要 約 I 調 査 概 要 1. 調 査 の 背 景 沖 縄 県 の 雇 用 情 勢 は 復 帰 以 降 完 全 失 業 率 が 常 時 全 国 平 均 を 大 幅 に 上 回 る 水 準 で 推 移 している さらに 賃 金 水 準 についても 全 国 平 均 を 下 回 る 水 準 が 続 いている 本 県 の 厳 しい 雇 用 情 勢 の 改 善 のためには 第 一 に 復 帰 以 降 の 本 県 の 雇 用 労 働 を 取 り 巻 く 環 境 変 化 の 検 証 第 二 に 現 時 点 における 本 県 の 雇 用 賃 金 等 労 働 実 態 における 課 題 の 整 理 第 三 に 雇 用 労 働 情 勢 の 変 化 にかかる 経 過 と 現 状 課 題 を 踏 まえ 今 後 の 雇 用 労 働 施 策 に 関 する 見 通 しと 方 策 につ いての 検 討 が 望 まれる 2. 調 査 の 目 的 今 回 の 調 査 においては 沖 縄 振 興 計 画 に 基 づき 実 施 された 雇 用 施 策 の 検 証 を 行 うとともに 本 県 に おける 雇 用 労 働 の 実 態 把 握 を 行 い その 課 題 抽 出 と 今 後 の 方 向 性 を 検 討 するに 当 たって 必 要 な 基 礎 資 料 を 得 ることを 目 的 として 行 った 3. 調 査 の 視 点 今 回 の 調 査 では 本 県 の 雇 用 労 働 情 勢 の 特 徴 ( 高 失 業 率 強 い 県 内 志 向 の 一 方 で 指 摘 される 県 外 季 節 労 働 の 多 さ 求 人 求 職 のミスマッチ 低 い 労 働 条 件 強 い 地 縁 血 縁 のつながりなど)を 踏 まえ 1 求 職 者 無 業 者 の 生 活 実 態 2 求 人 求 職 転 職 の 実 態 (ハローワーク 等 を 介 さないものを 含 む) 3 県 外 就 職 の 実 態 4 県 民 の 就 業 意 識 5 企 業 における 雇 用 労 働 実 態 などに 焦 点 をあてた 調 査 を 行 った 4. 調 査 方 法 今 回 の 調 査 では 本 県 における 雇 用 労 働 実 態 の 多 角 的 包 括 的 な 把 握 を 行 うために 1 一 般 県 民 2 一 般 企 業 3 教 育 機 関 4 民 間 職 業 紹 介 人 材 派 遣 会 社 5 県 外 組 織 等 を 対 象 として 調 査 を 実 施 し た 調 査 に 当 たっては アンケート 調 査 による 定 量 的 データ ヒアリング 調 査 により 定 性 的 データの 収 集 を 図 るとともに 先 行 調 査 研 究 等 の 文 献 調 査 を 実 施 した 図 表 1 調 査 対 象 方 法 と 概 要 調 査 対 象 方 法 概 要 文 献 調 査 一 般 県 民 アンケート 企 業 アンケート 学 校 アンケート ハローワークにおける 求 職 者 ヒアリング 民 間 職 業 紹 介 会 社 ヒアリング 進 路 指 導 担 当 者 ヒアリング 生 徒 学 生 グループインタビュー 経 済 団 体 ヒアリング 県 外 ヒアリング 国 勢 調 査 労 働 力 調 査 賃 金 センサス 就 業 構 造 基 本 調 査 等 を 分 析 配 布 数 :5,883 人 有 効 回 答 数 :1,73 人 配 布 事 業 所 :2, 社 有 効 回 答 数 :321 社 配 布 学 校 数 :123 校 有 効 回 答 数 :67 校 5 箇 所 9 人 6 事 業 所 高 校 :2 校 専 門 学 校 :1 校 大 学 短 大 :1 団 体 高 校 生 :1 名 専 門 学 校 生 :14 名 大 学 生 :5 名 対 象 団 体 数 :3 団 体 国 内 4 都 道 府 9 事 業 所 1
II 統 計 データにみる 沖 縄 の 雇 用 労 働 情 勢 の 推 移 1. 経 済 情 勢 本 県 の 名 目 成 長 率 は 1997 年 から 23 年 までは 全 国 と 比 べて 高 い 成 長 増 加 率 であったが 23 年 以 降 は 低 い 傾 向 にある また 県 民 所 得 は 全 国 の 7 割 程 度 にとどまっており 労 働 分 配 率 を 全 国 と 比 較 した 場 合 雇 用 者 報 酬 の 占 める 割 合 が 低 く 企 業 所 得 の 占 める 割 合 が 全 国 に 比 べ 高 い 2. 総 人 口 と 労 働 力 率 の 推 移 1) 総 人 口 国 勢 調 査 によれば 総 人 口 は 本 土 復 帰 以 降 増 加 を 続 け それにともない 生 産 年 齢 人 口 も 実 数 割 合 ともに 増 加 ( 上 昇 )してきた 高 齢 人 口 も 同 様 に 実 数 割 合 ともに 増 加 ( 上 昇 )する 一 方 で 年 尐 人 口 は 減 尐 ( 低 下 )し 人 口 の 高 齢 化 が 進 んでいる 図 表 2 総 人 口 ( 年 齢 三 区 分 )の 推 移 (197 年 ~25 年 ) ( 万 人 ) 8 7 6 5 4 3 2 1 男 性 4 4 6 7 9 3 3 2 26 32 35 38 4 42 43 45 17 17 17 16 15 14 14 13 197 1975 198 1985 199 1995 2 25 ( 万 人 ) 8 7 6 5 4 3 2 1 4 5 5 女 性 6 8 9 11 13 29 33 35 38 4 42 43 44 16 16 16 16 15 14 13 12 197 1975 198 1985 199 1995 2 25 15 歳 未 満 15 ~ 64 歳 65 歳 以 上 15 歳 未 満 15 ~ 64 歳 65 歳 以 上 資 料 出 所 : 琉 球 政 府 計 画 局 統 計 庁 国 勢 調 査 報 告 総 務 省 統 計 局 国 勢 調 査 報 告 年 齢 不 詳 は 除 く 2) 労 働 力 率 国 勢 調 査 における 男 性 の 労 働 力 率 は 低 下 傾 向 にある 女 性 の 年 齢 階 級 別 の 労 働 力 率 はいわゆるM 字 曲 線 を 描 くが 年 々 その 底 が 上 昇 し 女 性 の 労 働 力 率 は 上 昇 する 傾 向 にある 同 時 に M 字 の 底 が 3 代 後 半 にシフトしつつあり 出 産 育 児 等 による 離 職 時 期 が 高 年 齢 化 短 期 間 化 しているとみられ る 図 表 3 労 働 力 率 の 推 移 (197 年 ~25 年 ) (%) 1. 男 性 (%) 1. 女 性 8. 8. 6. 6. 4. 4. 資 料 出 所 : 琉 球 政 府 計 画 局 統 2. 2. 計 庁 国 勢 調 査 報 告 総 務 省. 15~19 2~24 25~29 3~34 35~39 4~44 45~49 5~54 55~59 6~64 197 1975 198 1985 199 1995 2 25. 15~19 2~24 25~29 3~34 35~39 4~44 45~49 5~54 55~59 6~64 197 1975 198 1985 199 1995 2 25 統 計 局 国 勢 調 査 報 告 単 位 :% 2
3. 雇 用 情 勢 1) 就 業 者 ( 沖 縄 県 の 生 産 年 齢 における 産 業 構 造 ) 国 勢 調 査 における 就 業 者 数 は 人 口 の 増 加 にともない 時 点 による 変 動 はあるものの 増 加 を 続 けてき た 産 業 別 でみると 第 一 次 産 業 の 就 業 者 が 減 尐 する 一 方 で 第 三 次 産 業 の 就 業 者 が 大 幅 に 増 加 した 第 二 次 産 業 については 小 幅 な 変 動 にとどまっている 図 表 4 産 業 別 就 業 者 数 の 推 移 (197 年 ~25 年 ) ( 千 人 ) 35 3 25 2 15 1 5 男 性 197 1975 198 1985 199 1995 2 25 第 一 次 産 業 第 二 次 産 業 ( 建 設 業 ) 第 二 次 産 業 ( 建 設 業 以 外 ) 第 三 次 産 業 ( 卸 小 売 飲 食 店 サービス 業 ) 第 三 次 産 業 ( 上 記 以 外 のサービス 業 ) ( 千 人 ) 35 3 25 2 15 1 5 女 性 197 1975 198 1985 199 1995 2 25 第 一 次 産 業 第 二 次 産 業 ( 建 設 業 ) 第 二 次 産 業 ( 建 設 業 以 外 ) 第 三 次 産 業 ( 卸 小 売 飲 食 店 サービス 業 ) 第 三 次 産 業 ( 上 記 以 外 のサービス 業 ) 資 料 出 所 : 琉 球 政 府 計 画 局 統 計 庁 国 勢 調 査 報 告 総 務 省 統 計 局 国 勢 調 査 報 告 2) 完 全 失 業 者 本 土 復 帰 前 後 から 完 全 失 業 者 数 は 大 幅 に 増 加 した 国 勢 調 査 ベースでは 197 年 から 1975 年 の 5 年 間 で 男 女 ともに 約 2 倍 の 失 業 率 となっているが これは 大 幅 な 人 口 増 加 によるものに 加 え 本 土 復 帰 によって 基 地 従 業 員 の 大 幅 な 解 雇 等 が 行 われたことや 復 帰 不 安 による 企 業 の 採 用 手 控 えなどが 生 じ たことも 一 因 あると 考 えられる 労 働 力 調 査 による 25 年 以 降 の 失 業 率 は 全 国 の 男 女 ともに 下 降 する 傾 向 にあったものが 27 年 には 反 転 して 上 昇 する 傾 向 にある 一 方 本 県 では 男 女 ともに 高 止 まりで 慢 性 的 な 高 さとなってい る また 95 年 以 降 は 失 業 率 に 占 める 3 代 以 上 の 割 合 が 上 昇 する 傾 向 がみられる 図 表 5 完 全 失 業 者 数 完 全 失 業 率 の 推 移 (197 年 ~25 年 ) 6, 13.7 15. 5, 4, 9. 8.4 8.3 8.8 11.3 1.3 1. 3, 2, 4.6 6.4 6.4 6.8 6.1 8.6 8.1 9.3 5. 1, 197 3.2 1975 198 1985 199 1995 2 完 全 失 業 者 ( 男 性 ) 完 全 失 業 者 ( 女 性 ) 完 全 失 業 率 ( 男 性 ) 完 全 失 業 率 ( 女 性 ) 25. 資 料 出 所 : 琉 球 政 府 計 画 局 統 計 庁 国 勢 調 査 報 告 総 務 省 統 計 局 国 勢 調 査 報 告 単 位 : 人 % 3
3) 新 規 学 卒 者 高 校 卒 業 者 の 進 路 を 学 校 基 本 調 査 での 長 期 時 系 列 でみると 9 年 代 後 半 からは 上 昇 傾 向 にある 進 学 率 の 高 まりに 対 し 就 職 率 は 低 下 傾 向 にある 無 業 率 は 2 年 代 前 半 まで 2~3% 台 を 推 移 して きたが 23 年 以 降 は 低 下 傾 向 にある 高 校 生 における 県 外 就 職 については 復 帰 前 後 ~23 年 ご ろには 低 下 する 傾 向 にあったが 23 年 からは 県 外 へ 就 職 する 傾 向 へと 反 転 している 大 学 卒 業 者 については 就 職 率 が 5% 前 後 無 業 率 が 3% 前 後 で 推 移 してきたが 近 年 は 就 職 率 が 上 昇 無 業 率 は 低 下 傾 向 にある 図 表 6 高 校 卒 業 者 の 大 学 等 進 学 率 就 職 率 無 業 率 の 推 移 (1972 年 ~28 年 ) 5. 45. 4. 35. 3. 25. 2. 15. 1. 5.. 1972 年 3 月 卒 1974 年 3 月 卒 1976 年 3 月 卒 1978 年 3 月 卒 198 年 3 月 卒 1982 年 3 月 卒 1984 年 3 月 卒 1986 年 3 月 卒 1988 年 3 月 卒 199 年 3 月 卒 1992 年 3 月 卒 1994 年 3 月 卒 1996 年 3 月 卒 1998 年 3 月 卒 進 学 率 就 職 率 無 業 率 資 料 出 所 : 文 部 科 学 省 学 校 基 本 調 査 2 年 3 月 卒 22 年 3 月 卒 24 年 3 月 卒 26 年 3 月 卒 28 年 3 月 卒 図 表 7 大 学 卒 業 者 の 就 職 率 無 業 率 の 推 移 (1972 年 ~28 年 ) 1. 9. 8. 7. 6. 5. 4. 3. 2. 1.. 1972 年 3 月 卒 1974 年 3 月 卒 1976 年 3 月 卒 1978 年 3 月 卒 198 年 3 月 卒 1982 年 3 月 卒 1984 年 3 月 卒 1986 年 3 月 卒 1988 年 3 月 卒 199 年 3 月 卒 1992 年 3 月 卒 1994 年 3 月 卒 1996 年 3 月 卒 1998 年 3 月 卒 2 年 3 月 卒 22 年 3 月 卒 24 年 3 月 卒 26 年 3 月 卒 28 年 3 月 卒 就 職 率 無 業 率 資 料 出 所 : 文 部 科 学 省 学 校 基 本 調 査 沖 縄 県 統 計 年 鑑 (1976 年 3 月 卒 ) 4
4) 有 効 求 人 倍 率 有 効 求 人 倍 率 については 全 国 が 景 気 の 変 動 に 応 じて 大 きく 変 動 しているのに 対 し 本 県 では 緩 や かな 変 動 にとどまり 有 効 求 人 倍 率 はほぼ.5 以 下 の 水 準 で 推 移 している 図 表 8 一 般 有 効 求 人 倍 率 の 推 移 (197 年 ~28 年 ) (%) 有 効 求 人 倍 率 の 推 移 2. 1.41 1.5 1.16.88 1..43.38.5.19. 7 72 74 76 78 8 82 84 86 88 9 92 94 96 98 2 2 4 6 8 全 国 沖 縄 資 料 出 所 : 沖 縄 労 働 局 沖 縄 県 職 業 安 定 行 政 年 報 4. 労 働 情 勢 1) 従 業 上 の 地 位 ( 雇 用 形 態 ) 直 近 の 国 勢 調 査 (25)による 従 業 上 の 地 位 をみると 全 国 に 比 べ 本 県 においては 常 雇 の 割 合 が 低 く 臨 時 雇 と 事 業 主 の 割 合 が 高 い 図 表 9 従 業 上 の 地 位 (15~69 歳 )(25 年 ) 男 性 女 性 (%) 8 7 6 5 4 3 2 1 72. 66.7 常 雇 11. 7.5 4.1 6.7 臨 役 時 雇 員 16.4 12.3 事 業 主 沖 縄 全 国 1.8 1.5.. 従 家 内 家 業 職 者 族 者 庭 (%) 8 7 6 5 4 3 2 1 6.863.9 常 雇 24.6 2. 臨 時 雇 沖 縄 全 国 6.6 6.6 8.1 1.2 2.9 4.5.2.7 役 事 従 家 内 家 業 業 職 員 主 者 族 者 庭 資 料 出 所 : 総 務 省 統 計 局 国 勢 調 査 報 告 (25 年 ) 常 雇 とは 役 員 以 外 で 期 間 を 定 めずに 又 は 1 年 を 超 える 期 間 を 定 めて 雇 われている 人 臨 時 雇 とは 日 々 又 は 1 年 以 内 の 期 間 を 定 めて 雇 用 されている 人 2) 従 業 上 の 地 位 の 異 動 22 年 と 27 年 の 就 業 構 造 基 本 調 査 によれば 正 規 社 員 から 非 正 規 社 員 1や 自 営 業 へ 異 動 す る 人 の 比 率 が 高 まっている また 非 正 規 社 員 の 状 態 で 継 続 して 就 労 している 人 の 割 合 が 男 性 で 約 5 割 女 性 で 約 7 割 となっている 1 就 業 構 造 基 本 調 査 における 雇 用 者 のうち 正 規 の 職 員 従 業 員 以 外 のものをここでは 非 正 規 社 員 と 表 記 する 5
3) 賃 金 28 年 の 賃 金 構 造 基 本 統 計 調 査 による 本 県 の 企 業 規 模 別 年 間 所 得 は 従 業 員 1, 人 以 上 ( 大 規 模 ) で 男 性 は 542 万 円 ( 全 国 :68 万 円 ) 女 性 は 33 万 円 ( 全 国 :381 万 円 )であった 1~999 人 ( 中 規 模 )では 男 性 が 37 万 円 ( 全 国 :53 万 円 ) 女 性 が 273 万 円 ( 全 国 :329 万 円 )となった 従 業 員 1~99 人 ( 小 規 模 )では 男 性 は 318 万 円 ( 全 国 :44 万 円 ) 女 性 は 246 万 円 ( 全 国 :251 万 円 )で あった 全 国 に 比 べ 本 県 においては 大 規 模 と 中 小 規 模 の 賃 金 格 差 が 大 きい 全 企 業 について 年 齢 階 級 別 に 賃 金 を 比 較 した 場 合 本 県 では 全 国 に 比 べて 年 功 による 賃 金 上 昇 の 度 合 いが 小 さく かつピークが 若 い 世 代 で 訪 れる すなわち 賃 金 の 伸 びが 遅 く 早 い 時 期 に 賃 金 の 上 昇 が 止 まる 傾 向 がみられる これは 勤 続 年 数 の 短 さなどが 影 響 していることが 考 えられる 図 表 1 年 齢 階 級 別 所 定 内 給 与 ( 全 企 業 )(28 年 ) ( 単 位 : 千 円 ) 5 男 性 ( 単 位 : 千 円 ) 5 女 性 4 4 3 格 差 3 2 2 格 差 1 沖 縄 全 国 ~19 歳 25~29 35~39 45~49 55~59 1 沖 縄 全 国 ~19 歳 25~29 35~39 45~49 55~59 資 料 出 所 : 厚 生 労 働 省 賃 金 構 造 基 本 統 計 調 査 (28 年 ) 4) 労 働 時 間 総 実 労 働 時 間 のトレンドをみると 全 国 同 様 に 低 下 する 傾 向 にある ただし 企 業 規 模 が 小 さくな るほど 労 働 時 間 が 長 くなる 傾 向 があり 本 県 においては 中 小 規 模 に 雇 用 される 労 働 者 の 割 合 が 高 いこ とから 全 国 に 比 べ 長 時 間 労 働 をしている 労 働 者 の 割 合 が 高 いと 考 えられる 5. 雇 用 施 策 本 県 における 雇 用 施 策 に 関 して 平 成 14 年 度 を 始 期 とする 沖 縄 振 興 計 画 においては 雇 用 の 安 定 と 職 業 能 力 の 開 発 として (1) 雇 用 機 会 の 創 出 拡 大 と 求 職 者 支 援 (2) 若 年 労 働 者 の 雇 用 促 進 (3) 職 業 能 力 の 開 発 (4) 働 きやすい 環 境 づくり (5) 駐 留 軍 等 労 働 者 の 雇 用 対 策 の 推 進 の5 つの 項 目 が 掲 げられており 分 野 別 計 画 として 沖 縄 県 職 業 安 定 計 画 による 施 策 展 開 が 図 られている なお 職 業 安 定 計 画 はこれまで 三 次 にわたる 計 画 ( 前 期 中 期 後 期 )が 策 定 されており 中 期 に 相 当 する 第 二 次 沖 縄 県 職 業 安 定 計 画 にあたる 平 成 19 年 度 までの 実 績 については (1) 雇 用 機 会 の 創 出 拡 大 と 求 職 者 支 援 (2) 若 年 労 働 者 の 雇 用 促 進 (4) 働 きやすい 環 境 づくり については 評 価 指 標 の 目 標 数 値 を 達 成 しているが (3) 職 業 能 力 の 開 発 と 人 材 育 成 (5) 駐 留 軍 等 労 働 者 の 雇 用 対 策 の 推 進 では 目 標 数 値 に 達 していない 6
III 調 査 結 果 1. 求 職 者 無 業 者 生 活 実 態 調 査 求 職 者 無 業 者 生 活 実 態 調 査 においては 1 県 民 アンケート( 有 効 回 答 数 : 求 職 者 114 人 無 業 者 393 人 ) 2 求 職 者 ヒアリング( 回 答 者 数 :9 人 ) 3 学 校 アンケート( 回 答 数 : 高 校 41 校 専 門 学 校 21 校 大 学 5 校 )により 調 査 を 行 った 主 な 質 問 内 容 は 求 職 者 無 業 者 の 生 活 費 住 居 相 談 相 手 の 有 無 等 生 活 基 盤 の 状 況 求 職 期 間 無 業 期 間 の 長 さ 等 である 求 職 者 では 預 貯 金 の 取 り 崩 しにより 生 活 費 を 確 保 している 者 が4 割 近 く(36.8%)おり また 世 帯 年 収 2 万 円 台 以 下 が 半 数 以 上 (51.8%)を 占 めるなど 失 業 により 生 活 基 盤 が 脅 かされる 求 職 者 の 存 在 が 見 受 けられた また 中 高 年 女 性 の 求 職 者 において 就 職 困 難 を 訴 える 意 見 があった 無 業 者 においては 就 業 に 対 する 意 欲 が 低 いと 考 えられる 人 失 業 状 態 の 長 期 化 により 就 労 意 欲 が 減 退 した 人 が 合 わせて 3.5%みられた 2. 求 人 求 職 実 態 調 査 求 人 求 職 実 態 調 査 においては 1 県 民 アンケート( 求 職 者 無 業 者 ) 2 企 業 アンケート( 回 収 数 : 321 社 )3 職 業 紹 介 人 材 派 遣 サービス 企 業 ヒアリング( 県 内 中 心 に 職 業 紹 介 人 材 派 遣 を 行 う 企 業 3 社 ) 4 学 校 アンケート 5 学 校 進 路 指 導 担 当 者 ヒアリング( 高 校 2 校 大 学 就 職 指 導 団 体 1 団 体 専 門 学 校 1 校 ) 6 生 徒 学 生 グループインタビュー( 高 校 生 :1 名 専 門 学 校 生 :14 名 大 学 生 : 5 名 に 対 するグループインタビュー)により 調 査 を 行 った 主 な 質 問 項 目 は 求 人 求 職 の 希 望 条 件 求 人 求 職 時 に 使 用 する 情 報 源 企 業 が 希 望 する 人 材 像 就 職 に 必 要 な 資 格 スキルについて 等 である 調 査 結 果 からは 求 職 者 と 企 業 の 間 には 雇 用 形 態 賃 金 求 人 求 職 活 動 に 関 する 情 報 等 に 対 し ミスマッチがあると 推 測 される また 求 職 者 企 業 双 方 とも 3 割 程 度 がハローワーク 求 人 広 告 な どと 併 せて 縁 故 による 求 人 求 職 活 動 を 行 っており 限 定 的 な 範 囲 での 求 人 求 職 マッチングが 行 わ れている 可 能 性 がある 教 育 機 関 の 進 路 指 導 担 当 者 ヒアリングにおいては 指 導 体 制 の 強 化 や 企 業 の 求 人 数 の 尐 なさ 学 生 の 就 業 意 欲 の 低 さなどを 指 導 上 の 課 題 として 感 じている 一 方 で 生 徒 学 生 ヒアリングからは 進 路 決 定 における 教 職 員 保 護 者 の 影 響 が 強 く 感 じられる 3. 県 外 就 職 実 態 調 査 県 外 就 職 実 態 調 査 においては 1 県 民 アンケート( 求 職 者 無 業 者 就 業 者 / 有 効 回 答 数 1,73) 2 職 業 紹 介 人 材 派 遣 サービス 企 業 ヒアリング( 県 外 企 業 への 職 業 紹 介 人 材 派 遣 を 行 う 企 業 3 社 ) 3 学 校 アンケートにより 調 査 を 行 った 主 な 質 問 項 目 は 県 外 就 職 経 験 の 有 無 県 外 就 職 時 の 雇 用 労 働 条 件 在 職 期 間 U ターン 意 向 の 有 無 県 外 製 造 業 での 期 間 従 業 員 等 (いわゆる 季 節 労 働 )に 従 事 する 求 職 者 の 状 況 等 についてである 今 回 の 調 査 における 県 外 就 職 経 験 者 の 割 合 は 回 答 者 全 体 の 4 割 前 後 である 直 近 の 県 外 での 就 職 経 験 をたずねると 若 年 者 では 契 約 社 員 の 割 合 が 高 く 県 外 企 業 の 賃 金 の 高 さや 県 外 での 生 活 自 体 に 魅 力 を 感 じて 就 職 するが 県 内 出 身 者 の 大 半 が 就 職 当 初 から 帰 沖 意 向 を 持 っている 7
4. 県 民 の 求 職 行 動 就 職 に 対 する 意 識 調 査 県 民 の 求 職 行 動 就 職 に 対 する 意 識 調 査 では 1 県 民 アンケート( 求 職 者 無 業 者 就 業 者 ) 2 学 校 アンケート 3 企 業 アンケートにより 調 査 を 実 施 した 主 な 質 問 項 目 は 学 卒 時 の 求 職 行 動 初 職 ( 学 卒 後 初 めてついた 仕 事 ) 最 長 職 ( 調 査 時 点 までの 職 業 経 歴 の 中 で 最 も 長 く 勤 めた 仕 事 )の 転 職 時 における 求 職 行 動 雇 用 形 態 離 職 理 由 就 職 に 対 す る 意 識 等 である 調 査 によると 求 職 行 動 に 関 しては 新 規 学 卒 者 の 1 割 程 度 は 卒 業 後 3 カ 月 を 経 過 しても 就 職 が 決 まらないなど 初 職 開 始 時 点 において 長 期 失 業 の 懸 念 がある 人 がいた また 女 性 においては 出 産 育 児 等 家 庭 の 事 情 により 離 職 する 者 の 割 合 が 高 い 就 職 に 対 する 意 識 に 関 しては 全 体 の 4 割 程 度 が 転 職 に 対 し 積 極 的 な 意 向 を 持 っており 若 年 者 ほどその 傾 向 が 強 い 働 くこと 自 体 に 関 する 意 識 につ いては 収 入 よりやりがいを 仕 事 に 求 める 人 など 就 労 意 識 が 比 較 的 高 い 層 は 6~7 割 前 後 とみられる 5. 企 業 調 査 企 業 調 査 においては 1 企 業 アンケート 2 経 済 団 体 ヒアリング(3 団 体 )により 調 査 を 実 施 した 主 な 質 問 項 目 は 企 業 の 人 事 評 価 人 材 育 成 の 状 況 従 業 員 の 定 着 状 況 教 育 機 関 との 連 携 等 につ いてである 調 査 結 果 からは 調 査 対 象 企 業 において 何 らかの 教 育 研 修 制 度 を 整 備 しているのは 約 半 数 にとど まり 未 整 備 の 企 業 においては 今 後 も 整 備 予 定 のない 企 業 が 多 数 を 占 めた また 教 育 機 関 との 連 携 による 人 材 育 成 人 材 確 保 に 対 する 意 識 関 心 が 低 い ただし 経 済 団 体 ヒアリングでは 県 内 では 中 小 零 細 企 業 が 多 いこと 現 在 の 経 済 状 況 では 収 益 環 境 が 厳 しいことなどから 県 内 企 業 が 人 材 確 保 育 成 にかける 余 力 が 小 さいことや 経 営 者 の 意 識 向 上 などの 課 題 も 指 摘 されている 6. 県 外 比 較 調 査 1 失 業 者 無 業 者 の 生 活 2 求 人 求 職 3 県 外 就 職 4 就 労 に 対 する 意 識 5 企 業 の 雇 用 に 対 す る 意 識 の 諸 点 について 県 内 調 査 結 果 等 と 比 較 するために 国 内 4 都 道 府 ( 大 阪 府 京 都 府 東 京 都 北 海 道 )9 カ 所 において 行 政 機 関 教 育 機 関 経 済 団 体 企 業 NPO 法 人 財 団 法 人 等 にヒア リング 調 査 を 実 施 した 調 査 の 結 果 1 失 業 者 無 業 者 の 生 活 に 関 わる 取 り 組 みとして さまざまな 失 業 求 職 に 関 する 相 談 事 にワンストップで 対 応 する 体 制 の 整 備 や NPO による 居 場 所 仕 事 づくりなど 失 業 無 業 状 態 に ある 人 が 利 用 参 加 しやすい 支 援 の 方 策 が 示 唆 された 2 求 人 求 職 に 関 する 取 り 組 みについては 商 工 会 議 所 など 既 存 の 団 体 のネットワークを 活 用 した 潜 在 求 人 の 掘 り 起 こしとマッチング 企 業 ニーズに 対 応 した 人 材 育 成 の 重 要 性 がうかがわれた 3 県 外 就 職 に 関 する 取 り 組 みについては 地 域 雇 用 創 出 や 労 働 者 の 資 格 取 得 促 進 等 を 通 じ 季 節 労 働 者 の 通 年 雇 用 化 の 促 進 を 図 り 雇 用 の 安 定 化 に 取 り 組 む 事 例 がみられた 4 就 労 に 対 する 意 識 に 関 しては 教 育 機 関 が 企 業 や 地 域 団 体 とのネットワークを 通 じ 生 徒 学 生 に 多 様 な 就 業 経 験 社 会 経 験 を 体 感 させることにより 自 己 効 力 感 (やればできるという 感 覚 )を 醸 成 し 就 労 意 欲 の 向 上 につなげる 取 り 組 みがあった 5 企 業 の 雇 用 に 対 する 意 識 については 企 業 から 従 業 員 に 対 する 明 確 な 経 営 理 念 の 発 信 とそれに 基 づく 充 実 した 人 材 育 成 の 重 要 性 を 示 唆 する 事 例 がみられた 8
IV 沖 縄 の 雇 用 労 働 の 現 状 と 課 題 1. 統 計 データからみえる 課 題 本 県 は 第 3 次 産 業 (サービス 産 業 )の 占 める 割 合 が 高 い 産 業 構 造 となっており これらの 産 業 では 他 の 産 業 に 比 べ 臨 時 雇 率 が 高 く 不 安 定 な 就 労 形 態 での 雇 用 の 割 合 が 高 くなる 加 えて 賃 金 水 準 が 大 企 業 に 比 べて 低 い 中 小 企 業 に 雇 用 される 労 働 者 の 割 合 が 全 国 よりも 高 い これらのことから 本 県 の 労 働 市 場 は 転 職 等 が 多 いため 勤 続 年 数 が 延 びにくく かつ 企 業 規 模 からみても 低 賃 金 になりやすい 労 働 市 場 となっている 不 安 定 低 賃 金 な 労 働 市 場 であるが 故 に たとえ 就 業 者 であっても 失 業 のリスクが 高 く 仮 に 就 業 したとしても 転 職 などにより 再 び 失 業 者 に 移 行 しやすいことが 考 えられる また 勤 続 年 数 の 短 さ から 企 業 内 教 育 等 による 能 力 開 発 機 会 が 尐 ないことが 低 賃 金 失 業 のリスクを 高 めていると 考 えられ る また 全 国 と 比 べて 大 学 卒 業 者 など 高 等 教 育 修 了 者 の 雇 用 の 受 け 皿 が 尐 ないことも 要 因 として 考 えられる 加 えて 女 性 の 労 働 市 場 への 進 出 が 進 んでいることから 男 性 の 就 業 者 が 失 業 者 へとシフ トしていることも 考 えられる これら 様 々な 作 用 が 連 関 し 慢 性 的 に 高 い 失 業 率 をもたらしていると 推 察 される 2.アンケート ヒアリング 調 査 からみえる 課 題 1) 求 職 者 無 業 者 の 生 活 基 盤 求 職 者 の 世 帯 年 収 については 3 万 円 未 満 が 半 数 を 占 めている 世 帯 年 収 が 3 万 円 未 満 の 世 帯 は 無 業 者 では 4 割 弱 となっており 無 業 者 に 比 べ 年 収 の 低 い 世 帯 の 割 合 が 高 い 無 業 者 に 関 しては 回 答 者 のうち 専 業 主 婦 主 夫 が 約 4 割 年 金 生 活 者 等 が 約 3 割 学 生 が 1 割 弱 であった 理 由 はないが 仕 事 を 探 していない が 2.% 仕 事 を 探 していたがあきらめた とい う 人 は 1.5%であった 図 表 11 世 帯 年 収 項 目 1 万 円 未 満 1 万 円 台 2 万 円 台 3 万 円 台 4 万 円 台 5 万 円 台 6 万 円 台 7 万 円 台 8 万 円 台 9 万 円 台 1 万 円 以 上 無 回 答 総 計 実 数 構 成 比 (%) 就 業 者 求 職 者 無 業 者 総 数 就 業 者 求 職 者 無 業 者 総 数 66 18 31 115 5.5 15.8 7.9 6.8 114 19 46 179 9.5 16.7 11.7 1.5 169 22 65 256 14.1 19.3 16.5 15. 29 15 64 288 17.5 13.2 16.3 16.9 146 15 35 196 12.2 13.2 8.9 11.5 12 4 35 159 1. 3.5 8.9 9.3 96 2 27 125 8. 1.8 6.9 7.3 66 15 81 5.5. 3.8 4.8 43 2 9 54 3.6 1.8 2.3 3.2 4 1 4 45 3.3.9 1. 2.6 6 1 6 67 5..9 1.5 3.9 67 15 56 138 5.6 13.2 14.2 8.1 1196 114 393 173 1. 1. 1. 1. 9
無 業 者 では 約 6 割 が 持 ち 家 に 住 んでいると 回 答 しており 民 間 公 営 の 賃 貸 住 宅 に 住 む 人 は 約 3 割 であった 賃 貸 住 宅 の 家 賃 負 担 者 は 配 偶 者 が 約 6 割 であり 専 業 主 婦 が 多 いことから 家 賃 をは じめとする 家 計 の 主 たる 負 担 者 が 他 の 家 族 ( 夫 )となっていることが 分 かる 求 職 者 では 無 業 者 や 就 業 者 に 比 べ 民 間 賃 貸 住 宅 に 住 んでいる 人 の 比 率 が 高 く 失 業 により 収 入 が 途 絶 えた 場 合 住 居 の 確 保 に 影 響 を 受 ける 人 の 割 合 が 高 いといえる また 賃 貸 住 宅 に 住 む 求 職 者 の 約 3 割 は 家 賃 負 担 者 を 自 分 と 回 答 しており 失 業 による 住 居 喪 失 のリスクが 生 じている 図 表 12 住 まいの 状 況 項 目 持 ち 家 アパート 貸 家 など 民 間 の 賃 貸 住 宅 県 営 団 地 公 営 賃 貸 住 宅 社 宅 公 務 員 住 宅 その 他 無 回 答 総 計 実 数 構 成 比 (%) 就 業 者 求 職 者 無 業 者 総 数 就 業 者 求 職 者 無 業 者 総 数 653 52 241 946 54.6 45.6 61.3 55.5 39 39 97 526 32.6 34.2 24.7 3.9 58 12 17 87 4.8 1.5 4.3 5.1 25 1 1 36 2.1.9 2.5 2.1 36 3 8 47 3. 2.6 2. 2.8 34 7 2 61 2.8 6.1 5.1 3.6 1196 114 393 173 1. 1. 1. 1. 2) 求 人 求 職 の 実 態 企 業 においては 大 半 の 企 業 が 従 業 員 規 模 を ちょうどよい と 考 えており 従 業 員 の 採 用 は 不 定 期 な 欠 員 補 充 即 戦 力 志 向 が 強 い 求 職 者 企 業 ともに 求 人 求 職 に 利 用 するツールは ハローワーク 紹 介 新 聞 広 告 求 人 誌 がベスト3である しかし 企 業 側 からは 希 望 する 人 材 の 応 募 は 尐 ない との 回 答 の 割 合 が 比 較 的 高 いことから 人 柄 がよくわかり 手 間 のかからない 紹 介 の 評 価 が 比 較 的 高 いといえよう した がって 求 人 求 職 ニーズが 顕 在 化 しないまま 転 職 が 行 われるケースは 尐 なくない 求 職 者 が 知 りたい 情 報 企 業 が PR している 情 報 にはミスマッチがある 年 金 保 険 育 児 休 業 等 の 福 利 厚 生 など 待 遇 に 関 する 項 目 では 求 職 者 の 関 心 が 高 いのに 対 し 企 業 の 回 答 割 合 は 低 めであ る( 求 職 者 :44.7% 企 業 :2.9%) 一 方 で 企 業 からは 欲 しい 人 物 像 について PR を 図 ってい るのに 対 し 求 職 者 の 関 心 が 低 い( 求 職 者 :8.8% 企 業 :29.9%) 就 業 に 必 要 な 資 格 スキル に 関 して 運 転 免 許 については 企 業 アンケートで 運 転 免 許 は 必 須 あるほうが 望 ましい と 回 答 した 企 業 が 合 わせて 約 9 割 であり 運 転 免 許 を 持 っていることが 就 職 に 有 利 に 働 くと 考 えられる 一 方 求 職 者 で 運 転 免 許 を 持 っている 人 は 約 8 割 であるが 約 1 割 は 免 許 を 持 っておらず これらの 人 々は 就 職 活 動 において 不 利 な 立 場 になりやすいと 考 えられる PC スキル については 企 業 の 求 める 水 準 と 求 職 者 のスキル 水 準 に 大 きな 乖 離 はないが キーボ ードが 使 用 可 能 であれば 若 干 雇 用 可 能 性 が 高 まる 見 込 みがある 1
図 表 13 求 職 者 が 知 りたい 求 人 情 報 と 企 業 が PR している 求 人 情 報 項 目 求 職 者 (%) 企 業 (%) 担 当 する 仕 事 の 具 体 的 内 容 64. 7.4 月 給 賞 与 など 報 酬 の 具 体 的 内 容 62.3 5.2 必 要 な 経 験 技 術 資 格 56.1 61.4 残 業 休 日 出 勤 夜 勤 の 有 無 45.6 31.8 年 金 保 険 育 児 休 業 等 の 福 利 厚 生 44.7 2.9 契 約 更 新 定 年 等 の 雇 用 期 間 28.1 6.5 転 勤 の 有 無 勤 務 地 情 報 24.6 5.9 採 用 者 数 と 離 職 者 数 の 動 向 22.8 5. 企 業 の 事 業 内 容 や 将 来 展 望 21.9 26.8 不 採 用 の 理 由 21.9 4. 服 装 髪 型 職 場 の 雰 囲 気 16.7 1.3 昇 給 や 昇 進 の 具 体 的 内 容 16.7 6.9 経 営 者 の 人 柄 14. 2.2 経 営 方 針 12.3 17.4 協 調 性 や 人 柄 といった 人 物 像 の 具 体 的 内 容 8.8 29.9 入 社 後 のキャリア 形 成 1.5 7.8 その 他 2.6.9 無 回 答 6.1 3.1 N= 求 職 者 :114 企 業 :321 複 数 回 答 のため 構 成 比 の 合 計 は 1%を 超 える 3) 県 外 就 職 の 実 態 県 外 就 職 を 経 験 したことがあるのは 男 女 とも 4 割 前 後 である 就 職 理 由 については 県 外 で 生 活 をしてみたかった 給 料 がよかった 知 識 技 術 が 身 に 付 くから 自 分 に 合 いそうな 内 容 の 仕 事 があった などの 回 答 が 高 い 県 外 での 就 職 には 約 4 割 は 同 行 者 が あり と 回 答 している 離 職 理 由 では 2 代 など 若 年 者 では 定 年 契 約 期 間 満 了 の 割 合 が 高 いが 年 齢 が 上 がるにつれ 親 族 友 人 知 人 から 帰 るように 言 われた が 高 まる また 女 性 は 男 性 に 比 べ 結 婚 出 産 育 児 介 護 など 家 庭 の 事 情 による 離 職 が 高 くなっている 図 表 14 県 外 就 職 の 理 由 ( 左 ) 離 職 理 由 ( 右 )( 複 数 回 答 ) 項 目 実 数 構 成 比 (%) 知 識 技 術 が 身 に 付 くから 14 21.8 給 料 がよかった 175 27.3 自 分 に 合 いそうな 内 容 の 仕 事 があった 115 17.9 昇 進 やキャリアに 将 来 性 があった 16 2.5 会 社 の 将 来 性 が 期 待 できた 36 5.6 勤 め 先 のイメージがよかった 45 7. 肉 体 的 精 神 的 に 負 担 が 尐 なそうだった 1 1.6 希 望 の 雇 用 形 態 ( 正 社 員 など)だった 46 7.2 結 婚 出 産 育 児 介 護 などとの 都 合 で 11 1.7 労 働 時 間 が 適 当 休 みがとりやすそうだった 17 2.6 保 険 福 利 厚 生 が 整 っていた 46 7.2 最 終 的 に 出 た 学 校 が 県 外 だったから 56 8.7 県 外 で 生 活 をしてみたかった 181 28.2 親 族 友 人 知 人 の 紹 介 すすめがあったから 7 1.9 親 族 友 人 等 が 県 外 で 働 いていたから 59 9.2 もともと 県 外 出 身 だから 69 1.7 その 他 63 9.8 無 回 答 14 2.2 サンプル 数 642 - 複 数 回 答 のため 構 成 比 の 合 計 は 1%を 超 える 項 目 実 数 構 成 比 (%) 知 識 技 術 が 身 に 付 かなかったから 14 2.2 給 料 に 不 満 36 5.6 仕 事 内 容 が 自 分 にあわない 45 7. 雇 用 形 態 に 不 満 14 2.2 昇 進 やキャリアに 将 来 性 がなかった 19 3. 希 望 退 職 に 応 募 13 2. 会 社 の 将 来 性 に 期 待 が 持 てなかった 23 3.6 退 職 を 強 要 解 雇 された されそうだった 13 2. 職 場 の 人 間 関 係 がつらかった 5 7.8 勤 め 先 が 倒 産 廃 業 した しそうだった 12 1.9 肉 体 的 精 神 的 に 負 担 が 大 きかった 79 12.3 定 年 契 約 期 間 満 了 86 13.4 結 婚 出 産 育 児 介 護 など 家 庭 の 事 情 128 19.9 労 働 時 間 が 長 い 休 みがとれなかった 23 3.6 保 険 福 利 厚 生 が 整 っていなかった 9 1.4 県 外 の 生 活 になじめなかった 42 6.5 県 出 身 の 同 僚 友 人 等 が 沖 縄 に 帰 ったから 29 4.5 県 外 出 身 で 沖 縄 で 生 活 してみたかった 26 4. 親 族 友 人 知 人 から 帰 るように 言 われた 117 18.2 その 他 94 14.6 無 回 答 29 4.5 サンプル 数 642-11
4) 県 民 の 求 職 行 動 就 職 に 対 する 意 識 求 職 行 動 学 卒 後 初 めて 就 いた 仕 事 ( 初 職 )は 男 女 ともに 卒 業 前 に 約 半 数 卒 業 後 1 カ 月 未 満 で 約 7 割 卒 業 後 3 カ 月 未 満 で 約 8 割 が 決 定 する 初 職 については 回 答 者 全 体 の 6 割 前 後 が 正 社 員 で 就 職 するも のの 概 ね 3 年 ~5 年 前 後 で 半 数 近 くが 離 職 している 離 職 理 由 としては 男 女 ともに 仕 事 内 容 が 自 分 に 合 わなかった 給 料 に 不 満 肉 体 的 精 神 的 な 負 担 が 大 きい という 回 答 の 割 合 が 高 い 最 長 職 の 離 職 理 由 では 結 婚 出 産 育 児 介 護 など 家 庭 の 事 情 が 高 い 回 答 割 合 となり 次 に 肉 体 的 精 神 的 な 負 担 が 大 きい となっている 縁 故 採 用 による 就 職 については 回 答 者 の 3 割 程 度 が 縁 故 による 就 職 を 経 験 しているとみられ 男 女 とも 回 答 が 多 い 順 に 友 人 知 人 の 紹 介 家 族 親 族 の 紹 介 家 族 親 族 の 経 営 する 職 場 の 順 となっている 就 職 に 対 する 意 識 理 想 的 な 仕 事 については 男 女 ともに 収 入 の 安 定 が 最 も 高 い 回 答 割 合 となっている 就 職 に 対 する 考 え 方 では 回 答 者 全 体 でみた 場 合 時 間 をかけて 希 望 にあう 就 職 と 条 件 をゆるやかにした 早 めの 就 職 とがほぼ 拮 抗 した 転 職 に 対 する 考 え 方 では 年 齢 が 上 がるほど 今 より 良 い 条 件 の 勤 め 先 があっても 一 つの 勤 め 先 に 長 く 勤 める 方 がよい という 回 答 の 割 合 が 上 昇 する 傾 向 にある ただし 若 年 層 とりわけ 2 代 では 就 職 活 動 において 自 分 の 希 望 にあった 就 職 のために 時 間 を かけたり 転 職 したりすることに 比 較 的 抵 抗 が 尐 なく 楽 しい 仕 事 を 選 択 したいという 傾 向 が 他 の 世 代 に 比 べて 強 い 仕 事 と 生 活 のバランスについては 全 体 的 に 仕 事 と 家 庭 の 両 立 に 対 する 回 答 が 最 も 高 いものの 女 性 では 生 活 中 心 どちらかといえば 生 活 中 心 の 回 答 割 合 が 高 く 男 性 では 仕 事 中 心 どち らかといえば 仕 事 中 心 の 回 答 割 合 が 高 い 働 くことに 対 する 考 え 方 では たとえ 経 済 的 にめぐまれていなくても 気 ままに 暮 らす 方 がよい など 働 くことに 対 し 消 極 的 な 考 え 方 を 持 つ 人 は 2~3 割 程 度 で あまり 収 入 が 良 くなくてもやりがい のある 仕 事 がしたい など 働 くことに 対 し 積 極 的 な 回 答 は 6~7 割 程 度 となり 県 外 類 似 調 査 ( 社 会 経 済 性 本 部 新 入 社 員 < 働 くことの 意 識 > 調 査 )の 結 果 とほぼ 同 じ 傾 向 となった 図 表 15 働 くことに 対 する 考 え 方 項 目 たとえ 経 済 的 に 恵 まれなくても 気 ままに 暮 らす 方 がいい 仕 事 は 稼 ぐための 手 段 であって 面 白 いものではない あまり 収 入 がよくなくてもやりが いのある 仕 事 がしたい 将 来 の 幸 福 のためには 今 は 我 慢 が 必 要 だ どこでも 通 用 する 専 門 知 識 を 身 につけたい そう 思 う どちらかと いえば そう 思 う どちらかと いえばそう 思 わない そう 思 わない なんとも いえない 無 回 答 4. 15. 16.2 53.4 7.8 3.6 1. 8.2 2.7 18.1 4.5 9.2 3.4 1. 19.3 38.3 14. 11.7 13.5 3.2 1. 3. 38.3 8.7 7.8 11.9 3.3 1. 62.8 24.1 2.3 2.5 4.8 3.4 1. 計 12
5) 企 業 の 雇 用 に 対 する 意 識 従 業 員 の 人 事 評 価 について 何 らかの 形 で 文 書 化 されている 企 業 は 回 答 企 業 全 体 の 約 2 割 にとどま り 人 事 評 価 制 度 が 確 立 していない 企 業 が 多 い また 従 業 員 への 経 営 理 念 の 浸 透 については 企 業 によりある 程 度 の 差 はあるが 従 業 員 に 何 らか の 形 で 企 業 理 念 の 浸 透 を 図 っている しかし 企 業 理 念 等 を 従 業 員 に 話 すことは 特 にない 経 営 理 念 等 のあり 方 について 深 く 考 える 機 会 がない という 企 業 が 約 1 割 ある これらの 企 業 では 従 業 員 からみて 会 社 上 司 が 何 を 考 えているか 分 からない という 不 満 を 持 ちやすい 環 境 があると 考 え られる 従 業 員 に 対 し 何 らかの 教 育 研 修 を 行 っている 企 業 は 約 5 割 であった 一 方 で 教 育 研 修 を 行 っ ていない 企 業 については 今 後 も 教 育 研 修 制 度 を 整 備 する 予 定 がない 企 業 の 割 合 が 高 く 教 育 研 修 制 度 の 整 備 について 企 業 間 の 温 度 差 が 大 きい インターンシップについては 受 入 経 験 があるのは 回 答 企 業 全 体 の 約 3 割 で 多 くの 企 業 は 受 入 経 験 がない 受 入 経 験 がない 企 業 に 対 し 今 後 の 受 入 意 向 についてたずねた 質 問 では 受 け 入 れたい という 企 業 は 約 2 割 にとどまり 約 6 割 が 受 け 入 れたくない と 回 答 するなど インターンシップ の 受 入 に 否 定 的 な 企 業 が 多 い 図 表 16 研 修 教 育 制 度 の 有 無 と 今 後 の 研 修 教 育 制 度 の 整 備 意 向 実 数 構 成 比 (%) 実 数 構 成 比 (%) ある 174 54.2 現 在 具 体 的 な 計 画 がある 9 6.9 ない 131 4.8 現 在 具 体 的 な 計 画 はない 114 87. 不 明 16 5. 不 明 8 6.1 総 計 321 1. 総 計 131 1. 図 表 17 インターンシップの 受 け 入 れ 状 況 項 目 受 入 れ て い る て 以 い 前 た は 受 け 入 れ (サンプル 数 :321) 実 数 構 成 比 (%) が 受 一 け 度 入 も れ な た い こ と 無 回 答 総 計 受 入 れ て い る て 以 い 前 た は 受 け 入 れ が 受 一 け 度 入 も れ な た い こ と 無 回 答 総 計 農 林 水 産 業 1 3 4 25.. 75.. 1. 鉱 業 製 造 業 6 3 15 1 25 24. 12. 6. 4. 1. 土 木 建 築 業 11 8 32 5 56 19.6 14.3 57.1 8.9 1. 電 気 ガス 熱 水 道 業 2 6 1 9 22.2. 66.7 11.1 1. 通 信 業 2 2.. 1.. 1. 情 報 サービス 業 5 7 2 14 35.7. 5. 14.3 1. 卸 小 売 業 14 6 49 2 71 19.7 8.5 69. 2.8 1. 金 融 保 険 業 2 1 2 5 4. 2. 4.. 1. 不 動 産 リース 業 2 17 19 1.5. 89.5. 1. 飲 食 業 2 4 1 7 28.6. 57.1 14.3 1. 宿 泊 業 1 1 1.... 1. サービス 娯 楽 業 13 3 21 1 38 34.2 7.9 55.3 2.6 1. 医 療 福 祉 1 1 6 8 12.5 12.5 75.. 1. 教 育 学 習 支 援 業 ( 民 間 ) 1 3 4 25.. 75.. 1. 郵 便 局 農 協 漁 協 2 2.. 1.. 1. その 他 18 8 28 2 56 32.1 14.3 5. 3.6 1. 総 計 79 3 197 15 321 24.6 9.3 61.4 4.7 1. 13
V これまでの 施 策 検 証 と 今 後 の 方 向 性 1.これまでの 施 策 検 証 これまでの 施 策 実 績 については 地 域 雇 用 開 発 促 進 法 に 基 づく 雇 用 開 発 の 促 進 では 概 ね 約 1 万 4, 人 の 雇 用 創 出 が 図 られたとみられる 施 設 訓 練 においては 沖 縄 振 興 計 画 開 始 時 点 の 平 成 14 年 度 から 平 成 2 年 度 までに 1 万 7,551 人 が 公 的 職 業 訓 練 により 就 労 を 果 たすなど 一 定 の 雇 用 創 出 効 果 をもたらしている しかし 施 策 に 対 する 県 民 企 業 の 周 知 は 十 分 でないと 感 じられている インターンシップ 等 若 年 者 のキャリア 形 成 に 関 する 施 策 については 企 業 意 識 の 向 上 や 実 施 方 法 の 改 善 に 対 する 意 見 がみら れる また 年 齢 層 が 上 昇 するにしたがって 公 的 就 業 支 援 サービスが 役 に 立 つ と 回 答 する 人 の 割 合 が 低 下 する 傾 向 がみられ 中 高 年 の 就 労 支 援 について 再 検 討 する 必 要 がある 2. 今 後 の 雇 用 情 勢 に 関 する 推 計 国 立 社 会 保 障 人 口 問 題 研 究 所 日 本 の 都 道 府 県 別 将 来 推 計 人 口 ( 平 成 19 年 5 月 推 計 )によると 沖 縄 県 の 総 人 口 は 男 性 は 225 年 女 性 では 23 年 をピークに 減 尐 するものと 推 計 されている そ れに 基 づいて 労 働 力 率 や 就 業 率 の 推 計 を 行 い 全 国 並 みや 類 似 県 並 みの 失 業 率 を 確 保 するには ど の 程 度 の 就 業 者 増 を 図 ればいいかを 検 討 した 1) 生 産 年 齢 人 口 の 年 齢 階 級 別 労 働 力 率 と 就 業 率 の 推 移 と 見 通 し 国 勢 調 査 による 197 年 から 25 年 までの 年 齢 階 級 別 就 業 率 のトレンドによる 単 純 延 長 の 推 移 に 基 づき 労 働 力 率 を 推 計 した 場 合 男 性 は 全 ての 年 齢 階 級 で 労 働 力 率 が 低 下 する 傾 向 にある 逆 に 女 性 では 全 ての 年 齢 階 級 において 上 昇 する 傾 向 にある また 年 齢 化 階 級 別 就 業 率 のトレンドによる 単 純 延 長 の 推 移 に 基 づき 就 業 率 を 推 計 した 場 合 男 女 ともに 就 業 率 は 低 下 する 傾 向 にあり 男 性 の 就 業 率 の 低 下 は 顕 著 に 見 える 2) 全 国 なみの 失 業 率 水 準 に 必 要 な 生 産 年 齢 人 口 の 就 業 者 数 の 見 込 み 25 年 の 全 国 の 失 業 率 は 男 性 が 6.8% 女 性 が 5.2%であるが その 水 準 を 確 保 するためには 25 年 の 就 業 者 数 に 対 し 男 性 では 21 年 には 約 3 万 人 22 年 では 約 3 万 7, 人 の 追 加 就 業 者 が 必 要 と 見 込 まれる 女 性 では 21 年 に 約 1 万 3, 人 22 年 では 1 万 8, 人 の 追 加 就 業 者 が 必 要 と 見 込 まれる 3) 類 似 県 並 み( 現 状 維 持 )の 失 業 率 水 準 に 必 要 な 生 産 年 齢 人 口 の 就 業 者 数 の 見 込 み 25 年 の 類 似 県 並 み( 現 状 維 持 )の 失 業 率 は 男 性 が 1.1% 女 性 が 6.5%であるが その 水 準 を 確 保 するためには 25 年 の 就 業 者 数 に 対 し 男 性 では 21 年 に 約 1 万 8, 人 22 年 に 約 2 万 5, 人 の 追 加 就 業 者 が 必 要 と 見 込 まれる 一 方 女 性 では 21 年 に 約 9, 人 22 年 に 約 1 万 3, 人 の 追 加 就 業 者 が 必 要 と 見 込 まれる すなわち 21 年 では 男 性 で 1 万 8,~3 万 人 女 性 で 9,~1 万 3, 人 の 雇 用 が 必 要 と 考 えられる また 22 年 では 男 性 で 2 万 5,~3 万 7, 人 女 性 で 1 万 3,~1 万 8, 人 の 雇 用 が 必 要 と 考 えられる そのためには 企 業 の 一 層 の 生 産 性 向 上 男 女 の 均 等 な 雇 用 機 会 の 確 保 労 働 者 のワーク ライフ バランスの 確 立 非 正 規 雇 用 者 の 雇 用 安 定 化 失 業 者 のセーフティネット と 能 力 開 発 機 会 の 確 保 など 雇 用 の 質 量 の 拡 充 が 重 要 である 14
3.まとめ 1) 地 域 特 性 を 活 かした 雇 用 の 拡 大 と 社 会 環 境 の 変 化 に 対 応 した 雇 用 の 創 造 本 県 においては 人 口 増 加 による 労 働 力 供 給 圧 力 が 強 く 失 業 率 も 高 くなりやすい 状 況 にあるが 沖 縄 振 興 計 画 に 基 づく 雇 用 関 連 施 策 により 雇 用 創 出 が 図 られたことで 雇 用 情 勢 の 悪 化 に 歯 止 めがか かっているものと 考 えられる ただし 本 県 においては 215 年 ごろまでは 生 産 年 齢 人 口 の 増 加 が 続 き 加 えて より 一 層 の 女 性 や 中 高 年 の 労 働 市 場 への 参 入 が 見 込 まれることから 当 面 の 間 さらなる 雇 用 創 出 が 必 要 と 考 えられ る 今 後 の 雇 用 創 出 の 方 向 性 については 第 一 に 本 県 の 地 域 特 性 を 踏 まえた 産 業 振 興 と 雇 用 拡 大 であ る 自 然 文 化 を 活 かした 観 光 関 連 産 業 や 企 業 集 積 が 進 む 情 報 通 信 関 連 産 業 地 理 的 条 件 を 活 かし た 物 流 分 野 での 雇 用 創 出 等 産 業 振 興 施 策 とリンクした 本 県 の 特 徴 を 活 かし 競 争 力 を 持 ちうる 産 業 分 野 での 雇 用 の 拡 大 が 期 待 される また 農 商 工 連 携 による 雇 用 創 出 産 業 の 高 度 化 に 対 応 しうる 中 核 人 材 の 育 成 確 保 に 向 けた 新 卒 者 の 採 用 促 進 や UIJ ターン 人 材 のマッチング 促 進 なども 強 化 する 必 要 がある 第 二 に 今 後 進 行 する 尐 子 化 高 齢 化 等 社 会 の 変 化 に 対 応 した 雇 用 の 創 造 である 多 様 な 雇 用 労 働 のあり 方 や 今 後 直 面 する 社 会 的 課 題 の 解 決 に 向 けた 雇 用 の 創 造 に 向 けた 取 り 組 みの 一 つとして ソーシャル ビジネスやコミュニティ ビジネスの 創 業 を 促 進 することが 期 待 される 本 県 において も これら 新 たな 視 点 に 立 った 働 き 方 や 雇 用 の 創 造 が 期 待 される 2) キャリア 形 成 に 対 する 意 識 の 向 上 将 来 の 労 働 者 となる 児 童 生 徒 の 教 育 や 意 識 啓 発 においては 新 規 学 卒 者 の 進 路 未 決 定 率 が 低 下 する など 関 連 施 策 の 効 果 がうかがえる 今 後 も 引 き 続 き 県 民 の 意 識 啓 発 やキャリア 形 成 に 関 する 児 童 生 徒 学 生 の 教 育 支 援 体 制 の 整 備 を 推 進 することが 重 要 である 厳 しい 雇 用 情 勢 や 県 内 企 業 の 雇 用 労 働 条 件 の 低 さから 若 年 者 にとっては 長 期 的 なキャリア 形 成 の 見 通 しが 立 てにくいと 考 えられるが 短 期 的 な 視 野 に 立 った 就 業 行 動 は キャリア 形 成 や 資 質 向 上 機 会 の 逸 失 を 招 き 年 齢 の 上 昇 とともに 再 就 職 を 困 難 にし 失 業 率 の 高 止 まりや 非 労 働 力 化 を 招 くこ とにつながるおそれがある 教 育 機 関 等 を 通 じた 生 徒 学 生 の 指 導 支 援 の 拡 充 を 図 るとともに 起 業 による 仕 事 おこしなど 自 ら 仕 事 をつくる 意 欲 をもつ 人 材 の 育 成 も 検 討 されてよい また 保 護 者 の 意 向 が 若 年 者 の 就 職 行 動 に 影 響 を 与 えている 状 況 も 見 受 けられることや 若 年 者 の キャリア 形 成 や 人 材 育 成 に 対 する 企 業 の 関 心 の 薄 さなどを 考 慮 し 今 後 の 若 年 者 の 就 労 支 援 において は 保 護 者 や 企 業 など 教 育 機 関 以 外 の 個 人 団 体 を 巻 き 込 んだ 取 り 組 みが 期 待 される 3) 企 業 の 雇 う 力 労 働 者 の 働 く 力 の 向 上 本 県 は 中 小 零 細 規 模 の 事 業 所 の 割 合 が 他 県 よりも 高 く 企 業 においては 雇 用 人 材 育 成 にかける 経 営 リソースが 脆 弱 であること 労 働 者 においては 雇 用 労 働 環 境 の 改 善 に 対 する 意 識 向 上 や 経 営 者 に 対 する 意 思 表 示 がしにくい 環 境 があると 考 えられる 沖 縄 振 興 計 画 においても 企 業 労 働 者 に 対 する 雇 用 支 援 施 策 が 展 開 されてきたが 事 業 のより 一 層 の 周 知 活 用 を 促 進 することが 課 題 である 労 使 双 方 における 雇 用 労 働 条 件 の 向 上 に 対 する 意 識 啓 発 を 図 るとともに 中 小 零 細 企 業 が 活 用 しやすい 雇 用 支 援 施 策 の 検 討 や 労 働 者 が 職 業 人 としての 資 質 を 高 めるための 公 的 職 業 訓 練 をはじめとする 多 様 な 資 源 を 活 用 した 人 材 育 成 施 策 の 強 化 などが 望 15
まれる また 労 働 組 合 の 育 成 支 援 による 雇 用 労 働 環 境 の 向 上 や 企 業 の 商 工 会 等 地 域 経 済 団 体 へ の 加 入 促 進 など 労 働 者 企 業 双 方 の 組 織 化 を 促 進 し 労 使 の 雇 う 力 働 く 力 の 向 上 が 期 待 され る 4) 働 き 続 けられる 環 境 づくりの 促 進 本 県 において 雇 用 情 勢 を 改 善 するためには 雇 用 創 出 と 同 等 もしくはそれ 以 上 に 雇 用 の 安 定 化 が 重 要 である 働 きやすい 働 き 続 けられる 職 場 づくり の 実 現 を 通 じて 就 労 者 の 職 場 への 定 着 を 図 り 離 職 率 を 抑 えることが 本 県 の 失 業 率 の 低 下 に 大 きな 役 割 を 果 たすと 考 えられる とりわけ 女 性 におい ては 出 産 育 児 等 による 就 労 の 中 断 が 大 きく 影 響 しているものとみられる 新 たに 就 職 しようとする 新 規 学 卒 者 や 再 就 労 を 図 ろうとする 女 性 中 高 年 など 新 規 あるいは 再 度 労 働 市 場 に 参 入 しようとする 人 々が 就 労 に 際 して 感 じる 困 難 の 多 くは 個 々の 企 業 や 個 人 に 由 来 する ものより 雇 用 労 働 にかかる 社 会 制 度 や 慣 行 に 起 因 するケースが 多 いと 考 えられる 今 後 の 雇 用 施 策 においては こうした 労 働 市 場 への 参 入 障 壁 を 取 り 除 き 就 労 を 通 じ 多 様 な 個 人 が 社 会 に 参 画 する 社 会 的 包 摂 の 視 点 に 立 った 雇 用 施 策 が 求 められよう 追 補 本 調 査 報 告 の 今 後 の 活 用 方 法 本 調 査 は 本 県 の 雇 用 構 造 賃 金 構 造 等 労 働 実 態 の 把 握 を 通 じ 沖 縄 振 興 計 画 に 基 づく 雇 用 施 策 の 成 果 と 課 題 の 検 証 を 図 ることを 目 的 として 実 施 された 国 県 においては 本 報 告 書 の 知 見 を 類 似 調 査 の 成 果 と 合 わせて 精 査 の 上 県 民 企 業 教 育 機 関 等 の 支 援 ニーズを 整 理 し 全 県 的 な 雇 用 労 働 施 策 の 企 画 立 案 の 参 考 資 料 として 活 用 されることを 期 待 したい また 本 調 査 の 結 果 をはじめ 雇 用 労 働 に 関 する 調 査 研 究 の 知 見 について 広 く 普 及 を 図 り 本 県 の 雇 用 労 働 の 現 状 と 課 題 について 県 民 全 体 の 共 通 認 識 を 図 ることが 望 まれる 次 に 教 育 機 関 企 業 経 済 団 体 県 民 においては 求 職 側 求 人 側 それぞれの 立 場 から 相 手 方 の 意 識 をみるとともに 他 の 求 人 企 業 求 職 者 の 動 向 と 自 らを 比 較 し それぞれの 求 人 求 職 活 動 の 参 考 にしていただきたい 16