 世 代 を 通 じて 一 貫 した 傾 向 はみられなか った 雌 については, 交 配 前 育 成 期 間 の 後 期 から 妊 娠 期 間 にかけて AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 よ り 有 意 に 高 かった これらの 動 物 を 10 週 間 育 成 した 後 に 交 配 したところ, 雌 雄 の 動 物 の 交 尾 率, 受 胎 率, 出 産 率, 妊 娠 期 間 および 出 産 児 の 性 比 といった 指 標 には,AIN 群 と MF 群 の 間 で 統 計 学 的 に 有 意 な 差 は 観 察 されなかった(Table 12) しかし, 親 世 代 と 同 様 に AIN 群 の 着 床 数 が MF 群 の 値 より 有 意 に 高 く,F1 世 代 では 産 児 数 も MF 群 より 有 意 に 多 かった これらの 結 果 は, 少 なくともラ ットにおいては, 飼 料 からポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 除 去 すると, 繁 殖 能 力 が やや 向 上 することを 示 唆 するものと 考 えられる Table 12. F1 世 代 動 物 の 繁 殖 に 関 する 指 標 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 / 検 査 項 目 MF ( 対 照 ) AIN-93G 雄 の 交 尾 率 (%) 24/24 (100.0) 24/24 (100.0) 雌 の 交 尾 率 (%) 24/24 (100.0) 24/24 (100.0) 受 胎 率 (%) 24/24 (100.0) 24/24 (100.0) 出 産 率 (%) 24/24 (100.0) 24/24 (100.0) 妊 娠 期 間 ( 日 ) 22.0±0.2 22.0±0.2 着 床 数 12.3±0.8 15.4±2.2 産 児 数 9.6±1.5 12.3±2.0 性 比 ( 雄 児 数 / 総 産 児 数 ) 0.450 0.463 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 F1 親 動 物 を 剖 検 して 生 殖 器 官 の 重 量 を 測 定 したところ,AIN 群 の 精 嚢 と 前 立 腺 の 絶 対 重 量 と 体 重 比 のいずれもが MF 群 の 値 を 有 意 に 上 回 った(Table 13) これらの 結 果 については, 飼 料 からポリフェノール 類 を 除 去 したこと( 飼 料 に 由 来 するエストロゲン 様 作 用 の 低 下 )と 21

の 関 連 が 示 唆 される 一 方, 雌 親 動 物 については, 卵 巣 重 量 は 絶 対 値 をみると AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 より 高 かったものの, 体 重 比 に 換 算 するとそれらはほぼ 同 じであった(Table 14) しかし,AIN 群 の 子 宮 重 量 は 絶 対 値 でみても MF 群 の 値 をやや 下 回 り, 体 重 比 には 有 意 な 低 値 が 観 察 された(Table 14) この 変 化 は, 飼 料 から 植 物 エストロゲンを 除 去 したことよるもの と 考 えられる Table 13. F1 世 代 における 雄 親 動 物 の 生 殖 器 官 重 量 (mg) 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 MF ( 対 照 ) AIN-93G 精 巣 ( 絶 対 重 量, mg) 2744±169 2764±131 精 巣 上 体 ( 絶 対 重 量, mg) 1024±48 1007±45 精 嚢 ( 絶 対 重 量, mg) 1570±85 1828±107 前 立 腺 ( 絶 対 重 量, mg) 446±67 563±106 精 巣 ( 体 重 比, %) 0.737±0.049 0.673±0.031 精 巣 上 体 ( 体 重 比, %) 0.275±0.014 0.245±0.010 精 嚢 ( 体 重 比, %) 0.422±0.028 0.445±0.023 前 立 腺 ( 体 重 比, %) 0.120±0.018 0.137±0.026 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 Table 14. F1 世 代 における 雌 親 動 物 の 生 殖 器 官 重 量 (mg) 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 MF ( 対 照 ) AIN-93G 卵 巣 ( 絶 対 重 量, mg) 103.8±8.7 112.9±9.0 子 宮 ( 絶 対 重 量, mg) 492±84 459±96 卵 巣 ( 体 重 比, %) 0.0417±0.0039 0.0426±0.0032 子 宮 ( 体 重 比, %) 0.197±0.030 0.173±0.032 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 雄 動 物 の 精 子 検 査 では, 精 子 運 動 率, 精 巣 上 体 尾 当 りの 精 子 数 および 精 巣 上 体 尾 の 重 量 で 補 正 した 精 子 数 のいずれにも 群 間 に 有 意 な 差 は 認 められなかった F1 哺 育 児 の 生 存 率 については,いずれの 時 期 においても AIN 群 の 値 が MF 群 の 値 をやや 下 回 ったものの, 群 間 で 統 計 学 的 に 有 意 な 差 はみられなかった(Table 15) 22

Table 15. F2 哺 育 児 の 生 存 率 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 / 検 査 項 目 MF ( 対 照 ) AIN-93G 児 の 生 存 率 ( 哺 育 0 日 ) 98.6±3.7 96.5±11.4 児 の 生 存 率 ( 哺 育 4 日 ) 98.0±4.0 93.5±10.8 児 の 生 存 率 ( 哺 育 7 日 ) 98.4±4.2 94.8±14.2 児 の 生 存 率 ( 哺 育 14 日 ) 95.3±8.9 92.7±22.4 児 の 生 存 率 ( 哺 育 21 日 ) 95.3±8.9 91.7±22.6 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 F2 哺 育 児 の 発 育 状 況 をみると,AIN 群 では 哺 育 児 の 体 重 が 雌 雄 とも 哺 育 0 日 から 4 日 まで の 間 は MF 群 の 値 より 低 く, 哺 育 7 日 に MF 群 の 値 とほぼ 等 しくなった 後, 哺 育 14 日 以 降 は むしろ MF 群 の 値 を 有 意 に 上 回 った F2 離 乳 児 では, AIN 群 における 脾 臓 の 絶 対 重 量 と 体 重 比 が 雌 雄 のいずれにおいても MF 群 の 値 より 有 意 に 高 かった(Table 16 および 17) また, 子 宮 については,AIN 群 における 絶 対 重 量 と 体 重 比 のいずれもが MF 群 の 値 より 有 意 に 低 かった(Table 17) Table 16. F2 雄 離 乳 児 の 臓 器 重 量 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 MF ( 対 照 ) AIN-93G 体 重 (g) 55±8 61±7 脳 ( 絶 対 重 量, mg) 1480±69 1492±66 脾 臓 ( 絶 対 重 量, mg) 161±26 240±41 胸 腺 ( 絶 対 重 量, mg) 144±26 165±24 脳 ( 体 重 比, %) 2.72±0.34 2.47±0.25 脾 臓 ( 体 重 比, %) 0.292±0.033 0.396±0.079 胸 腺 ( 体 重 比, %) 0.260±0.026 0.271±0.024 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 23

Table 17. F2 雌 離 乳 児 の 臓 器 重 量 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 MF ( 対 照 ) AIN-93G 体 重 (g) 53±7 59±5 脳 ( 絶 対 重 量, mg) 1446±52 1453±57 脾 臓 ( 絶 対 重 量, mg) 158±23 229±40 胸 腺 ( 絶 対 重 量, mg) 150±24 170±23 子 宮 ( 絶 対 重 量, mg) 56.6±9.0 50.4±9.2 脳 ( 体 重 比, %) 2.77±0.29 2.48±0.14 脾 臓 ( 体 重 比, %) 0.301±0.033 0.392±0.081 胸 腺 ( 体 重 比, %) 0.283±0.020 0.288±0.027 子 宮 ( 体 重 比, %) 0.1085±0.0191 0.0857±0.0152 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 F2 離 乳 児 の 性 成 熟 を 観 察 したところ,AIN 群 では 雄 の 性 成 熟 ( 包 皮 分 離 完 了 日 齢 )が 有 意 に 早 まり, 雌 の 性 成 熟 ( 膣 開 口 日 齢 )はやや 遅 延 した(Table 18) これらの 結 果 は,い ずれも MF 飼 料 に 含 まれているポリフェノール 類 のエストロゲン 様 作 用 に 起 因 した 変 化 と 考 えられた Table 18. F2 離 乳 児 の 性 成 熟 試 験 群 ( 給 与 飼 料 ) 測 定 項 目 MF ( 対 照 ) AIN-93G 雄 の 包 皮 分 離 完 了 日 齢 ( 日 ) 44.9±1.3 43.6±1.7 完 了 時 体 重 (g) 153±6 145±8 雌 の 膣 開 口 完 了 日 齢 ( 日 ) 31.7±2.1 32.8±1.8 完 了 時 体 重 (g) 78±10 83±8 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 動 物 実 験 を 終 了 した 後, 重 量 に 変 動 がみられた F1 雄 親 動 物 の 前 立 腺 を 病 理 学 的 に 検 査 したところ, 肉 眼 所 見 として 側 部 に 顆 粒 状 の 変 化 が 観 察 された 組 織 学 的 検 査 では,AIN 群 の 全 例 で 腺 腔 内 に 脱 落 した 上 皮 細 胞 や 変 性 した 好 中 球 を 主 体 とした 炎 症 性 細 胞 が 充 満 している 像 が 確 認 され, 前 立 腺 炎 と 診 断 された この 炎 症 は, 間 質 にリンパ 球 やマクロフ ァージを 主 体 とする 炎 症 性 細 胞 の 浸 潤 が 認 められる 通 常 の 前 立 腺 炎 とはやや 異 なり, 間 質 に 炎 症 性 細 胞 の 浸 潤 を 伴 わないものであった 一 方, 絶 対 重 量 が 増 加 した 雌 の 卵 巣 につい ては,F1 雌 親 動 物 を 対 象 に 病 理 組 織 学 的 検 査 を 実 施 したが, 原 始 卵 胞 の 数 や 性 状 に 群 間 で 明 らかな 差 は 認 められず, 二 次 卵 胞 やグラーフ 卵 胞, 黄 体 形 成 にも 異 常 は 認 められなかっ た 群 間 で 重 量 に 有 意 な 差 が 観 察 された 雌 離 乳 児 の 子 宮 については,F1 離 乳 児 を 対 象 として 病 理 組 織 学 的 検 査 を 実 施 した しかし,いずれの 群 においても, 粘 膜 上 皮 細 胞, 子 宮 腺, 間 質 細 胞 等 に 著 変 は 認 められなかった さらに, 細 胞 増 殖 活 性 を 比 較 するために 抗 PCNA 抗 体 を 用 いて 免 疫 組 織 学 的 検 査 を 行 ったところ, 子 宮 粘 膜 上 皮 の PCNA 陽 性 細 胞 数 には 群 間 で 差 は 検 出 されなかったものの, 子 宮 粘 膜 固 有 層 では AIN 給 与 群 における PCNA 陽 性 細 24

胞 数 が MF 群 の 値 より 有 意 に 高 かった 2-2) 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がマウスの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 追 加 解 析 と, 低 ポリフェノール 飼 料 の 有 用 性 の 検 討 ( 詳 細 なデータは, 分 担 研 究 者 報 告 書 を 参 照 されたい) 実 験 開 始 に 先 立 って, 動 物 に 給 与 する 3 種 類 の 飼 料 が 含 有 するポリフェノール 類 を 分 析 したところ,AIN-93G 飼 料 には 定 量 限 界 値 (10ppm)を 上 まわるような 量 の 植 物 エスト ロゲン 混 入 が 認 められなかった また,AIN-93G 飼 料 にクルードの 大 豆 イソフラボンを 添 加 した 飼 料 では,ゲニステインとダイゼインがそれぞれ 199ppm および 186ppm 検 出 され た(Table 19) 今 回 の 実 験 では,イソフラボン 添 加 飼 料 の 総 植 物 エストロゲン 濃 度 は 385ppm と 目 標 濃 度 の 300ppm を 上 回 ったが, 飼 料 供 給 会 社 より, 含 量 が 0.1% 以 下 の 微 量 成 分 については,この 程 度 の 誤 差 は 十 分 に 許 容 範 囲 内 にあるとの 説 明 を 得 た 一 方, 同 時 に 購 入 した 通 常 の MF 飼 料 にはゲニスチンとダイジンがそれぞれ 385 および 311ppm の 濃 度 で 検 出 され,この 飼 料 に 含 まれる 植 物 エストロゲンの 総 量 は 696ppm であった これらの 分 析 結 果 から,イソフラボン 添 加 飼 料 給 与 群 ( 以 下 ISO 群 と 記 載 する) と MF 飼 料 給 与 群 (MF 群 )のマウスが 摂 取 する 総 植 物 エストロゲン 量 は, 体 重 30g の 動 物 が 1 日 当 たり 3.8g の 飼 料 を 摂 取 すると 仮 定 して 算 術 的 に 求 めた 場 合,それぞれ 48.8 お よび 88.2mg/kg 体 重 / 日 と 見 積 もられた しかし,ゲニステインを 除 くゲニスチン,ダイ ジンおよびダイゼインのエストロゲン 活 性 は 極 めて 低 いと 考 えられることから, 今 回 の 実 験 で 用 いた 飼 料 の 持 つ 実 質 的 なエストロゲン 活 性 は,イソフラボン 添 加 飼 料 >MF 飼 料 >AIN-93G 飼 料 の 順 であったと 推 測 される 今 回 の 実 験 では, 植 物 エストロゲンの 含 有 量 が 比 較 的 低 い 原 料 を 用 いて 調 製 した NIH-07PLD 飼 料 と,これにクルードの 大 豆 イソフラボンを 300ppm の 濃 度 で 添 加 した 飼 料 も 調 製 して,マウスの 繁 殖 に 及 ぼすこれらの 飼 料 の 影 響 の 評 価 も 試 みた しかし,これ らの 飼 料 を 給 与 した 雌 マウスの 約 半 数 が 哺 育 7 日 から 哺 育 14 日 の 間 に 死 亡 し, 評 価 に 足 るデータを 得 ることができなかったため,この 報 告 書 ではそれらの 動 物 に 関 するデータ を 割 愛 する Table 19. MF および AIN-93G およびイソフラボン 添 加 AIN-93G 飼 料 に 含 まれる 植 物 エストロ ゲン 含 量 の 分 析 結 果 飼 料 中 の 検 出 濃 度 (ppm) イソフラボン 添 加 分 析 項 目 AIN-93G AIN-93G MF クメステロール ND ND ND グリシチン ND ND ND グリシテイン ND ND ND ゲニスチン ND ND 385 ゲニステイン ND 199 ND ダイジン ND ND 311 ダイゼイン ND 186 ND バイオカニン A ND ND ND フォルモノネチン ND ND ND ND: 検 出 限 界 値 (10ppm) 以 下 25

ISO 群 における 雄 親 動 物 の 体 重 は, 実 験 期 間 を 通 じて AIN 群 の 値 よりやや 低 かったが, いずれに 時 期 において 両 群 間 に 統 計 学 的 に 有 意 な 差 は 観 察 されなかった 一 方,MF 群 の 雄 の 体 重 には 実 験 開 始 後 1 週 間 で AIN 群 と 比 較 して 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 が 認 められるよ うになり,この 差 は 実 験 期 間 を 通 じて 観 察 された 今 回 の 実 験 では, 雌 親 動 物 の 体 重 についてもほぼ 同 様 の 傾 向 が 観 察 された すなわち, AIN 群 と ISO 群 の 雌 の 体 重 は 実 験 期 間 を 通 じてほぼ 同 じであり,MF 群 では 実 験 開 始 後 2 週 目 から 妊 娠 7 日 までの 間 の 体 重 が AIN 群 より 有 意 に 低 かった 雄 の 摂 餌 量 は, 実 験 第 1 週 における ISO 群 の 値 が AIN 群 の 値 より 僅 かながら 有 意 に 高 かったことを 除 き,いずれの 時 期 においても 群 間 に 有 意 な 差 は 認 められなかった 雌 で は, 交 配 前 育 成 期 間 の 後 期 ( 実 験 第 5 週 から 第 6 週 )と 妊 娠 期 間 中 における ISO 群 と MF 群 の 摂 餌 量 が AIN 群 より 有 意 に 高 かった しかし, 哺 育 期 間 中 逆 にこれらの 群 も 摂 餌 量 が AIN 群 の 値 よりやや 低 く,MF 群 の 哺 育 15-21 日 の 値 は AIN 群 の 値 より 統 計 学 的 に 有 意 に 低 かった これらの 動 物 を 6 週 間 育 成 した 後 に 交 配 したところ, 雌 の 受 胎 率, 出 産 率, 妊 娠 期 間, 着 床 数, 産 児 数 および 出 産 児 の 性 比 といった 指 標 には, 群 間 で 統 計 学 的 に 有 意 な 差 は 観 察 されなかった(Table 20) したがって,いずれの 飼 料 を 給 与 されたマウスも 正 常 に 繁 殖 することが 明 らかとなった Table 20. 雌 親 動 物 の 繁 殖 に 関 する 指 標 試 験 群 検 査 項 目 AIN AIN+ISO MF 受 胎 率 (%) 14/14 (100) 15/15 (100) 15/15 (100) 出 産 率 (%) 13/14 (92.9) 15/15 (100) 14/15 (93.3) 妊 娠 期 間 ( 日 ) a 19.1±0.4 19.3±0.5 19.4±0.5 a 着 床 数 8.5±1.1 8.9±1.3 8.4±1.9 a 産 児 数 6.0±2.0 5.8±2.2 5.7±2.3 b 性 比 0.512 0.465 0.529 a: 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 b: 雄 出 産 児 数 / 総 出 産 児 数 親 動 物 を 剖 検 して 生 殖 器 官 の 重 量 を 測 定 したところ, 雄 では MF 群 の 精 巣 上 体 重 量 が AIN 群 の 値 より 有 意 に 高 かったが,その 他 の 臓 器 には 群 間 で 有 意 な 差 は 認 められなかった また,この 群 では 雄 の 体 重 が 他 の 群 より 低 かったため,MF 群 では 体 重 比 でみると 前 立 腺 を 除 くすべての 生 殖 器 官 の 重 量 が AIN 群 より 有 意 に 高 かった 雌 の 卵 巣 および 子 宮 重 量 には, 群 間 で 有 意 な 差 はみられなかった 雄 動 物 の 精 子 検 査 では, 精 子 運 動 率, 精 巣 上 体 尾 当 りの 精 子 数 および 精 巣 上 体 尾 の 重 量 で 補 正 した 精 子 数 のいずれにも 群 間 に 有 意 な 差 は 認 められなかった AIN 群 における 哺 育 児 の 生 存 率 はやや 低 く, 哺 育 0 日 ( 出 産 時 )80.1%, 哺 育 7 日 で 66.5%であった(Tabele 21) この 群 では,すべての 哺 育 児 が 死 亡 した 腹 が, 哺 育 0 日 と 哺 育 7 日 に 1 腹 ずつ 観 察 された ISO 群 における 哺 育 児 の 生 存 率 も AIN 群 とほぼ 同 じで あり, 出 産 日 にすべての 哺 育 児 が 死 亡 した 腹 はなかったものの, 哺 育 7 日 までに 2 腹 で すべての 哺 育 児 が 死 亡 した MF 群 では, 統 計 学 的 な 有 意 差 を 伴 わないものの,いずれの 時 期 においても 哺 育 児 の 生 存 率 が AIN 群 および ISO 群 の 値 を 上 回 った 26

Table 21. F1 哺 育 児 の 生 存 率 (%) 試 験 群 哺 育 日 齢 AIN AIN+ISO MF 哺 育 0 日 80.1±29.2 85.1±19.4 88.8±26.9 哺 育 7 日 81.4±30.3 77.1±35.0 93.8±13.3 哺 育 14 日 79.9±30.9 75.3±35.5 92.8±15.3 哺 育 21 日 79.9±30.9 75.3±35.5 91.9±16.1 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 哺 育 0 日 における 哺 育 児 生 存 率 = 生 存 出 産 児 数 / 総 出 産 児 数 100 哺 育 7,14 および 21 日 の 哺 育 児 生 存 率 = 哺 育 7,14 および 21 日 における 生 存 児 数 / 哺 育 0 日 における 生 存 児 数 100 AIN 群 と ISO 群 における F1 哺 育 児 の 体 重 は, 雌 雄 とも 哺 育 期 間 を 通 じてほぼ 同 じであ った MF では, 哺 育 0 日 における 哺 育 児 の 体 重 が 雌 雄 とも AIN 群 の 値 を 上 回 り, 雌 では AIN 群 との 差 が 統 計 学 的 に 有 意 であった しかし, 哺 育 14 日 以 降 の 哺 育 児 の 体 重 は, 雌 雄 とも AIN 群 の 値 より 有 意 に 低 かった F1 離 乳 児 の 性 成 熟 を 観 察 したところ,ISO 群 と MF 群 では 雄 の 性 成 熟 がやや 遅 延 し, MF 群 の 包 皮 分 離 完 了 日 齢 と ISO 群 の 包 皮 分 離 完 了 時 における 体 重 には,それぞれ AIN 群 の 値 との 間 で 統 計 学 的 に 有 意 な 差 が 認 められた(Table 22) 一 方,これらの 群 では 雌 の 性 成 熟 が 早 期 化 する 傾 向 が 明 らかであり,ISO 群 では 腟 開 口 日 齢 と 腟 開 口 部 における 体 重 の 両 者 が,MF 群 では 腟 開 口 時 における 体 重 が,それぞれ AIN 群 の 値 より 有 意 に 低 かった これらの 結 果 は,いずれも 飼 料 に 含 まれている 大 豆 イソフラボン 類 のエストロゲン 様 作 用 に 起 因 した 変 化 と 考 えられた Table 22. F1 離 乳 児 の 性 成 熟 試 験 群 観 察 項 目 AIN AIN+ISO MF 雄 の 包 皮 分 離 完 了 日 30.7±1.4 32.0±1.9 32.5±2.3 齢 ( 日 ) 完 了 時 体 重 (g) 18.9±1.1 19.9±1.2 18.2±0.9 雌 の 膣 開 口 完 了 日 齢 26.3±2.3 23.7±1.7 26.7±3.4 ( 日 ) 完 了 時 体 重 (g) 14.9±1.4 13.7±1.4 13.2±1.6 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 雌 雄 の F1 離 乳 児 では, 雄 は 8 週 齢, 雌 は 6 週 齢 で 屠 殺 して 剖 検 し, 生 殖 器 官 の 重 量 を 測 定 した その 結 果, 雄 では ISO 群 と MF 群 における 精 嚢 の 重 量 がいずれも AIN 群 の 値 を 下 回 り, 絶 対 重 量 でみると AIN 群 との 差 はいずれも 統 計 学 的 に 有 意 であった(Table 23) これらの 群 では, 前 立 腺 の 重 量 にも 低 値 が 観 察 され,ISO 群 では AIN 群 との 差 が 絶 対 重 量 と 体 重 比 の 両 者 で 統 計 学 的 に 有 意 であった 雌 の 子 宮 については, ISO 群 と MF 群 の 値 がいずれも AIN 群 の 値 を 上 回 り, ISO 群 では 27

絶 対 重 量 と 体 重 比 のいずれもが AIN 群 の 値 より 有 意 に 高 かった(Table 24) Table 23. F1 雄 離 乳 児 の 生 殖 器 官 重 量 (mg,8 週 齢 時 ) 試 験 群 測 定 項 目 AIN AIN+ISO MF 精 巣 ( 絶 対 値 ) 134±6 137±11 133±7 精 巣 上 体 ( 絶 対 値 ) 43.6±3.3 43.2±3.3 41.9±3.2 精 嚢 ( 絶 対 値 ) 220±15 209±16 196±26 前 立 腺 ( 絶 対 値 ) 13.7±2.4 11.8±2.2 13.0±2.9 精 巣 ( 体 重 比 ) 0.503±0.031 0.520±0.042 0.546±0.028 精 巣 上 体 ( 体 重 比 ) 0.163±0.016 0.163±0.013 0.172±0.013 精 嚢 ( 体 重 比 ) 0.823±0.054 0.789±0.065 0.801±0.071 前 立 腺 ( 体 重 比 ) 0.0514±0.0091 0.0445±0.0077 0.0533±0.0119 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 : 統 計 学 的 に 有 意 な 低 値 Table 24. F1 雌 離 乳 児 の 生 殖 器 官 重 量 (mg,6 週 齢 時 ) 試 験 群 測 定 項 目 AIN AIN+ISO MF 卵 巣 ( 絶 対 値 ) 9.0±1.7 8.6±1.1 8.8±2.0 子 宮 ( 絶 対 値 ) 66.4±14.5 77.4±10.3 68.6±12.1 卵 巣 ( 体 重 比 ) 0.0418±0.0091 0.0405±0.0039 0.0432±0.0067 子 宮 ( 体 重 比 ) 0.309±0.066 0.365±0.054 0.341±0.052 群 平 均 値 ± 標 準 偏 差 : 統 計 学 的 に 有 意 な 高 値 2-3) 基 礎 飼 料 に 含 まれるポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)がマウスの 繁 殖 に 及 ぼす 影 響 の 解 析 6 週 齢 の 近 交 系 マウス(C3H/HeNSlc)を 用 いて 以 下 の 2 回 の 実 験 を 行 った 実 験 1 AIN93G 群 ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 合 成 飼 料 (AIN93G 飼 料 ) を 雄 9 匹, 雌 9 匹 に 自 由 摂 取 させる (AIN93G+イソフラボン) 群 AIN93G 飼 料 にイソフラボンを 添 加 したものを, 雄 9 匹, 雌 9 匹 に 自 由 摂 取 させる MF 群 ポリフェノール 類 を 含 む 通 常 の 繁 殖 用 飼 料 (MF,オリエンタル 酵 母 ( 株 ))を 雄 9 匹, 雌 9 匹 に 自 由 摂 取 させる 実 験 2 AIN93G 群 ポリフェノール 類 ( 植 物 エストロゲン)を 含 まない 合 成 飼 料 (AIN93G 飼 料 ) を 雄 9 匹, 雌 9 匹 に 自 由 摂 取 させる MF 群 ポリフェノール 類 を 含 む 通 常 の 繁 殖 用 飼 料 (MF,オリエンタル 酵 母 ( 株 ))を 雄 9 匹, 雌 9 匹 に 自 由 摂 取 させる 得 られた 結 果 は, 以 下 の 通 りである 28