主 文 特 許 庁 が 同 庁 昭 和 60 年 審 判 第 20555 号 事 件 について 平 成 3 年 5 月 23 日 に した 審 決 を 取 り 消 す 訴 訟 費 用 は 被 告 の 負 担 とする 事 実 第 1 当 事 者 双 方 の 求 めた 裁 判 1 原 告 主 文 同 旨 の 判 決 2 被 告 (1) 原 告 の 請 求 を 棄 却 する (2) 訴 訟 費 用 は 原 告 の 負 担 とする 第 2 請 求 の 原 因 1 特 許 庁 における 手 続 の 経 緯 原 告 は 昭 和 58 年 9 月 16 日 別 冊 フレンド の 文 字 を 左 横 書 きしてなる 商 標 ( 以 下 本 願 商 標 という )につき 商 標 法 施 行 令 ( 平 成 3 年 政 令 299 号 に よる 改 正 前 ) 別 表 第 26 類 雑 誌 を 指 定 商 品 として 商 標 登 録 出 願 ( 昭 和 58 年 商 標 登 録 願 第 87740 号 )をしたところ 昭 和 60 年 8 月 9 日 特 許 庁 審 査 官 から 商 標 法 15 条 の 規 定 に 基 づきその 出 願 を 拒 絶 する 査 定 を 受 けたので 同 年 10 月 1 7 日 拒 絶 査 定 不 服 の 審 判 を 請 求 し 昭 和 60 年 審 判 第 20555 号 事 件 として 審 理 された 結 果 平 成 3 年 5 月 23 日 本 件 審 判 の 請 求 は 成 り 立 たない との 審 決 がされ その 謄 本 は 同 年 7 月 15 日 原 告 代 理 人 に 送 達 された 2 審 決 の 理 由 の 要 点 (1) 本 願 商 標 の 構 成 及 び 指 定 商 品 は 前 項 記 載 のとおりである (2) これに 対 し 登 録 第 553151 号 商 標 ( 以 下 引 用 商 標 という ) は フレンド 英 和 辞 典 の 文 字 を 縦 書 きしてなり 旧 第 66 類 辞 典 を 指 定 商 品 として 昭 和 33 年 12 月 3 日 登 録 出 願 昭 和 35 年 7 月 21 日 登 録 その 後 2 回 に 亙 り 商 標 権 存 続 期 間 の 更 新 登 録 がされ 該 商 標 権 は 現 に 有 効 に 存 続 するもので ある (3) 按 ずるに 本 願 商 標 は 別 冊 フレンド の 文 字 から 成 るところ その 構 成 中 の 別 冊 の 文 字 は 別 にとじた 冊 子 また 付 録 として 別 に 作 った 本 ( 株 式 会 社 岩 波 書 店 発 行 広 辞 苑 第 3 版 )の 意 味 合 を 有 する 語 であって これを 本 願 商 標 の 指 定 商 品 である 雑 誌 についてみれば 該 商 品 の 発 行 形 態 の 一 つを 表 わすに すぎないものということができるから 本 願 商 標 は 原 告 の 主 張 する 如 く ベッサ ツフレンド と 読 まれる 場 合 もある 一 方 で その 構 成 中 自 他 商 品 識 別 標 識 としての 機 能 を 果 たし 得 ない 別 冊 の 文 字 部 分 は 省 略 され フレンド の 文 字 部 分 をもって 取 引 に 資 せられる 場 合 も 決 して 少 なくな いものというのが 相 当 である してみれば 本 願 商 標 からは フレンド の 文 字 部 分 に 相 応 して フレンド の 称 呼 も 生 ずるものといわざるを 得 ない 他 方 引 用 商 標 は フレンド 英 和 辞 典 の 文 字 を 書 して 成 るものであるが 後 半 部 の 英 和 辞 典 の 文 字 部 分 は その 指 定 商 品 に 含 まれているものと 認 められる 商 品 英 和 辞 典 を 表 したものといえるから 引 用 商 標 がその 指 定 商 品 中 の 英 和 辞 典 について 使 用 されたとき 取 引 者 需 要 者 は これを フレンドエイワジテン と 読 んで 取 引 に 当 たる 一 方 で その 構 成 中 自 他 商 品 の 識 別 標 識 としての 機 能 を 果 た し 得 ない 英 和 辞 典 の 文 字 部 分 を 省 略 し フレンド の 文 字 部 分 から 生 ずる フレンド の 称 呼 によって 取 引 に 当 たる 場 合 も 決 して 少 なくないとみるのが 相 当 である してみれば 引 用 商 標 は フレンド の 称 呼 も 生 ずるものといわなければならな い (4) そうとすれば 本 願 商 標 と 引 用 商 標 とは その 外 観 観 念 について 論 及 す るまでもなく フレンド の 称 呼 を 同 一 にする 類 似 の 商 標 というべきである (5) また 両 商 標 の 指 定 商 品 は 類 似 のものと 認 め 得 るものであるから 本 願 商 標 は 商 標 法 4 条 1 項 11 号 に 該 当 するものであるとして その 出 願 を 拒 絶 した 原 査 定 は 妥 当 であって 取 り 消 す 限 りでない 3 審 決 を 取 り 消 すべき 事 由
審 決 は 本 願 商 標 引 用 商 標 はいずれも フレンド の 称 呼 を 生 ずるから 称 呼 を 同 一 にする 類 似 の 商 標 であると 判 断 したが 次 のとおり 本 願 商 標 からは ベッ サツフレンド という 一 連 の 称 呼 しか 生 じないし また 現 実 の 取 引 における 本 願 商 標 と 引 用 商 標 に 係 る 商 品 の 販 売 形 態 の 相 違 から 両 者 が 商 品 の 出 所 につき 誤 認 混 同 を 生 ずるおそれがないから 審 決 の 判 断 は 誤 っており 審 決 は 違 法 として 取 り 消 さ れるべきである (1) 取 消 事 由 1 1 商 品 雑 誌 の 分 野 における 取 引 界 の 実 情 本 願 商 標 の 指 定 商 品 である 雑 誌 の 分 野 においては 一 般 に その 題 号 全 体 が 自 他 商 品 識 別 力 を 有 し 商 標 の 要 部 であると 認 識 されているのが 実 情 である すなわち 雑 誌 は 特 定 の 出 版 社 により 定 期 的 継 続 的 に 編 集 発 行 されるか ら 定 期 的 に 発 行 される 個 性 ある 商 品 であることを 示 す 出 所 表 示 の 性 格 が 極 めて 顕 著 な 商 品 であり 例 えば 週 刊 月 刊 別 冊 特 集 等 が 特 定 の 名 称 と 結 合 して 成 る 題 号 の 雑 誌 は それぞれ 個 性 を 有 すると 認 識 されている 本 願 商 標 も 雑 誌 の 題 号 として 使 用 されている 以 上 別 冊 フレンド という 構 成 全 体 が 商 標 の 要 部 として 認 識 され ベッサツフレンド と 一 連 に 称 呼 されて 取 引 されるのである 2 本 願 商 標 をめぐる 取 引 界 の 実 情 原 告 は 昭 和 59 年 12 月 以 降 現 在 に 至 るまで 本 願 商 標 を 自 己 の 出 版 に 係 る 商 品 雑 誌 の 題 号 として 使 用 してきた すなわち 原 告 社 内 には 単 なる フレン ド という 題 号 の 雑 誌 は 存 在 せず 本 願 商 標 を 使 用 した 雑 誌 別 冊 フレンド は 姉 妹 誌 である 月 刊 少 女 フレンド の 編 集 発 行 部 門 等 原 告 社 内 の 他 の 雑 誌 編 集 部 か ら 完 全 に 独 立 した 別 冊 フレンド 編 集 部 において 編 集 発 行 され その 発 行 部 数 も 40 万 部 という 極 めて 多 数 に 達 している この 雑 誌 は 17 才 の 女 子 高 校 生 を 読 者 層 としてその 読 者 層 が 関 心 を 持 つ 話 題 を 内 容 としており 本 願 商 標 は 他 社 競 合 誌 別 冊 マーガレット 別 冊 少 女 コミック との 自 他 商 品 識 別 標 識 としても 通 用 し てきており 更 に 現 実 に 原 告 と 取 次 店 との 間 の 取 引 において この 雑 誌 は 別 冊 フレンド と 一 連 に 称 呼 されて 取 引 されている なお 別 冊 の 部 分 は 原 告 の 発 行 する 他 の 雑 誌 月 刊 少 女 フレンド ( 読 者 層 は 小 学 校 高 学 年 )との 比 較 にお いて 異 なる 内 容 を 提 供 する 雑 誌 であることを 表 示 するものとしても 流 通 している このように 本 願 商 標 は 原 告 商 品 別 冊 フレンド を 指 称 するものとして 取 引 者 需 要 者 間 において 極 めて 周 知 著 名 な 商 標 となっている その 結 果 取 引 者 需 要 者 は 本 願 商 標 を 構 成 する 別 冊 の 文 字 と フレンド の 文 字 とを 一 連 不 可 分 のものとして 全 体 的 に 認 識 して 称 呼 し 取 引 しているのが 実 情 である この 点 について 被 告 は 本 願 商 標 に 接 する 需 要 者 が 本 誌 としての フレンド が 現 に 発 行 され 又 は 将 来 発 行 されることがありうると 認 識 することは 予 想 に 難 くない 旨 主 張 する しかしなが ら 別 冊 の 文 字 は 本 誌 との 区 別 のためにのみ 使 用 されているわけではな いし 本 誌 としての フレンド は 現 実 に 存 在 せず 需 要 者 が 書 店 等 で フレン ド という 題 号 の 雑 誌 を 目 にすることは 全 くありえず 別 冊 が 先 に 発 行 されてその 後 本 誌 が 発 行 されるようなことも 到 底 考 えられず 現 に 別 冊 フレンド の 構 成 全 体 が 一 体 的 に 永 年 全 国 的 かつ 多 量 に 使 用 されている 以 上 被 告 の 上 記 主 張 は 失 当 である また 被 告 は 本 願 商 標 の 使 用 態 様 でも 別 冊 の 文 字 は 小 さく フレン ド の 文 字 は 大 きいことをも 理 由 に 本 願 商 標 の 要 部 は フレンド という 部 分 にあると 主 張 する しかしながら 原 告 の 本 願 商 標 の 現 実 の 使 用 例 においては 別 冊 の 部 分 と フレンド の 部 分 とは 配 置 色 彩 等 において 一 体 構 成 のもの として 見 るべきデザイン 上 の 統 一 が 図 られ 雑 誌 の 背 表 紙 でも 常 に 同 大 かつ 一 連 に 表 示 されており また 別 冊 フレンド の 文 字 部 分 には 愛 称 である BETSU FURE の 文 字 が 付 記 されており これらの 点 からして 別 冊 と フレン ド との 間 には 一 体 構 成 のものとしての 結 合 関 係 が 付 されているから 被 告 のこの 主 張 も 理 由 がないというべきである (2) 取 消 事 由 2 引 用 商 標 フレンド 英 和 辞 典 は 現 に 使 用 されているが その 指 定 商 品 は 辞 典 であり 本 願 商 標 の 商 品 である 雑 誌 とは 書 店 における 販 売 形 態 が 異 なる ことから 両 者 が 商 品 の 出 所 につき 誤 認 混 同 を 生 ずるおそれはない すなわち 書 店 は 需 要 者 の 便 宜 等 を 考 慮 して 雑 誌 辞 典 文 庫 本 等 印 刷 物 の 種 別 に 応 じて 販 売 コーナーを 明 確 に 区 分 して 販 売 しているのが 実 情 である また
引 用 商 標 に 係 る 英 和 辞 典 と 本 願 商 標 に 係 る 漫 画 雑 誌 とは 内 容 用 途 が 全 く 異 なる したがって 需 要 者 が 両 者 の 出 所 を 混 同 するとは 考 えにくい なお 被 告 は 一 定 の 販 売 コーナーで 販 売 することは 当 然 のことで 雑 誌 辞 典 等 の 印 刷 物 の 販 売 にのみ 特 殊 な 販 売 形 態 とはいえないから 商 品 の 混 同 を 生 じないとするには 当 たらないと 主 張 するが 本 願 商 標 に 係 る 雑 誌 別 冊 フレンド は いわゆるコンビニエンスストアや 駅 の 売 店 小 規 模 書 店 にお いても 販 売 されるのに 対 し 引 用 商 標 に 係 る 辞 典 はこれらの 販 売 場 所 で 販 売 される ことはほとんどなく これらの 場 所 で 両 商 品 が 競 合 することはあり 得 ないし 同 一 書 店 で 販 売 される 場 合 にも 月 刊 雑 誌 と 辞 典 とでは 収 納 場 所 も 異 なり 販 売 コーナ ーを 完 全 に 異 にし 読 者 層 も 異 なるから 取 引 者 需 要 者 が 両 商 品 の 出 所 の 混 同 を 生 じるとは 言 い 難 いというべきである 第 3 請 求 の 原 因 の 認 否 及 び 被 告 の 主 張 1 請 求 の 原 因 1 2の 各 事 実 は 認 める 2 同 3の 審 決 の 取 消 事 由 は 争 う 審 決 の 認 定 判 断 は 正 当 であって 審 決 に 原 告 主 張 の 違 法 は 存 在 しない (1) 取 消 事 由 1について 1 商 品 雑 誌 の 分 野 における 取 引 界 の 事 情 について 指 定 商 品 雑 誌 についての 商 標 であっても その 構 成 中 に 自 他 商 品 識 別 標 識 と しての 機 能 を 果 たす 部 分 と 果 たさない 部 分 がある 場 合 には 前 者 の 部 分 のみをもっ て 取 引 に 資 することも 少 なくないことは 取 引 の 経 験 則 が 教 えるところである 本 願 商 標 も 原 告 の 主 張 する 如 く ベッサツフレンド と 読 まれる 場 合 もある 一 方 で その 構 成 中 自 他 商 品 識 別 標 識 としての 機 能 を 果 たし 得 ない 別 冊 の 文 字 部 分 を 省 略 し 単 に フレンド の 文 字 部 分 をもって 取 引 に 資 せらる 場 合 も 決 して 少 な くないとみるのが 当 然 である したがって 雑 誌 の 題 号 として 使 用 されているから 別 冊 フレンド という 構 成 全 体 が 商 標 の 要 部 として 認 識 され ベッサツフレンド と 一 連 に 称 呼 され 取 引 さ れるとの 原 告 の 主 張 は 失 当 である 2 本 願 商 標 をめぐる 取 引 界 の 事 情 について 本 誌 をいくつかの 冊 子 としたものや 本 誌 の 付 録 本 誌 の 予 定 発 行 時 期 以 外 に 発 行 するもの 等 を 表 すために 本 誌 についての 商 標 に 別 冊 の 文 字 を 冠 し 使 用 するこ とは 本 願 商 標 の 指 定 商 品 雑 誌 を 取 り 扱 う 業 界 において 一 般 に 採 択 されてい る したがって 本 願 商 標 に 接 する 需 要 者 が 本 誌 としての フレンド が 現 に 発 行 されており 又 は 将 来 発 行 されることがありうると 認 識 することは 予 想 に 難 くない そうすると 本 願 商 標 が 取 引 者 需 要 者 間 で 別 冊 フレンド と 一 連 不 可 分 のものとして 全 体 的 に 認 識 され 称 呼 されているとの 原 告 の 主 張 は 失 当 である また 本 誌 に 対 して 別 冊 が 発 行 されている 例 が 数 多 くある 実 情 からすると 取 引 者 需 要 者 が 別 冊 の 称 呼 部 分 を 省 略 することなく 別 冊 フレンド というよ うに 一 連 に 称 呼 観 念 することがあるとしても 別 冊 の 文 字 を 含 めた 全 体 で 自 他 商 品 識 別 力 があると 認 識 して 一 連 に 称 呼 している 訳 ではなく 単 に 本 誌 と 区 別 するために 別 冊 の 称 呼 部 分 を 省 略 することなく 一 連 に 称 呼 観 念 している にすぎないこととなる そのうえ 現 実 の 本 願 商 標 の 使 用 態 様 でも 別 冊 の 文 字 は 小 さく フレンド の 文 字 は 大 きく 表 示 されている したがって 本 願 商 標 の 要 部 は フレンド という 部 分 にあり 別 冊 の 文 字 を 含 めた 全 体 で 自 他 商 品 識 別 がされているわけではなく いずれにしても 原 告 の 主 張 は 失 当 というべきであ る (2) 取 消 事 由 2について 原 告 は 書 店 において 雑 誌 と 辞 典 とは 販 売 形 態 が 異 なると 主 張 する しかし 一 定 の 販 売 コーナーで 販 売 することは 販 売 者 側 の 商 品 管 理 需 要 者 側 の 便 宜 等 のた めに 当 然 のことで 雑 誌 辞 典 等 の 印 刷 物 の 販 売 にのみ 特 殊 な 販 売 形 態 とはいえ ず このような 取 引 の 実 情 をもって 商 品 の 混 同 を 生 じないとするには 当 たらない また 原 告 は 引 用 商 標 に 係 る 商 品 である 英 和 辞 典 と 本 願 商 標 に 係 る 商 品 である 雑 誌 とは 内 容 用 途 が 異 なると 主 張 する しかしながら 内 容 用 途 の 違 いは 当 該 印 刷 物 の 発 行 目 的 の 違 いから 来 る 必 然 的 なものにすぎず 両 者 が 類 似 の 商 品 であ るか 否 かには 関 係 をもたない むしろ 本 願 商 標 に 係 る 雑 誌 も 引 用 商 標 に 係 る 辞 典 も 一 定 の 編 集 方 針 の 下 に 出 版 社 により 発 行 され 同 一 店 舗 ( 書 店 )で 販 売 され 購 読 者 利 用 者 は 主 に 学 生 生 徒 でその 需 要 者 を 同 じくする 印 刷 物 ということがで き 生 産 者 取 引 者 需 要 者 を 共 通 としている そうすると これらの 商 品 に 同 一
又 は 類 似 の 商 標 を 付 して 使 用 した 場 合 商 品 の 出 所 について 混 同 を 生 ずるおそれがあるといわなければならない 仮 に 月 刊 の 少 女 漫 画 雑 誌 について 原 告 の 主 張 するような 事 実 があるとしても 本 願 商 標 は その 構 成 文 字 からして 少 女 漫 画 雑 誌 にのみ 使 用 される 題 号 を 表 したも のと 理 解 認 識 されるものではないから 英 語 に 関 する 学 習 雑 誌 ( 引 用 商 標 が 使 用 されている 英 和 辞 典 と 需 要 者 が 一 致 し その 内 容 や 用 途 の 点 においても 極 めて 近 似 した 商 品 である )をはじめ あらゆる 種 類 の 雑 誌 に 使 用 され 得 るものであり そ うだとすれば 本 願 商 標 は 引 用 商 標 と 商 品 の 出 所 について 混 同 を 生 ずるおそれの ある 類 似 の 商 標 であることを 否 定 することはできない 第 4 証 拠 関 係 ( 省 略 ) 理 由 1 請 求 の 原 因 1( 特 許 庁 における 手 続 の 経 緯 ) 及 び 同 2( 審 決 の 理 由 の 要 点 )の 各 事 実 は 当 事 者 間 に 争 いがない 2 そこで 原 告 主 張 の 審 決 の 取 消 事 由 について 判 断 する 原 告 は 商 品 雑 誌 の 分 野 における 取 引 の 実 情 及 び 本 願 商 標 をめぐる 取 引 の 実 情 に 照 らし 本 願 商 標 からは ベッサツフレンド という 一 連 の 称 呼 しか 生 じない から 本 願 商 標 は 引 用 商 標 とは 称 呼 を 同 一 にする 類 似 の 商 標 であるとした 審 決 の 判 断 は 誤 っており 審 決 は 違 法 である と 主 張 する 成 立 について 争 いのない 甲 第 16 号 証 の2 第 17 第 18 号 証 原 本 の 存 在 及 び 成 立 について 争 いのない 甲 第 3 号 証 第 16 号 証 の1 3 第 19 号 証 の1ない し5 第 20 号 証 証 人 A の 証 言 により 真 正 に 成 立 したものと 認 められる 甲 第 4 号 証 の1ないし4 第 5 号 証 の1ないし6 第 6 号 証 の1ないし27 第 15 号 証 の1ないし47 弁 論 の 全 趣 旨 により 真 正 に 成 立 したものと 認 められる 甲 第 11 号 証 の1 2 証 人 A の 証 言 に 前 記 当 事 者 間 に 争 いがない 事 実 を 総 合 すれば 次 の 事 実 が 認 められる (1) 本 願 商 標 は 別 冊 フレンド の 文 字 を 横 書 きにしてなり 雑 誌 を 指 定 商 品 とするものである これに 対 し 引 用 商 標 は フレンド 英 和 辞 典 の 文 字 を 縦 書 きしてなり 辞 典 を 指 定 商 品 とするものである (2) 原 告 は 昭 和 38 年 1 月 以 降 週 刊 誌 である 週 刊 少 女 フレンド という 雑 誌 を 発 行 していた が その 後 同 誌 と 全 く 別 個 に 編 集 部 を 設 けたうえ 昭 和 41 年 1 月 月 刊 誌 別 冊 少 女 フレンド ( 以 下 本 件 雑 誌 という )を 創 刊 し 毎 月 発 行 を 続 けて 来 た 本 件 雑 誌 は 昭 和 59 年 12 月 に 発 売 された 昭 和 60 年 1 月 号 から 本 願 商 標 に 係 る 別 冊 フレンド と 改 題 された なお 週 刊 少 女 フレンド は 平 成 3 年 4 月 月 刊 化 され 月 刊 少 女 フレン ド と 改 題 されたが 前 後 を 通 じて 原 告 から フレンド という 題 号 の 雑 誌 が 発 行 されたことはない (3) 本 件 雑 誌 は 女 性 を 読 者 対 象 とする 月 刊 の 漫 画 雑 誌 である 一 般 に 女 性 を 読 者 層 とする 雑 誌 では 読 者 の 関 心 を 示 す 事 柄 が 年 齢 層 毎 に 顕 著 な 差 異 があるた め 想 定 される 対 象 読 者 の 年 齢 層 は 漫 画 雑 誌 を 含 めて 個 別 化 され 相 当 厳 格 に 特 定 されたうえ 発 行 されている 本 件 雑 誌 は 概 ね17 歳 程 度 の 女 子 高 校 生 を 読 者 対 象 として 限 定 し その 読 者 層 が 関 心 を 示 す 内 容 の 漫 画 を 掲 載 することを 方 針 として 編 集 発 行 され 現 実 のアンケ ート 調 査 の 結 果 でもその 年 代 の 女 子 高 校 生 によって 購 買 されている 本 件 雑 誌 と 共 通 の 読 者 層 を 対 象 とする 競 合 誌 として 別 の 出 版 社 から 発 行 されて いる 別 冊 マーガレット 別 冊 少 女 コミック 等 があり 前 記 の 週 刊 少 女 フ レンド ( 改 題 後 の 題 号 月 刊 少 女 フレンド )は12 歳 程 度 の 少 女 を 読 者 対 象 と しており 本 件 雑 誌 とは 読 者 層 の 年 齢 が 異 なる 他 方 原 告 は 本 件 雑 誌 自 体 をい わば 本 誌 として 別 冊 フレンドDX juliet という 姉 妹 誌 をも 発 行 して いる (4) 本 件 雑 誌 は 他 の 雑 誌 と 同 様 書 籍 取 次 業 者 の 取 次 により 全 国 で 販 売 さ れているが 一 般 書 店 の 外 にいわゆるコンビニエンスストア スタンド 専 業 店 でも 販 売 されており その 平 均 発 売 部 数 は 本 願 商 標 の 別 冊 フレンド に 改 題 されて 以 降 多 少 の 減 少 傾 向 はあるが 毎 号 40 万 部 に 達 し 毎 号 平 均 実 売 部 数 も30 万 部 を 越 えている
その 結 果 書 籍 取 次 業 者 書 店 等 雑 誌 の 小 売 業 者 読 者 の 間 で 本 願 商 標 は 原 告 の 発 行 する 雑 誌 の 題 号 として 周 知 のものとなっている (5) 本 件 雑 誌 は 雑 誌 取 次 業 者 の 販 売 実 績 表 等 の 上 で 別 冊 フレンド と 記 載 されるなど 雑 誌 の 取 次 業 者 書 店 の 間 において 専 ら 本 願 商 標 のとおり 別 冊 フ レンド の 一 連 の 名 称 で 取 引 されるのが 通 常 であり 別 冊 の 部 分 を 省 略 し 単 に フレンド という 名 称 で 取 引 されることはなく 読 者 も 本 件 雑 誌 を 単 に フ レンド と 呼 ぶことはなく 本 願 商 標 の 別 冊 フレンド の 名 で 書 店 から 本 件 雑 誌 を 購 入 するのが 常 である もっとも 本 件 雑 誌 は 別 冊 フレンド と 改 題 された 後 取 引 編 集 の 場 面 で 自 然 発 生 的 にときに ベツフレ と 略 称 されることも 生 じたため デザインの 観 点 もあって 昭 和 62 年 1 月 号 から 表 紙 にローマ 字 で BETSUFURE の 表 示 も されるようになった 上 記 認 定 事 実 によれば 原 告 は 昭 和 59 年 12 月 以 降 相 当 の 期 間 にわたり 継 続 的 に 本 願 商 標 を 原 告 発 行 に 係 る 本 件 雑 誌 の 誌 名 として 使 用 し 続 けたため 本 願 商 標 は 判 断 基 準 時 となる 審 決 時 までに 取 引 者 需 要 者 間 において 原 告 の 発 行 する 雑 誌 の 題 号 として 周 知 となっていること 本 件 雑 誌 は 取 引 者 需 要 者 間 で 本 願 商 標 の 全 体 を 一 連 不 可 分 のものとして 称 呼 されるのが 常 であり 略 称 される 場 合 にも ベ ツフレ と 称 呼 され その 一 部 の フレンド のみを 取 り 出 して 称 呼 される 例 がな いことが 明 らかである そして 商 標 の 類 否 はその 商 品 の 取 引 の 実 情 に 基 づいて 判 断 すべきところ 上 記 の 検 討 の 結 果 によれば 本 願 商 標 と 引 用 商 標 とは 構 成 の 一 部 に フレンド とい う 共 通 の 部 分 を 含 んでいても 取 引 の 具 体 的 状 況 を 考 慮 すると 本 願 商 標 は 別 冊 の 構 成 部 分 を 省 略 して 単 に フレンド と 称 呼 されることはないから 本 願 商 標 と 引 用 商 標 とは 称 呼 が 共 通 することはなく 称 呼 が 共 通 することから 商 品 の 出 所 に 誤 認 混 同 をきたすおそれはないというべきである そうすると 本 願 商 標 と 引 用 商 標 とは 称 呼 を 同 一 にする 類 似 の 商 標 ということはできない 3 もっとも 被 告 は 一 般 的 に 雑 誌 の 業 界 において 本 誌 の 商 標 に 別 冊 の 文 字 を 付 して 使 用 する 例 があり 本 願 商 標 に 接 する 需 要 者 が 本 誌 としての フレンド が 現 に 発 行 され 又 は 将 来 発 行 され 得 ると 認 識 することが 予 想 できるから 本 願 商 標 が 取 引 者 需 要 者 間 で 別 冊 フレンド と 一 連 不 可 分 のものとして 全 体 的 に 認 識 されることはないし 別 冊 の 称 呼 部 分 を 省 略 することがないとしても 本 誌 と 区 別 するためのものにすぎず 本 願 商 標 の 使 用 態 様 でも 別 冊 の 文 字 は フレンド より 小 さく 表 示 されている から 本 願 商 標 の 要 部 は フレンド という 部 分 にあり 更 に 自 他 商 品 識 別 機 能 標 識 としての 機 能 を 果 たさない 別 冊 の 部 分 を 省 略 して 取 引 に 資 せられる 場 合 も 少 なくないはずであると 主 張 している 確 かに 前 掲 甲 第 16 号 証 の1ないし3 第 20 号 証 成 立 に 争 いのない 乙 第 1 ないし 第 25 号 証 によれば 出 版 界 においては 本 誌 の 商 標 に 別 冊 の 文 字 を 冠 して 出 版 物 が 出 版 され また 商 標 登 録 もされている 例 が 相 当 数 あること 本 件 雑 誌 の 表 紙 には フレンド の 文 字 が 大 きく 印 刷 され 別 冊 の 文 字 はそれより 小 さく 印 刷 されていることを 認 めることができる しかしながら 前 記 認 定 のとお り 原 告 により フレンド という 名 の 雑 誌 が 発 行 されたことはなく 本 願 商 標 に 対 応 する フレンド という 題 号 の 本 誌 はないところ 本 願 商 標 は 現 実 に 取 引 者 需 要 者 の 間 の 取 引 の 場 で 別 冊 フレンド という 一 連 不 可 分 の 称 呼 により 原 告 の 商 品 であることを 示 すものとして 使 用 されていることが 明 らかにされており ま た 上 記 甲 号 各 証 によれば 別 冊 の 文 字 は フレンド の 文 字 に 重 ねて 印 刷 さ れ ローマ 字 で 記 載 された BETSUFURE の 文 字 とあいまって 一 連 の 称 呼 を 連 想 させるといいうることをも 考 慮 すると 本 願 商 標 の 要 部 が フレンド とい う 部 分 にあるとはいい 難 く 別 冊 の 部 分 が 現 実 に 省 略 されることもないのであ るから その 部 分 だけを 取 り 出 して 自 他 商 品 識 別 標 識 としての 機 能 がないともいえ ず 上 記 主 張 は 理 由 がない 4 そうすると 本 願 商 標 と 引 用 商 標 とは 称 呼 を 同 一 にする 類 似 の 商 標 として 本 願 商 標 は 商 標 法 4 条 1 項 11 号 に 該 当 するとした 審 決 の 判 断 は 誤 りであり 取 消 事 由 2について 判 断 するまでもなく 審 決 は 違 法 なものとして 取 消 を 免 れない 5 よって 審 決 の 違 法 を 理 由 にその 取 消 を 求 める 原 告 の 本 訴 請 求 は 正 当 であるか ら これを 認 容 することとし 訴 訟 費 用 の 負 担 について 行 政 事 件 訴 訟 法 7 条 民
事 訴 訟 法 89 条 を 適 用 して 主 文 のとおり 判 決 する ( 裁 判 官 竹 田 稔 成 田 喜 達 佐 藤 修 市 )