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腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 の 治 療 について はじめに よう ぶ せきちゅうかんきょうさくしょう 今 回 は 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 についてお 話 をしたいと 思 いますが その 前 に 基 本 的 な せぼね についての 知 識 を 身 に 着 けましょう! せぼねの 基 礎 知 識 せぼねは 脊 椎 ともいいますが 体 を 支 える 支 柱 の 役 割 をしてい ます せぼねは 頚 椎 (7 個 ) 胸 椎 (12 個 ) 腰 椎 (5 個 )の 全 部 で 24 個 の 小 さな 骨 が 連 なってできています( 図 1) せぼねとせ ついかんばん ぼねの 間 には 椎 間 板 という 軟 骨 があって 上 下 のせぼねを 強 く 連 結 させる 役 割 と 体 を 曲 げる 時 にたわんでクッションの 役 割 を 担 っ せきちゅうかん ています またせぼねの 中 には 脊 柱 管 という 空 洞 があって その 中 を 神 経 の 束 ( 脊 髄 )が 通 っています( 図 2) 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 とは 腰 の 部 分 で 老 化 に 伴 って 脊 柱 管 が 狭 くなり 神 経 の 束 が 圧 迫 さ れてしまう 病 気 です どうして 年 をとると 脊 柱 管 が 狭 くなってし まうのでしょうか それは 上 下 のせぼねを 連 結 させている 椎 間 板 が 年 とともに 徐 々に 弾 力 がなくなり 上 下 のせぼねを 連 結 させる 力 が 落 ちて せぼねがずれた り(すべり 症 ) せぼねが 不 安 定 な 動 きをすることで そ れを 押 さえようとする 生 理 的 な 反 応 が 起 きて 靭 帯 が 肥 厚 したり 骨 のとげが 出 来 たり 関 節 が 厚 くなったりして 脊 柱 管 が 徐 々に 狭 くなってしま うのです( 図 3) それにより 神 経 が 圧 迫 されて 以 下 のよう 図 2 図 3 な 症 状 がでます 図 1 1

腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 の 治 療 について 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 になるとどんな 症 状 が 出 るのでしょうか 臀 部 から 足 にかけて 痛 みやしびれがでたり 一 定 の 距 離 を 歩 くと 足 が 重 くなって 休 み かんけつせい は こう たくなる 間 欠 性 跛 行 という 症 状 がでたりします 間 欠 性 跛 行 では 歩 いて 臀 部 や 下 肢 が 痛 くなっても 前 屈 みで 少 し 休 むと 痛 みがとれてまた 歩 けるようになること が 特 徴 です( 図 4) この 間 欠 性 跛 行 と いう 症 状 は 下 肢 の 動 脈 が 狭 窄 してし まう 病 気 = 閉 塞 性 動 脈 硬 化 症 でもおこ るので 注 意 が 必 要 です 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 と 下 肢 閉 塞 性 動 脈 硬 化 症 の 見 分 け 方 は 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 では 腰 部 を 前 屈 みにすると 歩 行 距 離 が 伸 びたり 自 転 車 なら 幾 ら 乗 っても 症 状 が 出 ないな どの 特 徴 があります 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 の 原 因 の 一 つに 脊 柱 管 内 で 黄 色 靭 帯 という 靭 帯 が 肥 厚 して 神 経 を 圧 迫 す るのですが 腰 部 を 前 屈 みにすること で 靭 帯 は 引 き 延 ばされて 薄 くなり 神 経 の 通 り 道 が 広 がることで 症 状 が 出 に くくなることがその 理 由 です 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 の 治 療 法 保 存 療 法 薬 物 療 法 痛 みを 和 らげる 薬 ( 消 炎 鎮 痛 剤 ) 末 梢 血 管 を 広 げて 神 経 の 血 流 を 増 やして 症 状 を 和 ら げる 薬 (リマプロスト) 中 枢 神 経 に 作 用 して 過 剰 に 興 奮 している 神 経 を 鎮 める 薬 (プレ ガバリン オピオイドなど)を 使 って 治 療 します ブロック 療 法 痛 みが 激 しい 場 合 に 硬 膜 外 に 局 所 麻 酔 薬 や 生 理 食 塩 水 などを 注 射 して 痛 みを 引 き 起 こしている 物 質 を 洗 い 流 して 症 状 を 緩 和 する 方 法 や 痛 みを 起 こしている 神 経 の 枝 ( 神 経 根 )に 直 接 ステロイド 剤 を 注 射 して 痛 みをとる 神 経 根 ブロック 注 射 などがあります 効 果 は 一 時 的 な 場 合 もありますが そのまま 痛 みが 落 ち 着 いてしまう 場 合 もあり 個 人 差 が あります 理 学 療 法 温 熱 療 法 や 体 操 ( 腰 痛 体 操 マッケンジー 体 操 )などがあります 装 具 療 法 腰 を 前 かがみにすると 症 状 が 軽 くなることより 装 着 すると 自 然 に 腰 が 前 屈 みになるコ ルセットを 使 用 して 頂 いたり 杖 やシルバーカーを 使 うと 腰 が 前 屈 みになって 痛 みが 軽 減 することから これらを 使 って 頂 いたりします 図 4 2

手 術 療 法 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 の 治 療 について 足 の 筋 力 が 低 下 したり 尿 が 出 にくくなるなど 症 状 が 深 刻 な 場 合 には 手 術 が 必 要 にな ついきゅう ります 椎 弓 と 呼 ばれる 骨 の 一 部 や 黄 色 靭 帯 を 切 除 して 狭 くなった 脊 柱 管 を 広 げる 椎 弓 切 除 術 や すべり 症 を 伴 っている 場 合 には 椎 弓 切 除 に 加 えて 金 属 製 のスクリューとロッド でせぼねを 固 定 する 脊 椎 固 定 術 を 行 う 場 合 があります 新 しい 手 術 治 療 数 年 前 から 当 院 では 間 接 的 除 圧 術 といっ て 骨 も 削 らず 神 経 も 触 らないで 治 療 する きょく と っ き Xstop という 医 療 用 インプラントを 棘 突 起 の 間 にはめ 込 むだけの 手 術 も 導 入 しています この 治 療 法 は 前 屈 みになると 肥 厚 した 黄 色 靭 帯 が 伸 ばされて 薄 くなり 脊 柱 管 の 狭 窄 が 軽 くなることに 着 目 して 開 発 された 手 術 方 法 で 棘 突 起 の 間 にこのインプラントをはめ 込 む ことにより 前 屈 みになることと 同 様 の 状 態 をつくり 症 状 の 改 善 を 得 る 方 法 です ( 図 5) この 手 術 のメリットは 1 骨 を 削 ったり 神 経 を 直 接 触 ったりすることがないため 従 来 の 方 法 に 比 較 して 神 経 を 傷 つけるリスクを 軽 減 できます 2 局 所 麻 酔 でもできるため 全 身 麻 酔 がかけづらい 合 併 症 を 多 く 持 った 方 にも 行 うことが 出 来 ます 3 早 期 に 退 院 できる 可 能 性 があります ただ この 手 術 の 適 応 には 制 限 があります 1 棘 突 起 の 間 にインプラントをはめ 込 むため 骨 粗 鬆 症 の 方 は 棘 突 起 骨 折 を 起 こす 可 能 性 があるため 適 応 にはなりません 2 麻 痺 が 強 い 方 などは お 勧 めしません それは 確 実 に 脊 柱 管 内 の 除 圧 を 行 った 方 が 症 状 の 回 復 には 有 利 だと 思 われるからです 3 手 術 が 出 来 るのは 2か 所 の 部 分 までが 保 険 で 許 されています 3 か 所 以 上 脊 柱 管 が 狭 窄 している 方 には 適 応 になりません 適 応 は 限 定 されますが 腰 を 曲 げたらいくらでも 歩 けるような 方 はこの 手 術 を 受 けられ ると 脊 柱 管 狭 窄 部 は 広 がるので 逆 に 良 い 姿 勢 で 歩 行 が 可 能 となり 日 常 生 活 で 感 じられ た 不 自 由 さが 改 善 することが 予 想 されます 最 後 に 当 院 の 脊 椎 外 科 では 年 間 約 110 件 の 脊 椎 の 手 術 を 行 っています 昨 年 度 は 感 染 0 件 医 療 過 誤 などにより 神 経 症 状 が 術 後 悪 化 した 患 者 さま 0 人 です お 一 人 おひとりの 最 適 な 治 療 法 を 患 者 さまと 一 緒 に 考 え 安 心 安 全 の 医 療 を 心 がけたいと 思 っております 腰 部 脊 柱 管 狭 窄 症 で 手 術 が 必 要 と 思 われた 際 には ご 相 談 いただければと 存 じます 図 5 3 図 :メドトロニック 社 提 供

化 学 療 法 科 のご 紹 介 ~ 骨 髄 腫 って 知 っていますか?~ 1 化 学 療 法 科 って 何 をしているの? 当 科 は 2009 年 に 外 来 化 学 療 法 室 の 設 置 に 伴 い 開 設 されました 外 来 では 各 科 の 患 者 さまに 安 全 かつ 効 果 的 な 化 学 療 法 ( 抗 がん 剤 治 療 ) を 提 供 する 事 を 目 的 としています 現 時 点 では 11 階 西 病 棟 の 入 院 ベッドを 中 心 に 主 に 悪 性 リンパ 腫 骨 髄 腫 などの 血 液 疾 患 に 対 して 年 間 のべ 約 2000 人 の 方 々に 抗 がん 剤 治 療 を 行 っています でも 血 液 疾 患 とは 言 っても 一 般 の 方 々にはどんな 病 気 か 良 くわかりませんよね よっ て 今 回 は 血 液 病 の 一 つである 骨 髄 腫 の 特 徴 と 最 近 の 治 療 の 進 歩 についてお 話 ししようと 思 います 2 骨 髄 腫 って 何? 骨 髄 腫 は 多 発 性 骨 髄 腫 とも 呼 ばれますが 血 液 細 胞 の1つである 形 質 細 胞 の 異 常 な 増 殖 が 身 体 中 で 起 こり いろいろな 臓 器 に 障 害 を 引 き 起 こします ただし 一 部 を 除 いて 進 行 は 非 常 にゆっくりです 日 本 全 体 で1 万 5 千 人 の 患 者 がいると 言 われ 中 高 年 の 方 に 発 症 する 事 が 多 いです 高 齢 化 社 会 の 進 行 により 最 近 増 加 傾 向 にあり 実 際 私 どもの 外 来 に も 多 くの 患 者 さまが 通 院 加 療 されていらっしゃいます 3 形 質 細 胞 って 何? 骨 髄 腫 は 一 言 で 言 えば からだの 免 疫 反 応 に 関 わる 形 質 細 胞 に 異 常 が 起 きる 病 気 です 正 常 な 形 質 細 胞 は 血 液 細 胞 の 一 種 で B リンパ 球 が 変 化 した 最 終 の 細 胞 です B リンパ 球 は 細 菌 やウイルスなどの 異 物 を 見 つけると 形 質 細 胞 となり 抗 体 を 放 出 してそれらを 攻 撃 します でも 骨 髄 腫 の 患 者 さまの 身 体 の 中 では 異 常 な 形 質 細 胞 ( 骨 髄 腫 細 胞 )が 細 菌 やウイルスなどの 異 物 を 攻 撃 する 能 力 を 持 たない 意 味 のない 抗 体 (M 蛋 白 )のみを 大 量 につくってしまいます 4 骨 髄 腫 の 症 状 は? ヒトにおいて 血 液 細 胞 は 骨 髄 ( 大 きな 骨 の 内 側 にあります 例 えば 骨 盤 )で 毎 日 作 ら れています 骨 髄 腫 を 発 症 すると 骨 髄 中 で 骨 髄 腫 細 胞 が 異 常 に 増 え 正 常 な 血 液 細 胞 が 作 れなくなり 貧 血 感 染 症 出 血 などが 起 きたり 骨 の 新 陳 代 謝 に 悪 影 響 を 及 ぼすこと により 骨 の 痛 み 骨 折 などが 起 きやすくなります 加 えて 骨 髄 腫 細 胞 からつくられた M 蛋 白 が 腎 臓 などのいろいろな 臓 器 の 機 能 を 妨 げるため さまざまな 症 状 があらわれま す ですから ゆっくり 進 行 する 性 質 もあり 診 断 がつきにくく 中 には 腰 の 骨 の 骨 折 によ る 腰 痛 で 整 形 外 科 を 受 診 され 診 断 される 事 もあります ( 図 1 2) 5 骨 髄 腫 治 療 の 進 歩 現 在 の 医 療 水 準 をもってしても 残 念 ながら 治 癒 する 事 はできません そのため 身 体 の 機 能 を 維 持 しながら 骨 髄 腫 と 共 存 する 事 が 治 療 の 目 的 になります 以 前 はメルファラン とプレドニンを 少 しずつ 飲 む 治 療 が 主 体 でしたが 1999 年 にアメリカでサリドマイドが 4

化 学 療 法 科 のご 紹 介 ~ 骨 髄 腫 って 知 っていますか?~ 骨 髄 腫 治 療 薬 として 認 可 されて 以 降 ボルテゾミブ レナリドマイドが 次 々と 認 可 され 治 療 成 績 は 飛 躍 的 に 改 善 しました 図 3は 生 存 率 を 示 していますが これらの 新 薬 が 出 現 して 以 降 急 激 に 改 善 しています 今 後 も 新 薬 の 発 売 が 予 定 されており もしかしたら 治 癒 出 来 るようになっていくのかもしれません 6 骨 髄 腫 の 患 者 さまへ 図 1 2 (セルジーン 株 式 会 社 ホームページより) 以 上 骨 髄 腫 についてお 話 しました 化 学 療 法 科 では 骨 髄 腫 をはじめ 各 種 血 液 疾 患 を 幅 広 く 診 察 しております 特 に 骨 髄 腫 はご 高 齢 の 方 に 多 い 病 気 であり 合 併 症 をお 持 ちの 方 も 多 くいらっしゃい ます 当 センターは 高 齢 者 医 療 のエキス パート 集 団 として 多 くの 診 療 科 があり 合 併 症 対 策 も 万 全 です ご 家 族 もしくは お 近 くの 方 で この 病 気 でお 悩 みの 方 が いらっしゃいましたら お 気 軽 に 化 学 療 法 科 までご 相 談 ください 図 3(Turesson ら JCO 2010 年 より) 感 染 性 胃 腸 炎 を 予 防 しましょう 3 月 ~ 4 月 にかけて ロタウイルスの 流 行 時 期 に 入 ります トイレ 後 と 食 事 前 は 石 けんと 流 水 で 手 洗 いをしましょう! ロタウイルスとは 春 先 に 流 行 期 を 迎 える 感 染 性 胃 腸 炎 乳 幼 児 期 に 多 い 下 痢 嘔 吐 ( 発 熱 を 伴 うことも) 下 痢 の 期 間 が 長 い 感 染 力 はノロウイルスと 同 じくらい 強 く アルコールも 効 果 不 十 分 なので 石 けんと 流 水 による 手 洗 いが 重 要 です 5

ロビーコンサート について 毎 年 恒 例 の ロビーコンサート を3 月 15 日 火 曜 日 午 後 4 時 から2 階 食 堂 レスト ランにて 開 催 しました 主 催 は 板 橋 区 文 化 国 際 交 流 財 団 演 者 は 板 橋 区 演 奏 家 協 会 会 員 の 鈴 木 美 恵 子 さん(メゾソプラノ) 古 川 知 佳 さん(バイオリン) 山 田 郁 さん(クラビノー バ)です 当 日 は 患 者 様 とそのご 家 族 の 方 が 100 人 ほどお 集 まりいただきました 1 曲 目 の いのちの 歌 は 出 会 ったこと や 笑 ったことなど すべてに 感 謝 するという 気 持 ちを 表 現 した 楽 曲 で メゾソプラノの 歌 声 バイオリンとクラビノーバの 音 色 が 来 場 された 皆 様 を 温 かく 包 み 込 みました ウィーン 我 が 夢 の 街 明 日 があるさ ではミュー ジカルのようにダンスやお 芝 居 をまじえた 歌 唱 となり 会 場 内 は 活 気 と 笑 顔 で 満 ち 溢 れま した 今 後 も 患 者 さまとご 家 族 の 方 に 音 楽 を 通 じてよりよい 環 境 を 提 供 できるよう 取 り 組 ん でいきたいと 思 っています 救 急 外 来 を 受 診 した 際 に 診 ていただいたのは 以 前 丁 寧 に 見 ていただき 嬉 しく 思 っていた 先 生 で した 先 生 も 覚 えていて 下 さり 入 院 となりまし たが 心 細 い 気 持 ちが 和 らぎました 先 生 の 温 かさ 忘 れません ありがとうございました 母 がお 世 話 になりました 入 院 中 は 医 師 看 護 師 さん リハビリの 先 生 栄 養 科 の 方 々 受 付 や 警 備 の 方 売 店 カフェ 清 掃 の 方 々に 至 るまで 皆 様 には 大 変 お 世 話 になりました それぞれのお 仕 事 ぶりには 脱 帽 いたしますが 明 るく 声 をかけ てくださることが ともすると 暗 くなりがちな 家 族 の 毎 日 の 力 となりましたこと 感 謝 申 し 上 げます わがままで 自 分 勝 手 な 主 人 で 担 当 の 先 生 や 看 護 師 さんに 失 礼 なこと 勝 手 なことばかり 言 いま したが それでも 皆 さんにとても 良 くしていただ きました 師 長 さんには 患 者 様 はもちろんのこと ご 家 族 の 方 のケアができれば と とてもあり がたい 言 葉 をいただき 嬉 しくてホッとしました スタッフの 皆 様 に 感 謝 の 気 持 ちで 一 杯 です 主 人 が 2 週 間 ほど 入 院 し 退 院 後 は 月 1 回 の 治 療 を 外 来 で 受 けるようになりました 主 人 はもちろ ん 私 たち 家 族 も 先 生 との 診 察 でお 話 させていただく のが 楽 しみ というのはちょっとおかしいですが とても 安 心 することができました スタッフの 皆 さ んにも 良 くしていただき 感 謝 しております 6